大丈夫日記


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2024年3月24日(日)

▼今日は、息子一家と一緒に嫁さんの実家に遊びに行く。
 義母は「孫がひ孫を連れて来てくれて、本当に幸せなんですよ」と、会う人ごとに伝えているらしい。幼い孫を連れて公園に遊びに行っていたというのが、人生でいちばんしあわせな時間だとずっと言っている人なので、その孫がこんどはひ孫を連れて来ているということが嬉しくて嬉しくて仕方がないのだろう。

▼それにしても、昨日今日で食べた量が半端ない。まったく運動をしていないのに、こんなに食べまくったら、また体重が増えてしまうぞ。

2024年3月23日(土)

▼21日が孫2号の6歳の誕生日だったので、本日、我が家にて誕生日のお祝いをすることになる。息子の家でやってもいいのだけれど、お嫁さんのご両親が高崎の人なので、息子の家よりも我が家の方が少しは出てくるのに楽なのだ。
 それにしても、月日の流れるのは早いなあ。6年前の雪の降る日に産まれた子が、もう幼稚園を卒園したのだものなあ。
 両家で持ち寄った食事を食べて、プレゼントを渡して、ケーキにロウソクを立てて、誕生日のお祝いをする。こうしたイベントが、少しでもこの子の記憶に残るといいなあ。みんなから愛されてお祝いされたのだということが記憶に残るといいなあ。

※髪の毛がすっかりコナンくんとなっている孫1号

▼夜、「映画を観るよ」ともなにも言わずに、黙って『RRR』のビデオを日本語吹き替え版で流す。すると、すごい集中力で孫2匹が画面に食いつく。長い映画なので、途中で飽きるかと思いきや、とんでもない。ずっと集中力を切らさないまま、夢中になって映画を観てくれた。「ナートゥダンス」のシーンでは、身体を動かしながら画面に集中していた。いやあ、『RRR』、偉大なり!
 映画が終わったところで、YouTubeで「ナートゥダンス」を探して再生したら、やっぱり身体を動かしながら足をパタパタさせていて、思わず笑ってしまった。


 子どもが寝る時間になって、パパが寝かしつけようとしても、隣の部屋から「ナートゥ、ナトゥナトゥナトゥナトゥナートゥ♪」というふたりのご機嫌な歌声が聴こえてきていたのでした。

▼ブックオフオンラインで発注した本が近所のお店に届いたという連絡がはいったので、さっそく受け取ってくる。
 『幻獣の森』『碇の男』の2冊。いずれも西村寿行選集だ。
 ちなみに、この『碇の男』、西村寿行選集の最後の1冊なのだけれど、本来は通番の入っている叢書なのにこの1冊にだけは通番が入っていないのである。それゆえに「これは入手しなければ!」と思っていたのだけれど、けっこうあっさりと手に入ってしまったのだった。



2024年3月22日(金)

▼上手い具合に仕事が途切れたので、午前半休をとって神保町へと出かけていく。神保町では20日から「春の古本まつり」が開催されているのである。目的は盛林堂のブースだ。
 古本まつりは11時からなので、その前に古書会館で10時スタートの「和洋会古書展」を覗きに行く。残念ながら「おおっ!」と思うような買い物はできなかったが、赤塚不二夫の『ぼくの自叙伝 笑わずに生きるなんて』が330円であったので購入。

 それからちょっと早いのだけれど盛林堂のブースを覗きに行くと、店主から「よしださんが来るんだったら、もっと濃い本を出しておけばよかったなあ」などと言われるが、自分は基本的には安物買いの人間なので、濃い本を用意されても手が出ませんから。まだ時間があったので、ブラブラと他のブースの様子を覗きに行き、スタート10分前に盛林堂のブースに戻ると、もう人が集まりだしている。
 11時にスタートとなって、目の前の本の値段を確認して、2冊ほど手にして他の棚を見ようとちょっと油断したら、もう棚の前に近づけなくなってしまう。どうせ手が出ない値段だろうなと思いつつ値段を確認しようと手を伸ばして引っ張り出した本に値段がついていない。すると「200円でいいですよ」と言われて驚愕する。その10倍の値段はするだろうと思っていたのに。じゃあ、これはどうだと高値に決まっている本を取り出すと、やはりまったく手の出ない値段がついている。だけど「これのサイン入りを持ってますけど」と伝えると「売ってください!」と食いつかれる。そうか、それなりに値段のつく本なのだな。
 結局買ったのは、『ザ・ベスト・オブ・サキII』サンリオSF文庫、『時代小説集1』鱒書房軽文学新書、『講道館の鬼』梶野徳三、『本を読む女』ゾラン・ジヴコヴィチの4冊。今日来た目的は最後の1冊。積極的に自費出版もおこなっている古本屋、盛林堂が出した新刊で、これを買うついでに古本も買おうというつもりだったのだ。

 他のブースもブラブラと覗いてまわって、そうそうに帰宅する。

西村寿行選集23冊がドーンと届く。メルカリにまとまって出品されていたもので、送料込みで1冊170円程度だったのだ。もちろんダブリの本もあるし、写真を見た段階でヤケによる色あせのひどい本があるということも分かっていたのだけれど、それでもこの値段なら文句はなし。


 実は、ホームページに西村寿行選集のコーナーを作っていて、そこに書影を並べたいというのが、西村寿行選集を買いあさっている理由だったりする。こういうコーナーを作ると、やたらと揃えていきたくなってしまうんだよなあ。いやあ、危険だ。

 ちなみに、ドーンと届いた荷物を、嫁さんにばれずに家の中に持ち込むことができたのは僥倖以外のなにものでもない。さすがに、ごっそり本を買うのがばれると、いい顔はしないもんなあ。

2024年3月21日(木)

▼朝いちでけっこう大きな地震が来た。地震が本が崩れたことはいちどもないのだけれど、今日は棚の上に積み上げていた「ルパン三世」2冊がすごい勢いですっ飛んできた。びっくりだ。
 LINEで一族の安全を確認してひと安心。

▼最近、メルカリで本を売ったりしている。そこで出品する際のフォーマット文を作成するためのプログラムを作ってみる。Excelで本のタイトル、説明文を作ったら、そこに定型文をプラスしてテキストファイル化するという、ごくごくシンプルなものなのだけれど、これはこれでけっこう便利だったりする。

カラサキ・アユミ『古本乙女、母になる』皓星社を読了。


 古本マニアの日常あるあるを4コママンガにした『古本乙女の日々是口実』の著者によるエッセイ集。母親になって自由に古本漁りができなくなりながらも、古本が買いたくて買いたくてしかたのない日々のあれこれを書いたエッセイで、古本が大好きな当方としてはどこもかしこも共感しかない。読みながら、いたるところで「うんうん、そうなんだよね」とうなずきまくってしまう。特に自分は、子どもが小さい時に車に乗せて古本屋まわりをしていた過去があるので、なおさら共感しまくってしまう。まあ、自分はここまで大胆に遠出をしたりはしなかったけれどね。でも、自分の時にはまだいわゆる街中の古本屋さんが健在だった時代なので、いまとは環境がまったく違うのだ。自分は、かろうじていい時代に古本マニアとしての日常を楽しんでいたと言えるのかもしれない。
 ちなみに、幼い子どもふたりと嫁さんの両親を車に乗せた家族旅行の途中で、古本屋に寄って超絶レアな本を含む30冊近い本を買い込んだこともあるのだけれど、さすがにあれは嫁さんの両親に対して申し訳なかったよなあ。

2024年3月20日(水)

お彼岸の法要に参加するため、午前中に嫁さんと白山にあるお寺に行く。ちなみに、今日から白山の3駅先の神保町では「春の古本まつり」が始まっている。いや、もちろんお彼岸の法要の方が大切なので、それをパスして神保町に行きたいなどとは絶対に言わない。
 法要を終えて卒塔婆を持ってお墓に行って、手を合わせて、そこから巣鴨に出る。嫁さんのリクエストで、巣鴨の「ときわ食堂」で昼食を食べることになっていたのだ。残念ながら、神保町へは5駅とちょっとだけ離れた。「ときわ食堂」の前にはけっこうな列ができていたけれど、回転が速いのは分かっていたので列の最後尾に並ぶ。前の方には外国からの観光客が多い。こういうスタイルの定食屋が珍しいのだろうか。
 少し待っただけで店内に入れてカウンター席に案内されたのだけれど、カウンター席、足元が狭くてかなり窮屈だ。欧米からの大柄なお客さんには無理だぞ。
 自分はロースカツ定食にアジフライをプラスしてもらって、嫁さんはブリの刺身定食にカキフライをプラスする。ちょっと量が多くて苦しかったかな。もう少し、自分の年齢を考えて注文しないといけないな。


 Twitter(現X)を眺めていると、友人たちが神保町で楽しそうに本を漁っている報告があがってきている。ううっ、行きたいと身もだえていたら、嫁さんから「行ってもいい」と許可が出る。3時に弟夫婦が遊びに来ることになっているので、あまり遅くなるわけにはいかないのだけれど。
 が、食事を終えて店を出るとけっこうなが降り出していた。「春の古本まつり」、目的は舗道に並んだ屋台の古本なので、雨が降り出すと中止になってしまうのだ。泣く泣く諦めて帰途につく。
 で、家に着くころには雨もあがっていて、神保町でも古本まつりが再開されていたとのことなのだけれど、時間的に雨があがるまで待つ余裕はなかったので、どちらにしても行けなかったのだけれど。

▼遊びに来た弟夫婦と、相撲やら大谷対ダルビッシュの試合やらを観ながら、あれこれ雑談しつつ食事。昼にたっぷり食べたあとなので、本気でお腹が苦しくなってしまう。

2024年3月19日(火)

▼最近、徳間ノベルスの西村寿行選集を集め始めている。以前から気になっていた叢書ではあったのだけれど、特に積極的に集めようという気はなかったのだけれど、リストを整理して、ホームページに書影を載せるコーナーを作ったら、とたんに収集欲が湧いてきてしまった。
 でも、基本的に値段の上限は300円と思っている。それ以上出してまで揃えたいとは思っていないのだ。
 で、ブックオフオンラインとかメルカリをチェックしてみたら、メルカリにけっこうお買い得なセットが出ていたので、ドンと買ってしまう。しばらく前からメルカリでも本を売っていて、その売り上げが貯まっていたので、実質的な出費はゼロだったりするので、けっこう気が楽だ。ついでに、他にもお買い物をしてしまう。
 メルカリで本を売って、その売り上げで本を買って……、なんだ単なるブツブツ交換じゃん(笑)

2024年3月18日(月)

▼中国のモンスターパニック映画『ディープ・シー・ミュータント』を観る。


 絶海の孤島で巨大企業カルシン・グループが新薬の開発のための生物実験をおこなっていた。その結果生み出された超巨大な蛇が施設を壊滅に追い込み、無数の蛇が施設の外へと抜け出した。
 それから1年。その島の近くを通った豪華客船に無数の蛇が海から襲いかかり、船の中は大パニックに陥る。さらには超巨大な蛇が豪華客船に襲いかかる。その船に乗り込んでいた元救助隊員のチン・ウーは、生き残った人々を率いて救難ボートに乗って海へと逃げ出す。九死に一生を得た一行は近くの島に上陸するのだが、その島には危険な生物が棲息していて、彼らに襲いかかるのだった。
 というわけで、秘かに島で行われていた生物実験が化け物を生み出して主人公たちを危地に追いやるという、いままで何度観ただろうかというほどよくある設定のモンスターパニック映画である。まあ、よくある設定でも、演出がよければいくらでも楽しめるのだけれど、本作に限っていえば、ぜんぜんダメ。唐突に豪華客船に海からやってきた無数の蛇が襲いかかるのだけれど、なんで蛇が豪華客船に襲いかかるのかという説明がまったくないし、船の中のどこに逃げ込んでも必ず蛇が入り込んでくるという展開も謎すぎる。唯一蛇が入ってこないのが主人公たちが逃げ込んだ冷凍室なのだけれど、寒くて震えている主人公たちの様子が、とても零下25度には見えない。蛇がうにょうにょひしめきあう狭い廊下なのに、そこを走り抜ける主人公たちにだけは蛇が襲いかからないのも納得がいかないし、そもそも主人公たちにいまいち危機感が感じられない。役者たちの演技が、CGを相手にするのに慣れていないのか、実にわざとらしかったり、素人っぽかったりして、臨場感がまったくないのだ。
 しかも、作り手の独りよがりの演出や、むりやりすぎる展開があちこちに観られ、最後までつきあうのがなかなかしんどかった。
 中国のこの手のモンスター映画はいままでに何本も観ているのだけれど、その中でいちばん退屈だったのが本作だったと言い切ってしまおう。なんのかんの言いながら、この手のC級モンスター映画は、たいていはそこそこ楽しませてくれるものなんだけどなあ。
 ちなみに、ただひとり、よく知っている俳優が出ていた。なんと、『男たちの挽歌』のレイ・チーホンがカルシン・グループの社長の役で出ていたのである。ううっ、なにもこんな映画に出なくてもいいだろうに。

2024年3月17日(日)

▼母親に頼まれて、韓国ドラマ『秘密の家』の続きを借りに行く。ちょっと距離があるのだけれど、散歩がてら歩いて行くことにする。心配なのは花粉なんだけど。今日のようにいい天気だと、いかにも花粉が多く飛びかっていそうだ。
 途中、郵便局に寄ってメルカリで売れた本を投函して、ふだん通ったことのない裏道を突き抜けていくと、いつも車で行っているゲオに辿り着く。距離にして約1.9キロ。
 母親が借りていたDVD10枚、自分が借りていたDVD5枚を、返却ボックスにドサドサっと返却する。さすがにいちどきに15枚のDVDを返却するというのは初めてだ。
 そして、店内で続きを10枚借りようと思ったら、23巻から最終巻までが貸し出し中となっているので、11~22巻の12枚を借りることにしてしまう。1~10巻はいま返却ボックスに返したばかりなので、これで全42巻すべてが貸し出し中という凄い状況となった。おそらく、23巻以降を借りている人も、同じように23~32巻あたりを今日返却して、33~42巻を今日借りていったのだろう。

 帰りにテニススクールに寄って、休会届けの延長をお願いしてくる。4月に手術をするとして、そのリハビリもあるので5月も復帰はないだろうから、とりあえず6月復帰予定ということにしてくる。
 最近、多少は走れるようになってきているので、お遊び程度のテニスだったらもしかしたらできるかもしれないけれど、スクールレッスンを受けられるレベルになるには、やはり手術は必要だろう。

 帰宅して歩行距離は3.91キロ。暖かくて、途中で上着を脱いでTシャツだけになってしまう。まだ3月なんだけどねえ。

『48時間 PART2 帰って来たふたり』を観る。


 サンフランシスコ市警のジャック・ケイツ刑事(ニック・ノルティ)は、暗黒街の正体不明の支配者“アイスマン”を追い続けていたのだが、いま一歩のところで“アイスマン”の正体につながる人物に逃げられてしまう。だが、何故か逃亡した“アイスマン”の手下はレジー(エディ・マーフィ)の写真を持っていた。“アイスマン”の正体を知るレジーを殺害するために、殺し屋が雇われていたのだ。
 前作ではたしかあと半年で出所となるはずだったレジーだったが、なぜかさらに5年間も臭い飯を食わされることになっていた。そのようやくの出所を迎えにジャックがやってくる。“アイスマン”をつかまえるためにレジーに協力させるためだが、「お前に協力するのは二度とごめんだ」と、すげなく断るレジー。しかし、出所したばかりだというのに狂暴な二人組のバイカーに襲われ、なんとか九死に一生を得るのだけれど、今度は現金を隠して置いた愛車が爆破され、結局はまたしてもジャックに協力することになるのだった。
 前作が作られたのが1982年で、本作が1990年。なんと、8年ぶりでの続篇である。監督は、前作に引き続いてウォルター・ヒルが担当している。よって、アクションシーンの演出がなんとも男臭い。スマートなアクションではなく、骨太のアクションなのだ。
 驚いたのは、クレジットの順番がニック・ノルティよりもエディ・マーフィが先になっているということ。前作のDVDを引っ張り出して確認すると、前作ではニック・ノルティの名前の方が先に出ていた。つまり、1作目が作られてから本作が作られるまでに、役者としての格が逆転してしまっていたのだ。8年の間に『ビバリーヒルズ・コップ』があり、エディ・マーフィはバリバリの超売れっ子となっていた頃の作品なのである。
 しかし、こうなると今度は『ビバリーヒルズ・コップ』が観たくなるなあ。今年はNetflixでシリーズ第4作が観られることになるらしいので、いまのうちにシリーズを見直しておくのもいいかもしれない。

▼夕方にもう一度散歩に出る。少しだけ走ってもみる。いままでは、走るにしても早歩き程度のスピードだったのだけれど、今回はもう少しスピードをあげて遅めのジョギングといった感じで走ってみる。なんとか走れるが、やはり危なっかしい。もうちょっとで膝がひどく痛くなってきそうな、なんとも微妙な感覚がある。そして、膝が痛くなるよりも前に、しんどくなって走れなくなってしまう。これだけ歩き回っていても、走る体力とはまったく別物であるらしい。
 45分05秒で4.38キロ。キロ当たりの平均ペースは10分17秒。

▼Netflixオリジナルの韓国映画『バッドランド・ハンターズ』を観る。


 大地震によって壊滅的な被害を受け、無法地帯と化したソウル。かろうじて生き延びた人々は、小さなコロニーを作り、僅かな水と食料にすがって細々と暮らしていた。
 18才になるスナ(ノ・ジョンウィ)は、バスという村に祖母とともに暮らしていたが、その村に豊富な水に恵まれた暮らしをしているという伝説のマンションからの使者が現れる。マンションでは国の未来のために、若者を家族とともに迎え入れているのだという。祖母とともにマンションに向かうことを決意するスナだったが、実はそのマンションでは人間を超人に進化させるための人体実験がおこなわれており、その研究のために若者が必要とされていたのだった。
 バスの村でスナの保護者的な役割をしていたナンサン(マ・ドンソク)と、彼の弟分のジワン(イ・ジュニョン)は、マンションから逃亡してきた元特殊部隊の隊員だったイ・ウンホ(アン・ジヘ)から事実を知らされ、スナを取り戻すためにマンションに向かう。だが、その前に立ちふさがったのは、不死身と化した軍人たちだった。
 大地震によって壊滅したソウルの街というのは、ほとんど『北斗の拳』もしくは『マッド・マックス』の世界である。力のみが支配する非情の世界だ。その非情の世界において、人情に生きる男、それがマ・ドンソクである。相変わらず、ひょうひょうとしながらめっちゃ強い主人公を演じている。
 肉弾戦から銃撃戦までアクションがてんこ盛りで、そのアクションシーンが実にいい。監督は『犯罪都市』などで武術監督を担当していたホ・ニョンヘンとのことで、なるほどアクションシーンに力が入っているわけだ。
 マ・ドンソクのみならず、アン・ジヘのアクションも見ごたえたっぷりで、これが実に素晴らしい。きれいなお姉さんのキレのいいアクションというのは、僕の大好物なのだ。めちゃくちゃかっこいいので、他に何に出ていたのか調べてみたら、東京国際映画祭で上映された『スレイト』の主演女優さんなのだという。なるほど、見惚れてしまうほどの素晴らしいアクションを次々とこなしてくれるのも納得だ。
 そして、ヒロインのスナを演じているノ・ジョンウィがこれまた可愛いんだ。透明感のある美少女でありながら、芯の強さを感じさせる女優さんで、彼女の存在感もなかなかのものだった。
 なんの前情報もないまま、ふらっと観てしまったのだけれど、これはなかなかの拾いものでありました。

2024年3月16日(土)

▼神保町の古書会館で開催される『古本乙女、母になる。』出版記念「古本愛は止まらない!」というトークショーに何気なく応募したら当選してしまったので、花粉舞い散る好天の中、神保町へと出かけていく。
 少し早めに行って、神保町の古本屋をさらっとまわってから、古書会館の地下で開催中の「趣味の古書展」を覗きに行く。ひとまわりして、デュ・モーリア『レベッカ』三笠書房を300円で購入。他にも、持っているくせに買いたくなる本が何冊かあったのだけれど、ぐっとこらえる。
 そこから古書会館7階にあがる。本日のトークショーは、古本屋ツアー・イン・ジャパンの小山さんと、『古本乙女、母になる。』の著者のカラサキ・アユミさんによるもの。徹頭徹尾古本に関する話なのだけれど、九州にある古本屋の話で盛り上がれる小山さんに呆れかえる。そして、母親になって子どもと古本との間で揺れているカラサキさんの話も、あれこれ共感できて面白かった。なにしろ、子どもを連れて古本屋をまわったってことに関しては、こっちは大先輩だからね。なにしろ、週末ごとに幼い娘を車に乗せて古本屋をまわったせいで、うちの娘が生まれて初めて覚えた文字が「古本」だったのである。店の看板にある文字を見て覚えてしまったのだ。
 でも、このトークショー、ただ聞いているだけじゃなくて、一緒に話をして盛り上がりたくなってしまう。どちらかというと、一緒に居酒屋にでも行って、古本話で盛り上がりたいという感じの話題ばかりだった。そこに猟奇の鉄人kashibaさんでもいようものなら、めちゃくちゃ盛り上がること間違いなし。

 トークショーのあと、サインをもらうために並んでいると「よしだまさしさんですか?」と声をかけられる。なんと、Twitter(現X)で何度もやりとりをさせてもらっているナカネくんなのでありました。いつもネットでやりとりしてはいても、お会いするのは初めて。古本者というと、どうしても色白インドア派というイメージになってしまうのだけれど、ナカネくんはちょっとワイルドな感じの好青年で、とてもとてもあんな本こんな本をコツコツ集めている人とは思えない。(あとで判明したのだけれど、以前お会いしたことがあったらしい。ぜんぜん覚えてなくて、実に申し訳ない。)

▼古書会館を出たところで、そういえば「アットワンダーJG」を覗いたことがなかったなと思って、寄り道してみる。
 本店の方は専門書をそれなりの値段で揃えているのだけれど、こちらはもう少し雑多な本を手ごろな値段で並べているという感じ。白背の角川文庫がけっこう並んでいて、おそらく持っていないだろうというあたりの本を3冊ほどピックアップする。
『盗作者』ユーシュル・モリナーロ
『わたしの心に眠れ』アンドリュー・ジョリー
『愛の化石』L・ウォイウッディ

