「歴史学関係雑誌論文新着情報」のOPMLファイル

経緯

2011年に開始し、10年以上動かしてきたTwitterのBot「歴史学関係雑誌論文新着情報」(@historyarticles)を閉鎖することにしました。NDL雑誌記事索引RSS→Feedlyで統合→IFTTT連携→Twitterに、という形で作ったものですが、このうちIFTTTとTwitterとの連携が有料になるとのことで、閉鎖を決めたものです。IFTTT Proにアップグレードすれば継続も可能ですし、その料金もそんなに高いものではないのですが、Twitter自体に疲れたのと、情報検索や情報収集のあり方が10年の間に変わっていった(そして今まさに変わろうとしている)ので、もういいかなと思いました。

ただ、終了の告知をしたら、惜しんでくださる方もいらっしゃったので、Botで使用したRSSフィードのリストであるOPMLファイルをGoogleドライブ経由で公開いたします。ご入用の方はダウンロードしてください。なお、使用に際し、何か不具合、損害が発生しましても、私は何ら責任を負いませんので、そのあたりご自身の責任の元お使いください。

歴史学関係雑誌論文新着情報OPMLファイル

なお、Feedlyから吐き出したもののうち、ファイル名と冒頭のtitleは変更修正しましたが、他のところ(雑誌名やURL等)はそのままです。10年以上何も手を加えておりませんので、この間新しく出版、あるいは、国立国会図書館の雑誌記事索引採録誌となった(あるいは採録誌ではなくなった)雑誌もあるでしょうし、そもそも網羅的に情報を集約していたわけではありません。最新は国立国会図書館のサイトをご確認いただいたほうが良いと思います。

利用方法

ダウンロード後どのように使われるかは各自のご判断ですが、例えば、「歴史学関係雑誌論文新着情報」のbotと同じように使われるのでしたら、Feedly等のRSSリーダにインポートして、それをIFTTT Proアカウントと紐づけることで、これまでのような運用が可能です。

あるいは、Feedlyに取り込んだ後、IFTTTとLine Notifyを連携することでLineで情報をキャッチしたり、あるいはただ単純にIFTTTを介してメールで新着情報を受け取る等もできるでしょう。

また、IFTTT以外にもZapierとか別の自動化サービスもあるので、それの利用を検討いただくとか。

ということで、おそらく週明けのBotの配信で最後だと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

歴史学関係雑誌論文新着情報ツイートの分析(2021年まとめ)

思い出した年になんとなくやっている歴史学関係雑誌論文新着情報のツイートについて、1年間の結果をまとめてみました。

歴史学関係雑誌論文新着情報とは

 歴史学関係雑誌論文新着情報は、国立国会図書館の雑誌記事索引採録論文誌のうち、歴史学関係と思しきものの論文名・著者名・論文誌名・巻号ページ範囲・該当論文情報への「国立国会図書館オンライン」のURLをツイートしているBotです。

