これまでいただいた反響に感謝

日本語版は3刷となって時間が経過しているが、未だにアマゾンでも購入が続いているようだ。

また、思いがけず、韓国の出版社からも発刊いただいた。

本を出版してからこれまでに23回もいろんな形で講演させていただく機会を得た。

私自身、いろんな方々との交流の機会が得られ、深く感謝している。

皮肉なことだが、あらためて印刷媒体の力の大きさを実感。

2刷印刷中

「ウェブを変える10の破壊的トレンド」が、アマゾンを始めいくつかの書店で在庫切れになっており、入手難になりつつある。陳謝。

現在、2刷を印刷中。今週末に出荷予定。

ウェブを変える10の破壊的トレンド(リンク集2)

■Chapter6-Virtual&Real
ワールド・ストック・エクスチェンジ(World Stock Exchange)
http://www.wselive.com/
メタカード(Meta Card)
http://www.firstmeta.com/
ハボ(Habbo)
http://www.habbo.com/
ワールド・オブ・ウォークラフト(World of Warcraft)
http://www.worldofwarcraft.com/
エバークエスト(EverQuest )
http://everquest2.station.sony.com/
QQ
http://www.qq.com/
ige
http://www.ige.com/
エントロピア・ユニバース(Entropia Universe)
http://www.entropiauniverse.com/
フォーテラ・システムズ(Forterra Systems)
http://www.forterrainc.com/
プロトンメディア(ProtonMedia)
http://www.protonmedia.com/
イノベイト(Innov8)
http://www.ibm.com/soa/innov8/
ルネスケープ(RuneScape)
http://www.runescape.com/
ウェブキンズ(Webkinz)
http://www.webkinz.com/
ネオペッツ(neopets)
http://www.neopets.com/
クラブペンギン(Club Penguin)
http://www.clubpenguin.com/
ガイアオンライン(Gaia Online)
http://www.gaiaonline.com/
MOOミニカード
http://www.moo.com/
ファブジェクトリー(Fabjectory)
http://www.fabjectory.com/i
グーグル・アース(Google Earth)
http://earth.google.com/
グーグル・マップ(Google Maps)
http://maps.google.com/
ウィンドウズ・ライブ・ローカル(Windows Live Local)
http://maps.live.com/
エブリスケープ(EveryScape)
http://www.everyscape.com/
マップ・ムービン360(map.movin360)
http://map.movin-360.com/
フォトシンス(Photosynth)
http://labs.live.com/photosynth/
AR ファサード(Façade)
http://www.gvu.gatech.edu/arfacade/

■Chapter7-Videos
ビデオエッグ(VideoEgg)
http://www.videoegg.com/
ベボ(Bebo)
http://www.bebo.com/
マニアTV(ManiaTV)
http://maniatv.com/
ユーチューブ(YouTube)
http://www.youtube.com/
グーグル・ビデオ(Google Video)
http://video.google.com/
マイスペース・ビデオ(vids.myspace.com)
http://vids.myspace.com/
ヤフー・ビデオ(Yahoo! Video)
http://video.yahoo.com/
MSN ビデオ
http://video.msn.com/
AOL ビデオ
http://video.aol.com/
メタカフェ(Metacafe)
http://www.metacafe.com/
ブレイク(Break.com)
http://www.break.com/
アイフィルム(iFilm)
http://www.ifilm.com/
ジュースト(Joost)
http://www.joost.com/
バベルガム(Babelgum)
http://www.babelgum.com/
ベオTV(VeohTV)
http://www.veoh.com/
ザトゥー(Zattoo)
http://zattoo.com/
フールー(Hulu)
http://www.hulu.com/
ネクストTV(NEXT.TV)
http://next.tv/
リモ(Rimo)
http://rimo.tv/
ユーチューブ・リミクサー(YouTube Remixer)
http://www.youtube.com/ytremixer/
アイスポット(Eyespot)
http://eyespot.com/
ジャンプカット(Jumpcut)
http://jumpcut.com/

