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2024年4月17日水曜日

読売新聞の紅麹関連誤報について

読売新聞記者が談話捏造 紅麹関連記事巡り(読売新聞)

 上の時事の記事によると、読売新聞の記者が取材相手が言ってもない談話を勝手に捏造して記事に載せたそうです。この件について読売新聞のホームページを確認しましたがそこでは一切言及しておらず、お知らせのページを見ても一切触れられていませんでした。
 皮肉を言えば「読売新聞とNTTが生成AIのあり方に関する共同提言を発表」なんかよりずっと伝えるべき内容だし、またニュースな内容だとも思います。

 読売新聞側はこの件について担当者を処分すると話しているそうですが、処分も何も一発解雇しないのがむしろ不思議な案件です。過去に同じことをやって短い定食で済ませた中日新聞は別として、初店を捏造するのは記者として最もやってはいけない行為です。
 取材相手が発言した内容を分かりやすくするため入れた補足や注釈がややオーバーだったり、本来の趣旨からミスリードさせるものになってしまったとかならまだわかりますが、言ってもないことを一から作った場合、もうその人は二度と記者をやってはなりません。実際、共同通信とかならこの手の行為をした当事者は一発解雇、その上長も虚偽行為を見つけることが現実的に不可能だったとしても、降格などの処分を必ず受けており、この点での意識の高さではいつも共同通信には頭が下がります。

 今後読売がどういう処分をするかについて気になりますが、自分は記者という職業については常に「真実の奴隷たれ」という観念を持つようにしています。事実こそがすべてにおいて優先され、これを侵す行為はどのようなものであれ許されないという風に見ており、それをなくした場合は早く記者をやめる以外ないとも考えています。残念ながら、今回やらかした読売の記者、それを見逃した取材者はそろってその意識がなかったと言わざるを得ません。
 っていうか言ってもないこと言って批判したんだから、小林製薬には謝りに行くべきだよな。

 かなり昔にこのブログにも書いた覚えがありますが、学生時代に元テレビ局社員だった人が報道や番組制作において、演出などがどこまで許されるのかというラインについて「非常に簡単」だと述べ、それは何かというと「子供に対してその行為を説明できるか」だと言っていました。ほんとこれは至極その通りで、上記の今回やらかした記者は少なくとも自分の子供たちには「こんな感じで言ってもないことを書いてやった」くらいは言うべきでしょう。

2024年4月16日火曜日

野口健氏の万死発言への抗議に関して


 未だ盛り上がりの冷めない水原一平氏の所業について登山家の野口健氏が「万死に値する」と述べたところ、「ギャンブル依存症問題を考える会」の代表とやらが抗議したとのことです。結論から述べると、筋違いもいいところな抗議であり言葉狩りに属す抗議であるとして、この代表の方については強い不信感を覚えてなりません。
 今回の代表の抗議内容はというと、ギャンブル依存症の人間に対し再起を否定するような発言だとのことです。ギャンブル依存症は回復できるものだとして、野口氏の発言は不当だとのことですが、何を馬鹿げた事を言ってんだという気になります。

 というのも、今回野口氏は水原氏がギャンブル依存症だからこそ「万死に値する」といったわけではなく、詐欺行為を働いて大谷氏を裏切った点について批判しています。こう言っては何ですが、代表の言葉はギャンブル依存症であれば犯罪行為を起こすのは仕方がない、免責しろと言っている様にすら聞こえます。健常者であれギャンブル依存症者であれ、犯罪行為をした人間は周囲から批判されて当然です。

 次に、「万死に値する」という言葉は野口氏も言っている通りにあくまで比喩表現に過ぎません。実際に死ねとか二度と世の中に出てくるなと言っているわけではなく、ただその行為に対する責任が計り知れないほど重いと言っているだけです。「死」という文字が入っているだけでこのような抗議をするなんて過剰反応もいいところであり、だったら「必死」とか「決死」という言葉を使ったらどうなるんだと、これらも使っちゃいけないってのかよと言いたくなり、表現の幅を無意味に狭めるだけの言葉狩りであるようにしか私には見えません。