 なお、あくまで「歴史学関係と思しき」ものを載せているだけで、決して網羅的な情報ではないです。

2021年の結果

ツイート数は2,410件(~2021/12/22分まで)でした。

まずは、リツイート数の上位12件

ツイート年月リツイート数ツイート本文ツイートURL
2021年8月35[管理人から] 1週間気づきませんでしたが、この「歴史学関係雑誌論文新着情報」が稼働から10年目を迎えました。総ツイート数は26,976件で、最初のツイートはこちらの模様。よかったらこの10年の皆様のおすすめ歴史学関係の雑誌論文を教えてください。 https://twitter.com/historyarticles/status/100373714117472256https://twitter.com/historyarticles/status/1427167726628270080
2021年7月23伊達稙宗と室町幕府 : 「三月十三日付伊達次郎宛大内義興書状」を中心に / 木本 和志 https://ift.tt/3kZs2Nf #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1419915663590760457
2021年5月15中国唐宋時代における「中央」と「周縁」 (特集 足立孝著『辺境の生成 : 征服=入植運動・封建制・商業』をめぐって) / 山根 直生 https://ift.tt/3f6J3k3 #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1391574040813445123
2021年10月14一九三〇年代中葉における日本カトリック教会の反共産主義 : 「防共」としての日中戦争観の背景として / 三好 千春 https://ift.tt/3ActuzU #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1445282794758934528
2021年2月13薩摩藩邸焼き討ち事件に関する実証的考察 : 「三田品川戦争」への再定義 (特集 維新の戦乱と江戸平定) / 町田 明広 https://ift.tt/2O6tXkC #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1358430707144683522
2021年3月12中・近世ドイツ都市における給水システム : 帝国都市アウクスブルクの事例から (特集 環境史の課題) / 渡邉 裕一 https://ift.tt/3cae1ri #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1374255016568033280
2021年3月12人文学テキストのデジタル学術編集版作成のためのText Encoding Initiative / 小風 尚樹 https://ift.tt/316pilV #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1374255012499632128
2021年4月12常陸親王の基礎的考察 / 梶田 航平 https://ift.tt/3xlqBfQ #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1386561316178075649
2021年5月12武士と石塔 : なぜ武士は石塔を建てたのか / 桃﨑 祐輔 https://ift.tt/2RnVQGq #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1389475330251952129
2021年7月12能登畠山氏の権力編成と遊佐氏 / 川名 俊 https://ift.tt/3irEItc #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1416922193397751809
2021年11月12平安期左右近衛府における機能転換の過程について : 年預官人の形成を中心に / 中島 皓輝 https://ift.tt/3xa6Wjf #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1462435657767436290
2021年11月12種子島からたどる中世日本、そして世界 / 村井 章介 https://ift.tt/315FV57 #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1465591507038179331

続いて、いいね数の上位12件

年月いいね数ツイート本文ツイートURL
2021年8月77[管理人から] 1週間気づきませんでしたが、この「歴史学関係雑誌論文新着情報」が稼働から10年目を迎えました。総ツイート数は26,976件で、最初のツイートはこちらの模様。よかったらこの10年の皆様のおすすめ歴史学関係の雑誌論文を教えてください。 https://twitter.com/historyarticles/status/100373714117472256https://twitter.com/historyarticles/status/1427167726628270080
2021年4月33常陸親王の基礎的考察 / 梶田 航平 https://ift.tt/3xlqBfQ #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1386561316178075649
2021年10月24一九三〇年代中葉における日本カトリック教会の反共産主義 : 「防共」としての日中戦争観の背景として / 三好 千春 https://ift.tt/3ActuzU #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1445282794758934528
2021年5月24武士と石塔 : なぜ武士は石塔を建てたのか / 桃﨑 祐輔 https://ift.tt/2RnVQGq #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1389475330251952129
2021年11月23ローマ帝国におけるインド洋交易の位置づけ : 古代世界における東方交易の経済的・財政的重要性 / ラウル マクラフリン ; 髙橋 亮介 訳 ; 赤松 秀佑 訳 https://ift.tt/3nX7O80 #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1464972585423314950
2021年7月22伊達稙宗と室町幕府 : 「三月十三日付伊達次郎宛大内義興書状」を中心に / 木本 和志 https://ift.tt/3kZs2Nf #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1419915663590760457
2021年2月20大村益次郎の関東鎮撫策 : 上野戦争の準備過程を中心に (特集 維新の戦乱と江戸平定) / 竹本 知行 https://ift.tt/3cLvXJv #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1358430704460251137
2021年3月19人文学テキストのデジタル学術編集版作成のためのText Encoding Initiative / 小風 尚樹 https://ift.tt/316pilV #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1374255012499632128
2021年5月18「公議」と藩をめぐる最近の研究動向について / 古林 直基 https://ift.tt/3vIveif #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1389837744180969472
2021年5月18文久年間の対馬藩による援助要求運動と勝海舟 / 和田 勤 https://ift.tt/3flHz5N #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1391634593766420482
2021年7月18能登畠山氏の権力編成と遊佐氏 / 川名 俊 https://ift.tt/3irEItc #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1416922193397751809
2021年11月18『上井覚兼日記』にみる戦国島津家の政策決定過程 : 島津義久と談合衆の関係を中心に / 新名 一仁 https://ift.tt/30nOGqi #歴史ニュースhttps://twitter.com/historyarticles/status/1460170923248603141