 ただ揃えたいだけで読むつもりはまったくないので、速攻で書庫にしまいこんでしまう。

西村寿行『地獄(下巻)』徳間ノベルス西村寿行選集を読了。
 地獄は釈迦が民衆を騙すために作り上げた謀略で、死んで冥界に来た亡者は奴隷にされ、ある者は肥料に、ある者は食料に、そしてとりわけ美しい女性は性の奴隷にされている。隣接するキリスト冥界のたくらみによって冥界に送り込まれた西村寿行と担当編集者たちのヘナチョコ軍団は、そのことを知り、釈迦打倒のために立ち上がる。
 だが、その前に立ちふさがったのは、かつて釈迦と闘って破れ、いまは釈迦の腹心となっている閻魔大王なのであった!
 というわけで、西村寿行のとんでも小説の下巻である。これがSF専門誌である『SFアドベンチャー』に連載されたのであるから、徳間書店の懐の深さには恐れ入るしかない。『SFマガジン』だったら、絶対にこの小説が掲載されることはなかっただろう。まあ、『SFマガジン』に連載されたなら、賛否激突する論争が繰り広げられただろうから、それはそれで有意義なのかもしれないが。
 しかし、冥界を舞台に釈迦や閻魔大王に闘いを挑んでいくというとんでもない物語でありながら、その価値観の最上位には常にセックスがあるというのが、さすがは西村寿行だ。釈迦だろうが、閻魔大王だろうが、常に美貌の亡者を何人もはべらせて、四六時中セックスを楽しんでいるのである。西村寿行一行もスキさえあれば美人の亡者に手を出そうとするし、釈迦を倒したあかつきには性の楽園を作るぞと宣言したりして、その価値観のシンプルさにはある意味感心してしまう。
 巻末には、西村寿行と小説内に登場させられた実際の編集者たちによる座談会が収録されているのだけれど、誰も「オレをあんなキャラクターとして描いてひどすぎる!」と文句をつけたりせずに、大まじめに仏教論、宗教論をかわしている。いやいや、もっと素直に「このクソ寿行、おれをあんな風に描きやがって!」と糾弾した方が面白いのに。

2024年3月15日(金)

▼3年分の医療費控除の申請書類を作っている。なぜ溜め込んでしまったかというと、嫁さんが源泉徴収票をどこかにしまいこんでいて、頼んでもなかなか出してきてくれなかったから。かかった医療費はすべてExcelに入力して管理しているので、いつでも申告できる状態だったのに。しかし、このままだとラチがあかないので、嫁さんにしつこくお願いしてようやく探し出してもらってきたのだ。
 ところが、申請書類を作り終えるぐらいのタイミングで「まだ領収書があった」と医療費の領収書を出してくる。だから、そのつどこっちにまわしてって頼んでいるのに。ううっ、また作り直しだよ。そして、できあがるタイミングでまた領収書が出てくる。また作り直し。
 それがようやくできたら、今度は「国境なき医師団」の領収書が1枚出てくる。まあ、寄付金控除なんてたいした還付金にならないだろうと思いながらもまた作り直すと、いやいや、けっこうな金額が戻ってくるではありませんか。あわてて嫁さんに他の年の「国境なき医師団」の領収書を探すようにお願いする。おかげでまた作業は中断してしまう。なんとか3年分のうちの2年分の領収書が出てきたので、またしても作り直し。
 なんとか完成してみると、3年分でなんと6万円ほどの還付金が戻ってくることが判明! これは大きい。3年分の申請書を封筒に入れて発送準備を整えると、嫁さんが「まだ探せば領収書が出てくるかも」とか言い出すので、「あとはもう諦めてくれ」と泣きついてお願いする。

▼昨日のホワイトディ、好きな女の子にクッキーをプレゼントするとはりきっていた孫1号がどうしたのか問い合わせてみた。すると、近くの公園で渡すために「今日、公園で遊ぼう」と誘ったのだけれど、「今日はダメ」と断られてしまったのだとか。いまの小学生、いろいろと習い事があったりして忙しいからなあ。ドンマイ。諦めずに頑張れ。

2024年3月14日(木)

▼韓国映画『犯罪都市 THE ROUNDUP』を観る。マ・ドンソク主演の『犯罪都市』のシリーズ第2作だ。


 ソウル衿川警察署の刑事マ・ソクトは、犯罪者引き渡しのために上司とともにベトナムに派遣される。だが、韓国人を誘拐するカン・ヘサンという凶悪犯罪者がベトナムにいることを知り、捜査権がないにもかかわらず強引に捜査に乗り出す。一方、息子を誘拐されて身代金をとられたあげくに息子を殺害された韓国の富豪が、カン殺害のために殺し屋を送り込んでくる。殺し屋を返り討ちにしたものの、身代金を奪い返されたカンは、金を取り戻すために韓国に乗り込んでくるのだった。
 というわけで、前半はベトナムが舞台で、捜査権がないにもかかわらず相変わらずの強引さでカンを追い求めるソクトの活躍が描かれ、後半では韓国を舞台にカンとソクト率いる警察チームとの壮絶なバトルが描かれていく。
 前作同様、ストーリーは非常にわかりやすく、シンプルに楽しむことができる。とりわけ第2作目となる本作では、上司のチョン・イルマン班長(チェ・グィファ)とのやりとりが前作以上に楽しめる。班長、口先だけの男かと思いきや、けっこうやる時にはやるじゃん。
 クライマックスは、バスの中での肉弾戦で、狭い空間をフルに使ったバトルが展開される。マ・ドンソクのパワフルなアクションは、なかなかな見応えがあっていい。
 そして、やっぱり血の量が半端ない韓国映画なのだった。とりわけ今回の悪党はマチェーテを主な武器としているので、それでぶった切るようなシーンが半端なく、見るからに痛い。また、ナイフを持たせればザックザクと執拗に突き立てるし、首筋をスパッと切り裂くし、相変わらず容赦がないのだった。
 注目すべきは、カンからの身代金請求の電話を受ける社長夫人。パク・チヨン演じるこの社長夫人、なんとも存在感がありすぎて、これだけ存在感があるからには絶対に単なる社長夫人じゃなくて、なにかしら裏があるよな、犯人と繋がっているんじゃないの、とか思ってしまったのだけれど、それは勘ぐりすぎというものなのでありました。
 唯一納得がいかなかったのは、身代金を持ち逃げしようとするチャン・イス(前作のイス組の組長が、本作では落ちぶれて不法入国者の偽装結婚斡旋所をやっている)の車に、カンの車が突っ込んでくるシーン。あれ、どうしカンはイスの車がいる場所を知ったのか、どうしても分からなかったのだけれど。

▼ニック・ノルティ&エディ・マーフィ主演のアクション映画『48時間』を観る。


 脱走した凶悪犯のギャンズによって同僚の刑事を殺されたサンフランシスコ市警の刑事、ジャック(ニック・ノルティ)は、犯人のかつての仲間で服役中のレジー(エディ・マーフィ)を48時間という期限付きで仮釈放させ、捜査に協力させる。ギャンズの狙いは、かつて賭博場から盗んでレジーが隠した50万ドルだった。それを守るためにもジャックに協力するレジーだったが、この二人はなにかとぶつかり合ってしまう。だが、ギャンズを追ううちに、次第に互いを認め合うようになるのだった。
 実に久しぶりに観たのだけれど、細かい部分はきれいさっぱり忘れていたし、場面によっては記憶していたのとぜんぜん違っていたのにはビックリ。自分の記憶力の曖昧さに呆れかえる。ヘタすると、『ビバリーヒルズ・コップ』と記憶がごっちゃになっていたりして、本当に情けない。
 それはそれとして、やっぱりウォルター・ヒル監督の映画はいい。ニック・ノルティもエディ・マーフィも実にかっこいいのだ。ニック・ノルティが両手でがっちり銃を握りしめ、エディ・マーフィが片手で軽々と銃を構えるあたりの対比もお見事。さりげないところで、ふたりのキャラクターが表現されている。
 ちなみに、アメリカのポスターだとニック・ノルティとエディ・マーフィが同等に扱われているのだけれど、日本のポスターではニック・ノルティだけが大きく描かれている。この時点で、日本ではほとんどエディ・マーフィが知られていなかったせいなのだろうか。
 さて、こうなると次はやっぱり『48時間 PART2 帰って来たふたり』を観ないといけないな。こちらは、さらに内容を覚えていないのだけれど。

2024年3月13日(水)

西村寿行『地獄(上巻)』徳間ノベルス西村寿行選集を読了。


 なんともまあ、とんでもない小説である。西村寿行が各社の担当編集者らを招いて伊豆大島で釣りをするが、その夜、寿行がさばいたトラ河豚の毒にあたって全員死んでしまう。そして、気がつけば地獄の三途の河原にいた。そこから、地獄の鬼や冥府軍の繰り出す異形の者たちから逃げ惑う日々が始まるのだ。そういう話と思って読んでいると、なんと、いつの間にやら冥界を舞台に、なんとも壮大な物語が展開されてしまっているのだ。冥府を支配する組織に対して、西村寿行たちが徒手空拳が闘いを挑むという物語になってしまうのである。しかも、仏教の冥府軍は隣接するキリスト教の冥府軍と対立しているとか、とんでもない設定なのだ。むやみやたらと壮大な物語なのだ。が、にもかかわらず、まったく壮大さが伝わって来ない。なにしろ、徹頭徹尾、低俗きわまりない西村寿行たちの視点から描かれる物語なのである。高空から見下ろすような視点には絶対にならないのだ。三途の川を渡ってくる亡者の中にいる美女を尻の方から犯したいとか、そういうレベルの話題から離れようとしないのだ。これがまあ、西村寿行なんだよなあ。『百億の昼と千億の夜』を西村寿行が書いたら、こんな小説になっちゃいました、てへ、みたいな小説なのだ。
 それにしても、なにがとんでもないといって、登場する担当編集者らが、すべて実在の人物が実名で登場してきているのである。しかも、描写が容赦ない。どの人物も、遠慮容赦なく徹底的にこきおろされるのである。ここまで書いて許されるのかと呆れかえるほど、ボロクソに書かれているのである。小説に実名で出されて、しかもありえないほど露骨に悪口雑言が書かれるって、耐えられないぞ。
 が、しかし、西村寿行本人についても、けっこうありえないほど露悪的にボロクソに書かれているのである。女性秘書を愛人にしているとか、人妻をものにしているとか、どこからどこまでが本当なのかは分からないけれど、どうしようもない低俗な人物として描かれているのである。
 冥府軍による西村寿行の評価など、次のようなものなのであったりする。
「西村寿行と申すは、大いなるうつけ者にございます。人倫を知らず、仏心を知らず、げに、むくつけき無学文盲の徒にてある由。アルコールと女の尻をとれば西村の小説はおよそ文章の態をなさぬとか。」
 冥府をさまよいながら西村寿行の脳裡にあるのは、次のような想念でしかないのだ。
「いつの間にか、女のことに思いを切り替えていた。女の肌、乳、尻、性器、太もも、足--抱いたときの感触。ああ、やりたいと、西村は胸中に重い吐息を落とした。」
 どんなに壮大な物語になろうとも、西村文学はかくも低俗なのである。
 とにかく、下巻に突入だ。

▼韓国映画『犯罪都市』を観る。


 シリーズ三作目が日本で公開されるに及んで、ようやく「これってもしかしたら面白いんじゃないの?」と気がついた次第。遅いっての。
 2004年ソウル。チャイナタウンを擁する衿川区では、韓国系ヤクザの「イス組」と朝鮮族マフィアの「毒蛇(ドクサ)組」との対立が続いていた。そこに、中国から新興勢力の「黒竜(ふんりょん)組」の狂暴な3人組が乗り込んできて、情け容赦のない手法で「イス組」と「毒蛇組」の縄張りを乗っ取ろうと動き始め、血なまぐさい事件が連続することとなる。日頃から荒っぽい捜査で「イス組」「毒蛇組」からも一目おかれている警察署強力班のマ・ソクト刑事(マ・ドンソク)は、「黒竜組」逮捕に乗り出すのだが……。
 なるほど、これは面白い。なにより、複数の組織が入り乱れながらも、物語がきわめてシンプルで分かりやすいというのがいい。日頃からヤクザとなあなあで馴れ合いつつも、いざとなれば悪を許さない豪腕刑事のマ・ドンソクのキャラもいい。中国から来た3人組の凄まじいばかりの容赦ない狂犬ぶりもさすがは韓国映画だ。もっとも、この3人組、ただただ狂暴なだけなので、もっと早く警察に見つかって捕まってもよさそうなものだが。でもまあ、これだけ存在感たっぷりの悪党を演じてくれたのだから、文句はない。
 とにかく、妙に頭をひねることなく、ストレートに楽しめる痛快な刑事ドラマとして充分に楽しませてくれた。
 それにしても、なにゆえ韓国映画はかくも血なまぐさいのだろう。相変わらず血の量が半端ない。もうちょっと抑制してくれてもいいだろうにと思ってしまうのだけれど、いっつも許してくれないんだよなあ。

2024年3月12日(火)

『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦』を観る。


 クライマックスに至る骨格はすべて前編で組み立てられているので、あとはひたすらクライマックスに向けて疾走するのみという後編だ。さすがに盛り上がる。悲劇的な運命からマイキーを敵とみなす芭流覇羅の一虎。東京卍會を去り、芭流覇羅に加わる場地。だが、未来からタイムリープしてきた武道は、マイキーが一虎と場地を殺害し、それをきっかけにダークサイドに落ちてしまうということを知っていた。それが、めぐりめぐって日向が事故死することにつながるのだ。必死になってそれをくい止めようとする武道だったが、とうとう東京卍會と芭流覇羅の決戦のときがやってきてしまう。
 いやあ、こいつらみんな不死身じゃん。なんで、金属バットで思いっきり頭を殴られて平気でケンカを続けられるんだよ。なんで、カナヅチで頭を殴られて死なないんだよ。まあ、チョウ・ユンファだって、何発もの銃弾を食らっても大丈夫だったけどね。
 それにしても、クライマックスの廃車置き場での乱闘シーンの撮影はさぞかし大変だっただろうな。とりわけ、廃車が積み上げられた場所で殴り合って、そこから勢いよく転がり落ちるスタントマンのアクションの凄さには呆れかえる。それこそ、怪我をしないように準備万端整えて、何度もリハーサルを繰り返した上でやっているのだろうけれど、それでも凄すぎる。
 というわけで、前編がいまいち盛り上がらなかった分、後編のクライマックスで映画2本分ぐらいのアクションを堪能させられ、もうお腹いっぱいという感じ。ゲップがでるくらい、ヤンキーたちの過激なバトルを満喫させてもらいました。
 しかし、ラストはあれでいいのか? どう考えてもやばいだろう。ネタバレになるので書けないのだけれど、さすがにあのラストはないだろうと、どうしてもモヤモヤしてしまう。さらに続篇を作って、そのモヤモヤを吹き飛ばしてくれると期待していていいのだろう?

2024年3月11日(月)

あの地震から13年がたった。13年前の今日、自分は勤務先のある新宿から自宅のある南浦和までひたすら歩いていた。友だちと和光市のカラオケ屋に行っているという娘が心配で、必死になって歩いて帰った。かなりの早足で4時間15分歩き続け、途中でふくらはぎが攣り、それでもなんとか自宅に辿り着いた。家に着くと、娘は友だちのお母さんが車で送ってきてくれて無事に帰宅していた。なにしろ、電話がまったく繋がらず、家の様子も分からず、心配で仕方がなかったのだ。
 翌日には右足の甲が疲労骨折を起こしてまともに歩けなくなった。いまGoogleマップで調べてみると、およそ21キロの距離だったらしい。ゆっくり歩けばなんとかなる距離だろうが、とにかく気がせいて、ゆっくり歩いてなんていられなかったのだ。
 あんな体験はもう二度とごめんだ。

『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命』を観る。


 前作で過去を変えて恋人の日向を死の運命から救った武道だったが、またしても何者かの仕組んだ事故で日向が死んでしまう。過去を変えても、運命は変えられないのか。だが、過去を変え、日向を救うために、またしても武道は過去へと飛ぶ。
 そこでは、マイキーたちの率いる東京卍會が対立する芭流覇羅(バルハラ)との決戦を控え、敵対する組織にいたキサキを仲間に引き入れていた。だが、そのキサキがそもそもの原因だと知っている武道は、なんとかしてキサキを組織に入れないようにとマイキーに訴えるが、そのために東京卍會を離れた芭流覇羅に移った場地を連れ戻すという条件をつけられるのだった。
 相変わらずタイムリープに関する整合性はとれておらず、未来の武道が入り込んだことで過去の武道の記憶はどういうことになってしまうのだろうかとか、いろいろとムズムズしてしまうのだけれど、やはりそこに触れてはいけないのだろう。
 で、そこをスルーした上で本作がどうだったかというと、なにぶんにも「血のハロウィン編」の前編に過ぎないので、なんともいえない。本来なら、この前編にもそれなりに盛り上がるシーンを入れるべきなのだけれど、後編のための設定を組み立てるだけで終わってしまっているのはちと残念。いずれにしても、後編まで観て1本の映画ということなのだろう。

2024年3月10日(日)

岩井圭也『完全なる白銀』小学館を読了。


 かつてマッキンリーと呼ばれていた北米最高峰の山、デナリ。アラスカのサウニケという地球温暖化によって海に沈みつつある島で生まれ育ったリタは、女性による初の冬期単独登頂に挑戦するが、下山の途中で消息不明となってしまう。だが、登頂を証明するものがないため、その成功を疑問視する声もあがっていた。
 リタの幼なじみのシーラと、彼女らと親交のあったカメラマンの藤谷緑里(みどり)は、彼女の成功を証明するため、いや、証明できずとも自分たちに納得させるために、冬期のデナリに挑戦するのだった。
 帯の背には「山岳小説の新たな傑作!」とあり、それで手に取ったところさらに「山岳小説の新しい傑作がここに出現した。読者よ、岩井圭也に瞠目せよ!-夢枕獏」「すごいな岩井圭也。読み始めたらやめられず、緊張感とともに一気読みする傑作とくるから脱帽だ-北上次郎」とあったので、そりゃあ読まないという選択肢はない。
 リタの登山シーンはない。シーラと緑里の挑戦が始まってからも、頻繁に回想シーンがはさまれ、なかなか壮絶なる雪山との闘いの場面とはならない。が、どうしてリタがデナリへの冬期単独登頂に挑むことになったのか、シーラと緑里がリタの成功にこだわるのか、あるいはどうして緑里がカメラマンとして成長してきたのかといった背景がしっかりと描かれているからこそ、二人の登山シーンが生きてくる。
 自分はカメラマンという職業についてはほとんど知識を持っていなかったのだけれど、いわゆる商業カメラマンと作家としてのカメラマンとの違いがこうまで違うとは思っていなかった。仕事としての写真を撮り続けていながら、作家としての撮影を続けるということは実に大変なものらしい。主人公の緑里は、フリーの商業カメラマンとしては食べていけるものの、作家となることを諦めようとしていた。だが、デナリに挑戦するリタによって、生き方を変えられてしまうのである。山岳小説とは別に、そのあたりの描写も実に興味深く、ぐいぐいと読まされる。
 欲を言えば、冬山の描写はもっともっと凄絶なものであってほしかった。緑里とシーラに立ちふさがる困難はもっともっと壮絶なものであってほしかった。そうは思うものの、あまりそこにウェイトを置きすぎてしまうと、小説のテーマそのものを見失ってしまうのかもしれない。このあたりが、ちょうどいいバランスなのだろうか。
 本書で初めて名前を知った著者なのだけれど、いずれ機会があれば別の作品も読んでみよう。著者のホームページを見ると、剣道を題材とした『夏の陰』という作品が僕の好みかも知れない。

▼ウォルター・ヒル監督の『48時間』を久しぶりに観たくなったのだけれど、アマゾンプライムでは400円とられることが判明。それだったらTSUTAYA DISCASで借りるって手もあるのだけれど、たしか近所のゲオの3枚1,000円の中古販売の棚にあったはずと思いだし、ブラブラと歩いて行ってみる。近所といっても、いちばん近くのゲオは閉店してしまったので、1.7キロ離れているお店なんだけどね。
 さっそく中古販売の棚をチェックすると、ありましたありました。パート2の『帰って来たふたり』と並んでいました。そうなると、あともう1枚なにか買わないとならないのだけれど、特に買いたいものはないなあ……などと思ながら日本映画のコーナーまでチェックして大林宣彦の『金田一耕助の冒険』を買うことにする。別に好きな映画というわけではないのだけれど、ま、いいかな。
 どうせならと、そこからブラブラと行き先を定めない散歩に出てみる。いままで歩いたことのない方面へ入り込み、ずんずんと歩いて行くと、あれ? なんだか見覚えのある場所に出たぞ。なんと、嫁さんの声楽の先生のお宅がある通りではありませんか。なんと、こんなところに繋がるのか。
 そこをさらにズンズンと歩いて行くと、車の通れない細い道に入り込む。さらに進んでいくと、またしても見覚えのある場所に出た。なんとなんと、テニスクラブのすぐ裏の道ではありませんか。
 そこで、ちょいとコートを覗きにいくと、クラブハウスの中に知人の顔が見えたのでちょいと挨拶に寄ることにする。そしたら、オーナーが奥から僕の名前の書かれたバレンタインのチョコレートを持ってきてくれるではありませんか。僕が顔を出すまでとっておいてくれたんですね。しばらく雑談などして「じきに復帰しますから、そしたらよろしく」と声をかけて、また散歩の続き。
 そこからは自宅方向に向かったのだけれど、知っている道を通るのは面白くないので、またしても裏道をグルグルと歩き回る。
 帰宅すると、歩行距離は6.88キロでした。よく歩いたな。暖かかったので、けっこう汗をかいてしまいました。

▼母親のために借りてきていた韓国ドラマを見終えてしまったという。10枚まとめて借りてきても、けっこうあっという間に見終えてしまうので、借りに行くのも大変だ。今日見終えてしまったのは「復讐の花束をあなたに」という43巻あるドラマなのだけれど、1日2~4枚ペースで観てしまうので、すぐに最終話に辿り着いてしまうのだ。
 次にリクエストされたのは「秘密の家~愛と復讐の迷宮~」という作品で、これはさっき行ったゲオにはないので、別のゲオまで車を走らせる。こちらは全124話だそうだ。全105話の「復讐の花束をあなたに」よりほんのちょっと長いけれど、これもふと気がつけば見終えてしまうんだろうな。

