GAME LIFE HACK

ゲーム生活、少し変えてみませんか?

『デモンエクスマキナ』がメックアクションとして最高だったから四の五の言わずメカバトってくれ

それでも「デモエクでメカバトる」は流行らない。 
 
ロボットやメックを操作する、いわゆる「ロボゲー」と呼ばれる類の作品は、突き詰めれば「カッコいいメカをカッコよく操作してカッコよく戦ってカッコよく撃破するかカッコよく倒される」の一点が十全に機能すれば満点のジャンルである。
 
つまるところ仮想世界でロボット遊びが出来てればまず作品としての品質は完成されたも同然で、それはデザインがヒロイックでもリアルでもほぼ確実に必要となる要件である。
 

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そして先日クリアした『デモンエクスマキナ』は、そういった「メカアクションとして実装して欲しかった要素」を粗削りながらもキッチリと押さえてくれた非常に楽しいメック操作ゲームに仕上がっていた。
 
ストーリーモードをクリアした今は試してなかった装備を組み合わせ「俺の作った機体カッコいいじゃん?」と自己満足に浸りつつ、新たなパーツ掘り目的でフリーやマルチに潜り、更にシックリくる機体の構築に勤しんでる最中だ。時折ただ試験場で動かしてるだけで満足している時もある。
 
そして、本作を遊んでいくにあたり浪漫に感じた部分を書き連ねていったら割と長くなったので、一度整理し直してみたら今回の感想記事の骨子が出来上がった方向性としては気になってる方向けににまずは体験版辺り遊ばすよう背中に思い切り蹴りを入れる方向の内容となっている。
 
言うまでもないが自分はフロムゲーの類は全然遊んでない身なので某ハイスピードメカアクションとの比較とかそんな器用なこと出来ないです。いやほんとほんと
 
あとこの記事12000文字くらいあるしそんなん読む暇あったらさっさと体験版DLして遊んできたほうがよい。
 
 

拘りぬかれたメカ表現

 
もんだい:暴走した無人兵器が襲ってきたらどうする?
 
せいかい:人型メカに乗ってたたかう

 

本作『デモンエクスマキナ』は強化外部装甲である「アーセナル」を組み上げ搭乗して、様々な依頼をこなしていくメカアクションゲームだ。
 
そしてメカが主体な作品だけあって挙動の作り込みがどこまでも細かく仕上がっている。
 
都度展開される全身のハッチ、エネルギー表現として発光するスリット部、常に接地される脚部の挙動、砲身の展開開閉ギミック、方向転換や速度変化で時折発生する特殊旋回動作など、おおよそ二足歩行メカで機能して欲しい挙動は一通り実装されている。
 

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そして「デモンエクスマキナ」で嬉しい仕様のひとつに「拠点となるガレージ部分で歩き回ることが出来る」という部分がある。本作では中のパイロットとして自分の機体を見上げることが出来るのだ。

 
大まかな流れである「機体を組み上げる → ミッションを受諾する → 目標達成を目指す → 更なる機体改善を模索する」の繰り返しの際、アクセス頻度がいちばん高い出撃メニュー部分を、移動を介する形式で分解したわけなのだが、このひと匙の仕様のおかげでミッションの幕間に毎回「メカに乗り込む感触」を実感出来るようになっている。
 
おかげで乗り込む機体を常に認識できるし、何よりマルチプレイ時には他プレイヤーの機体も同じガレージ内に集結するので素敵性能を重視した機体の見せあいの場としても機能してくれるのがありがたい。
 
これによって、自機に対する思い入れや装備を組み替える実感することが出来、何より浪漫感じる仕上がりになっているのだ。
 

遊ぶロボアニメ

本作の大きな特徴のひとつとして、色彩がクッキリで影がベタ塗り表現された所謂トゥーンシェード表現で作品全体が構築されている部分がある。
 
面白いのが本作はシェーダーこそトゥーンではあるが、メカをはじめとしたポリゴンやテクスチャのディテール密度自体は通常のメックアクションのそれ準拠である事だ。細かいエフェクトに関しても基本的にどれもド派手に表現されているのでちょっとした動作や反応のひとつひとつ迫力満点なものとなっている。
 
そのときキミは美しい。
 
加えて本作の戦闘場面は、そのミッションの数や使用武器や敵の種類、そして作戦領域が多彩に用意されており、様々な「美味しいシチュエーション」にて戦うことが可能となっている。
 

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ミサイルの束を回避しながらミサイルの束で反撃したり、加速モードで翻弄しながら接近しブレードを叩き込んだり、追加ブーストやブリンク機動に翻弄されながら或いは追い縋りながら銃撃したり、一対多での一騎当千からのアーセナル同士の集団戦に、大型機動兵器相手を手玉に取りながら打ち倒すなど一通りの戦闘場面を堪能できる。
 
トゥーンシェードとメカギミックと多彩なシチュエーション、上記二つの要素が合わさった結果まるで「自分の手でロボアニメを動かしている」ような独特のプレイ感覚を味わうことが出来る作品に仕上がっているのだ。
 
(国産タイトルでトゥーンシェードを採用したメカ要素のあるアクションと言えば『エクストルーパーズ』をまず思い出すが。あちらはコミック的な切り口として当該表現を採用しており幕間のカットシーンや操作部分でのエフェクトの方向性、輪郭表現の有無やポリゴンの簡略化具合などで差異を感じることが出来て非常に面白い。
 
 

メックに乗る説得力

2足歩行メカを取り扱う作品でしばしば直面する宿命として「2本の手足が付いている意味はあるのか?」という野暮なツッコミがある。
 
本作『デモンエクスマキナ』ではその問題に対して単純で明快な理由を用意している。特殊能力を持った人間の補助としてパワードスーツを着せて中の人をトレースさせると言う切り口だ。まず中のひとが強力な能力持ちありきでその補助や保護のために人型メカが必要ということで、動きをトレースするパワードスーツ形式で発展したものになっている。なので本作のメカはロボではなくスーツ的な側面が強くなっている。
 

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カットシーンも本作の設定を踏まえて極めて生物的に重心が動き、機敏に攻撃や移動を行う演出がそこかしこに仕込まれているので見ていて大変楽しい。この部分に関しては、昨今の実際に研究されている人型ロボットがより人間らしく動く方向に進化しているので、割と現実からの地続きとして認識できたのが非常に良い。
 

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つまるところ本作は、根幹部分をそれっぽく理由付けすることによって、設定のつじつま合わせが巧いこと成立している作品になっているのだ。
 
一般的なメック作品は少なくとも2本足である部分についての理由付けには成功してるものは往々にして人間型から逸脱したうえであることが多いので、人型に近いプロポーションのメカで説得力を深めてくれた本作の塩梅は極めて好感触だ。
 
単純にアーセナルが強力な人型メカである部分も作中兵器として成立している理由付けになっており、ヘリや戦車が脅威になる程度の人型兵器は、特に現代基準の認識解像度では存在する理由に疑義が生じるリスクがあることは、例えば映像作品でも押井守が悪い方向に吹っ切れてしまった部分からも分かる。
 

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あと作中のキー要素であるフェムト粒子も「この粒子斥力の制御凄いんですよ」的な塩梅に、武器攻撃力増強と機動力増加と攻撃防御を発揮しているので空中浮遊も容易なの事を連想しやすくなっているもそれっぽさの補強に繋がっている。
 
架空メカを扱う作品とは往々にして「ハッタリ」と「それっぽさ」のバランスが重要になるのだが本作『デモンエクスマキナ』はこういったメカ部分の存在理由や説得力の構築が極めて巧く仕上がっており、遊んでいる際も違和を憶えず世界観にのめり込みながら物語を進めることが出来た。
 

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また、メカ描写の説得力強化の一環として、モデリングの調整も非常に丁寧に作られている部分にも触れておきたい。ハンガー画面で眺めまわすことの出来る自機を眺めてても肩部アーマーはちゃんとアーマーとして別パーツとしてモデリングされているし、ポリゴン同士の干渉も殆どの場合において違和感なく調整されていた。
 
奇抜なギミックや武器に工数を費やすのではなく、細かい部分での整合性を突き詰めた説得力の高さのおかげで機体ビューワーモードでの「俺の機体カッコ良くね?」気分が高まるのだ。

切れ味鋭いメカデザイン

加えて本作のコンセプトデザインとして河森正治がかかわっているのも非常に有り難い。氏は今作のデザインに際して、パワードスーツとしてのメカ表現や重要部位として背中と足裏に特に拘ったとのことだ。
 
背中部分の情報密度増やすだけでなく「筋肉に纏わせるような装甲表現」「光る足裏と背骨モールド」を備えることで本作のメカデザインの特徴になっている。
 
これによって地上を走行する際や空中を飛行する際の情報量が高くなり、今どのような機体を操作してどのような状態であるかも把握しやすくなっているのだ。
 

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加えて、普段から得意としている複雑な曲線パーツをパズルのように組み合わせた、有機的な無機物のフォルムからの流麗さと重量感の両立は、今作でも切れ味が鋭く大胆に湾曲し融合するよう装着された頭部パーツのバイザーデザインの職人芸も健在だったのが嬉しかった。
 
はやく国内でも設定画をたんまり掲載したアートブックを何かしらの形式でリリースしてくれ。
 
先に発売されていた『アストラルチェイン』『ファイアーエムブレム風花雪月』のアートブックを読んでいた際にも感じたが、核となるデザインが強固に構築されていると「当該作品のキャラクタとして成立できる勘所の構築」がより確実になるのか、複数人で関わる場合でもデザインの方向性がブレなくなり、一目見た際の作品の特有さがより把握しやすくなるように思えた。
 

整理し直されたアセンブリ周り

本作の操作メカである「アーセナル」のアセンブリ周りは過去の先行作品に準じた「制限内に収まるように装備を組み替えて自分にとって最適な機体を構築する」仕様であるのだが、そのアセンブリ時の装備品周りは抜本的に見直された使用になっている。
 
組み替えることの可能な装備はまず「ヘッド」「ボディ」「プロセッサー」「レッグ」そして「ライトアーム」「レフトアーム」の6種類だ。武装は「右手武器」「左手武器」「肩武器」「エクステンション」「右収納」「左収納」の6種類で、合計12箇所の装備部位を個々に組み替える形式となっている。
 
まず本作の重量と出力枠の制限はコアパーツの「メモリ容量」に集約されている。コアパーツの選択によって機体にかけることの出来る負荷がほぼ完全に決まるようになっているのだ(勿論チップ部分で追加で特徴を変化させる選択肢も残されている)。
 

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ジェネレータやラジエーターが集約されがちだった部分に、走行や機動力そして素敵性能との二律背反が生まれる新しい悩みどころを用意してくれているのが面白かった。
 
あと、本作で特に有難かったのが「右腕と左腕で異なるパーツを装備できる」という部分がある。
 
これによって片方を連射重視、片方を精度重視したり、耐久力を(文字通り)肩代わりしたり格闘や投擲重視の腕部も用意されているし、武器腕を装備するハードルも低くなっているのも非常に大きい。
 
そして何より左右で異なる腕パーツを装備する「不揃いのカッコよさ」も追及することが出来るのは素敵性能的にも強いポイントだ。
 

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このように本作のアセンブリは、基本的には大まかな方針と見た目重視で、エンドコンテンツ攻略時にはカスタマイズを詰める余地があるという、間口の広さと奥の深さを程よく実現出来ているのが非常に好感を持てる仕上がりになっているのだ。
 

多彩なミッション

本作で受注することの出来るミッションは基本的な殲滅系、物資回収、護衛、そして探索系とバリエーション豊富なものが用意されている。
 
特に巨大施設内を移動する類の探索が多いのが好感触で、巨大なトンネル形式だけでなく縦穴を用いた上下に大きく移動させる作りのフィールドデザインが用意されており、ある種の懐かしさを憶える作りになっている。
 

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基本的な殲滅系も程よく射撃感のある浮遊型イモータルや戦車型イモータルが多数出現するので手ごたえのある無双感を実感出来るし、まさか列車護衛系のミッションまで遊べるとは思わなかった。こちらブラックテイル。
 
そして本作のこれらミッションは一部を除きだいたいが難易度が抑えめに設定されており、肌感覚として全体的に操作に慣れた時のサイレントラインくらいのノリで戦うことが出来た。(防衛系の妙な難易度の高さも・・・)この仕様の何が良いかというとつまり素敵性能を重視した好きな武装でも勝てるように作られている。
 
