ミート・ザ・スマイル

 仕事に関しては不屈のモチベーションの持ち主だと自分でも思っていたけど、意外とそうでもなく、特にここ何ヶ月かは正直かなりモチベーションが下がっていたことは確かだ。

 ホスピタリティって何だろうとか、考えて考えて考えすぎていたこともその一因かもしれないし、あまりにもミスを責められることが多かったりすることも、その一因かもしれない。

 いくら努力しても自分はおよばない、自分はダメなんだと、いつしか思うようになっていた。惰性で仕事を続けていた。

 先週の火曜、朝から晩までインパークしたのだけど、本当に感動した。ああ、自分はすごいところで働いているんだなーって。そう思わせてくれる最大の理由は、そこで働く人たちの笑顔だ。

 どのアトラクションに乗っても、お店に入ってご飯を食べても、笑顔で接して声をかけてくれる。客の立場でパークに入ってみて、改めてこのことに強烈に感動したのだ。

 考えてみたら、これこそがホスピタリティかもしれない。誰でも、いつでも、笑顔で迎えられる場所。そう、ひょっとしたらホスピタリティって、ひとりの力で実現できることじゃなくて、多くの人の力で作り上げる「場としての力」なのかもしれない。

 もっとも大事なこと、それは笑顔だ。オペレーションがうまいとかヘタだとか、ホスピタリティとか満足だとか、そんなことにグダグダと囚われていたけど、たったひとつの大切なことを忘れていた気がする。

 笑顔で客を迎えること。笑顔でもてなすこと。みんな笑顔に会いにここに来る。ミート・ザ・スマイル。それが、僕がここにいるあと少しの間の目標。

とても寒く人の心が温かかった日

 昨日(土曜)は少し体調が悪くて、勤務先から帰ってきて疲れて横になったけどぜんぜん眠れなくて、明け方まで眠りに落ちることはなかった。今朝はおかげで起きるはずの時間を二時間も過ぎてしまい、午前中は専門学校に行くつもりだったけど予定を変えて、きょうが最終日だった「生命(いのち)のメッセージ展in早稲田大学」の会場に顔を出しに行った。僕の大好きな仲間が力を合わせた、優しい空間。杉山裕太郎さんのミニライブを少し耳にして、大隈横のワセダギャラリーなども訪れて、ほんの少しの滞在だったけど、みなの頼りになる姿を目にしたことに満足して原宿の専門学校に向かった。

 フォトショップでのフィルターによるパターン作成などの授業を受けたけど、これは去年も受けたことではあるので、しばらくMacをいじったりしたのち、先生にバイトに行くので抜けますと告げた。すると先生が廊下に僕を呼び出して話を聞いてくれた。もう1人の先生から俺が悩んでいるということを聞いたらしい。実はその専門学校とはマンガのコースなのだけど、自分がマンガを描くことについて、それが向いているかどうかわからないということを正直に話した。もちろん、いま一番にやりたいのは学問と研究なので、マンガといっても趣味の範囲で終わるものでしかないかもしれないが、先生はきちんと話を聞いてくれた。

 そしてひと言。あなたは今はまだ、そのことを悩む段階にはいない。1年2年もマンガの勉強をしてきたのだし、1本きちんとしたマンガ作品を描いてから、マンガを続けるにしろそうではないにしろ、判断するべきでしょうという話だった。その話を聞いて、すごく霧が晴れた気がして、余計なことは置いておいて、とりあえず自分はマンガの16Pの作品は仕上げようと思った。

 いろいろあるし今日という日は特別寒いけど、自分はやさしい人たちに囲まれている。

「生命(いのち)のメッセージ展in早稲田大学2008」

 毎週火曜日は、早稲田大学経済学研究科と政治学研究科によるグローバルCOEプロジェクト「GLOPE II」(「制度構築の政治経済学」)のセミナーに出席している。単なる科目履修生の身だし経済学は素人に等しいから、プロジェクトに特に何の貢献をしているわけではないけれど、少なくとも自分の利益としては門前の小僧的に少しばかりは目と耳の肥やしにはなっているのである。しかし最近、もう少し経済学のマクロでベーシックな部分をしっかり勉強することに時間とエネルギーを使う方がいいんじゃないかと思うようになってきた。

 さて、そんな今日。学生会館に行ってみた。地下2階、後輩たち(後輩だけじゃないけど)が、今年も「生命のメッセージ展in早稲田大学」を開いてくれている。今年は自分はほとんどノータッチだった。だから顔を出しても良いものかということすら最初はためらわれたけれど、受付にKさんがいて気づいてくれて、奥からお馴染みのメンバーたちが顔を出してくれた。懐かしい〜〜〜 久しぶりにFちゃんなどとも話をしてみながら、相変わらず、ここはピュアで真摯な人間が集まってくるところなんだと感じた。

