読んだもの
天才投手 藤原審爾
かなりコミカルな野球小説。ただし、唯我独尊というか純朴無頼というかな田舎者主人公による一人称視点で、主人公の思想思考語り口の面白さなために、少々取っつきにくいところはあると思います。
この主人公野球嫌いを標榜している割に、随分と野球に詳しくまた勉強熱心なところもあって、単純かと思いきや案外複雑?いや単純といったところ。
ちなみにon時代が舞台です。
柔 富田常雄
明治頃を舞台にした柔術小説…なんだけど、恋愛系の話が多くて魅力的な登場人物たちを少々生かし切れてなかったかなと思いました。
男女の機微のようなところでは各組合わせが絡み合いながら書けていると思うのだけれど、いかんせんこの小説の導入部で柔術にのめり込んでいくひ弱な書生に引き込まれちゃった者としては、期待はずれな展開でした。
それでも端々に登場する柔に関わる人物たちはとても魅力的で、長編ながら一息に読めてしまう面白さでした。でもやっぱり惜しい。
スローカーブをもう一球 山際淳司
スポーツに関するノンフィクション短編集。
日本が不参加を決めたモスクワオリンピックに関わる選手たちの話は、悲劇的に書いているわけではないけれど感ずるところはあります。
表題作では、高校球児に似つかわしくない人物が打者心理につけ込んだ投球術で勝ち上がっていく姿が痛快。
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Wiiで最近発売されたスパロボ最新作。
GCを引き継いだのか、あまり売れ筋とはいえない3Dアニメで作られている。3Dアニメの出来としては、2Dに比べればケレン味に欠けるし、やや単調な感じもあるが、動き自体は十分に見れるものになっている。
参戦している作品はリューナイトやVS騎士ラムネといったファンタジー系にライジンオーからダイテイオーに至るエルドラン3部作+1、変わり種の獣神ライガーとアイアンリーガーという20才代のプレイヤーには懐かしいラインナップとなっている。(スパロボ的にはC3に勝るとも劣らない偏ったラインナップだが)
今作の大きな特徴としては戦闘マップからマス目をなくしてしまったことがある。これにより従来は表現しづらかったロボットのサイズ差がマップ上でハッキリと表れるようになった。具体的には、ロボットがひしめき合う混戦状態のマップ上では、大きなサイズのユニットが移動しようとすると移動先にも大きな空白が必要となるために武器の射程圏内まで近づくことが制限される場合が出てくるが、小さなユニットは小さなスペースで済むためにかなり自由に動き回ることが可能となる。
また、マップの一新にあわせて、ユニットを囲むことで攻撃力や命中率に大きな補正がかかるようになっていて、ユニットをうまく配置することが従来のものとは違った形で楽しめるようになっている。(攻撃力が低いユニットでも十分にボスに対応できるほどの補正がかかるためユニットを使用する幅が案外広がっているように思う)
随分と様変わりしたスパロボではあるが、欠点としては増援の多さと敵ターンの加速ができないことに起因しているが一つのマップをクリアするのに1〜2時間は簡単にかかること、シームレスの戦闘を謳っているが、暗転がズームアップ的な処理に変わっただけで、いつも通りの戦闘画面切り替えといって差し支えのない点が挙げられる。
総じて見れば、今作は時間がかかるけれど面白いスパロボです。時間がかかりすぎてまだクリアできていませんが。
最近読んだもの
風が強く吹いている 三浦しをん
箱根駅伝もの。素人も含めた10人で箱根を目指すという話。
ここのところスポーツ小説がマイブーム(もう死語?)になってきたので読んでみた。
あっという間に読んでしまう位には面白いものの、「スプリンター」や「奈緒子」に傾倒していたこともある自分の好みを思うと、ハイジとカケルの描写がやや爽やかすぎて物足りなかったりもする。
ららのいた夏 川上健一
これはあれだ。なぎさme公認。いやまあ脳天気な女の子がすごく足が速いというだけの共通点しかないんだけれど。
タイトル通りラストはヒロインが過去形になってしまうが、それはさておき、ヒロイン以上に相手役の男の出世ぶりには、田中マー君もびっくりだったり。
監督 海老沢泰久
架空の弱小球団エンゼルスを率いることになった監督広岡達郎の話。
見所が多すぎるし、信じられないくらいに面白いし、なにより「甲子園の空に笑え」に大きく影響を与えているとしか思えない今更ながらに新発見の本でした。
DIVE! 森絵都
