マイベストエピソード10選

マイベストエピソードとは?


「作品としてはベストに選ばないけど好きな話数」をコンセプトに、アニメ作品の好きな話数を選出し紹介する企画です。

※ コンセプトは強制ではありませんので気楽に考えてください



● マイベストエピソードのルール


・ 劇場版を除くすべてのアニメ作品の中から選出(配信系・OVA・18禁など)

・ 選ぶ話数は5〜10個(最低5個、上限10個)

・ 1作品につき1話だけ

・ 順位はつけない


・ 自身のブログで更新OK(あとでこのブログにコピペさせていただきます)


・ 画像の有無は問わない


・ 締め切りは8月末まで


マイベストエピソード企画はじめました - 物理的領域の因果的閉包性
http://unmake.blog133.fc2.com/blog-entry-406.html?sp

お久しぶりです。ぎけんさん主催のこちらの企画記事に参加させていただきました。
一応、普段自分がよく話しているものはそれとなく避けてみたつもりです。
それではどうぞ

※トリミングがアバウトなので見づらいかもしれません


D.C.II S.S.ダ・カーポII セカンドシーズン〜 12話 『記憶の淵』

脚本あみやまさはる /コンテ演出 及川啓作画監督 鈴木豪・緒方浩美 /総作画監督 島沢ノリコ 枡田邦彰

『どこに行くかじゃなくて、誰といるかが大事なんですよ』と語り、残された主人公・義之との時間をこれまでの分を取り戻す勢いで過ごそうとする朝倉由夢
そしてその対比として、義之と共に過ごしたい気持ちを抑えてでも彼が消えないように全力で方法を探す朝倉音姫
デートも佳境というのに音姫のところに行ってあげてと義之を送り出す由夢のデキた人間ぶり、また、堀江由衣さんの切ない演技にも感嘆するが、
義之の残りの時間は夜の訪れまで、というところは風景描写にも現れており、夕焼けの方に向かって走る義之からそれを見て取れる。
この挿話では曇り空→束の間の晴れ→夕暮れ→夜空、という移り変わりが時間経過を意識的に引き出すよう働いており、没入感が高い。
最後、義之が消えるシーンでの音姫の演技(ここは当然、音姫の所作や泣き顔と高垣彩陽さんの名演をともに指す)は
この作品をこのために見たとしてもけして費やした時間を無駄と感じさせないパワーがある。一つの山場が作品全体を引き上げる好例。
作画面においてもfeel影が随所に見られ、相当な修正が入っている。もともと島沢キャラデザが大好きなので、嬉しいサプライズであった。


ベン・トー 4話 『豚肉生姜焼き弁当 852kcal』

脚本 山田由香 /コンテ津田尚克/演出 津田尚克・坂垣伸/作画監督 かどともあき

著莪あやめ、主人公・佐藤のいとことして唐突に現れる彼女による番組ジャック。opが専用の映像に専用の曲。
加藤英美里さんのくせになる歌声とかマラカス振ってる槍水先輩とか、見どころたくさん。本編そのものは自宅でゲームデート(?)から始まりなんとも言えぬ生々しさがある。
セガゲーの画面はそれとともに育ってきた世代には生々しさプラスオン間違いなしである。
そういった視聴者との距離感の近さと裏腹にメガネに映る彼女の拡大された図像は嘘っぽいんだけども、存在感を主張する演出として大いにアリ。
(本作の変わった演出はほかの回でもどん兵衛の中から覗いたカメラなどでしばしば見られる。)

ひとつのヒロインにフォーカスした挿話ではあるが、作品でも1、2を争うアクションシーンや、他のヒロインの拾い上げ方などは
他のこうした挿話の見られるアニメと比べても『無くてはならない話数』として機能している点が非常に面白い。
もっとも、そんな作品の歯車として現れた著莪あやめの可愛さを目に焼き付けるのがこの挿話を楽しむ上で最も大事であると思う。

完全に余談ですが、コンテ演出の津田さんはプラネタリアンがすごくいいですね。ステマしますw



フルメタルパニックふもっふ 7話 『やりすぎのウォークライ』

脚本 志茂文彦 /コンテ 演出 三好一郎/作画監督 多田文男

フルメタふもっふは他にも面白い回がいくつもありますが、AパートBパートが全く別の内容となっている回も多く、30分1本として見た時にはこの回が最も印象深い。
冒頭、千鳥かなめはスポコンをさして『見どころのあるヤツが頑張るのがいい』と評していたが、後半15分は相良宗介によってそのロジックからは大きく逸脱したスパルタ訓練が行われる。
見どころがあるかどうかではなく、一方的に戦士として屈強に育て上げられる姿は見ているだけで涙と爆笑を誘う。
前半15分で、小さな蜘蛛に怯えていた浦沢漫画風の心優しそうなデザインのラグビー部キャラがどんどん死んだ目になっていく様は教育の素晴らしさを実感させるが
まあよくもまあフルメタルジャケットネタで30分やりきったなというところにまず感心すべきだろうか
また、こうした挿話持った作品が今後京アニにオーダーされることはないんじゃないだろうかという不要な不安を覚えている。1回見たら忘れない回としてはこれほどまでにこの企画向きのものはないだろう。