(管理人の若干間抜けな挨拶がどちらも1番多い結果となり恐縮ですが、)その他反応の多い論文情報は上記の通りでした。

KH Coderによる頻出語150語と共起ネットワーク

KH Coderで今年の論文全体を眺めるべく、まずは頻出語150語を抽出しました。結果は以下の通りです。

抽出語出現回数抽出語出現回数抽出語出現回数
研究366展開4628
特集354文書46東アジア28
日本337見る45特別27
書評329鈴木4427
歴史185課題43京都26
教育157年代43後期26
社会150コロナ41江戸26
中心142政策41西洋26
記念141明治41対話26
先生113活動40哲学26
紹介112史料40都市26
近世109大学40動向26
地域105科学39編著26
史学101記録39再検討25
近代97女性39台湾25
大会96学校38展望25
報告93初期38東京25
シンポジウム89制度3825
世界89事例3725
思想8636例会25
追悼84年度36論文25
新刊82植民35観光24
世紀81成果3524
中国81朝鮮35山本24
教授78陽一35フロイト23
時代77目録34可能23
中世76ナンシー33外交23
退職73ヒストリー33建築23
関係66構造33交流23
古代64天皇33実践23
主義63遺跡32創立23
政治63形成32分析23
戦後63比較3223
地方62要旨32コロナ22
現代61講演31バー22
帝国60調査31案内22
資料59転換期31家族22
58批判31記憶22
国家57成立30行政22
運動56統治30視点22
考える56読む30昭和22
文化51部会30文献22
フランス49検討29映画21
戦争49所蔵29改革21
ドイツ48創設29出土21
考察482921
再考48変遷29変化21
問題48ジャン28コレクション20
博物館47リュック28ナショナル20
経済46過程2820

「特集」や「書評」が多いのは毎年のことですが、「教育」や「社会」、「近世」、「地域」というキーワードが多い特徴があります。動詞では「考える」「見る」「読む」というのも多い。

共起ネットワークでは以下の通りとなりました。

いちばん大きな青緑(というかエメラルドグリーンと呼ぶべきか)の塊は、特集や書評、大会報告やシンポジウム報告でのキーワードでしょうか。2021年の特徴としては、コロナ関係の地方博物館の取り組み/動向があげられそうです。他には、学校教育や教育思想に関するもの、『思想』の特集(ナショナルヒストリー再考)、中国と朝鮮に関する論考がそれぞれ、と読み取れそうです。

終わりに

このBotは稼働から今年10年を迎えました。

過去10年分のデータをざっと見たところ、なんとなく毎年の特徴というものが出てきそうです(時間と要望があればデータを整理して出しますが)。ですが、やはり書評や新刊紹介のほかでは、シンポジウムの報告論文が多いかなと感じましたので、シンポジウムや学会大会と論文との間の関係は緊密だと言えそうです。このように書くと当たり前のようですが、以前はあまりそういう印象を受けなかった、報告と論文は別物だという意識が個人的にはあったということをメモしておきたいと思います。

インターネットのアカデミー賞といわれるWebby賞で、ソフィア王妃芸術センターによる「ゲルニカ再考」“Repensar Guernica”が受賞

インターネットのアカデミー賞といわれるWebby賞の今年の受賞作品が発表され、このうち、Cultural Institutionsの部門で、ソフィア王妃芸術センターによる「ゲルニカ再考“Repensar Guernica”」が受賞している。そのほかに同じ部門では、MOMAやカーネギーホール等が受賞。

Repensar Guernica, un archivo de archivos
http://guernica.museoreinasofia.es/

Repensar Guernicaは、「ゲルニカ」に関する資料約2千点を提供するデジタルアーカイブで、『ゲルニカ』の高精細画像も公開されている。全体的に丁寧に作りこまれていることがうかがわれ、実際2年以上を費やして作成されたそうだ。

圧巻の作品なので、ぜひ一度ご覧いただきたい。

El Museo Reina Sofia gana el premio Webby por la mejor web cultural del mundo
https://www.revistadearte.com/2018/04/24/el-museo-reina-sofia-gana-el-premio-webby-por-la-mejor-web-cultural-del-mundo/

ラテンアメリカからのDHの発信と世界のDHへの貢献

ラテンアメリカのDHネットワークRed-HDが、今年6月から『デジタルヒューマニティーズ叢書』の刊行を発表している。(ちなみに、Redは”赤”ではなく、スペイン語で”ネットワーク”の意味)

