RAY×勃殺戒洞@大塚Hearts+のライブのこと

土曜日は、時々気にしているシューゲイザーアイドルグループのRAYが、元NUMBER GIRLの中尾憲太郎と元Blunky Jet Cityの中村達也によるユニット勃殺戒洞と対バンをするということで、そういう一見食い合わせが悪い対バン好きな自分はいそいそと出掛けた次第。

というか、そもそもアイドルの現場に出かけるようになったのは、2011年2月のももいろクローバーと神聖かまってちゃんの対バンでももクロのパフォーマンスにぶん殴られたからですし、2018年のフィロソフィーのダンスとSCOOBIE DOの対バンは、今も自分の中では「史上最強のライブ」のひとつに数えられますし、そういうのにいい思い出があるのでまた行きたくなるのです。

先は勃殺戒洞。
ベースとドラムのみというパターンですが、ベースが変にメロディアスになった結果普通に2ピースっぽくなることもなく、要するにリズムとリズムがひたすら殴り合うという、ライブで観たら最高なヤツ。
どっちかが仕掛け、どっちかがその仕掛けに乗っかって合わせていくのですが、調和したなと思ったらまたどっちかが次を仕掛け、そして時々滅茶苦茶なカオスになる、その繰り返しの40分強。

もうこういうのに触れると馬鹿になる。その時の脳内を無理やり言語化したとしても「うおう!うおう!」とか「あばばばばばば」みたいな感じになる。
毎日こういうの聴くかと問われればNOですが、でも時にこういう音楽に触れてテンション爆上げになるのは、人生にとってとても大事なことです。

惜しむらくは、こういうのって頭おかしくなるくらいの爆音で聴きたい音なわけですが、大塚Hearts+という住宅も近いロケーションの箱のためか、音量的に多少物足りなかった。
また観よう。今度は爆音で。

後にRAY。
こういう音が先に来て、どう迎え撃つのかというところがポイントでしたが、さすがただ普通にはやらない。
頭3曲「津軽よされ節」「KAMONE」「火曜日の雨」と、彼女たちの持ち曲の中でも尖ったというか、正味イカレポンチ度の高い曲を並べてきて、もうこの時点で面白い。

普段から通常のアイドルよりトラックの音が大きめですが、これ今回はさらにでかいような気がしました。4曲目「読書日記」は普段からただでさえトラック音量でかいのに、もう本当に轟音の向こうに微かに声が聞こえるような気がしなくもない、というレベル。面白い。

こちらも彼女たちの楽曲は、場とか流れで表情を変える曲が多めだなあということを改めて認識できて、もう少し現場に行くようにしないと駄目だと思いました。
ただ、5月3日のワンマンは東京にいないので無理だ。誰かWWW X行って観てきて。

で、この対バンは、RAYの「火曜日の雨」のトラック制作に中尾憲太郎氏も参加していますので、実際にはそんな滅茶苦茶な組み合わせではないのですが、PA卓の後ろに加茂啓太郎氏がいたので、まあそういうことだと納得して帰りました。
またこういうのお願いします。

The Jesus And Mary Chain「Glasgow Eyes」のこと

ジザメリ兄弟通算8枚目、再結成からは2017年以来2枚目のアルバム。

正直、ここ25年の中では一番いい。
というかデビューアルバムから4枚目の「Honey's Dead」まで作風はそれぞれ異なるものの、「こういう音を出したい」という意図が非常に明確だったのが、「Stoned & Dethroned」はアコースティック路線で敢えてやろうとしていることはわかっても各曲のアイデアは正直弱かったし、解散直前の「Munki」はそもそも何をやりたいのかよくわかんなかったし。
後から本当に、そこら辺の時期からドラッグにハマって兄弟仲も悪くなって、という感じだったことを知って、さもありなんと思ったものです。

復活作「Damage And Joy」は、だいぶ良くなったもののプロデューサーのYOUTHに助けられている感強かったのですが、ようやく今作、電子音を大々的に導入するという新機軸はありつつも、トータルで聴くと何となく集大成感もあるという、非常に美しいところに落とし込んだアルバムだと思います。

そもそも「電子音を大々的に導入」したとはいえ、M-1「Venal Joy」はイントロの最初の方こそ多少面食らうものの、太鼓が入ってきた段階で「ああ、っぽいな」と思い、その直後に歌が入ったらそれ以降はアルバム全編もう一分のブレもなく彼らなので。

あとは来日してくれないかなあということと、彼らがここまで電子音使う音源出すのなら、Ultra Vivid Sceneが再評価されてもいいんじゃないのかなあということを思いました。