 そもそも、個人に対する搾取としては確実に歴代上位ランカーに入るであろう今回の水原氏の行為はヤクザの世界なら消されるに十分値するレベルです。それどころか数々の隠蔽工作や発覚直後の虚言の数々は、大谷選手の栄光あるキャリアを閉ざす可能性もあったほど危険なものであり、部外者である私ですら見ていて怒りたくなる悪行でした。
 そうした点を踏まえると、これが「万死に値」しなければ何が値するんだと言いたくなるような状況であり、これにケチをつけること自体が犯罪を助長するような言い方に思え、むしろ不適当であると思えます。

 その上でもし水原氏に対面するならば、「どうせこの先生き永らえたって搾取した大谷選手の金を数%も償えるはずもないのだから、悪いと思ってるのならとっととくたばれこのドブネズミ野郎!」くらいは私も言いたいです。何度も言いますが、それだけのことを彼はやってのけたと思います。
 にしてもこのセリフ、なんかベジータが言ってそうなセリフだなぁ。

 ただマジな話、いや先に書いた内容も十分マジですが、水原氏にはもう二度と日本の地を踏んでもらいたくもないし、大谷選手にも近づいてほしくないです。あれだけ家族のように信頼してくれていた人物に対し、銀行口座の開設時点からいろいろ工作していたなんて本当に大谷選手のことを金づるとしか思っておらず裏切っていたなんて、なるべく苦しみぬいて早く死んでもらいたいものです。

2024年4月14日日曜日

イランのイスラエル領内への攻撃とロシアへの影響


 なんか急に軍用車両をインテリアに使いたくなって、M8榴弾砲のキットを買って作っていました。

こんな感じでパソコンの上のインテリアに

 話は本題ですが本日未明、イランがイスラエル領内へミサイルとドローンによる混成攻撃を行いました。これはシリアにあるイラン大使館へのイスラエルによる攻撃に対する報復だとして、イラン側はこれ以上の攻撃は行わない旨を言明しています。
 それもそのはずというか、イランとしてはそもそも、イスラエルに対して攻撃をすること自体を望んでいなかったように見えます。実際に攻撃したら激しい反撃にあうのは目に見えているからですが、大使館へのイスラエルによる攻撃に何も反応しなかった場合、イラン国内からの反発や批判が起こるため、「借りは返した」的な口実とするための攻撃が何としても必要であったことから今回攻撃に至ったのではないかとみています。しかし拡大自体は一切望んでいないことから、こうしてこれ以上の攻撃を行わないと宣言したのでしょう。

 今回のこの攻撃は米国より、事前に世界各国へ報道ベースで周知されており、海外居住登録をしている自分のところにも外務省からイスラエル国内では気を付けるよう促すメールが届いていました。単純に米国やイスラエルの諜報が攻撃を事前につかんでいただけでしょうが、もしかしたらイラン側から米国に「一発攻撃を行う」という風に伝えていたのかもしれないとも見ています。というのも、この後の展開で米国が大きな主導権を握るからです。

 現在、イスラエルはガザ地区でハマスとの戦闘を続けており、北部半分は占領したものの南部はまだ制圧を完了していません。ただ時間さえかければ完全制圧も達成できるように見え、ここにきてハマスも和睦交渉に乗り出すなど追い込まれた様子を見せています。
 さすがにイスラエルといえども二面作戦は難しいでしょうが、逆を言えばハマスと和睦するかガザ地区を完全制圧した後であれば、イランに対し今回の攻撃に対する報復に打って出てくる可能性は十分あるように見えます。何よりも、かねてからイランを叩きたいと思っている米国にとってはこれ以上ない口実で、イスラエルに対して軍事支援を行う、または連合軍を組むなどしてイランに宣戦布告する可能性も予想されます。この辺、どう転ぶか現状では全く予想できませんが、ハマスがイスラエルとの和睦に前向きな姿勢を見せたのは恐らく、今回のイランの報復攻撃の計画を知っていたからじゃないかと思います。

 こうした中東情勢でも複雑な状況を見せていますが、中東以上に今回のイランの行動が影響するのではないかと思うのがウクライナです。というのも先日、ロシアが開戦当初にトルコが提案したウクライナとの和睦案に対し検討する方針を突然見せているからです。

 この和睦案の内容は、クリミアはロシアが支配し、それ以外の開戦前のウクライナの領土からはロシア軍が撤兵する代わりに、ウクライナはNATO加盟を見送るという内容でした。事実上、北欧諸国がNATO入りしたことを除けば開戦前の状態に戻す案で、ロシアとしては敗北といってもいい内容なのですが、何故ここでこの和睦案を検討し始めたのかというと、イランの情勢が怪しくなってくることをロシアも把握していたのではないかとみています。
 現在、ロシアに対する軍事、特に砲弾やドローンなどの軍備面での支援はイランが最も中核となっています。そのイランが仮にイスラエルと戦争が勃発した場合、ロシアに回す兵器を自国で使用するため回せなくなります。もしかしたら現時点でも、イスラエルの備えとしてイランはもうロシアにミサイルなどをまわしていないかもしれません。

