ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

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「セゴビア編ソル20のエチュード」のバージョン

正しい版を選ぶのって難しいものですね。

クラシックギター界のど定番エチュード「セゴビア編ソル20のエチュード」がありますが、生徒さんから質問が来たので、この版の選び方について書いておきます。

はっきりいうと現在、正しい版は現在は日本では入手困難。英語版であれば入手可能なので、それを買うしかなさそうです。(セゴビア編ソルエチュードは楽譜にある運指や表現記号に意味があるので英語版でも全く問題ありません!)




↑他にも英語版で入手できるバージョンはあります。

さて、セゴビア編のソルの20のエチュードやるぞー!となった時に、間違って買ってしまうのがこれ。




これは「セゴビア選」であって、セゴビアが選んだエチュードはこれだよ!というだけで、運指などは原典のままなのです。セゴビアがつけた運指も表情記号やアーティキュレーションも施されていません(巻末の藤井敬吾先生が書いている「セゴビア編と原典などの比較」は資料として素晴らしいです)。

このバージョンではセゴビアの運指や表現などを学ぶことはできません。

つい10年前までは「セゴビア編20のエチュード」は日本国内の出版社で買うことができました。とはいえ2014年に出されたオクト出版でのものが現時点でラストなのではないでしょうか?この版もすでにどの楽譜屋さんでも売れ切れていると思います。

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僕が大学生の時にはこの版でひたすら練習しましたね。(東亜音楽社、発売元は音楽之友社)

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オクト出版が2014年に出してから、もう10年近くたっています。国内では「セゴビア編20のエチュード」は入手しにくくなっており、結構教育現場では困ったなあーということになっています(勝手にコピーして生徒さんに渡しちゃう先生も出てきちゃっている)。

「先生、ソル20のエチュードのセゴビア編買ってきましたー!」という生徒さんのほとんどが上記の現代ギター社の「セゴビア選」を買ってきてしまうのです。

というわけで英語版で購入するしかなさそうです。

間違って現代ギターの「セゴビア選」を買ってしまっても、先ほど言ったように巻末の解説はとても勉強になります。

セゴビアが参照したとされる「コスト編ソル教本」とそこから抜粋されたと言われているセゴビア編の違いから「セゴビアの音楽的なセンス」を徹底して解説しています。また原典とコスト編、セゴビア編の相違点などガッチリと説明していますので、ソルのエチュードを研究したい方は必携の資料です。

コスト編ソル教本↓
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これがセゴビア編ソル20のエチュードの初版!(1945年発行)

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というわけで、簡単に「セゴビア編ソル20のエチュード」についてまとめてみました。しょうがないので現時点では海外で出版されているものを買うしかなさそうですね。









何でもかんでも時間がかかる

今朝は日曜ワークショップを行ってきました。



右手のタッチについて。基本の基本からじっくりと。似たような内容でもこちらの考え方の微妙な変化で伝え方が変わったりするもんで、このあたりは毎回しぶとく出席してくれる人にしか分からないかもしれませんね。

演奏技術っていうのは、こまかーく分解していくと巨匠の技がわかってくるものです。

今日も教えていて、pp(ピアニッシモ)でも遠達性のある音が出せる感覚がわかりました。もちろんワークショップに出席した方にはその理由を説明しました。自分でやっていることをワークショップの現場で言語化した際に再確認できます。

毎回、こういうワークショップで技術のことやレッスンにおいても基礎技術を教える際に思うのは、「頭でわかっただけではダメ」ということ。頭でわかるのではなく、自分の身体でその動きができるようにならないとダメってことですね。

これは時間がかかる作業なんです。

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今日も教えていて、ある動作ができるようになるまでじっくりと時間をかけて、その動作ができたら次のアクションを考えるということを言いました。基礎的な指の動きをマスターすることは簡単ではありません。
多分、僕はこの手の基礎技術を説明するのは慣れているほうですが、だからこそ受講した方は「頭で」わかったつもりになっちゃう危険性がある。なので、こういう講座をやるときは「とにかく、その動きができるようになるまでじっくりと時間をかけてくださいね!」と念押しすることにしています。

「ホセ・ルイス・ゴンサレス ギターテクニックノート」の講座も現代ギター連載とそれと連動しているYouTube動画、そしてスペインギターフェスタアカデミー(オンライン講座)の三つで行っていますが、そんなことを常に感じています。同じ練習でも初心者と上級者では見え方が違うのです。このテクニックノート講座ではそういう観点からヒントをひたすら出すようにしています。でも、それができるかどうかは、時間をかけてじっくりとやっていくしかありません。

そして、基礎技術をじっくりとやっていき、それを実際の楽曲でひたすら応用していくしかありません。例えばカルカッシの25のエチュードの「リョベート運指」。やたらにaが登場しており、めんどくせーってなるやつですね 苦笑。
でも、テクニックノートのアルペジオの運指をしっかりと見ていくと、合点がいくものなのです。

