2024年4月18日木曜日

CANNA記事「NPKレベルで肥料を選ぶ」

 CANNAオフィシャルサイトに新しい記事が公開されました。

栽培ビギナーへ
NPKレベルで肥料を選ぶ

ハイドロポニック市場では、さまざまなブランドが「ウチがナンバーワン!」的なセールストークとともに液体肥料を発売しています。


今回の記事では、NPKの含有量で液体肥料を選ぶ方法についてガイダンスされており、

「ラベルに書かれているNPKの比率が高ければ高いほど、ボトルにはたくさんの肥料が入っているからお得だよね。」という、ありがちな先入観をバッサリ切る内容になっています。

例えば、N-P-K=3-3-2と記載されている液体肥料よりも、N-P-Kが26-23-29と記載されている液体肥料のほうが、はるかにお得だと判断しがちですが、1リットルの水に希釈する肥料の分量は全く同じだったりします。なんでこんなことになるのか?ということが少々こむずかしい理論で説明されております。


結論から言えば、ラベルに表示されているNPK比率から、そのボトルには水溶性のチッ素、りん酸、カリウムが何gづつ含まれているかを読み取って計算するのは相当めんどくさすぎるので、

全く同じ水温にした水1リットルに、メーカーが推奨する使用量をそれぞれ希釈してみて、ECメーターで測ればいいじゃん! EC値が一番高くなったメーカーの液体肥料が一番お得だよ!

ということです。


ちなみに培養液のpH値を管理しなくてはならない理由は、ただひとつ! すべての肥料をまんべんなく吸収させるためです。言いかえれば液体肥料を全く加えていないのであれば、水分のpH値変動は植物にってほぼ意味がないということです。




水のpH値を弱酸性に保つメリットには病原菌が繁殖しにくいから、ということももちろんありますが、それは何週間も水を取り替えてないとか、弱酸性でよく増える有用な微生物を増やしたいから糖分を入れたとか、かなりイレギュラーな場合です。

培養液のEC値が低いほど、そして植物に対して培養液の量が少なくなるほど、pH値はすぐに適正範囲から外れてしまいますが、植物は体内を弱酸性に保とうとするので、しまいには水の水酸化イオン(OH-)だけを吸収しはじめて、水はますますアルカリに傾きpH値が上昇します。

また、ただの水道水に1日エアレーションしつづければ、翌日にはpH値が8以上に上昇してしまいますが、それは当たり前のことです。水道水には一定量の炭酸が含まれていて、エアレーションで炭酸がCO2に気化して抜けてしまうからです。

液体肥料を希釈した培養液にはpH値の緩衝作用が生まれますので、ただの水と比較するとpH値の変動はかなり抑えられます。

とくにCOCO培地での栽培では、生長期の植物は、酸性でよく溶けるチッ素成分をたくさん吸収するので培養液のpH値は5.8の低めでスタートさせ、ツボミがでて果実が実る段階になると、やや高めのpH値でよく溶けるカリウムをたくさん吸収したがるので、培養液のpH値は6.2でスタートさせるのがコツです。




ただし根っこが常に培養液に浸っているDWCシステムは、培養液のpH値が最も変わりやすいハイドロポニック・システムなので、草丈が1m以上に大きく育つ夏野菜の栽培では、一株あたり培養液を10L以上確保することも大きなポイントです。



2024年4月12日金曜日

パプリカが色づけば本格的な春のスタート

 晴れた日にはTシャツ一枚で外を歩けるほど暑くなり、初夏を思わせる陽気となります。

そんな日がつづくようになれば、室内で冬超えしていたビカクシダを屋外に出せます。ハンギングバスケットに着床させたビカクシダは、毎年毎年、確実に個体を増やしつつ大きくなります。

室内栽培のライトを完全にLEDへ入れ替えなければ室温があっという間に30℃を超えてしまいます。パプリカどもは加温なしでもどんどん着色がすすみ、収穫量が消費量をうわまわります。



