人様の考えてることは、私にはわからない

温泉へ行った。

目当ての泉質をwebで探して行く事にした。

見つけたのは、積丹の小さな旅館のお風呂だった。

日帰りで行った。

季節外れの積丹は、ものの見事に人が居なかった。

当然ウニもシーズンじゃない。

海は相変わらず綺麗だった。

綺麗だったが、北の海は冷たい。

北の海は寂しい。

北の海に入ろうという気にはなかなかなれない。

真夏でも。

 

その前にお昼ご飯でもと思い、近くの食堂を探した。

行き当たりばったりだったので、webでも調べてなかったので、勘で入るしかなかった。

勘は外れたが、こと観光地では店構えが立派なのと中の料理は反比例するの法則を見つけた。

かといって、見た目鄙びた食堂では一か八かだ。

当たりの場合は大当たりが多いけど、そうじゃない確立も高い。

 

それはさておき。

目的の旅館についたら

おそらく旅館の方であろうおじいさんが外の椅子に座りぼーっとしていた。

その後方に一匹の毛並みのいい三毛猫が居た。

それに気づいた私は、駐車場で暫し猫に見とれてた。

するとおじいさん

「奥の小屋にこの子の孫がいるよ。小さいよ。見るかい?」

と言った。

ああ、それは是非と、おじいさんについていった。

奥の小屋に行ったら、タライに母猫(玄関で出迎えた猫の娘らしい)と子猫3匹が渦を巻く様に寝ていた。

こちらの気配に気づくと、母猫も子猫もこちらにやってきてすりすりしてきた。

 

暫し猫と戯れているとおじいさんが謂う。

こいつまだ若いんだけどね。

去年生まれたばかりなのに、もう子供産んで。

本当は、隣の家の猫なんだけど、全然面倒見ないからこっちで面倒みてるんだけど、餌代もバカにならなくてねえ。

捨てにいったんだよ、この猫。

だけど戻ってきたんだよ。

え?場所がわかってるんじゃないですか?と聞き返す。

いや、絶対戻って来れない山の奥に捨てにいったんだよ、だけど誰か連れてきたんじゃないかなあ。

…?

おじいさんの言ってることがよくわからなかった。

時折撫でる様子からは、可愛がってるようにも思える。

しかも自分ちの猫じゃないのに餌あげてるらしい。

猫用の寝床もちゃんと用意している。

だけど自分ちの猫じゃないのに山奥に捨てたらしい。

おじいさんの筋はどれなんだろうと。

でも、大概の人というのは、こういうものなのかなあとも。

人というのはまったくもってわからない。