今の所3巻分が予定されており、「recepcion, critica e institucionalizacion」「Lengua, texto, patrimonio y datos」「タイトル不明」の3つ。目次を読む限り、グローバルなDHの動向に絡むものが半分、スペイン・ポルトガル語圏の話題が半分程度と考えられる。

http://www.humanidadesdigitales.net/2018/04/11/preventa-biblioteca-de-humanidades-digitales/

また、カナダおよび英語圏で始まったThe Programming Historianをスペイン語訳する活動にもRed-HDは取り組んでおり、この度、翻訳からさらに歩みを進めた形で、Programming Historianのスペイン語版オリジナルコンテンツの募集を呼びかけている。

Red-HDが積極的にスペイン語圏のDHの発信を行い、さらに今年のDH2018がメキシコ・シティで開催され、これにもRed-HDが大きく貢献していることはまず間違いないわけで、世界的なDHへの貢献も顕著である。英語圏以外の動向も、眼を配っておくべきだろう。もちろん、日本を含め、東アジアもまた然り。

 

だが、一方でRed-HDの構成員を見ると、実際はかなりの程度メキシコ国立自治大学(UNAM)の研究者らが担っているように思われる。

筆者は特にRed-HDと繋がりがあるわけではないので、なんとも言えないところであるが、外側から見ている限り、スペインのDH研究者、研究者コミュニティとの連携は、あまり感じられない。Programming Historianのスペイン語オリジナルコンテンツの連絡先に、バルセロナのAntonio Rojas Castroさんのお名前がある程度だろうか。

http://www.antoniorojascastro.com/

 

 

日本では11月1日が「本の日」になっていたらしい。

ということを、「本の日」を研究しているくせに、最近ようやく知った。

書店新風会の提案で、昨年2017年から11月1日が「本の日」となっていたことを、読書推進運動協議会の機関紙『読書推進運動』(2018/2/15, No.603, p.4)の記事でようやく知った。

『読書推進運動』(2018, No.603,

クリックしてno603.pdfにアクセス

見落としていたが、読売ほか、いくつかの出版系メディアが取り上げていた。

  • 11月1日は「本の日」

http://www.yomiuri.co.jp/life/book/news/20180129-OYT8T50099.html

  • 書店新風会の大垣守弘会長、「本の日」に意欲

https://www.shinbunka.co.jp/news2018/01/180115-03.htm

  • 11月1日を「本の日」に――書店新風会が制定

http://dokushojin.com/article.html?i=2280

また、申請先の日本記念日協会のサイトでも記事になっていた。

  • 「本の日」(11月1日)の記念日登録証授与式が、制定者の「書店新風会」による新風賞贈賞式・新年懇親会が開かれた東京・新宿のハイアット・リージェンシー東京で行われました。

http://www.kinenbi.gr.jp/mypage/1471

 

ちなみに11月1日となった理由は、

日付は「11」と「1」で
数字の「1」が本棚に本が並ぶ姿に見えることと、
想像、創造の力は1冊の本から始まる
とのメッセージが込められている。

とのことらしい。

出典:11月1日は「本の日」(大垣書店)

http://www.books-ogaki.co.jp/11%E6%9C%881%E6%97%A5%E3%81%AF%E3%80%8C%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%97%A5%E3%80%8D/

 

ユネスコが4月23日と定めているんだから、それに乗っかればよかったのではないだろうかと思うが、このあたり事情をもう少し詳しく知りたいと思う。

で、会報があるようなので、制定までの経緯を調べたいと思うのだが、この会の会報『新風』はどうやらNDLには2015年以降の最近の号が入っていない。新風会のサイトには連絡先もない。

大垣書店の会長さんがこの新風会の会長も務めていらっしゃるようだが、大垣書店に依頼すればよいのだろうか。

2017年「歴史学関係雑誌論文新着情報」のふりかえり

________1__400x400

昨年好評だった(?)「歴史学関係雑誌論文新着情報」の1年間のツイートの分析を今年もやってみた。今年は、前回扱ったインプレッション数等に加えて、KH Coderも使った分析も試みることにするが、まずは前回通り前提から。