■そのM-1の曲

■Ultra Vivid Scene。

トレカを取り扱う新星堂が増えていること

草加市に行って、ついでにマルイに入っている新星堂行ってみたんですよ。
5階まで上がってフロアマップ眺めたところ「新星堂」が見つからなくて一瞬「あれ、閉店してたっけ」と思ってもう一度見直して発見したのが「ガンリュウバイシンセイドウ」の文字列。

最近、新星堂とWonderGOOにはショップinショップの形で「GANRYU」という屋号のトレカショップが入っていることは知っていたのですが、こういう表記ではなかなかわからない。
で、行ってみたところ、その床面積のほとんどがトレカに占拠されていて、CDは端っこの方に少し棚があって予約コーナーがあって終了。

前に愛知・岐阜に行った時は店によって「GANRYU」の看板がかかっていたりいなかったり、よくわからないところがあったので、一旦現状の全店舗を確認してみました。

〇はトレカの扱いあり、●はなし。
支店名の:の次は、店舗が入っている商業施設のサイトでの表記、その後のカッコ内はそのサイトでの「取扱ジャンル」の表記です。

ザ・モール仙台長町店:新星堂(CD)
→現状で音楽関連ソフトの取扱のみ、モール内にトレカ専門店「マンダイトレカ」あり

鶴岡店:新星堂(CD・DVD・GAME・楽器)
→トレカ取り扱いあり、自身の投稿はほぼ無いが、ガンリュウ・新星堂他店のトレカ関連の投稿をRTしまくり

イオンモール佐野新都市店:新星堂(音楽ソフト、トレーディングカード小売販売)
→トレカ取り扱いあり、X投稿は9割がたトレカ関連

アリオ深谷店:新星堂(CD・DVD・Blu-ray・楽器・楽譜)
→トレカ取り扱いあり、アリオの店舗紹介本文にトレカ取り扱いの旨明記。X投稿はほぼ全てトレカ関連

熊谷店:新星堂/ガンリュウ(グッズ&バラエティ)
→トレカ取り扱いあり、2023/8/26にGanryuオープン。自身の投稿はCD中心、RTは一番くじ多め、トレカ多少

草加マルイ店:ガンリュウバイシンセイドウ(カテゴリ表記無)
→トレカ取り扱いあり、マルイでの表記がガンリュウ、店舗内は9割トレカ関連。X投稿は頻度が非常に少なめ

イオンモール木更津店:新星堂(CD・DVD・楽器・トレカ・ゲーム・雑貨)
→トレカ取り扱いあり、床面積が他店舗より広いため、CD、トレカ、楽器ともそれなりに展開、X投稿はほとんど全てトレカ関連

ニッケコルトンプラザ店:新星堂(CD・DVD)
→トレカ取り扱いあり、X投稿は9割がたトレカ

四街道ヨーカドー店:新星堂(CD・DVD・楽器)
→トレカ取り扱いあり、X投稿はほとんどがトレカ関連

カルチェ5柏店:新星堂(単独店舗のためカテゴリ表記無)
→現状で音楽関連ソフトの取扱のみ、同じビル内のTSUTAYAでトレカを取り扱い、新星堂での取り扱いはない模様

船橋ヨーカドー店:新星堂(CD・DVD)
→トレカ取り扱いあり、2023/12/16に新星堂店舗内にMINI Ganryuオープン、X投稿は、MINI Ganryu名義のアカウントがあるため、新星堂名義ではトレカ関連ほぼなし

アトレ吉祥寺店:新星堂(書籍/CD・音楽映像ソフト)
→現状で音楽関連ソフトの取扱のみ、X投稿もトレカ関連はなし

アリオ葛西店:Ganryu by SHINSEIDO(雑貨 / CD・DVD・Blu-ray)
→トレカ取り扱いあり、アリオ内の表記がGanryu、X投稿はGanryu名義のアカウントがあるため、新星堂名義ではトレカ関連ほぼなし

昭島店:新星堂(CD・DVD)
→現状で音楽関連ソフトの取扱のみ、トレカを含むホビーグッズ専門店「まちキャラ」が3/23オープン。

モザイクモール港北店:新星堂「style's coffee」(CD・DVD・スタジオ・カフェ)
→トレカ取り扱いあり、2024/3/23に新星堂店舗内にMINI Ganryuオープン、MINI Ganryu名義のアカウントがあるため、新星堂名義ではトレカ関連ほぼなし

立場ヨーカドー店:新星堂(CD・DVD・楽器)
→トレカ取り扱いあり、X投稿はほとんどがトレカ関連

小田原ダイナシティ店:新星堂/トレカショップ Ganryu(CD・DVD・トレーディングカード)
→2023/07/08に新星堂店舗内にGanryuオープン、2024年2月にモール内移転を行ってよりトレカコーナー充実。Ganryu名義のアカウントがあるため、新星堂名義ではトレカ関連ほぼなし

