2012年12月31日月曜日

『仕入れと調達』 バイヤー、マーチャンダイザーを志す人へ

多分、見るからに古典。
でも商売の原理原則は変わってないんだなってことが、
これを読むと凄く感じる。

すべてのバイヤー&マーチャンダイザーを志す人にお勧めしたい。
チェーンストアが前提なので、アパレルだけ、などに
特化している訳ではないのだけど、割と普遍的な話がされている。


・仕入れはバクチじゃない!
・仕入れ担当の評価は売上高ではなく粗利益高!
・仕入れ技術とは、追加補充の能力
・実際に売るまで売れるかどうかなんてわからない。
 安易に売れると思ったとか言うやつは博打してるだけで仕事してない。
・ベンダーとの関係構築12か条

  1. 先方トップとの定期的な接触
  2. 支払い条件の遵守
  3. 頻繁な先方への訪問
  4. 個人リベート、招待、饗応の絶対的固辞
  5. ④の違反者への厳罰
  6. 返品条件の明確化
  7. 自動補充など定番品であっても13週ごとに変更
  8. 効率数値が変化したら原因を明確にして直ちに応急策と制度対策を
  9. 自社の業績と、計画を常に先方へ伝える
  10. ベンダー協力会の編成と運営
  11. 株式配分や出資、融資保証はさける
  12. 一定期間で周期的にベンダー見直し
・欠品率は18〜56%程度ある。これを2%程度まで下げる努力を!

2012年12月30日日曜日

国内MBA受験対策 〜筆記試験対策その2〜

論理的な思考ができていて、それをちゃんと人に伝えられるか、
というのが筆記試験のポイント。

そんな中、とりあえずおさえておいた方が良いのが、
外資系コンサルの面接でよくあると言われるケース対策だ。

要するにフェルミ推定に関して、
最低限のことはできるようにしておこう、という話。

羽田空港の1日の発着数は?とかそういう類いの問題ね。
これはもちろん、発着数がいくつか知ってるか?という話じゃなくて、
発着数を合理的に推論してみろ、ってこと。

で、こういう問題には解き方というか、
考え方の方法論があるので、1冊読んでおくだけで違ってくる。


私が読んだこの本は、実際に外資系の現役コンサルタントが模範解答をして、
思考の過程を明らかにしてくれるというのが、何よりわかりやすく参考になった。

どういう要素に分解して、それぞれの要素を合理的に推測していくだけなので、
あまり難しく考える必要はない。
知識を問うことはないので、わからない要素が出てきたらそれもとりあえずこう仮定すると、
こうなりますよね、とぐいぐい仮説をおいて進めていけば良いだけなので、
コツさえつかんでしまえば早々難しくないはず。

慣れないうちは何度も自分でやってみるべし。
繰り返すうちにフェルミ推定っぽい思考が染み付くはず。

2012年12月29日土曜日

サムスンのことがマンガで3時間でわかる本

サムスンのことを、ざっくり把握したかったので
読んでみたのだけど、、、人に勧められるかは微妙なところ。

1トピックス=1見開き

っていう構成で、右ページが解説、左ページがマンガ、なのだけど
このマンガがびっくりするくらい意味がない!
意味が無さ過ぎて面白いくらい、意味がない。

ちなみに内容も飛び切り薄いけど、サムスンすげーなってことは
3時間でざっくり把握することはできた気がする。





・サムスンは材料の調達はかなり日本からしている。

・日本市場からは撤退したが、液晶やメモリの世界シェアは最強

・オーナー企業でフットワーク軽い、けど後継者が育つかは問題
良くも悪くもオーナー企業。先代、今の社長は超優秀。
カリスマ社長依存による後継者問題あり。

・2番手戦略で研究開発費は抑える。
リバースエンジニアリングによる、徹底した2番手戦略で
研究開発費の使い方を効率化している。
また世界展開の際に、
現地のニーズに合わせた商品開発をしており、
その国のニーズを徹底的にリサーチする。
このマーケティングコストも研究開発費という扱いになっているらしい。
これはとてもユニークな考え方だな。

・マーケットイン!
日本の企業はプロダクト・アウト志向で
良い物を作れば世界で売れると思っていた。
でもサムスンはマーケット・イン志向。
必ずしも高機能でなくても、必要十分な機能を
リーズナブルに提供できた方が勝つ!
現地のニーズをリサーチし、要求を満たす品質のものを提供する!
だから製品の機能や品質は日本のメーカーの方が優れている点は多々あるが、
世界の売上ではサムスンの足元にも及ばない。

2012年12月28日金曜日

衣料品MDの成功方程式

原点回帰ということで、
アパレル業界の基本を学び直しているところ。

昔読んだこの本を引っ張りだしてきてみた。
ケースによって数字のぶれはあるとは思うが、
ある程度基本的な考え方はできるのよってこと。
考え方がある上で工夫していくのと、
やみくもにやるのでは違うということだ。


もう結構刊行から時間が経っているので、
新刊見つけるのは難しいかも?

