恋愛奮闘記 オレがオレがnew/about/mail/link |
[01] 急な夕立ちに見舞われ、慌てて入った駅前のコンビニにて。肉まんの補充をする彼女。アルバイトだろうか。笑うと右側にだけ出来るエクボ。白くて長い指先。スラリと伸びた素足にタータンチェックのミニ。可愛らしい耳たぶには金のピアス。左の薬指に銀の指輪。えっ、左薬指に指輪!?いや、人妻がどうした。障害があるほど燃える。恋にハードルはつきものだ。気を取り直して彼女の待つレジへと向う 「いらっしゃいませ、こちら温めますか?」 「はい。人肌で」 電子レンジのターンテーブルを見つめながら、呼吸を整える。ピーッという電子音。温めた弁当を袋に入れた彼女が、飛びっきりの笑顔でこちらに振り向く 「お待たせしました」 ここだ! 「いや、ボクも今来たとこだから」 彼女の手から滑り落ち、中身の飛び出した弁当。ひどく暑かった日の夕立ち。雨がボクの涙を洗い流す。負けてない、俺は神奈川bPガードにも負けてない [02] 眼鏡屋にて。眼鏡の似合う彼女。淡いピンクの制服。キュッと上を向いた小ぶりのヒップ。細く真っ白なうなじ。ボタン間隔がやけに広いブラウスからチラチラ覗く紫のブラ。惚れた 「よかったら目の検査をしますけど…」 「じゃあお願いしようかな」 「この字は見えますか?」 「見えません」 「では、この字はどうでしょう?」 「見えません」 「うーんと、これは?」 「全く見えません」 「ええー、これも見えませんか?」 ここだ! 「だってあなたが眩し過ぎるから」 チョキで目潰しされるとは。眼鏡ッ子には目がねー、というツカミまで考えたのに言う隙すら与えられなかった。ゴール下は戦場だ [03] 路上にて。点滅する横断歩道。足早に行き交うサラリーマン。人のスラロームを掻き分け、スクランブル交差点を進む。信号を渡りきったところで、目の前を斜めに横切る女性とぶつかった。 「す、すみません。ボク、急いでいたものですから」 「いえ、私の方こそ、ちゃんと前を見ていなかったから。お怪我はありませんか?」 心配そうな瞳でボクを見つめる清楚なOL。フェラガモのパンプスに、落ち着いたベージュ色のツーピース。引っ詰めにした細い髪。薄くひかれた紅のルージュ。ビンゴ 「ボクなら大丈夫です。でも、コンタクトを落としちゃいました」 「まぁ大変! 一緒に探しますっ」 一生懸命、地面を見つめる彼女。品の良い香水が鼻をくすぐる。母親以外でこんなに女性と接近したのは初めてだ。心臓の高鳴りが彼女にも聞こえそうで怖い 「うーん、ないですねー」 「あ、すみません。ありました」 「見つけました?」 ここだ! 「ええ、アナタを」 アンディー張りの踵落としで全治2週間。bPにならなくていい、もともと特別なOBI-WAN。…ジェダイやね。この試合、もらうぞ魚住 [04] 米屋にて。バス停の前にある一件のお米屋さん。ふと店内を見れば店番をする彼女と目があった。中学生ぐらいだろうか。活発的な感じを受けるショートカット。クリっとした大きな瞳。日本美人特有の白いもち肌。膨らみ始めたばかりの乳房を包む、うっすら透けるスポーツブラ。胸キュン 「一人でお留守番?」 「うん、お父さんとお母さん、今日お芝居を見に行ってるの」 「そっか、ちゃんとお店のお手伝いしてて偉いね」 「ううん、だってお客さんなんて殆ど来ないもの」 「一応、ボク客なんだけど…」 「あ、ごめんなさい。何にしますか?」 「えっと、ヒトメボレ」 「5キロでいいですか?」 ここだ! 「いや、キミにヒトメボレ」 バチンッ。店内に響く張り手の音 な、殴ったな?父さんにもぶたれたことないのに! バチンバチンッ 反射的に彼女の両頬を張り返す ふふふ、頬っぺまで真っ赤になっちゃって。遠くから聞こえるサイレンの音。店内に流れる徳永英明。本当の幸せ教えてよ、壊れ掛けのRadio… 安西先生、…Gacktが、…嫌いです [05] 高級ブランド店にて。最新型のスーツに身を包む背の高い店員。洗練された都会の女性といった印象を受ける。嫌味にならない程度の茶髪。気の強そうな切れ長の目元。