本筋とは全然関係ないが、セーラー服に身を包んだ千鳥かなめの可愛さはちょっとしたすごさ。会長分かってると言わざるを得ないだろう。

あと、京アニ最近はあまり魚眼レンズパース使わなくなったなーと少し寂しかった




エイリアン9 1話『第9小学校エイリアン対策係』


脚本 村井さだゆき /コンテ 藤本ジ朗・入江泰浩/演出 藤本ジ朗/作画監督 入江泰浩・岩倉和憲

奇怪な設定を持った作品はこの豊作の時代山ほどあるが、キャラと映像ともに、その不安感にコミットしているものはないだろう。
校庭に墜落したエイリアンの大きな影や、ボウグを与えられる部屋での柱の影など、キャラの影を描かない分
光源と風景から切り取られた影はふんだんに盛り込まれており、上述の不安感を作り出している。
この度再見して気がついたことがあるが、主人公の名前がすごく沢山呼ばれているアニメである。
冒頭から委員選定の投票シーンで『大谷さん』『大谷さん』『大谷さん』・・・。
名前を呼ばれ続けるというのは一種のプレッシャーとして作用していると思われる(少なくとも自分は再見時にちょっと胃がキリリとした。)
それ以降も何度も呼ばれ続けることで大谷さんを追い詰めていく。助けてと言って拒絶され、自己防衛でエイリアン殺して怒られて・・・大谷さんの苦労が見て取れる。
実は以降の回も名前が連続で呼ばれるシーンがいくつかあるが今回は割愛。4話もいいぞと一応お伝えしておく義務はあるけれど。
また、アクションシーンのレイアウトは真正面から撮り続けることを良しとせず、常にアオリ・俯瞰を意識したものになっている。
30分間見ごたえのある映像が続き、映像から目を離すことが出来ない。高級感のあるアニメと言われると自分はこのアニメや『To heart(OVA)』などが思い出される。




ひぐらしのなく頃に 17話 『目明し編 其の弐 ケジメ』

脚本 中瀬理香 /コンテ 寺東克己/演出 吉田俊司/作画監督 高橋敦子

大きくわけて言いたい事はたった二つ
雪野五月は最高』
『爪剥がし器具が本気で怖い』
ひぐらしのなく頃にに、自体が村社会の恐ろしい部分を大きく描き出した作品であるのは周知の事実かとは思うが、映像も会話劇もそれを凝縮している。
初めて見た時は件の爪剥がし器具のシーンで思わずテレビを消したほどの印象深い回。今回も全部見切ることが出来ませんでした。本当に怖い。




女子高生 -GIRL'S-HIGH 2話 『身体検査は乙女の恥じらいの薫り。』

脚本 伊藤美智子 /コンテ 福田きよむ/演出 耶馬たかし/作画監督 石井繁

原作愛好者としてどこまでやるんだろうと思ったら『全部やった上でさらにプラス』してくるのがアニメ女子高生のヤバイところだと思うが、
この回はそもそも原作を読んだ時に大変インパクトが大きい回だったので期待値は高かった。
姫路の脱処女暴露とキスマークに、女性の常識なれど男性がそれを知る必要があるのか、というトイレのシーンなど、なんというか全体的に酷いのだけれど、
アニメーションとして声が乗っかることでそのインパクトはさらに大きくなっていく。名演かどうかは置いておいて、アニメーションにおける声の重要性を再認識した。
この作品も4話とどっちを上げるべきか迷ったが、女子高生らしさで選ぶならこの2話で間違いなかったと思っている。



ましろ色シンフォニー 7話 『たそがれ色のブランコ』

脚本 浦畑達彦/コンテウシロシンジ/演出 荒井省吾/作画監督 服部憲知・坂本千代子・小林雅美・古賀誠・藤森由奈/総作画監督 川村敏江

ウシロシンジによる美少女アニメのコンテ。これだけで個人的な評価基軸としては十分かと思うが、例のブランコや負け犬公園などの
当時のクール全体を引っ張るほどのエポックメーキングな概念が飛び出した回でもある。愛理と紗凪の微妙な駆け引きは見ていて複雑な気分になる部分でもある。
複数人のキャラの配置という部分でウシロシンジのコンテはやはり冴え渡り、大変見やすい挿話となっている。




戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー 37話 『令嬢より愛をこめて』

脚本 デイビッド・ワイズ

トランスフォーマーの持ち味はよく、キレすぎたキャラから産まれる笑いにあると言われることがあるが
やけに完成度が高かったり、示唆的オチを提示してくる回があったりするところに真の魅力があると思っている。
37話はパワーグライドというトランスフォーマーにトンチキな大企業令嬢が恋をするというロボットと人間による恋愛絡みの回なのだが
この令嬢がツッコミどころ満載で、自分の誕生日パーティなのに笑顔の人間がいない!と言って怒鳴り散らしたあとに周囲にたしなめられたと来ると
『私の誕生日パーティなんだから私がどうしようと勝手でしょ!』と何故かもう1度キレ返すという変人具合。
また技術者として致命的な機械との相性の悪さからあのメガトロンをも翻弄することになる。
『いいか、これを受ければお前は廃人になるんだぞ』というメガトロンの慈悲に対して高笑いしながら装置を壊す姿にはなんとも言えない気持ちになる。
この令嬢と、それに尽くすパワーグライドはお互いを『手が掛かる可愛いパートナー』として認識しており、30分を通して徐々に関係性が構築されていくところが面白い。
脚本が外国のものということもあって、純粋な日本製アニメにはない独特な距離感がある。

トランスフォーマーには魂となるスパークがある。つまりロボット生命体だから感情はあるわけなのだ。
パワーグライドの胸部パネルにハートが浮かぶ演出はベタだが、トランスフォーマーという作品の魂の部分にまた恋愛感情というものもあるのだということを示す上で重要な回だとも言える。
本作の受け皿の大きさが垣間見える。




新世紀エヴァンゲリオン 9話 『瞬間、心重ねて』

脚本 薩川昭夫 庵野秀明 /コンテ 樋口真嗣/演出 水島精二作画監督 長谷川慎也

アスカがメインで絡む回はどれも好きなのだが、僕はこのあたりのエヴァの雰囲気がすごく好きで、それはもう新劇場版などではほとんど失われてしまった要素だと思う。
例えば、冒頭にアスカがレイに喧嘩を売りに行くこのシーンだったり。
鍵のない部屋は日本人の察しと思いやりの表れ、つまり怒って部屋を出たアスカが強く戸を閉めてその強さで半開きになるのはアスカの心の壁が少し開いたことを意味しているところだ。
また、決戦前日の夜半にアスカがシンジの横で眠ろうとするのはこれもまた、自然な演出である。
こんなまっとうにラブコメしてて、どうしてあんなことになったんでしょうねぇ・・・。結局、シンクロ攻撃の説得力の有無はこうした展開の上手さにさらさらと流されるのである。

また、スパロボでは合体攻撃扱いで以降何度も使い回されたりするわけですがそれはまた別の話。

それにしてもスタッフ豪華だなあ。



SHUFFLE! 7話 『恋愛スクランブル』

脚本 鈴木雅嗣/絵コンテ 演出 作画監督 後藤圭二

細田直人監督回を中心とし、あおきえい回など粒ぞろいなSHUFFLE!ですが、この亜沙先輩の回は行き届いた後藤圭二回といって差し支えないかと。
後半の展開は波乱万丈ですが、ここまでの各キャラ紹介の回がわりと時間をかけてやったからこその成功であり
特にこの回は亜沙先輩が自身の気持ちを認めていくところを描いているので、他のヒロインとはけっこう毛色が違う回になっていていいアクセントだったかと。
そもそもそれ以前にやっぱり先輩キャラはいいよな。

『僕の場合、好きとか嫌いじゃないんだよなあ。』
『もう少し今のまんま、みんなでバカやってたいんだよね。』
このへんのセリフ、ハーレムもののアニメのヒロインとしてはなかなかメタでいいセリフではないだろうか。
この回の亜沙先輩は前髪の解釈がほかの回と全然違うのがカッコイイ。ほかもみんな唇の書き方が立体的で可愛い。



こんな感じで以上です。特に共通項は見いだせなかったものの、やはり絵的な満足度が作品評価に大きく寄与していると思われることがわかって良かったかなと。
他の参加者様の話数を楽しみにしたいと思います。

【アニメ】話数単位で選ぶアニメえびてん10話選

皆様お久しぶりです。気が向いた時にだけ現れる磯貝です。

まずはこの10話選を行う前に、えびてん公式サイトの消滅があったことをお知らせしておきます。サイト消滅の悲しみはtwitterで言い尽くしたうえにここでも語るとしつこいと思うので省きますが、公式サイトのあらすじ説明とキャプチャは資料的価値もあり、この記事にも引用を検討していただけにショックです。ただ、1年越しにこの10話選に踏み切らせた一つのきっかけであることを考えると因果なものであるな、と少し不思議な気持ちにもなります。