今年の桜は気がつけばやっと満開となり、雨がつづき、葉桜がすすみ、気がつけば見頃のピークを逃し、不完全燃焼が否めません。




今年の早春に地植えしたバラは、無事にたくさん新芽をあげてくれましたが、バラゾウムシが大量発生し、新芽とツボミがチリチリに。ハナグモさえ現れてくれれば解決するので農薬はまかずに、しばし耐えようと思います。食害されてダメになった芽も、開花は遅れるものの、また展開しはじめて花がつくはずです。



毎年勝手に生えてくるカラスノエンドウに大量に発生するアブラムシのすぐ近くで、テントウムシの幼虫を見つけました。



昨年の春と秋に植えた宿根草が、開花してくれました。



今年のキング・プロテアは、ふたつのツボミが上がりました。年を越すごとにツボミがひとつ増えるペースです。


2024年3月28日木曜日

春の庭とバラの新芽

3月ももうおわりです。例年より早く咲くと思われていた桜でしたが、寒い日がつづいた3月のせいで開花宣言はまだ出ていません。なにかと慌ただしい4月に入ると月日の流れが一気に加速し、気がつけば夏が来て、秋が過ぎ、そして年末・・・なんてことを毎年思っている気がします。

庭のウッドデッキの一部がシロアリにやられてしまったので、これを機にウッドデッキをすべて撤去することにしました。シロアリの被害があった木材をはがしてみると、食害されてフワフワになった箇所で大小の黒アリが何種類か冬越ししていて、シロアリの姿はどこにもありませんでした。黒アリとシロアリは好む環境がかぶっているので黒アリがシロアリを追い出してくれて結果的に家が守られる、という話は本当だったんだなと感動しました。黒アリを駆除せずにいてよかったな、と思いました。


ローダンセマムは一年中見ていたいほど大好きな花です。水切れに弱いのでハンギングや鉢で寄せ植えにすると5月に枯らしてしまう失敗が多く、かといって地植えにすると水切れの失敗はへらせますが、草丈が低く高温多湿に弱いので、他の植物がワラワラ伸びる季節にあっという間に行方不明になり、梅雨の時期に消滅します。ということで、いまが一番見栄えがする時期なのです。



満開になったバラよりも、赤い新芽が伸びているバラの方が何倍もワクワクするのは私だけでしょうか? バラの花は咲いてしまえば散るだけですが、バラの新芽には、これからどんな花がどれだけ咲いてくれるのかという希望と可能性を強く感じるからです。



バラにありがちな失敗のひとつが水切れです。せっかくツボミが上がってきた頃に夏日がやってきて水切れを起こしたバラの葉がすべて落ちてしまった・・・という失敗も経験しました。
かといって水もちの良いプラ鉢にすると根があまり伸びない、咲かない、という負のループパターンもありがちです。



ガーデニング好きなマダムならよくご存知の「OLLA」。スペイン語で「陶器」という意味ですが、なみなみと水をためたテラコッタのツボを土中に埋めて、まわりの土にじわじわと染み出させる水やり方法で、スペイン入植者がアメリカ大陸に導入した自動かん水手法です。水切れを起こしやすいバラの鉢で試さない手はありません。ひとまずOLLAポットをGETする前に、テラコッタ製の支柱カバーをひっくり返して水を溜め、かん水能力をテストしています。



住宅街でガーデニングを楽しむとき大切なルールのひとつが、ご近所への配慮です。築年数がうん十年の戸建てなんかになると、庭木の枝が塀を超えてオトナリの大迷惑に・・・ということがありますが、住宅密集エリアではシンボルツリーを植えられるスペースはおろか、土がない住宅が多いですね。プライバシー保護の目隠しにガッツリした生垣を植栽するのは難しいので、やはり鉢植えが重宝します。オリーブの鉢植えは人気が高いのですが、ガッツリ肥料を与えて実を収穫しょうとすると、ハマキ虫が全ての穂先を食ってしまいやがることもありがちです。



