ジャッキーカード
オタク終活「戦え!マイティジャック」全26話。掻い摘んでは観てたけど一気通貫は初めてかも知れない。ボンクラ藤川の導入部が酷すぎて二の足踏んでる諸賢も多いと思うけど、土屋啓之介をメイン監督にナポレオン・ソロを臆面もなく意識した前半のスパイ・アクション編も、MJの宿痾から解き放たれたいつもの怪獣怪人シリーズも実は観ないと損なくらい面白い。あえてダメだったのは例によって藤川桂介の担当回(グリーンモンスまんまのミイラ怪人が結構観れるのは当たり前だ)とドロン星人くらいではないか。低予算でもトクサツも合成とミニチュアとも過不足ない感じだけど、ボンクラ怪獣洋画お家芸の実物のワニを怪獣に見立てるトリックを円谷プロがやってるとは思わなかった。そしてサソリ男の渚健二がきっと好きになる最終回は何べん観ても感無量。皮肉にもこれが金城哲夫のベストワークではないかと思う。しかし大人向けを標榜する無印マイティジャックよりも、子供向けに転じた戦え!マイティジャックのがアングラでオシャレで面白いなのは問題ではないのかしらん。
アントニオ
ちょうど嫁はんと晩飯を食べる時間&あまりの出来ばえに目が離せなくて全部観てしまったオトナプリキュア。無敵の環境問題を縦糸に、偽善と欺瞞が横溢する恐るべき展開。就中、ジャリ番だから致し方ないオリジナルの鬱陶しさを払底するどころかむしろ強化している点はスタッフの正気を疑う。作画も毎回アニメーション学園の習作のよう。中嶋敦子が最終回の数カットだけ「薬屋のひとりごと」で習得したまつ毛の描き方で手を入れてたけど、そらクレジットが恥でしかないオトナプリキュアなんかより「薬屋のひとりごと」のが面白いしええもんなあ。結句、成田良美さんもやる気がないなら断ったらいいのに。
成田さんと言えば東映チャンネルの「明日のナージャ」のその完成度に度肝を抜かれる。小清水亜美の流れで駄作のそしりを受けてた理由がさっぱり分からない。男前が揃って番組が基本、恋愛譚だからかしらん。文芸も競作で切磋琢磨して、作画も演出も悪くない。きっぱり知る限りどのプリキュアよりも面白い。往年の番組だし売上度外視でもっと評価されてもいいのではないか。
パイロットドロン44歳
ムービープラスの「大空港」「エアポート75」「エアポート77」「エアポート80」を懐かしさから一気観したら例によってヘロヘロになった。アメリカ男優ではイチ押しのランカスターの「大空港」は人気シリーズの礎になる貫禄の出来で、子供の時分で観たときより色々分かってなお面白かった。 続く「エアポート75」はオメガマン・ヘストンが主人公でもヒロインのカレン・ブラックのが印象に残ってるのも往時テレビで観たままで、これも記憶する以上に面白かった。 そして「エアポート77」は当時のコマーシャルとか映画館の看板にポスターとか、いちばん記憶に鮮やかに残りながら、前2作に比べてジャック・レモンが地味すぎるのと、レギュラーのジョージ・ケネディもカタルシス不在で、シリーズでもきっぱりこれがいちばんダメ。ダメなついでに「バミューダからの脱出」なる品のない副題も観る気が俄然、削がれる。そして最終作の「エアポート80」はコンコルドを狙う誘導ミサイルに戦闘機と、色々とマンガっぽくて見飽きないのうえ、なんたってカッコいいパイロット・ドロンが超カッコいいコンコルドを宙返りさせるだけですべて許せてしまう。ついにパイロットに昇格したジョージ・ケネディの語り口も最高、ファイヤーフォックスを先取りした合成にアルプスに不時着するコンコルドのミニチュアワークも最高、世評は知らんが結構言うことなし。そしてトクサツ映画としても完成度の高いシリーズ4作に共通する大作主義は、一面、映画のあるべき姿でないかと思う。
この宇宙警備隊隊長ゾフィーを倒せるものなら倒してみろ!
逢坂冬馬「同志少女よ、敵を撃て」読了。評判の一冊らしいけど情報戦に弱いんで本屋で現物見るまで存在を知らんかった。表紙を裏切らず萌え要素満載のうえ始終マンガみたいな展開で実に読みやすかった。とりあえずナンバーワン萌えのママが戦死しなくてホッとするが、後日談が全般あんまり好きくないうえ、ヒロインに「戦争は女の顔をしていない」のインタビューがくるのは流石に蛇足だったのではないか。
シンウルトラマンは観てないし観たいとも思わないが(ドクター・フー調)、知人から登場するゾフィがワルモンと聞いて流石に唖然とする。確か庵野は内山センセのさよならウルトラ兄弟をアニメ化してる筈がどういう了見なのか?まさかゼットンを操るスーパーガンに弱い宇宙人のつもりなのか?