横浜ジョイナス店:新星堂(CD・DVD・書籍)
→現状で音楽関連ソフトの取扱のみ、X投稿もトレカ関連はなし

上大岡店:新星堂(CD/DVD/楽器/楽譜)
→現状で音楽関連ソフトの取扱のみの模様、X投稿もトレカ関連はなし

アピタ松任店:新星堂(CD・ビデオ・楽器)
→現状で音楽関連ソフトの取扱のみの模様、X投稿もトレカ関連はなし

カラフルタウン岐阜店:新星堂/Ganryu By SHINSEIDO(グッズ&雑貨)
→トレカ取り扱いあり、2023/9/16に新星堂店舗内にGanryuオープン(店舗の半分程度がGanryuに)、Ganryu名義のアカウントがあるため、新星堂名義ではトレカ関連ほぼなし

mozo ワンダーシティ店:新星堂(CD/DVD)
→トレカ取り扱いあり、2023/3/25に店舗内にGanryuオープン、X投稿のほとんどがトレカ関連。

リーフウォーク稲沢店:新星堂(CD・DVD・楽器)
→現状で音楽関連ソフトの取扱のみ、X投稿もトレカ関連はなし

アスナル金山店:新星堂(CDショップ)
→現状で音楽関連ソフトの取扱のみ、X投稿もトレカ関連はなし

アピタ岡崎北店:(CD)
→現状で音楽関連ソフトの取扱のみ、X投稿もトレカ関連はなし(他店舗のRTはあり)

名古屋店:新星堂(その他)
→現状で音楽関連ソフトの取扱のみ、X投稿もトレカ関連はなし

イオンモール桑名店:新星堂(CD・DVD 楽器・楽譜・中古トレカ)
→トレカ取り扱いあり。X投稿はほとんどがトレカ関連。

天王寺ミオ店:新星堂(CD/DVD)
→現状で音楽関連ソフトの取扱のみ、3/5に施設内移転オープンしたが新規の取扱いもなさげ。X投稿もトレカ関連はなし

福山店:新星堂(CD/DVD/トレカ/雑貨)
→トレカ取り扱いあり。X投稿はトレカ関連と一番くじでほとんど

小倉セントシティ店:新星堂(CD・映像ソフト)
→現状で音楽関連ソフトの取扱のみ、X投稿もトレカ関連はなし

キャナルシティ博多店:新星堂(CD・DVD)
→現状で音楽関連ソフトの取扱のみ、X投稿もトレカ関連はなし

2024年2月:岐阜カラフルタウン店
2024年3月:アトレ吉祥寺店

まず新星堂が全国でももうこれだけしかないことに愕然とするわけですが、それは今回は置いておいて。
現状で、「Ganryu」名義があってもなくても、もうトレカ取り扱い店の方が多い状況。

とはいえ、従来からトレカを扱っていた店舗もあります。
2018年に閉店した春日部店でも、閉店直前に訪れた際にトレカ販売を行いデュエルスペースも設けられていたことを記憶しています。

現在、新星堂はRIZAP傘下のREXTという企業に、WonderGOOと共に属していて、WonderGOOにもすごい勢いで「Ganryu」が増えていますが、WonderGOOは床面積大きめで路面店ばかりなので割と自分の都合でどうとでもできる一方で、テナントの小規模店中心の新星堂の方はなかなかしんどいところもありまして。

上記見てみて何となくわかるのが、
1)商業施設内の他の店舗でトレカを扱っていると新星堂では扱えない
2)大都市圏の駅近タイプの商業施設ではだいたい扱ってない
3)アピタ/ユニー系の商業施設では扱えないっぽい

1)はまさに商業施設にテナントとして入っている以上逃れられないし、2)は、まだ大都市圏だけにまだCDでやっていけるのかもしれませんが、たとえば「キャリアウーマン」をメインターゲットにしている商業施設だったりすると、CD販売はセーフでもトレカはさすがにNG、みたいな理由があるのかもしれません。
3)は見た限りそうなっているので挙げましたが全くの謎です。グループ企業にそういう商いをしているところがあるのかもしれません。

ということで、どういうタイプの店が次に死にがちか、ということが新星堂についての研究テーマになりました。
一方、このままCD置いてけぼりにして新星堂がトレカショップということになる可能性もありますが、そうなっても驚きはありません。

小規模なレンタルビデオチェーンが、アダルトに重心を置き始めてグッズとかも販売し始め、そのうちレンタルもやめてしまって「閉店してないし屋号も変わっていないのだけど、普通にアダルトDVD・グッズの販売店」になっている事例とかもあるので。
大丈夫です。それはそれで嫌いではありません。