では早速、10話選の選定基準を発表します。

1.本放送版えびてん本編(全10話)の中からランキング形式で選定
2.作品性質上EDが毎回異なるためその点も評価基準に入れる場合があります。
3.本人の感じた主観のみでほぼ構成されています。

といったところです。10話しかないのでランキング外はありません。
OVAもございますが特殊な作品でありますので今回のランキングからは外しております。視聴難度も高いので。



では発表していきます。



10位
第七話【ビバ天】
脚本:柿原優子
絵コンテ:岡本英樹
演出:清水一伸
総作画監督:渡辺敦子
作画監督:宮田留美・Heo Gi Dong

本作のうち唯一星が関係ないけいおん!のパロディ回である。と同時にイカ天という実在の番組の名前も意識している。覚醒野矢登場の重要な回であるが、あえて野矢と金森を引き合わせたり金平糖(抑制剤)を予め飲んだりと戸田山の周到さが光る。一周目を終えてから見ると発見が多い。「えびてんはエロゲでもラノベでもない」の名メタゼリフを生み出したり、大森先生が郵便受けに弁当食わせる衝撃の光景を見せられたりなど、ネタ的にも豊富。


9位
第八話【天悶スペシャル 果てしなきフェロモン】
脚本:山口宏
絵コンテ:木村真一郎
演出:木村真一郎
総作画監督:松本昌子
作画監督:樋口博美

MMRパロディということもあって続く9話とともにネタばらしを数多く含む。また、すかぢ氏が原作のPCゲーム『素晴らしき日々 不連続存在』を知っていると支配者フェロモンにはニヤリとできるようになっている。というよりこのアニメえびてん自体が素晴らしき日々…もとい『終ノ空』に対しての一つのアンサーでもある。原作者ほぼノータッチでこの仕上がりとは全編通してホンの出来にはただ恐れ入るばかりだ。戸田山響子のパンツが唯一見える回としては非常に貴重。



8位
第六話【ホシを狙え!愛を夢見る少女】
脚本:山口宏
絵コンテ:今泉賢一
演出:清高島大輔
総作画監督:サトウミチオ・山川宏治渡辺敦子
作画監督:飯飼一幸

伊勢田会長と大庭副部長によるサブストーリー的な挿話でありながら、ラストへの重要な伏線を含んでいることもあり見所は多い。いわゆるちょっといい話である。シャイダーのパロディは世代ではないので不明ですがたぶん再現度高いです。


7位
第五話【ここが奇跡の天悶部!メイドが舞い降りた!】
脚本:柿原優子
絵コンテ:殿勝秀樹
演出:阿部雅司
総作画監督:谷拓也・渡辺敦子・松本昌子
作画監督:谷拓也・松本昌子・横田拓己・古川英樹

北斗の拳パロディということもあり血筋と兄弟の戦いに主眼を置いた回。大きな進展はないものの野矢と泉子がようやく元の(?)関係に戻る。主従関係にありながら力関係は真逆の2人、その秘密とは。レイズナーパロのあとにやるのがなんともニクいと思いますw


6位
第三話【金平糖より愛をこめて】
脚本:柿原優子
絵コンテ:木村真一郎
演出:木村真一郎
総作画監督:渡辺敦子・松本昌子
作画監督:樋口博美

舞台を彩る役者がほぼ揃う回。謎の学校裏遊園地も登場。ウルトラマンパロディということで大道具も派手である。過去の響子は望んでマッドサイエンティストを演じざるをえなかった。そのことには理由があるのがだが…。天悶の外敵としての泉子の存在は、普通のゆるいアニメとは一線を画す点であるので、彼女が現れたこの回から作品の雰囲気が確立されている。それにしても泉子はやく野矢に気づけw


5位
第四話【刻印2012】
脚本:柿原優子
絵コンテ:岡本英樹
演出:中山敦史
総作画監督:サトウミチオ・山川宏治渡辺敦子
作画監督:鈴木美音織

「君の血の半分は戸田山の血だ」
「さっさと適当な人間を連れてきて犯人を仕立てあげちまおう」
ここでもやはり、血筋と役割、なのである。役割を求める天悶部には格好の題材がこの回の事件。レイズナーのパロディが非常にインパクトが強いが、各キャラの動きからスタンスが良く見えてくるのでえびてん本編としても評価されるべき回である。この方向性をもう少し伸長させたのがノベル作品の「えびてん綺譚奇譚」なのでご興味があればそちらも一読いただきたい。



