09年漫画ランキングを混ぜっ返す その2

つづきー。本日にて冬休み終了の嘆きと恐怖をぶつけて書き殴ります。

北村游児美少女いんぱら! 2』JumpComicsDX
美少女いんぱら! 2 (ジャンプコミックスデラックス)

美少女いんぱら! 2 (ジャンプコミックスデラックス)

地獄と狂気の薫り高い萌え4コマ漫画。
武装やくざ集団も笑顔で殲滅する黒髪眼鏡地味系主人公とその仲間たち(悪事に長けた天才型美少女でもオヤジフェチ、麗人系人格者でもヤリマン男運ゼロ、幼女の容姿の酒乱淫乱バツイチ子持ちクソビッチ、ドM調教志願の令嬢など)に360度囲まれたごく普通の高校教師弾間先生の日常。

4コマのギャグとしては普通、絵柄も地味なんだけど、凡百の萌え4コマの追随を許さない商業誌の枠を超えた変態特盛り度合いが素通りを許してくれないのです。さすが徳弘正也作品を10年掲載して一歩も退かないスーパージャンプであるよ。コミックスでまとめて読むとクラクラしてきます。

沙村広明『シスタージェネレーター』アフタヌーンKC
シスタージェネレーター 沙村広明短編集 (アフタヌーンKC)

シスタージェネレーター 沙村広明短編集 (アフタヌーンKC)

沙村広明お試し短編集、かと最初思ったんだけどそうでもないよな。
小ネタ、サド感過積載のシリアス、手の込んだ構成と、日ごろ『無限の住人』で消化不良な沙村ファンには、かゆい所に手が届くすてきな短編集な気がしてきた。基本沙村広明の作劇法って読み手が心地よい進行を意図的に裏切る作りだと思ってんだけど、久誓院、ブリギット、エメラルドと方向性違うようでその読み心地の悪さは共通ってのが俯瞰で観れる短編集で、非常に興味深く読みました。制服は脱げないの完全収録も嬉しい。

久正人『ジャバウォッキー 7』マガジンZコミックス
ジャバウォッキー(7) <完> (マガジンZKC)

ジャバウォッキー(7) <完> (マガジンZKC)

ジャバ完結は結構ちゃんとニュースになってもいいと思うんだけどね。3巻ラストみたいな前科もあるのでまだ完全に終わったとも思ってないけど。作者曰く癖の強い絵柄がネックになってるそうで、原作やりませんか?みたい話も来ている模様。ひどい話だがリアリティありすぎで困る。
先日ジャンプSQで読み切り掲載があったんだけど、お姉さんと子供のコンビが特殊能力で怪事件を解決って実に模範的な現在のジャンプ漫画プロットなのに、すごい不穏な雰囲気の漫画で不思議でした。そこにしびれるあこがれるというわけだ。

舞台は19世紀の英国。主人公は英国諜報部の少女スパイ、相棒のガンマンは二足歩行の恐竜人間。歴史の裏には進化して独自の文化を築き、人類に影響を与え続けた恐竜の文化があった、という設定。主人公たちの上司はモンテ・クリスト伯爵、護衛対象はシュリーマンだったりエジソンだったり。近江屋事件から逃げ切った坂本竜馬だっているぜ。19世紀後半当時の架空、実在の人物入り乱れるスパイアクション。
絵のクセさえクリアすればこんだけ面白い漫画もないと思うので、完結を一区切りにみんな買って読むといいと思います。

本日はここまで。あと4冊。
明日ちゃんと出社できるかなあ。

 09年漫画ランキングを混ぜっ返す その1

もうこのマンガがすごいとか出揃っていると思いますが、当然今年大変面白かった『少女ファイト』とか『弱虫ペダル』とか『となりの怪物くん』とか『宇宙兄弟』とか『惑星のさみだれ』とかはそういうところでいっぱい触れられてると思うんですよね。ザワさんとかハチワンとか。でもさみだれはどうだろうね。ちゃんと確認してないからあれなんですけど。

で、ここは生粋のへそ曲がり、あんまり触れてなさそうな良作について書きたくなっちゃったのです。気力が続くまで書いてみます。まずは今日の分。10冊チョイスしましたが順位は大体です。10番目から始めますが大体です。

平野耕太『以下略』ソフトバンククリエイティブ
以下略

以下略

ランキング出てそうだけどこれだけは入れたかったダメ人間のダメ略によるダryのためのカルナバル。
本筋の連載と基地外日記がリャンメンちゃんと安定して続いてるだけで奇跡なのね。
だからもっと大事にしてください。富樫くらい大事にしてください。
以上。

SABE『さべちん』ワニマガジン
さべちん (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

さべちん (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

追悼ってだけじゃないんだ。
ビューティフルマネーの再録8割なのが大変不満である。ビュー略の単行本をお持ちの方は検討の上購入してください。
奇跡の子育て日記「ゆらさん」収録ってだけで連載時コンビニでゆらさんだけ立ち読みしてたおいらには祭りなんだけど、こんな形で読みたくなんていっこもなかったんだ。さみしいよSABEさん。

株式会社アトラス FLIPFLOP『世界樹の迷宮2〜六花の少女〜 下』REXCOMICS
世界樹の迷宮II ~六花の少女~ 下巻 (IDコミックス REXコミックス)

世界樹の迷宮II ~六花の少女~ 下巻 (IDコミックス REXコミックス)

地獄のRPGコミカライズ。ゲームの設定を余すところなく使いこなしつつの重厚なドラマ、それでいて世界樹のアナザーストーリーとして完璧に成立してる。ゲームのコミカライズとしてクオリティ高すぎで、ゲームからコミックの人にもコミックからゲームの人にも安心。
大抵の世界樹プレーヤーは、ストイックなゲームを脳内補完しながらプレイしてると思うんだが、その補完部分にダイレクトに訴えてくるような構成が神。

本日はここまで。冬休みが終わるまでに駆け抜けたいです。いやまじで。

志村志保子『ミシンとナイフ』

出張先の古本屋にて発見。これで現存する単行本コンプリートでおれ大喜びなのだけれど、この喜び、誰とも共有できないので非常に残念です。
で、一応本当にそろったかどうかさらってみた過程で(揃っていた)、志村さんが1970年生まれだというのを知って、いろいろ納得。
『ミシン〜』はかなり落ち着いた作風ながら手加減なしの志村節で、例えば「己の無邪気さが人を傷つけていたことを知ってしまう」とか「発生してはいけない恋が静かに封じられる」とか「恋心が罪の意識を乗り越える瞬間」のような脆い儚いテーマに重ねられる取るに足らない刹那の惜しげもなさときたら、さすが初期短編集とばかりの全開ぶり。『女の子の食卓』ではかなり抑えられていたのだな。

現在の作風に比するとあこぎに感じてしまうくらい、肝になっているコマがうつくしいのです。まいりました。

わかり易い大きな声なんて、別に聞きたくはないのです。

ゾンアマ様でマーガレット時代の2冊がプレミア中。売れたら再販するかもしれないし、とりあえずみんなたくさん『女の子の食卓』を買うといいと思います。

ミシンとナイフ (マーガレットコミックス)

ミシンとナイフ (マーガレットコミックス)

ブザー、シグナルゴーホーム (マーガレットコミックス)

ブザー、シグナルゴーホーム (マーガレットコミックス)