あの懐かしい名作をもう一度

昔の漫画を週一でレビューします

泥なんて何だい!「うしおととら」1~25巻

「泥なんて何だい!」

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(19巻 68ページより)


うしおととら」の連載が始まった時、私は小学生でした。
当時は兄がサンデーを買っていたので読もうと思えば読めたんですが私は読まなかったんですね。
何故読まなかったというと人がバンバン死んで怖かったからです。
それでも怖い物見たさで飛び飛びで読んでたんですが本格的に読み始めたのは中学生の後半からになります。
その時に読んだのがこの「泥なんて何だい」のエピソードでした。


うしとらには多様な面白さがあるためにその魅力を一言で言い表すことができるものではありません。
それでもその多様さのうちの一つに蒼月潮という主人公の格好良さがあると思います。
スタイリッシュとかスマートといったモノとは真逆の泥臭いけれど熱くて真っ正直な格好良さ。
それでも男子たるもの時代を超えてこういった格好良さには憧れを抱いてしまうものだと思います。
うしおととら」が不朽の名作と言われているのもそういった理由があるのでしょう。


それと多様な面白さのうちで忘れてならないのがヒロインの可愛さでしょう!
前述したとおり、物語は中盤になるまで飛び飛びで読んでいたのである程度は把握してたんですが、その中でも印象に残っているのは鷹取小夜さん。

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(6巻 41ページより)


この座敷童のエピソードは珍しく人が死なないものだったから読めたというのもあります。
エピソードの冒頭で小夜さんが全裸を披露してくれたから食いついたという理由も否定できませんが。(笑
でも全裸よりもこの最後に見せてくれた笑顔の方が断然に魅力的でしたねー
潮は女の子の涙を止めるだけでなく、笑顔にすることができる主人公だから格好良いんだよなぁ。


それと個人的に忘れてはいけないヒロインとしては鎌鼬のかがりが居ますね。

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(24巻 8ページより)


妖怪だけどシリーズ通して一番真っ当にラブコメしていたのはかがりなのではないかと思います。
その相手がとらというのも中々に興味深いですが、とらはとらで格好良いから納得モノですよね。
私は普段はバブル全盛期を思い出すボディコン姿だけに、たまにこういった和服姿を見せてくれるとギャップにやられちゃったんだよなー


それにしてもTVアニメ化に伴いブラウン管のテレビが薄型テレビになり、ブルマが短パンになったりと時代に合わせて色々と変更されてましたが…
流石にかがりの服はボディコンのままでしょうね…?
OPを見る限り大丈夫だとは思うのですが…!
ただ、全39話ということから考えてこのエピソードは削られそうなのが残念です。
うしとらのTVアニメを見て懐かしく思い、原液そのままで楽しみたくなった人は電子書籍で揃え直せばスペース取らなくて便利ですよ!
何故かKindleまとめ買いだと1~25巻と26~34巻の二つの分けられてるけど。

 

 

26~34巻の思い出話はまた来週以降にしたいと思います。

斜め上を行く面白さ「レベルE」

あいつの場合に限って 常に最悪のケースを想定しろ
奴は必ずその少し斜め上を行く!!

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(1巻 85ページより)


既にオタク界隈だけではなく、日本語として定着してきた感がある「発想が斜め上」。
その原点はこの「レベルE」でした。


かつて「邪王炎殺黒龍波」「邪眼」といった中二病の原点とも言えるフレーズを生み出した鬼才・冨樫義博
幽☆遊☆白書」連載していた当時、リアルに中二だったので色々と心をくすぐられ捲っていたので、その次回作である「レベルE」には期待が高まっていたんですよ。
新連載一話目を読んだ時は「今度は宇宙人とのバトルか!?」などと期待していたんですが蓋を開けてみたら斜め上の面白さのオンパレード
宇宙一頭の切れるバカ王子に、登場人物だけじゃなくて読者のこっちまで振り回されてました。
だって、まさか、バカ王子たちが描いた漫画を読まされているとは思うはずがないじゃないですか?(笑


それでいてちゃんとどれもが面白いエピソードになっているから凄いんだよなぁ。
小学生5人組のエピソードも、最後に良い話をもってくるとか一杯食わされたって感じだったし、何より結婚騒動はもっとそうでしたね。
そういった、読者の予想を裏切った上で、更に期待していなかった種類の面白さで切り込んでくるのがこの漫画の醍醐味だったんだと今では思います。


