ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「カルメン」@代沢芸術祭(下北沢)

240428

Facebookでたまたま浪川佳代さんの記事を見かけて、今朝の合唱練習のあとに、急遽、我が団の合唱マスターと行くことになりました。

私は初めて行く会場なので、一度行ったことがあるというマスターの言うがままについていきました。この代沢小学校、駅から徒歩12分ほどのところにありますが、駅周辺の混雑ぶりに辟易しました。中高時代、この界隈には結構来ていたのですが、駅構内も含め周辺の変貌ぶりにたまげました。

今日は東京も28度という、夏が思いやられる暑さ、息を切らして着いた先はまあ、何と立派な小学校でしょうか。さっそく体育館へ急ぎました。多少早めに着いたものですから、いい席を確保。前は来賓席だけですから。

その後、目の前の席に世田谷区長の保坂展人氏が。国会議員もやった区長だけに、短めで気の利いた挨拶をされました。

指揮者の岸本祐有乃さん。ゆりの、と読みます。(難しい!)この方、幼い頃から音楽に親しんでましたが、東大に進学、一時は免疫学の研究をされてましたが、音楽への夢、捨てがたく芸大に入り直して指揮者に、というマルチタレントです。確か、かなり前からこの楽団の指揮もされていて、何度かラ・フォル・ジュルネでお聞きしたことが。

演奏が終わり、マエストロ(女性でもマエストラとはせず愚亭は敢えて男性名詞を)、ソリストさんたち、演出と合唱指導の浪川さんたちが舞台前面に出てご挨拶です。

花束贈呈役の小学生たちに、一人一人感想を聞いています。受け答えがとても可愛らしく、場内が和みます。

区長さんも花束、もらいました。後にはカルメン役の堀 万里絵さん、右側はエスカミリオ役の寺田功治さんも嬉しそうです。

お客さんが帰り始めてから、撮影タイムです。目線は高いところにいるカメラマンに。みなさん、とても満足げな表情です。

最後はちょっと弾けて

中段、右端は合唱指導のバリトン古澤利人さん、その隣は浪川佳代さん。カルメンの隣はドン・ホセ役のテノール志田雄啓さん。

丸の内交響楽団と合唱団については、チラシ裏面にありますが、いやはや大したもんです。今回は全編日本語でしたけど、ソリストさんたちは多分原語のフランス語で暗譜されてるから、日本語歌詞を新たに暗譜するのは相当大変だったはず。

逆に合唱団はフランス語でなく、助かった!という感じではないでしょうか、分かりませんが。それにしても、それほどの大人数でもないのに、よく声が出て、しかもお上手でした。特に男声陣はたったの5人で、存在感たっぷりでした。全員お若いし、上背があって、見栄えもばっちりでした。Bravi!!!

今回、あれ!と思ったのはミカエラを除外していたことです。抜粋版なので、いろいろ試行錯誤の末の決断でしょう。やはり合唱の絡みに重点を置いて選択すると、こういうことにならざるを得ないと思いました。ともあれ、お疲れ様でした。

マラ3を聴きにグリーンホール(調布)へ

240427

我が団の合唱マスターが出演するというので、調布へ出向きました。実はマーラーの3番てあまり馴染みがなかったのですが、100分という長さに驚きました。これだけ長尺のシンフォニーは稀だと思います。

第1部が35分。20分の休憩をはさんで65分の第2部へと。1部は冒頭から管楽器、特にホルン団が吠えまくります。木管も負けてはいません。もちろんパーカッションも食い下がり、まことにけたたましい楽章です。愚亭はこういうの、嫌いではありません。

2部は一転、メゾソプラノと女声合唱が加わりますから、一気にしっとりした感触になります。さらにトランペットのソロがながながと入ります。わざわざこのために、フィンランドからトランペッターを呼んだようです。うーん、ここは日本人トランペッターでも問題なかったと思いますが、マエストロには特別な思い入れがフィンランド人トランペッターにはあったようです。なんか後で聞いたところによる、マウスピースを本番で替えたとかで、そのせいかどうか、何度か音がうまく出てなかったところがあったのは残念でした。

ところで、このマエストロですが、愚亭はまったく存じ上げない方でした。しかし、この演奏会のタイトルが奇妙なことに佐伯正則生誕50年記念となっていて驚きました。作曲家の生誕何年と銘打つことは普通ですが、マエストロ、しかも現役なのに、これは何なんでしょうかね。横文字の方にもMasa 50th Anniversaryとあります!!!