▼本日の歩数は8,929歩。うーん、あれだけ歩き回って1万歩にならないのか。

2024年3月9日(土)

▼休日の時間をもてあましてしまうので、今日は所沢の古本まつりに出かけることにする。
 我が家からだと、東浦和から武蔵野線で新秋津に出て、少しあるいて秋津駅から西武池袋線に乗ればひと駅で所沢である。意外と近いのだ。
 会場に到着したのが10時40分なのだけれど、なんと会場がまだ開いていない。開場時間をまったく調べないできてしまったのだけれど、なんと開場時間は11時なのでした。


 11時になってメイン会場の8階にあがると、いやはや、広い。広い会場に古本がズラリと並んでいる。これだけ並んでいたら、絶対になにかしら欲しい本があるでしょう。
 入ってすぐ左側の壁に沿って、文庫の並ぶ棚を見ていく。ハヤカワSF文庫、創元推理文庫といって好みの翻訳文庫がけっこうたくさん並んでいるのだけれど、本気で欲しい本はだいたい持っているので、なかなか買う本に出会わない。このまま手ぶらというのも哀しいので、とりあえず『いさましいちびのトースター』『いさましいちびのトースター火星へ行く』の2冊を手に持つ。いつでも買える本なんだけど。というか、単行本で持っている本なんだけど。
 さらに、これまたどうでもいいと思ながら角川文庫の『小公女』を手にする。背中の白い角川文庫の翻訳小説というのは、いちおう自分の蒐集ジャンルなのである。もっとも、『小公女』とかまで手を出さなくてもいいんだけど。ちなみに、角川文庫の『小公女』は川端康成が翻訳を手がけているらしい。
 そんな感じで見ていって、とうとう本気で探していた本に遭遇。リチャード・マシスンの『地球最後の男』。えっ、そんな本を探していたの?と思わないでいただきたい。もちろん、ハヤカワファンタジーの『吸血鬼』、ハヤカワノヴェルズの『地球最後の男/人類SOS』、ハヤカワ文庫NVの『地球最後の男』は持っている。しかし、ハヤカワ文庫NVがモダンホラーセレクションの1冊として装幀を変えて出した版は持っていなくて、ずっと探していたのだ。それをとうとう発見してしまったのである。よしっ!
 さらに、西村寿行選集の『地獄(上下)』を発見。西村寿行の『地獄』はいずれ読みたいと思っていた作品なのだけれど、西村寿行選集を集めようと思っていたので無理して文庫で手に入れようとはしていなかたのだ。これまた、よしっ!
 集英社ワールドSFのジョー・ホールドマン『さらば ふるさとの惑星』も手ごろな価格だったので購入することにする。集英社ワールドSFも何を持っているのかよく分からなくなっていたのだけれど、つい最近リストをチェックしておいたのが役に立った。
 悩んだのが富田常雄の『風来物語(上下)』中央公論社。読んでいるので持っているはずなのだけれど、それが中央公論社版であるのかどうか自信が持てなかったのだ。上下で1000円だから決して高くはない。さんざん悩んで買ってしまったのだけれど、帰宅してチェックするとやっぱり持っていた。他に読売新聞社版の『風来物語』を持っていたので、そのせいで混乱してしまったのだろう。
 かくして9冊の本を精算して1階に降りると、そこでも古本市が開催されているのである。8階がメイン会場で、こちらはサブ会場なのだ。
 ここをチェックしていって、秋元文庫の『ジュリーは十六才』ベティ・カヴァナ、『はつ恋』アン・エマリイ、『よく遊びよく遊べ』幻余次郎、『初恋実験中』赤松光夫の4冊を各100円で購入する。秋元文庫は翻訳小説があるとついつい買いたくなってしまうのだ。

▼この時点で随分と疲れてしまい、腰も足もしんどくなっていたのだけれど、どうせ所沢まで来たのだからと、駅の反対側にあるブックオフを覗きに行ってみる。ここでは、1冊だけ購入。
 早川書房『フォーリング -墜落-』T・J・ニューマン
 いずれ安く見つけたら買おうと思っていた本が660円であったので、ついつい荷物を増やしてしまう。

▼さて、あとは帰るだけと所沢駅に入りホームに入ってきた電車に乗り込むと、人身事故のためにしばらく停車するとアナウンスが入る。なんと、運転再開まで1時間以上かかる予想なのだという。ううっ、隣の秋津駅まで行きたいだけなのに。
 駅員に聞くと隣の秋津駅までのバス路線はなく、歩くと40分ぐらいなのだという。ううっと思ったが、ここで1時間以上待つのだったら、歩いてしまうことにする。Googleマップで調べると距離にして2.7キロであるという。それだったら、ふだんの散歩よりも短いので、ぜんぜん問題はないはず。
 しかし、歩き出してすぐに歩くことにしたことを後悔することに。古本市で本を見て回るだけで、めちゃくちゃ足が疲れていたのだ。しかも、背中のバッグの本が重くて、肩がめちゃくちゃ辛くなってくる。自分はむかしから肩こりがひどく、肩に負担がかかるとすぐにしんどくなってくる体質なのだ。なにしろ、小学生の時のランドセルで肩こりに苦しんだというほどの筋金入りの肩こりなのだ。
 それでも、仕方がないのでせっせと歩く。途中、何もない道がずっと続くので、歩いていてもぜんぜん面白くもなんともない。
 ようやく秋津駅に到着するという、そのちょっと手前に「古本らんだむ」という古本屋さんを発見して、疲れているというのに覗きに入ってしまう。だけど、なにも買いたくなるような本はなし。そりゃ、所沢古本市を見たあとで、そうそう買いたい本のある古本屋なんてあるわけがないよね。


 さて、本来なら「古本らんだむ」のすぐ先にある新秋津駅から武蔵野線に乗ればいいだけなのに、何を勘違いしたのか秋津駅まで歩いてしまう。秋津駅は西武池袋線だっちゅうのに。まだ運転を再開していない秋津駅まで到着したところで間違いに気がつき、また新秋津駅まで戻ってようやく武蔵野線に乗り込む。いやはや、疲れた。
 そして、東浦和駅から我が家までまたしても2キロ弱の道のりを歩いて帰宅したのだった。
 本日の歩数は13,750歩。先週の土曜日も古本市のために高円寺だの西荻窪だのをさんざん歩いたのだけれど、その時の13,227歩を上回る歩数を記録。いやはや、古本市はいい運動になるなあ。

2024年3月8日(金)

▼今朝には雨に変わっていたものの、昨夜から降り出した雪がじゃっかん積もっていて、散歩は中止。うっかり散歩に出ると、ついつい走って膝を痛める恐れもあるので、少しはこうしてお休みの日があった方がいいかも。


▼珍しく日本映画『東京リベンジャーズ』を観る。


 本作を観たことにとりたてて理由はないのだけれど、昨日は日本語字幕のついていないフィリピン映画を観て疲れたので、今日は字幕を必要としない映画を観たかったのかもしれない。
 落ちこぼれのフリーター花垣武道は、学生時代につきあっていた橘日向とその弟の直人が、半グレ集団“東京卍會”の抗争に巻き込まれて亡くなったことを知った翌日、地下鉄のホームから何者かに突き落とされる。だが、電車にはねられる直前に武道は10年前の自分にタイムスリップする。中途半端な不良だった10年前の自分となった武道は、なんとか10年後の悲劇を防ごうと、直人に10年後に起きることを伝える。だが、その直後に再び現代にタイムスリップしてしまう。現代に戻った武道は、自分が過去の世界でおこなったことで未来を変化させたことを知るが、日向を救うことはできなかった。刑事になっていた直人から「10年前に戻り、東京卍會を潰せば日向を助けられる」と説得された武道は、またしても日向を救うために過去へと飛ぶのだが……。
 タイムスリップといっても、肉体が過去に飛ぶのではなく、精神だけが過去に飛んで10年前の自分の中に入るという設定なのだけれど、やはりいろいろと無理がある。無理があるけれど、ドラマの眼目はタイムスリップにあるのではなく、やり直すチャンスを与えられた主人公がダメダメだった情けない過去の自分を乗り越えるというところにあるので、さほど気にはならない。そして、情けなかった主人公が、好きだった女性を救うために、そしてその過程で得られた仲間を救うために、必死になってあがく姿がなかなかの胸アツで、けっこうのめりこんで観てしまった。
 観る前は、ヤンキーたちがケンカをする映画というシンプルなイメージしか持っていなかったのだけれど、それは『男たちの挽歌』がヤクザが銃撃戦をするだけの映画というようなものなので、いまは貧弱なイメージしか持っていなくてゴメンナサイという気分だ。
 主人公武道を演じているのは北村匠海。日本の俳優に関しては、まったく無知なのだけれど、さすがに名前だけは知っていた。だらしなかった男が根性を見せるあたりの演技はなかなかの迫真もので、実にドラマを盛り上げてくれる。そして、恋人の日向を演じているのは今をときめく今田美桜だ。朝ドラを観ていたので知っていたけれど、自分の知っている今田美桜とは、ちょっとイメージが違っていたかな。他の、高校生を演じるにはちょっと歳がいってるぞというメンバーも、なかなかいい顔ぶれが揃っている。まあ、ひとりで数十人とバトルを繰り広げるドラケン(山田裕貴)はちょっと不死身すぎるかもしれないけれど。
 監督は『映像研には手を出すな!』の英勉とのこと。おおっ、『映像研には手を出すな!』はテレビドラマも映画も両方とも観ている好きな作品だぞ。
 こうなったら、続篇の『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』も観なければ。

2024年3月7日(木)

▼嫁さんを近所の眼科クリニックまで車で送っていく用事があったので、朝の散歩はなし。そのかわり、我が家のすぐ横にある往復約1.6キロの遊歩道を軽く走ってみる。相変わらず早足で歩く程度のスピードだけれど、なんとか片道800メートル程度を走る。微妙に膝に痛みが出てきて、そのくらいでやめておくのがよさそう。
 戻りはのんびり歩いて15分49秒で1.58キロ。キロあたりの平均ペースは9分58秒。おおっ、かろうじて10分をきっているぞ。

▼でも、やっぱり後になって膝が痛くなってくるなあ。

▼フィリピン映画『Mahjong Nights』を観る。ローレンス・ファハルド監督の作品なのだけど、監督の作品にしてはいまいち盛り上がりに欠けたなあ。詳細なレビューはコチラ



2024年3月6日(水)

昨夜は雪が降っていたが、今朝になってもまだ小雨が降っているので散歩はなし。昨日走った左膝に違和感はあるものの、痛みはなし。この違和感は、12月に完全に膝を壊す前にずっとあったものと同じ。しゃがむのには支障はあっても、日常生活にはまったく問題はなし。

▼本をぐしょぐしょに突っ込んでいるスペースを少しずつ整理して、多少は奥の方まで手が届くようになったので、そこから手放す本を引っ張り出してきてはヤフオクに出品しているのだけれど、けっこうレアな本だと思ってもなかなか売れないなあ。

▼夕方になって仕事が一段落したので、ちょいと散歩に出てみる。
 まず最初に500メートルぐらいを軽く走ってみる。走るといっても、早足で歩くのと同じぐらいか、あるいはそれよりも遅いぐらいのペース。それでも、走っていることに間違いはない。前は、走るときに膝にかかる衝撃が激痛につながっていたのだけれど、いまは大丈夫だ。微妙な痛みがないわけではないのだけれど、とりあえずは大丈夫。
 そのまま早足での散歩に切り替えて、いつもの公園をひとまわりしてきて、帰りにまた走ってみる。こんどは750メートルぐらい。軽い痛みは出てくるけれど、それほどひどくはない。この調子で少しずつ走って、はたしてテニスができるところまで回復するものかどうか。正直、自分の足ながらまったくわからない。
 45分14秒で4.36キロ。ペースとしては昨日とほとんど変わらないので、本当に早足と同じぐらいのスピードで走っているんだな。

▼香港映画『幽霊刑事(7号差館)』を観る。


 エリート捜査官のフォン(アンディ・ホイ)は、銃撃戦で頭を撃ち抜かれて昏睡状態に陥る。それから2年の月日が流れ、フォンは奇跡的に意識を取り戻し、復帰のためのリハビリを開始する。そして、献身的に彼の面倒をみてくれる看護師のオスカー(ロレッタ・リー)といつしかつきあいはじめるようになるのだが、実はフォンは意識を取り戻したときから死者の霊を見るようになっていたのだった。
 一方、フォンが昏睡状態にある間に、女性看護士だけを狙う連続殺人事件が発生していた。捜査に復帰したフォンはその事件を担当することになるのだが、オスカーがあやうく被害者になりかけるという事件が発生する。病院で出会った元精神科医キッド(チョン・ダッミン)の霊から、オスカーの生命オーラが弱くなっていると告げられたフォンは、彼女がまだ犯人から狙われていると確信し、犯人に対して罠をしかけるのだが……。
 監督はハーマン・ヤウ。最近では『バーニング・ダウン 爆発都市』『ホワイト・ストーム』といったアクション映画にも力量を振るっている監督だが、なんといっても『八仙飯店之人肉饅頭』『エボラ・シンドローム/悪魔の殺人ウィルス』の監督である。そのハーマン・ヤウの撮ったホラー映画なのだから、そりゃもう恐ろしい展開になるのかと思いきや、意外とそんなことはなかった。
 幽霊が見えるのだけれど、それが幽霊なのかそうでないのか見分けがつかないという描写や、容疑者をつかまえたところで被害者の亡霊に面通しをさせるという描写などでは、ハーマン・ヤウらしいゾクゾクする雰囲気は出ている。でも、全体としてみると、グロ描写はほとんどなく、ホラー描写もけっこうおとなしめなのだ。なんだ、こんなものか。しかし、そう思わせて油断をさせておいて……、うがあっ、やっぱりハーマン・ヤウなのだった。いやはや、これはなかなか後味が悪いぞ……、で終わればいいものを、そのあとに余計な描写があって、後味が悪いんだかいいんだか、なんとも微妙な終わり方になってしまっている。うーむ……。困ったな。
 ところで、行方不明になった女性看護士の遺体が山の中から3人だけ見つかっているのだが、それらはいずれも被害者の亡霊が警察署に現れて、当直の刑事に埋められた場所を伝えたものであった。そして霊から場所を告げられた刑事2人は亡くなり、3人目の刑事はフォンの部下であった……というエピソードがきれいさっぱり忘れられているような気がするのだけれど。3人目の刑事も呪われたと怯えていたのに、それっきりなにもないぞ。そもそも、特殊な能力を身につけてしまったフォンでなくても幽霊から埋められた場所を教えられたりしたら、この映画のキモとなる設定が無意味になってしまうではないか。
 というわけで、部分的には面白いし、なかなかショッキングな場面もあったのだけれど、トータルとしてはいまいちかな。
 そして、主人公を演じているアンディ・ホイが、どうしてもフィギュアスケーターの織田信成に見えて仕方がなかったのだけれど、それって僕だけなんだろうか?

2024年3月5日(火)

▼今日も朝の散歩に出て、最初に軽く走ってみる。距離にしてたぶん30メートル程度。ほぼ2ヶ月半走っていないので、これだけでしんどくなって歩きに戻したけれど、膝に痛みが出るということはなかった。最後にも50メートルほど走ってみたが、しんどいだけで痛みはない。
 もしかすると、手術をしないでもテニスに戻れる可能性もあるのだろうか。
 少しずつ走る距離を伸ばしていって様子をみてみよう。
 46分49秒で4.38キロ。

▼中国映画『南拳宗師 ライズ・オブ・フィスト』を観る。


 武術の師匠を訪ねて広州の猪油街にやって来たリウ・ユエンバーは、そこでアヘンをめぐる騒動に巻き込まれ、師匠が外国人と結びついてアヘンの密売に関わっていることを知らされる。しかも、その師匠に父を殺されたというイエン・シュアンという女性が率いる一派から敵視されることとなってしまう。
 師匠を信じるリウは、真相を探り出すべく動き出すのだが……。
 確か、予告編を観て「これは面白そうだ!」と思って借りてきたビデオだったはずだが、どこにそんな魅力を感じたのか、本編を見てもまったく思い出せない。「これは面白そうだ!」と興奮するようなシーンは、どこにもなかったのだけれど。いったい何を観て「これは観なければ!」と思ってしまったのか。
 アクションシーンに関していえば、まあ、そこそこといったところだろう。クンフー映画でアクションシーンがそこそこというのは困ったものだと思うのだけれど、アクションシーンの演出がどうにも凡庸なのだ。主人公のリウ・ユエンバーという人物は、実在の武術家ということなのだけれど、それだったらもっと激しいアクションを期待するのに、いまいち盛り上がらない。他のメンバーも武術の達人揃いという設定なのだけれど、それらしいシーンはほとんどない。うーむ。
 脚本も、まあ、そこそこといったところか。そんなに悪くはないのだけれど、これといって突出した部分もない。
 つまりは、さほど退屈はしなかったけれど、快哉を叫ぶような映画でもなかったぞといったところだ。
 主役を演じていたベニー・チャン(陳浩民)という俳優について調べようとすると、香港の映画監督・ベニー・チャン(陳木勝)ばかりが出てくるのだけれど、『王朝の陰謀 恐怖の人体実験と黒死病』『西遊記 孫悟空vsスパイダー・ウーマン』『孫悟空伝-MONKEY KING-』といった作品に出ているようだ。いまいち緊張感のない顔つきなので、この手のクンフー映画には向いていないように思うのだけれど。どちらかというと、コミカルな映画の方が似合いそうだ。ちなみに、テニス仲間にとてもよく似た友人がいて、彼がこの役を演じているような気がして、どうにも映画に集中できなかったのにはまいった。
 一方、ヒロインを演じているワンジョン・ワンという女優さんはなかなかきれいで、そこはちょっと嬉しかった。『開封府~北宋を包む青い天~』というテレビドラマに出ているらしい。脇役の女優さんも、名前はわからないけれど、なかなか可愛らしかった。まさか、予告編で観た女優さんがきれいだったから「これは観なければ!」と思ったわけではないと思うのだけれど。

2024年3月4日(月)

▼郵便局に行きがてら、いつもの公園をひとまわり。
 試しに、今日も少し走ってみる。左脚に余計な負荷かかからないように気をつけながら、本当にゆっくりと走ってみて、大丈夫そうだったので今日は200歩走る。これで後になって痛みがでなければ、だいぶよくなっているということになる。そうしたら、少しずつ走る距離を伸ばしていけるのかもしれない。
 52分43秒で4.86キロ。

富田常雄『天にひらく窓』東方社を読了。


 久しぶりに富田常雄の小説を読んでみた。
 隠居生活をしている元陸軍少将の父(62歳)、商事会社勤務の長男雄一郎(32歳)、アルバイトとして子どもに日本舞踊を教えている長女の奈美子(24歳)、新聞社に勤めだしたばかりの次女の春江(20歳)。
 誠実で真面目ひとすじの雄一郎には心に秘めた女性がいるのだが、長男としての立場から家族を養わねばならず、妹たちを嫁に出してからでなければ結婚はできないものと決めていた。そのため、どうしても相手の女性に積極的になれず、相手の女性もにえきらない雄一郎に対して物足りなさを覚えるようになっていた。
 古風でおとなしい奈美子は、ひょんなことで知り合った若者と心を通わせるようになる。だが、雄一郎の上司から求婚されていて、兄の出世のために犠牲になるべきかで煩悶していた。
 女学生気分がいまだ抜けず、いささか危なげのあった春江は、夜ごとの遊びを繰り返したあげくにチンピラのような男と過って関係を持ってしまい、その関係を絶つことができずに苦しんでいた。
 昭和28年に新聞連載された作品で、当時の富田常雄が繰り返し書いていた恋愛小説のパターンそのものの作品である。メインとなるキャラクターは和装の似合う古風な「美人という言葉よりは優しいという方が適切な」奈美子で、愛する相手がいながら、家族のために自分が犠牲になるべきかで苦しむ。24歳という年齢は、当時としてはそろそろオールドミスと呼ばれ出すような年齢である。まわりもそろそろ結婚させなければと考え、叔母が繰り返し見合いの話を持ってきていたのだ。その相手が兄の上司であり、結婚を承諾すれば兄は課長になれるだろうし、出世して給料が増えれば兄も結婚できるだろうという状況に追いこまれる。
 その奈美子と正反対の、快活で現代的な妹という設定は、本当に繰り返し繰り返し富田常雄の作品に出てくるパターンで、こうなると確実に妹は男性と過ちを犯して「わたしはもう結婚する権利を失ったわ」と考えるようになる。ところが、そのあとで彼女のことを心から愛する男性が現れて、またしても「わたしにはしあわせになる資格がないの」と苦しむことになる。ここまでがセットで、見事なまでのパターンなのだ。
 さらには、家族へのしがらみから相手の女性に積極的になれない長男にも艱難辛苦が襲いかかり、あげくのはてに相手の女性が胸の病に倒れるという展開も完全にいつものパターンだ。ただし、『姿三四郎』の頃は胸の病に倒れるとその女性はたいてい回復せずに亡くなってしまうのだけれど、だんだん医療が発達してきて回復するパターンに変貌してきているのがちょっと面白い。
 そしてもちろん、登場する男性の何人かは必ず柔道経験者なのである。ふだんは朴訥でおとなしかったりするのだけれど、いざとなれば強いのだ。
 このように見事なまでに毎度毎度のパターンなのだけれど、それでいてこの頃の富田常雄は売れに売れていた。小説家長者番付では吉川英治に次ぐ2位に位置していて、次から次へと新聞連載、雑誌連載を書きまくっていたのである。
 いま読むと、家制度とか女性の純潔などに対する考え方の違いに、さすがに時代を感じさせる。しかし、それでも最後には愛が勝つというところが人気を呼んだのだろうか。

2024年3月3日(日)

▼午前中は家で読書などをしながらのんびりと過ごす。
 嫁さんと母親は車で娘をピックアップして、そのままお買い物。ふだんは居間の椅子に腰掛けたまままったく動かない母親も、自分の孫にあれこれ買うのがいちばんの楽しみとなっていて、このときばかりはしっかりと歩いているらしい。

