資金調達のエッセンス

日々の経営には資金が必要であり、ヒト・モノ・カネがグローバルに動く時代

マイナス金利解除で中小企業の資金繰り悪化

日銀がマイナス金利政策を解除したことで、企業の資金調達環境が大きく変わりつつあり、特に新型コロナウイルス禍で実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を受けた中小企業にとっては重荷となっているようです。

銀行

東京商工リサーチの発表によれば、ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は、令和5年度に622件と年度ベースでは過去最多を記録しており、中でも飲食や建設関連の倒産が目立っています。

ゼロゼロ融資は、令和2年3月に始まり、利子は国が都道府県を通じ3年間負担し、返済が滞ると公的機関の信用保証協会が肩代わりようになっており、 これまで民間と政府系金融機関で計約245万件、約43兆円の融資が行われていて、その返済は今月に入り最後のピークを迎え、政府は返済負担軽減のための支援策を6月末で終了し、7月以降は経営改善に重点を置いた支援に戻します。

ゼロゼロ融資を利用する企業は、コロナ禍に耐えた一方、元本払いと利払いの負担が重くのしかかってきた中、追い打ちをかけるのが、日銀の政策転換で先行きの政策金利について、植田和男総裁は「急激な上昇は避けられる」と説明するものの、3月の企業短期経済観測調査(短観)では、3カ月後の借入金利水準について、多くの企業が上昇を見込んでいたのですが、取引先の中小企業では金利上昇が不安要因となり、先々の投資意欲は下がっているのだそうです。

地方銀行で相次ぐ初任給アップ

地方銀行が相次いで初任給を引き上げており、その額は額は5万円前後にも上り、各行「メガバンク並み」を売りに優秀な人材を獲得したい考えのようです。

地方銀行
売り手市場が続く学生の就職活動で、首都圏の企業に学生を奪われ、収益力低下によってかつての人気就職先も人材確保が難しくなっていることから地方銀行も人材確保のため、メガバンク3行が24年度から大学卒総合職で25万5000~26万円に引き上げることから、メガバンクとの競合は避けることはできず、メガバンク並みの待遇をPRしていきたいところのようです。

かつては、地銀は地方出身者の人気の就職先だったのですが、低金利の長期化により収益力が低下し、全国的な人手不足もあって人材確保が難しくなっており、西日本が拠点の地銀では、今年4月入行の採用数が計画の8割弱にとどまっているのだとか。

emole、総額約2.6億円の資金調達を実施

1話3分のショートドラマアプリ「BUMP」を手掛けるemole株式会社が、計6社のベンチャーキャピタル[千葉道場ファンド、サムライインキュベート、D4V(Design for Ventures)、朝日メディアラボベンチャーズ、ココナラスキルパートナーズ、アドウェイズベンチャーズ 以下、VC]を引受先とする2.6億円の第三者割当増資(プレシリーズAラウンド)を実施。

総額約2.6億円
シードラウンドの調達額とあわせ、これまでに累計3.1億円を調達しており、今回の資金調達によりアプリユーザーの拡大と、クリエイターが参画しやすいプラットフォームへの進化を加速させ、emoleがビジョンとして掲げる「創造で挑戦できる世界へ」を早期に実現していくようです。

2022年8月に行ったシードラウンドの資金調達により、ショートドラマ配信アプリ「BUMP」は、2022年12月末にローンチすることができ、アプリのローンチ後約8ヶ月経過し、アプリは50万DLを超え、App Storeの全体ランキング(無料App)ではノンプロモーションながら最高で3位を記録、TikTokなどSNS上で公開しているプロモーション用ショート動画の総再生回数は、約4.6億回まで増加しています。

今回の資金調達では、ショートドラマコンテンツの制作と公開サイクルを早めるための体制構築(採用強化+外部パートナー拡大)と、アプリUI/UX強化、プロダクト開発体制強化に充当し、良質なドラマコンテンツをより没入感のある視聴体験としてユーザーにお届けし、1話毎の有料課金や広告視聴を積極的に促し、クリエイターへの利益循環の強化・クリエーターエコノミーの構築を目指します。

ショートドラマ配信アプリBUMPは、「制作原価」の回収前後でクリエイターに支払う報酬体系が変わり、制作原価を回収するまでは、1話67円の課金収入や広告視聴によって得られる広告収入からストア手数料を差し引いた利益の70%をクリエイターに還元。

回収以降も40%を還元する仕組みを取ることで、クリエイターは安心して次の作品づくりなど、新たな創造的な活動に挑戦することができます。

こうした収益還元体系を整備することで、emoleとクリエイターは一蓮托生の関係性を構築することとなり、emoleおよびBUMPは制作費分の利益を早期に回収するという短期目標に全力を注ぎ、結果としてドラマ作品をヒットさせることが事業繁栄の生命線となり、より面白く幅広いユーザーに響くコンテンツが世の中にあふれます。

今後は、経済的な還元だけでなく、「コンテンツづくり」のノウハウをクリエイターと共有するコミュニティプログラムを構築する予定で、コミュニティでは、流入元や離脱率など、アプリに蓄積されたトラフィックデータを共有し、クリエイターは自らコンテンツを分析し、ヒットから逆算したドラマ制作のPDCAを回すことができるようになります