  • 前提

そもそもこの「歴史学関係雑誌論文新着情報」(@historyarticles)のアカウントは、

・日本の歴史学関係雑誌論文のすべてを網羅しておらず、そもそもNDLの雑誌記事索引すら網羅できていない。

・同じ論文情報を2度ツイートしていたりするので、以下のインプレッション数等は全ツイートで同条件ではない。

というところがあるので注意されたい。

また、今回集計するに当たって重要な点は、今年4月にNDLの雑誌記事索引のRSS配信が一か月程止まっていたことが挙げられる。その後、すべて配信がなされたようだが、配信停止があった4~5月のツイート状況が他の月と異なり、それがフォロワーの反応にも影響を与えていると思われる。

  • 全体的な概況

上記の前提をおさえたうえで、全体としては以下のような結果となった。(なお、データ取得日は12月26日の夜で、カッコ内は前年比)

・2017年の総ツイート数 2,728件 (▲ 520)

・2017年のインプレッション総数 2,973,028件 (▲ 436,174)
(*インプレッション数とは、ユーザーがtwitterでツイートを見た回数。)

続きを読む “2017年「歴史学関係雑誌論文新着情報」のふりかえり”

撮影した史料画像等を管理するためのソフトウェアTropyを使ってみて②:縦書きにする

前回の続き。

自分は横文字の史料しか使わないのであまり気にならなかったが、前回エントリの反応のなかで「縦書きはできるのか」というコメントがあった。

翻刻する場合、確かに日本語やアジア言語だとNoteエリアでの縦書きは必要なので、Tropyの質問場所であるForumsで尋ねたところ、運営者から次のような回答があった。

今のところ縦書き対応の予定はない。けど、ユーザの要求があるなら、そしてシステムがそれに対応できるなら、縦書きには対応したいと思う。

さしあたってCSSの設定で縦書きにする方法を教えていただいたので、それを自分で少しカスタマイズした結果は次の通り。

1. Tropyのメニューにある Help から Show log files を選択して開く。
2. logのフォルダが選択されているはず。それと同じ階層に次で作る設定用のCSSファイルを格納する。
3. 以下をコピーしてメモ帳か何かに張り付けて、style.css の名称で保存。

.ProseMirror {
writing-mode: vertical-rl;
text-orientation: upright;
margin: 0 auto;
}

4. Tropyを開きなおせば、以下のように、翻刻やメモ、注釈をつけることができるnoteのエリアが縦書きになっているはず。

Tropy_tategaki

(上記の画像史料は、NDLのデジタルコレクションの著作権切れのものを使用。http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1144621/6

ただし、この方法ではすべてのノートが縦書き仕様になってしまうみたいで、ある史料は縦書き、別のある史料は横書き、といった具合にはならない模様。

詳しい方がいらっしゃれば教えていただけると幸いです。

それと、Tropyの日本語化についても要望を出し、翻訳協力したいとはお伝えしてみた。現在その結果待ちというところ。

 

撮影した史料画像等を管理するためのソフトウェアTropyを使ってみて

Capture - Tropy - https___tropy.org_

Tropyというソフトウェアを使ってみた。

Tropyは、文書館で撮影した史料画像やデジタルアーカイブで公開されているデジタル化史料等をローカルで管理するためのソフトウェアで、2017年10月24日にver.1.0としてリリースされたものである。

他の人がどのように史料データを管理されているのか知らないが、自分はこれまで文献管理用ソフトのZoteroにメモをつけておいたり、OneNoteに訳した史料の情報を入れたりしていて、論文をまとめるときにそれらを参照するという具合だった。が、整理下手なので、どうしてもとっ散らかってしまっていたのが難点だった。

それが一元管理できるならということで、以下使ってみることにした。

  • Tropy概要

まず概要から。

Tropyは、Andrew W. Mellon財団の助成金を得て、アメリカのDHの研究拠点のひとつであるジョージメイソン大学のRoy Rosenzweig Center for History and New Mediaの研究者とウィーンの研究者らによって開発されたもの。

フリーかつオープンソースなソフトウェアで、前述のとおり、史料写真を管理することができる。

ここでいう管理とはすなわち、

・1ページずつ撮影した史料画像を複数まとめて一つのアイテムにできたり、
・テンプレートに従って史料に関するメタデータ(つまりはタイトル、日付、著者名、コレクション名やフォルダ名等)を入力したり、
・タグをつけたり、
・欄外にノートをつけておいたり、翻刻したり、