すらりと伸びた細く長い脚。マイッチング 「いらっしゃいませー」 「こんにちは」 「今年はいい色のコートが出揃ってます」 「ええ、綺麗ですよね」 「あと、このスラックスも今年よく売れてますね」 「ああ、そうなんですか」 「何かお探しですか?」 ここだ! 「ずっとあなたを探してました」 鳴り響く非常ベル。震えながらしゃがみこむ店員。二人の警備員に腕を捕まれながら、やっと見つけたボクの宝物が遠ざかっていく。モップはお前が折ったんじゃねーか… [06] 眼鏡屋にてPartU。前回の眼鏡屋では酷い目に遭った。危うく失明するところだった。今回は同じ過ちはしない。気を取り直して駅前のメガネドラッグへ足を踏み入れる 「♪メンメンメガネの良いメガネー」 真っ赤になりながら声を張り上げる彼女。何かの罰ゲームなんだろうか?少しアレな感じを受けるが、人の内面は向き合ってみるまでわからない。恥じらいながらも、ひたむきにメガネドラッグのテーマソングを歌い上げる彼女。愛しいと思った。ぎゅっと抱きしめたい衝動に駆られた。ピンクのブレザーに同系色のカーディガン。膝上5センチのタイトスカートに、光沢のあるストッキング。ショータイム 「♪メーガーネドラッグ、よーいメーガーネー」 「すみません」 「あ、いらっしゃいませー」 「新しくメガネを作っていただきたいのですが」 「ありがとうございます。では、どの(メーカーの)フレームがご希望でしょうか?」 「Ω(オメガ)なんていいですね」 「さすがお客様、お目が高い!」 彼女の持ちネタですっかり台無し。ボクが手を下すまでもなく、店長が彼女の髪を鷲掴みにして店内奥へと消えて行く。OFFICEと書かれたドア越しに聞こえる彼女の嗚咽。店長の罵声。ボクの頬を伝う涙が止まらない。赤は止まれ、だ [07] 交番にて。駅前にポツンとたたずむ派出所。黒い背表紙の書類にペンを走らせる巡査がひとり。やましいことがなくても交番に入るのは毎回ドキドキする。これはいったい何故だろう?そんなことを考えながら、派出所の前でぼんやり立ち尽くしていた。 「どうしました?何かお困りですか?」 ボクの肩をポンと叩き、にっこり微笑む婦警さん。推定年齢22歳、短く切り揃えられたショートカットにチョコンと乗せられた制帽。まだあどけなさの残る顔立ちに不釣合いなほどの色香。窮屈そうな制服の下に潜むスイカップ。ドッキュン 「実は道に迷っちゃいまして」 「そうですか。で、どちらに向かっていたんです?」 「えっと郵便局に行きたいのですが」 「郵便局なら、この信号を左に曲がって300メートルほど進んだ左手側です」 「ご親切にありがとうございます」 「いえいえ、これも仕事ですから」 「でも、もういいんです。郵便局には行きません」 「えっ、どうしてです?」 ここだ! 「切手を貼る必要がなくなりました。さあこのラブレターを受け取ってくだs」 ガチャリ なんだろう、ボクの両腕に光る銀のワッカは。なんだろう、この重量感溢れるシルバーアクセは。「おいーも、おいもー、おいもーだよー」軽快に流れる石焼いもの不調和音。交番から飛び出してきた巡査がボクを抑えつける。グニャリと歪む視界。グウの音も出ないほどにやられたな。人生ワースト3に入る屈辱だ [08] 銀行にて。 「番号札5番でお待ちのお客様?」 窓口へ向かう足が止まる。モスグリーンの制服と肩まで伸びた艶やかな黒髪。微笑む口元にはチャームポイントの泣きボクロ。メリークリスマス 「お振り込みですね。では、こちらの用紙にご記入をお願いします」 震える手で彼女から用紙を受け取る。用紙にペンを走らせながら気がつけば鼻歌を唄う自分がいた。ボーイミーツガール、ロマンスの神様この人でしょうか。 「お客様、住所が記載されていませんが…」 「ええ、知ってます」 「えっ?」 ここだ! 「貴方と二人で住むには、ボクの部屋は狭すぎるから」 キョトンとする彼女。「ヤダ、まじキモいんですけど!」声を荒げる女子高生。ボクとの距離を徐々に詰めてくる警備員が二人。絶対諦めない男、三井。ボクは座席にあった日経新聞を丸めると、警備員に向かって走り出したんだ。 [about] この世には男と女しかいない。年頃の男子は、やらせてくれるという口約束だけで人を刺し、女子はヤスキヨの真似をするだけで股を開く。左を制する者は世界を制し、リバウンドを制する者は試合を制す。そしてバスケを愛する者は安西先生を愛する。桜木君がガッツを。三井君は混乱を、後にとびきりの飛び道具を。そうして出来あがったのが今の湘北バスケ部。いや、それがどうしたと言われれば返事に窮する。とにかく、私も恋愛に関しては、まだまだ中学生の域を出ない。知識の9割はポパイとホットドッグから仕入れた情報という体たらく。このサイトは、恋愛経験の無い素人童貞が、こうすれば女性と付き合えるんじゃないのかという机上の空論を、自ら実践することで真実の愛を求める究極の軟派サイトである。彼女募集中 link : free [link] d.j.ペリカンマッチ イチオシ。文章で笑わせる能力は桁外れ 隻腕アトム こういう知的な文章に憧れる。天才です まつお道場 着眼点の良さと読後の清涼感。お見事 まるみえ!魚市場!! どうやったらこういう発想が出来るのか教えてほしい ひよこグミ パンチラで飯が食える奇特な人 わざわざスクロールしてもらって悪いんだけど、何もないから ゴミ箱 [07] 空港にて。横殴りの乾いた夜風。空にきらめく無数の金貨。羽田空港の北ウィング、通称ビッグバードの屋上。眼下には一定間隔で緑色にライトアップされた滑走路。離陸と着陸を繰り返すジェット機の轟音。そんな光景をうっとり眺めるカップル達に混ざり、一人の女性がボクの目にとまった。カシミアコートにバーバリーのマフラー。折れそうに細い足首に、キラリと光るアンクレット。肩より少し長いソバージュに黒目がちの瞳。メリークリスマス 「こんばんはー、綺麗ですねー」 「ええ。搭乗手続きを済ませると、必ず屋上へ出るんです。ウフッ私って変でしょ?」 「奇遇ですね、ボクと同じだ。ライトアップされた羽田空港は実に素晴らしい」 「あーあ、私も彼氏と一緒に見たかったなぁ」 ハッ、そうだ! 「サンタさんて本当にいるんですね」 「えっ?」 「こうしてアナタに出会えました」 プシューッ。ハンドバッグから取り出された催涙スプレー。目が、目がァ…。もんどりをうちながら、地面でもがき苦しむボク。ドガッボコッ。うずくまるボクを一組のカップルが笑いなが蹴り始めた。わらわらとボクの周囲に集る人垣。ドガッゴツンッ。羽田空港で突如開催されたワールドカップ2003。ベッカムならぬガッデムという黄色い声援。やっちゃえやっちゃえと叫ぶ女性陣。クチの中いっぱいに広がる血の匂い。ひとしきり蹴り飽きたカップルが消えると、一人の板前がボクの頭上でカツラ剥きを始めた。「お前は刺身のツマだ。泥にまみれろよ」 あ、あんた誰? [08] 自動車教習所にて。三度目の正直で、やっと通った仮免試験。今日からは待ちに待った路上教習の開始だ。少し緊張気味に教官の到着を待つ 「ごめんごめん、お待たせ。じゃあ早速乗ってみよっか☆」 冬の柔らかな陽射し。目の前に突如現れた女神。膝上10cmのタイトスカートに紺ベスト。ドギマギしながらの乗車。手を伸ばせば届く距離にいる教官。彼女の身体から放たれる甘ったるい柑橘系の香り。発車オーライ 住宅街を抜けると前方に見えるラブホテルのネオンサイン 「ん、緊張してるの?何だか落ち着きがないけど」 「す、すみません。ボク初めてなもんで」 言っちゃった。何をやってるんだオレは。自分で童貞だとバラしちゃ駄目じゃないか! 「ちょっと休憩しよっか。車を路肩に止めて」 「えっ、路上でするんですか!ホテルじゃなくて?」 キキーッ! 教官自らが引いたサイドブレーキ。しこたま鼻を打ちつけたハンドルから飛び出すエアバッグ。足早に遠のく教官の後ろ姿を見つめながら、真っ白なエアバッグが鼻血で真紅に染まっていく。どこで間違えたんだろう?何がいけなかったんだろう?長男の名前まで考えていたのに…。残された車の中で開かれる独り反省会。頬を伝い溢れ出る涙。止まらない鼻血。左手は添えるだけだ |