そうはいってもしっかりブリーフィングを聞いておかないと苦戦を強いられる場面も存在するので遊び応えも平均以上に備わって居るのがありがたい。
 

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またストーリーミッションを中心にミッション開始前に他アウター同士の会話が差し挟まれるのだが、ミッション概要の発生経緯の掘り下げや各旅団がどういった理由で参加や辞退を決定するか等のやりとりが幕間に頻繁に行われるので、実際に物語の展開としてストーリーミッションが機能しており極めて楽しむことが出来た。
 
あと個人的に感心したのが「ミッションが連続する場面が存在する」部分だろう。ストーリーミッションの一部では連続してミッションが継続されるパターンが幾つか存在するのだ。
 

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かつて『アーマードコア3 サイレントライン』の発売時に公開されてたトレイラーで「連続ミッションを受注するかを問う通信で〆るPV」が存在したのだが、それ見て当時特にテンション上がった記憶があったのでそういった意味でも本作の連続ミッションには懐かしい気持ちを憶えたりしてた。
 
中盤から終盤にかけて対アーセナル戦が密集しがちでちと冗長に感じたというマイナスポイントは確かにあるのだが、全体として本作のミッションのバリエーションや展開やロケーションの豊富さには大変楽しませてもらった。
 

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あと個人的に好感触を抱いたのが各ミッションの作戦名だ。
 
「砂漠都市奪還作戦」「支配領域侵入アーセナル排除作戦」「中立区域侵入AI殲滅作戦」「先行部隊戦闘データ回収作戦」「生産施設深部再調査」など、漢字密度の高い作戦名がズラッと一覧で並んでいる様子はかつての火星や地下都市で傭兵稼業を行っていた時を思い出し懐かしい気分になった。同一施設を「再調査」の名目で別口から作戦遂行する場面も用意されているのも微笑ましい。
 

周回させる理由付け

本作の装備パーツは殆どの場合、作戦中に撃破したアーセナルから奪う事で増やすのが基本となっている。
 
一応ショップの類も存在するのだが品ぞろえは必要最低限に抑えられているので、所持しているパーツの種類を増やすには戦場でアーセナルを撃破する必要があるのだ。
 

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そして本作の装備の大きな特徴として「スロット穴」が設定されている部分がある。
 
追加効果のあるオプションパーツを部位ごとに装着することでそのパーツの性能を引き伸ばし足り変化させることが可能となっており、この装備品の厳選とスロット穴付きの回収がミッション周回の大きな理由付けに繋がっている。
 
更に出現するアーセナル≒回収できるパーツは作戦ごとに異なるので、殆どのミッションが再度遊ぶ為の動機になっているのは極めて巧い作りであると感じた。
 
また同じミッションをプレイしていてもランダムにアーセナル乱入イベントが発生したり、ストーリーミッションも作戦内の行動次第で展開が変化するケースが存在するので何度もプレイする際の楽しさが用意されているのが素晴らしかった。
 
とあるミッションで救援に来る仲間が直前までの行動によって変化したり、会話時に触れてた最初に被弾した機体がそのミッションの修理代を持つといった賭け事も結果に反映されるし、乱入時の組み合わせによって会話が発生したりなど、他の人の感想やツイートからその存在を知ったものも少なくない。
 

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あと周回する際に感心したのが、ミッション開始時のブリーフィング部分だ。
 
本作ではしっかりとミッション開始前にその概要が説明され、場合によってはどのアウターや旅団が参加するのかの会話パートが差し挟まれるのだが、クリア後のフリープレイなどでアクセスする2回目以降はミッション出撃画面から概要説明の項目を選択しない限り表示されないようになっている。
 
これによって2回目以降はミッション名を確認してすぐに作戦を開始することが可能になり、結果連続プレイの支障を損なうことなく世界観の掘り下げに成功している。
 
このように本作『デモンエクスマキナ』はミッションを周回させる面白さややり応えを兼ね備え、周回するモチベーションを阻害することのないように考えられたシステムが組まれているのだ。時代が時代ならケイブンシャが一生楽しむ本シリーズを出してたと思う。
 

斃しがいのある大型イモータル

本作で特に楽しいミッションのひとつが「大型イモータル」と呼称される巨大兵器との戦闘だ。
 
性質としては「アームズフォート」よりは「あんなもの」寄りの属性を持っており、更に何れも巨体に見合わぬ機動力と跳躍性を秘めており「動き回る巨体」として極めて脅威として描かれている。
 

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これら「大型イモータル」はクリア後のエンドコンテンツ時こそただの餌だが、ストーリーミッションを進める際の装備が整ってない状態で、特に初見で対峙した際のプレッシャーは中々恐ろしいものとなっている。
 
対処が分からないうちは程よく苦戦に陥る調整となっており、自機の機体の装備には勿論ロック可能距離が比較的近めに設定されている事もあり、かなりの頻度で「敵の激しい攻撃を紙一重でかわしつつ攻撃を与え続ける」緊張感を憶えることが出来たのが非常に楽しい。
 
また、襲ってくる大型イモータルのバリエーションも千差万別で、「連続で体当たりを繰り出すモグラ型」「吹雪で視界の悪い中で剣を構えゆっくりと歩いてくる2脚型」「弱点部位が胴体内で捕食した卵のように蠢き並走しながら狙う必要のあるヘビ型」「胴体裏を攻撃する際に飛び掛かってきたり踏み付けを仕掛けてくる4脚型」など印象深い戦闘シーンを体験できる場面が極めて多かった。
 

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加えて先に挙げた期待搭乗が基本仕様のガレージ画面を経由してくれるおかげで本作では「自機アーセナルを見上げるパイロット」「大型イモータルを見上げる自機アーセナル」の二段構えの巨体に対する脅威と安心感を憶えることの出来る巨躯と矮躯の構図が出来上がっているのが遊んでいて楽しい。
 
エンドコンテンツとして消化している場合、大抵のは拡散レーザーでフルボッコすれば撃破自体「は」容易なのだが、コアを部位破壊し続けないと追加で入手できる強化パーツにも影響が出るのである程度の狙いが必要だったりと、大雑把でありつつそれなり以上に駆け引きが存在するのも有難い。
 
初公開のE3 2018トレイラーでつかみとしてアピールされていた大型イモータル戦は、製品版にてしっかりやり応えと迫力のあるミッション群として機能してくれているのだ。
 

音楽周り

音楽部分についても触れておきたい。本作のBGMはバンダイナムコサウンドチームが手掛けており、陸空どちらでも高速で戦闘する本作の飛翔感を彩る良い仕事をしている。
 
発売前のPVや公式サイトでは中鶴潤一と濱本理央の2人が参加する旨がまず公開されていたのだが、蓋を開けてみると他にも平井克明、三崎修吏、橋本大樹、北谷光浩、山内祐介、宇佐美十章、石川哲彦、田島勝朗など参加メンバーが多いことに驚かされた。
 
そしてそのどれもが非常に良質な出来で、ギター激しいサウンドやオーケストラサウンドなフィールドBGM、そして印象深くも煩くなり過ぎていない拠点周りのBGMなど、音楽を聴いたら場面を思い出すことが容易になりそうな仕上がりだった。
 
個人的に驚いたのが本作で使いどころ含めて特にテンション上がった一曲である貴族ズのボーカル付きの戦闘BGM「Shell」を、Linda AI-CUE(石川哲彦)が手掛けていた部分だ。
 

発売日付近で対戦を実装しなかった英断

本作の仕様で個人的に地味に良かったと感じた点に、プレイヤー同士の対戦がロンチ時点では実装されてなかった部分がある。
 
というのも。装備を整える選択肢の多い作品類は往々にして「状況に応じた最適解を求める」方向に組み合わせが帰結され、対人戦という環境が固定化されがちなルールの安易な実装はそういった「帰結する最適解」が固定化されてしまう。
 
そして組み合わせ総数が膨大になりがちなメカカスタマイズアクションでは「量産機問題」を早い段階で噴出させてしまう問題を常にはらんでおり、早い段階で「使えないパーツ」判定が行われてしまうリスクも存在するのだ。
 
本作にてアーセナル構成に用いるパーツの数は「頭部:22種類」「胴体:20種類」「右腕:22+4種類(通常腕+武器腕)」「左腕:22+4種類」「脚部:22種類」「プロセッサ:7種類(上位下位の条件分け含まず)」で本体部分だけでも単純な掛け合わせで320万もの組み合わせが、武器部分は細かいバージョン違いを抜きにしても左右腕部と背部収納で「手持ち武器:60種類」「肩部武器:26種類」「オーグジュアリ:12種類」で装備組み合わせが400万通りとなり、アーセナルひとまとめでの組み合わせパターンは12兆通り考えることが可能な計算となる。
 
メモリ内に収まる組み合わせを考慮しても、膨大な数の機体を考えることができるのは確実だろう。
 
加えて総パーツ数は241種類から更に各武器に特徴が異なるグレードの物が用意され、レアリティ枠としてのスロット穴数とアタッチメントの概念も存在するので、結果として考えられうるアセンブリの組み合わせは考えられないほど存在することになる。
 
そもそもの話として、メックアクションにおいて装備を組み替える目的とは「究極の汎用機を生み出す」のではなく「各状況に対応する装備を考慮」する場面においてその特徴が生かされ、その数多くのパーツを考える余地が生まれる。「対戦という単一の目標」に対しては、推奨されるアセンブリが限られた組み合わせのみになってしまうのはどうあがいても不可避な事象なのだ。
 

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それこそ例えば5vs5でプラントを奪い合い相手の陣地のコアを破壊するくらい迄ルールを紆余曲折する事で、個々のプレイヤーの行動それ自体が変化する環境の戦場として成立させるくらいまでやらないと交換可能部位の多いカスタマイズメックアクションの強みは活かしにくい。
 
つまるところPVEのやりごたえとPVPのバランスの良さとは、決して同一の方向の調整にはいかないのだ。
 
例えばハクスラ系のFPSである『ボーダーランズ』シリーズも対戦要素はあくまでオマケの決闘として設定してたし、『Destiny』も対戦を行う際は武器やアーマー性能を均質化させるなどステータスに直接弄るある意味ゴリ押しめいた方法で実装していた。(その上でも尚あのクルーシブルは辛さしかなかったが、シーズン目標だと猶更)
 
本作『デモンエクスマキナ』で、発売が近づくまで対戦の実装は明言されず、実際に実装される事になってもアプデ後の追加要素的な位置づけで配置されるという流れで、ロンチ付近でオンラインやローカル通信で遊ぶ要素がPVEを主体に設定されていたのは、極めて英断であると感じた。
 

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もうちょっと頑張ってほしかった商品展開周り

細かいところではあるが残念に感じた部分のひとつに、ゲーム本体の商品展開周りがある。
 
本作の欧米でのローカライズや販路確保は任天堂の海外支社が担当してる。そして昨今の任天堂案件に倣って本作にも様々な特典が付いた初回限定のコレクターズエディションが発表されていたのだが、パブリッシングの関係でか国内では発売されなかったのだ。
 

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内容としてはパッケージ機体の完成品スタチューと大判の100Pアートブックとサウンドトラックが大型化粧箱に梱包されているものだったらしい。
 
特にアートブックの内容に河森正治の設定画が可動部分の解説含めて高精細に掲載されているもので、せめてこれだけでも国内でも大判の設定資料集を出してほしい次第である。眉神様の太線で描かれた設定画は特に大好物だ。足元にベタ塗り影が付いてるなら猶更良い。
 
任天堂案件のリミテッドエディションと言えば最近も『風花雪月』と『アストラル~』の限定版がどちらもアートブックの作り込みが素晴らしかったので余計残念に感じたのだ。
 
フィギュアについても、国内では寿屋からプラモデルとして立体化の予定があるのだが、指先がかなり不器用な身なので綺麗に作ってやれる自信が無く、どちらかと言えば完成品が欲しかった次第だ
 
パッケージのデザインもシンプルでこれはこれで良いのだが、出来ればもっとメカ動かしてる作品でござい感を出してほしかった。(具体的には、アセンブリ中のアーセナルだったり背中を大胆に大写しにしたコンセプトアートなどを用いたやつとか欲しかった)というか、それこそ、欧米限定版のスチールブックケースに描かれていた大型イモータルの残骸を前にしているアーセナルのイラストと毛筆のタイトルロゴが組み合わさったパッケージデザインが好みだったのでそれ採用して欲しかった。
 
あとは、ゲーム起動時のオープニングMV的なものが実装されてない部分も、ちょっとしたE3のトレイラーを手直しした程度でも良いから入れて欲しかったと感じる。特にこの数か月『風花~』『アスチェ』『ボダラン3』とテンション上がるイントロムービーが入った作品が連続してたので余計そう感じる。
 