■Chapter8-Interface
メニー・アイズ(Many Eyes)
http://services.alphaworks.ibm.com/manyeyes/app
スウィヴェル(Swivel)
http://www.swivel.com/
ジングル・ネットワークス(Jingle Networks)
http://www.free411.com/
1-800-Yellowpage
http://1800yellowpage.com/
Live Search 411
http://www.livesearch411.com/
スピンヴォックス(Spinvox)
http://www.spinvox.com/
ブリンゴ(vlingo)
http://www.vlingomobile.com/
Wii フィット
http://www.nintendo.co.jp/wii/rfnj/
アイフォン(iPhone)
http://www.apple.com/iphone/
マイクロソフト・サーフェス(Microsoft Surface)
http://www.microsoft.com/surface/
パーセプティブ・ピクセル(Perceptive Pixel)
http://www.perceptivepixel.com/
ライブスクライブ(Livescribe)
http://www.livescribe.com/
エレクテックス(Elektex)
http://www.elektex.com/
ルミオ(Lumio)
http://www.lumio.com/
ヘッドゼアー(Headthere)
http://www.headthere.com/
ニューロスカイ(NeuroSky)
http://www.neurosky.com/

■Chapter9-Search
オルト・サーチエンジン(Alt Search Engines)
http://www.altsearchengines.com/
パワーセット(Powerset)
http://www.powerset.com/
はてな
http://www.hatena.ne.jp/
チャチャ(ChaCha)
http://www.chacha.com/
マハロ(Mahalo)
http://www.mahalo.com/
スプローズ(Sproose)
http://www.sproose.com/
ライク(Like)
http://www.like.com/
ロックユー(RockYou!)
http://www.rockyou.com/
ブリンクス(Blinkx)
http://www.blinkx.com/
コラリティ(collarity)
http://www.collarity.com/
ロリヨ(Rollyo)
http://www.rollyo.com/
スウィキィ(Swicki)
http://www.eurekster.com/
ビビジモ(Vivisimo)
http://vivisimo.com/
クラスティ(Clusty)
http://clusty.com/
2 ちゃんねる検索
http://find.2ch.net/
サグール(SAGOOL)
http://sagool.jp/
Fooooo
http://www.fooooo.com/
Viim
http://viim.jp/
ウタゴエ
http://www.utagoe.com/

■Chapter10-Semantic Technology
テキストディガー(TextDigger)
http://www.textdigger.com/
アスクミーナウ(AskMeNow)
http://www.askmenow.com/
トゥイン(Twine)
http://www.twine.com/
アダプティブ・ブルー(AdaptiveBlue)
http://www.adaptiveblue.com/
カラカサ・ゲーム(CaraCasa Game)
http://www.semanticapplications.ca/

ウェブを変える10の破壊的トレンド(リンク集1)

「ウェブを変える10の破壊的トレンド」がアマゾンのランキングで二桁台になったことに感謝。

本の中で紹介したサービスやテクノロジーのリンク集を2回に分けて掲載する。

■Chapter1-Direct
フィードバーナー(FeedBurner)
http://www.feedburner.com/
ヤフー・パイプス(Yahoo! Pipes)
http://pipes.yahoo.com/pipes/
フェイスブック(Facebook)
http://www.facebook.com/
クリアスプリング(Clearspring)
http://www.clearspring.com/
ウィジェットボックス(Widgetbox)
http://www.widgetbox.com/
フリーウェブズ(Freewebs)
http://members.freewebs.com/
ネットバイブス(Netvibes)
http://www.netvibes.com/
ページフレークス(Pageflakes)
http://www.pageflakes.com/
グローバル・グリンド(Global Grind)
http://www.globalgrind.com/
マイ・タイムズ(My Times)
http://my.nytimes.com/

■Chapter2-FREE
ディグ(Digg)
http://www.digg.com/
ハウジングマップス(HousingMaps)
http://www.housingmaps.com/
グーグル・ラボ(Google Labs)
http://labs.google.com/
インバイト・シェア(Invite Share)
http://www.inviteshare.com/