といったことができる。

  • 使えそうな機能

基本的な機能については、Tropyの公式サイトで動画が公開されているので、そちらがわかりやすい。

#動画では複数の画像ファイルをインポートしても問題なかったが、自分の環境ではしばらく固まってしまっていた。

よさげな機能だなと思ったのが、史料の一部分を選択して、その部分に対して注記や翻刻文を記述することが出来るというところ。Zotero等ではできなかったのでありがたいと思う。ちなみに、そのノート機能は1枚の画像に複数つけることができる。

また、メタデータの記述項目はテンプレートを変更することも、変更したものをエクスポートもできるとのこと。複数人でメタデータの記述を統一する必要があればよいのかもしれない。

  • 使ってみての感想

Tropyへインポートできる史料画像はJPGかPNGのみなので、PDFで管理されていると読み込みができない。いままで史料をPDFにしていたので、JPG等に変換するソフトを利用する必要がありひと手間かかってしまうのがやや面倒だが、まあ大したことではない。

ノートやタグを日本語でもつけられ、参照したい史料を行ったり来たりすることも楽にできそうなので、自分としては今後も使ってみようと思えるソフトだった。

管理に悩む歴史研究者の方はぜひどうぞ。

20世紀初頭から内戦までのカタルーニャの写真家Josep Maria Sagarraの写真データセット

Europeana Proのブログで、20世紀初めのカタルーニャの写真家Josep Maria Sagarraの写真データセットが紹介されている。

彼は、悲劇の一週間(Setmana Tragica)を写した写真で知られるようになり、Diario de BarcelonaやLa Vanguardia等で活躍、 1921年にはバルセロナの報道写真家協会(?)の”Agrupacio de Reporters Grafics de Barcelona”の結成にもかかわった人物とのこと。

 

Sant Jordiの日を撮ったものはないかと探してみるもののあまりめぼしいものはない。が、古書の蚤の市の写真はいくつかあるようだ。

2024907_photography_ProvidedCHO_Generalitat_de_Catalunya__Arxiu_Nacional_de_Catalunya_ANC_1_585_N_4237_13

Parades de llibre vell | Sagarra i Plana, Josep Maria
(ca) Parades de llibre vell – http://europeana.eu/portal/record/2024907/photography_ProvidedCHO_Generalitat_de_Catalunya__Arxiu_Nacional_de_Catalunya_ANC_1_585_N_4237_6.html.
(ca) Sagarra i Plana, Josep Maria. Generalitat de Catalunya. Arxiu Nacional de Catalunya – http://extranet.cultura.gencat.cat/ArxiusEnLinia/fitxaImatgeEuropeana.do?tipusUnitat=1&codiImatge=2297279.
CC BY-NC-ND – http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/

Zoteroに日本の歴史学におけるデジタル技術の活用を論じた文献情報をまとめるグループを作成しました

タイトル通りですが、文献管理ツールZoteroに日本の歴史学におけるデジタル技術の活用を論じた文献情報をまとめるグループとして、”History and Historiography of Digital History in Japan”を作成しました。グループには、2000年以降はあまりに増えていくので、ひとまず1999年までの文献情報を載せています。

 

GetImage

作成の目的は、「日本の歴史学におけるDHの歴史」について、実践された研究者による回想録のようなものではなく、実証的に論じられた通史が見当たらないことにあります。

上のように言い切ってよいかについてはもちろん不安はあり、例えば、「日本の歴史学におけるDHの歴史」を論じた文献に、
・『歴博』(140), 2007における「特集 コンピュータ歴史学の歴史
・後藤真「日本史学と情報技術―30年で変わったこと,変わらなかったことー」『研究報告人文科学とコンピュータ(CH)』vol. 2017-CH-115, no. 13.
等がありますが――特に後藤論文には「日本史学」とタイトルにあるように――歴史学全体を論じたものではない。

デジタルヒストリーは歴史学の体系内にいずれは位置づけられていくべき、と個人的には考えていますが、そのような場合(あるいはそうならない場合でも)、20世紀の歴史学研究において情報技術やデータベースあるいはパソコンの利用に関し、どのような議論があったのかは、ふり返りやすくしておいた方がよいと思い作成しました。これが目的です。

 

漏れが多分多数あるのではと思うのですが、ご存じの方、発見された方は、遠慮なくご登録いただけると幸いです。