▼本棚を整理していて、昨日買った『時の葦舟』が出てきて愕然とする。これは持ってないと思っていたのになあ。

2024年3月2日(土)

▼テニスができなくなってから、休日の過ごし方がなんとも味気ないものになってしまって困っている。家から一歩も出ずに、本を読んでビデオを観て、それで1日が終わってしまう。
 そこで今日は、頑張って都内の古本市まで出かけてみることにする。高円寺の西部古書会館で開催される古本市に、西荻窪の盛林堂さんとか、仙台のあらえみしさんとかがごっそり出品していて、自分の好みの本がずらりと並んでいるはずなのである。ただし、朝いちで行くと人混みがすごくて本棚に近寄れない事態になるのは目に見えているので、のんびり昼近くに覗きに行ってみる。
 すると、500円均一の本を大量に出品していた盛林堂さんの棚はすでにスッカスカになっていて、自分が欲しいような本はすでに皆無。もっと安ければ買ってもいいなという本はあれこれあったのだけれど、自分的に500円出して買いたい本はなし。
 まわりにはものすごい量の本を抱え込んでいる人がたくさんいたので、もっと早い時間に来ていたら、理性がぶっとんでガツガツ買っていたのかも知れない。ゆっくり行ったのは、やはり正解なのだろう。
 あらえみしさんの棚はSFがズラリズラリと並んでいたのだけれど、どうしても欲しいという本は特になく、たまにあっても自分が出してもいいと思う値段よりも上だったので、やはり買う本はなし。SFに関しては、高く出してでも欲しいという本はほとんどなくなったのかな。
 それにしても、膝を痛めていると、最下段の本をチェックするのにしゃがむのがとても辛い。しかも、立ち上がる時には左足の膝に負荷をかけないように右足だけで立ち上がらなければならず、繰り返し片足でスクワットをしているような状況となってしまい、めちゃくちゃしんどかった。途中から、最下段の本はほとんどチェックしなくなってしまった。
 これでは何も買う本がないままおしまいかなと思っていたら、会館の外に並んでいた本がやたらと安くて、そこでこんな本を購入。
『アジア読本 フィリピン』宮本勝・寺田勇文編(河出書房新社/初版帯)300円
『時の葦舟』荒巻義雄(文化出版局)200円
『SFの冒険』大宮信光(新時代社)200円
『別れのクリスマス』ローランド・スターク(二見書房サラプランタン/再版)200円
『征服者ロビュール』ジュール・ヴェルヌ(集英社ヴェルヌ全集/初版)200円
 『アジア読本 フィリピン』はもしかしたらダブリなのかもしれないのだけれど、ま、300円ならいいかな。
 そして、『征服者ロビュール』は間違いなくダブリなんだけれど、自分が持っているのよりも状態がいいので、差し替えのために購入。しかし、これが200円て安すぎでしょう。
 『別れのクリスマス』というのは、二見書房サラプランタンという、映画のノベライゼーションの叢書で、なんとなくこの叢書を集めてみたくなって購入。ウィリアム・ゴールドマンの『華麗なるヒコーキ野郎』『明日に向かって撃て』、ジョージ・ルーカスの『アメリカン・グラフィテイ』など、ちょっと気になる本が紛れ込んでいる叢書なのだ。で、この『別れのクリスマス』の巻末リストを見ていて、『少年は虹を渡る』の作者が『ファール・プレイ』『大陸横断超特急』などのコリン・ヒギンズであるということを知ってしまい、『少年は虹を渡る』を手に入れなければという気になってしまったのだった。
 他にも、ちょっと前の自分だったら片端から買っただろうなという本が山ほど並んでいたのだけれど、さすがにもう片端から買うようなことはしない。せっかくコツコツと蔵書を減らしている最中なのだから。
 このあと、古書サンカクヤマなどを覗いてから、西荻窪に移動する。

▼西荻窪では、まずは盛林堂を覗く。期待は、海外文学のコーナーだ。SFやミステリーで高値を出してもいいという本はあまりないのだけれど、海外文学のコーナーにちょっと出してもいいかなという本がよく並んでいるのだ。でも、今日はそういう本は見つからなかった。
 そのかわり、店頭の均一棚でこんなところを購入する。
『デューン 砂漠の神皇帝(1)』フランク・ハーバート(ハヤカワ文庫SF)100円
『デューン 砂漠の神皇帝(2)』フランク・ハーバート(ハヤカワ文庫SF)100円
『デューン 砂漠の神皇帝(3)』フランク・ハーバート(ハヤカワ文庫SF)100円
『デューン 砂漠の異端者(1)』フランク・ハーバート(ハヤカワ文庫SF)100円
『デューン 砂漠の異端者(2)』フランク・ハーバート(ハヤカワ文庫SF)100円
『デューン 砂漠の異端者(3)』フランク・ハーバート(ハヤカワ文庫SF)100円

 おそらく、このシリーズは『砂漠の神皇帝(1)』で挫折したと思うので、その後ろを買えば揃うのだろうと思っていた。ところが、帰宅してチェックして見たら、このうちの4冊はダブリだった。どうやら、前にも同じようにこのあたりを買うとコンプリートなんじゃないのと思って買っていたものらしい。しかも、このあとの『砂漠の大聖堂』も揃っているので、「デューン」はもう揃っているから買わなくてもいいんだよということを忘れないようにしないと。
 ちなみに過去の日記をチェックしたら、2000年11月に新宿にあった「昭友社」という古本屋の均一棚で「デューン」をごっそり買っていた。そして、その時の日記に「『デューン』は「砂漠の神皇帝」の1巻で挫折したから」と、今回とまったく同じことを書いているので笑ってしまった。24年たって、まるっきり同じことをやっているんだね。
 そのあと、中野書店、モンガ堂などを覗いてから帰路につく。

▼南浦和でバス停に行くと、ちょうどバスが出たばかりで次のバスまで20分待たないといけない。それだったら歩いて帰ろうかなと思ってしまう。今日はすでにけっこう歩いていて足が疲れているのだけれど、膝のためにも足を鍛えておきたい。およそ3キロの距離なので、たいしたこともない。
 途中、ホームセンターに寄り道してちょいと買い物をして帰ったのだけれど、背中の重さがけっこう肩と腰にのしかかってきていて、それなりにしんどかったかな。

 スマホによると、本日の歩数は13,227歩とのこと。よく歩きました。

2024年3月1日(金)

▼ゆっくり寝ていて朝の散歩ができなかったので、昼どきに郵便局に行きがてらグルッといつもの公園をひとまわりしてくる。今日はやたらと膝の調子がよくて、けっこうなペースでズンズン歩くことができる。これはもしかしていけるんじゃないのと思って、最後の最後に軽くちょっとだけ走ってみる。無理せず40歩だけ走ったのだけれど、膝に痛みはなし。いままではほんの数歩で痛みが出ていたのに。
 はたしてこれは一時的なものなのか、あるいは回復に向かっているのか。
 50分50秒で4.76キロ。平均ペースは1キロ10分40秒。11分をきるペースで歩けたのは久しぶりだ。

今村昌弘『屍人荘の殺人』創元推理文庫を読了。


 まず最初に白状しておくが、自分はいわゆる謎解きをメインとする本格ミステリが苦手だ。読んでいる途中でなにがなんだかよく分からなくなって、どうでもよくなってしまうことが頻繁にあるからだ。だから、本書を読もうとして、しょっぱなに「紫湛荘見取り図」なるものが出てきて「ああっ、これは自分には向いていない!」と思ってしまった。こういう見取り図が出てくるからには、ごちゃごちゃしたパズルを解くようなタイプのミステリに違いあるまい。絶対に途中でわけがわからなくなって、犯人なんてどうでもいい!と思ってしまうに違いあるまい。
 大学のミステリ愛好会の会長である明智恭介と、たったひとりの会員である葉村譲のふたりは、同じ大学に通う剣崎比留子に誘われて、映画研究会の夏合宿に参加することになる。会長の明智恭介は自称名探偵なのだけれど、剣崎比留子の方は実際に警察の捜査に協力した経験が何度もある名探偵であった。
 この導入部で、ライトノベルっぽい、若い読者に好まれそうな文体とキャラクターだな、なんて思ってしまう。とにかく読みやすい。スラスラと読めてしまう。
 そして、合宿に向かう過程で一気に登場人物が増える。いつもならここで誰が誰だか区別がつかなくなってしまうのだけれど、本作はわざとらしいまでにそれぞれのキャラクターにふさわしい名前がつけられているので、とっても分かりやすい。
 しかし、軽いノリの作品で読みやすいじゃん、などと思っていた自分は、この作品を明らかにみくびっていたということが判明してしまう。この先、登場人物たちはとんでもない事態にまきこまれていくのだけれど、そのとんでもない事態というのが、予想のはるか上をいっていたのだ。なんともとんでもない設定のミステリだったのだ。すでに刊行から7年がたっていて、映画化もされているので、そのとんでもない設定に触れてもいいのかもしれないけれど、未読の人もいるだろうから、あえてそこには触れない。とにかく、あるとんでもない状況によって、主人公たちは紫湛荘というペンションに閉じこめられ、そこで連続殺人が発生するのである。
 第1の殺人の真相には、ドギモを抜かれた。きわめてシンプルな真相で、パズルを解くようで分かりにくいとか、そんな要素は皆無。それでいてビックリさせられる真相なのだ。
 第2、第3の殺人の真相の方はさすがにそこまでシンプルではない。本格ミステリの読者としての適性を致命的なまでに欠いている自分には、「えーっ、そんなこみいったことをする?」とか「とっさにそんなことを思いつく?」とか、なんともヤボな感想を持ってしまったのだけれど、本格ミステリファンにしてみれば、お見事!と快哉を叫びたくなる展開ではなかっただろうか。
 いずれにしても、犯人が誰かとか、トリックがどうだったとか、自分はそういうことにあまり興味が持てないのだけれど、それでも十分以上に楽しめる、実にとんでもない作品でありました。

▼中国の武術映画『ソード・アイデンティティー』を観る。


 1604年、明の時代の中国。その街では、武術の名門4家が道場を持ち、新たに道場を開こうというものはその4つの道場に挑み、全てに勝たなければならなかった。ある時、その街に異様な長刀を携えた2人の武術家が現れる。その長刀は、倭寇の日本刀を改良したもので、かつて倭寇を退けた武器でもあった。2人は、その長刀を広めるべく、その街にやってきたのだった。
 だが、その刀を邪道な武具であると見なした道場主たちは、彼らを倭寇であると決めつけ、押さえつけにかかる。そのために1人は負傷してとらわれの身となるが、もう1人は4大道場を打ち破るための行動を始めるのだった。
 一方、優れた武術家でありながら、名家の娘を嫁にもらったことがきっかけとなって、世を捨て山奥で隠遁生活をしていた4大道場の長老であるチウは、彼らの出現を知って山を降りてくるのだが……。
 というようなストーリーなのだけれど、このストーリーからは予想もつかない、理解不能の展開が続く。なぜなら、監督が昨日観た『ソード・アーチャー 瞬殺の射法』のシュ・ハオフォン監督なので、いわゆるエンターテインメントの文法にのっとった描き方をいっさいしていないからなのだ。ストーリーを丁寧に説明しようなどという気配はいっさいなし。とにかく、徹頭徹尾、よくわからない展開が続く。
 4大道場への挑戦に失敗した主人公は、西域から来ているとおぼしき踊り子に棒術の必殺技を伝授し、はしけに繋がれた船の入口にかかった布の後ろにかまえさせる。その船を包囲した4大道場の武術家たちは、道場主の命令でひとりふたりとその入口に近づいていくのだけれど、布からつきだされた棒によって片端から倒されていく。
 踊り子に道場主たちの相手をさせている間に、主人公は捉えられている仲間を救いに行き、今度は長老チウの若い妻に必殺技を伝授して、道場の中に入ろうとする武術家を入口の影から叩きのめさせる。
 つまり、練達の武術家たちは、そうとは気づかず、かたはしから武術の素養のない踊り子とか若妻に倒されてしまうのである。しかも、なんでその踊り子なり若妻なりが主人公の言うがままに武術家を倒していくのか、まるで説明なし。なに、この展開!
 しかも、闘い疲れた船の前で、西域から来た踊り子たちが踊っていたりして、なんとも理解不能。
 インデペンデント映画などで、イメージを優先したあまりストーリーを物語ることを放棄したような映画に遭遇することがあるのだけれど、あのスタイルで武術映画を撮ったならこういう映画になるだろうというような、まさにそんな感じの映画なのだ。そのくせ、ときどき思い出したかのようにストーリーを物語りだし、クライマックスでは主人公と長老チウとの一騎打ちが展開されたりもする。だけど、その一騎打ちにしても、本当の達人同士が闘ったならばこうなのかもしれないというとても地味なもので、闘いのシーンで映画を盛り上げようなどという意図はまったく感じられない。
 シュ・ハオフォン監督の作品は、第3作の『ファイナル・マスター』を最初に観て、次に第2作の『ソード・アーチャー 瞬殺の射法』を観て、そして次に第1作の本作を観るというように、製作順を遡るようにして観たのだけれど、第1作がいちばんわけがわからなくて、だんだん分かりやすくなってきているということは言えそうだ。
 『ソード・アーチャー 瞬殺の射法』は、いまいちよく分からないながらも凄みを感じる場面が続いていたが、本作はそれもなく、非常に単調で正直疲れた。きっと、この監督の本質がいちばんストレートに出たのが本作で、そこから少しずつ商業映画に近寄りつつあるといったところなのだろう。
 『グランド・マスター』の脚本と武術顧問を務めたシュ・ハオフォンだが、こうした演出スタイルをみると、なるほど、いかにもウォン・カーウァイと相性がよさそうではないかと思えてくる。

2024年2月29日(木)

▼中国武術映画『ソード・アーチャー 瞬殺の射法』を観る。


 軍閥時代の1917年。武術家の選ぶべき道は軍に入るか道場を開くかであった。道場を巡ってはお互いの争いがあり、それを仲裁する役割の弓術の達人、“柳白猿”という人物がいた。道場間に争いがある時、そこに現れては圧倒的な武術の力で争う両者を倒し、和解させてしまうのである。主人公は、その“柳白猿”に弟子入りし、修業を経て“柳白猿”の名を引き継いだ青年(ソン・ヤン)だ。
 青年はあるとき、酔いつぶれたところを面倒をみてくれた女性から、父の仇を討ってほしいと頼まれるのだが……。
 というストーリー説明はほとんど意味がない。なぜかというと、監督みずからストーリーを語るつもりがまったくないのだから。とにかく雰囲気のある映像、限界まで緊張感の張り詰めた映像によって、「なにか凄いものを観させられている」という圧倒的な印象は受けるものの、主人公が何を考えているのかとか、いったい何がどうなっているのかとかは、ほとんど伝わってこない。伝わってこないというよりも、そもそも伝えようともしていないのだろうとしか思えない。そのうえ、状況の分かりにくいカットバックが挟み込まれたりして、とにかくよく分からない。
 監督はウォン・カーウァイの『グランド・マスター』で脚本と武術顧問を務めたシュ・ハオフォン。彼が監督した『ファイナル・マスター』という武術映画が、他の武術映画とはまったく異なる異様な雰囲気に満ち満ちていた作品だったので本作に手を出したのだけれど、本作はあまりにも異端すぎる。究極の武術映画を生み出そうとした結果、哲学の世界に踏み込んでしまったとでもいうのか。いまいちよく分からないときのウォン・カーウァイのような作風の武術映画なのだ。
 武術シーンの描き方も、いわゆるエンターテインメントの武術シーンの文法をまったく無視して、アクションシーンで観客を楽しませようなどというサービス精神は皆無。本当の武術の奥義を身につけたならば、その闘いは激しいものとはならないのだと言わんばかりの演出なのだ。
 向かい合わせにした椅子に座った態勢での手合わせが何度か出てくるのだけれど、そこはなかなかに激しい。だが、立った姿勢での乱闘シーンになると、主人公の動きが滑らかすぎて、激しくならないのだ。しかも、瞬時にツボをついているのか、たいした打撃を与えているわけでもないのに相手がコロリコロリと倒れてしまうのである。従来の香港映画のアクションを見慣れていると、この乱闘シーンはいかにも物足りなく見えてしまう。しかし、それでいて達人の武術とはこういうものなのだろうと思わせる説得力もあるのだ。
 シュ・ハオフォン、恐るべき監督である。だが、絶対に一般受けはしない。
 ちなみに、全般的に禁欲的な雰囲気のただよう映画であるのに、なぜか女優だけはどこかちょいと崩れた感じの美人だったりする。シュ・ハオフォン監督、実はエッチな男なのではと邪推してしまったのだが、真相はいかに。

2024年2月28日(水)

森見登美彦『シャーロック・ホームズの凱旋』中央公論新社を読了。


 なんとも奇妙な小説である。なにしろ、あのシャーロック・ホームズが登場する小説でありながら、舞台はいつもの森見登美彦作品同様、京都なのだから。ロンドンに住むホームズが京都へやってきたというわけではない。ここで描かれる京都は、ホームズが、ワトソンが、レストレード警部が、モリアーティ教授が、ハドソン夫人が暮らす架空の京都なのである。ホームズの事務所は寺町通221Bにあり、京都警視庁には「スコットランドヤード」とフリガナがふられ、ガス灯が照らす石畳を辻馬車が行き交い、テムズ川ならぬ鴨川が流れ、その畔には時計塔(ビッグベン)が聳えているという京都なのだ。
 その京都で暮らすホームズはスランプに陥っていて、まるで事件を解決することができないでいた。ホームズの事務所には、同じくスランプに陥ったモリアーティ教授とレストレード警部が居着いて、日がな一日スランプの謎に挑むといっては、ダラダラとした時間を過ごしているのである。
 ホームズが事件を解決しないことには、ホームズ譚の新作を書くことのできないワトソンは、なんとかホームズを復活させようとするのだが……。
 そこから物語はどんどんとんでもない方向へと転がっていく。その奇妙さはさすがは森見登美彦なのだけれど、いつもの森見登美彦とはまったくことなり、実に端正な文章によって物語が紡がれていく。森見登美彦のいつもの文体ではなく、コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズの文体によって描かれていくのだ。そのため、読んでいる間は森見登美彦の小説を読んでいるということを忘れ、コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズの新作を読んでいる気分になってしまう。
 まさに怪作というべき作品なのだけれど、怪作と呼ぶにはあまりにも気品ある仕上がりに脱帽させられる。

▼やたらと痰がからみ、咳が出るので、耳鼻咽喉科クリニックへ。この病院には以前から同様の症状で繰り返し行っていて、胃酸が喉まであがってくるのが原因と言われているのだけれど、その都度胃酸をおさえる薬と痰を出しやすくする薬を出してもらうだけで、根本的な治療ができていないのが歯がゆいところ。今回も前回と同様に、胃酸を抑える薬と痰を出しやすくする薬を処方されておしまい。

 ついでに、100円ショップとホームセンターをまわって、あれこれ買い込み、100円ショップのすぐ近くにある古本屋を覗いて漫画アクションコミックス『ルパン三世(1)』『ルパン三世(2)』を購入。特に探していた本でもないのだけれど、店頭で見つけたら無性に読みたくなってしまったのだ。


 あとで値段を調べてみたら、Amazonでは1冊60,980円の値段がついているけれど、そんな値段で売れるわけがないので、どっかの頭のおかしな人がデタラメな値段をつけているのでしょう。日本の古本屋、メルカリでの扱いはないのだけれど、ヤフオクでは第1集が8,550円、第2集が31,001円で売れた実績があるようだ。また、まんだらけでは2冊セットが25,000円で売り切れていた。
 自分は2冊1,100円で買ったので、いざとなったら大もうけだな、なんて思ってしまう。

▼香港版タワーリング・インフェルノ『インフェルノ 大火災脱出』を観る。


 香港の高層ビルで火災が発生する。炎は瞬く間に燃え広がり、高層階にいた人間は逃げ場を失っていく。そこには救助に駆け付けた消防士ダーグン(ラウ・チンワン)の妻のシーラ(アンジェリカ・カー)と弟のクン(ルイス・クー)がいた。元消防士のクンは、逃げ遅れた人間を引き連れてなんとか脱出路を探す。また、ダーグンも部下を引き連れて逃げ遅れた人々を救出すべくビルの中へと突入して行くのだった。
 監督はオキサイド・パン&ダニー・パンのパンブラザーズ。ついこないだ観たオキサイド・パン監督の『フラッシュオーバー 炎の消防隊』に大興奮してしまったので、あの興奮ふたたびと思って手を出したのだけれど、こちらは正直いまいちだった。一刻の猶予もならない事態で兄弟ゲンカをしてみたり、夫婦でいがみあってみたり、いやいや、そんなことしている場合じゃないっての。しかも、愚かな行動で事態を悪化させるキャラクターがいたりして、いらいらさせられる。ひたすら炎の猛威と闘うだけで充分に迫力があるのだから、そういう設定はいらないのに。
 そしてなにより、クライマックスでの脱出を成功させる方法がいまいちよく分からない。ラウ・チンワンは、あそこでいったい何をしていたんだ?
 というわけで、なんともすっきりしない作品だった。この手のパニック映画は、変な小細工をしない方がいいのに。
 それにしても、ラウ・チンワンとルイス・クーが兄弟って、なんとも濃い兄弟だよなあ。
 それと、エンドクレジットにでっかく「スペシャルサンクス シルヴィア・チャン」て出てたけど、あれはどういう意味なのだろう? いかにもシルヴィア・チャンがからんでいそうにないタイプの映画だったのだけれど。

2024年2月27日(火)

▼郵便局に寄ったついでに、いつもの公園をひとまわり散歩してくる。51分44秒で4.72キロ。
 今日はめちゃくちゃが強くて、大げさでなく、本当にまっすぐ歩くこともできないほどだった。このところ、花粉症の症状がきついので、もっと強い薬をもらいに病院に行こうとか思っていたのだけれど、この風ではスクーターで出かける気になれないので、おとなしく仕事をして過ごす。

2024年2月26日(月)

▼今日は会社でなければできない作業をするために出社

2024年2月25日(日)