ちなみに作者の冨樫義博さんですら斜め上であろう意味でこの作品は私にとって思い出深いです。
その理由がバカ王子に振り回される筒井雪隆が巻き込まれる超能力者編のこちらのワンシーン。

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(2巻 172ページより)

モデルとなったのは1996年第78回甲子園で優勝した松山商業で、その主将の今井くんでしょう。
で、なぜ思い出深いかというと松山は私の地元で、今井くんと同学年なんですよ。
ちなみに高校は違ったし、中学も隣りだっただけなんですけどね。
ただ、奇跡のバックホームを成し遂げた矢野くんとは同じ中学だったので妙に親近感があるのは確かです。


熊本工対松山商 10回裏 奇跡のバックホーム Hi-Vision - YouTube

まぁ、矢野くんは中学の途中で転入してきた上に同じクラスになったことがないので印象が殆どなかったりするんですけどね。(笑

彼も間違いなく私のことを覚えていないでしょう。


そういった特殊な例はともかく、真っ当な意味でも色々と印象に残る作品でした。
しかし今になって読み返してつくづく思ったんですが…
冨樫義博さんってチンピラを描くのが本当に巧いよね…(笑

 

 

友情・努力・勝利!「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」

「勇者とは勇気ある者ッ!! そして真の勇気とは打算なきものっ!!
 相手の強さによって出したりひっこめたりするのは本当の勇気じゃなぁいっ!!!」

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(2巻 237,238ページより)


このまぞっほのセリフが出てきたロモス王国編が連載されていた当時、私は小学生でした。
そしてあれから20年以上経っていますが、このセリフほど印象に残っている漫画のセリフとは未だ出会ったことがありません。
当時、弱虫で逃げてばかりいたポップに共感していたからこそ、心に響き、焼き付いたんだと思います。


ダイの大冒険」といってまず思い起こされるのはやはりポップでしょう。
GS美神」の横島忠夫と並び称される、脇役からもう一人の主人公に成長したポップ。
憧憬型の主人公であるダイとは違い、共感型の主人公だったからこそ子供心に感情移入して物語に没入していき、だからこそポップのメガンテの場面は本当にショッキングでした。

 

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(8巻 28ページより)


昔から泣き虫だったポップだけど、この時の涙だけはバカにすることはできないよ…
この回を読んだ時はポップに感情移入しまくりで涙を流したなぁ…
そんなポップもこの後も成長を繰り返し、最後にはダイと同じく憧憬の対象になっていたように思います。


そんなダイとポップ、二人の主人公に牽引された物語は今でも色褪せない面白さを持っています。
たとえ死んでも親友のことを見捨てない友情。

好きな女の子のために必死に頑張る努力。

そして卑劣な敵を打ち倒しての勝利
そういった少年ジャンプの三大要素を内包するだけでなく、ダイやポップ、それにヒュンケルやザムザといった子供とその父親との間にある確執と敬愛が物語の随所に散りばめられているところが少年漫画らしいと思います。


また、ダイとポップといった主人公サイドだけではなく、大魔王陣営にも魅力的なキャラクターたちが集ってました。
フレイザードやザボエラといった見下げ果てた悪役に、狡猾さと残忍さを併せ持つ死神キルバーン
そして何よりも圧倒的な凄味を見せたのは大魔王バーンその人でしょう。

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(14巻 111ページより)


ダイが一撃でやられた時点で絶望感が漂っていたというのに、更に勇者パーティーを絶望させるこのセリフ。
連載当時はどうなるのかとハラハラしまくりで、弟と一緒にどうなるのか戦々恐々としてました。(笑


また、物語の構造も非常によくできており、メドローアやゴメちゃんといった初期から設定されていた要素への伏線もさり気なく配置されいて巧みでしたね。
さすがにアバン先生の復活は後付けだと思いますが(笑)、それでも「カールの守り」といった伏線を追加することで説得力を持たせていたのは素直に凄いと思います。
個人的に一番好きな伏線とその回収はまぞっほとマトリフが同門だったというものですね。
まだ弱虫だった頃のポップを突き動かした言葉がのちに師事することになるマトリフの師匠のものだったということに運命を感じるじゃないですか!
その事実が判明した直後にまぞっほも勇気を振り絞って黒の核晶を凍らせるという演出も心憎いんだよなぁ。


