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2024/02/23

カレーライスの丸かじり/東海林さだお エッセイの感想

◆読んだ本◆
・書名:カレーライスの丸かじり
・著者:東海林さだお
・初版出版社:朝日新聞出版
・初版発行日:2024/1/19


◆おすすめ度◆
・食べ物エッセイ度:★★★
・食べたくなる/お腹がすく度:★★★
・たいやきの開きが気になる度:★★★


◆感想◆
一番気になった食べ物は「たいやきの開き」。
食品ロス対策で考案した「たいやきの開き」は、東京都杉並区の「ともえ庵」というお店でしか買えないよう。
『食感がなかなかいい。噛んでいると途中から甘くなってくる煎餅』のようなのです。
食べてみたいですね。
おみやげにもいいかもしれません。

あと、「コオロギラーメン」も気になります。
なかなかおいしいらしいです。
わたしは遠慮しときますが、おみやげにもいいかもしれません。

次巻も楽しみだなあ、なんて思いながら最終章のページをめくると、なんと「いよいよ最終回」の文字が!
週刊朝日が休刊のため、「あれも食いたいこれも食いたい」の連載も終わってしまうことに!
それは寂しいなあと、調べると、朝日新聞DIGITALで有料配信されているよう。
ちょっと安心しました。


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◆関連記事◆
たいやきの開き | たいやき ともえ庵
東海林さだお まだまだ! あれも食いたい これも食いたい:朝日新聞デジタル

2024/01/29

地雷グリコ/青崎有吾 頭脳バトルゲーム小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:地雷グリコ
・著者:青崎有吾
・初版出版社:KADOKAWA
・初版発行日:2023/11/27


◆おすすめ度◆
・頭脳バトルゲーム小説度:★★★★★
・アイデアが秀逸度:★★★★★
・ラストもバッチリ青春小説度:★★★★★
・シリーズ化希望度:★★★★★


◆感想◆
女子高生が主役の頭脳バトルゲーム小説。
これは面白い!

頭脳バトルゲームというと、「LIAR GAME」とか「カイジ」を思い起こしますが、本書も同じ系統の小説。
「グリコ」「坊主めくり」「じゃんけん」といったおなじみのゲームをちょっとアレンジして戦いが行われます。
相手の心理を読んだり。意表を突く手段で度肝を抜いたり、イカサマギリギリの手法で出し抜いたり。
ちょっと思いつかないアイデアが秀逸です。

各ゲームごとの連絡短編集という構成ですが、最後には大物のゲーマーが控えているようで。
物語は否応なく盛り上がります。

ホットでクールな頭脳バトルも読み応えありますが、物語の意外なテーマもステキです。
頭脳バトルゲームというと悲惨で暗くて破滅的なイメージが強いですが、本書はラストの着地もバッチリ決まって爽やか。
今年一番面白い小説が早くも決定な感じです。(2023年の発行ですが…)

WEB本の雑誌に著者のインタビュー記事が。
これによると、
”『嘘喰い』や『カイジ』を読みながら、自分でもいろんなゲームを考えていた…”とのこと。
設定が劇画っぽい感じがしたのも頷けます。
まだまだゲームのアイデアがありそうなので、ぜひシリーズ化して欲しいですね。


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◆関連記事◆
作家の読書道 第260回: 青崎有吾さん - 作家の読書道/WEB本の雑誌

2024/01/26

ともぐい/河﨑秋子 マタギ小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:ともぐい
・著者:河﨑秋子
・初版出版社:新潮社
・初版発行日:2023/11/20


◆おすすめ度◆
・マタギと熊の壮絶な戦い度:★★★★
・自然の中で生きるマタギが獣そのもの度:★★★★
・猟師であることを見失った主人公の死に様度:★★★


◆感想◆
先日、第170回直木賞を受賞した「ともぐい」。
厳しい自然や、それを具現化したようなヒグマが登場する、けっこうハードなマタギ小説です。
主人公の「熊爪」というマタギの暮らしぶりや死に様が本書のキモですね。

人との関わりを嫌い、山の中で一人で暮らす熊爪。
熊と獣のように対峙する熊爪。
山深い自然の中での、熊爪と熊の壮絶な戦いが、前半の読みどころです。

後半では、嫌っていた街の人との関わりを持つようになった熊爪が描写されます。
なぜ人と関わるようになったのか。
そしてその結末は。

自然の中で獣の命を奪いながら生き抜くということ。
自分の生きかたを、あるいは死に様をどうするかという問を、自分自身に向ける熊爪。

熊爪と熊の壮絶な戦いだけにとどめず、熊爪の死に様をも描いたところが直木賞受賞につながったのかも。
私は壮絶な戦いだけでも十分ですが。
っていうか、もっと書いてほしい感じです。

この小説が面白かった方には、
 「羆嵐」吉村昭
 「邂逅の森」熊谷達也
 「羆撃ち」久保俊治
などがおすすめです。

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◆関連記事◆
【直木賞受賞作】『ともぐい』熊撃ちを本領とする猟師と盲目の少女…社会に溶け込めない二人の末路が心を揺さぶる動物文学の最高到達点/Book Bang -ブックバン-
【直木賞受賞作】『ともぐい』新たな熊文学の誕生! 著者・河崎秋子と探検家が語る、狩猟と執筆に眠る人間の性とは/Book Bang -ブックバン-