■Chapte3-Crowdsoursing
ウィキペディア(Wikipedia)
http://en.wikipedia.org/
ウィキカー(Wikicars)
http://wikicars.org/en/
ショップウィキ(ShopWiki)
http://www.shopwiki.com/
フリッカー(Flickr)
http://www.flickr.com/
デリシャス(del.icio.us)
http://del.icio.us/
はてなブックマーク
http://b.hatena.ne.jp/
ホット・オア・ノット(HOT or NOT)
http://www.hotornot.com/
マッカブル(Mackable)
http://www.mackable.com/
ヘリウム(Helium)
http://www.helium.com/
レイト・イット・オール(RateItAll)
http://www.rateitall.com/
ディグ・ラボ(Digg Labs)
http://labs.digg.com/
スタンブルアポン(StumbleUpon)
http://www.stumbleupon.com/
ラスト・エフエム(Last.fm)
http://www.last.fm/
プロスパー(Prosper)
http://www.prosper.com/
グーグル・プリント・アズ(Google Print Ads)
http://www.google.com/adwords/printads/
ミ・ディアム(Me.dium)
http://me.dium.com/
アザーズ・オンライン(OthersOnline)
http://www.othersonline.com/
イノセンティブ(Innocentive)
http://www.innocentive.com/
ナインシグマ(NineSigma)
http://www.ninesigma.com/
イェット・ツー(yet2)
http://www.yet2.com/
トップコーダー(Topcoder)
http://www.topcoder.com/

■Chapter4-Presense
トゥイッター(Twitter)
http://twitter.com/
トゥイッター・ビジョン(twittervision)
http://twittervision.com/
レーダー(Radar)
http://radar.net/
ジャスティンTV(Justin.tv)
http://www.justin.tv/
ユーストリーム(Ustream)
http://www.ustream.tv/
スクウォーク(Squawk)
http://www.squawknest.com/
タンブラー(Tumblr)
http://www.tumblr.com/
アイファインド(iFIND!)
http://ifind.mit.edu/

■Chapter5-Web-Oriented
セールスフォース・ドットコム(Salesforce.com)
http://www.salesforce.com/
ケテラ・テクノロジーズ(Ketera Technologies)
http://www.ketera.com/
ルーシッド・エラ(LucidEra)
http://www.lucidera.com/
ワークデイ(Workday)
http://www.workday.com/
アイOS(eyeOS)
http://www.eyeos.org/
ユーOS(YouOS)
https://www.youos.com/
デスクトップ・オンデマンド(DesktopOnDemand)
https://desktopondemand.com/
グーウィ・ウェブトップ(goowy webtop)
http://www.goowy.com/l
パレイキー(Parakey)
http://www.parakey.com/
ゾホ(Zoho)
http://www.zoho.com/
シンクフリー(ThinkFree)
http://www.thinkfree.com/
ジンブラ(Zimbra)
http://www.zimbra.com/
バズワード(Buzzword)
http://preview.getbuzzword.com/
ロータス・シンフォニー(Lotus Symphony)
http://symphony.lotus.com/
マイクロソフト・オフィス・ライブ・ワークスペース
(Microsoft Office Live Workspace)
http://www.officelive.com/
マイクロソフト・ポップフライ(Microsoft Popfly)
http://www.popfly.ms/
QEDWiki
http://services.alphaworks.ibm.com/qe → dwiki/
グーグル・ギアス(Google Gears)
http://gears.google.com/

出版、御礼。

10月から更新していなかったのは、これまでのエントリーに最新情報を加え、出版の準備をしていたからだ。

ようやく、この度「ウェブを変える10の破壊的トレンド」(ソフトバンククリエイティブ)として上梓できた。

関係者に深く感謝したい。

世界初のセマンティック・ゲーム

セマンティック技術とウィキ技術を統合すれば、ユーザーが自由に製作するコンテンツにメタデータとして意味情報を与え、オントロジー(Ontology)と呼ばれる構造を構築することができる。