 この状態が続いた場合、ただでさえ攻めあぐねているウクライナ戦争でロシアはより劣勢となり、その劣勢を見た欧米諸国が勝機とみてウクライナに対する支援を一気に拡大する可能性があります。そうなると事態はロシアにとって最悪となるだけに、形式的ながらロシア大統領選も終わったことだし、敗戦となるも今のうちに和睦をとプーチンも考えたのではないかとみています。今回のイランの攻撃を見て、自分が真っ先に考えたのは上記の内容です。

 以上を踏まえて言うと、日本の国益を考えるならウクライナの完勝が最も望ましいだけに、この際イスラエルとイランが開戦してくれた方がロシアを致命的に弱体化させる一手となるだけに、有利な運びとなるように見えます。もっとも実際に開戦するとなると石油価格は高騰するであろうし、その他の影響も大きく広がるだろうことから、本当に日本の国益につながるかと言ったら実際のところは微妙です。
 また米国としても、ウクライナ支援だけでなくイラン戦争まで引き受けるとなると果たして軍備が持つのか怪しいところがあり、二の足を踏む可能性があります。そのような場合、イランに対して融和策を取るというか、イスラエルとの仲介に努めることも十分あるでしょう。
 ただ仲介を行う場合、「今回イスラエルを止めてやるから、ロシアへの援助を切れ」と条件を付けてくれれば、都合のいい想像ですが開戦に至らず、ロシアも弱らせることとなるので、日本にとって最良のシナリオになるのではないかと考えています。仮に自分が日本の外交担当であれば、こっちのシナリオにもっていくよう周りを説得するでしょう。結果的に米国が負担するウクライナ支援もこれで少なく済むようになるんだし。

 しかし何度も言っている通り、情勢が今後どう転ぶかは全く予想がつきません。でもって米国内では大統領選の真っ最中なだけに、中東情勢に対する外交方針ももちろん議題に挙がってくるだけに、両候補ともポジショントークに使って状況をさらにややこしくしてくる可能性もあるでしょう。
 少なくともいえることとしては、この中東情勢の変化にロシアもかなり慌てているように見えるだけに、この状況を如何に対ロシアとして活用するかが日本が考えるべきトピックでしょう。逆に中東情勢に関しては、歴史的にも地理的にも縁が薄く、巻き込まれることが非常に危険なだけに、関与を極力薄くしつつ、状況の鎮静化を訴え続けることがベターな気がします。

 それにしても、自分が生きている間としては今が最も中東が荒れた状態と言え、こんな状況を目にするとは思っていませんでした。中東戦争を見ていない世代ですが、本当にこの地域はしがらみが多いのだと思わされます。

2024年4月12日金曜日

想像を超えた水島一平氏の詐欺行為

 昨日は記事に書きませんでしたが元相撲取りの曙の逝去はまた胸に応えました。自分が相撲をまじめに見るようになったのは朝青龍の時代からですが、それでも曙は子供の頃に「曙みたくデカい」などと大きさのたとえに使われるほど浸透していた存在であり、自分の平成時代を彩る人物でありました。
 鳥山明といい、今年は気温変動が激しいからなのか何故か著名人がよく逝去される年だと思います。

 話は本題ですが今日になってようやく、大谷翔平選手の元通訳こと水島一平氏の闇賭博とその詐欺事件の全貌が明らかとなりました。明らかとなったのは捜査がほぼ完了し、訴追などについて捜査当局が水島氏と合意したのか捜査情報を明らかにしたのだと思いますが、当初は7億円と言われた搾取金額が実は24億円にも上ったことをはじめ、大谷選手の騙して口座情報や連絡先なども弄っていたなど、極悪人と呼ぶにふさわしい所業の数々に今日のスポーツニュースは大賑わいでした。
 ぶっちゃけこの一連の報道で、スポーツ新聞各紙はどれだけPVあげたのかが気になります。自分も内容わかっていながら別の記事をついつい見比べちゃったし。