飛び込みに情熱を燃やす3人の少年の話。
中盤までは、普通の青春を犠牲にしながら飛び込みにのめり込んでいく姿や才能の背比べ、生々しくもおかしみのある恋愛話などが、ポンポンと飛び出してきてはグイグイと読者を引っ張る展開が面白い。
逆にクライマックスの試合では関係する人物たちの飛び込み台に立つに至る思いを丹念に書き始めるために、試合の躍動感みたいなものがすっかり鳴りを潜めて、点数を追いかけていくだけの残念な形になってしまったかなと思えた。
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自炊始めました。
といっても料理ではなく、書籍の電子化を指す言葉。
ソニーの電子ブックリーダー PRS-505を購入したので、お気に入りの小説や漫画を電子化し始めた訳です。
スキャナーを買い本の裁断機を買いフォトショップを買い、バカにならない出費をしながら1冊の本を電子化します。
1冊2時間。
1冊読めちゃうよ。
さすがに小説ならだいぶ時間を短縮できるようになりましたが、まあ手間の掛かる作業です。
とはいえ、メモリーに電子化書籍が増えていく様を見るのは本棚一杯に本が並ぶのにも似た喜びがあって、やめられない止まらない。
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エスペリダス・オード
2巻
エルハイアは明らかに人間との対等な共存を考えている。
対する存在であるアルドは、そのエルハイアに母を殺されてしまった。
アルドとエルハイアはお互いがお互いの精神性を理解しあったという過去を持っているが、アルドが母に対するしこりを残したまま母を失ってしまったことで、その原因であるエルハイアと対決することが不可避になるだろう。
第1話を読んだ時に、エスペリダスオードはアルドが勇者としてエルハイア率いるアリアとの共存の橋渡しをするものと思っていたが、アルドが王として人の在り方を変えていくものになるかもしれないと思い始めた。
そもそもアリアへの悪感情を持っていなかったアルドが母の死への拘りを捨てることになれば、エルハイアが倒す対象ではなくなり、取りも直さずそれは勇者の称号も捨てることに繋がる。魔王と戦わない勇者はいないだろうから。
そうなると、世界の存在自体を脅かすような敵がいて、実際にある程度世界が作りかえられるような事態が起こって、それでも敵を倒して、新たなる世界でアリアと人間の秩序を作り直すというエルナサーガ方式にでもしない限りは、エルハイアとアルドの確執が個人的なものであるために人がアリアとの共存に動くとは思えない。
だから、アルドは理想の人間としての勇者(これはアダに通じるものもあるか)としてではなく、政治的にその先にあるべき道を見せて、人を動かす立場に立つ必要があるんじゃないかと思うに至る。
それは勇者としての母超えであり、すでに勇者を(1対1で倒すことで)超えて見せたエルハイアに並ぶことでもある。
勿論、エルナとエイリーク、アダとサクヤ姫のように王を動かす立場の勇者になることの方が(というか堤さんの長編はそういうものばかりだ)アルドの年齢的にも話として現実的で、ほぼ確実にそうなるとは思うのだが。
ちなみに2巻ではアルドが本来話すとは思えないセリフがいくつかあった。
1「いずれにしろできはしない 人と魔族が友としてずっと暮らすことなど この人間の世界の中で・・・」
2「そして、俺は生きのびてしまったっ・・・」
3「この世界など・・・壊れてしまえば」
一応3つとも、一つの流れの中のセリフで、
1 母勇者が血を流しアリアを退けて作り上げた今の世界で人とアリアが共存することができないということを、既にアリアと命懸けで対峙したアルドが実感して出てきたセリフ
2 1のような世界の中で少年時代のアルドの友達であったエルハイアが餓えて死に(とアルドは思い込んでいる)、アルドはエルハイアの誇りを守ることが出来ないまま生き延び続けていることが、転じて?に掛かってアリアと共存できない世界を生きていることや、実際にアリアと倒して生きのびていることへの虚しさからのセリフ
3 1・2の結果として、アルドが少年らしいというか極端な結論に達して発したセリフ
これだけのセリフが気になったから、上で書いたようなアルドが王になるということを考えてみたわけだ。
そういえば、今回はタクティクスオウガやドラクエ4を彷彿とさせる展開があって、ちょっとニヤニヤと楽しんでみたりしていました。
僕にこの手を汚せというのか!ピサロ様!勇者を仕留めました!