そして、オケがまたすごかった!というのは、今日乗った方々、それぞれ違う、それも50ものオケ所属であるということ!あわせは3回とか。そりゃそうでしょうねぇ、それにしてもよくぞ集まったものと驚嘆します。それもこのマエストロの人柄なんでしょうかね。

終演後、マラ3の一部をアンコールとしてとりあげ、つづけてハッピーバースデーのメロディに変わり、合唱がそれに加わるという、なかなか感動的な幕切れではありましたね。

 

「LIVING」@AmazonPrime

240426 1年前に公開された作品がもう配信で見られます。ご存知、KUROSAWAの名作「生きる」がモデルです。それをKazuo Ishiguroが同時代、つまり1953年のロンドンに移し替えました。

こんな手品のような技があるんです。そこには違和感、ほぼありません。「生きる」を見ていない英国人が本作を見て、どんな感じがするのか大変興味があります。

やはり世界の黒澤 明、傑作の「羅生門」、「七人の侍」、そしてこの「生きる」、いずれも外国でリメイクされています。他にも「用心棒」なども「荒野の用心棒」としてリメイクされていますから、いかに彼の作り上げた世界が世界共通の理念や興味のもとに作られてかという証左でしょうか。

サムライものと違って、現代劇で超真面目な内容で、娯楽要素はない作品だけに、Kazuo Ishiguroも苦労したのではないでしょうか。余命9ヶ月と宣告された胃がんの主人公、役所ではMr.ゾンビとあだ名されるほどで、存在感ゼロみたいなタイプです。余命宣告されたことで、人生を見直し、今まで気づかなかったことに初めて気がつきます。

主婦たちがなんども陳情に来ていた子供用の小さな公園作りに奔走、ついに完成させます。雪降るその公園で、ある晩、ブランコに揺られながら、母親がよく歌っていた古いスコットランド民謡をぼそぼそ歌いながら・・・。

主演のビル・ナイがさすがの演技です。オリジナルの志村喬も素晴らしかったのですが、ビル・ナイも負けていませんね。彼なしではこの作品はうまれなかったかも知れません。

「ヴェラ〜信念の女警部〜」@AmazonPrime

240424 Vera 英 2012 TV ドラマシリーズ

相も変わらず、またまた英国製の刑事モノを見ましたが、全部で55話もあるのに、シーズン1の第2話で挫折しました。面白かったのですが、展開が込み入っていて、登場人物の相関関係がなかなか頭に入らず、こりゃ愚亭には無理って判断した次第。もうちょっと分かりやすい脚本でないと、なんども戻って見直すようでは、早めにやめた方がいいということです。この辺、やはり高齢化が原因かも知れません。

女警部を主人公にしたテレビ・ドラマ、以前にも見ていて、特に違和感はないのです。このヴェラという主人公も、ごらんのようなぽっちゃり型の可愛らしい警部さんで、そこが「売り」なんですね。とりわけチャーミングな笑顔を向けられると、ついつい余計なことまでしゃべっちゃうという、この手で次々に事件を解決するという寸法です。

補佐に回る若手の刑事がイケメンで、これで女性のファンをつかもうって算段だと思います。おばさん警部ですから、そんなに残忍な殺人事件は扱いません。ですから、どちらかと言えば女性向きの刑事ものと言えるでしょうか。いずれ気が向いたら、続編から見始めることになるでしょう。とりあえず、一旦やめておきます。

舞台は英国の中でも荒涼とした雰囲気がただようノーサンバーランド州という、ヨークよりさらに北、スコットランド寄りの州なんで、北海に面した海岸はかなり風も強く冬は相当厳しそうです。そういう土地柄で起きる事件ですから、いかにも寒々しく、なにやら北欧のドラマを見ているようです。英語もこのあたりだとかなり訛りがきつく、スコットランド訛りに近いです。

5/25「デイダミーア」プレイベント@めぐろパーシモンホール(小)

240423

本公演(5/25)に備えての”予告編”が開催されました。千円ポッキリなんで「都立大学」まで行ってきました。日本ではほとんど上演機会のないオペラなので、やはり二期会としても、こうした活動には力を入れざるを得ない様子です。

ヘンデル、最晩年のオペラで、1741年製。そして翌年、「メサイア」が作曲されたというわけです。もちろん、その時は母国ドイツではなく、移住先(最終的には帰化した)の英国でしたので、英語による作品となりました。

トークショーは演出家の中村 蓉さん(まだ30代!)と一緒に、Mo.鈴木秀美が解説していきました。オペラの歴史から説きおこして、なかなか興味深いお話が聞けました。世界最古のオペラとされているのはギリシャ人、ヤコポ・ペーリの「ダフネ」ということで、これが1597年!ただ、楽譜が喪失していて、公式には同じ作曲家による「エウリディーチェ」(1600)だそうです。そのあとは、モンテヴェルディが活躍した時代になります。

中村 蓉さんは演出家の立場から苦労話や、もちろん筋立てについても語っていました。薄いベージュのパンツに白Tシャツ、上にデニムシャツを羽織って、さすがちょっとした動きも軽快で、いくつかの場面もフリ入りで解説してくれました。

その後、アキッレ役、デイダミーア役、2組4人のソプラノが登場、上記4曲を順に一人づつご披露。まだ本番までひと月以上あるので、仕上がっているところまでは行っていませんが、若い美声をたっぷりと会場いっぱいにふりまいてくれました。

ついでに、Mo.鈴木は本職はチェリストですが、近年、こうして指揮にも意欲を見せており、この一族(兄はBCJ鈴木雅明、その息子の鈴木 優、夫人でソプラノ歌手鈴木美登里)の活躍は目を見張るものがあります。

向かって左からチェンバロの上尾直毅、ソプラノは順に
清水理沙、七澤結、(Mo.鈴木)、(中村 蓉)、渡辺智美、栗本 萌