まぁこれらの不満点は発売前に期待していた以上に、製品版の出来の良さを感じたからこそ浮き彫りに感じた問題部分なので、粗探しに該当する部分ではある。
 

まとめ

総括すると『デモンエクスマキナ』は粗っぽさこそ目立つものの、メックアクションとして備えて欲しかった要素をひととおり実装してくれており、ただメカを動かしてるだけでも楽しいので、空いてる時間ガレージに入り浸って試験場でテスト先生と戯れ続けたくなる仕上がりだった。
 
 
それでいて、どことなく懐かしい手触りも用意してくれており、個人的に物凄くクリティカルヒットな出来の作品だった。
 
 
 

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ありがとう佃おじさん
 
 

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ありがとう眉毛
 
 
 

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アップデート+ノベル版楽しみにしてます。
 
 
 
DAEMON X MACHINA(デモンエクスマキナ)-Switch

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余談1:本作のメカ表現の技術解説

本作のトゥーンメカニック表現に関してどのような実装を行ったのかの講演が公開されており非常に興味深い内容だった。
 
特に本作はインタビュー時点でもただの表現でなくどこまでもアニメチックに目立たせるエフェクトを際立たせるのかについて試行錯誤が繰り返されていた作品だったと話していたのでそこについて踏み込んで解説してくれているのが有難い。
 

 

メカアクションゲーム『DAEMON X MACHINA』 信念と血と鋼鉄の開発事例

 

余談2:佃NXの個人的な無念(読まなくてよい)

本作のプロデューサーは『アーマードコア』シリーズにて、特にシングルミッションが面白く仕上がっていた作品である『アーマードコア2』『~3』『~ 3 サイレントライン』を手掛けていた佃健一郎が開発に携関わっている。
 
『AC3SL』がシリーズの集大成として大変楽しく遊べたなか最新作である『アーマードコア ネクサス』の開発に着手している事を、当時のゲーム雑誌の情報で知って期待していた憶えがあったのだ。
 
流石に15年以上も前なので流石にうろ覚えなのだが天地が反転した特殊な施設内で戦闘を行っているスクショからも、よりケレン味のあるビジュアルで主人公がつよいシステム(当時どちらかと言えば強化人間改造派で火星版水曜機関に通ってたりしてた)や、未来と過去の二つの要素が存在する意欲的な世界観など、更なる進化として新しいACを楽しめるものだと楽しみに待っていたのだ。
 
そして発売を迎えたワケだが、色々と不便な仕様になっていることが判明し「新生ってそういう方向なのかぁ」と結構落胆していた。その後インターネットの情報により『NX』には幻のバージョンが存在しており、製品としてリリースされたものは仕切り直しされたものであることが判り、何とも言えない気持ちになった覚えがある。そもそも当初は集大成的な側面強かったのに下手に「新生」させようとしてなんで遊びにくくなったのかと小一時間
 
加えてあの時期『ナインブレイカー』やらで気持ちも8割くらい離れてしまったし、トドメにOVA版のゴタゴタとメカ描写がクッソヘッタクソな漫画版の悲劇も体験して、元々ナビゲーションガイド以外まともな副読本も出版されてなかったし割と当時この会社IP軽視してんのかな?と本気で疑ってた記憶がある。
 
一応『AC4』や『ACfA』で機体性能の制限が少ないアセンブリも狙える作風に戻ったのだが、当時の『4系』のディレクションと『LR』のプランナーを担当したのがのちの『デモンズ~』から「ソウル系」の概念を確立した宮崎英高の案件だった部分で得心が行った覚えがある。
 
幻の『佃版ネクサス』の特徴として「破壊可能な建造物」「パーツとして存在するエイム補助システム」「より強化された弾幕数」「変化する天候要素」などが挙げられる。ここらへん『デモンエクスマキナ』で少なからず要素として拾い直されているようにも感じて15年越しの蟠りが幾分か溶けたような気分を覚えた。
 
 
万が一億が一那由多が一IPとしてアーマードコアが再起動するような事態があっても、恐らく品質が良かった初期PS2時代の作風に戻ることはどうあがいても期待できないし。そんな意味でも本作『DXM』どこかクラシカルな作りでゲームサイクルを構築してくれたのは有難い限りだ。(まさか少し前に『メタルウルフカオス』のリマスター版でよりにもよってデボルバーに駄目移植されてフロムもそれをスルーしてリリースの許可を出した部分で怨嗟の鬼に成りかけたのはここだけの話・・・)
 
『デモンエクスマキナ』に於いて『アーマードコア』を手掛けたスタッフは、プロデューサーとコンセプトメカデザイナー以外参加しておらず、ほぼ完全に別のスタッフで構築されているとの事だ。だが、その座組で、ここまで描写解像度の高いメックアクションが作られたのは只々只管感嘆させられる。
 

dougin-1809.hatenablog.jp

 

ビデオゲームで『パノラマ撮影なスクリーンショット』を作成する2種類の方法

 

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スマートフォンでおなじみなパノラマ写真を撮影する機能は、ビデオゲームにおいてはまず実装されないだろう機能のひとつだ。

 
広範囲を一度に収める、或いは複数の画像を合成し作成されるパノラマ写真機能は現実世界での撮影方法時点で極めて特殊な処理を要求する為、これをゲームに落とし込むのは実際うま味が少ない。
 
そんな需要も供給も薄いビデオゲームにおけるパノラマ撮影風スクショ撮影だが、家庭用ゲーム機にてある程度固定した手続きで容易に作成できるようになったので、撮影手法に飢えてる物好きの需要に沿えばいいなぁみたいな気持ちで今回方法を遺してみることにした。
 
本撮影技法は、固定化された筐体にて搦め手でどれだけ表現の幅を増やすことが出来るのか試した結果見つけ出したロマンと好奇心の塊のような方法だ。
 
パノラマ写真特有の圧倒的に濃い情報量をゲーム画面で再現できるという部分に浪漫を憶えた人には特に試して欲しいと思う。
 

2種類の撮影方法

ビデオゲーム上でパノラマ撮影を行う方法は大きく分けると2種類存在する。
 
特定条件下でトリミングしてそれっぽく見せる比較的お手軽なパノラマ撮影風な『疑似ワイドビュー方式』と、環境構築に手間がかかるが実際のパノラマ撮影に近い『動画合成方式』のふたつだ。
 
どちらも便宜上で呼称してるだけなので適切な名称かどうかの自信はない。あと疑似とか頭に付けるとなんかテンション上がるから折角だしこんな名前にした。
 

疑似ワイドビュー方式

ひと昔前のフィルム方式のカメラで、画角の広いレンズで撮影したものを上下カットすることでパノラマとして出力する形式のカメラが存在した。この手法を再現するのが以下に示す『疑似ワイドビュー方式』である。
 
(正確には、方法を発見した後にパノラマ撮影の歴史を検索したら近い方式を見つけたので、その名前を拝借した流れだった)
 
やり方は至ってシンプルで「フォトモードでズーム倍率を最低数値に設定し、画角を最大限まで広げた状態でスクショを行い、上下をざっくりトリミングするとそれっぽく仕上がる」といった流れだ。
 
つまりはこれを
 

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こうする
 

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これを
 

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こうする
 

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見える見える・・・広いぜ。
 
経緯としては、何時ものようにフォトモードで遊んでいた際「ズーム倍率を下げると表示範囲が広がると同時にパースがキツくなり、特に上下部分の歪み部分に目に行ってしまうので、引き伸ばされてる部分を物理的に切除したらどうなるか」を試してみたら偶然いい感じにそれっぽく仕上がった流れだった。
 

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今回ひととおりのフォト機能が実装されている『Forza Horizon 4』と『アサシンクリードオリジンズ』で試してみたのだが、恐らくカメラオプションが揃っているタイトルなら大抵の場合使用可能だと思われる。
 
切り取る際はペイントソフトでザックリとトリミングしているので、ゲームのスクリーンショットを撮影してPC上に持ってくる方法さえ確立出来る人ならまず誰でも可能な方法の筈だ。
 
ただ本方式の仕様上、横幅がFHD(環境によっては4K)解像度に固定されるのでその枠組みでどれだけ広々とした風景を収めることが出来るか、といった構図決めが肝要になるだろう。加えて重要なのが広角撮影時の状態でトリミング後の風景もイメージする部分と、出来る限り水平に撮影することだ。
 
撮影する際はパースのキツさを奥行きの遠近感として見せる為に可能な限り水平に撮影するとよい。半端に斜めに撮影すると広角撮影時のドぎついパースがかかってしまうのでそこからパノラマ撮影っぽさが欠如してしまう。
 

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地上撮影ならまず考える必要は薄いが、俯瞰撮影時は水平線に即したギリギリのラインを狙うのが望ましく悩ましいハズだ。
 
またトリミング時は最初に青空部分を切り落とすことで地面部分のカットの塩梅も自ずと見えてくるので、先ずは上部の調整から行うと良いだろう。
 
FHD解像度の素材なら目安としては最終的に1920*400前後に収めると「如何にもパノラマ写真でござい」感が出しやすい。
 

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動画合成方式

昨今のスマホで採用されているパノラマ撮影機能はカメラを動かすことで画像を連続させたものを統合させる方式が一般的だ。それを疑似的に再現するのが以下に示す『動画合成方式』である。
 

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先の方式が「切り取ることで表現する」形式ならこちらは逆に「継ぎ足して生成する方式」形式で前者に比べて幅広い表現が可能だ。
 
ただし、必要機材に「キャプチャボード」「動画を弄れる程度の性能を持ったPC」「可能な限りUIを消せるゲーム」「一人称視点に出来る作品」と先の方法より条件が複雑になる。
 
要はゲーム動画保存環境一式を用いて元データを取り込む流れなので、環境構築をイチから設定するのは割と骨が折れる。何かしら動画キャプチャをPCで行いたいひとが更なる活用方法として考えるくらいがちょうど良いだろう
 
いちおうキャプボなしでもコンソール機本体の撮影機能を用いる事でも可能っちゃ可能なのだが、解像度に融通が利かない事や撮影した動画を生ファイルとしてPC上に持ってくる作業を考えると如何せん面倒が過ぎる。最低でもHD~FHD解像度を扱えるキャプチャーボードとそれだけの動画をぶん回せるだけのPCは持っていることが前提だ。
 
キャプチャ用のPCとキャプチャ機材の調達に成功し、次に必要なのが画像統合ツールである『Image Composite Editor』のインストールだ。
 
 
 
MS製のツールである『Image Composite Editor(以下:ICE)』は、連続した風景が納められた動画や複数毎の静止画から画像を統合してひとつのパノラマあるいは360°画像を作成することが可能なソフトである。(Photosynthと聞けばピンと来る人たぶん居ると思う。それをジャイロなしで動画単体或いは複数枚の静止画で結合出来るようにしたのが本ソフト)
 
さて、上記ソフトを含めて環境一式を揃えたら最初に行うのは元ソースの取得だ。
 
方法としてはまずUIを可能な限り消した状態のゲーム画面を用意し、動画キャプチャ開始と同時に収めたい範囲を見回すようにゆっくりとカメラ移動させ動画として残す。
 
とにかく収めたい範囲を動画として保存するのだ。(スマホのカメラでパノラマ撮影をするようなノリで動かすとしっくりくるかもしれない)
 
 
因みに筆者の場合動画のキャプチャソフトの環境としてアマレコTVを画面表示に、OBSをキャプチャ特化の設定で動画ソースの取り込みを行っている。(この組み合わせ自体は自分が少ないアクションでスクリーンショットを撮影したい環境づくりに作り上げた流れで構築した環境なので人によってはかなり変わる部分の筈)
 
さて以上のプロセスを踏まえて「ゆっくりと風景を見回した動画ソース」が出来上がった筈なのでこの素材を『ICE』に動画を取り込んで動画範囲を設定してうまい事なんやかんやさせる。
 
ここら辺は『ICE』側で踏まえるべきステップが表示されるハズなので迷う事はほぼ無いだろう。
 

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そしてうまい事なんやかんやして仕上がった画像が以下の通りだ。
 

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(※『ゼノブレイドクロス』でプレイヤーから立った状態のドールを撮影する方法としては、ドール紐付けさせない状態キャラをパーティーに組ませて、ドール紐付けされたキャラから非ドール所持キャラに操作を切り替えると搭乗状態が保持される。閑話休題
 