テクニックノートにはタレガからリョベート、プジョールへと継承され、その後アンドレス・セゴビアやセゴビアやレヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサなどによって確立された伝統奏法のエッセンスが含まれています。

そのエッセンスを丁寧に見ていくと、「あ!だからリョベートの運指ってこうなのか!」と意味がわかってくるのです。それが実感できるのがカルカッシ25のエチュードです。そしてこのエチュードはリョベート編でやらないと全く無意味であることがわかります。このエチュードはリョベートの運指で行うと音楽表現的な意味が出てきます。音のグルーピングに意味があるわけです。

実はこの辺りに気づいたのは、僕自身も35歳くらいの時。ああ、勉強って時間がかかりますね!

興味ある方は是非、動画ご覧ください。



あと、最近気づいたこと。よく入門してきた生徒さんが「クラシックギターってどのくらいで弾けるようにありますか?」という質問をしてくることがあります。

僕がレッスンでよく使う教本は以下二つです。
「新ギター教本」(ギタルラ社)
「カルリ45のエチュード」(全音)

この二つのいずれかが終われば、クラシックギターは「弾けるようになった」と言えるのかなーと。この楽器の全体像もなんとなく掴めた段階なので、そう言っていいレベルなのかなと考えています。

で、たとえば「新ギター教本」ですが、練習なになにという感じで、番号が振られています。ざっくりと60程度の練習が含まれているのです。音階やアルペジオ、エチュードなど、あれこれあります。

当教室は年間36回のレッスンでやっています(月3回)。一つの練習を毎週こなして行ったとしても、2年弱かかります。

カルリ45のエチュードも45曲ありますから、同様に一曲ずつやっていっても、45週かかります。一週で仕上がらない曲もあるでしょうから、順調にいって2年かかる。

いずれの教本もスムーズに行ったらこのくらいかかるという目安です。

なので、「3年」。石の上にも三年!

何でも時間がかかるなー。









音楽の文法とギターの技術

先日3/3 GG学院でのセミナー「ギターワークアウト〜テクニックの極意」の一回目が終了しました。

たくさん集まってくれました。そして、真面目に皆さん取り組んでくれました。

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テキストはヤマハから出ている拙著「クラシックギターワークアウトブック」です。
【1日】に【3つ】のフレーズを【5分】ずつ弾くクラシックギターワークアウトブック
富川 勝智
ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
2022-01-26



簡単な指の動きを丁寧に。バットの素振りとかボクシングのジャブの練習と一緒。
ギターって実は簡単に音出ます。引っ叩いても、ぶん殴っても。でも、それを続けていると効率が悪い。狙い所が悪いと怪我しますしね!

ということで、シンプルな動作を徹底的にワークアウトしていく内容です。

今回は実際に「なぜこの動作が実際の演奏で必要なのか?」ということを具体例とともに見せました。

良い演奏と悪い演奏的な感じで。結果として正確なタイミングで発音できないので、音楽がもたつきます。そういう例をたくさん見せました。だから基本動作って大切だよねーと。そういう感じでセミナーを進めて行きました。

自分が思うタイミングで発音できること=音楽表現がうまくできるということ。こう考えてみると、そうだ!久々に読み返してみるかーと思った本があります。

Thurmond「Note Grouping」です。かれこれ15年くらい前くらいかな?…買いました。そして、徹底的に読み込みました。英語だったので大変でしたが、音楽の「アルシスーテーシス」理論をしっかりと学ぶことができました。この本で学んだことはその後に「音楽表現について教えること」の基本の一つとなっています。旋律が持っているリズムについてこれほどまで丁寧に細かく理論づけている本は他にないかもしれません。


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まあ、やっぱりこの本を読むと「適切なタイミングで発音する」ということって単純だけど大切なことなのだなあーと思うわけです。だから基礎技術って音楽表現をするためのツールなんですよね。


さてさて、久々にノートグルーピングの本を再読してあれこれ発見があったのですが、Amazonを彷徨っていたらなんと邦訳本がコロナ禍のちょい前に出ていたのですね。ああ…。

豊かな音楽表現のためのノート・グルーピング入門
ジェームズ・モーガン・サーモンド
アルテスパブリッシング
2018-05-21



英語で必死に読んだ本が邦訳が出た時のガッカリ具合と言ったら…とはいえ、こういう名著が邦訳で読めるっていうのは良いことだなあ。皆さんがっちり読んでみてください。最低限、この本に書いてあることが理解できないと多分西洋音楽のオーソドックスな表現はできないと思うので。

さて、ワークアウト講座はまだ残り5回あります。音楽表現のために必要な技術をテーマを分けて行なって行きます。

詳細な日程はこちらを参照。




たぶん…きちんとしたバットの素振りができないと実戦でも限界が来ますし、きちんとジャブが打てないと、ひと試合体力持たないかもしれません。学びに来てください。

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