以下は再読メモ

・店舗販売での各数値想定
坪単価120万円〜130万円
売場面積150坪で2億目指し、このとき粗利6000万円(30%)
販管費4500万円(22.5%)、営業利益が1500万円(7.5%)
でも、チェーン店の場合、2%程度の本部経費が徴収される。
値下げロス率は6%が標準値だが、3%程度〜10%越えまで揺れは大きい。
しまむらの在庫回転率は9回を越えている。

・成功の秘訣は買い足しMD
しまむらでの300坪型店舗の取り扱い商品数は4万〜5万アイテム。
ただし、在庫は薄い。
シーズンアイテムである女性のアウターなどは2〜3点程度で、
シーズンアイテムは原則として同じ商品のリピートはしない。
似た物を買い足していく形。これは店頭の鮮度を保つためでもある。
一方定番アイテムは本社で一括して追加発注、自動補充が仕組み化されている。

・食料品と衣料品の年間消費支出額
食料品が26万8990円、衣料品は8万5740円。
つまり食料品の3分の1以下の金額しかない。
食品と同じだけ売り上げようと思うと、3倍以上の顧客数がいる。
これがスーパーでの衣料品販売の難しさの要因の1つ。

・衣料品の特徴
小ロット生産=欠品が生じやすい。
従って、欠品が前提となったシステム利用、
商品管理を実践しなくてはいけない。
特に効果的な管理手法は単品管理ではなく、
属性管理と言われるもの。
単品管理で同一商品を追加発注しても欠品している可能性が高い。
売れた商品の属性を把握し、似た属性の商品を補充していく!

・最量販価格帯
数多くのタイプの商品が揃えられる中での最低価格帯。
顧客に選ぶ楽しみを与えつつ、低価格。
結果、販売が最大化する価格帯。

・品種別上限価格と下限価格の考え方と構成比
上限価格:中心価格*3(45%〜55%)
中心価格:最量販価格帯(35%〜40%)
下限価格:中心価格*0.5(10%〜15%)

*意外と上限価格の構成比って多い?
 中心価格帯よりも高めの価格帯の物という捉え方が妥当か。

・価格差は1.25倍以上無いと、認識されない!
1.25倍以内の価格差は消費者に価格差として認識されない。
なので小さな差はどちらかに寄せるべし。


2012年12月27日木曜日

magaseekの商品詳細を見て思うこと

今年の秋にリニューアルした、
ファッションECサイトmagaseekが結構面白い。

トップページに思いっきりレコメンドエンジン導入して、
ビジュアルコミュニケーションを重視した作りにって所ばかり
フィーチャーされてるけど、あれは見栄え良くても
売上には繋がらんのでは?というのが僕の見解。

まぁ、トップページに関しては色々なところで語られているので
置いといて、今日は商品詳細の話。

これが結構良くできていて非常に参考になるのだ。


まず、商品詳細のキャプチャ、
全体像はこんな感じ。

まず、徹底したモデルカット撮影。
よくやるなーと感心してしまうくらいがんばってる。
コストをどれだけかけているのか気になるところ。

そもそも商品撮影の前提としては、
従来のトルソーでの物撮りはモデル費用はかからないものの、
かえって商品のシワやゆがみが目立つので、
丁寧にやると意外と1時間あたりに撮影できる枚数は少なくなる。