動画ソースを取得する際に気を付けるべき点として、一定速度でソフト側で連続性を認識させやすいようにゆっくりと動かすことと、リアルタイムで撮影する際はなるべく周囲に動いてる人や車や動物を可能な限り映り込みを短くすることがある。
 
たぶん実際にパノラマ写真の撮影をスマホで行った事のある人なら割と実感しやすい部分だと思う。
 
あとはゲーム内の天候や時間の変化には気を付けるといった部分も重要だ。ゲーム内でも良い写真を撮るために時には忍耐強く待つ必要があるのだ。
 
ゼノクロやブレワイで撮影してみた際も撮影中に天候が悪化して晴れるのを待ったり、撮影してる間に敵に襲われたり邪魔されたりといったケースにしばしば遭遇した。(まぁそれはそれで妙なところでリアリティ憶えて面白かったり)
 
 

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あとはUIを消すための工夫も必要で、例えば『ブレスオブザワイルド』だったら壁際や宝箱を用いてリンクをカメラにめり込ませるように接近させて透明化させた状態で撮影する必要がある。
 
また、カメラの仕様が特異な作品もあり例えば『マリオオデッセイ』はカメラの軸の動きが特殊で左右スティックを操ってなるべく綺麗に回転するように指先の慣れが多少必要だったりする。
 

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と、まぁこのように条件の厳しさや手間のかかり具合は『疑似~』の比でないのだが、迫力のある面白い画像を作る可能性を秘めている方式となっている。
 
お手軽にそれっぽく見せる事の出来る『疑似疑似ワイドビュー方式』、手間はかかるが実際のパノラマ撮影に近い方法の『動画合成方式』。以上2つの形式がビデオゲームにてパノラマ写真を撮影する為の方法である。ゲーム内のスクリーンショット撮影の折に参考になるのなら幸いだ。
 
以下パノラマ画像を掲示して本記事の締めとしたい。
 
 

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疑似ワイドビュー方式:Assassin's Creed Origins

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疑似ワイドビュー方式:Assassin's Creed Origins

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疑似ワイドビュー方式:Forza Horizon 4

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動画合成方式:Forza Horizon 4

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動画合成方式:ゼノブレイドクロス

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動画合成方式:アストラルチェイン

 

Forza Horizon 4 - XboxOne

Forza Horizon 4 - XboxOne

 

 

ASTRAL CHAIN(アストラル チェイン) -Switch

ASTRAL CHAIN(アストラル チェイン) -Switch

 

 

とあるゲーム下手が『隻狼 SEKIRO』をクリアするまでに行ったこと

ビデオゲームを遊ぶ上で常に直面する自分が抱えている問題のひとつに「ゲーム音痴」というものがある。もはや呪いレベルの代物で如何ともしがたい。
 
自分はゲームが下手だ。操作方法や基本的な操作周りなら幾つも遊んだおかげで迷わない程度にある程度のカンはつくのだが、そこから一歩踏み込んだ「上手く遊ぶ」の領域となるとどうしても他の人に比べて劣等感を抱く事がよくある。
 

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そんな自分だが、先日『隻狼 SEKIRO』の1周目をクリアすることが出来た。
 
初見での選択ルートは所謂人類種の天敵エンドである修羅ルート、プレイ時間は1周目で34時間弱、取り零し多数の為現在2周目進行中といった形だ。
 
ゲーム開始時は最後まで行けるかどうかは分からない状態だったが無事スタッフロールを迎えることが出来て、クリアした瞬間は思わず何度もガッツポーズ繰り返した程達成感を憶えていた。(あと解除率3~4%のレア実績枠をもぎ取ることが出来て鼻高々)
 

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基本的に普段自分はフロム作品を全然遊ばない、ゲーム自体も下手の横好き程度にしか接していない。そんな状態であった自分が、本作を遊びクリアした流れで色々試行錯誤や構築できたメンタルコントロールについて、ノウハウとして獲得できたと感じたものが幾つか出てきた。
 
今回の記事ではそういった部分について覚え書き程度であるが書き記しておきたかった。需要は知らん。
 
具体的な攻略方法というより攻略する上での気合の入れ方と踏ん張り方の振り返りについて、例えば上手く戦うために行った練習方法やよく戦うための心がけ、所々に存在する行き詰まりポイントの解消、どうしても倒せないボス相手に何度も立ち向かう際のモチベ維持の行い方などについてを纏めるつもりだ。

 

  • 購入前
    • そもそも「本作を買うかどうか」を熟考する
    • 「カッコよく戦いたい」という強い意志を持つ
  • 購入後
    • 「基本の操作」を覚え込む
    • 「上手くいった時の感触」をじっくり味わう
    • 「キャプチャ機能」をフル活用する
    • 行き詰ったら逐一調べる
    • 先人のプレイ動画を見る
    • 敵の動きを物凄く観察する
    • 強敵に行き詰まったら「投げず、一旦引く」
    • 別行動を「大胆に試行錯誤」してみる
    • 「一旦休憩」と「暫く休む」を使い分ける
    • 上手く戦えたら毎回「自画自賛」する
  • まとめ

 

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『YouTube』の新着情報を『Feedly』で管理してみたら捗ったので、RSS一括登録の方法とフォルダ分け案と手応えと今後の課題点を纏めておきたかった

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Youtubeのチャンネル登録についての課題点

長くYoutubeを使い続けてると登録チャンネル数が増加しがちになるのだが、そこから発生する問題のひとつに「ある地点からシステム側のお節介が煩わしく感じるようになる」というものがある。
 
具体的に例を挙げると、
 
・登録チャンネルが増えると左カラムの一覧の展開に時間がかかる
・生放送メインのチャンネルは常にリスト上位に表示されてしまう
・そもそも左カラムで展開されるリストの順番が安定しない
・チャンネル毎の更新頻度の把握が難しい
・単純にチャンネル単位での検索がメンドクサイ、ジャンルで管理したい
・というかお気に入りのチャンネルを重点的にチェックしたい

 

だいたいこんな感じだろうか。
 
要するにYouTube特有の仕様である「ユーザーからの情報を基に常に提案を続けている」仕様がある地点で煩わしく感じるようになってしまって、システム側のお節介抜きでYouTubeのコンテンツを確認できるシステムが欲しくなるというわけだ。
 
その過程で少し前に、FeedlyRSS形式で登録チャンネルが管理できないかを試してみたところこの方法が存外巧く機能してくれたので、方法説明を中心に今回まとめておきたかった。
 
目的としては「Youtubeの使用頻度を上げるため」の環境づくり。少ない障害で情報を収集する為の手間を予めかけておくといったところか。
 
 

初回設定

登録チャンネルリストを取得する

RSSリーダーの管理ファイルは基本的に「OPML形式」でやりとりされる(らしい)。加えて有難いことにYouTubeの公式機能として登録したチャンネルを一括でOPMLファイルでエクスポートする機能が実装されているので、今回はそれを使う。
 
 
方法は上記のURLから「登録リスト管理」画面に飛び、ページ下部の「RSS リーダーにエクスポート」は「登録チャンネルをエクスポート」を押下しOPMLファイル(拡張子はxml)を取得するだけだ。
 

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というか公式で「Feeldyで管理しちゃいなYO!」な部分までヘルプページに全部書かれてるからそっち見た方が早い。
 
[オプション] Feedlyのデータを外部に保存する。念のため
次に「Feedly」に先のxmlファイルをインポートするのだが、その前に万が一に備えて既存の「Feedly」の登録状態をエクスポートしといて良いかもしれない。
 

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Feedly」の管理画面は機能更新の度ちょくちょく変わるのだが、2018年時点ではカテゴリ一覧は最上部の歯車アイコン「Organize Sources」ページへ飛ぶ事が可能だ。そして当該ページ上部右上に存在する矢印アイコンは「OPML Export」ボタンを押下することで「Feedly側のOPMLファイル」をダウンロードできる。
 

FeedlyYouTubeチャンネルリストを流し込む

さて、先ほどに取得したYouTube側のOPMLファイル(拡張子はxml)をFeedly側に実際に流し込んでみる。
 
方法は先に触れたOPMLエクスポートの手続き画面とほぼ同じで、カテゴリ一覧最上部の歯車アイコンから移行できる「Organize Sources」ページ上部に存在する「IMPORT OPML」アイコンを押下してファイルアップロード画面から実行することが出来る。
 

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ファイルアップロードを実行することでFeedly側に新しいカテゴリフォルダである「Youtube 登録リスト」が作成され、そこに登録チャンネルが全て収納される。
 
さて、このままでもFeedly側で新着を確認するだけだったら問題ないのだが自分なりの視聴傾向に合わせてフォルダも分けておくと良い。こうすることでジャンル毎に新着動画を確認したり特にお気に入りのチャンネルを重点的に確認するなどの応用の利く探し方が可能になる。
 

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また特定のチャンネルの動画を見たくなった際などジャンルフォルダから辿って検索することも可能になるため、単純に簡易ブックマーク機能としても使うことが出来るので非常に便利だ。
 
余談:Feedlyで管理する際のフォルダ分け方針について
Feedly上でYouTubeチャンネルのフォルダを設定する際、通常のWEBサイトやBLOGを登録したフォルダと混同させると閲覧や管理が面倒なことになるので、可能な限り「これはYouTubeの特定のジャンルのチャンネルをまとめたフォルダですよ」と分かるようにフォルダ名を設定しておいた方が望ましい。
 
自分の場合、フォルダ名は「Youtube [ジャンル名]」とスペースで開けて名前付けを行っている。
 
また、フォルダの分け方はジャンル準拠で分類するのが基本だが、同一ジャンル内でも方向性の違いは存在するので、そういった部分にどう対応していくかは地味に悩まされる課題点だ。例えば「ゲーム」というジャンルひとつとっても、「ゲーム実況」「プレイ動画」「攻略解説」「開発映像」「トレイラー」とチャンネルにさらに細分化が発生しており、気分によってどれを重点的に見たいかが変化する。
 
なのでフォルダ作成時はこういった部分もある程度纏めれる数が見込める範囲で名前付けを考えておくと色々と捗る。
 

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あくまで例としてだが、自分の場合ヘイワッツアップガイズで始まる類の声付きゲームプレイ動画チャンネルと、巧いゲームプレイの様子を収めただけのチャンネルと、ゲーム攻略系チャンネルはそれぞれ別枠扱いで「gameStreamer」「gamePlayer」「gameTips」と設定している。
 
ゲームのトレイラー系に関してもゲームニュースサイトと、ゲームのパブリッシャー公式とデベロッパー、ゲームタイトル単体のチャンネルでそれぞれ「gameNEWS」「gameOfficial」「gameDeveloper」「gameTitles」で種類分けを行っている。
 
だがチャンネルによっては複数を兼任してるケースがしばしば存在するので、そういった事例の場合更新状況と比率に応じて適宜分類を行っている。
(この更新頻度に応じてフォルダ分けを決めるというのは、同一フォルダ内で余りに更新状況に差異がある場合に特定のチャンネルが別のチャンネルの情報に「押し流される」ケースが発生するのを避ける為でもある。)
 
このように各チャンネルをフォルダ毎に分けを行うことで、Feedly側の新着情報確認時に良い感じに偏らない状態で更新情報を見る事が出来る。つまり通常のRSSリーダー閲覧時の延長でYouTubeの動画情報も確認できる環境の構築が出来るわけだ。
 
 

次回以降手続き

さて、YouTubeの再生リストを一括登録した後に新しくチャンネルを追加したい際の手続きも紹介しておきたい。初期登録と追加登録の手段さえ把握してしまえば運用自体は容易な筈だ。
 
方法は二種類存在する。だが前者の方が比較的楽に追加できると思われる。
 

新しく生成したXMLファイルを再度読み込み

此方の方法がいちばんシンプルに追加処理を行うことが可能だ。つまり初期手順と同じくチャンネル管理画面からxmlファイルを保存し再度Feedlyへインポート作業を行えばよいのだ。
 
そうすれば重複分以外が「Youtube 登録リスト」に継ぎ足しで保存されるのでそこから各フォルダに割り振りすれば良いのだ。
 
多分これがいちばんシンプルだとおもいます。
 

個別で単体登録

上記の一括登録のほかにチャンネル毎にひとつひとつ追加で登録していく方法も併せて紹介しておきたい。
 
単体登録する場合YouTubeのチャンネルのURLが「user」が「channel」かで登録方法が変化する。
 
urlの形式が「user」の場合
Feedlyの購読追加項目に当該URLを直接コピペ入力することで追加する事が出来る。
 
以上!
 