ビジュアル・ナレッジ・ソフトウェア(Visual Knowledge Software)は、このようなセマンティック・ウィキを構築するプラットフォームを提供している。非常に難しく聞こえるが、実際にセマンティック・ウィキ技術を活用しているのは、3Dのオンラインゲームの製作らしい。

ビジュアル・ナレッジのプラットフォームを利用して世界初のセマンティック・ゲームの製作を行っているのは、ヴァンクーバーにあるカラカサ・ゲーム(CaraCasa Game)である。ゲームの名前は、トレジャー・ハント(Treasure Hunt)という。主人公は、救助船の船長になり、カリブ海で海賊達による妨害から逃れながらも宝を積んだ難破船を探すというものである。

カラカサ・ゲームの創業者であるロジャー・テイラー(Roger Taylor)がゲームの構想に20年も費やしたという割には、ゲームのシナリオにはさほど驚きはないが、ゲームの製作の過程でセマンティック・ウィキの技術を利用したという。詳しいことは明らかにされていないが、ゲーム自体が2007年の第3四半期に公開されるらしいので、セマンティック・ウィキの内容に触れることができるようになるだろう。

ブラウザもセマンティックに

セマンティック技術は、ウェブサイトのブラウジング(閲覧)の最中にも生かせることができる。ユーザーがサイトの中で何の情報を眺めているのかが分かれば、その次に適切なリンク先にユーザーを誘導することができる。

アダブティブ・ブルー(AdaptiveBlue)のスマートリンク(SmartLinks)は、ユーザーが、映画、音楽、俳優、アーティスト、株価、レストラン、ワイン、映像、レシピなど、何の情報を見ているのかを判別する。サイト内のブルーの小さなアイコンをクリックするだけで、例えば、私がアルバムの情報を見ているとすれば、セマンティックにその情報を解析し、その内容が音楽に関する情報であると判断する。すると小さなアイコンをクリックするだけで、アマゾン、アップル・アイチューンズ、ラストエフエム(Last.fm)、ラプソディー(Rhapsody)などの音楽試聴・購入サイトへ誘導してくれる。

スマートリンクを利用するなら、ファイアーフォックス(Firefox)の機能拡張としてブルーオーガナイザー(BlueOrganizer)をダウンロードすればよい。同社は、ブルーオーガナイザーをスマート・ブラウジング技術と呼んでいる。また、ブルーオーガナイザーは、解析エンジンがユーザーの閲覧履歴を考慮するように設計されているため、ユーザーが利用しないサイトには誘導しない。ブルーオーガナイザーは、特定のサイトを深く閲覧する人にはあまり必要性は生じないかもしれないが、多様なサイトを閲覧する人にとっては、非常に便利であろう。

期待高まるセマンティック検索

セマンティック技術は、ネット系企業のインフラなどエンタープライズ分野だけでなく、コンシューマ分野でも徐々に利用され始めている。先の「2007セマンティック・テクノロジー・カンファレンス」でも、スタートアップ企業による試みがいくつか紹介されている。

米アスクミーナウ(AskMeNow)は、携帯電話のショートメッセージでの質問の意味を捉え回答するサービスである。電話番号案内、天気予報、映画上映情報、スポーツのスコア、ナビゲーション、星占い、旅行情報、株価情報などの簡単な情報検索だけでなく、「昨年にオスカー賞を受賞した映画は何か?」、「風船ガムはいつ発明されたか?」、「空は何故青いのか」といった高度な質問にも答えられるという。携帯電話のショートメッセージとして尋ねたいことを入力して、ASKME(27563)にダイヤルするだけである。

次に、まだサービスが提供されてはいないが、本格的な「ウェブ3.0」とか「セマンティック・ウェブ」が登場するかと噂されているのが、米サンフランシスコにあるレーダー・ネットワークス(Radar Networks)である(同社は自らを「インテリジェント・ウェブ」と称している)。同社は、アースウェブ(EarthWeb)の共同創業者であったヴィジョナリストのノヴァ・スピヴァック(Nova Spivack)が2003年に設立した。