おとといフライデーのラストライブ@代官山UNITのこと

3月9日は代官山UNITでおとといフライデーのラストライブでした。

彼女たちは2013年結成で翌年にCDデビュー、現在のようなオリジナル曲主体の活動になったのが2016年、そこから約8年間という活動期間なわけですが。

先日、アダルト系女優の歌手活動について調べましたが、そもそもそのほとんど全てが非常に企画色が強いグループで、そもそもテレビ番組絡みでもない限り長期間にわたって活動継続することすら稀で。
更に2016年以降の活動には様々な現役ミュージシャンが参加することで、そのキャリア全体を俯瞰しても2010年代インディーズの匂いがほんのりしてくる、割とコンセプチュアルな活動方針。
正味、アダルトどころかそうじゃない女優さんが本業の人でもユニットとしてここまで一貫してパーマネントな活動を継続していたのって、ほとんど例がない。滅茶苦茶稀有なユニットです。

ということもあり、紳士として嗜みに行ってまいりました。ライブは下北沢のサーキットイベント以来の2度目。
UNITはだいたい700人で満杯ですが、だいたい満杯。というか関係者エリアは完全に運営側が読みをミスってPA周りの通路エリアまでパンパン。
中には画面で見たことのある女優さんっぽい人も。マジマジと見るのは避けました。紳士なので。

言うても持ち曲は10曲なので、割と1曲ずつMCを入れながら進行するのですが、事務所主導で性格的に合わなさそうだったのを組まされたとか、お互いに溜め込んでいた不満をぶつけあったとか、割とぶっちゃけた話もあったり。
ただ簡単にここまで続けてこれたのではないことも理解できて、感慨深い気持ちになる。

事前にアナウンスされていた生バンドは、結局トリプルファイヤー鳥居氏作曲の2曲のみの演奏でしたが、それでも最初で最後の生バックは、その音圧に感動していた小島さんの反応や、そもそもこのバンドのメンツも含めていいものを観たという気持ちにも。

そういう企画モノとか、結果としても含めて単発で終わったユニットばかりの界隈で、「活動終了」を宣言して終われること、ラストライブを開催してミチミチにオーディエンスが入った中で終われることは、やっぱり幸せなことで。
アンコール、2回目の「私ほとんどスカイフィッシュ」では、バンドとダンサーだけでなく主要スタッフや関係者までステージ上に呼び込んでかなりわちゃわちゃの楽しい状況になって。
これはもう、絵に描いたような大団円じゃないですか。

いいライブでしたが、それ以上に「いい場」でした。
あとはもう、おとフラ2名の今後の更なる幸を祈るばかりです。ありがとうございました。

CD/DVD販売・レンタルの各チェーンが少し似てきていることについて

CD/DVDの販売やレンタルを生業としている各チェーン、主業と言えば元々は以下のような感じだったわけで。

タワーレコード:CD/DVD販売
HMV:CD/DVD販売
新星堂:CD/DVD販売・楽器販売
TSUTAYA:CD/DVDレンタル・書籍/コミック販売
ゲオ:CD/DVDレンタル・ゲーム販売
BOOKOFF:中古書籍/コミック・中古CD/DVD販売・中古ゲーム販売

それが、CD/DVD販売や書籍/コミック販売が時を追うにつれて不調になっていくのに伴い、各チェーン必死になっていって様々に取扱いが増え、よく言えば多様化、悪く言えば雑になっていきます。

タワーレコード
 ・PBグッズの強化
 ・新譜アナログの販売(各店舗)
 ・中古アナログの販売/買取(TOWER VINYL)
 ・中古CDの販売
 ・中古CDの買取

HMV
 ・新譜アナログの販売(各店舗)
 ・書籍販売の強化(HMV&BOOKS)
 ・中古アナログの販売(record shop)
 ・トレカ販売開始(新宿ALTA店/岡崎店)

新星堂
 ・トレカショップ「GANRYU」の店舗内併設

TSUTAYA
 ・雑貨等の取り扱い強化
 ・CCC直営店でのトレカ販売拡大
 ・アナログ盤のレンタル開始(デイズタウンつくば店)

ゲオ
 ・総合リユースの主業化
 ・雑貨/食品の販売拡大
 ・中古スマホの販売拡大

BOOKOFF
 ・中古アナログ盤の取り扱い開始
 ・総合リユース店舗の拡大/主業化
 ・ゲーム/トレカ/アナログ盤の新品取り扱い開始

要するに、元々の得意分野がベースにあったり、企業グループや提携企業内のシナジー的な展開はあるにせよ、現状で調子のいい「アナログ盤販売」「トレカ販売」「総合リユース」に各チェーンが群がっている状態。
結果として、徐々に各チェーンの業態が似通ってきつつあります。