 
urlの形式が「channel」の場合
この場合、はRSSフィード取得サービスを用いることでURLを入手できる。user形式より少し面倒。
 
 
だが、もっと簡単な方法として、
上記URLの末尾にチャンネル毎のIDを追加で入力することでもRSSを取得できる。予めブックマークとして登録しておいて、必要になった際にそこからURLをコピペして追加すると良いだろう。
 

実際に運用してみて

実際運用してみてどうだったか、は言うまでもなく冒頭の問題点があらかた解決した部分だろう。PCからの閲覧で特定チャンネルや特定ジャンルを重点的にザッピングすることが容易になったのは非常に大きい。YouTubeのシステム側からの提案から別動画の検索はいまだに活用してるので使用頻度は4:6から半々といったところだが思い付きでやってみた割にはなかなか効果的に使えていると感じている。
 
(だがスマホアプリ版Feedlyから、当該YouTube系カテゴリ閲覧から動画視聴を行ってみると(勿論直接見ること自体は出来るが)しばしばFeedlySafariYoutubeアプリと遷移してしまい、所謂「アプリの盥回し」が発生してしまった。他のWEBページ閲覧との兼ね合いがあるのでこればかりは仕様として諦めるしかないのかなぁという感じだ。)
 
今後の課題点としては、いまだジャンル分けがしっくり収まり切ってないと感じる部分が幾つかあるため、今後もカテゴリの追加や統合を繰り返していきたいと感じている。
 

余談

ニコニコ動画の更新情報もFeedlyで管理している
まだ抜本的な環境設定は行ってないがニコニコ動画もまたFeedlyによるRSS管理を行っている。余談程度だがその部分についても軽く触れておきたい。だがニコ動の場合チャンネルないしユーザー毎で更新情報を確認するというよりは「タグ情報」経由で新しい動画の情報について仕入れている。
 

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というのも自分の場合、YouTubeニコニコ動画とで動画検索の行動傾向が大きく異なるものとなっている。つべがチャンネル毎の動画からの候補出現による項目移動が主であるのに対して、ニコ動ではニコレポやマイリストからの動画閲覧から「タグ検索」によるフォークソノミー的動画検索をメインに行なっているのだ。
 

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また新着動画よりもコメントがある程度ついた「熟した動画」を比較的閲覧しがちなのもこの検索傾向でしっくり来る理由のひとつとなっている。
 
なのでYouTubeでのRSS管理をチャンネル単位で行ってるのに対し、ニコ動ではタグ検索結果からRSSに登録するようにしているのだ。

結局のところ『レッド・デッド・リデンプション 2』はどういったプレイヤーにお勧めできる作品なのか?狂気的な作り込みを果たした今年最大の「事件」について語りたい

ビデオゲームにおいて、「面白い」とは大きく分けて2種類の傾向が存在すると分析することも可能だという話をしたい。ひとつは喉がひりつく様な高揚感を伴ったアッパー的面白さ、そしてもうひとつが知らぬ間にゲーム内に飲み込まれ継続し続けてしまう類のダウナー的面白さである。これら二つの面白さはひとつの作品内に重ね合った状態で存在しており各シーケンスによってその認識できる面白さの傾向が変化するスペクトラム的なふるまいを見せている。特に大型パッケージ作品になればなるほどこの重ね合わせの傾向は強くなる。
 

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画像は全てXBOXONEXでキャプチャーしたものを使用している
 
例えば大型ボスを討伐する系のハンティングアクションでは、素材集めその他の手続的準備を踏まえるシーケンスによるダウナー的楽しさと、格上目標相手の戦闘状態における短期かつ濃密な駆け引きによるアッパー的面白さが折り重なるように存在している。或いは昨今のトレンドのひとつとなっているバトルロイヤル系アクションシューティングは潜入行動や索敵や装備探索などのダウナー的楽しさと、銃撃戦をはじめとした敵との駆け引きによるアッパー的楽しさのグラデーションとなっていると考えることも可能だ。そしてこの概念は他にも音ゲーSTG、格闘アクションゲームでさえ実践の駆け引きと練習の操作精度向上の二つでこの二つの面白さの駆け引きが存在している。
 
(そしてこの観点から考えるとシンボルランダム問わずエンカウント方式のRPGにおいて、ストーリーと探索要素と戦闘システムが常に隣り合わせで存在するのはゲームプレイの感触の緩急を与えているとも解釈することが可能なわけだ。尤も通常エネミーとの戦闘を行うためのエンカウントを誘発させる理由付けとして機能させるためにそういったフィールドデザインが行われているのが大抵の場合の基本的な目的ではあるはずだが。)
 
このようにビデオゲームとはテンションのグラデーションによって粘りのある体験を得られるように作られている。
 
だがそんな中でも同時にしばしばこれら面白さの傾向が片方に寄り切っているケースも存在する。それは例えばシューター作品のキャンペーン部分であったり、数値の上下変動と睨めっこし采配を決めるシミュレーションゲームであったり、ワンセッションで濃密な時間を与える体感寄りのアーケード筐体作品など探せば幾らである。
 
そして本作『レッド・デッド・リデンプション 2』は劇的な演出を抑えつつ描写や操作の濃密さを切り口にしたダウナー的面白さに大幅に寄せた作品として極めて振り切り切った作品であるのだ。
 

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ありていに言えば「ひとを選ぶ作品」

というわけで『レッド・デッド・リデンプション 2(以下:RDR2)』を(アパラチアに寄り道しつつも)遊び続けて3週間以上経過した。本作は開拓時代が終わりつつある米国を舞台に、時代の流れに取り残されかけたギャング団の一員となって様々な依頼や抗争をこなしつつ苛烈な世界を生き延びていく作品だ。
 

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本作の特徴といえば何と言ってもその圧倒的ともいえるグラフィックの細やかさと各描写の追求具合だ。単純に美麗なグラフィックだけなら昨今の大型IPにおいては珍しくもない特徴であるがそれに加えて本作はインタラクト方面にまでその作り込みの細かさが実装されているのだ。そしてこの作り込みの細かさはゲームを遊ぶ上で良くも悪くも遊ぶ感触にまで大きく影響を与えてしまうほどだ。結果、本作の作りは極めて尖ったものとなっており、遊ぶ際に高確率で人を選ぶ作品に仕上がってしまっている。(じっさい本記事で書いたつもりの長所部分は人によってはそっくりそのまま短所として映ってしまっている部分が殆どだ)
 
なので本作についておススメする際は「ゲームの魅力を列挙」するよりも「どういったプレイヤーに本作が合うかどうか」という切り口で触れた方が良いのではないか?と強く感じた次第だ。
 
そんなわけで本記事ではストーリー部分については言及せずに(※言及できるほどの咀嚼力と語彙を持ち合わせていない)本作のシステムや描写周りの仕上がりの方面から、どういった方が本作を楽しめるかどうかについてを軽く1万文字程度ではあるが掘り下げていく文章となっている。 

ゲーム進行に関わるほどの表現力を楽しめるか

本作の特徴としてまず挙げる事が出来るだろう要素の一つが「過剰なまでの表現の細かさ」だ。昨今リリースされているゲームの動作や表現は基本的に傾向としてどんどん細やかなものになってきているが、本作『レッド・デッド・リデンプション 2』はそういった表現の細かさでが特に作り込みがゲームの操作性に影響する段階まで作り込まれている。
 

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例えば本作のアイテム取得周りの仕様についてを挙げてみよう。基本的にビデオゲームにおけるアイテムの特に取得する際の処理と言えば、大抵の場合回収ボタンを押下すると同時にその場でフィールド上からオブジェクトが消えインベントリ内に瞬時に収納される処理になっている場合が殆どだろう。もっと綿密に描写をするにしても屈み込んで取るなど「それっぽい仕草」が発生する程度だろう。だが本作『RDR2』はそういった些細な動作に関してもほぼ確実に細やかな動作が設定されている。
 

そこをこの『RDR2』では正確にアイテムの位置にまで腕が伸び掴み習得しカバンにしまい込むことではじめてインベントリに追加されるのだ。このアイテムを拾い上げる処理がゲーム的な都合ではなく本当にアイテムを拾い上げる動作として実装しているのが本作なのだ。

 
他にも採集系の動作でもこれら表現の細かさは適用されており、野草を摘むときは軽く選定の動作を行ったり、狩猟した動物の皮を剥ぐときはその剥ぐ様子まで細かく表現され、大抵の種類においてはカメラの切り替えによる誤魔化し無しに全ての解体作業が行われ、しかも毛皮一枚一枚ごとに馬に積む動作も必要になる。場合によっては一枚までしか積めない種類のアイテムも存在する。
 

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本作の狂気的な作り込まれた表現は処理的な都合が発生する場合以外毎度必ず挿入される。だがこういった表現は確かにゲーム作品において没入感を高める助けとなるのと同時に、ゲームプレイの進行を阻害する感じてしまうリスクも孕んでいる。
 
そういった表現や動作や操作の細かさをその都度楽しむことが出来るのか、それとも先に進む際の煩わしさとして避けたいのかは本作を楽しめるかどうかのひとつの基準の一つとして考える事が出来るだろう。
 
閑話休題その1:省略する重要性とは
インターフェースの快適さとは状態遷移の軽快さの度合いでもあり、つまるところ項目移動やメニュー選択などは短ければ短いほど良くなりやすい。というのは日常生活の中で画面による状態変化の確認を主とした精密機器を使用する中で実感出来る事柄だろう。
 
加えてビデオゲームにおいてこの快適さの根源となる操作性の軽快さが重要であると同時に、エンターテイメント作品として同時にどういった動作や操作を行っているかのフレーバーとしてのモーション設定は必要であるということも実感できる部分だろう。だがそういった装飾的モーション付けは必要とされる場合においても大抵は早い段階で省略されることが殆どだ。例え没入感を必要とした表現の細かさは実装するにしても快適さを重視する際にある程度の段階で省略されるのが基本的というわけだ。
 
例えば、過去のビデオゲーム作品において採取動作の細かさでまず思い出すものと言えば『モンスターハンター ワールド』になるが、あの作品においても基本的には移動中の収集や即時回収など絶妙にその動作が省略されており加えて綿密なモーションが適用されるのはキーアイテムや重要手掛かりの入手などで、つまるところ対象の重要度合いによってその省略具合が変化している仕様となっていた。(アクションゲームではこういった時間の差異が予備動作やモーションの重さ駆け引きの)
 

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そして表現の省略化やデフォルメ化を極限まで行い省略化を果たすことで濃密なゲームテンポを実現した作品の最右翼として『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』を挙げる事が出来る。アイテム取得はゼロ秒で行われ、弓矢で野生動物を射れば即座に肉になり、気候変化はダイレクトにHPに影響を与える、ストーリーは必要最低限で、音声関係も限られた範囲、さらに言えばトゥーン調で視認性を高めたデザイン性。『 ~ブレスオブザワイルド』はこのようにゲームとしてのボリュームを実装すると同時に可能な限りの省略作業が実装されている例としても極めて重要な作品というわけだ。
 
つまりある意味で『レッド・デッド・リデンプション2』と『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』のふたつはオープンワールドという大ジャンルの括りの中で正反対に位置する作品となっていると考える事が出来るわけだ。
 
閑話休題その2:本作のインタラクトシステムについて
『~ ブレスオブザワイルド』の話題を挙げたのでもう一つ。『RDR2』を語るうえで触れておきたいユニークな仕様として「Z注目システム(Z-targeting)」が実装されている事についても軽く掘り下げておきたい。
 
今更「Z注目システム」について説明の必要は薄いと思うが軽くおさらいしておくと、「Z注目」とは特定ボタンを押下しているあいだカメラ方向が常に敵やNPCの方向にロックオンされ距離に応じた各種インタラクトを行う事が容易に可能になるプレイ時の思考からカメラ方向の調整を無視し彼我の立ち位置と距離に考えを重視しやすくなる、時代劇はチャンバラにおける忍者の鎖鎌を絡めた殺陣を参考に実装されたビデオゲームにおける偉大な発明品のひとつだ。
 
だが同時に「Z注目」は昨今のビデオゲームにおける右サムスティックを用いた自由にカメラを動かす操作傾向が広まっていく状況の中、初期の「Z注目」の仕様のまま実装されているという作品は存外に少ない。たいていの場合は仕様の一部を切り出して実装されているというケースが殆どなのだ。
 
例えばボタン押下ごとに状態が切り替わるスイッチ方式が基本設定だったり、或いはロックオンマーカーの表示による注目点の提示と多少のカメラの遊びが残されるロックオンシステムとして実装されたりと時代に対応するように形式が変化している。昨今のビデオゲームにおいてチャンバラを目的に本来の仕様に近い「Z注目」を実装した作品としては『For Honor』が該当するだろう。
 