ノヴァ・スピヴァックは、2000年から2010年までがウェブ2.0の時代であり、その後2020年までがウェブ3.0のフェーズだという。ウェブ3.0時代は、セマンティック検索、セマンティック・データベースなどセマンティック技術の黄金期だとしている。さらに彼は、2020年から2030年はウェブ4.0(ウェブOSの時代)になり、分散検索やインテリジェント・パーソナル・エージェントの技術が現れるとまで予測している。

レーダー・ネットワークスが注目されているもう理由の一つは、ビルゲイツとともにマイクロソフトの共同創業者であるポールアレンが運営しているヴァルカン・キャピタルから2006年に出資を受けたからである。同社のサービスの質はまだヴェールに包まれており、2007年中にベータ版が公表される予定だ。

実用化が始まるセマンティック技術

コンピュータは、人間が入力した情報を忠実に実行するが、通常、その入力された情報の意味を人間のように理解している訳ではない。情報の意味や情報の関連性などを理解し、その理解に基づいて処理を行うのが、セマンティック技術である。

セマンティック技術に関する米コンサルティング会社であるプロジェクト10X(Project10X)は、2006年のセマンティック技術の市場規模は21億ドル程度に過ぎないが、2010年には524億ドル、2015年には5,020億ドルに急速に成長すると見込んでいる。セマンティック技術が適用されるのは、データの統合、情報検索、情報共有分野などが代表的である。

実際にどのようにセマンティック技術が適用されているのかを見てみよう。2007年5月に米カリフォルニア州サンノゼで開催された「2007 セマンティック・テクノロジー・カンファレンス(2007 Semantic Technology Conference)」では、多くのスタートアップ企業の参加者が大半であったが、その他にも、航空宇宙局(NASA)、国防総省(DOD)、米空軍(US Air Force)などの政府機関を始め、ロッキード・マーチン、ボーイング、フォード・モータース、マイクロソフト、IBM、オラクル、サン・マイクロシステムズ、グーグル、ヤフー、ウォールマートといった大企業からの参加もあった。

このカンファレンスで紹介された例として、セマンティック検索技術企業であるテキストディガー(TextDigger)が持つソリューションを活用した米IT系ニュース企業のシーネット(CNET Networks)の例を取り上げる。

シーネットは、一般的なIT関連のニュースであるCNet News、ガジェットのレビューを紹介するCNet Review、ショッピングサイトのCNet Shopper、エンタープライズIT関連ニュースを提供するZD Netなど、多くのサイトを運営している。これらのサイトには検索機能があるが、過去に入力された検索キーワード(クエリー)の情報を基にして、入力したクエリーとそれに関連した情報も検索できるコラボラティブ・フィルタリング(Colaborative Filtering; CF)機能が搭載されている。しかしCFを利用した検索は、頻繁に利用されるクエリーに関しては多くの関連情報が検索されるが、検索頻度が少ないクエリーに対しては関連情報が少なくなるというロングテール現象が起こる。

そこで、シーネットは、テキストディガーが開発した多義性解消技術(Word Sense Disambiguation : WSD)を採用した。WSDとは、自然言語処理技術の一つで、多義語の意味を文脈に応じて特定し、検索時の質問の曖昧さを解消してくれる。この技術によって、ユーザーが入力したクエリーに当てはまる情報がない場合でも、そのクエリーに似た意味を持つ情報を取り上げた検索結果が表示されるために、キーワード検索のロングテール化を防ぐことができるという。

また同時に、WSDの技術はキーワード広告の収益を向上させることができる。従来はクエリーに関連した広告まではカバー出来ず、ユーザーに届けることができていなかった。しかし、WSD技術を採用したおかげで広告がユーザーの目に触れる機会が拡大し、実際、広告のクリック率も7.9%から19.1%まで向上したという。

セマンティック技術の他の応用例を見てみよう。セマンティック技術は、情報の意味を捉えることができるので、字面だけを見ると異なる情報でもその意味を把握することにより、情報の共有や名寄せなどに利用されることが期待されている。