▼朝の4時前に隣の部屋から孫2号のギャーギャー泣く声が聞こえてきたと思ったら、またしても高熱を出して吐いたのだという。いや、お前、昨夜食べ過ぎてるからね。さんざん食べたあとでアイスも食べただろう。
 今日は嫁さんの実家に遊びに行く予定にしていたのだけれど、これで行けなくなったかなと思ったら、朝にはもうけろっとしていて拍子抜けしてしまう。明け方のあの騒ぎはいったいなんだったんだ?
 もちろん、早起きしたら『プロジェクトA』の続きを見せてあげるなどという約束はきれいさっぱり忘れている(笑)

▼午前中に家を出て、みんなでイオンモールに行って、嫁さんがあれこれ食料品を買い込んでいる間に、本屋に行って孫2匹のための本を買う。孫のお気に入りは角川の「どっちが強い!?」というマンガのシリーズで、これを買ってはひたすら読みふけっている。最初のうちは動物や昆虫などの「どっちが強い!?」というストーリーだったが、最近では「からだレスキュー」という体内の仕組みを学ぶシリーズも始まっていて、いろいろと勉強になっているようだ。
 そして、トイザらスに寄ってレゴを購入。嫁さんの実家で退屈しないように、いろいろ気をつかっているんだよ。

 嫁さんの実家では、おばあちゃんがひ孫ふたりにメロメロ。本当は正月に来るはずだったのだけれど、年末に孫2号が熱を出して、そのあと家族全員が順繰りに発症したりしていたので、ぜんぜん来ることができなかったのだ。目の中に入れても痛くないってのは、まさにこのことなんだろうなあ。

2024年2月24日(土)

▼孫2号が朝から39度の熱を出して、今日遊びに行く予定はすべてなしに。昨日、朝から幼稚園の発表会があって、それから我が家にやってきてで、疲れたのだろう。おかげで今日は、家でゆっくり過ごすことにする。

▼午前中は、孫1号とふたりでジャッキー・チェンの『ポリスストーリー/香港国際警察』を観る。


 香港警察の刑事チェンは、なんとか麻薬組織のボスのチュウを逮捕したものの、裁判で有罪を立証することができずに釈放されてしまう。なんとかチュウの悪事を立証しようとするチェンだが……。
 ストーリーはきわめてシンプルなのだけれど、裁判制度などがからんでくるので、やはり小さな子どもを惹きつけるのは難しく、スマホのゲームをしながらときどき画面に目をやる程度にしか観てもらえなかった。
 とはいえ、本作のアクション設計の多彩さは素晴らしいのひと言につきる。山腹から小屋をぶち破りながら車で山を下る冒頭のアクションなど、何度観てもすごいとしか言いようがない。あの混乱の極みとしかいいようのない破壊の現場に、人がたくさんいるというのがどうしても信じられない。それに続くバスを追跡する一連のアクション設計も実に素晴らしい。そして、クライマックスのショッピングセンターの空間をフルに使ったアクションのつるべ打ちも、お見事としか言いようがない。アクションの充実度において、まさに比類のない作品ということができよう。

▼午後も孫1号と一緒にチャウ・シンチー主演の『カンフー・ハッスル』を観る。


 これなら分かりやすいだろうと思ったが、意外と脚本が凝っていることに気がついてしまう。でも、そんなことは関係なく、くだらないギャグやとんでもないアクションは小さな子どもにも充分にアピールしたようだ。いちばん受けたのは、投げたナイフがはね返ってきてチャウ・シンチーに刺さってしまうシーンから、ユン・チウとふたりして人間オートバイと化して疾走するまでのシーン。なまじなアクションシーンよりも、こっちの方がよほど子どもには大受けなのだった。
 リアルなアクションに徹したジャッキー・チェンの『ポリスストーリー』に比べて、こちらはとんでもない異次元レベルのアクションが展開されるので、そこも子どもにはアピールしていたようだ。

▼朝には高熱を出していた孫2号だけれど、午後には熱も下がってすっかり元気になってくれた。よかったよかった。

▼夜になって孫2匹が「『プロジェクトA』が観たい」と言い出すので、またしても『プロジェクトA』を見はじめると、やっぱり子どもたちは大喜びだ。でも、途中で「もう寝る時間だから今日はここまでね。明日、早起きをしたら続きを見せてあげるから」と言って寝かしつける。でも、絶対に明日になれば忘れているんだよ。

2024年2月23日(金)

▼ジャッキー・チェン主演の『プロジェクトX-トラクション』を観る。


 謎の武装集団に襲われた中東の砂漠のまっただ中にある中国系企業が運営する石油精製所。民間軍事会社のルオ(ジャッキー・チェン)は、部下を率いて精製所の職員を脱出させようとする。だが、その移動中に武装集団に襲われ、職員を誘拐されてしまう。
 一方、騙されて武装集団の仲間に入っていた元特殊部隊のアメリカ人クリス(ジョン・シナ)は、武装集団のリーダーによって弟を殺害されてしまう。
 誘拐された職員を取り戻そうとするルオと、復讐にのりだしたクリス。ひょんなことから出会ったふたりは、最初のうちは反目し合うのだが、いつしか互いを認めるバディとして武装集団に立ち向かっていくのだった。
 ジャッキー・チェン主演作なのに、そんな作品、知らないぞと思ったら、諸般の事情により日本では劇場公開されず、直接Netflixでの配信になったのだとか。中国とアメリカの合作映画とのことで、ジェイソン・ステイサム主演の『MEG ザ・モンスター』のような“中国語多めのアメリカ映画”みたいな作品になっている。もっとも、こちらはジャッキー・チェンが主演なので、こちらの方がはるかに中国濃度が濃いのだけれど。
 『ラッシュアワー』『シャンハイ・ヌーン』などと同様、ジャッキー・チェンがハリウッドの俳優とバディを組むというアクション映画で、ちょこちょことコメディ要素が入ってくるといういつものパターン。映画の出だしでのジャッキーはシリアスモードで、コメディ要素が入る雰囲気なんてまったくなかったのに、なぜか途中からコミカルアクション映画と変貌してしまっていて、そこにはいささか困惑させられた。
 ジャッキーには娘がいて、その娘から恨まれているという設定は、ついこないだ観た『ポリス・ストーリー/レジェンド』と一緒。そして、バスを連ねて砂漠を疾走するジャッキーたち一行が砂嵐に突入し、そこにバギーカーに乗った武装集団が続々と襲いかかるというシーンは『マッドマックス 怒りのデスロード』からのいただきだ。アクションシーンも、かつてのジャッキー映画で観たことがあるようなシーンが多い。
 というわけで、新味はない。新味はないのだけれど、それでもしっかり楽しめる作品に仕上がっている。特に本作でジャッキーの相棒を務めるジョン・シナがよかった。実は、ジョン・シナという俳優をまったく知らなかったので、「なんだ、このシュワルツェネッガーみたいな男は?」とか思ってしまったのだけれど、有名なプロレスラー出身で、けっこう映画にも出ているんですね。出演作リストの中に『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』を見つけた瞬間、おおっ、あいつか!とすぐに分かってしまったのだけれど、とにかく、このジョン・シナのキャラとジャッキーとの相性が抜群で、実に楽しく観ることができたのだった。
 それにしても、あの砂嵐を人工的に作り出す仕組みはかなり無理があるし、それで砂漠を疾走するというのも……いや、許そう。バカバカしい設定だけれど、そのくらいの無理は許容範囲ということにしておこう。

▼夕方に息子一家が遊びに来る。日中は孫2号の幼稚園での発表会があったので、それが終わってからやってきたのだ。
 発表会では「桃太郎」をやったというのでビデオを観せてもらったら、孫2号はなんと桃太郎役ではありませんか! でも、桃太郎は全部で7人いるんだけどね(笑) 孫2号は3月21日生まれなので、同じ年長さんでも誕生日がもっとも遅い。4月生まれの子とはほぼ1年違っていて、この年齢だとその差はとても大きい。そうでなくても、うちの孫2号はボーッとしている子なので、幼稚園で他の子とちゃんとやっているのか、ちょっと不安だった。それでも、ビデオを観ると、他の子とじゃれあったりして仲良くしているようなのでホッとする。
 孫1号は「好きな子ができたの」と言う。「あかねちゃんていう、優しい子なんだよ」「あかねちゃんも、僕のことが好きなんだよ」「バレンタインにチョコレートをもらったの」とのこと。ママによると、キットカットをひとつもらっただけらしいのだけれど。
 「それじゃあ、ホワイトデーにはお返しをしないとね」って、嫁さんが小遣いを渡したもんだから、本人はだいぶその気になっている模様。その小遣い、ホワイトデーまで使わずにいられるかな。

▼「また『プロジェクトA』が観たい」という孫2匹のリクエストを無視して、強引に『プロジェクトA2 史上最大の標的』を観せる。


 自分自身もめちゃくちゃ久しぶりに観たので、どういうストーリーであったのかきれいさっぱり忘れていたのだけれど、黒社会と癒着した警察官やら、革命党員を追う清朝の密偵やら、海賊の親分の仇討ちのためにジャッキーを狙う連中やらが入り乱れて、けっこう入り組んだ脚本だった。しかしそうなると、きわめてシンプルだった『プロジェクトA』と違って、小さな子どもにストーリーの把握はまったく無理。せいぜいがアクションシーンを楽しむぐらいしかできないのだけれど、「また落ちたね」「また高いところから落ちたね」と、ジャッキーらが高いところから落ちるシーンをやたらと喜んでいた。なるほど、指摘されてあらためて観てみると、高所から落ちるアクションがやたらと多いことに気づかされる。
 孫たちがいちばん喜んだのは、唐辛子アクション。これにはゲラゲラ笑って大喜びしていたのでした。
 そして孫たちのいちばんの不満は「デブが出てこない」ということで、彼らにとってサモ・ハンの不在が本作の最大の欠陥なのでした。
 となると、次に観せるのは『スパルタンX』かな。『スパルタンX』、近所のゲオやTSUTAYA DISCASにあるのは、日本語吹き替え版の入っていないDVDなので、あれこれ探したらアマゾンプライムビデオに日本語吹き替え版があるのを発見。300円の有料配信なのだけれど、仕方がないな。

2024年2月22日(木)

▼スギ花粉のせいと思うのだけれど、やたらと痰が喉にからんできついので耳鼻咽喉科に行こうと思っていたのだけれど、ネット予約をしようという段階で今日はその病院がお休みと判明してしまう(涙)
 明日も祝日で休みだし、仕方ないので近所のドラッグストアに行って、薬剤師さんに相談して「ストナ去たんカプセル」を買ってくる。スムーズに痰が出ていってくれると、それだけで随分楽になるのだけれど。

TSUTAYA DISCASの会員になったおかげで、かなりマイナーな作品も観ることができるようになって、このところジョン・カーペンターの『ザ・フォッグ』とか、ジョン・ヒューズの『エレクトリック・ビーナス』とかを観たりしている。ところが、会員になった当初からずっと「レンタル不可」となっていて借りられないのが、ジョン・カーペンターの『ハロウィン』。どこのレンタルショップにもないし、ネット配信もないので、もう観られないものと諦めていたら、TSUTAYA DISCASにあったので「これでようやく観られる」と思ったのに、ずっと「レンタル不可」となったままなのだ。
 問い合わせたところ、月額会員には返還期限がないので、作品によってはぜんぜん返ってこないのだとか。返すのを忘れているとか、なくしちゃったとか、そういうのじゃないだろうな。

▼韓国映画『モガディシュ 脱出までの14日間』を観る。


 1980年代、韓国は国連への加盟が承認されていなかった。そのため、国連で最多の投票権を持つアフリカ諸国に働きかけ、ソマリアの首都モガディシュにも外交官を派遣していた。そこでは、同じく国連加盟を求めて北朝鮮が政府の支持を求めて奔走していた。妨害工作や情報操作でしのぎを削る韓国と北朝鮮。ところが、1991年、ソマリア内戦が勃発し、両国の大使館員とその家族たちは孤立を余儀なくされてしまう。街には銃弾が雨あられと飛びかい、空港は封鎖され、通信網も断絶し、自国に助けを求めることもできない状況。彼らは、生きて脱出するために手を組み、助かる一縷の望みにすべてを託して、4台の車で銃弾の中に乗り出していくのだった!
 いやあ、凄かった。政府軍と反乱軍の激突であっという間に街は廃墟と化し、地獄絵が展開されていく。その描写のリアルなこと。そこでは、人間の命など、紙よりも軽い存在でしかなかった。このあたりの描写が実に怖いのだ。
 行き場をなくした北朝鮮の大使館員たちが韓国大使館に助けを求め、韓国大使館側も人道的観点から受け入れはしたものの、長年にわたる歴史ゆえにお互いに疑心暗鬼をぬぐいさることはできない。その、ギクシャクした関係の描写に始まり、命がけの脱出行を通じてしだいに心を通い合わせていくという展開は、それこそお約束ではあっても、キャラクター描写がしっかりしているので、実に説得力がある。もっとも、心を通い合わせていくといっても、お互いにニコニコと手を握り合ったりするような露骨なシーンは1箇所たりともない。ほんのさりげない描写で、描いているだけなのだ。このあたりの演出も実にみごとだ。キャラクターがしっかり生きているからこそ、説得力がある。
 そして、脱出行の迫力が凄い。4台の車に襲いかかる銃弾、銃弾、また銃弾。思わず、息を止めて画面に釘付けになってしまった。
 監督のインタビューを読むと、可能な限りグリーンバックによる合成を排除し、原則として現地で撮影することにこだわったのだという。なるほど、それゆえのリアリティであり、迫力というわけだ。
 しかし、よくまあ全面海外ロケの作品で、これだけスケールの大きな作品を撮ったものだと感心してしまう。あの地獄と化した街を作り上げるだけでも、相当な手間がかかったはず。なにしろ、車で走り続けるのだから、一箇所だけセットを作ればいいというわけではないだろう。実際にはモロッコで撮影したらしいのだけれど、韓国映画界の底力にはいまさらのように驚かされる。
 監督はリュ・スンワン。韓国の映画監督の名前はほとんど知らないのだけれど、このリュ・スンワンの名前だけはしっかり覚えている。『相棒 シティ・オブ・バイオレンス』『血も涙もなく』といった作品の、ザラリとした肌触りのハードボイルド映画のインパクトが強かった。本作を見終えてから監督がリュ・スンワンと知り、なるほどと納得させられた。
 ところで、サブタイトルに「脱出までの14日間」とあるのだけれど、この映画って14日間の物語だったの? 内戦勃発から脱出まで14日もあったように思えなかったのだけれど。

2024年2月21日(水)

丸山正樹『デフ・ヴォイス』創元推理文庫を読了。


 埼玉県警の事務職員であった荒井は、ある理由から県警を去り、再就職のために手話通訳士の資格をとる。ろう者の家族に育った荒井は、子どもの頃から家族の通訳をしていたため、手話は使い慣れていたのだ。そして、手話通訳士として働くなかで、ある殺人事件の謎に巻き込まれていく。それは、彼が17年前に手話通訳として関わり、悔やんでも悔やみきれない展開をみせた事件ともつながりのある事件だった。
 ううっ、最後の最後でじわ~っときてしまった。実際に泣きはしなかったけれど、「感涙必至」という帯の惹句になんら文句はない。なぜじわ~っときてしまったかというと、徹頭徹尾、著者が誠実に物語に対峙しているからなのだと思う。
 描かれているのは、いままで自分とはまったくかかわりのなかった手話の世界であり、ろう者の世界である。もちろん、手話を使って会話をしている人を街中などで見かけたことはある。だけど、自分の身近にはただのひとりもいなかった。いないにはそれなりに理由のあることなのだろうけれど、いままでそういうことを考えたこともなかった。
 そういうまったく知らなかった世界に触れることができるのが読書のひとつの魅力であるなら、本書などはまさにその素晴らしい一例といえよう。
 だが、それだけではなく、本書はミステリとしても非常に読ませてくれる。主人公と一緒になって謎に翻弄された。そして、どういう着地点に辿り着くのか、まったく予想がつかないまま、最後の1ページまでぐいぐいと引っ張られるようにして読んでしまった。本当に、とても面白かった。
 主人公をめぐる日常のエピソードもいい。それだけに、ある場面では主人公に向かって「それだけはやっちゃダメだあ!」って叫びもした。
 「この借りは、いつか必ず返す。」のセリフが再び出てきたところでは、「そうだったかあ!」と思わず喜んでしまった。やられた。すっかり忘れていたら、こんなところで出てきたか。
 それに、議員の最後のセリフもいい。こういうひと言でちゃんと登場人物たちのその後をおざなりにせずにフォローするところも、実にお見事。こういうところも、著者が誠実に物語に対峙しているという印象につながっているのだろう。

 このシリーズは現在、第4作まで出ているとのこと。本作に出てくる刑事を主人公にしたスピンオフのシリーズも出ているとのこと。また、読みたい本が増えてしまった。

フィリピンの映画ファンが、SNSのフィリピン映画ファンが集うグループで、日本でリリースされたフィリピン映画のDVDのパッケージ5枚を紹介していたので「日本人の自分でさえ持っていないのに!」ってコメントしたら、以下のようなやりとりが始まってしまった。
「このうちのどれかを観たことがある?」
「5本とも全部観てますよ。どれも好きな映画だけれど、いちばん好きなのはひいきのエリッチ・ゴンザレスの出ている『ネバー・ダイ』かな」
「『ネバー・ダイ』は同年に公開されたアクション映画の『バイ・バスト』と奇しくもプロットが似てますよね」
「自分はどちらかというとウォルター・ヒルの『ウォリアーズ』を思い出したけど。でも、『バイ・バスト』ではアン・カーティスが激しいアクションをこなしているのでビックリしたよ」
「はい。彼女は一般的にはお昼のテレビ番組の司会をしている女優として認識されていて、あそこまで過酷なアクションを要求されたことはなかったですね。これも、日本でDVDがリリースされていると思いますよ」
「持ってます! ところで、これはなんだかわかりますか」


「これはたぶんボン・レビリャ主演の『RESIKLO』じゃないですか。」
「正解です!」
「これの美術はなかなかですよね。ところで、この映画の監督は、最近フィリピンで作られた『ボルテスV』のスタッフでもあるんですよ」
『ボルテスVレガシー』はいずれ日本語字幕付きで配信されると思って、待ってるところです」
 DeepLに頼って英語でのやりとりをしているのだけれど、変な日本人だと思ってるだろうな。

2024年2月20日(火)

▼サモ・ハン主演の『燃えよデブゴン 豚だカップル拳』を観る。原題は「搏命單刀奪命槍」。


 観てわかったのは、この邦題、内容となんの関係もないってことだ。英語のタイトルが「Odd Couple」なもんだから、無理矢理「カップル」という言葉を入れたのだろうけれど、なんの意味もないタイトルだということだけはよくわかった。
 刀の名手・一代刀王(サモ・ハン)と、槍の名手・一代槍王(ラウ・カーウィン)は、むかしからのライバルで、毎年決着をつけようと闘っているのだけれど、お互いの手の内を知り尽くしているので、どうしても引き分けに終わってしまう。そこで、お互いに弟子を育てて、その弟子に対決させて決着をつけようということになる。
 一代刀王が弟子にしたのはスイカ売りのウィン(ラウ・カーウィン)という若者。一代槍王が弟子にしたのは船頭のア・ヨウ(サモ・ハン)という若者。お互いにこの2人を鍛え上げて、いよいよこのふたりを対決させようと画策する師匠たちだったが、そこに一代刀王と一代槍王のふたりに怨みを持つウォン(レオン・カーヤン)が復讐のために現れるのだった。
 というわけで、サモ・ハンとラウ・カーウィンのふたりが、師匠と弟子の役を入れ替えながら一人二役を演じるという、実にむちゃくちゃな企画の映画なのである。よくこんなことを思いついたな。
 1979年の作品である。ジャッキー・チェンで言えば『ヤング・マスター/師弟出馬』の前年なので、新しいタイプのクンフー映画が登場する直前の作品ということになる。なので、アクションの演出や音楽などもいささか古めかしい。古めかしいけれど、やってることはめちゃくちゃレベルが高い。サモ・ハンとラウ・カーウィンのアクションの素晴らしさに惚れ惚れとしてしまう。
 監督はラウ・カーウィン、武術指導はサモ・ハンとブルース・ロー、その武術指導のアシスタントがユン・ピョウ、ラム・チェンイン、ビリー・チャン。なかなかの顔ぶれだ。さらに名前を列記すると、製作がカール・マッカ、脚本がレイモンド・ウォン、ライ・ワイマン、音楽がフランキー・チェンなのである。その後の香港映画を隆盛に導く人間が、がっつり顔を揃えているではありませんか。
 ディーン・セキ、マース、ラム・チェンイン、チョン・ファトといった名前が出演者として並んでいるのも実に懐かしい。
 内容は恥ずかしいくらいにくだらない作品なのだけれど、昔懐かしいクンフーアクションを満喫できる愛すべき作品なのでありました。
 ちなみに借りてきたDVDはHDリマスター版ということで、めちゃくちゃ画質がよくてびっくりしてしまった。

2024年2月19日(月)

コレステロール値を下げる薬をもらうために、朝いちで近所の病院へ。
 前回、週3回だった薬を毎日にしましょうと言われて変更したので、今日あたり血液検査があるかと思って、朝食を抜いて行ったのだけれど、次回にしましょうと言われてしまう。