4位
第二話【泣き虫はかたの華麗なる変身】
脚本:柿原優子
絵コンテ:高橋享
演出:仁昌寺義人
総作画監督:渡辺敦子
作画監督:山本周平・横田拓己

演劇のモチーフはセーラームーン、行われることは役割の認識と確定。また最重要ワードの呼び声も高い[ホクレアの導き]が登場する回。「どんな星にも意味がある。金森が天悶々部にいることにもちゃんとした意味がある」これは本作を表す上で非常に端的なワードである。作画面で最も人物の芝居が細かい回でもある。にしても最終回で文化祭をクリスマス時期に行ったり、この回でも無意味にサンタコスプレをさせられたり何かとクリスマスに縁のあるアニメである。


3位
第一話【よみがえれ!天悶伝説】
脚本:柿原優子
絵コンテ:岡本英樹
演出:岡本英樹
総作画監督:渡辺敦子
作画監督:谷拓也

我々はえびてんと出会った。それは星の導きである。これからこの演劇を行う上での演者たちの紹介であり、聖闘士星矢を模した劇を演じることで得られる二重性は物語の中でももっとも濃い本質性がある。このえびてんというアニメキャラが自覚的に演じ、演じることが自信をアニメキャラたらしめる二重倒錯をこの時点でものにしているという意味で、である。EDが「地球にI love you」なのは本作の最終作が「愛はブーメラン」であることに呼応している。(双方とも歌詞にI love youがある)



2位
第十話【ビューティフルドリーマーズ】
脚本:柿原優子
絵コンテ:岡本英樹
演出:中山敦史
総作画監督:山川宏治渡辺敦子
作画監督:鈴木美音織

コンパクトにまとまったアニメにはコンパクトな最終回が似合う。この回もうる星やつらのパロディ要素が大変話題になったが、その実本編要素を見事に集約しきっているともいえる。泉子と野矢の馴れ初めと、彼女らの行く末を見つめた戸田山による『永遠に続く日常の否定』がなされる。えびてんは演者の物語であるが、泉子と野矢の関係性は二人のあいだで成り立つ血筋やポジションの問題を超越したもので、演者たちによる10話分の『茶番』をやはり否定する存在でもある。主従の逆転したメイドと主人。その関係性は彼女ら固有のものでありそれを築いたのは本当の相互理解である。そのことに戸田山は気付いたのである。部分否定された茶番へのフォローアップは番外編OVAで保管されることとなる。


1位
第九話【天悶部大勝利!明日に向かってレディーゴー!】
脚本:柿原優子
絵コンテ:ら高橋享
演出:清水一伸
総作画監督:渡辺敦子
作画監督:宮田留美・Heo Gi Dong

物語の一応の大きな節目。前回より続いたドラゴンボールパロディによる雑な伊勢田会長の死、最後の変身、そしてバラ園の老婆の正体、エイジの乱入と彼の正体。バラバラのはずの要素がひとつとなるところは圧巻。演者たちはそれぞれの役割に徹し、この場に役割のない覚醒野矢はその姿を消す。何と言っても、ドラゴンボールパロと畳み掛けるギャグの相性が良い。いろいろテーマはあるが基本楽しいのがえびてん。そんならしさがよく出た回です。
「B級作品でも、努力すればエリート作品を超えられるかもよ?」
そう、全ては自覚のうえで。





いかがでしたでしょうか。ここでは書ききれない内容や、紹介にキャプ画を要するものは省いております。実質えびてん紹介記事ですが、この作品の良さを知ってもらうのに、今やアニメブロガー界隈ではお約束となった年末の十話選に便乗するのが一番かな、と思いました。記事の完成度より『このアニメを見て欲しい』という気持ちが伝われば幸いです。ここはホクレアに騙されたと思って、年末年始の夜長にえびてん、いかがでしょうか??



※過去記事
http:// http://ponytailflower.blog97.fc2.com/blog-entry-21.html?sp

【アニメ】アニメクラスタ勢力図






さあ、貴方は何勢?

【アニメ】BS,CS,CATVはアニメ視聴の救世主足りうるのか?

先月の暮れ、年の瀬に我が住処にもBS・CSを導入し、今月からはAT-Xも契約した。

契機らしい契機は無いのだが、アニメ視聴に本気度が足りてないというのは常日頃の己の発言から見ても明確だったので、締りを出すためにもこれは必要な事案だと感じていたし、実際CATVを安くひける環境にもあったので、これはやるしかないだろうと思い、ケーブルを何本も繋いでごちゃごちゃとした機器を取り付け、視聴に臨むこととなった。

しかしここで問題が生じた。


「何時にどんなアニメやってんだ??」



1.地上波人間の苦悩



地上波のアニメに慣らされていると、大体何曜日のどの時間にまとまって何本のアニメがあるか把握できるものだが、アニマックスやキッズステーション、AT−Xといったチャンネルは日がな一日、新旧問わずさまざまなアニメが放映されている。
これでは、ゆるふわアニメ視聴に暗雲が立ち込める。1日2話分放送したりされると、余計に何がなんだかわからなくなる。これでは混乱の一途だ。
おまけに、現行のトルネのみでは録画もままならない。早急にナスネを購入する必要が出てきた。ううむ、参る。

このカオスを生む要因としては4クールアニメや1クールアニメなどの長さの違うアニメが大きな区切りや改変期でもないときにいきなり入れ替わったりする忙しさにあるのではないか、という推論から導き出した結論は【この時間間隔を養うには慣れしかない】というところであった。


2.BS.CSは気休めでしかないのか?