(尤も最新作である『~ ブレスオブザワイルド』では、『~ 時のオカリナ』時代の「Z注目システム」のもう一つの特徴であった「注目している敵以外の攻撃は待機される」仕様がすっかりオミットされているわけだが。)
 
そんななかで本作「RDR2」は昨今の3Dゲームにおいては珍しい、厳密な意味に極めて近い「Z注目システム」が積極的に採用されている作品のひとつでもあるのだ。
 
本作の操作システムで左トリガー(以下:LT)はADS(Aim Down Sight:覗き込み狙い動作)として機能すると同時に、敵やNPC等の対象に対して吸い付くように注目を行うZ注目としても機能しており、そのため本作の戦闘は、画面内の中央付近に敵が近寄った状態でを押下することで自動的に敵を検索、照準作業を行ってくれるのであとは右スティックで狙う位置を微調整しより少ない弾数で仕留めるといった流れで銃撃戦を行っていく形になっている。また近接武器を持った状態での格闘でもLTを引きつつXボタンで防御しBボタンで攻撃する状況判断を求められる駆け引きが発生している。
 
加えて何より『RDR2』の「Z注目システム」の何が特徴的かというと「インタラクトのトリガーとしてもZ注目が実装されている」という点だ、インタラクトとは主に非戦闘状態のNPCあるいは馬など生物に該当するオブジェクトに対してのありとあらゆる行動だ。
 

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というのも、本作でミッションの開始を含めた会話や物品の売買や会話そして馬の世話等を行う際まずLT押下で対象をロックオンし、そこからはじめてどういった要求や会話を行うのかの選択を行う形式となっている。これによって誰に話しかけるか等の行動を行う前にワンクッション安全装置が実装される形となるわけで、結果的に選択操作的方面において操作エラーを限りなく抑え込まれている仕組みとなっているのだ。(ただそれでも武器をしっかり収納してないと、ただ会話しようとしたさい不意に武器抜きを行ってしまい場の空気が一気に悪くなってしまう仕様だけはどうにかして欲しかった。武器ホイールから素手を選択することを常に意識するようにはしているが、特に敵対勢力に絡まれやすい郊外だと特にこの事故起きてしまうし・・・)
 
また先に挙げた近接戦闘時の防御と攻撃の割り振りは非戦闘時のインタラクト傾向においてもその割り振りが共通化されており、基本的にXボタンでポジティブな選択肢、Bボタンでネガティブな選択肢が割り振られている。例えば通常の会話ではXボタンは挨拶や会話でBボタンは挑発関係だし、店員相手の購入画面への移行もXボタンが割り振られ、宿屋における宿泊と入浴はそれぞれXボタンとYボタンに割り振られている。こういった割り振りによって自然と自分の抱いた感情や行いたい反応によって指を伸ばすべきボタンに迷いが少なく仕上がっているわけだ。
 
そしてこの会話時もLT押下で「Z注目」を行わせる仕様の何が画期的かというと、例えば移動しながらの会話でもしっかり相手と対面しながらやり取りが行えるという絵的にも機能的にも違和が少なくなるように仕上がるという部分だ。勿論一度会話用の反応ボタンを押下したあとにLTを押下してもしなくても問題なく会話が継続されるのだがそれでも対象を見失うことが無く捉え続けることが出来るという点で非常に有難い仕様となっている。
 

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このように共通化された選択肢傾向と本来の仕様に近いZ注目システムの合わせ技によって、通常操作時のインタラクトが円滑に行う事が可能かつ戦闘時と非戦闘時のボタン位置による反応の変化を直観的に認識しやすいよう設計がされているわけだ。前作『RDR』で見知らぬ人に挨拶を行うことが可能だった仕様を更に推し進めた仕様なわけである。
 

グラフィックも面白さとして見る事が出来るか

先に挙げた動作の細かさに関連する部分なのだが、本作は動作の細やかさだけでなく純粋にグラフィックの表現もまた異常なまでの作り込みが果たされている。冗談に聞こえるが本作はグラフィックを観るためのゲームでもあるわけだ。材質の質感から空気感、そして光沢に至るまでありとあらゆる部分の表現力凄まじく、おおよそゲームらしい表現といったものは可能な限り抑え込まれている。
 

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こういった細やか且つ作り込まれた風景を純粋に楽しめるかどうかもまた、本作を遊ぶ上で重要な部分だ。
 
草木の密度は勿論、泥には足跡がキッチリと描写され炎はしっかりと燃え広がり、雪原では押しのけた雪がしっかりと残る。銃器類は材質の質感の違いの表現の細やかさから手触りまで錯覚してしまうし、馬は走り続けると発汗から湯気が立ち上り身体も汚れる。目の前に広がる風景も多岐に渡り、穏やかな気候の草原から険しい山岳にうっそうとした密林地帯、そして雪原地帯とそのすべての風景が世界として作り込まれており、ひとつとして同じ光景は存在しない。
 

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そのため移動する際の目に飛び込む風景は常に絶景状態でキャプチャー操作の為のホームボタン+Yボタン操作はついつい行ってしまうし、本作はオプションを経由しなくてもUIをほぼすべて消した状態にすることが可能なので俄然風景としてゲーム画面を撮影しやすい点も非常に魅力的だ。
 
同時に本作のゲームスピードは全体的にスローテンポで、大半の時間は超長距離を馬で移動する場面に充てられてるどころかそもそもの移動速度が遅めに設定されてさえいる。加えてビューボタン長押しで遷移可能なシネマティックモードを用いれば半自動で大半の移動は行ってくれるほどに長距離移動がゲームの前提として組み込まれている。(感覚的には『FFXV』のレガリアを用いた移動に近いだろう。)ファストトラベル機能はある地点まで使用できず、解禁されても極めて限定的な機能に留まっている。
 

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そういったある意味で間延びしたゲームテンポを埋め尽くすように本作の表現は、当たり前のように存在が表現され同時に当たり前のようにディテールが濃く仕上がっており、それをひっくるめて「空気感が凄まじい」といえる作品であるわけだ。(過去に『Forza Horizon 4』でフォトモードをそれっぽく撮影する為の記事「現実の風景は存外に慎ましくそして同時に密度が濃い」といった話をした。ある意味で本作『RDR2』はその慎ましさと濃さの両立を目指したあるいはそう仕上がった作品であるように遊んでいて感じた。)
 

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そういったゲームとしての所謂「サクサク感」といったものが全く存在しない本作は時間の許す限り延々と遊ぶような「重い」プレイスタイルが必然的に求められる形となる。風景を眺めつつ野生生物や見知らぬ人気になったロケーションを発見し寄り道をする、あるいは誰かしら休憩している焚火の煙目指して向かうなど、とにかく風景そのものに情報が散りばめられている。
 
この世界の作りは何か体験を誘導するのではなく何処にいても世界が繋がったまま存在している現実感の表現として作られているのだ。
 

無駄を楽しめるか

近年のオープンワールド作品の御多分に洩れず、本作『RDR2』においても様々な寄り道要素が実装されてその作り込みは深いものとなっている。
 

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狩猟に始まり釣りやギャンブルやフィンガーフィレット、飲酒に食事、散髪は毛の伸び具合で可能な度合いが変化し、入浴に至っては手足どこを洗うかまで操作することが可能なほどだ。特にサンドニで堪能できるショーはその演目や展開が豊富で何度見ても楽しめるほど凝っている。
 

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アクティビティ以外にも只の買い物でもカタログから一括で買う以外に店頭商品から手に取って情報を確認し購入することも可能だし、銃器店では細やかなカスタマイズが可能で性能に影響のない部分まで装飾を加えることが可能だ。高貴な銃に彫刻(エングレーブ)を施しても何の戦術的優位性(アドバンテージ)もない。
 

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だが基本的に本作のアクティビティはそのバラエティが多岐にわたる反面、大きく稼げるというものはほぼ存在しない。
 
効率を重視するのであれば馬上で服装切り替えを行えばよいし纏め買いしたいならカタログでボタン連打すれば済む、そして銃器は高性能なもの一つ買えばストーリーの進行に特に問題はない。狩猟やギャンブルもそこから得られる稼ぎはどれも1~10ドル程度の上下に留まっており、数百~数千ドル規模の稼ぎを行いたい場合はメインクエスト絡みの強盗行為を行う方がはるかに効率が良い。
 

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このように本作の拘ってた演出や操作周りはそのかかる手間や時間に反して得られる効果が薄いものが殆どである。ぶっちゃけ効率重視するなら無視することが可能なものばかりだ。こういった無駄な要素を楽しめるか、もっと言えば「ごっこ遊び」としてのめり込むことが出来るのかといった部分も本作を楽しめるかどうかの判断基準になるだろう。
 
(こういった部分も『FFXV』の「ファンタジーアクションRPGとして見るか、キャンプメインの友人4人組卒業旅行として見るか」で評価が分かれたあの感触に近いと個人的に感じた。写真撮影が作品のメインシステムのひとつとして存在し、宿泊や食事が毎回必ずゲームプレイの要素として実装されていたし、何より超長距離を移動する自動移動システムの実装具合も本作に極めて近く、無駄を楽しめるかどうかがそのまま作品の相性に繋がる類の作品だったわけで。)
 
 

上位機種を持っているか

さてここまで本作の描写の細やかさについて挙げたのだが、そういった要素を楽しむために地味に望ましいのが、4K環境FHD環境関係なく第八世代据え置き機の上位機種(XBOXONEならONEX、PS4ならProをだ)を所持しているかという点だ。
 

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本作はその圧倒的な表現力を実現するためにハードを酷使している作品となっている。炎や密集地帯の表現になると普段静かなONEXから冷却ファンの音が上がる程だ。そして通常本体で本作を起動させると影を始めとした表現のいくつかが簡略化され、ポリゴンの輪郭や密度も聊か見劣りしてしまう。自宅の環境でONEとONEXを同時運用し比較してみたが、特に本作『RDR2』はEnhancedされた際の効果が大きく変化している作品のひとつだと思えた。

 

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なので本作を遊ぶなら上位機種を所持している方が望ましいし、逆に既に上位機種を持っている人は本作で性能を酷使するのも悪くないだろう。(恐らく将来的にリリースされるだろうPC版においてもRTX2000台でようやく標準環境な要求スペックになると思われる。)
 
スペックを最大限に引き出すためのプログラムより、プログラムを最大限に引き出すスペックが必要というわけだ。
 

主人公の立ち位置を受け入れる事が出来るか

本作のストーリー部分に関してももまた人を選ぶ仕上がりとなっている、というのも良くも悪くも本作は前作『RDR』以上に、ロックスター・ゲームス(以下:R☆)っぽいキャラ付けとストーリーなのだ。
 

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『RDR2』は正義或いは義理を貫き通すことが可能なゲームには仕上がっていない。前作『RDR』では主人公ジョン・マーストンは政府の手先という立ち位置もありかつての仲間だったギャングを手にかけその過程で人助けをし高潔な義賊を演じることは容易だった。
 
だが本作は話としては前作より過去のに位置しており、最終的に壊滅するであろうギャング団に属した状態で物語が展開される。つまり話の土台時点で正義の味方になる事が出来ないように仕向けられているのだ。その状態で時代の流れを実感しながら今のままでいいのかの悩みを抱えながら話が展開されるのが本作の肝の一つなわけだ。
 

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向こうの事情などお構いなしに借金を取り立てるし、気軽に強盗も持ちかける、盗みも働くし、苛烈な報復も行う。そして得たシノギをギャング団の金庫に納める。(いちおう本作では収めたお金は、予算としてきっちりとギャングの拠点構築や消費アイテムの補充に割り当てられるのでそこらへんはゲーム的な都合で上手く回ってる)勿論義賊として高潔な態度をとることも可能だがあくまでフリーローム時の一要素に過ぎない程度に抑え込まれている。
 
銀行強盗や馬車強盗に関しても「この辺にぃ、美味い銀行屋の支店、あるらしいっすよ」といったノリで日常生活の延長で持ちかけられ、気が付いたら銃を構えてカチコミしてることも珍しくない。犯罪を行う際はしっかりマスクをするなどして可能な限り目撃者を少なく抑え込んでおこう。
 