▼相変わらず花粉症の症状がきつくて、常時痰がからんでいる状態。喉がずっとイガイガしていて、咳もひどい。

▼中国映画『フラッシュオーバー 炎の消防隊』を観る。


 危険物を大量に貯蔵している化学工場で爆発が発生し、吹き出た炎はあっという間に周辺の大規模工業団地を巻き込み、一帯は瞬く間に炎に包まれた。吹き出した爆風に襲われ、広範囲にわたって建物は崩壊し、助けを求める者がいたるところに発生する。
 そこにまっさきに駆け付けたのが、別の事故で近くに来ていたジャオ隊長の率いる消防隊だった。彼らは、救助のために危険なエリアに突き進んでいく。だが、災害の規模は想像以上だった。しかも、工業団地に貯蔵されていた危険物に炎が近づきつつあった。もし、それが爆発を起こせば、被害は街全体に及び、計り知れないレベルの環境被害をも引き起こすことが予想されるのだった!
 いやあ、凄い。あっという間に阿鼻叫喚の地獄図が発生し、それ以降は一瞬の緩みもなく、ひたすら壮絶な描写が続くのだ。しかも、あとからあとから凄い描写が続くというのに、それがまったく一本調子にならない。とんでもない災害に目を釘付けにされたまま、いっきにエンドクレジットまで連れて行かれてしまうのだ。
 それにしても、中国の消防隊、凄いな。いや、消防隊に限らず、あっという間に現場に駆け付けて救援態勢を整える医療部隊も実に凄い。彼らの一糸乱れぬ活躍を観ていると、思わず胸が熱くなってしまう。もちろん、現実の中国の消防隊がこうだと思っているわけではないのだけれど、大規模災害の続いている日本で、こうした組織が作られていたらと、つい思ってしまった。
 監督は『the EYE 【アイ】』『アブノーマル・ビューティー 死亡写真』などのオキサイド・パン。久しぶりに彼の名前を見たと思ったら、かつての監督作品からは想像もつかないような、とてつもなくスケールの大きな作品で再会することになってビックリしてしまった。ダンテ・ラムが撮ったというのならとっても納得のいく作品なのだけれど、まさかオキサイド・パンがこのようなディザスタームービーを撮るとは思ってもみなかった。
 ちなみに、ダンテ・ラム監督には『レスキュー(緊急救援)』という似たタイプの映画があったが、あれに匹敵する迫力の映画だと思ってもらっていいだろう。ところが、いま調べてみたら、オキサイド・パンには、双子の弟であるダニー・パンと組んで撮った『インフェルノ 大火災脱出』というディザスタームービーがあるというではないか。おおっ、完全に見逃していたぞ。そういう作品があって、本作に繋がっていたのか。これは、観なければ。
 中国の俳優には疎いので、本作の俳優についてもぜんぜん知らないのだけれど、ジャオ隊長を演じているワン・チエンユエンという役者が、モノマネ芸人の原口あきまさに似ている気がして、そこだけはちょっと残念。いや、彼らに罪はいっさいないのだけれど。
 本作は劇場公開していたらしいのだけれど、残念なことにまったく気がついていなかった。公式ホームページを見ると、埼玉県での上映はなく、都内はシネマート新宿だけだったようだ。このあたりのアンテナがすっかり鈍っているようで、反省しなければ。

2024年2月18日(日)

▼昨日あたりから喉がイガイガになって、咳は止まらないし、痰はからむし、頭はボーッとなるしで、かなりしんどい状態となっている。これ、すべて花粉症の症状なのである。自分の場合、いつも症状が喉にきてしまうのだ。しかし、まだ花粉シーズンはスタートしたばかりだというのに、もうこんなにしんどくなってしまって、大丈夫なのか。いちおう喉のための薬は出してもらっていてちゃんと飲んでいるというのに。本当にしんどい時に飲むための薬ももらってきてはいるのだけれど、もう飲んでしまっていいのだろうか。

▼フィリピン映画『アダン 禁断の果実(Adan)』を観る。


相変わらず、エロティック路線を突き進んでいるビバフィルムの作品で、さすがにこちらも食傷気味だ。フィリピンホラー映画の巨匠ヤム・ララナスが原案を担当しているということで多少の期待はあったのだけれど、いまいちすっきりしない作品となっていた。もう少しエピソードを増やして物語が動けば違っていたのではないかと思うのだけれど、単調な場面が多かったように思う。詳細なレビューはココ

▼昼食後、車で古本屋まわりに出てみる。といっても、いまや昔ながらの古本屋さんは埼玉ではほとんど姿を消していて、ブックオフか古本市場しかないという状況なので、ふだんは行くことのないあたりの古本市場を回ってみる。
 最初に訪ねたのが陸上自衛隊朝霞駐屯地のすぐ近くにある「古本市場朝霞店」。ここで、出たばかりの森見登美彦『シャーロック・ホームズの凱旋』があったので、さっそく購入。新刊書店で買うつもりでいたのだけれど、先に古本市場で見つけるとは思わなかった。さらに島本和彦『アオイホノオ』の22巻・23巻を購入。
 そこからちょいと足を伸ばして「古本市場三芳店」を訪問。だけど、ここは古本はほとんどなくて、トレーディングカードやフィギュアなどがメインとなっていた。
 次に「古本市場志木店」。たいして欲しいものもなかったのだけれど、ジョン・ヒューズ原案の『赤ちゃんのおでかけ』ハヤカワ文庫NVが80円であったので購入。
 残念ながら、これでタイムアップ。それにしても、店頭売りをしている埼玉の古本屋は本当に少なくなった。寂しいかぎりだ。

2024年2月17日(土)

▼郵便局まで歩いて、そのままいつもの公園をひとまわりしてから帰宅。53分12秒で4.79キロ。

池央耿『翻訳万華鏡』河出文庫を読了。


 ハモンド・イネスの諸作、J・P・ホーガンの『星を継ぐもの』などなど、多くの冒険小説、SF、ミステリーでお世話になった翻訳家・池央耿による著書。てっきり、翻訳業界の裏話や苦労話が読めるものと期待して手を出したのだけれど、残念ながらそういう内容の本ではなかった。冒頭こそ、翻訳家となったいきさつなどが語られ、僕の大好きなネヴィル・シュートの名前が頻繁に出てくることもあって喜んで読んでいたが、だんだん自分が翻訳を手がけた作品や著者に関する「解説」が主な内容となり、最後には翻訳や言語に関する文化論とでもよぶべき内容となり、もっと柔らかい内容の本を期待していた当方の許容量のきわめて小さな脳みそはあっという間にショートしてしまった。最近、とみに硬い内容の本が読めなくなっているなあ。
 巻末に著者が手がけた翻訳のリストが掲載されており、それを見るだけで、いままでどれだけお世話になっていたのだと頭が下がる。そして、創元推理文庫に収録されているネヴィル・シュートの『パイド・パイパー』は、角川文庫の『さすらいの旅路』にだいぶ手を入れた改訳版ということを知り、買ったきりどこかに埋もれたこの本も、ちゃんと読まなければと反省させられた。
 ちなみに、46ページに出てくる角川文庫の『絶叫で終わる物語』というのは『悲鳴で終わる物語』の間違いですね。あと、52ページに出てくるネヴィル・シュートの『遠い国』『虹と薔薇』というのは、正しくは『遙かな國』『失われた虹とバラと』ですね。本書は、単行本で出たものを文庫化したのだから、どこかの段階で修正ができればよかったのに。
 なお、著者は昨年の10月に逝去されている。

『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』を観る。


 アルバイトで殺し屋をしているゆうり(丞威)とまこと(濱田龍臣)の兄弟だが、上の指示ミスで殺しのバイト代ももらえず、「やっぱバイトじゃだめだよな。組織に所属する正規の殺し屋にならなくちゃ」と一念発起する。そして、正規の殺し屋になるには組織に入っている殺し屋2人を殺して空席を作ることだと言われて、ちさと(高石あかり)とまひろ(伊澤彩織)のコンビを狙うことにする。
 一方のちさととまひろはというと、たまたま遭遇してしまった銀行強盗を撃退したがために謹慎処分を食らってしまう。組織の掟で謹慎処分中の殺しは厳禁なのだけれど、そんなタイミングでゆうりとまことの兄弟が襲いかかってくるのだった。
 髙石あかり、伊澤彩織のゆる~い殺し屋コンビを主役にしたシリーズの2作目。今回もゆる~いやりとりが独特の雰囲気を醸し出していて、なんともいえず楽しい。前作ではセリフの聞き取れない場面がとっても多くて歯がゆい思いをしたけれど、今回はそこは大丈夫だった。よかった。
 今回は対戦相手が2人ということもあって、アクションは前作より控えめで、しかもシンプルになっている。前回は組織が相手ということもあって、多彩なアクションを楽しむことができたのだけれど。伊澤彩織のアクションをもっともっと堪能したかっただけに、そこはちょっと残念。
 でも、個性あふれる脇役陣にもそれぞれでおいしい場面が用意されていたりして、映画そのものとしての完成度は前作よりも上だと感じた。まあ、アクションシーンが充実しすぎて全体のバランスを崩してしまっているような映画も好きなんだけどね。
 監督・脚本は前作に引き続いて阪元裕吾、アクション監督は園村健介が担当。至近距離での銃撃戦に肉弾戦をプラスするアクション演出は、伊澤彩織も参加している『ジョン・ウィック』の影響が感じられる。こうして、新しいスタイルのアクションがスタンダードとなっていくのだろう。

2024年2月16日(金)

▼朝からすごい風が吹いている。これは絶対にスギ花粉がものすごい勢いで飛びかっているに違いあるまいと確信して、散歩に出るのはやめておく。

▼昨年11月に購入したジョグ之助、膝を痛めてテニスに行かなくなったこともあってほとんど乗っていない。走行距離もようやく200kmといったところだ。こんな調子だと、どのくらいのタイミングで初期点検に持って行けばいいのかと思って、購入したお店に問い合わせてみる。
 すると、走行距離が500kmになるか、そうでなければ1年たったときで大丈夫とのこと。ただし、乗らなくてもタイヤの空気は抜けていくので、たまにお店に寄ってくれればと言ってもらえる。

2024年2月15日(木)

▼朝の散歩がわりに郵便局まで歩いて、そこから少しまわりみちして帰る。いまいち膝の具合がよくないので、無理はやめておこう。

東京創元社の「新刊ラインナップ説明会2024」というイベントで飯田橋まで出て行く。
 ネットで参加者を募集していたので、さほど何も考えずに応募したら「厳正なる抽選の結果、お席をご用意させていただきましたことをお知らせいたします」というメールが届いたのだ。あっさり当選したので、申し込んだ人はみんな当選するのかと思ったら、ぜんぜんそんなことはなかったらしい。今年は応募者が多く、SNSでも「申し込んだけどはずれた」という書き込みがけっこうあった。ミステリファンならぜひ行ってみたいイベントだろうから、自分のようなものが当選してなんとも申し訳ない気分になってしまう。

 受付で名乗ると、封筒を渡されて、その時に渡された番号が座席の番号となる。なんとラッキーなことに前から2列目の座席だ。
 入場して、まずは物販のコーナーに並ぶ。東京創元社のオリジナルグッズの販売もあるのだけれど、自分はサインをもらうための本の購入。本日、ゲストで来場するのは、作家の今村昌弘さん、丸山正樹さん、高島雄哉さん、翻訳家の上條ひろみさんの4名。実に実に申し訳ないのだけれど、まったく作品を読んだことのない方たちばかりだ。これを機会に読もうとは思っているのだけれど、ファンが集まっている中に、自分のような人間が紛れ込んでサインをもらってしまっていいものだろうかと思ってしまう。

※本の購入では現金は使えず、クレジットカードやPayPayなどとなる。レシートの下には「きてくれてありがとうニャ。今年もうちの本をよろしくニャ。」と印字されていた。


※封筒に入っていた「くらり」のシールと、展示コーナーにあった「くらり」の名刺3種。全部で5種類あったらしいのだけれど、僕が見たときにはこの3種だけになっていた。

 入ってすぐに関係者席があって、そこに北原尚彦さんを発見してご挨拶。毎回来ているとのことで、「ゲストとして呼ばれる方にまわりたいですね」と言っていたけれど、そのためには東京創元社から本を出さないと。『ドイル傑作集(全5巻)』を出したのは2004~2011年だし、『モリアーティ秘録』を出したのは2018年ですからね。ここはぜひ『新ドイル傑作集』を出してほしい。

 15時半ジャストに池澤春菜さんの司会で説明会がスタート。東京創元社社長からご挨拶がちょっとあってから、各部門の担当編集者による2024年注目の新刊紹介となる。
 また、国内ミステリ紹介のコーナーでは今村昌弘さん丸山正樹さん、SF紹介のコーナーでは高島雄哉さん、海外ミステリ紹介のコーナーでは上條ひろみさんが登壇して自著の紹介などをしていく。池澤春菜さんの司会ぶりが実におみごとで、ゲストから上手に話を引き出していく。これ、よっぽど作品を読み込んでいないとできない司会ぶりで、そうそう他にできる人のいるようなお仕事じゃないと感嘆してしまう。

※左から池澤春菜さん、今村昌弘さん、丸山正樹さん、高島雄哉さん、上條ひろみさん

 2024年新刊ラインナップで自分的に「おおっ!」と思ったのは、こんなところ。
『フレドリック・ブラウン短編全集』。全5巻で文庫で刊行とのこと。『フレドリック・ブラウンSF短編全集』全4巻から「SF」の文字がとれているけれど、あれの文庫化なのでしょう。
『スケープゴート(仮題)』ダフネ・デュ・モーリア。三笠書房から『犠牲』もしくは『美しき虚像』のタイトルで出ていたもので、自分は『美しき虚像』の上巻と『犠牲』の下巻を持っているのだけれど、上下揃っては持っていないので、これはちょっと嬉しい。
『Vicious Circle(原題)』C・J・ボックス。猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズは今年も出てくれるとのこと。

 ラインナップ説明会のあとは、ゲストとして登壇していた4名のサイン会。恥ずかしい話だが、自分にはまったく馴染みのない作家の方たちばかりなのだけれど、せっかくの機会なので全員の方にサインを入れていただく。並んでいる方たちは、みなさん熱心な読者の方たちばかりで、サインをもらう時にあれこれと話しかけたりしていたのだけれど、自分は話しかけるネタがなにもないので、実に申し訳ない。
 サインをいただいたのは、以下の4冊。
『ランドスケープと夏の定理』高島雄哉


『屍人莊の殺人』今村昌弘


『デフ・ヴォイス』丸山正樹


『見知らぬ人』エリー・グリフィス


 サインをいただいたからには、この4冊は当然読むつもりです。それは礼儀というものですよね。

 そして、『見知らぬ人』にサインをいただくときに、傍らにいた翻訳ミステリー担当の編集者の方に「C・J・ボックスのジョー・ピケット・シリーズを引き継いでいただいてありがとうございます」と声をかける。もともとこのシリーズは講談社文庫で出ていたのだけれど、講談社文庫が求めている発行部数に届かないため、翻訳が中断する危機にあったのだ。それを引き取って続きを出してくれたのが東京創元社なのである。講談社文庫から出ている頃、翻訳の野口百合子さんが必死にかけあって出していたのをSNSを通じて見ていただけに、東京創元社という受け皿ができたのは本当に喜ばしい。
 さらに「ダフネ・デュ・モーリアの翻訳は、まだ続けてもらえるのでしょうか?」と聞いてみると、それは担当者が別とのこと。それでも「ダフネ・デュ・モーリアには、未訳の長編作品がまだあるので、ぜひとも出していただきたい」とお願いして「担当者に伝えておきます」という言質をいただく。三笠書房でずっと刊行予定となっていながら、とうとう未刊で終わってしまった作品があるので、それはぜひ出していただきたい。正直、難しいとは思うのだけれど、実現してくれたら実に嬉しい。

 というようなイベントでした。自分のような本好き(特に東京創元社で出すような本の愛読者)ならば、誰でも楽しめるイベントだったかと思います。
 ちなみに、会場となった建物は、実は自分のクライアント企業のもので、たまに打ち合わせなどでお邪魔している場所なのでした。

▼自分はどちらかというと出不精なので、仕事以外でこうして都内に出るのは久しぶり。膝を傷めてテニスができなくなり、家にこもってビデオを観るか本を読むかという時間が多くなっているので、その反動でこういうイベントに足を運ぼうという気になったものと思われる。こういうのを文字通りの怪我の功名と呼ぶのだろう。

2024年2月14日(水)

朝の散歩に出るが、今日は膝が痛いのでショートカットして33分で2.77キロを歩いて帰宅。

▼高校の箏曲部を題材にしたアミュー『この音とまれ!(30)』集英社を昨夜読んで、今日また読んでしまう。


 29巻で全国大会初日が終わったけれど、主人公たちが舞台にあがるのは2日目なので、ようやく彼らの番かと思いきや、その前に最大のライバル校の舞台があるのだ。なのに、そのライバル校の舞台が始まるぞ!というところで次巻に続くとなってしまった。ううっ、なかなかストーリーが進まない。進まないけれど、とっても大事なエピソードがあれこれ詰まっているので、仕方がないのだ。仕方がないのだけれど、でも、早く主人公たちの舞台を見たいぞ。
 30巻では、会場に向かうバスの中での2組のカップルのやりとりがサイコーに可愛くって、読んでいてニマニマしてしまう。そして、巻末収録の番外編で泣かされてしまう。ううっ、テツキって、本当にいいヤツだよな。
 というわけで、また次巻がでるまで、しばしの我慢なのだ。

▼台湾映画『僕と幽霊が家族になった件』を観る。


 やたらと暴走気味の刑事ウー・ミンハンは、道ばたに落ちていた赤い封筒「紅包」を拾うのだが、それは死者との結婚、冥婚の相手を決めるための封筒だった。しかも、その死者とはゲイの若者、マオ・バンユーだった。冥婚なんてやってられない、しかもその相手が男だなんてとんでもない! 速攻で拒否をするミンハンだったが、連続で襲いかかってくる不運に、泣く泣く冥婚を受け入れる。
 ところがそのバンユーが幽霊となって現れ、自分を車ではねた犯人捜しをミンハンに強要してくる。かくして、しぶしぶながらも犯人捜しに乗り出すミンハンだったが、その捜査線上に麻薬密売組織の大物がひっかかってくるのだった……。
 刑事ドラマといえば『リーサル・ウェポン』『48時間』『ラッシュアワー』などバディものがつきもので、いかに異色の組み合わせにするかでその魅力が決まったりするのだけれど、なんと今回のバディは暴走刑事とゲイの幽霊である。よくそんな設定を思いついたな。
 しかも、要所要所のアクションも充実しているし、コミカルな演出も絶好調だし、泣かせる場面ではグイグイ押してくるし、いうことないじゃん。ミンハンを演じるグレッグ・ハンのコミカルな演技を観ているだけでも飽きないし、バンユーを演じるリン・ボーホンのちょいと浮世離れしたいかにも育ちのよさそうな表情を観ているだけでも癒やされる。そして、ミンハンの同僚の女刑事が可愛いじゃんとか思って観ていたのだけれど、調べてみたら『赤い糸 輪廻のひみつ』でピンキーを演じていたワン・ジンじゃん! そりゃ、可愛いよな。
 監督は『紅い服の少女』のチェン・ウェイハオ。この監督の『目撃者 闇の中の瞳』『The Soul:繋がれる魂』という作品も面白そうだ。

2024年2月13日(火)

▼今日は取引先から送られてくる荷物を受け取らなければならないので、朝から出社する。駅の階段の登り降りが多く、電車の中でもずっと立っていたせいか、やや膝が痛い。

▼帰りに赤羽で途中下車して、金曜日に文庫をごっそり買った古本屋を覗いてみる。あれだけ買って生じたスペースに、翻訳物の文庫が補充されているはずなので、それをチェックしたかったのだ。すると、確かに翻訳物の文庫がぎっしりと補充されていた。だけど、すべてエド・マクベインの87分署シリーズなのでした。もっと、レアなものが並んでいるのを期待したのだけれどなあ。

宮島未奈『成瀬は信じた道をいく』新潮社を読了。


 地元で活躍している人を調べて発表するという学校の課題に、成瀬と島崎のゼゼカラを選んだ小学校4年生の北川みらいが、成瀬に弟子入りするまでを描く「ときめきっ子タイム」。
 成瀬の大学受験にふりまわされる父親の困惑を描く「成瀬慶彦の憂鬱」。
 利用するスーパーマーケットで繰り返しクレームの投書をしてしまう女性が、その店でアルバイトをする成瀬から万引きをつかまえる協力を依頼されてしまうという「やめたいクレーマー」。
 成瀬と一緒にびわ湖大津観光大使に就任した、地元の名家の娘の篠原かれんが、成瀬の言動にとまどいながらも、いつしか成瀬に感化されて自分を取り戻していく「コンビーフはうまい」。
 大晦日に「探さないでください」の置き手紙を残して行方不明になった成瀬を、かかわりのあるメンバー総動員で捜し回る「探さないでください」。
 大喜びして読んだ『成瀬は天下を取りにいく』の続篇である。どれもこれも面白い。成瀬のキャラに大きく依存したシリーズであるのだから、どこかでパターンに陥って飽きるのかと思いきや、ぜんぜんそんなことはなかった。とりわけ楽しんだのが「探さないでください」。これは笑った。予想だにしないとんでもない展開になっていくのだけれど、成瀬の父以外はみんながみんな、「成瀬だから」で納得してしまうのがおかしい。

▼昨夜の23時34分にAmazonで本を注文した。
 そしたら今日の17時33分に「誠に申し訳ありませんが、以下のご注文について配送に遅延が発生する可能性がございます。」「ただいま配送状況を確認しておりますので、恐れ入りますがお届けまで今しばらくお待ちいただきますようお願いします。」「このたびは、商品のお届けについてご心配をおかけしておりますことをお詫びいたします。」というメールが入った。
 いや、そこまで急いでいるわけじゃないので、配達の人に無理を言わないでくださいね。いま、Amazonの配達を担当している人がかなり無茶な労働環境にあるという話は聞いているので、どちらかというとそっちの方が心配だよ。
 かつては新刊書店で本の取り寄せを頼むと、1週間とか2週間かかるのは当たり前だったので、頼んだ翌日に届くということの方がおかしいとしか思えない。しかも、送料は無料なんだよ。

▼いまフィリピンでいちばん元気に映画を作っているのはビバフィルムという会社なのだけれど、ここは言うなれば日活ロマンポルノ時代の日活のような会社で、作っている映画のほとんどはセックスシーンを売り物にしたエロティックな映画ばかり。
 最近、このビバフィルムの映画が知らない間に日本に入り込みつつある。
 『リプレイス 絡み合う欲望』『ハウスメイド 欲望のしもべ』『濡れた人魚妻』『売られた女 セックスの代償』『ヴァージンフォレスト 愛欲の奴隷』といったところは観たのだけれど、他に『アダン 禁断の果実』という作品があるし、これから配信予定となっている作品に『インモラル 復讐の餌食』『美しき復讐者 欲望の罠』なんて作品がある。
 そこまでは分かっていたのだけれど、さらに調べていってAmazonで配信されている作品にエンジェル・カーン主演の『セリーナズ・ゴールド』があり、U-NEXTのみで配信されている作品に『ターミナル 人妻の情事』があることまで判明してしまった。
 そこそこ実力のある監督が撮っていたり、なかなか魅力的な女優が出ていたりするので、とっても気になっているのだけれど、いくら日本語字幕がついているからといって、こんな作品ばかり観るのはいやだなあ。もう少し、違うフィリピン映画も日本に入ってきてほしいぞ。