さすがにHMVがトレカに手を出すのはどうよと思わなくもないですし、ゲオはいくら何でも入口入ってすぐのところにお菓子や食品が壁のように積まれている店はちょっとビビりますし、新星堂は昔からデュエルスペースを設置していた店舗もありましたが、現状ではシナジーというよりはRIZAPグループ内のトレカ販売業態のGANRYUが売り場を乗っ取りつつあると言った方がいいし。

それでも、TSUTAYAの店内、併設されたカフェの横にしょんぼりした久世福商店みたいな品揃えの各地名産品の瓶詰やレトルトが並んでいる景色には割と馴染んできましたし、各チェーンともどれだけもがこうともそこに店舗があってくれた方がいいです。もがいて。

アルバム「AIR-CON BOOM BOOM ONESAN REPUBLIC」のこと

エアコンぶんぶんお姉さん。通称「こんねき」。吉本所属のピン芸人の初アルバム
サウンドプロデュースはCMJK。

去年の音源デビューの時点で少しだけタイムラインに流れてきたのですが、今回のアルバムリリースでぱらぱらとまた流れてきて、曲目見たら「Since Yesterday」と「Time After Time」のカバーが入っていたので、じゃあ、と思って全編聴いてみたところ、面食らう。

2023年頭の初音源は、3曲をそれぞれ「NO WAVE」「SYNTH WAVE」の2Ver.ずつ収録されたもので、実際NO WAVE的でSYNTH WAVE的な音だったのが、約1年を経てのこのアルバムはもうジャンルとしては滅茶苦茶。
CMJKが全曲種明かししているので、もういろいろ穿った考え方で想像する楽しみはないのですが、それでもひしひしと伝わってくる「詰め込んだ」感というか、このプロジェクトをパーマネントなものとして捉えてなさげな、もはや集大成的な存在感。

曲によっては芸人らしいリミットを外した感じの歌唱というか咆哮はあるものの、所謂コミックソング的な空気感は皆無。それでも、こんねき自身による歌詞は妙な質感があって独特。歌声も割と好きです。
そもそも芸人が音源を出すというのは、だいたいにおいて芸事やテレビタレントとして有名になった後にやることで、それをまだまだ無名なピン芸人が何でという気持ちは正直あります。

まあ、メジャーではないところでトラックとしてはCMJKやりたい放題なので、これでいいと思います。GEISHA GIRLSやKOJI 1200/12000のインディーズ版のようなものです。微妙に違うか。
そういえば芸人としての彼女のネタはまだ見たことなかったのに気付いて、YouTubeで適当に検索して見てみたのですが、こっちはもうわからなくていいです。

CDレンタル店舗が1000店舗を割ったこと

2023年の10大ニュースで「CDレンタルを行っている店舗がもうすぐ1000店舗を割りそう」と言いましたが、今しがたカウントしたら割っていました。

TSUTAYA:407
GEO:536
三洋堂:24
HYPERBOOK/SUNMUSIC:5
合計:972

「レコードレンタル」という業態が公式に始まったのは1980年の東京都三鷹市の黎紅堂。
その後数々のチェーンが立ち上がり、翌1981年の末までには公式な数だけで1000店舗に届こうかという数にまで増えましたので、栄枯盛衰の42年を経て黎明期の数にまで戻ったということになります。

そして今後ですが。

  • 4月23日にリニューアルオープンするSHIBUYA TSUTAYAにはDVDを含めてレンタルを行う予定なし
  • 大手フランチャイジーのVidawayが、現在19店舗に残っているCDレンタルを3月末で全店舗で終了することを公表(DVDレンタルはほぼ残存)
  • 明文堂書店(富山県/石川県)、精文堂書店(愛知県等)、WonderGOO(茨城県等)等、TSUTAYAフランチャイジー(レンタル部門)からの離脱増加

と、当然ですがより一層減っていく未来しかありません。

で、こうやって店舗の数が減ってくると困るのは小売りだけではないはず。
CDレンタルで使用されるCDは、店長がそこらの小売店で買ってくるのではなく「CDレンタル専用の卸代行企業」から購入します。
中には、たとえばYOASOBIの一連のアルバム、通常販売用はバインダーブック形態の特殊仕様品しかないところ、レンタル専用に普通のプラケースに入った盤を卸すなど、特別な盤の商いも行っていたり。

現在、レンタル用の卸代行企業は3社。

  • (株)グラモラックス
  • (株)MPD
  • テクタイト(株)

うちグラモラックスはゲオ・ホールディングスの子会社、MPDはCCCの子会社なので、もうそういう感じ。
テクタイトは様々な電子機器・電子部品の卸がメイン業務で、レンタルCDの卸は少なくとも現在はもう片手間もいいところ。

ということで、恐らく既に業界として「困る」ような時期はとうに過ぎ、ダメだったところは既に撤退済みで、残っているのは企業グループとしての判断一発でどうとでもなりそうなところのみでした。