ポップが強敵に立ち向かう姿や言葉を心に刻み、ザボエラを反面教師にと私の人生はかなり影響を受けています。
それと今の時期は傘を持つことが多いですが無意識に逆手に持ってしまうのも間違いなくこの漫画の影響ですね!
でもなぁ、あと20年経っても気が緩んだらついやっちゃいそうなんですよね。アバンストラッシュ!って。(笑

 

 

 

中華妖怪伝奇ファンタジーの傑作「3×3EYES」

「藤井八雲の名において命ずる! 出でよ土爪!!」

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(3巻 101ページより)

 

今から20年以上前、「幽☆遊☆白書」や「うしおととら」や「GS美神」とともに妖怪漫画ブームを支えた青年漫画「3×3EYES」
「三只眼吽迦羅」という三つ目の妖怪である少女・パイとオカマバーで働く以外は普通の男子高校生・藤井八雲が出会ったことから始まるボーイ・ミーツ・ガールです。
「三只眼吽迦羅」が用いる「不老不死の法」で不死身の「无」となった八雲が人間に戻るためにパイとともに「人化の法」の秘密とその術で用いられる「ニンゲンの像」を巡って妖怪たちが蔓延る闇の世界に踏み込んでいく伝奇ファンタジーなんですが…、
スケールが余りにも長大だったが故に完結に15年を費やしたがため、全て読んだ人は少ないかも知れません。


私が「3×3EYES」を読み始めたのはリアル中二の頃だったのでそれはもうリアルでやっちゃいましたね! 「出でよ土爪!!」って!w
他にも梵字や中国語を覚えようと頑張ったり、第三部の頃のパイの絵を真似ようと模写しまくったとか、私の黒歴史とともにある作品です。こいつぁ、ヤクいぜ!
おそらく当時中高生だった人には似たような思い出があると思いますw


当時流行った理由にはそういった中二心をくすぐる要素が多く使われていたというのと当時最先端の絵柄だったこともそうですが、ストーリーとして非常に優れていたということもあると思います。
特に第二部「聖魔伝説編」の完成度は非常に素晴らしく、ラストの”メインヒロインがメインヒロインではなかった”という衝撃はリアル中二だった当時の私を打ちのめし、数日間学校の授業が頭に入ってこないほどでした。

 

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(5巻 204ページより)

 

漫画であれほどの衝撃を受けたのはドラゴンボールクリリンが死んだ時から二度目でした…
その後の第三部「聖魔世紀編」は絵柄が更に洗練されたことで人気も上昇し、おそらくここまでは読んだ人が多いかと思います。


ただ、第四部は月面でのベナレスとの戦いや、亜空間アンダカでのラートリーたちとの出会いなどかなり長かったので、どこかの時点で読むのを止めた人が多かったようで残念です。
一応全巻読んだ私からすると無駄な所はなかったですし、特に「三只眼」がデレ期に突入してからのツンデレっぷりとか見所も沢山あるんですよ!

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(18巻 ページより)

 

他にも復活した鬼眼王シヴァとのサンハーラを巡る最終決戦では第一部に出てきた夏子とか昔のキャラも殆ど出てきてかなり読み応えがあるんですよ。
ただ、シヴァとの戦いだけでも10巻以上使っているので読むのに時間が掛かって本棚のスペースを取るのだけがネックなんですが、それも電子書籍なら問題になりません。

 

また、後日談も度々描かれてこちらはエブリスタで公開中です。

estar.jp


ちなみに後日談の中でも一番オススメ「李家の秘宝」ですね!

ここでの八雲にデレッデレな三只眼が可愛いんだ!

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(「李家の秘宝」より)


昨今のジョジョやうしとらのアニメ化を考えると「3×3EYES」もアニメ化がありえるんじゃないかと期待しています。
今こそ「藤井八雲の名において命ずる! 出でよ土爪!!」を聞きたいですね!


ちなみに現在続編である「3×3EYES 幻獣の森の遭難者」も連載中です。

estar.jp

 

こちらの単行本はもうすぐ発売です。 

 

 

今だと Kindle版はまとめ買いが出来ます。

25巻はアンダカでのラートリーたちと出会い、ウシャスを目覚めさせるまでですね。

 

26巻からはついは鬼眼王が大きく動き出してクライマックスに突入します。