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このように本作『RDR2』のストーリーやキャラ造形は前作と方向性が変わっており、人によっては違和を憶えやすい部分であると考えられる。賢しい小悪党として西部世界を駆け巡ることに魅力を憶えれるかどうかは重要なポイントなのだ。そしてまだ『RDR』『RDR2』のどちらも遊んでない状態で、開拓時代アメリカを英雄好漢として通りすがりの仏の慈悲と渡世の仁義を果たしたいので場合は前作『RDR』の方をお勧めしたい。Enhanced対応含めて互換対応もしてるので高解像度で現行機基準で遜色なく遊ぶことも可能だし。
 

まとめ

本作は膨大な予算と人員と製作時間と現行技術の総動員で、ゲームとしての表現の嘘を、極めて可能な限り避け何処までも作り込みが込められた作品である。そしてそれだけのリソースが費やされた本作は同時に「ゲームらしさを捨て去ってもなおゲームとして楽しめるのか」といった問いかけにもなっている。
 

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そして「凄い」ゲームと「面白い」ゲームとは必ずしもイコールではない。「凄さ」は比較的絶対的な基準だが「面白さ」については遊ぶ人間によって変化しやすい相対的な基準だからだ。
 
ビデオゲームという根本から虚構で構築されている世界で可能な限りの五感を構築した『レッド・デッド・リデンプション 2』は、無条件に誰にもお勧めできる作品からは程遠いがそのぶん好みとして噛み合わさった際に発生する没入感もまた極めて大きいので本記事を読んで興味をもった人は遊んでみるのを検討してみて欲しい。
 

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余談:どうしても辛かったら鞄の強化を目指そう
本作のリアリティ志向はインベントリのキツさにまで及んでいる。
 
初期状態だと各アイテムは数個程度までしか収納できないのだ。もちろんゲーム進行的には多少きつい程度でプレイの阻害感は薄いのだがそれでも長期間買い物しなくても済むくらいのアイテム収納はあると遊びやすさが一気に変わる。
 
なので本作を遊んでいてどうしても大変と感じたならば、キャンプ拠点で装備強化可能な施設を作成し、鞄の作成を行うことをお勧めする。
 
そしてひととおり鞄作成した後に製作可能になる最終強化鞄はそれぞれアイテムを最大99個まで収納できるようになるので、遊びやすさに大きな差が生まれるだろう。特に敵対勢力の拠点にカチコミした際、その場にある消費アイテム類を洗いざらい回収しきる事が出来るのは非常に大きい。ストーリー進めつつ狩猟も行っておくと良いだろう。
 
必要な素材は以下の通りだ。これだけまず集めておけば一気に最終強化まで持ち込む事が出来る。
 
鹿の毛皮×7
エルクの毛皮×2
 
雄鹿の毛皮×1
アライグマの毛皮×1
ウサギの毛皮×1
イノシシの毛皮×1
クーガーの毛皮×1
狼の毛皮×1
ヒョウ/パンサーの毛皮×1
イグアナの毛皮×1
ビーバーの毛皮×1
 
バイソンの毛皮×1(大型につき持ち運び制限あり)
アナグマの毛皮×1(大型につき持ち運び制限あり)
 
リスの毛皮×1(インベントリ内で解体操作が必要)

 

ブラックウォーター(金銀で言うところのカントー枠)にまで行かなくても入手できる素材ばかりなので集めてみても良いだろう。素材関係は拠点の料理担当のピアソンさんに寄付すれば自動的に素材として保管されるので回収したら即拠点に戻るようにしよう。

 

 

 

『Forza Horizon 4』のフォトモードで「実写っぽく」撮るために試してる事をまとめたかった

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Forza Horizon 4』の解禁が迫ってる。本シリーズは『Forza Motorsport』からのスピンオフ的な位置づけとなっており、数百平方kmものフィールドを自由にドライブし、競い合い、クルマを集め、更なるレース出場し、更なるクルマを買い求め、より広くドライブを楽しむ事が出来る作品となっている。
 
その中で自分が毎回特に楽しみにしている要素が広大なフィールドのなかで様々な条件のもと自由にクルマを撮影することが出来る『フォトモード』である。自分の場合2011年の『Forza Motorsport 4』(こちらは周回レースメイン)からこの要素が気になりだし、2014年の『Forza Horizon 2』(オープンワールド)辺りから本格的に試行錯誤を始め今に至った形だ。その過程で何かしらコツっぽいものが我流とは言え見えてきたので、今回、思い切って自分が知っているものをひととおり挙げておこうと考えたのだ。
 

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まぁドローンモードで撮影しても結構それっぽくはなるんだけど・・・
 
今回の記事は『Forza Horizon 4』の製品版に備えて今までのシリーズや体験版を遊ぶ際に(写真に関しての知識が無いなり試して)上手くいってると自己満足してる撮影方法について7000文字程度でザックリとまとめたモノになっている。
 
 

前提として(読み飛ばしてよい)

基本的には「綺麗なCG」として仕上がってしまう

まず大前提として、ゲーム内で撮影したスクリーンショットはまず「綺麗なCG」として仕上がってしまうという話からはじめたい。
 
CGで作られたゲーム内の高精細な特殊効果を見た後に、現実の同様の現象を見比べてみたりすると「現実の方が遥かに慎ましく情報密度が高い」ということに気付かされるだろう。「モノマネのコツは元ネタの特徴を大げさにする」事なのは有名な話だが、同様にフォトリアルなCGもまた基本的に現実のモノマネなので現実の特徴を誇張して表現してる場合が殆どなのだ。
 

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勿論こういった絵作りは普段遊ぶ際のグラフィックとして或いはゲームのスクショとしては別段問題なく、高精細な画像としてビデオゲームのハードやソフトの進化や最適化を楽しむうえでは気にする必要はない。
 
だがここでいざ「脳味噌が混乱するようなものを撮ってみよう」と考えると撮影の難易度は一気に上がる。そういった設定をイチから見つけようとするなら猶更だ。レンダリング行い現実感を実現している静止画や映像作品と違い(勿論こちらも非常に長時間の作業や処理が必要になるので楽というわけではない。手間がかかる手間をかけやすい媒体という話だ)、常にリアルタイム処理の生データを完成品として出力するゲーム内スクリーンショットではその仕上がりの差が出てくるのは当然なわけで。
 

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そういったなかで「美麗なゲームのスクリーンショット」から各種色味の調整や構図を見つけ誤魔化しの仕方などを駆使して、継ぎ足したり打ち消しした結果最後に残ったものが「実写っぽいフォト」として仕上がってくれると自分は考えている。まぁ大抵の場合どうあがいても「無香料な消臭剤の香りがする」塩梅にCG感が出てしまうのが悩みどころだが。
 
なので本記事で書く各種小技は「綺麗なCGをどうにかしてノリと勢いで馴染ませ続ける方法」を解説する記事になっている。ある意味縛り要素、趣味の領域なのでそういった物好きさんだけ読み進めて欲しい。
 

数値

数値周りは基本に近く

まず数値の基本設定だが色々参考にしつつ様々な条件下で試した結果以下の設定に落ち着いた。
 
シャッタースピード・・・10~30
・フォーカス・・・任意
・露出・・・50~90
・絞り・・・5~20
コントラスト・・・60~70
・カラー・・・50~53
・明るさ・・・50~70(コントラストより低くor同値に)
・セピア・・・0
ビネット・・・0

 

ノリとしては「コントラストと明るさでバランスをとりつつ露出を調整して最後に絞りでボカシを加えたり消したりする」という継ぎ足して継ぎ足す感じに設定にしている形だ。コントラストと明るさの力関係は「コントラストを優先」にすると上手く馴染みやすいケースが多いように感じた。

 
特に初期設定を行う際重要なのがコントラストとカラーと明るさで、それぞれ60/50/60の状態から微調整する形になる。
 
なので初期値は以下の通りだ。
 

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超重要パラメーター『絞り値』

本シリーズのフォトモードにおける「絞り値」は特に重要で、この調整次第で変化する仕上がりが非常に大きい。
 
背景のテクスチャのどうしても出てしまう粗さやポリゴンの境目など、ビデオゲームだとどうしても出てしまう「書割の綻び」を旨い事誤魔化すことが可能なため、
先の色周りの調整が初期にあらかた済ませるのに対しこちらはカメラの移動中常に調整し続ける数値となる。
 
感覚としては数値としては遠距離で5~10、近距離で20程度を目途に調整するとしっくり来やすいだろう。
 

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クルマに対して引きで撮影する際は全体が見渡しやすいように、接近して或いは一部だけどクローズアップする際はそこに焦点が定まるように撮影すると「それっぽくなる」のだ。やりすぎない程度に背景の空気感の揺らぎとして調整するとよい。
 
そしてさらにこの『絞り値』の調整の重要な役割は「車体や背景の輪郭をうまくぼかして馴染ますことが出来る」という部分だ。
 
先の遠距離でも5~10程度絞りを有効にしてるのはこれが理由で背景の木々や地面や建造物の、どうしても存在してしまう板ポリやテクスチャなどのギザギザ感を調整しうまく誤魔化すことが出来るのだ。
 

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具体的な方法というかコツはXボタン押下で行う『焦点合わせを』をタイヤ部分に合わせることだ。これによって車体全体が視認性が損なわれない程度に輪郭が背景になじみ「それっぽさ」度合いが高まる。
 
このように『Forzaシリーズ』のフォトモードにおいて、絞り値は調整は非常に重要なのだ。
 
 加えて今作は被写界深度が草原などのフィールドオブジェクトに対しても、距離に応じてキッチリと設定されるようになった。これによって車を介さなくても背景単体でも絵になるフォトを撮影できるようになり、背景単体でも焦点合わせを巧い事行ってより自然な風景撮影を行う事も出来るようになる。
 

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Forza Horizon』が4になって大きく進化した機能の一つだ。
 
 

シャッタースピード』は抑えめに

スピード感を反映するために調整する『シャッタースピード』は使いやすい反面、扱いが難しいパラメータのひとつ。
 
というのも余りにもスピード感を強調してしまうと流れる背景に対してのクルマ映り方がくっきりになってしまい浮いてるように見えてしまうのだ。勿論「レースゲームのスクショ」として残す分には別段問題ないのだが本記事の「それっぽく撮る」目的からすると聊か相性が悪い要素というわけだ。
 

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なので走行中のクルマを撮影する際のシャッタースピードの数値は「10が基本、最高でも20~30程度に抑えておく」ことが望ましく、特に車の移動方向に対して前や後ろからならやや多めに、横方向よりならやや少なめにするとうまく抑える事が出来る。それ以上は先に挙げた『絞り値』の調整で事足りる。
 
 

『露出』は思い切って上げる場合も

見づらくなるので常時使える方法とは違うのだが、露出を限界まで上げて撮影するというのも効果的な場合がある。
 
特にこの手法が機能するのは、晴天や曇天の日中に、建物や物陰など日光がさえぎられる場所にクルマを収めて撮影する場合だ。こうすることで太陽の強い光がどうしても入り込んでしまうような「それっぽい」雰囲気を再現することが出来る。
 

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物凄い感覚的な話になってしまうので実際の効果は判らないが、『明るさ』は暗いところ含めて全体をのぺっと明るく出来てしまうのに対して『露出』は何というか光源を明るくしてる感じに近く、コントラストを保ったまま調整可能なやんわりとしたHDRみたいな感じで使ってるワケだ。
 
あと明るいところで露出値を思い切って上げると「カメラ素人が光源調整をめんどくさがった結果白飛びしてしまった写真」といった塩梅の仕上がりも狙う事が出来るので「それっぽさ」撮影の際にも思い切った調整にすることがある。見辛さも「それっぽく思わせる」手段の一つなので。
 

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構図

カメラを離してズームする

構図方面でそれっぽさを強化する際に一番重要になるながこの「離してズーム」だ。基本的にこれさえやれば大抵のクルマ単体での撮影は上手くいきやすい。
 
やり方としては「カメラの位置を目標から離してその分の距離をズームで補う」という形になる。お互いの要素を打ち消し合う撮影方法なのでカメラの移動操作がややこしくなるが、これを行うだけでクルマの実在感というか仕上がりの「それっぽさ」がグッと加速するのでおススメだ。
 
困ったらとにかくこの方法を活用してみるのも良い。
 

 

また、撮影時の立ち位置の調整も考えておくと「それっぽさ」が増すことも付け加えておきたい。
 
というのも実際に「自分がその場に立ってると考えながら」カメラ位置や無理のない高さや撮影位置を意識する方法だ。すっとんきょうな撮影方法に聞こえるがこれが意外と効果的に機能するのだ。
 
というのもゲームのフォトモードはカメラ移動が手軽な反面どんな角度どんな立ち位置からでも撮影出来てしまい、例えば高速で走ってる車を追いかけてるのにスレスレの位置から写真してるようなフォトになったり、高さ的に無理のある位置や場所から撮影を行ってしまったりなど、気付かないうちに非現実的なスクリーンショットが撮影されてしまう事も多いのだ。
 