CDを買うという行為は元々は「そこに収められた音源を聴くため」ですが、もはや現状ではその目的は縮小するところまで縮小し、別にあった「音源以外のCD付属品のため(DVD/アイドルなら特典券/K-POPならヨントンの抽選権等)」「ファングッズとして所有するため」がメインになっています。
一方CDレンタルをするという行為は「そこに収められた音源を聴くため」でしかないため、サブスクやYouTubeに取って代わられるのみ。

なので、CD販売は特に大手チェーンについては「CDを積む」ならわしがあるボーイズグループが隆盛である限りもう少し生き残る芽はあると思っていますが、CDレンタルについては正直何の芽も見当たらない。
正味、3月末までで終了と発表している店はVidawayのフランチャイジー以外にもけっこうありますので、4月になったらまたカウントしてみます。

というか、閉店をウォッチし始めた2010年頃には「あと10年もたないだろうよ」と思っていたので、正味よく頑張っている。

アダルト系女優の音楽活動のこと

おとといフライデーのアルバム、2016年からのシングルを集めたものではあるのですが、なかなか感慨深い。
制作に参加しているミュージシャンが、トリプルファイヤー、マキタスポーツ、柴田聡子、NATSUMEN、Enjoy Music Club、Have a Nice Day!、バクバクドキン、パソコン音楽クラブ。更に作詞にはマンガ家の大橋裕之と映画監督の今泉力哉。
滅茶苦茶なんですが、何となく筋が通っているようにも思えるこの人の並び。
普通に音楽として滅茶苦茶面白いので、お勧めです。

ここでふと、AV女優の音楽活動について考える。
たとえば非アダルトな歌手がその後アダルト映画に入ってきた事例としては五月みどりや畑中葉子。
逆にアダルト映画やAV出身で歌も歌い、その後非アダルトなタレント業に参入したのは美保純や可愛かずみ、飯島愛。
そこらへんのメジャーなところはわかるのですが、じゃあ最初って誰よ、というあたりが気になってきて。

ただそこらへん突っ込んでいくと「アダルトビデオに出演するAV女優」はまあ何とかわかるものの、こと映画に関しては何をもって「アダルト=成人映画」で何をもって「ポルノ女優」かを定義しないと先に進めなくなってしまって。

以下、数日調べた程度ですので抜けあると思いますし、そもそも「アダルト」「ポルノ」等の定義によって異なってくるものでもありますので、まあこんなもんか程度でよろしくお願いします。
一旦範囲としては「アダルト系女優さんがアダルト系映画/ビデオに出演している期間内に音源をリリースしている」事例に限ります。
1990年代のAV女優白石ひとみなんかはAV女優引退後、何故かノイズミュージック界隈でCDをリリースしていたりしますが、そういうのは抜き。


「成人映画」とは映倫でもって「18歳未満は鑑賞不可」と判断された映画ということで1954年頃からゾーニングが始められたそうなのですが、元々は普通に映画を作って審査の末にゾーニングされてしまう類のものでした。
それが1960年代後半から東映が「敢えて積極的に成人映画に指定される映画」を狙うようになって、そういう映画を「ポルノ映画」と称し始め、それを言ってみたらパクったのが「にっかつロマンポルノ」という流れのようです。

ですので「ポルノ映画」が始まるまでは、ヌードや濡れ場があってもそれを専門ではない女優さんがやっているので、じゃあどこに「普通の女優さん」との線を引くのかわからなくなったというかはっきりしなくなったので、とりあえず「東映のポルノ路線開始」を起点とします。

となると、東映が「ポルノ」を称し始めた際に「東映ポルノの看板スター」と紹介された池玲子が1971年にテイチクからアルバム「恍惚の世界」をリリースしたのが「初」となります。
それ以前、実質的にポルノ路線を始めたのは「二匹の牝犬」という作品だと言われていますので、それを込みにするとその主演で、今もゴリゴリで現役女優である緑魔子が1967年に東芝から出したシングル「女泣かせの雨」が創始ということに。

そんな感じでざっくり探った限りではこんな感じ。

  • 緑魔子(1967-1973・シングル6)
  • 池玲子(1971-1973・アルバム1シングル2)
  • 田中真理(1973・シングル1)
  • 小川節子(1973・シングル1)
  • 潤ますみ(1974-1975・シングル2)
  • 白川和子(1975・シングル1)
  • 伊佐山ひろ子(1977・シングル1)
  • 原悦子(1980-1981・アルバム1シングル2)
  • 寺島まゆみ(1981-1984・アルバム4シングル7)
  • 愛染恭子(1984・シングル1)