 大学の当サークルへの予算割り当てや便宜が厳しくなり、今年は学生会館は人権週間中でも多目的ホールしか使えなくなったという話だった。俺は、スタッフでも何でもない立場で、ということは4年ぶりくらいに、in早稲田の会場へと足を踏み入れた。会場を一回りしてみる。一昨年から舞台美術研究会に協力を頼んで、照明を会場の物とは別に持込でセットアップしている。その照明は暗く落ち着いた雰囲気で、静かに音楽が流れている。そこに並ぶのは・・・・・・

 生命(いのち)のメッセージ展、それは、事故や犯罪被害などで理不尽に命を奪われた人びとの、等身大の人型パネルと遺品の靴を展示するアート展である。それを、早稲田大学で毎年行っているのが、生命のメッセージ展in早稲田大学なのである。

 今年は、今まででもっとも規模としては小さいだろう。けれど自分は、会場のイスに座りながら、今年の会場が一番好きだと思った。別に過去を否定するという意味ではなく、なんて穏やかで優しい空間になったんだろうという思いが素直に湧き上がってきた。企画だとかそういうのは、余分なものにさえ思えてくる。静かに、メッセンジャーたちと対話できる時間と空間。それ以外に、何が必要だというのだろうか。そんなベーシックなことを思い起こさせてくれる。毎年思うことではあるけれど、今年は、今までで、最高の、in早稲田のメッセージ展だと思う。余分なものがそぎ落とされた、ピュアな本当に大事な部分。

 僕は会場のイスに座りながら、ぼんやりと会場を見た。きょうが初日ということもあってか、来場者はほとんどいない。この空気は、なんていう優しい空気なんだろう。優しいからこそ哀しく、哀しいからこそ優しい。だから自然と涙が出てくる。だけどここは温かい場所だ。僕は、いろいろあったけれど、やっぱりメッセージ展が好きだし、メッセージ展in早稲田大学に関わろうとして集う仲間が大好きなんだ。

 長々と書いてしまったけど、書きたい思いはただひとつ。今年のin早稲田スタッフのみんな、ありがとう。そして、これを読んで興味を持ってくれた人は、ぜひ会場に足を運んでみてください。新宿区戸山、戸山公園横の早稲田大学学生会館にて、今月14日まで開催されています。

チラシ:http://www.washa.net/PDF/message2008.pdf
過去の開催様子:http://inochi-waseda.main.jp/
活動ブログ:http://inwaseda.blog105.fc2.com/

Satisfaction and impression

 自分がいま働いているレストランには、オーダーを取ったり料理を出したりといった最前線の接客をするポジションがあり、それはサーバーと呼ばれている。僕はミスをしてはそのポジションに入れてもらえず、また入れてもらえるようになってはミスをし、を繰り返していた。このところ、少しずつ3卓担当のサーバーに入れてもらえるようになってきた。ちょっと前までは2卓だったことを考えると進歩には違いないのだが、同期の連中は5卓はふつうにこなしたりしているので、いかに俺の成長が遅いかをわかってもらえると思う。

 このポジション、サーバーに入るようになって、いろいろと考え続けてきたことがある。それは、このポジションで接客をする際には、2つの大きな要素があるということだ。ひとつには、お客さまに満足(Satisfaction)をしてもらうこと。それは、要求や期待を満たすことでお客さまには満足してもらえる。そのためには、オーダーをきちんと正確に取ったり、料理の出し遅れがないように注意したり、言葉遣いや説明をきちんと正しく行ったり、水やドリンクのお代わりに気を遣ったりといった、オペレーションの部分を正確に行うことで達成される。

 トレーニングを通じては、オペレーションの部分を教えられる。もちろんその後も、その人間を評価される際にはオペレーションの部分で評価されることが大きい。しかし、果たしてオペレーションだけでいいのだろうかという思いがずっとあった。「満足」という言葉を辞書で引くと、「望みが達せられて不平がないこと」と説明されている。満足を与えること、Demandを満たしSatisfactionを与えることは重要だが、それはつまり文字通り「満たした」ということでしかない。このレストランは、テーマパークの中にあるので、それ以上の何かを求めてきているお客さまもきっと多いと思うのだ。というより、このテーマパークに来るということの大きな意味は、「楽しい思い出をつくる」ということにあると思う。それなら、そのパークの中にあるこのレストランでも、そこで働く自分達は、オペレーションをこなすことで満足するのではなく、それを超えるそれ以上の何か―感動(Impression)をお客さまに与えることを、少なくともひとつの目標にはしなければいけないのではないかと思う。

 自分は、あと少しでこのレストランを去ることになっている。あと残り少ない期間で何を目標にしようかと考えていたが、ここに来て目標が定まった。4卓を担当して、SatisfactionとImpressionをお客さまに与えられるサーバーになること。残る時間を考えると高すぎる目標かもしれないが、それを達成することが、自分がこの場所で働いたことへの自分の中での答えにもなる気がしている。