その点、モデル撮影はモデル費用という若干のコストはかかるが、
撮影効率自体は圧倒的に良くなる。

撮影は倉庫に併設されたスタジオで行われており、
岐阜から座間への物流拠点の移動も、
モデルの手配を容易にするという狙いもあった模様。

また、商品写真は自社撮影とメーカーから提供された
写真素材とを合わせて、使用しているようだ。



それでは、各TOPICSごとに気づいた点をメモしていく。

1.メイン画像&サブ画像
メイン画像は500*600の長方形で、最近のトレンドをばっちり抑えた縦長サイズ。
画像は拡大が可能で、元データの画像サイズは950*1140という
結構大きなサイズで持っているのがポイント。
例えばZOZOはカット数は多いけど画像は拡大できない。
サブ画像の配置も、メイン画像の右に並んでおり、切り替えが容易。
ZOZOなどが代表的だが、サブ画像はメイン画像下に配置されているケースが多い。
今回メイン画像の右に配置されることで何が良いかというと、
「カートに入れる」ボタンとのマウス移動距離が非常に短く設計されており、
閲覧から買い物までマウスの移動が少なくて済むデザインになっていること。
これは、結構重要なポイントだと思っている。


2.パンくずの表示
赤で囲んだエリアAにその商品が所属しているカテゴリーが階層状態で表示されている。
俗に言うパンくずというやつ。
この商品で言えば、親カテゴリであるカーディガン、その親がトップス、
その親にブランド(アーバンリサーチ)カテゴリがある、というカテゴリ構造になっており、
ここからそれぞれの商品一覧へ移動できるようになっている。
基本中の基本だけど、SEO的にも大事なポイント。

3.ブランド内売上ランキング
赤で囲んだエリアBの部分。そのブランドの売上ランキング該当商品の場合、
ここに「アーバンリサーチ売上1位」と表示される。
そのブランド内で売れている商品のランキングを、
当該ブランドの商品一覧ページに表示したりするのはECサイトの常套手段。
でもそのランキング結果を商品詳細に埋め込んで訴求するってのは、ちょっと新鮮。
ランキング集計、表示の仕組みと商品詳細がしっかり連動できていないと
無理なわけで、システムの設計がしっかりされているんだなと感心します。

4.カート投入エリア
赤で囲んだエリアCの部分。
コンバージョンへの影響も大きいカート周りの表示にも
工夫が詰まっている。
そもそもまずこのエリア自体が、商品詳細のスクロールに合わせて、動く。
なので、ページ下部の情報を見ようとスライドしたときにも、
このエリアが下へ追いかけてきてくれるのでそのままカートに入れることができる。
この辺の配慮がコンバージョンレートに影響を与えることを熟知していてさすが。

また、色、サイズ展開をすべて表示せず、ユーザーに色とサイズを選ばせて
カートに入れる、という流れにすることでこのすっきりしたデザインを実現している。

色、サイズ展開をすべて表示するか、しないかはメリット、デメリットの双方があり、
どちらが正解かは一概には言えない問題。
すべて表示していれば、在庫状況が一目でわかるし、
欲しい色、サイズのカートを入れるボタンを押すだけでカートに入る。
ただし、展開数が多いとズラズラと並んでしまい、超縦長になってしまう。
その際、果たしてこれがお客様にとって選びやすいのかは疑問。
また、商品詳細ページにアクセスした時点で、すべての色サイズの在庫情報を見に行くので
データベースへの負荷も上がりやすい構造と言える。

表示していない場合は、基本的に在庫状況が一目でわからない。
マガシークの場合も、在庫状況を一覧で見たければ、
在庫状況を確認するというボタンを押さなくてはいけない。
また、カートに入れる際にも、カラーとサイズを選択して、カートに入れるボタンを
押さなくてはならず、最大3クリック必要。(カラー、サイズ、カート)
とはいえ、シンプルなデザインが可能になるし、サーバーへの負荷も抑えられる。

どちらが正しいかはわからないが、
少なくともマガシークはしっかりと自分たちのした判断に
最適なデザインをすることができていると思う。

5.モデル着用サイズ&着丈ガイド
赤で囲んだエリアDとE
自社でのモデル撮影が前提になっているので、
しっかりとモデルの身長や3サイズを表記している。
サイズ感のイメージをつけるにはこういうアプローチが一番親切。
サイズ表の数字だけじゃほとんどの人は想像できない。
さらに身長別の着丈ガイドも用意していて、
自分の身長とアイテムの種別を選ぶと、着丈ごとに
どれくらいのイメージになるか教えてくれる。
これもちゃんとお客様のことが考えられていて偉い。

6.チェックした商品
赤で囲んだエリアF
個人的には今回のマガシークのリニューアルで
一番良いなと思っている機能かもしれない。
商品一覧や検索結果などで、気になったものをとりあえずチェックしておくと、
後でチェックした商品だけの一覧が見られるという機能。
商品詳細からもここをクリックすることで自分だけの商品一覧へ戻ることができる。