米ヤフーもセマンティック技術を利用している企業の一つであり、コンテンツの共有や再利用に活用している。ヤフーでは、社内の各担当部門が、金融情報(Yahoo Finance)、飲食情報(Yahoo Food)、映画情報(Yahoo   Movies)、カジュアルニュース(Yahoo Underground)などのウェブサイトを独立して構築している。そのため、膨大な量のコンテンツが分散して蓄積されている。そこで、同社は、コンピュータが取り扱う情報の分類や検索などの自動化・効率化に有効なRDF(Resource Description Framework)と呼ばれる仕様の専門家をヤフー・メディア・グループに迎え、RDFなどのセマンティック技術を使ったウェブサイトの構築に力を入れている。セマンティック技術を取り入れた同社では、異なるサイト間においてコンテンツの共有・再利用を可能にし、ユーザーが分野を横断した関連コンテンツを検索することが可能となり、ユーザーの使用感が改善されると期待されている。

まだ、セマンティック技術は開発途上ではあるが、徐々に実用化されているのである。

クラスター検索でユーザーフレンドリー

従来の検索エンジンでは、検索キーワード(クエリー)を入力すると、キーワードに合致する膨大な結果が、その内容を整理することなく一覧表示される。もちろん、リンクの度合いが高いサイトなど、重要なサイトほど上位に表示されはするが、例えば、私の名前「渡辺弘美」でググって(グーグル検索して)みると、私本人に関する情報も多く表示されるが、私と同姓同名の方(名前からして女性が多い)の情報も混在した形で表示されてしまう。

このような情報の洪水問題を解決するために検索エンジン自体を改良するというアプローチもあるが、クラスター検索というアプローチで解決する方法もある。クラスター検索とは、複数の検索エンジンを利用して検索結果を得た後、検索結果の内容を分類整理し、概念や情報の内容が同じものをクラスターと呼ばれるカテゴリーにまとめて見せる手法である。画面の右側に通常の検索結果が表示され、左側にクラスターが表示される。クラスター自体をクリックすると、そのクラスターに分類された検索結果が表示される。私の名前で検索すると、私自身に関わる検索結果と、私と同姓同名の方の検索結果が分かれて表示される。

クラスター検索の代表格は、2000年に米カーネギーメロン大学の人工知能や言語学の3名の研究者で設立された米ペンシルバニアにあるビビジモ(Vivisimo)である。ビビジモは、自動的に情報を分類・整理する独自のテクノロジー であるヴェロシティ・サーチ・プログラム(Velocity Search Program)を有しており、企業向けのサービスを展開している。ビビジモの顧客には、シスコ・システムズ、P&G、米国政府(FirstGovという政府の公式ポータル)が名を連ねている。

また、ビビジモは、このクラスタリング技術をクラスティ(Clusty)という名で消費者向けにも提供している。ニュース、ブログ、ショッピングサイトなどの複数の情報を横断的に検索(メタ検索)し、その結果を自動的に分類・整理して提供している。既に2005年から日本語版(Clusty.jp)も公開が進んでいる。

さらに、クラスティの新たな試みが、クラスティラボ(Clusty Labs)に公開されている。一つは、2007年1月に発表されたもので、任天堂ウィー(Wii)向けに最適化された検索サービス(Clusty Wii)である。例えば、”Search”ボタンを押さなくとも、”OK”ボタンを押せばいいというような工夫がされている。もう一つは、クラスティの検索結果をタグ・クラウドとして見せるクラスティ・クラウド(Clusty Cloud)だ。検索結果としてよく出てくる用語を、ソーシャルブックマークのタグの集まりのように、よく出てくる用語ほど大きなフォントで表示されるという工夫がなされている。

このように、検索サービスは、検索技術自体の進化に加えて、検索結果をどう見せるかというユーザー・インターフェイス技術の進化も同時に起こっている。将来の検索サービスの姿は、これらの技術が融合されたものになるのかもしれない。

« Older entries