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これを避けるために例えば歩道からカメラを移動してクルマに向けてズームしたり、草むらの中から撮影したり、止まってる状態のクルマを少し上から俯瞰するように撮影するなどカメラ高さやカメラ位置を意識しておくとより「それっぽい構図」が見つかりやすくなるだろう。
 
「離してズーム撮影」と「実際の立ち位置を意識する」のふたつはゲーム内フォトにおいて構図を決める中でも、特に重要な概念として考えている。
 
この方法は引きで撮影する際も効果的に機能するので遠距離からの撮影時も出来る限りズーム倍率を上げるようにしてみると結構いい感じになるのだ。
 

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車体に光沢を貯め込むように撮る

クルマの艶やかさを浮き立たせる際に「光沢を貯める」ように構図を決めると上手くいきやすい。特に曲面主体のクルマを撮影する際は考えておくと良い要素の一つだ。
 
「光沢を貯める」というのは日光や木漏れ日や街灯などを「車体にたくさん反射させる」ような状態の事だ。
 

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こうしてクルマのてっかてか具合を活かそうと考えてカメラを動かし続けると、結構いい感じにクルマの方からベストアングルに誘導してくれるので、特に曲面の流麗さが際立ってる機体ほどこの手法は効果を発揮しやすくなる。P4やGT40とかミウラとか
 
もちろん場合によっては「それっぽく」撮影する際にむしろ逆効果になるケースもあるのだが基本的には輪郭を誤魔化すことが出来るし、何よりクルマの魅力を引き立たせることが可能なのでまず狙っておいて問題ないだろう。また、光沢以外にも影や背景の反射等も車体に貯め込む事でよりクルマに対しての現実感や情報量を増やすことが可能なので積極的に狙っていきたい。
 
狙いどころとしては日中の撮影は勿論、夜間で雨天の市街地で撮影する際にもこの方法は効果的だ。
 
特に本作は英国の伝統的な街並みの中で走ることが可能なのでレンガや石造りの情報量をクルマに反映させると「それっぽく」なるのも強い点だし、前作Forza Horizon 3で積極的に狙えた木々の反射も健在なのでクルマに落ちる影と一緒に収めてみると楽しく撮影が出来るだろう。
 

斜め視点は諸刃の剣、出来れば避けたい。

LBやRB押下で調整できる横方向の回転を用いると臨場感を容易に付ける事が出来る。だがその反面お手軽さも出力結果として目に付いてしまう機能でもあるのだ。
 
これは「綺麗なゲームのスクリーンショット」として撮影するなら寧ろ効果的な機能ではあるのだが、本記事で目的としている「それっぽい撮影」とは相性の悪い機能でもある。
 
また、この機能を中途半端にやってしまうとなってしまうと構図として選択肢が狭められてしまうようなケースに行き当たり易くなるだろう。なので例えばスピード感を出す際のフォトを撮影する場合でも出来る限り水平に近い構図を選んだほうが事故が少ない。たとえ傾けるにしても10度くらいまで、もしくは微妙な起伏を打ち消すくらいにしておくに越したことはない。
 

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それくらい「それっぽい」撮影をする際において斜め視点とは出来る限り避けたい撮影方法なのだ。
 

ドライバーの目を隠すようにする

Forzaでクルマ撮影をする際に地味に悩みどころなのが「中のドライバーの存在」である。
 
というのもクルマ自体のポリゴン数に対して明らかにドライバーのモデリングはリソースが節約されており、特に目力が凄まじかったりと撮影時に地味にかなり目立ってしまう要素なのだ。しかも大抵真顔だし。
 
なのでうまい事中のドライバーの存在感を和らげるのも本シリーズで「それっぽく撮影」する際にやっておきたい作業になる。
 

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例えばクルマに落ちる影や光沢、ガラスに映る反射や、バックミラーやピラー、舞っている枯れ葉やガガイモの綿毛種などを駆使しつつカメラアングルを調整して目元だけでも隠すことで「それっぽさ」を維持することが出来るので、上手いこと隠すようにしよう。
 
(ただ今作はアバターシステムが大幅に強化されており、ドライバーの服装もカスタマイズすることが可能になったためヘルメットやサングラスなどの装備があれば装備しておくと良いだろう。前作のアバターでもグラサン装備あったし多分顔隠せる服装とかあると信じたい・・・)
 

その他Tips

テクスチャは天敵、境界も天敵

他に細かい点としては「出来る限り地面や建物のテクスチャを見せないようにする」という部分がある。
 

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葉の周辺はポリゴン感が見えてたりするし地面のテクスチャも見え隠れする例
 
地面や建物のテクスチャはシリーズを追うごとにリアルになってるとはいえ、ちょくちょくテクスチャのテクスチャ感が出てしまっている箇所が存在するのでそころ雑草や絞り値を駆使して不自然にならない程度に暈しておくとより「それっぽい」スクリーンショットを作りやすくなる。
 
また植物や木々の生え際や道路とフェンスの接続部分なども「ポリゴンの境目」として割と処理が見えてしまう箇所がいまだに存在する、というか細かいオブジェクトに対してひとつひとつ自然な影を設定するのは今世代機になってもまだまだ手間のかかる難しい領域なので、フレーム外からの植物で足元を隠すなどしてこちら側でうまいこと処理しておくと良いだろう。
 

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ようは「よく見たらこれCGだ」と分かってしまうような綻びを、構図と相談しながらひとつひとつ潰していくような感じで調整していくと良いわけだ。どうしても出てきちゃうときは出てくるんだけどね・・・。
 

ハンドルを切ったまま撮る

静止状態のクルマで撮影を行う際はタイヤをまげて撮影するのも「それっぽく」面白い写真が撮るので、撮影角度によってはおススメしたい小ネタの一つだ。
 
やり方は説明するまでも無いがスティックを右か左に入力したまんま十字キー↑を押下してフォトモードに突入するだけで良い。これを行うことでホイール部分をアピールすることもできるし、微細な動きも出す事が出来、加えて先に挙げたドライバーの目力も明後日の方向に逃がす事が出来るので地味に効果的だ。
 

晴天はチャンス、雨天と夜間もチャンス、曇天は大チャンス

クルマ撮影に適した天候や時間帯は何時か?結論から言えばどの天気も時刻も美味しいポイントがあるので捨てがたいというのが正直なところ。
 

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晴天はストレートに車や木々を浮かび上がらせることができるし、雨天時はクルマや路面の濡れに光沢を貯め込み雰囲気を出す事が出来るし、朝方の湿度のある空気感のなか構図を決めるのも悪くないし、夜間の街中で煌びやかさも狙ってみたい。Forza Horizonではどの天気も見所が存在するのだ。
 
だが個人的に見逃せない天気は「日中の曇天」である。というのも曇天時の均一化した太陽光は嘘っぽさが逆に生々しさへと転化しクルマを撮影する際の「それっぽさ」が特に効果的になるのだ。もし遭遇した際はカメラを構えてみて欲しい。
 

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また、FH4の天候システムには手が加えられており、特に一週間ごとに季節が変化する四季システムの実装は非常に大きい。
 
今まで追加エリア扱いだった路面状況の大幅な変化が同一フィールド上で反映されるようになり、ログインした際に季節ごとの写真撮影設定を都度考える必要が出てきたわけだ。自分の理想の天候が来るまで、あるいは現状の天候でどう上手く撮るかといった部分にさらに捻りが加わったというわけだ。
 

グラフィックモードはどちらにするか

XBOXONEXで遊ぶ際は設定画面から、4K画質(3840*2160)+エフェクトマシマシの30fpsモードと、FHD画質(1920*1080)+エフェクトそこそこの60fpsモードの2つから選ぶ事が出来る。
 
 
基本的には60fpsモードでもエンハンス対応前の前作並みのグラフィックを実現しているので、そこまで問題が無いどころか貼り付くような60fpsの滑らかさも凄まじく寧ろおススメなのだが撮影主体で考えるならパフォーマンスモードが望ましい。というのも解像度やオブジェの精細さに加えて「影の表現」に明確な差が存在しており。特に「自車のヘッドライトでオブジェやクルマに影が反映されるようになった」という進化点は見過ごせない。
 
 
 

まだまだ色々手法が埋もれてるはず

以上で自分が使っている手口の殆どは挙げきったつもりだ。ただ本記事で書いた殆どは前作の仕様準拠で見出したものばかり、本作を遊ぶ過程でまた新たな撮影のコツが出てくる筈なので製品版発売の暁には更なる試行錯誤を行うことになると思う。
 
それでも写真撮影の方針に悩んでいる際の参考になれば幸いです。
 

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余談

 
本編で流れるこの曲すき

スプラトゥーン2DLC『オクト・エキスパンション』がシングルモードとして非常に「えもい」仕上がりだったから遊んでくれ

 

 
まず本作を未プレイ、あるいは未クリアの方は本感想記事を読むことはお勧めしない。ビデオゲームはじめエンターテイメント作品の強さとは体験そのものであり先に種も仕掛けも知ってしまう事はその強みをスポイルさせてしまう行為に他ならないからだ。
 
スプラトゥーン」のシステムデザインとはどれもプレイヤーを迷わせないよう抑え込む「安全装置」としても機能していた。LZ+RZ同時押しによる任天堂おなじみの起動方法に始まり、プレイヤー全体のプレイ傾向を誘導する為のレベル製武器アンロックシステム、ジャイロ操作時にロックされる右スティックの上下入力、人口分散を抑える為の種類の少ないマルチプレイルール、ステージローテーション、毎週の武器追加、そして操作感を把握させるためにのみ存在したシングルプレイヤー。
 
そう、スプラトゥーンのキャンペーンとは基本的な使用感を把握する為、もしくはキャラクターのちょっとした掘り下げの為の豪勢なチュートリアルとしての機能以上の意味は無かった。本来であればそれでじゅうぶんであった。しかし前作スプラトゥーンのシングルキャンペーンは(開発スタッフ曰く「歌の力に頼った」とのことだが)BGMのキャッチ―さと演出の噛み合い具合が高いレベルで纏ってしまい、結果リアルイベントで単独ライブが開催されるなどの大番狂わせを生み出してしまった。
 
そういった流れを経て今回ニンテンドースイッチにて発売された『スプラトゥーン2』のキャンペーンなのだが、筆者のプレイ後の感想としては盛り上がりこそしたものの前作を知ってるからこそ「まーまーおもしろい」の域を出なかったものとして映ってしまった。おそらく『スプラトゥーン2』のキャンペーンは2から開始した人向けにも配慮した結果なのだろうが、目的を分かりやすくした結果前作と同程度の盛り上がり演出、悪く言えば前作プレイヤーからしたら「まぁこんなもんだよね」的な納得を以て目新しさのないものとして映ってしまったことも否めない仕上がりとなってるように感じたのだ。前作を踏まえての期待感というのはこうも厄介なものか。
 

 
そんなこともあって、折角の新キャラである海鮮系アイドルユニット「テンタクルズ」も素のスプラトゥーン2を遊んでいる限りは開始時に愉快なやり取りを行う以上の印象を見出してなかったわけだが、今回のDLC『オクト・エキスパンション』でこの些細な不満点はついに消し飛んでしまった。それほどまでにキャラクターの掘り下げやステージの難易度の作り込みや演出の丁寧さが素晴らしかったのである。
 
というわけでスプラトゥーン2 DLC 『オクト・エキスパンション』をクリアした。といっても寄り道ほぼせずラストまで直行したので現在進行形でステージの遊び込みはまったりと進めている。
 
本作を攻略するさい特に中盤以降のその完成度の高さとゲーム内の状況から遊び手側への感覚の没入感の強烈な提案具合に感心した限りだった。そしてそのまま勢いで最終ボスを倒し、改めてその内容や自身のゲームプレイを振り返った際「ひょっとして自分は恐ろしいものを触ってしまったのではないか?」と後になってじわじわと実感が伴ってきた。今回の記事はそういった滲み出てきた実感を文章っぽい何かに仕立て上げたものである。
 
先ほども書いたが、本記事はスプラトゥーン2は『オクト・エキスパンション』のネタバレ要素を大量に含んでいるので未クリアの人はちゃっちゃと戻ってオクトボールを守り抜く作業に戻る事をお勧めしたい。シナリオと演出とシステムが密接に絡み合った本作を語る上で、本編のネタバレ部分抜きに語ることは事実上不可能だからだ。