で、おとといフライデーのような、グループ/ユニット形態の最初を探ってみたところ、青木琴美、井上麻衣、小田かおるという、当時では割と有名どころの女優さんが「ピンクキャンディーズ」という大変に雑なグループ名で1985年にシングルをリリースしたのが最初っぽいのですが、ただその前にユニット名がないヤツがありました。

1975年に「ロマン・ポルノ エロスの甘い囁き おんな不貞寝の子守唄」という、当時のロマンポルノ界のスター総出の企画アルバムがリリースされたのですが、そこに収録されているのが「複数の女優による楽曲」の最初ではないかと思われます。

にっかつが1986年に出演女優を束ねた「ロマン子クラブ」というグループを結成していますが、これは映画のみでレコードのリリースはありませんでした。
会員番号1番に「そっくりさん」女優の新田恵美を据えてみたり、なかなかアグレッシブではあったのですが。


一方アダルトビデオ。
こちらは少なくとも、女優さんをレコードリリースまで持っていけるのは概ね専業の会社のみということで考えられますので、割と始まりははっきりしています。
ただ、特にビデオ初期の1980年代は、「ポルノ映画」「アダルトビデオ」双方に出演されている女優さんも割と多くいますので、ここでは「ビデオでデビュー」というところで線を引きます。

となると、1980年代半ば、ある程度ビデオデッキが普及してレンタルビデオもチェーン展開を開始したことで「人気女優」が現れて、そんな女優さんがレコードもリリースするようになります。
探った限りの最初は、1984年にビクターからアルバム「ひとり寝のララバイ」をリリースした八神康子。
それ以降ざっくりこんな感じ。

  • 八神康子(1984・アルバム1)
  • 早見瞳(1986・シングル1)
  • 葉山レイコ(1986-1994・シングル6)
  • 早川愛美(1987・シングル1)
  • 秋元ともみ(1987・アルバム1シングル2)
  • 小林ひとみ(1987・シングル1)
  • 前原祐子(1988・シングル1)
  • かわいさとみ(1988-1989・アルバム2・シングル3)

グループ/ユニット型としては1986年、森田水絵・杉原光輪子・山口美和の3人の名前からユニット名を名付けた美光水LAKESが、センチュリーからシングル「Sunset Highway」をリリースしたのが最初っぽいです(翌1987年には杉原光輪子・森田水絵の2人組のLAKESとしてリリースあり)。

  • 美光水LAKES⇒LAKES(1986-1987・シングル2)
  • RaCCo組(1988-1989・ミニアルバム1シングル2)

今と比較すると、まだこの時期はグループとしてのデビューは少なめ。
「ギルガメッシュないと」のように、普通にテレビタレントとしてバラエティ番組に出演するようになったことと何か関係あるのでしょうか。
その「ギルガメッシュないと」では、番組内でのユニット結成はありましたが、CDデビューに至ったグループは、グラビアアイドルによるグループだけだったようです。

なので、AV女優と音楽活動が圧倒的に「近く」なったきっかけはやはり「恵比寿マスカッツ」ということで。
メンバーが流動的でしたので、他とは比較しにくいのですが、非アダルト業界でのアイドルの動きとこちらも連動していると考えていいでしょう。
1990年代にデビューした人が少なめなのは、やはり非アダルト業界でも「アイドル」の衰退期だったからと考えると、割と合点がいきます。

今もアイドル活動をしているAV女優はいるというか、去年末には「Mi LUNA」というグループがデビューしていたり、この流れはずっと続いていくのだと思いますが、AV女優はそれとしての活動期間が長くないことが多いので、2人組でメンバーチェンジなしで双方引退することなく10年間も活動を継続したおとといフライデーは、史上唯一無二のモンスターグループと言えるでしょう。
いや、結局それが言いたかったの。

映画「STOP MAKING SENSE」4Kレストア版のこと

さっき観てきた。

DVDも買って何度か見ているブツではあるのですが、4K画質になったということもありますし、せっかくなので映画館のデカい画面とよい音響で体験したいと思いまして。
そして更にせっかくなので、その恩恵を最高に受けられるIMAX上映を狙って新宿歌舞伎町のTOHOシネマへ。

IMAX上映は1日1回のみ。19:00上映開始ですので、もうライブを観に行く感覚ですが、まさにそういう感じのおっさんをメインターゲットにこの時間帯に設定したのではないかと。
客入りはそれでもド平日なので3割程度か。

4Kとはいっても元はフィルムですので、デヴィッド・バーンの毛穴までくっきりとかそういうのではなく、フィルム画質であることには変わりなく、「すげえ画質!」という驚きはあまりなく。
むしろ大画面だからこそ気が付くこまごまが楽しい。