 それにして彼についてはほとほと呆れるというか、悪事がばれた後も見栄からか真実とは異なる虚言を吐いて大谷選手も関与したかのように吹聴したというのは強い嫌悪感を催します。現時点では大谷選手は潔白だと捜査当局も太鼓判を押してくれたので安心ですが、もし何かの間違いで大谷選手も当局に疑われた場合、試合出場にも影響したであろうことを考えると本当に最低なことをしでかしたと思えます。
 ネットにも書かれていましたが、彼が大谷選手のために細々と世話を焼いていたのは自分の悪事発覚を恐れるためであったように思え、そうだとすると本当に水島氏は大谷選手のことを金づるとしか思っていなかったのかもしれません。

 今回の騒動で水島氏を取り上げていた一部の教科書が修正を余儀なくされたといいますが、むしろここまで来たら「どれだけ順調な人生を歩んでいてもギャンブルにのめりこんだら一瞬ですべてを失う」例として、道徳の教科書にでも載せた方がいいような気すらしてきます。

 ただ今回、不幸中の幸いというかまだこの時点で発覚しただけよかったのかもしれません。元々、違法賭博の捜査過程で大谷選手の口座が出てきたことから発覚につながりましたが、もし未だに発覚していなければ水谷氏は今日も大谷選手の金を搾取して賭博を行い、その被害額を拡大させていたことでしょう。もちろん現時点の被害額も相当なものですが、これくらいで済んでまだよかったと思うほかないでしょもう。

 にしてもこいつのせいで世の中の一平さんはどれだけ偏見を受けることとなったのか。何気にカップ焼きそばの「夜店の一平ちゃん」も若干ギャンブルな感じに見えてしまうようになったし。

2024年4月10日水曜日

山崎製パンの10年で4人の死者報道を見て

「山崎製パン」約10年で4人の死者が… 大手スポンサーにメディアは忖度、取材に笑いながら「調査いつ終わるかも分かっていません」(デイリー新潮)

 上の記事見出しを見て私は初見で、「10年で4人って……すごいな」という感想を持ちました。で以って記事の中身を見たら、「えっ、4人でひどい工場って書かれるの?10年で二桁行かないのに?」という感想を続けて持ちました。

 決して工場勤務を長くしているというわけじゃないですが、工場で人が死ぬ労災事故なんて決して珍しくないと自分は考えています。自分がいた工場でも大体年一ペースで死亡事故が発生しており、この時の経験から年間1人ペースだったらまぁ普通かという感覚を持っています。
 また大手鉄鋼メーカーにいた知人なんかは鉄工所だと「大体月一くらい死亡事故発生してるよ」と言っており、私もそんなもんだという風に思ってました。

 なので上のヤマザキパンのニュースを見ても、あれだけの規模の工場で年平均1人ペースを切るなんて、よっぽど安全対策のしっかりした工場だと思い、てっきり上の記事も「大きな工場はこれだけ安全対策をしているんだぞ!」的に書かれているもんだと本気で思って開きました。そしたら逆に4人も死んでて冷血な会社だとののしっており、コメント欄でも「これだからヤマザキパンは……」などと否定的なコメントばかりで、「これじゃまるで俺がおかしい奴みたいじゃんか(;´・ω・)」という風に思えてきました。

 実際に自分の感覚がおかしいのかもしれませんが、工場の製造現場というのはそれだけ危険が多く、また死亡事故レベルの労災も決して珍しくはないものだと思っています。ほかの製造現場で働く人に聞いてもままあるという話を聞きますし、「人が死ぬことのない安全な生産」なんてものは夢物語な建前であり、生産現場における死は決して遠くのものではなく身近なものとみています。

 そのうえで言うと、ヤマザキパンをかばうつもりはありませんがこうした製造現場の死よりも日本人はもっと自殺に対して意識向けた方がいいのではないかという気がします。あっちは毎年数万人死にますし、未遂者の数は実際の死亡数の数倍に上るとも聞きます。製造現場での死を嘆いたり、企業を責めるのも確かに必要なことかもしれませんが、人の命を守ったり大事にしたりというのであればもっと自殺に目を向け、その抑止に動く方が絶対数的にも、救える数的にも大きい気がします。
 っていうかヤフコメの反応がこれほどまでヤマザキパンにネガティブだったのが非常に意外でした。今度労災死の実数とか調べてみようかな。