2024年2月12日(月)

▼本日は振替休日にて、のんびりしてから朝の散歩に出る。今日も公園を2周して6.17キロ。膝はちょっと痛い。

▼ジョン・ヒューズ監督の『ときめきサイエンス エレクトリック・ビーナス』を観る。


 高校生のゲイリー(アンソニー・マイケル・ホール)とワイアット(イラン・ミッチェル=スミス)は、女子には見向きもされないさえない二人組。そんな2人が、パソコンに理想の女性のデータを片端から入力して、電話回線を通じてスーパーコンピューターのパワーをハッキングしたところ、なんと本当の美女(ケリー・ルブロック)が現れてしまう。2人はその美女に「リサ」という名前をつけて、さっそく彼女を引き連れてバーに乗り込んだりするのだけれど、しだいにリサはいまひとつ情けない2人をなんとかしようと暴走を始めてしまう。
 「パーティに来てくれる友だちなんていない」という2人を無視してワイアットの自宅でのパーティを企画すると、リサを目当てのクラスメートたちが続々と押しかけてくる。さらにはリサの仕組んだ暴走族がバイクに乗ったままパーティ会場であるワイアットの家に乗り込んできて大暴れを始めるのだが……。
 年上の美女が惚れてくれるという、男の子の夢をそのまま映画にしてしまったというのが本作。パソコンごときでこんな美女を作れるわけないじゃん、などという疑問はあっさりスルーしてしまうのがさすがはジョン・ヒューズ。そんなことはどうでもいいのだ。
 そして、やっぱりパーティでしっちゃかめっちゃかな展開になるというのがジョン・ヒューズ。このあたりは『すてきな片想い』と一緒で、親が帰ってきたら目をまわすこと間違いなしの勢いで家の中をメチャクチャにしていく。もっとも、こちらは『すてきな片想い』とはレベルが違う。なにしろ、床下から現れた核弾頭ミサイルが屋根を突き破ってしまうし、暴走族は壁を突き破って家の中に飛び込んでくるし、もうめちゃくちゃのやりたい放題。
 というわけでいかにもジョン・ヒューズ監督らしい作品ではあるのだけれど、『すてきな片想い』『恋しくて』のような青春の甘酸っぱさ、切なさはすっぱり切り落としているので、そこはちょいと物足りない。ただし、このテイストは『ホーム・アローン』に引き継がれて大ヒットを飛ばすことになるのだけれど。そういえば、アンソニー・マイケル・ホールって、『ホーム・アローン』のマコーレー・カルキンにちょっと似ているかも。
 ちなみにポスターのケリー・ルブロック、ぜんぜん美人に見えないのは実に残念。若い男の子の妄想炸裂の美女なのだから、もっと魅力的に写った写真を使ってほしかったぞ。

▼3回行って3回連続で店が開いていなかった「しん理書房」を、ジョグ之助に乗って覗きに行ってみる。すると、おおっ、今日は店が開いていたぞ!
 だけど、店内は整理し切れていない荷物が床に積まれていて、なかなか棚に近づくことができない。特に奥の通路は、あっちもこっちも入口がふさがれていて、まったくチェックすることができなかった。遠目に見ると、「幻影城」とかが並んでいるので、なにかしら好みの本がありそうな気配なのだけれど。
 積極的に古本市に参加しているお店なので、店売りにはあまり力を入れていないのだろうな。
 結局、何も買わないまま帰宅。

▼年老いて家にこもっている母親の楽しみは、テレビでのスポーツ観戦と借りてきたDVDでの韓国ドラマ視聴で、その韓国ドラマは僕か嫁さんかのどちらかが借りてくることになる。ただし韓国ドラマならなんでもいいわけではないので、何を借りてくればいいのか、あれこれ頭を悩ませている。母親が好んでいる韓国ドラマは、とにかく人間模様のドロドロしたドラマなのである。出生の秘密と事故による記憶喪失が出てくれば、まず間違いなしというワンパターンのドラマなのだけれど、はまってしまうとこれがなかなか面白いらしい。
 で、今は「黄金の庭」というドラマを観ているのだけれど16巻まで見終えてしまったというので、続きを借りに行くことにする。家からいちばん近いゲオはつい最近閉店してしまったので、少し離れた店まで借りに行かないといけないのだけれど、足を鍛えるためと思って歩いて行くことにする。
 店まで行って帰って3.38キロ。途中、登り降りがけっこうあるので、やはり膝が痛くなる。
 そして、「黄金の庭」は17~22巻を借りてきたのだけれど、これで完結なので、次に何を借りればいいのか、また悩まなければいけないのだった。

2024年2月11日(日)

66才になりました。予定ではもっと元気な66才になるつもりだったのだけれど、走れない66才というのは実に残念。
 予定では3月末に整形外科を受診して、4月に手術。復帰まではまだしばらくかかるなあ。

▼今日もぶらりと散歩に出る。昨日の痛みがまだ若干残ってはいるものの、我慢できない痛みではない。
 いつもの公園を今日は2周してから帰る。1時間12分かけえ6.12キロ。いつもよりのんびり歩いたつもりでも、キロあたり12分かかっていないので、こんなペースでいいということにしよう。

▼フランキー堺主演の『喜劇 誘惑旅行』を観る。


 なにゆえこんな映画を観たかというと、舞台がフィリピンだから。1972年の日本映画でフィリピンがどのように描かれているのか、ちょっと気になるではありませんか。
 大沢泰三(フランキー堺)と弘子(倍賞千恵子)の夫婦はクイズ番組に出場して、みごとフィリピン旅行をゲットする。だが、ドルショックのために招待されるのはひとりだけと言われ、しょぼんとする泰三だった。ところが、弘子が羽田-マニラ線の開設10万人目の客となったために、夫婦でフィリピン旅行に招待されることになる。かくして、夫婦揃ってフィリピンに行けることになったのはいいのだけれど、クイズ番組のスポンサー企業と、フィリピン航空の両方から招待されることになったものだから、フィリピン滞在中の接待が夫婦別々になったりしてしまう。さらには機内で出会ったデザイナーの卵の清美(尾崎奈々)に泰三がフラフラッとよろめいてしまったり、弘子は弘子で泰三そっくりの大富豪アポカバーナ(フランキー堺)に情熱的にくどかれてまんざらでもない気持ちになってしまったりして、事態はどんどん混乱していってしまうのだった。
 正直、ストーリーはとってつけたようなもので、基本は観光ガイド的な映画となっている。マニラの主だった観光地をまわり、足を伸ばしてタール湖も紹介され、さらには船と飛行機でセブ島観光もおこない、最後にはミンダナオ島にまで辿り着く。移動距離を考えると、なかなか大変な観光旅行だ。クレジットを見ると、「協力:フィリピン航空、阪急交通社フィルパック、マニラヒルトン」とあるので、いかにもフィリピン旅行を行きたくなるような映画にしてほしいというリクエストがあったりもするのだろう。
 もちろん、そういう性格の映画であるからして、あまりフィリピンをマイナスに描くようなシーンはないのだけれど、やはり男性が女遊びをする国みたいなニュアンスの描写はそこここにあった。ジャルパック全盛時代だろうから、実態としてそういうこともあったのだろう。
 意外だったのは、日本人の俳優がけっこうちゃんとタガログ語を使っていることで、場面によってはタガログ語と日本語のちゃんぽんのギャグを飛ばしたりもしている。よくまあ、タガログ語のダジャレなんてのを脚本に盛り込めたもんだ。
 冒頭のクイズ番組では森次晃嗣が司会者として登場し、自宅では森田健作が倍賞千恵子の弟として登場してくる。当然ながら皆さん、実にお若い。ワンシーンだけ、ホテルスタッフのフィリピン人として左とん平が登場してくるのだけれど、これがなかなか面白かった。いやあ、芸達者だなあ。

▼今日の夕食は酢飯に角上魚類で買ってきた刺身をごっそり乗せての海鮮丼。手軽だけれど、実においしい。酢飯に刺身って、どうしてこんなに合うのだろう? 嫁さんが例によって「これでは足りないかもしれない」と不安になって、刺身をごっそり買ってきたもので、ついつい食べ過ぎてしまう。たっぷり買ってきて「生ものは残せないから」とか言われてもなあ。

 そして、食後には誕生日祝いのケーキ。ううっ、もう食べきれません。

▼夜は、むかしむかし、ニフティサーブのアジア映画フォーラムで一緒だったメンバーでZOOM飲み会。いまや、パソコン通信といっても、通じないんだろうな。その頃からの仲間だから、本当に長い長いつきあいとなる。リアルで会うことはいまではほとんどないのだけれど、当時は毎週のように新大久保の屋台村に集まってはワイワイと飲み食いして、喋りまくっていた。
 そのメンバーが、いつ頃からだか2月に「水瓶会」という名目で集まるようになった。メンバーの中に2月生まれが何人もいたので、その誕生日を祝うという名目で集まっていたのだ。特に僕とN垣さんのふたりが同じ昭和33年2月11日生まれということで、そのあたりで開催することが多かった。
 アルコールを片手に、今年もわいわいと他愛もない話題で盛り上がる。終活とか病気関係の話題が多くなってきたのは、みんなの年齢を考えると仕方のないところだろう。

2024年2月10日(土)

▼嫁さんと一緒にMOVIX川口にて映画『「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』を観る。


 テレビアニメの前シリーズの最終話と、次シリーズの第1話をセットにして上映するというもの。前回、このパターンでけっこう客が入ったので、味をしめたものと思われる。すでにあるフィルムと、どうせこれからテレビで放送するフィルムを編集するというお手軽な企画ではあるのだけれど、ファンにしてみれば劇場の大スクリーンで観られるのだから文句はまったくない。これで儲かれば、その金をつぎ込んでさらに質の高い作品が作れるのだろうから、なかなかいいアイデアではあるだろう。
 実際、テレビ用の作品でありながら、こうして劇場の大スクリーンで上映してもまったくスクリーンの大きさに負けていない。特に前シリーズ「刀鍛冶の里編」の最終話は圧倒的な迫力で、大きなスクリーンで観られて本当によかったと思ってしまう。いっそのこと、『宇宙戦艦ヤマト』方式で、テレビ放送前にすべて劇場で上映してもいいのではと思うくらいだ。

 なお、入場者特典で「[鬼滅の刃]柱稽古指南書」という冊子が無料で配布されていたけれど、「これが無料なの?!」と驚いてしまった。前回の『上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』の時にも無料の豪華な冊子が配布されていたけれど、もちろんこれ欲しさに劇場に駆け付ける人も多いんだろうね。

▼帰宅して食べ過ぎを反省して散歩に出る。調子がよさそうだったので、ちょっと10メートルほど、軽くジョギングをしてみる。痛いけれど、大丈夫だ。
 だが、そのまま散歩を続けているうちに、左膝がどんどん痛くなってきて、歩くのもやばいというレベルになってしまう。歩く旅に焼き付くような痛みが走るというのはあまりにも辛すぎる。やはり、走るのは無理だ。

原田ひ香『古本食堂』ハルキ文庫を読了。


 神保町で古本屋を営む兄が亡くなり、その整理のために北海道から上京してきた鷹島珊瑚は、兄が大切にしていた本を処分することができず、店を引き継いで、店で本を売ることで兄の蔵書を処分していこうとする。だが、自宅にある蔵書の量は半端なく、まったく減っていく気配を見せない。
 一方、珊瑚の親戚で国文科の大学院生の美希喜は、以前から大叔父の古本屋に顔を出していたのだが、店を引き継いだ珊瑚のところにも顔を出し、店を手伝うことになる。
 その古本屋を舞台とした連作短編集で、珊瑚と美希喜の一人称形式の物語が交互に語られていく。絶版本と、神保町で味わえるさまざまな料理が、店に出入りする人たちの物語に絶妙に絡んでいくという作品で、よくまあこういう組み合わせの連作短編集という設定を思いついたものだと感心してしまう。そして、その難しい設定でありながら、よくまあこれだけみごとな物語として形にしたものだなあと、これまたしみじみ感心してしまう。
 実に面白いし、とても気持ちのいい小説だ。まだ単行本にはまとまっていないが、続篇も書かれているようなので、それも楽しみだ。

▼植木等主演の『香港クレージー作戦』を観る。


 小さな飲み屋が建ち並ぶ「のん平横丁」。サラリーマンの植木等はそのあちこちにツケを溜めているのだけれど、立ち退き問題が発生したと聞き、ツケをチャラにすることを条件に行動を起こす。そして、香港に進出してレストランを開業する手はずを整えてしまうのだった。
 かくして、ハナ肇、谷啓、犬塚弘、安田伸、桜井センリ、石橋エータロー、浜美枝を引き連れて香港に乗り込んでいく植木等だが、PR不足で客はまったくこない。そこで、あの手この手で店を軌道に乗せようとするのだが……。
 植木等がいつもの調子のいい男を快演しているのだけれど、実はぜんぜん無責任男ではない。なんのかんの言いながら、しっかり仲間のプラスになるアイデアをひねくりだして、それをガンガン実現していくのである。そこが観ていて楽しい。これが単なる無責任男だったら、こんなに楽しい映画になっていないだろう。
 脚本は『サラリーマン出世太閤記』『社長行状記』などの著書もある笠原良三。「社長シリーズ」の脚本家としても有名だが、『大学の若大将』などの若大将シリーズ、『日本一のゴマすり男』などの一連の植木等主演作などの脚本も書いている。
 クレイジー・キャッツが歌い踊るシーンも当然あるが、それ以上に中尾ミエの歌うシーンがとってもいい。こんなに歌がうまかったんだと、初めて知った。彼女の全盛期をリアルタイムで観てはいても、幼すぎてそこまでは分からなかったもんなあ。音楽担当は神津義行。神津カンナの父親という認識だったのだけれど、中村メイコの旦那さんだったのね(そのあたり、とっても疎いのです)。
 あと、植木等の相手役で出ているのが浜美枝。ビーチに出るなりビキニ姿でゴーゴーを踊っていたけれど、当時の日本人としてはきわだってスタイルが良かったんだろうな。
 他に、有島一郎、柳家金語楼、淡路恵子、由利徹、塩沢とき、世志凡太などが出ている。
 1963年の作品なので、いまとなっては失われてしまった香港の古い光景をたっぷり観ることができるのも楽しい。だけど、ちょっと残念なのはみんなが使っている中国語が広東語じゃないってところだな。シェーシェー、サイチェンだもんなあ。

 ところで、勤務時間中に家に帰ってひと眠りした植木等が、「さあ、風呂へでも行って、さっぱりしてぼつぼつ出勤するか」と言って、箱形のスチームバスの並ぶ施設に行くシーンが出てくる。思わず「ああっ、これだ!」と思ってしまった。なにが「これだ!」なのかというと、自分が学生時代に映画を観に行っていた蒲田の映画館で流れていた「トルコ万喜」というお店の広告が、まさにこの箱形スチームバスに入っているお父さんとビキニの女性の絵だったのである。


 このあと、植木等は柳家金語楼演じる社長から「勤務時間中にトルコ風呂に行くとはなにごとだ!」と叱責されるのだけれど、どうやら当時は、スチームバスで汗を流して、そのあと垢すりとかマッサージをしてもらえるこうしたお店がトルコ風呂と呼ばれていたものらしい。蒲田にあった「トルコ万喜」が、こうした健全な店であったのか、それともそうでなかったのかは分からないけれど、もしかしたら映画館で広告を流していても、それほど違和感のない施設であったのかもしれない(昭和50年代に入っていたので、それはないのかな?)。

2024年2月9日(金)

▼クライアントとの打ち合わせがあって、午前中に出社して会社で雑務を片付け、午後いちばんで赤坂のクライアントで打ち合わせをして直帰とする。
 途中、どうしても買っておきたい本があって赤羽で途中下車して「文教堂赤羽店・ブックストア談」へ。
『屍衣にポケットはない』ホレス・マッコイ(新潮文庫/初版)825円
『翻訳万華鏡』池央耿(河出文庫/初版)990円
『成瀬は信じた道をいく』宮島未奈(新潮社/初版)1760円
 どれもこれも読むのが楽しみ。


 そこから「ブックオフ赤羽駅東口店」にまわるが、特に買いたいものはなし。
 そして、何もないのは分かっているのだけれど、ついつい昔からの習慣で「紅谷書店」を覗きに行ってしまう。むかしは覗くのがそれなりに楽しい古本屋さんだったのだけれど、いまはネット販売が中心で、店売りは店頭に出した棚にほんのちょっと本が並んでいるだけ。ちなみに、少し前にこの商店街で火事があったのだけれど、なんと火元は「紅谷書店」の2~3軒隣りで、いまだに焦げ臭い匂いが漂っていた。あやうく「紅谷書店」も燃えるところだったようだ。

 線路を越えて駅の反対側に出て、久しぶりに「平岩書店」を覗く。残念ながら何もないなあと思いつつ、本が二重に積まれている均一台の下をチェックする。この均一台、翻訳文庫はいつも他の本の下に隠されているのだ。すると、そこから大量にマイクル・ムアコックのエターナル・チャンピオンシリーズが出てきたではありませんか。エターナル・チャンピオンシリーズというのが何なのかは、興味のある人は自分で調べていただくことにして、とりあえずそこから引っ張り出して買ったのはこんなところ。


<エルリック・サーガ>
『メルニボネの皇子』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/重版)67円
『この世の彼方の海』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/重版)67円
『白き狼の宿命』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/重版)67円
『暁の女王マイシェラ』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/重版)67円
『黒き剣の呪い』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/重版)67円
『ストームブリンガー』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/初版)67円
<エレコーゼ・サーガ>
『永遠のチャンピオン』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/初版)67円
『黒曜石のなかの不死鳥』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/重版)67円
『剣のなかの竜』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/初版)67円
<紅衣の公子コルム>
『剣の騎士』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/重版)67円
『剣の女王』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/重版)67円
『剣の王』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/重版)67円
『雄牛と槍』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/再版)67円
『雄羊と樫』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/初版)67円
『雄馬と剣』マイクル・ムアコック(ハヤカワ文庫SF/初版)67円

 <エルリック・サーガ>は昔に何冊か読んでいるはずだけれど、<エレコーゼ・サーガ>と<紅衣の公子コルム>はまったく持っていないはず。それが、ここで一気に揃ってしまうとは。
 調べてみると、<エルリック・サーガ>は旧版と新版とがあって、旧版はあと『真珠の砦』『薔薇の復讐』の2冊を手に入れれば揃うということらしい。が、ここで実に悩ましい問題があって、新版全7巻というのが、同じハヤカワ文庫から別に出ているのである。新版は経年順に並べ替えて加筆修正されているということなのだけれど、タイトルも違えて、巻数も違うという悩ましいバージョン違いなのだ。
 ハヤカワ文庫からは他に<永遠の戦士フォン・ベック><永遠の戦士ケイン>が出ており、<永遠の戦士ケイン>の方は大昔に読んでいるのだけれど、<永遠の戦士フォン・ベック>の方はその存在すら知らなかった。
 さらに創元推理文庫から<ルーンの杖秘録><ブラス城年代記>が出ていて、<ブラス城年代記>の方は持っていないはず。
 いずれにしても、<エルリック・サーガ>の新版を除けば、あと7冊でエターナル・チャンピオンシリーズが揃うという事態になってしまったのだ。こうなったら、揃えるしかないよね。

 さらに均一棚を掘っていくと、ハヤカワ文庫SFの「宇宙大作戦」のシリーズがズラリと出てきた。このシリーズを揃えるとなるとけっこうな冊数になってしまうので手を出すのはやめていたのだけれど、ただジェイムズ・ブリッシュが書いた巻だけは揃えようと思っていた。なんとその未入手の分もあるではありませんか。


『宇宙大作戦 暗闇の悪魔』ジェイムズ・ブリッシュ(ハヤカワ文庫SF/初版)67円
『宇宙大作戦 明日への帰還』ジェイムズ・ブリッシュ(ハヤカワ文庫SF/初版)67円
『宇宙大作戦 パイリスの魔術師』ジェイムズ・ブリッシュ(ハヤカワ文庫SF/初版)67円
 おおっ、これでエイムズ・ブリッシュの「宇宙大作戦」はコンプリートだぞ。

 というわけで、いっきに18冊の文庫を買ってしまったのだけれど、全部でたったの1200円だ。安い! 安すぎる!

