2024/03/27

春の雨

 火曜、昼二時すぎ起床。午後三時すぎ歯医者(三ヶ月に一度の検診。先週だったのだが、忘れてしまった)。
 夜七時ごろ、日課の散歩(晴れ一万歩、雨五千歩)。雨は弱くなっていたが、風が強い。南口のアーケード街から桃園川緑道を通り、阿佐ヶ谷まで。ガード下のOna casita(おなかすいた)でビビンバ(半額)、高円寺と阿佐ヶ谷の間のビッグ・エーで調味料を買う。雨の日の遊歩道は人が少なくて快適である。早歩きになる。帰りはガード下を通る。

 新しいパソコン(中古)で初仕事(書評)。書きながら各種機能をカスタマイズする。記号の出し方がまだ慣れない。

 先週土曜日、西部古書会館は河盛好蔵著『老いての物語』(學藝書林、一九九〇年)など。河盛好蔵は一九〇二年大阪生まれ。二〇〇〇年三月二十七日、九十七歳で亡くなった。井伏鱒二よりも長生きした。

《私は寝ころんで本を読むのが好きです。(中略)寝て読むのは、ただ漫然と読む時にそうするので、その方が頭によく入ります。どうも私の頭は横にした方がよくはたらくのではないかと思いますね》(「気に入った本を読むために」/同書)

 わたしも寝転んで本を読む派である。横になったほうが頭が働くかどうかはわからない。読んで得た知識なり技術なりを自分の体質気質に合わせて調整する作業は時間がかかる。頭の中だけでわかっていたつもりのことが、間違えたり失敗したりを繰り返しているうちに「あの本に書いてあったことはそういうことだったのか」と……。

 読んでも忘れてしまうことが多いのだけど、乱読のかけらみたいなものは頭のどこかに残っていて、ふとした瞬間、思い出す。今日はとくに思い出したことはなかった。

2024/03/23

移行中

 十年前に購入したノートパソコンを使い続けていたのだが、さすがにいろいろ不具合が生じてきたので、今週から新しい(中古)パソコンに移行中。メールの設定し、テキストエディタも新しいバージョンに変えた。言葉の変換がおもいどおりにならない。「L」で「ら行」が出なくなった。もどかしい。ユーザー辞書がまっさらな状態なので書くスピードが落ちる。
 キーボード馴らしをかねて高円寺の近況を書くことにする。
 集合住宅のポストに「高円寺マシタ」(中央線のガード下の飲食店街)の開業一周年のチラシが入っていた。もう一年になるのか。
 昨年の今ごろ、岡崎武志さんのユーチューブで高円寺を散歩した。ガード下は工事中だった。撮影のさい、都丸書店(支店)があった店舗の前で二人で話していたら「勝手に撮るな」と工事の人に怒られた。そんなこともあった。
 それからマクドナルド高円寺(駅前)店が三月二十七日に再オープンする。昨年の三月三十一日に閉店した。

 夜、飲み屋に行くさい、マクトナルドの前をよく通る。たまに飲み屋で知り合った若者が歌っているときがある。わたしが高円寺に引っ越してきたのは一九八九年の秋——そのころからマクドナルドはあった。
 高円寺に移り住んで以来、行きつけの喫茶店が次々と閉店した。グッディグッディ、ちびくろサンボ、ボニー、琥珀……。古本屋も減った。琥珀、居心地よかった。

 食事はほぼ自炊なのだが、飲食店では北中通りの味二番、かきちゃん、いつまで営業していたのか。中通りの萬里(北口の別の場所から移転)も好きだった。閉店のとき、皿を何枚かもらった。日々、忘れながら生きている。時々、思い出す。

 この町で暮らす。そのために生きる。それでいい。二十代後半、仕事があったりなかったりして、かつかつの日々を送っていたころ、そうおもうことにした。それから四半世紀過ぎた。

 月日が経つのは早い。五十の坂を越え、急いでもしょうがないという気持が強くなった。日常をのんびり楽しみたい。それでいい。

2024/03/15

釣り人の移住計画

 三月三十日(土)から県立神奈川近代文学館で「帰って来た橋本治展」開催。六月二日(日)まで。亡くなったのが二〇一九年一月二十九日だから、もう五年になる。——文学展が開催されることを知らず、『フライの雑誌』の最新号(130)で「川は娯楽である 橋本治の時評から」というエッセイを書いた。二〇〇四年十月に起きた新潟中越地震と川の話である。

 同号の特集は「釣り人の移住計画」——全頁すごい。読みどころばかり。届いてから毎日読んでいる。移住する。当初考えていなかったことが次々と起こる。それでも決断し、新しい生活をはじめる。移住という選択の中には「釣り」が入っている。文中の小見出しに「人間いつ死ぬか分からない」なんて言葉も出てくる。

「東京から香川へ移住した2名の怪人対談」(大田政宏さん、田中祐介さん)で、田中さんが「自分は、仕事ばっかりしている皆が、何が楽しくて生きてるのか分からないです。釣りのために仕事するんじゃないですか」という言葉が印象に残った。
 趣味のために仕事する——それでいいのだ。わたしもそうおもっている。しかし仕事より趣味を優先しすぎると生活が苦しくなりやすい。そのバランスをどうとるか。そんなことばかり考えている(考える時間があるなら、遊ぶか働くかしたほうがいいのだが、どういうわけかそれができない)。

「東京から香川へ」の対談では移住してからの仕事のことも語り合っている。

《田中 地方の中小零細企業はほとんどがワンマンのオーナー会社です。移住者が勤めるのはなかなかつらいと思います。
 大田 手に特別な職があるならいいけど、未経験者が地方でカフェやそば店をやるのは無理だと思います。まず最初に就職先を決めておく、ある程度規模の大きい会社を目指す。仕事が順調でないと釣りも楽しくないから》

 わたしも地方に移住した知り合いが何人かいる。いずれも動きながら考える、あるいは動いてから考えるタイプだ。
 一時期、わたしも移住というか、二拠点生活を考えていた。決断できぬまま月日が流れ、気持がしぼんで今に至る。