7.レビューとコメント
赤で囲んだエリアG
お客様からのレビューやコメントを表示できるエリア。
アマゾンみたいな☆印での評価は無い。
これは低評価レビュー対策の一環だろうか、と勘ぐりたくなる。
レビュー自体への評価機能もあったら良いのに、とは思うが
アパレル商材の場合、商品の寿命が短いので
そんなにレビューを貯めて活かそうという発想にはなりづらいかもしれない。
でも、レビューをするお客様の身長や足のサイズが
表示されるようにしているのはすばらしい工夫だと思う。

以上、magaseekの商品詳細メモでした。
商品詳細ページは奥が深いので、日々色々なECサイトを見ては、
これは何を意図してこんな風にしてるんだ?と考えてます。
まともにやっているところはここに本当に様々な工夫を凝らしているので、
感心することしきり。

良い戦略、悪い戦略

年の瀬だから今年読んだ物を振り返っていたら、 思い出しました。
真っ赤な装丁の憎いやつ。 


著者のルメルトはリソース・ベースト・ビュー(資源ベースの戦略)の提唱者の1人。
企業は限られた資源を何に割り当てるのか、という視点を戦略論に持ち込んだ人。 

リソース(資源)は有限なのだから、効果が最大にあがるところに突っ込め!というお話。 
本書にもその考え方は生きていて、
良い戦略は驚くほどシンプルにそれらの事を成し遂げていることを、
様々なケースを紹介しながら解き明かしてくれる。 

同時に、世の中には戦略とは名ばかりのまがい物があふれている事を教えてくれる。
曰く、目標は戦略とは違う!

マーケターでなくとも読み物として単純に面白いレベル。

そしてついでに書いておくと、
そもそも戦略、作戦、戦術、兵站(後方支援)、の関係をしっかり整理できてる人は少ないと言われている。
確かに周りには全然いなそう。出版社だからかな・・・
普通の会社だともっといそうだけども。

「戦略 戦術 違い」とかでググればたくさん出てくるけれど、
非常にわかりやすくまとめてくれている良記事が
誠Bizに載っているので紹介しておきたい。


2012年12月26日水曜日

IR情報の月次概況から見たZOZOTOWN

ポイント10%還元と送料無料の
発表が記憶に新しいZOZOTOWNですが、
効果の程はどんなもんなのか、見てみた。

数字はスタートトゥデイ社のIRライブラリ内にある月次概況を参照してます。









(注)
2.受託販売にかかる分も販売価格ベースで算出した、EC 事業全体の販売高を表す数値
3.「ZOZOTOWN」の登録会員数(ゲスト購入者は含まない)
4. 過去1年以内に1回以上購入したアクティブ会員数(注5)とゲスト購入者数(注6)の合計人数。
5.過去1年以内に1回以上購入した会員数(ゲスト購入者は含まない)
6.会員登録を行わず購入したユニーク購入者数
7.数値は速報値であり、修正する場合があります。

さて、ポイント10%還元と送料無料がスタートしたのが11月1日、
確かに11月の数字はどれも上向いている。

なかでもZOZOTOWN自ら月次概況で触れているように、
会員数の純増数が単月10万人を越えたのは、セール時期以外では初めて、とのこと。

如何にこのキャンペーンが話題になり、新規会員の獲得に繋がったかが推察される結果。
そしてZOZOはあんなにSALE時期にマス広告打ちまくっていたのに、
10%還元っていう実質値引き情報で動く層はまだまだいるのね、とも思ったり。

でも、この10%還元はSALE品は対象外なので、
12月~2月半ばくらいまでは対象商品がすごく減るはず。

で、来春のプロパー品も全部10%還元されるかねってところがポイント。
うちのブランドは10%還元の対象外にしろー!ってなメーカーからの要望が
結構出ているという噂もあり、ふたを開けてみたら、結構人気のブランドが
丸ごと対象外に、なんて事態もありえるかも。

それでも効果があるならやめられない、ってなるのかもしれないけれど、
個人的には、あれだけ鳴り物入りではじめて、メーカーとの仲もこじれて、
でも、効果はこれだけ?という印象。

実際マーケットの反応も期待はずれだったようで、
この概況が発表された12月4日以降、しばらく株価も落ちてる。

個人的には今回の1手は悪手だったと思っているので、
なんとか「値引きではない」次の一手を仕掛けて欲しいな。

ZOZOの失速はアパレルEC全体の失速にも繋がるので・・・・・・