先日某氏から「アニメは暇つぶしやストレス発散なので根をつめすぎないほうがいい」というアドバイスを頂いた。
見たいときに見る。見ないときは見ない、という使い分け。これが本当に下手糞なのが私である。

ぼんやり見て映像体験を楽しむやり方としてはこのアニマックスやキッズステーションAT-Xは非常に有用である。地上波では絶対にアニメを放映しない真昼間でも放映しているため、映像を見ている時間に穴が生まれにくくなるからだ。
ただ、1.での記述どおり、何時何が放映されているかあいまいな状態で飛ばし飛ばしの視聴になると、物語の連続性が失われてしまう。興味の掘り起こしや、それこそ暇つぶしとしては有用だが、これでは当初の目的からさらに逸脱する自体を招きかねない。私は身をよじるほど本気でアニメを見たいのである。それはモチベーションとは別のところで蠢いていて、その強弱を加味せずともけして交わらないものである。

では、前述の時間間隔を完全に体得したとき、本当の意味で「アニメ充タイム」が訪れるのかどうか、というのはまた別の話である。そのときに自分が心を預けられるアニメに出会うことが必要となる。
その間口を広げるための一助として、やはり持っておいて損のない環境だなぁと、ひとまず自分を納得させた。


3.いとも簡単なAT-Xの契約

AT-Xの申し込みに必要なのはリモコンだけである。
カスタマーに電話する必要も、ネットで必要事項を打ち込む必要も無い。リモコンを使った操作がおよそ30秒で契約が終了した。これは画期的だ。スピーディかつ面倒さが無い。これはメリットのひとつとして勘定しておきたい。
すべてのサービスがこうならないものかと思うが、その気軽さゆえにこれは沼じみているなと恐れも抱くのである。

ところでAT-Xを見るメリットの一つに「おっぱい丸出し」があると思うのだが、まだそういった作品を視聴していないので、早急にヨスガノソラなんかの再放送をやっていただきたい。



4.まとめ。結局これらって必要?

結論から言って「アニマックスとBS11で事足りる」
AT-Xは完全に道楽の世界である。月に1890円支払ってまでアニメを見たいならそうしたらいい、というのがホンネ。
これを毎月支払うならば、旧作DVDをたんまり借りて2作品くらい見られてしまうのでそのほうが有益かもしれない。もちろん費用対効果の面で見るという前提付ではあるが。
それこそ今ならバンダイチャンネルの見放題なんかもあるので無理に契約することは無いかもしれない。それでもテレビでアニメを見たいと思ってしまう人間は、此処に毎月二枚の野口英世を投じて最新アニメ無修正を見ることができる特権を得られる。ある種の選民思想である。手っ取り早く「アニメ充タイム」の片鱗を体感するにはもってこいかもしれない。

ところで、9時ごろに倒れこむようにAT-Xをつけたときに見た「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」のOPが非常にすばらしかったです。こういうきっかけを生むのもAT-Xならではなのかもしれないですね。

【アニメ】2012年作品アニメOP10選

ヨルムンガンド 『Border Land』


地平線や水平線を臨むカットに立つココとヨナの視線は常に交わらない。(最初のタイトルカット前のところはもちろん、サビでもヨナが画面奥の水平線を眺めているカットの次に、ロケットが飛ぶのを背後に不気味な笑みを浮かべるココの姿がある。)
けして動きが派手なわけでもないが、曲のよさも間違いなくあるだろう。当初I'veをそれなりに追いかけている人間からして、川田まみがガンアクションもののアニメのOPを担当するのはMELLとカチ合ってしまうのではないかという懸念があったが杞憂だった。綺麗な中沢さんだ。

画面も情勢も引っ掻き回して、最後は画面奥に消えていくココ達が小気味よい。



ガンダムAGE 『REAL』

大張正巳、という人物をご存知の方ならば、このOPの「テンプレ感」にはちょっと笑みがこぼれるはず。
ただ、その「テンプレ感」を、大張作品の歴史と同じく連綿と続くガンダムシリーズで見られるということが、限りない異化効果を発揮している。交わりそうで交わらなかった2つの交差点である。
とまぁ、こういうのであれば2クール目のOPを推すのが筋なのかもしれないが、コンテを含めてこその大張節であると、このOP3で思い知った次第なのでこちらを挙げておく。