2024/01/16

存在のすべてを/塩田武士 ミステリー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:存在のすべてを
・著者:塩田武士
・初版出版社:朝日新聞出版
・初版発行日:2023/9/7


◆おすすめ度◆
・誘拐もののミステリーかと思ったら度:★★★★
・画家の卵と画商の娘の恋愛ものかと思ったら度:★★★
・若き画家や引退間近の新聞記者の、自分を信じる道の物語りかと思ったら度:★★★★
・その全部と絆の物語りでした度:★★★★★


◆感想◆
誘拐もののミステリーかとおもったら、物語は予想外の展開に。
画家の卵と画商の娘の恋愛模様や、若き画家や引退間近の新聞記者の生き方なども織り交ぜて、感動的なラストに。
人と人の絆って、ありきたりですが、心が動かされますね。
最後の方は涙ダダ漏れです。


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◆関連記事◆
【書評】誘拐事件を巡るドラマ 『存在のすべてを』塩田武士著 - 産経ニュース

2024/01/07

路上のセンス・オブ・ワンダーと遥かなるそこらへんの旅/宮田珠己 散歩エッセイの感想

◆読んだ本◆
・書名:路上のセンス・オブ・ワンダーと遥かなるそこらへんの旅
・著者:宮田珠己
・初版出版社:亜紀書房
・初版発行日:2023/11/25


◆おすすめ度◆
・斜め上行く散歩日記度:★★★
・変なもの好きな著者が、さらにターゲットを拡張度:★★★
・自分の住んでるところを散歩したくなる度:★★★


◆感想◆
石や大仏などの変なモノ好きな著者が、ガスタンクやタコ滑り台や電線や鉄塔にもワクワクしだすというマニアックな散歩日記。「変な街並み愛」が溢れてます。
自分の住んでるところを散歩したくなりますね。

巻末の「散歩ブックガイド」には、それはもうデープでコアでマニアックな本がズラリ。
壮観です。


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◆関連記事◆
<書評>『路上のセンス・オブ・ワンダーと遥(はる)かなるそこらへんの旅』宮田珠己(たまき) 著:東京新聞 TOKYO Web

2024/01/04

鵼の碑/京極夏彦 ミステリー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:鵼の碑
・著者:京極夏彦
・初版出版社:講談社
・初版発行日:2023/9/14


◆おすすめ度◆
・百鬼夜行シリーズのいつものメンバーが勢揃い度:★★★★
・盲群象を評す、みたいな度:★★★★
・「猨」の章の蘊蓄が学者並み度:★★★★★
・最後は京極堂がズバッと解決大団円度:★★★★★


◆感想◆
百鬼夜行のいつものメンバーが勢揃いのシリーズ最新作。17年ぶりだそうです。
物語はいくつかのパートに分かれて進行しますが、微妙に関係ありそうでなさそうで、でもありそうな描写。
安易な予想は思い切り裏切られました。
今までのシリーズより、ちょっと読みやすい気がしますが、それでも「猨」の章は学者並みの蘊蓄が。ちっとも頭に入ってきませんでした。
最後は京極堂がズバッと解決大団円です。

次作予定は「幽谷響の家」。
楽しみです。宝くじより確実な気がします。


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◆関連記事◆
シリーズ十七年ぶりの新作京極夏彦『鵼の碑』がベスト1だ! - 新刊めったくたガイド|WEB本の雑誌
【京極夏彦インタビュー】「百鬼夜行」シリーズ17年ぶりの新作『鵼の碑』の魅力 | インタビュー | Book Bang -ブックバン-

2023/12/12

侠飯9 ヤバウマ歌舞伎町篇/福澤徹三 任侠グルメ小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:侠飯9 ヤバウマ歌舞伎町篇
・著者:福澤徹三
・初版出版社:文藝春秋
・初版発行日:2023/10/11


◆おすすめ度◆
・楽しく美味しい任侠グルメシリーズ度:★★★★
・柳刃の料理と人生のうんちくがオトナです度:★★★★
・ちょっとかわった青春小説 人生はこれからだ!度:★★★★


◆感想◆
半グレ集団にそそのかされるようなダメダメな若者3人が、柳刃たちに出会ったのをきっかけに、自分の人生を取り戻そうとする展開。
シリーズものらしい、水戸黄門的展開。
安心ですね。

とにかく柳刃の作る料理がめちゃうまそうなこのシリーズ。読んでいるとお腹が減るのもいつも通り。
若者たちの青春小説でもあるところが、清々しい味付けです。


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2023/12/10

あなたが誰かを殺した/東野圭吾 本格ミステリー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:あなたが誰かを殺した
・著者:東野圭吾
・初版出版社:講談社
・初版発行日:2023/9/21


◆おすすめ度◆
・ガチガチの本格ミステリー小説度:★★★★★
・芝居にもうってつけの展開度:★★★★
・刑事・加賀恭一郎の推理が冴える!度:★★★★
・ドロドロの人間模様と驚きの結末度:★★★★


◆感想◆
かなり細かいところまで綿密に設計して書き込んでいる本書、ガチガチの本格ミステリー小説で、本格好きは楽しめそうです。
加賀恭一郎の推理が冴えわたってます。
ドロドロした人間模様や驚きの結末も読みどころです。
人間って怖いですね。

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