ということで目隠し植栽には、ドドナエア・プルプレアがおすすめです。15cm足らずの苗が1年で1m近くに生長するうえ、病害虫もほぼでることがなく、しかも一年中葉が落ちないので目線をしっかり遮ってれます。なんなら冬には葉が紅葉するので、花が少ない季節の庭を彩ってくれます。放置しておくと、枝がどんどん密になるので、じゃまくさく感じた時に枝をバツバツと剪定してもへっちゃらなので、見通しと草丈をほどよく保つこともできます。



ブルーベリーのつぼみがひらきはじめ、ハナアブたちが集まってくるようになりました。
ウッドデッキを撤収したスペースに花々を植栽した庭には、ヤマバトだのメジロがやってきて、プープー、ピーピーさえずります。


新入りのクロネコの朝は、野鳥たちへのクラッキングからスタートします。
シャムトラ兄猫は、そんなクロネコに影響を受けて最近クラッキングが上達しています。






 

2024年3月13日水曜日

ミニトマトの収穫と咲きはじめた春の花々

 室内LED栽培のミニトマト、やっと収穫できました。やや皮がかためで口に残るものの、やっぱり極上の甘さと旨さです。フルーツ感覚でポイポイ食べられます。



現在では、室内栽培でかかせないLEDライト。冬場のエアプランツやコーデックスなど愛でながら育てるインテリアプランツには、LEDが大活躍です。ウォームホワイトな光を放射するLEDの光に当ててからというもの、冬場だというのにストリクタがぐんぐん育ちました。


耐寒性の低いエアプランツは、冬に室内で育てることになりますが、室内だと蒸れやすくなり腐らせるのが怖くて水やりできない、かといって蒸れないように風を当てていたらカピカピにミイラ化して枯れた・・・というケースが多いと思います。
LEDライトを当てているストリクタは、ほぼ毎日スプレーで水を葉面散布しているうえ、保水のためにガラスドームに入れておりますが、グングン大きく育ってます。



三寒四温とはよくいったもので、凍える冷たい雨が降った翌日はキラキラとした春の日差しが植物の開花を促進します。ミステリアスバニーというビオラは、なんとも不思議でステキな青と紫のニュアンスカラーが魅力なのですが、今年のミステリアスバニーは、はっきりとしたグラデーションになりました。とても気に入っています。



これもまた青みががった紫の花を咲かせるエキウム「ブルーベッダー」。昨年の10月に地植えした苗が2月のはじめから咲きはじめました。エキウムは、蒸れに弱く寒さに強いのだそうですが真冬からツボミをあげはじめ、いちめん枯れ草色の地面でいっそう際立って美しく咲いてくれていました。


エキウムは、本来は4月ごろから咲く花だそうです。やはり暖冬なのでしょうか。
隠れるように咲いているクリスマスローズは、昨年9月に植えたエレガンスです。


「あんず小鞠」も咲きました。クリスマスローズは年々大きな株に拡大し花数も増えます。
耐陰性が高い植物といわれますが、2年前に直射日光が当たらない場所に植えたクリスマスローズは今年になってやっと咲きました。ツボミを上げはじめる早春から春先は、日当たりが良い方が早く、たくさん咲くのだと思います。



50Lの大型ポットに植え増ししたキング・プロテア。昨年の冬に出たツボミは茶色く枯れてダメになってしまいましたが、今年出たツボミは枯れることなく大きく肥大しています。プロテアは中低木の木本植物なので、やはり年月が経つほど木が成熟して、勝手によく咲くようになるのだと思います。