それにしてもかっこいい。



織田信奈の野望 『Link』

サビのアクションのキレ。これが際立って良い。

ところで勝家の鎧はおっぱい揺れに対応して伸縮しているようだがどういう素材なんだ…(困惑)




じょしらく 『お後がよろしくって…よ!』

見た瞬間「あかん」と思った。水着のところの一枚絵が巧くてかわいくて死んだ。将賀さんの絵は個人的にはナナメ45度からの横顔が好きです。
こんなに純粋にOPを楽しんだのはいつ以来だろう、と思ったけど、そもそもOPってどれ見ても楽しいんだよねー。とかほんわかした気持ちにさせられた。水島節の手中に収められてしまった。不覚。

テンポが大変よろしい。




あの夏で待ってる 『sign

今年一番の「OPがすっごく良かったので本編もすっごく面白かったんじゃないかと錯覚するアニメ」として自分の中で絶大な存在感を放つこの作品。
フィルムっぽいフィルターとか、本当にJCの撮影技術は留まるところを知りませんね。
サビ以降の自主撮影の合間を縫うカットの連続は、まったくといっていいほど普通の日常の延長ばかりであるが、結局このテの青春は過程が大事だというのは真理めいている。ファインダーに写らない瞬間の他キャラの動きまで、つい想像してしまう。

最初のカットは、最終話まで見てようやく意味を成すカットなのですが、このイチカさん制服着ているので、実はただのイメージフィルムだったり。良き日の思い出とは常に良きものに置き換わっていくのかもしれませんね。



夏色キセキ 『Non Stop Road

上記のOPとはまた異なる切り取り方をした「なつのおもいで」
繋いでいくということがひとつのモチーフになっていた夏色キセキではありますが、このOPもその法則に則ってますが、最初の4人のカットのつなぎはかなりこだわってますね。
4人が合流するまでの鮮やかさと、最後の4人で円を描くところとか、すごく幸せなフィルム。

しかしこう「なつのおもいで」は根底のテーマは異なれど、部分部分でやはり被ってしまうものなのですねぇw



○Robotics;Notes 『純情スペクトラ』

滑走路のカット、アスファルトに描かれたラインが世界線を示しており、このカットだけで科学シリーズOPとしての合格点をクリアーしている。
そしてブーンドゥドゥするアキちゃん、ハンガーでギャーギャー言うアキちゃん。かわいい。
アニメの中のアニメと、アニメそのものが繋がるガンヴァレルの一連のシーンは、アニメと視聴者の関係をそのまま投影しているようで、「居ル夫」といい、このアニメはレイヤー的な構造をたくさん孕んでいるという部分が見て取れる。

来年くらいにはガンヴァレルのアクションフィギア出ないかなぁ。



アクセルワールド 『Burst the Gravity

羽の舞う暗闇から黒雪姫が見上げるのはシルバークロウとシアンパイルの背中。1話で見下ろすように現れた黒雪姫のアバターの位置を超えていったハルユキ君のその背中は、素直に成長物語を描いてきたからこその到達点である(タクについてもそれはいえると思うので、ここに二人は並び立っている)

アニプレッション様の記事が記憶に新しいが、本当にOPのコンテは「魔法騎士レイアース」をはじめとしたロボットアニメや過去のサンライズアニメを模したものばかり。サンライズは本当に自社パロが好きな会社である。
シルバークロウの必殺技にしても、阿部望さんは本当に仕事量・技量ともに半端ではないと思わされる。今一番好きなアニメーターさんかもしれない。



○えびてん 『未来色の約束』

「一番星の下で約束する事案が発生」というふるふろ氏のツイートで腹筋が捩れたのでここにノミネートしたw
端的に言って最初やサビはハルヒのOPパロである。つまるところ最初のカットはハルヒでありエスカフローネでもあるということになる。

しかし面白いのが、皆が「演じること」にテーマの主眼がある中、このOPでは廣松や金森は誰にも気づかれていないところを戸田山に目撃されており、その戸田山でさえも普段の大暴走とはすこし異なるやれやれ顔が多い。このように限りなく演者の素に近い部分を垣間見ることができるような設計になっている。



劇場版魔法少女まどか☆マギカ 『ルミナス』

正直入れようかどうか迷ったが、これだけは本当にどうしてもはずせなかった。
見てきたものより前のもの(幼い日のまどか)を見せられるということそのものが涙腺を破壊しにかかってくる。円を描きながら動くモチーフ(イントロで降ってくる光輪。桜の下のカメラの動きや、魔法少女5人が回転しながらカメラに接近するあたり)がいやでも「円環の理」を想像させる。彼女らのその後の過酷さを知るからこそ「桜(=血を吸って赤みが増す)」という花の意味を知ることもまたできるという。
ここまで見てきた視聴者へのご褒美であり、これのために前後編合わせて5回映画館に足を運んだものであるが、いい加減ソフト化しないことには収まりがつかない。それだけ、本当に良いOPでした。