誕生日プロジェクト

 別にサプライズをしたいと思っていたわけではないけど、何かひとつひねりを利かせたいと思っていた。バイト仲間Yちゃんの誕生日企画。俺の私生活がけっこうバタバタしていたせいもあって、メンバー集めもお店の手配も直前になってしまい、参加者のみんなには迷惑もかけてしまったかもしれないけど、結果的にはみんな楽しんでくれて、俺もうれしかった。きのう参加してくれたみんな、本当にありがとう。

 きのうは特にNさんにはとても力になってもらって、そのお陰で最後まですごく助かった。最初、Yちゃんと俺とか4人くらいで集まって別のお店に行き、メンバーの多くには予定していたお店に行ってもらって、そこからYちゃんに「どこにいるの?みんなもう集まってるよ」という電話をかけてもらって、Yちゃんが驚きつつ、みんなが待ってるお店に行くということを考えていた。まあ本当の意味でのサプライズではないけど、楽しんでくれるかと思った。

 そのダミーのお店にも予約を入れておいて、「入店の際に”○名でご予約の”って言わないでください」と念押ししていたのだけど、きっちりと教育の行き届いている店員さんは「4名様でご予約の○○様ですねー!」と思い切りさわやかな対応をしてくれた。その時点で、頭のいいYちゃんは「あれっなんで4人なの??」といぶかしげにつぶやいていたけど、とっさにいろんなことを理解してくれたらしく、その後は何にも触れないようにしてくれていた。

 別のお店のほうのメンバーは、Nさんが率いていってくれたし、そのために一度駅から店へのルートの下見もしてもらった。そして、Yちゃんの電話に本会場のメンバーから電話が入り、店に向かった。会場では、みんなクラッカーで迎えてくれて、Iちゃんの紹介してくれたお店のバースデーケーキをみんなで食べた。いろんな人の助けあって、こういうこともできる。途中から、以前にやめてしまったTちゃんも参加してくれた。協力してくれた皆さん、本当にありがとう。そしてYちゃん、誕生日おめでとう。

人を好きになるってどういうこと?

「人を好きになるってどういうことですか?」

という質問を聞いた。

緑はなぜ緑色なのかというのに近いかもしれない、その問い。

人を好きになる、ってどういうことなんだろう。

あらためて自分に問うてみても、答えが出ない。

それでもいまは、

その質問を「とりあえず」放り出して、

日常の中でぜんまいを巻き続けることができる。

もうひとつ落としどころとしては、

「そんなのに答えはない」ということもできる。

人を好きになるってどういうことですか?

というその質問は、

きっと、自分と世界が折り合いをつける、

ほんの少し手前の一瞬にしか、存在できない問いだ。

だからこそすべての人に、

限りなく切なく、

苦く苦しく、

懐かしいのだ。

けれど、問いがあるところにしか答えはない。

もしそうだとすると、

人を好きになるってどういうこと?

という問いを持つ人は、たぶん、

人を好きなるっていうのはどういうことか、

その答えに一番近いのかもしれない。

僕は今まで、その問いに一度でも答えを出しただろうか?

関西電気保安協会

 きょう、ようやく引越しで荷造りした段ボールが部屋から消えた。引越しから一ヶ月と二週間、思い出して数えれば合計で90箱はあったんじゃないかと思う。知り合いが泊まりに来たとき、これは引越しの業者がかわいそうだとささやかな感想を漏らした。段ボールがなくなったのはいいのだが、きょうの部屋の中は必要なのか必要でないのかわからないグレーゾーンなマテリアルで余計に溢れ返り、部屋も俺の心もグレー一色に染まっていく。そんな時は、自分のアイデンティティをかろうじて崩壊から救出すべく、お笑いのDVDを虚ろな目でボーっと見続けたりしたくなってしまうのである。

 さて、大阪出身な自分にとっては、「関西電気保安協会」のTVCMはその郷愁とアイデンティティの中核を成すものである。というか、全関西人および関西出身者にとってもそうではないだろうか。ちょうどこの前、YouTubeでCMをまとめた動画を発見したのでついでにリンクしておこう。これを見れば、大阪特有のグダッた空気感というものがよくわかるだろうと思う。補足しておくと、関西電気保安協会のホームページはこちら→http://www.ksdh.or.jp/

 さらについでながら、全関西人の心に永遠のトラウマを残した「パルナス」のCMも紹介しておきたい。こちらは、ある年代以上に限られてしまうかもしれないが、その心に残されたインパクトは何によっても決して癒されることはないであろう。単なるお菓子のCMであるはずなのに、そのメロディーとブルーとグレーという極北的な色使いの映像は、子どもたちを完膚なきまでに恐怖のどん底に叩き落したのである。ちなみに、このCMの意外な用法としては、言うことを聞かない子どもに母親などが「言うこと聞かんかったらパルナス食べさすよ!!」と言ったりする例が見受けられたりなかったり。