2024年2月29日木曜日

もうすぐ初収穫! 室内栽培のミニトマトたち

 本日2月29日は 4年に一度の うるう年にだけ訪れる日。

 次回のうるう年となる2028年、そのまた次の2032年、そのまたまた次のうるう年2036年、地球がどんどん健やかになるために必要な知識とスキルがつまった「アグロエコロジー」は工業型農業から、持続可能な有機農法への変換を提唱する書籍です。


「農業を学ぶということは 地球をまるごと学ぶということだったのだ」




生態系がますます豊かになる園芸や農業の在り方について知ることは大切だと思います。明日から まるっとこの本を実践することはかなりハードルが高くとも 咲きはじめた梅にあつまるメジロを愛でたり 沈丁花の香りを胸いっぱいに吸い込んだり という心の余裕を大切にしたいと思います。




人工の光と無機肥料で育てるハイドロポニックは典型的な工業的農法ですが、ガーデニングのビギナーが多いホビーのハイドロポニック栽培者の多くは、経験を積めば積むほどオーガニック栽培や自然農法に移行する人の割合がふえます。




ハイドロポニック栽培は、シンプルなルールさえ守れば誰もが確実に苗の繁殖と収穫ができる農法ですが、コストと手間がかかるのも事実です。植物への理解と育てる知識が深まれば深まるほど、ムダ、ムラ、手間をなくして、よりおいしく、よりカンタンに上手に育てたいと感じるようになり「水より有機培地のほうが根は好きなんだ」とか「いっそ土壌を健康にすればするほど、植物は勝手によく育つんだな」という気づきが生まれるからなんだと思います。



仕事場で毎年育てているハイドロポニカリーな室内秋冬栽培のミニトマトの甘さとおいしさに勝る市販のトマトにはいまだ出会えていませんし、広大な農地をGETして自然循環型農法をすぐに実践できるわけでもありませんが、いつの日か健康な生態系のなかで付加価値の高い野菜や作物をつくれるようになる未来を目指しています。

2024年2月20日火曜日

香港のハイドロポニック農法ベンチャーAgrician 「THE FARM CLUB」

 Agrician の「THE FARM CLUB」では最新式バーティカル・ファーミングを実践しています。



ZipGrow垂直栽培専用システムに葉もの野菜や果実を植え、CANNA AQUA VEGACANNAZYMの培養液で育てています。 CANNAは、Agricianの創立者であるジャック・レオンのバーティカル・ファーミングとのコラボレーションをおこなっています。

2024年2月13日火曜日

2024秋冬室内栽培。ミニトマトより元気なビカクシダ

毎度のことながら、南関東に雪がふると物流に大きな影響がでるので大騒ぎとなります。それでも一晩で積もった雪は、午後から降った雨であらかた解けてくれたので安心しました。

月齢8ヶ月になる新入りの黒猫は、窓越しに空から降る雪をしばらく目で追っていました。



目が合えば追われていた兄猫と、ようやく至近距離で昼寝できるようになり、一安心です。



子猫に優しく、一番なつかれているおだやかな性格のシャムトラ兄猫ですが、私の不在中に勝手に侵入してきた野良猫に対しては、勇ましく一人立ち向かい追い出してくれました。


後々webカメラでチェックしてみると兄弟猫がとっとと避難してしまい、孤立無援のなか、たっぷり15分間は野良猫とにらみ合っていました。



さて、室内栽培のミニトマトたちは一段目の果房がどんどん大きくなっています。



ミニトマトよりもメキメキとイキイキと活発に生長しているのは、ビカクシダども。
リドレイですら、これっぽっちも枯れる気がしません。


胞子葉がゾロゾロと広がり、ミニトマトの誘因をする時にジャマですらあります。


グランデも元気です。





春になって青々とした草花が地面をおおいつくすまで寒々しい景色が広がります。
落ち葉におおわれた景色が、少しでも楽しく見えるように木の根元に、小さなドアを置いてみました。まるで妖精が住み着いているようで、とてもかわいらしいのですが、夜の間にタヌキが持ち去ろうとするので、虫ピンで固定しました。