2024年2月8日(木)

▼今日は朝散歩。49分29秒で4.35キロ。今日はけっこう膝が痛かった。

冲方丁『骨灰』角川書店を読了。


 大手デベロッパーのIR部(投資家向け広報部)危機管理チームに所属する松永光弘は、高層ビルの地下建設現場での事故を示唆するツイートの調査のために、地下深くへと降りていき、そこで異様な光景に遭遇する。異常な乾燥と、異様な臭気に包まれた地下深くに謎の祭祀場があり、そのすぐ傍らの図面に記されていない巨大な穴の底に、男が鎖で繋がれていたのだ。パニックに襲われながらもその男を解放した時から、光弘に不思議な現象が襲いかかる。異常な乾燥と、人骨を焼いたような臭いと、白い灰がつきまとうようになるのだ。それは光弘の家の中にも入り込み、家族をも巻きこんでいくこととなる。
 いやあ、これは怖い。異様な喉の渇きに襲われ、いつの間にか床や家具の上に白い灰がうっすらと積もり、そして異臭がつきまとうという、その冒頭だけでも十分に怖いのに、そこからどんどん主人公がおかしくなっていくのだ。理不尽な祟りが容赦なく一家に襲いかかっていくのだ。
 江戸・東京では250年間で大火災が100回以上起きている。そのため東京の土には、骨まで焼かれた何十万人、何百万人もの骸が混じっており、その怨念が数百年かけて積み重なっているのだという。東京という大都市は、その上にビルを建てて暮らしているのである。そりゃ、何もないという方がおかしい。そして、その地下深くの怨念を鎮めることを生業とする一族が昔からいて、高層ビルなどの地下深くに設置された祭祀場のメンテナンスをおこなっているのだが……。
 いやあ、最近読んだホラー小説の中ではいちばん怖かったかな。

▼台湾映画『怪怪怪怪物!』を観る。監督は『あの頃、君を追いかけた』『赤い糸 輪廻のひみつ』『ミス・シャンプー』のギデンズ・コー。


 いじめられっ子の高校生、リン・シューウェイ(トン・ユィカイ)。いつもクラスメイトからいじめられてばかりの彼だが、教師からいじめっ子の3人組と一緒の奉仕活動を命じられ、その活動先で2匹の怪物姉妹に遭遇する。逃げ回るうちに、そのうちの妹が車にはねられ、3人組はそれを捕獲して学校の廃棄されたプールに併設された教室に閉じ込める。そして、抵抗できない怪物の牙を抜いたり、血を抜いたりと、したい放題の虐待をくわえていく。
 一方、残された怪物の姉は、妹を連れ去ったのがシューウェイたちの高校の生徒ということを突き止め、妹を取り戻すために高校生たちを片端から血祭りにあげていく。3人組は捉えている怪物の血を使って姉をおびき寄せ、仲間の復讐を企てるのだが……。
 なんともユニークな怪物映画だ。なにしろ大半の場面では、怪物は人間を襲うのではなく、人間に虐待されるのだ。しかも、その描写のえげつないこと。小さな子どもが、つかまえた虫の羽をむしり取るように、3人組はただただ怪物を虐待して遊ぶのだ。この3人組、モラルなどという感覚はこれっぽっちも持ち合わせていないのである。この場面、なんとも生理的に嫌悪感を催させる。
 怪物の血を飲まされた担任教師が炎に包まれるシーンでも、驚くどころか大喜びしてスマホで撮影したりするような連中なのだ。どういう神経をしているのだ、こいつらは。
 それにしても、ギデンズ・コーの映画を観ていると、台湾の高校生ってとことんバカで下品で歯止めがないのだけれど、これって現実をデフォルメしているにしても、どこまでが現実なのだろう。まったく実態がなければ、ここまでバカな高校生を描いたりはしないと思うんだよなあ。
 ちなみに、スクールバスに乗っていて怪物に血祭りにあげられる高校生の中に、『赤い糸 輪廻のひみつ』『ミス・シャンプー』のクー・チェンドンとビビアン・ソンがいるらしい。ぜんぜん気がつかなかったのだけれど。
 あと、シューウェイたちの宗教狂いの担任を演じているチェン・ペイチー(陳珮騏)がなかなかの美人だったということは書いておこう。

2024年2月7日(水)

▼フィリピン映画『売られた女 セックスの代償』を観る。


 単なるエロ映画かと思って観ていると、唐突にスプラッター映画に変貌し、さらには驚愕の展開が待ち構えているというとんでもない映画でした。さすがは『Hellcome Home』のボビー・ボニファシオ・ジュニア監督作品だけのことはある。詳細なレビューはココ

2024年2月6日(火)

▼昨夜の雪は途中で雨にかわったせいでたいして積もらないで済んだ模様。家の前の道路も、しっかり雪かきしたおかげでぜんぜん問題なし。

▼今日は大昔に韓国で買い込んできた香港映画のデジタル化を進めているのだけれど、本来のタイトルがなかなか判明しなくて難儀している。『香港燕子』というチョウ・ユンファ主演作は、共演者の名前から『密会』であると判明したのだけれど、同じくチョウ・ユンファ主演の『金榜英雄』という作品が分からない。1980年の作品なのだけれど、日本語のサイトではどこで調べても1980年の作品は『ワイルド・ギャンブラー(師父巴)』しか見つからない。あれこれ調べると、原題は『江湖檔案』もしくは『金榜英雄』もしくは『係咁先』もしくは『MODERN HEROES』らしいのだけれど、そのいずれで調べても日本語のサイトはひっかかってこない。これは、いったいどういうことなのだろう? 日本未公開作品なのかもしれないけれど、それでも日本語のサイトのどこにもこれに該当する作品が見当たらないということはあるだろうか?


▼のん主演の日本映画『さかなのこ』を観る。


 さかなクンの自伝的エッセイを映画化したもので、『あまちゃん』ののん(能年玲奈)が、魚のことしか頭にない主人公ミー坊をめっちゃ好演している。実は、さかなクンが初めてテレビに登場してきたとき、たまたまそれを観ていた自分は「この子はちょっと足りない痛い子」という印象を持ってしまった。たぶん、そう思ったのは自分だけではないだろう。だけど、その後も彼は「好き」ということを貫き通し、いまでは大学で授業も持つほどになっている。自分の見る目のなさを反省するしかない。
 映画では、その「徹底して好き」「他のことは目に入らない」ということが、あっという間にまわりをまきこんで味方にしてしまう様子が実に自然に描かれている。その過程が、妙に盛り上げるように描かれているのではなく、すっと、さりげなく描かれているのが監督の感性の素晴らしさなのだろう。また、のんの天真爛漫な笑顔が、その展開に説得力を持たせている。
 就職してもなかなかうまくいかない様子も「そりゃ、そうだろうな」と思いつつ、「うまくいってほしいな」と、いつの間にか応援する気持ちになってしまう。
 ちなみに、最後の堤防を走るシーンで「このまま堤防の先端まで走って海に飛びこんだら、それこそ『あまちゃん』だよね」とか思ったら、本当に飛びこんでしまったのでついつい笑ってしまった。彼女の出る映画、ドラマをもっともっと観てみたいものだ。

2024年2月5日(月)

▼膝の治療で再生医療も選択肢に入れたいと思い、近くの総合病院で再生医療にも多くの実績を持っているところに電話を入れたところ、再生医療の予約は5月末にならないと入れられないと言われてしまう。再生医療専門の医師以外でも、予約がとれるのは4月とのこと。それだったらもう、いまかかっている病院で内視鏡手術を受けるのでいいかな。いわゆる半月板縫合・切除術というやつで、ごくごく一般的に行われている手術だし、症例も数多くあるので。たぶん、自分の場合はそこまで半月板の損傷がひどくないので縫合術になるのではと勝手に思っているのだけれど、縫合術は復帰まで時間がかかるのが難点。ただし、切除術は手術の翌日には膝に負荷をかけられるようになりスポーツ復帰までの時間は短いものの、変形性膝関節症を再発する可能性が高いらしい。

▼ネットで「変形性膝関節症の痛みを解消するストレッチと筋トレ」というのを見つけて少しやってみた。こんなの1回で効果が出るわけがないんだけれど、気持ち楽になった気がする。リハビリをやっておくと、手術の後の回復も早いらしいので、少し頑張ろう。

ヤフオクの落札者からいつまでたっても連絡がなく、「かんたん決済」という簡単に振り込めるヤフオクのシステムの利用期限がきれそうなのでその旨の連絡をしたのだけれど、まったく音沙汰なし。期限当日にもう一度せっついたら、送付先だけ知らせてきたけれど、結局支払いはなし。そうなると銀行振込しかないので、振込先を知らせたところ、今日になってようやく振り込まれた。だけど、その振込連絡で、教えてもらったのが支店名ではなく店番だったので手こずりましたと文句を言ってきた。店番で手こずるというのが理解できないのだけれど、そもそもこちらが指定した支払い期限を過ぎても振り込まない方が悪いのに。
 ちなみに、いつまでも振り込まなかった理由は「ヤフオクのことをすっかり忘れていました。」とのこと。こっちが期限前に連絡を入れているのに忘れていましたって!
 その落札者の評価を見たら「取引開始手続きがありませんでした。「非常に悪い」の評価をつけさせていただきます。 」というのが最新の評価でした。それ以前は良い評価しかついていない落札者だったのに。

夕方から雪が降り出して、あっという間に積もりだしたので、夜になって家の前の道の雪かきをする。寝る前にもう一度雪かきをしたのだけれど、その時には雨まじりの雪になっていたので、おそらくこれ以上積もることはないのだろう。

▼シェー・ミャオ主演の中国映画『ブレイド・オブ・ゴッド 天空の剣』を観る。


 100年に1度、天空に至る道が現れ、剣の道を極めた達人がその道を登りきることができれば不死の仙人になれるという。
 偶然にも伝説の剣〈焚心剣〉に選ばれた青年ジエン(シェー・ミャオ)は、〈焚心剣〉を手に入れて天空にあがろうという野望に燃えるフォンの一族に狙われる立場になり、フォンの一族と死闘を繰り広げてきたイエン(マイ・トン)と共に戦うことになる。だが、ジエンには本人も知らなかった出生の秘密が隠されていた。それが明らかになり、封印されていた能力が解放されたとき、ジエンはいっきに覚醒するのだった!
 というわけで、中国でやたらと作られている武侠ファンタジー映画の1本である。晶石と呼ばれる石が価値をもっていたり、異人と呼ばれる化け物が跋扈していたり、人間はみな“剣魂”というものを持っていて、武術のレベルが剣魂5段、剣魂4段というように段位で表されるなど、独特の世界を構築している。そのあたりは、原作にある設定なのだろう。
 前半は、剣魂を持たない俗人ながらも正義感の強いジエンと、彼を慕うシアオ(ワン・リナ)とのやりとりがけっこう楽しい。このワン・リナという女優さんがけっこう可愛かったのだけれど、いまはテレビドラマの仕事がメインで、映画は本作以降は出ていないみたい。
 中盤からは、〈焚心剣〉をめぐるバトルが繰り返されるわけだが、ジエンの師匠が実は伝説の剣士であったとか、いろいろ入り乱れて楽しませてくれる。フォンの一族から送り込まれてくるルーとかチーもなかなかキャラがたっていていい。
 しかし、クライマックスで、なんの伏線もなく、唐突にとんでもないラスボスが登場してきたのはビックリ。不死の仙人になれるという伝説の驚くべき真実がそこで明かされるのだけれど、唐突すぎるよなあ。そして、とてつもないレベルのラスボスなのに、ジエンに怒って村人たちを空から襲いまくるって、やることが小物すぎる。
 そして、このクライマックスのバトルが、とんでもないレベルの戦いになってしまうのだけれど、残念ながら演出力がその戦いのレベルに追いついていない。そもそも、最初からワイヤーワークとかがいまいちで、いささかバトルシーンには満足できていないきらいはあったのだけれどね。
 というわけで、けっこう楽しみながらも、もうひと頑張りほしかったという感じの映画ではありました。
 これで、おそらく日本でリリースされているシェー・ミャオ(謝苗)の出ている映画はすべて観てしまったことになるのかな。まだまだ主演作のあるシェー・ミャオなので、今後のリリースを楽しみにしていこう。

2024年2月4日(日)

日本未公開の香港映画のハングル字幕のVHSテープという、ハードルの高すぎるブツをヤフオクに出してみた。さすがに、こんなものを欲しがる物好きはいないだろうと思っていたら、なんと落札されてしまった。
 で、その物好きな落札者が知人だったというオチなんですけど(^^ゞ

▼膝が痛くて運動ができず、だんだんストレスが溜まってきて、これは古本屋にでも行くしかない。しかも、ブックオフなんかではなく、昔ながらの由緒正しい古本屋に行かなければ。
 そこで、車を出して東岩槻にあるコスモ書店に向かってみる。ヘタすると10年以上行っていない古本屋で、おそらくもう店を畳んでいるのではと思っていた。案の定、店舗はあるものの店は開いていない。これは、閉店してしまっているのだろうか?
 でも、いま調べたら日曜は定休日とのこと。まだ店をやっているのかどうかは分からないけれど、行く前にそれぐらいちゃんと調べておけよな。
 しかし、古本屋に行きたいという欲求はおさまらず、そこからいささか離れてはいるものの、越谷のプラハ書房に向かうことにする。ここも前回行った時には店が開いておらず、もしかしたらもう閉店してしまったのではと思っていたのだけれど、よかった、無事に開いておりました。
 店内は相変わらず本の山また山。至るところに本が積み上がり、人の侵入をこばみまくります。しかも、僕がいちばん好みとする古い翻訳小説の棚は、通路に積み上げられた本の山のせいで、まったく近づくことができません。遠目に眺めてみると、ソフトカバーのハヤカワノベルスが見えます。デュ・モーリアの『愛すればこそ』がおそらく上下揃いで並んでいるのが見えます。そういう棚なので、ここをチェックさせてもらえれば、絶対に自分好みの本があるはずなのに。でも、まったく近寄れないのです。
 結局買ったのは
『古書ミステリー倶楽部』ミステリー文学資料館編(光文社文庫)
『矛盾の壁を超えた男』西村寿行(徳間ノベルス西村寿行選集)
『呑舟の魚』西村寿行(徳間ノベルス西村寿行選集)
『鬼が哭く谷』西村寿行(徳間ノベルス西村寿行選集)
『天にひらく窓』富田常雄(東方社)

といったところ。どれも、どうしても欲しいというほどの本ではなかったのだけれど、とりあえずこれで多少なりともストレスの解消になったのでした。
 ちなみに、「翻訳小説の棚にはまったく近寄ることもできませんね」と店主に話しかけると「すみませんねえ」と答えるのだけれど、これはもう完全に本人も諦めているという雰囲気。ぜひとも、近くに倉庫を借りて、通路を埋め尽くしている本をなんとかしてもらいたいところではあるのだけれど。

▼帰宅したところで郵便局までヤフオクの落札ブツを投函しに行き、そのままブラブラといつもの散歩のコースをまわる。
 53分で4.74キロ。ちょっと膝が痛い。

2024年2月3日(土)

▼今日は休日なので、朝ゆっくりしてから散歩に出る。47分32秒かけて4.36キロ。
 途中、ちょっと具合がよさそうなので10メートルほど軽くジョギングをしてみる。その時は大丈夫だったのだけれど、しばらくしたら膝に痛みが出だしたので、ぜんぜん大丈夫じゃなかった。

▼書庫に潜り込んで、身動きならない狭い場所でダンボールを動かして、処分してもいい本をガンガン引っ張り出す。そういった本をヤフオクに出品し、それで売れなかったらメルカリに出品し、それでも売れなかったら古本屋に二束三文で売り飛ばすのだ。そうやって、少しずつ少しずつ本を減らすようにしている。こんなペースではなかなか本は減らないけれど、それでも着実に本は減り続ける。たまに処分した本のリストを見ると、こんなレアな、二度と手に入れることのかなわないような本を処分してきたのかと、ほんのちょっとだけ後悔もしてしまうのだけれど、そろそろ人生の後片付けをしなければいけない時期なのだと思っている。

▼午後にも散歩に出てみる。49分かけて4.4キロ。午前中に軽く走ってみて懲りたので、午後はさすがにいっさい走らずに歩くだけ。

宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』新潮社を読了。


「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」
 中学2年生の夏休み、閉店することになった地元のデパート「西武大津店」に毎日通い、地元のテレビ局が閉店までカウントダウン中継をおこなう放送に、毎日映ると宣言した幼なじみの成瀬。それに、つきあったりつきあわなかったりするわたしのひと夏を描いた「ありがとう西武大津店」。
「島崎、わたしはお笑いの頂点を目指そうと思う」
 唐突にそう言いだした成瀬とお笑いコンビを結成して、「M-1グランプリ」を目指すことになったふたりを描く「膳所から来ました」。
 この2本で、基本フォーマットができて、成瀬の宣言にわたし(島崎)がまきこまれるパターンの短編集かと思いきや、次の「階段は走らない」は、「西武大津店」の閉店を背景に、小学校卒業30年になるマサルたちが再会するという、まったく方向性の違う物語となる。成瀬と島崎は、その背景にちらりと登場してくるだけだ。
 そして「線がつながる」では、成瀬と島崎は別々の高校に進み、その成瀬と同じクラスになったわたし(大貫)から見た成瀬の姿が描かれる。
 「レッツゴーミシガン」は、高校かるたの全国大会に出場した成瀬が、広島県代表として出場していた俺(西浦)の気になる存在となってしまい、琵琶湖観光のクルーズ船に一緒に乗るという、これまた予想外の展開となる物語。
 そして最後が、父親の転勤で島崎が滋賀を離れてしまうということに動揺する成瀬を描く「ときめき江州音頭」。ここでふたたび「階段は走らない」のマサルたちが再登場して成瀬たちと接点を持つことになる。
 とにかく、成瀬という女の子のキャラが突出している。まわりの目など気にせずに、自分の思いのみで一直線に行動するキャラなのだ。そうした成瀬の行動、態度は同年代の女性から反感を買ったりもするのだけれど、とにかく我が道を行く成瀬はそんなことは気にしない。友人の島崎は、そんな成瀬のやることを見届けようと決めているのだけれど、見届けるだけではなくがっつり巻き込まれたりもする。最終話で成瀬は、初めてそんな自分の行動が島崎に迷惑をかけているのではないかということに気がつくのだけれど、それに対する島崎の対応がまたいい。まさに青春一直線の物語で、そのピュアさにおじさん読者はついホロリとさせられてしまうのだった。
 そして『成瀬は天下を取りにいく』というタイトルもいい。別に、成瀬が天下を取りにいくというほどの大きな物語はどこにもない。だけど、成瀬の行動はまさにそういうイメージなのだ。成瀬というキャラクターをみごとに言いあらわしたいいタイトルだ。
 『成瀬は信じた道をいく』という続篇も出ているので、こちらも読まなければ。

▼インド映画の専門家にしてアジア映画の研究家でもある松岡環さんからメールがあり、先日パンフレットを入手した『ゲリラ隊未だ降伏せず』のエディ・インファンテ監督について、松岡環さんの著書『アジア・映画の都』の中で言及しているとのこと。さっそくその本を引っ張り出してきて該当箇所を読む。すっかり忘れていたのだけれど、松岡さん、この監督について調べるためにフィリピンにまで行っていたのでした。あまりの面白さに、フィリピン訪問の章を最初からまた読み返してしまう。さらにあっちのページ、こっちのページと拾い読みして、やっぱりこの本は名著であるなという思いを新たにする。なにしろ類書がない。香港映画に関する本、インド映画に関する本はあっても、そうした国々を横断して語るというほどの知見を持った人がそうそういるはずもないからなあ。
 Amazonで確認したらまだ在庫があるようなので、気になる人はぜひご一読を。



2024年2月2日(金)

▼今朝は寝過ごしてしまって朝散歩はできなかった。うむ、予想通り三日坊主となってしまったか。

かんべむさし『水素製造法』徳間文庫を読了。


 SNSで何人もの本読みがこれを読んで爆笑したというので、苦労して手に入れて読んでみたのだけれど、自分にはぜんぜん刺さらなかった。爆笑どころか、クスリともしなかった。こういうのは、相性だから仕方がないのだけれど、人が楽しんでいるものを自分が楽しめないというのは、なんとも悔しい。すごく損をした気がしてしまう。
 似たような作風で爆笑させられた作品はというと、清水義範の『国語入試問題必勝法』などがあって、あれには爆笑させられた。が、ふと冷静になってみて、いま読んでも爆笑できるかとなると、いまいち自信がない。もしかすると若い感性で読んだからこそ爆笑できたのかもしれない。となると、『水素製造法』だって、若い頃に読んだのなら爆笑だったのかもしれない。いや、きっとそうに違いあるまい。
 そういえば、横田順彌の『謎の宇宙人UFO』も、雑誌掲載時に読んで爆笑したのだけれど、最近読み返したらぜんぜんノレなくてガッカリしたのだった。やはり、その年齢にあった読書というものもあるのだろう。
 ちなみに、本書に収録されている作品のうち「甘い宴会」という作品は雑誌掲載時に読んでおり、めちゃくちゃ楽しんだ記憶があり、これはいま読んでも面白かった。ま、爆笑はしなかったけれど。

▼ローレンス・ファハルド監督のフィリピン映画『濡れた人魚妻』を観る。なんちゅう邦題だ(^^ゞ


 ポール・ソリアノ監督の『漁師』と似た構造を持つ作品で、人魚伝説がベースとなっている。『漁師』を、エロティック映画を専門とするビバフィルムで製作するとこうなるのか!といった感じの作品だが、ヒロインを待ち受ける運命が悲運すぎて、いささか気分が悪くなる。
 詳しいレビューはコチラ

2024年2月1日(木)

▼今日も朝散歩。とりあえず三日坊主にはなった。49分かけて4.49キロを歩く。
 試しにほんのちょっとだけ駆け足をしてみたが、ほんの5メートル程度で危険を感じてやめてしまった。

フィリピン映画のパンフレットの書影を並べたページを作ってみる(ココ)。きっと、まだ埋もれているパンフレットがあると思うのだけれど、それは出てきたときにおいおい追加していこう。
 気になるのは、『ホセ・リサール』のパンフレットを持っていただろうか、ということ。岩波ホールで上映されているのだけれど、映画祭で観ているので岩波ホールでは観ていないんだよね。でも、岩波ホールまでパンフレットを買いにいったような気もするし。
 あと、『牢獄処刑人』とかはパンフレットはなかっただろうか? 劇場公開された時にシネマート六本木で観ているので、パンフレットがあれば買っていると思うのだけれど。

▼ジャッキー・チェン主演の中国映画『ポリス・ストーリー/レジェンド』を観る。


 設定が実に凝っていて、脚本がよくできている。演出も文句なし。だけど、ジャッキー・チェンでこういう映画が観たいわけじゃなかったんだよなあ。そもそも、オープニングのクレジットが簡体字というところで、「もうかつてのジャッキー・チェンじゃないんだな」と、なにかしら寂しい思いにとらわれてしまう。こっちの勝手な思い込みなんだけど、やっぱりオープニングにはゴールデンハーベストのマークが出て欲しいと思ってしまうのだ。そういう風に刷り込まれてしまっているので、こればかりはもうどうしようもない。
 とはいえ、映画はよくできている。かつての工場を改造したバーの中に、そのバーのオーナーが人質をとって立てこもる。人質の中には、ベテラン刑事のジョンと彼のひとり娘のミャオもいた。はたして、そのオーナーがそこに立てこもる理由はいったい何なのか? 物語の展開とともにその理由が明らかになっていくのだけれど、そこからさらに5年前にあった事件の真相が徐々に明らかになっていくという展開がなかなかスリリングだ。
 そして、剽軽なキャラ、軽快なアクションを封印したジャッキーの熱演も実に見せる。これに文句を言ってはいけない……と頭じゃ分かってるんだけどなあ。
 警察隊の隊長役で出てくるユー・ロングァンが、実にもって相変わらずのユー・ロングァンなのが実に嬉しい。あとは、中国の俳優ばかりなのでよく分からないのだけれど、ジャッキーの娘役を演じている景甜(ジン・ティエン)という女優は、ドニー・イェン主演の『スペシャルID 特殊身分』、ハリウッド映画の『キングコング:髑髏島の巨神』『パシフィック・リム:アップライジング』に出ているとのこと。