【アニメ】『えびてん』とAラインシルエット

始めましての方は始めまして。そうでない方、お久しぶりです磯貝です。
突然の移転、まさか、理由なくなんてことはありませんよ。気分転換というのが一番大きいとは思うんですけどね。もちろんそれ以外にも理由はありますよ。
FC2から当ブログに移転したそのほかの理由として「アニメ感想であるならばFC2だけど、アニメ感想に勘定していいのか分からないブツを書くならはてなだわね」というのがありまして、しょっぱなもそういう記事になるのは自明なのです。

先日「USTやるので誰か一緒にやりませんか」と募集を募ったところまったくの無反応だった空気アニメ『えびてん』。
『えびてん』は公立海老栖川高校天悶部を舞台に、お色気ありパロありその他メタありで、個性的と呼ぶにはあまりにもテンプレートなキャラがなんとなーくふんわりぼんやり無軌道に暴走しているアニメでございます。
もちろん褒めてますよ。
僕は今期俄然イチオシなのでその面白さをとりあえず言葉に残しておきたい思いはあったので、FC2最後の記事もえびてんになっております。

その面白さのお話はともかくとして今回は『Aライン』のお話です。

ではまず『Aライン』とは何ぞや、というところから

>>1955年のパリ・コレでクリスチャンディオールが発表したドレスラインで、ウエストから裾にかけてアルファベットのAのように広がるスタイルのドレス。ウェストでの切り替えがなく縦のラインが強調されるため、すっきりとしたボディラインに。背を高く見せたり足を長く見せることが出来ます。洗練されたシンプルなスタイルが根強い人気を誇るスタンダードなドレスで、素材やデザインによってさまざまな表情を見せます。
Aライン(エーライン)とは - コトバンク<<

もとはロングのドレスを指してこう呼ぶものだったのが


http://shop.popdelic.com/?pid=10100884より


見事なAラインですね。
こうした、単に裾野が広がったワンピース等のカジュアルスタイルにも用いられるようになりました。
しかも、このAライン、なにも女性衣料だけでなく男性衣料にも用いたりします。とにかく、下に行くにしたがってシルエットが広がっていればスカートだろうがパンツだろうが何でも良いのです。このあたりアバウトさが「とりあえずカテゴリ分けしとけ」みたいな日本人気質っぽくていいですね。でも男性でもスタイルよく見えるのは本当ですよ。実際、男性向けの服飾雑誌にも頻出するワードだったりします。ここ1年はあまり見ていないですが、そこもまた日本人らしいワードへの強烈な関心と廃りの入れ替わりの速さが見えてなんとも興味深いですね。

では、『えびてん』はどうでしょう


新車を購入するときに参考にしたい自動車情報誌より

見事なAラインですね(ニッコリ
えびてんのキャラデザの特徴は、スカートの裾だけでなくカーディガンの袖が過剰にデフォルメされて大きくなっているところです。
戸田山が後ろを向いている画に注目してください。ただでさえふわっと大きなスカートがカーディガンによってかなり大き目のAラインになっているのがお分かりいただけますでしょうか。
えびてんキャラって非常に頭蓋が大きめで、中でも戸田山はすごく横に広い髪型なので非常にバランスが悪くなりそうなところを、このAラインで華麗にカバーしているのです。
なので頭が大きくて体が華奢でも低頭身でずんどうにならないんですね。肉付きでの書き分けというのももちろん有効なんですけども、その辺りアニメキャラもまっとうにファッションしてますよ。

そもそもこの流れ、『えびてん』とは並々ならぬ関係を持つケロQ・枕作品にも共通している事案であります。

http://www.regista.co.jp/h2o/Character.htm
素晴らしき日々〜不連続存在〜

もう見るからにって感じですね。『H2O』はアニメのほうに良い画が見つからなかったのでやむなくゲーム版です。夏服のため袖が無いですが、代わりにウエストより高い位置からスカートが伸びているためAライン効果はやはり高いといえますね。『素晴らしき日々』になると過剰さがすごいですね。Aラインと圧倒的なシワ。これもさっさとアニメ化してカッコイイキャラデザにならないかなぁと思いを馳せております。あと、関係ないところで言えばブーツの書き分けが素晴らしいですね。いろんなメーカーのをキャラごとに合った雰囲気で履かせているところに製作者のファッション愛を感じます。



Aラインが裾野のボリュームを際立たせたデザインなのに対して、すらっと縦に長い『Iライン』や、上半身をビッグシルエットにした『Vライン』等も男性誌で見たことがあるのですが、これをグーグル先生で検索すると面白いことになるのでお試しあれ。