TOMTOM CLUBのパートでパーカッションの人が木魚っぽい楽器を叩いているのが映るのですが、今回大きな画面ではっきり見えたため、「木魚っぽい楽器」ではなくまさに「木魚」であることがわかったり。
そのTOMTOM CLUBのパートでのティナがすごくキュートなことはわかっていましたが、今回改めて大画面で観て、最初っから最後までずっとキュートだったことを思い知ったり。

あと、デヴィッド・バーンの直近のパフォーマンス映像といえば「アメリカン・ユートピア」ですが、そこではガチガチに作り込まれたステージが徐々に剥き出しになっていく流れで、これは「STOP MAKING SENSE」が、何もないステージでギターとラジカセのみから徐々にライブのステージとして出来上がっていく流れとは真逆で、このふたつの作品はそういう意味で「対」になっているのではないかと、改めて思ったり。

とにかくあの素晴らしい演奏・パフォーマンスが馬鹿でかい画面と素晴らしい音響で体験できるのですから、こりゃアリですよ。
で、こういう場合ストーリーを追うような映画とではなくライブとの比較になりますから、結果としてヘボかったライブで4000円+ドリンク代とかなら、このパフォーマンスをこの迫力で観られてIMAX特別料金2700円ならもう全然OKです。パンフレット(880円)も買うしビール(800円)も飲んじゃいます。

唯一問題かなと思ったのは、IMAXはいろんなチャンネルに振って音が聞こえるわけですが、演奏後のオーディエンスの拍手や歓声が他の音とは全く違うチャンネルで鳴らしているため、何か取って付けたような、テレビのコント番組の笑い声のような感じで聞こえてきたくらいか。
あれ、もうちょっと馴染ませてほしかった。

それでも大満足です。
あとは、デヴィッド・バーンの映像作品といえば「TRUE STORIES」、あれも再上映してほしい。
リアルタイムで名古屋まで出掛けていって観たはずなのですが、正直何も覚えていない。

TSUTAYA公式サイトの店舗検索のこと

どこのレコード屋がオープンしたとか、どこのレンタル店が閉店したとかを嬉々として調べている人間ですので、 TSUTAYA公式の店舗検索機能も通常の人間の20倍くらい使用しています。
で、2年前くらい前だったか、その店舗検索機能が大きくリニューアルされたのですが。
それが割とおかしなことになってしまっていて。

  • 都道府県まで入力しないと検索ボタンを押せなくなった
  • 最初に指定できるのはその都道府県や市町村の地域だけで、「コミックレンタル店舗」「CD販売店舗」等、地域以外のオプション検索は、地域だけで検索して結果表示させた後に改めて指定しないといけなくなった
  • Google等の検索で、例えば「TSUTAYA 池袋」と検索しても、「TSUTAYA 池袋ロサ店」等の個別店舗ページが検索結果に引っかからないようになった

という状況で、自分としては「改悪」に近い状況でして非常に憤っていたのですが、通常の20倍である自分がそもそも異常だと思い我慢していました。
しかも本来の用途とは違う使い方ですし。
それが、ここんとこまた少しずつ修正が起こなわれています。

  1. 個別店舗ページがGoogle等の検索の際に出るようになった
  2. 政令指定都市は元々「区」まで指定しなければいけなかったのが「市」までになった

1)については、これはあちこちから「何で出ないんだ」と怒られたのではないかと予想します。
そもそも何で検索に引っかからないように細工したのかという点で考えると、とにかく結果を見るためにはTSUTAYAポータルを経由する必要があるという形にして、トップ含めたPV全体を伸ばしたいという意図というか、数値優先でトップダウンでそういう話になったのではないか、という気もしなくはないです。
が、そのために利便性が相当に犠牲になっているわけで、普通に考えればそりゃ怒られます。

2)については先日もお伝えしたようにガンガンTSUTAYAは店舗数が減っていますので、そうしないとかなり悲惨なことになるわけで。
修正しないままの状態だった場合、たとえば神戸市内にあるTSUTAYAを探そうとした人が地域で絞り込もうとすると、店舗を表示する前に実際の区の数は9区あるのに「神戸市垂水区」「神戸市西区」しか検索候補に出てこず、かつその下には1店舗ずつしかないという地獄です。

これはもう店舗数の減によって「不便」&「みっともない」状態になってしまったことの是正ということと考えてよいと思います。

正直、今後これ以上の改善が図られるかどうか考えた場合、さらに今後母数が減っていく中でその検索にお金をかけるか、ということを思えば期待薄なので、これからもこの微妙に使いにくい検索機能を使い倒していく所存です。

というか、もう東北には岩手県と福島県、東海には愛知県しか店舗が残っておらず、東京都や神奈川県には1店舗ずつしかないのに、まだ全国チェーンとして頑張っている感を微妙に出そうとしてマップを更新しないWondeGOOの店舗検索よりは、まだ大丈夫です。