図1●VMware Playerを使って,Windows XP上でLinuxを動かした<br>Ubuntu-jaプロジェクトのWebサイトからダウンロードした,Browser Appliance Virtual Machineの日本語版。
図1●VMware Playerを使って,Windows XP上でLinuxを動かした<br>Ubuntu-jaプロジェクトのWebサイトからダウンロードした,Browser Appliance Virtual Machineの日本語版。
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 無償で利用可能な仮想マシン・ソフトが話題だ。米VMware社の「VMware Player」である。製品版の「VMware Workstation 5.5」と同じ仮想マシン・エンジンを使いつつ,仮想マシン環境の作成機能や仮想マシンのハードウエア設定変更機能などが省かれている。

 ただ,仮想マシンのハードウエア設定は,そのためのメニューが用意されていないだけで,実は変更可能だ。また,インターネット上では,無償でダウンロードできるLinuxの仮想マシン環境がいくつか配布されている。VMwareもWebブラウズ向けのLinux環境「Browser Appliance Virtual Machine」を配布している。これをダウンロードすれば,すぐにWindows上でLinuxを,PCの再起動なしに使用できる。


Windows上の1ウインドウでLinuxが動く

 まずは,VMware Playerを使い倒す前に,仮想マシン・ソフトについて簡単に説明しよう。仮想マシン・ソフトとは,あるPC/OSの上で,別のPCのふりをするソフトのことである。これを使うと,例えばWindows上の1つのウインドウ内に別のWindowsやLinuxなどを動かせる。

 「エミュレータ」と同じ種類のソフトだが,仮想マシン・ソフトの場合,CPUなどは実機のものをそのまま使う点が異なる。そのため,エミュレータよりも高速に動作するが,x86 CPU上ではx86向け以外のOS,例えばPower PC用のMacOSなどは動かせない。


時間をさかのぼれるのが利点

 仮想マシン・ソフトの利点は,時間をさかのぼれる点である。例えば,開発中のソフトや,入手経路が怪しいソフトなどを動かす場合,システムのクラッシュやウイルス感染といった万が一のことを考えると,実機での実行はちゅうちょする。だが,仮想マシン上ならば,万が一のことがあっても,起動前に戻せる。システムをクラッシュさせるソフトを動かしてしまっても,それを動かさなかったことにできるわけだ。

 ほかにも,例えばLinuxなど普段利用していないOSを試す場合に役立つ。実機にインストールするには,パーティションの設定変更など危険な操作を伴い,慣れていないとなかなか手を出しにくい。仮想マシン・ソフトを使えば,既存の環境にはほとんど手を付けずに,別のOSを動かせる。


VMware Playerを入手する

 VMware Playerは,VMwareのWebサイトからダウンロードできる。Windows版とLinux版が用意されているが,ここではWindows版を利用する。同時に,Browser Appliance Virtual Machineもダウンロードしておこう。ただし,VMwareが配布しているもの(約258Mバイトある)には日本語のための設定がされておらず,Webブラウザで日本語が表示できない。日本語を表示できるものは,Ubuntu-jaプロジェクトのWebサイトからダウンロードできる(約341Mバイト)。

 普段PCを普通に利用しているユーザーならば,インストールにとまどうことはないだろう。VMware Playerをインストールし,zip形式で圧縮されているBrowser Appliance Virtual Machineを適当なフォルダに展開したら,VMware Playerを起動しよう。仮想マシン環境(の設定ファイル)を開くためのダイアログが表示されるので,先ほど展開したBrowser Appliance Virtual Machineの設定ファイルを開く。すると,1つのウインドウ内でLinuxが起動し,Firefoxが起動する(図1[拡大表示])。

 次回からは,VMware Playerをいろいろとカスタマイズしていく予定だ。