いや、後者はよくある展開でもあるんですけどね。前者はシチュエーションがまんま過ぎて、どう展開させるつもりかとハラハラしました。結果はとてもいい感じで、エルハイアを堪能させて貰いましたが。
ところで、以前にざっと連載中情報をまとめてみたことがありましたが、そういうこととは関係のないところに話が進んでいる上に、2巻のあとがきでは主人公達の名前の由来などが記されてありました。
あの時に一応まとめてみたものの、そういう視点はなかったなあと反省することしきりと思ったりもしました。
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明けましておめでとうございます。
今年も見事な寝正月でしたので、明日辺り初詣にでも行ってきましょうか。
さて、2007年のこと
●アニメ
「レ・ミゼラブル 少女コゼット」
丸一年毎週欠かさず楽しみにしていたアニメでしたし、最初から最後まで楽しむことが出来ました。
また、コゼットがジャンバルジャンと出会ったくだりや、最終回近辺では何度となく泣かされてしまいましたね。
●マンガ
「あいこら」
いわゆる萌えラブコメなんですが、サブキャラを巻き込んでの騒動話が妙に楽しい漫画です。
また、ヒロインのピンチにはどこからでも現れ、プロ総合格闘技選手にも勝ててしまうというような、いかにもマンガ的な動きをできる主人公がお気に入りです。
ただ、そろそろ話が結末に向かってヒロイン整理が始まってきたのが残念です。
なにしろオレは生粋のハーレム至上主義者ですから・・・あ痛たた。
●ゲーム
「Sugar+Spice!」
「どき魔女」とどっちにしようか迷いましたが、こっちの勝ちです。
まあ、今更書くようなこともありませんが、年末散々色んなエロゲをやっておきながら、新年は結局、ミャンマーをプレイしているオレがいるから仕方ないですね。
●小説
「オーデュボンの祈り」
伊坂幸太郎さんのミステリーというには一風変わった小説です。
個人的にはその後の小説も含めて現代ファンタジー作家さんだと思っています。
あらすじとしては、名探偵喋るカカシ殺人事件、といったところで、結末を話さずに殺されてしまった名探偵(喋るカカシ)の推理?を主人公の青年が追体験していくというものです。
感想としては、クライマックスで一気に組み合わされていくパズルの爽快感が凄かった。
でも、それ以上に作者の悪ふざけにも近いようなユーモアたっぷりの結末にノックアウトされてしまったというところです。
●特別賞
「ひまわりのチャペルできみと」
とにもかくにも笑わされてしまいました。
しばらく離れて他のエロゲやらなにやらをやった後、ビジュアルファンブックについてたおまけディスクをやってみると、これまた面白すぎて笑わされてしまいました。
このライターさん、ライトノベルでは泣かず飛ばずだったんですよねえ。時間のかかるゲーム媒体よりも小説媒体で定期的に読ませて欲しいと思ってしまうので勿体無い。
でも、ゲーム形式でしか本領を発揮できない人なんだろうなと納得できてしまったりもします。
ちなみにゲーム部門に挙げなかったのは、正直なところお気に入り度のレベルが他と違いすぎて、yuureiアワード2007大賞的な位置にあるものだったからです。
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うん?特に書くこともないかなと思いながら書き始めたら、アワード形式になってしまった。
たぶん、もう1回ぐらい似たような物を書く予定ですが。
まあいいか。
今年は、学業の神様がオレに憑いてくれますように。
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行ってきましたコミックマーケット
初日で人の多さにうんざりしてかなり早く出てきたんですが、結局3日目も行ってしまいました。
いやねえ、オレわりと同人を舐めてたんですが、初日で買った本が予想以上にいい出来で、これはちょっとまた欲しいなあと思うに至ったわけです。
そういうわけで戦果
エロ
・どき魔女・・・2冊
・狼と香辛料・・・1冊(実は原作知りません。ひまチャきの原画の人が書いてたので)
非エロ
・ゼーガペイン・・・2冊
・FFT獅子戦争(アグリアス)・・・1冊
・遥かに仰ぎ、麗しの・・・1冊
・ひまわりのチャペルできみと・・・2冊
結果として非エロ本が多くなりましたが、オレの元々の同人の印象がエロ、初日の当たりが非エロというところが大きく影響を与えていたりします。
っていうか初日をもう一度やり直したいんですが・・・
あれ?オレ、はまりかけてる?
それでは、よいお年をノシ
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はいはい、またまたまたエロゲですよ。
11月購入分
・そして明日の世界より
・遥かに仰ぎ、麗しの
・幼なじみはベッドヤクザ
上二つはどう見ても健速氏の信者ってやつですね。
基本的にシナリオ的な良し悪しはわかりませんが、感情のやり取りが好きですから好みに合っているライターさんです。
下は、脳内彼女さんの新作です。まあ、精神的にわりとマゾと評判の私に合った作品を提供してくれるメーカーさんです。
ちなみに12月は
・clover point
・ひまわりのチャペルできみと ビジュアルファンブック
を買う予定です。
財布に余裕があれば11月に買い損ねた
・世界で一番NGな恋
を追加するかもしれません。
ところで、9月頃に購入した
はラブコメ主体の作品としては珍しく大ハマりしまして、今だにPCにインストールしっぱなしです。
短いイベントをアイテムという形で選択できる方式で、おまけとしてアイテム一覧が準備されていますから、暇なときに適当なアイテムをピックアップしてプレイしていたりします。
お気に入りは、ミャンマーこと深山藍衣。プレイ中、ミャンマーの僧侶革命の真っ最中で、あだ名としてどうよと思うことしきりでしたが、それはともかく存分に萌え狂わせて頂きました。いや現在進行形でもありますが。
今年は初めて国内最大級のまんが祭りに足を運ぶかもしれません。
まあ、人の多いところは苦手な上に、同人誌の良さもそれほど理解できているわけではないので、直前までどうするかを決めかねるでしょうが。
うーん、ゼーガペインに予想以上にはまっているので、ちょっと興味があるんですよねえ。いやもう古い作品になってしまっているのかもしれませんが、旬の時期に参加できなかった未練というものですね。