2024年4月9日火曜日

中国の失墜が招くアジアの政治経済変動

 今日も仕事少なくてのんびり……と思いきや、定時2時間前に急に仕事着て、このラスト2時間に物凄い集中力使って仕事したためか、かなり(ヽ''ω`)な状態となっています。やっぱ疲労って集中力に比例する。

 話は本題ですがこのブログは国際政治を専門に語ろうと開設したくせにこのところ一切国際政治を取り扱ってないので、ややマクロな視点でこれから数年間のアジア情勢を語ろうと思います。
 まず今後ほぼ確実に起こる想定というか前提として、経済不調による国際政治上における中国の権威失墜があります。あれこれ手をこまねいていますがそれでもかつての中国と比較して今の対応はスピード感がなく、また最も重要な不良債権処理にも取り掛かろうとしないため、最低でも2、3年間は中国は景気が悪化し続けると私は見ています。なんか最近景気は底打ちしたとか自分で言っていますが、具体的な根拠データもないし、また引き合いに出したデータはどれも統計的に破綻したものしかなく、あんな統計データを出さざるを得ないあたり中国が本当に苦しんでるのが逆によくわかります。

 この中国の失墜ですが、これがアジアに及ぼす影響は小さくないでしょう。2010年代、というよりリーマンショック以降のアジアは中国が文字通り政治、経済の中心でした。かつて日本はバブル期に欧米から「雁行型発展」という言葉で、日本を筆頭にしてアジア諸国が経済成長していくなどと分析されましたが(実際はそうはならなかったが)、2010年代は中国の経済発展が波及する形でアジア諸国、特に東南アジア諸国も経済成長すると同時に、中国から政治的圧迫を受けるようになっていきました。
 それが今回の中国の不景気によって、水を差された状態となっています。すでにタイやベトナムは中国からの受注や投資が減少し、景気が悪くなってきていると聞きます。このように中国の不景気はその恩恵を受け、経済面で中国への依存度が高かった国に対しても今後さらに波及してくとみられ、いろいろ悪影響を及ぼすと予想します。

 この際、影響をあまり受けないとみられるのがインドで、その理由は取引が少ないわけではないものの、中国への経済依存度が低いためです。ではインドが中国に代わって今後躍進していくのかというと私はそうは思わず、確かに人口からくる潜在力は高く近年の成長はBRICSと言われた時代よりも目覚ましいものの、依然としてインドは女性差別などの社会問題を抱えており、中国みたいな急成長は起こらないという風に考えています。
 その代わりと言っては何ですが、今一番アジアで気になっているのはインドネシアです。この数年間でアジアで最も経済成長していると思われるのがインドネシアで、その人口、また社会構成から考えても伸びしろはまだ余裕があるように思えます。このインドネシアが中国の不景気によってあおりを食らうのか、それとも中国への経済依存度をさらに減らしてもっと発展していくのか、この辺がアジア経済を見るうえではすごい重要になってくるような気がします。

 翻って日本ですが、日本も中国に対する経済依存度は高いものの、近年は米国主導のデカップリングに乗っかることで逆に外国からの投資を集めるような状態となっています。また日系企業も家電を筆頭に中国依存以前にそもそも産業として潰れている業界も少なくなく、最近は観光と投資と自動車で食ってきているところがあり、その自動車もかつてのレアアース問題やロックダウンを受けて他のアジア諸国への生産能力分散が進められているだけに、タイやベトナムほどには中国の不景気のあおりは受けないのではないかとやや楽観的に見ています。

 むしろ対中デカップリングの流れで近年は、台湾、韓国との棲み分けと経済連携を深めており、この環東シナ海連携が深まることでいい風が吹くのではないかとみています。ついでに書くと最近倒産件数が増えているというニュースが出ていますが、本来潰れるべき企業が賃上げや物価高の流れで潰れているように見え、むしろいい傾向だと思います。むしろ今の倍くらいの企業が潰れて産業再編が進み、安い人件費を武器に外国企業の誘致を進めれば日本のダメな経営者も一掃できてなおよくなる気がします。

 逆に中国は近年、金に物を言わせて結構強引な要求を他国に繰り返したうえ、北方のロシアを除く180度範囲で領土紛争を引き起こしているだけに、落ち目になるとヘイトをためた国からいろいろ反撃を受ける可能性があります。自分でも見ていて本当に不思議ですが中国の外交は味方よりも敵を敢えて作ろうとしている節があり、それが今後悪い意味で結果が出てくるかもしれません。
 中国としては国内需要だけでもまだまだ経済成長を達成できると考えているかもしれません。それは決して間違いではないと思いますがその方針に転換するにはあまりにも急すぎるように思え、もう少し時間をかけてやるべきところをなんか急ぎだしており、これがどう出るかがわかりません。

 そのうえで日本としては中国包囲網的な外交を行うのではなく、まずは近くの韓国、台湾との関係をより強化することが何より大事な気がします。変に東南アジアやオセアニアに手を伸ばしてもこれまでもあまり効果がありませんでしたし、むしろ戦闘機をはじめ欧州との提携の方が日本にとっても価値がある気がします。隗より始めよじゃないですが、変に大風呂敷な外交姿勢はかえって失敗しやすいだけに、手近なところから関係を強化していくことで、今後の変遷にもうまく対応できるように考えています。

2024年4月7日日曜日

上海ロックダウンから2年


 またロボティアの記事で、ため記事を一気に配信されたためまた来週からは色々書き溜めなきゃいけなくなりました(;´・ω・)
 今回の記事はスズキのVWとの提携中止で、これまでとは違い前向きなプロジェクトEndな事例です。最近またNHKが日本でプロジェクトXを放送し始めたそうなので、こっちのプロジェクトEも注目集めたらいいなと勝手に思ってます(´∀`*)ウフフ

 話は本題ですが先日友人の上海人と並んで歩いている最中、「今から2年前、あのロックダウンが始まったな(ヽ''ω`)」という言葉がポツリと出てきました。

 あの上海ロックダウンについては当時もこのブログでかなり口汚く文句ばかり書き綴りましたが、長期化するにつれて生活に慣れていったのかその手の文句も減っていったような気がします。ぶっちゃけ歴史的な一事件を体験したとは思いますが、あんな苦しい思いするなら体験しなくてもいいし、中国政府を一生恨む十分な理由ができたと思っています。
 当時のブログにも確か書いていますが、あのロックダウンを受けて当時の日本人の同僚が一人職場を去りました。その理由というのも「こんな国にはもういたくない!」と、同僚の中国人妻が言い出したからだそうです。ああいう事態が起きた後の踏ん切りというか損切の覚悟で言えば、あんな目に遭いながら今も妥協して中国に暮らす自分なんかよりずっと強いんだと、密かに中国人をリスペクトする出来事でした。

 結局、あれほどの犠牲を払ってロックダウンを敢行し経済にも深刻なダメージを与えておきながら、その年の12月には中国はゼロコロナ政策をやめています。執行中はあれだけゼロコロナの優位や効果を謳っておきながら何故やめるのか、経済にも貢献していたというのならもう一回やってみろよと内心言いたいところですが、やるんだったら自分がいないところで、共産党内だけでやってほしいものです。
 
 あのロックダウンを経験して自分が得た教訓としては、何よりもカレーよりも人は自由を譲り渡してならず、自由こそ最も尊重すべき概念であるというアメリカ人っぽい思想です。もちろん公共のためにはいくらか自由が制限されるのは当然ですが、それでもすべての自由を放棄したら本当に人間として、社会としてだめになるし、また国家としても一定の自由を保障できないのであればかえってその国家は弱体化するという風にもロックダウンを見て感じました。
 もう一つの教訓というか最大の思い出としては、ご飯と野菜だけで暮らしていたあの日、団体購入で初めて届いた冷凍シュウマイの味は非常に強烈だったというか今でも忘れられません。あまりの感動からいつか日本に帰ったらお金をためてシュウマイの神社を作ろうと思ったほどで、この願いは今も持ち続けています。それくらい、あの時食べたシュウマイは神のように感じました。

 などと語りだしたら止まらないロックダウンの思い出ですが、先日暖かい日和の中で自転車で駆け出し、外で桜の花が咲いているのを見て、「ああ、桜の花を見る自由すら2年前はなかったのか」などと思いを馳せていました。そういう意味ではこうして自由に動ける春の日々というだけで感謝の正拳突きをしようかなと思えてきます。同時に、あの時のトラウマにまだ自分は囚われてるのだなとも思え、今自分が奪われ、なおかつ戦火にさらされているガザ市民のことを思うと本気で胸が苦しみます。ロックダウンを経験していなければ、ガザへの気持ちは今とは全く違ったものだったことでしょう。