ITエンジニアにとって,今やUMLモデリングのスキルは必須と言って良いでしょう。特に要求の妥当性を判断するため,システムの導入によって業務がどう変わるのかを可視化する上でモデリングは大いに役立ちます。

 この講座では,RFP(Reruest For Proposal)の作成までに必要な,業務とシステムの分析について,UMLモデリングの基礎を解説します。Part1~Part2は「基本編」として,モデリングの意義や大まかな手順を学びます。その上でPart3~Part12において「演習編」として,中古車の買取・販売の業務を題材に,モデリングの実際を見ていきます。

 なおこの講座では,基本的にUML1.5をベースした表記を用います。これを拡張したUML2.0が登場していますが,実際には大抵の場合UML1.5 で事足ります。UMLモデリングの基礎を学ぶ上では,シンプルなUML1.5を使う方が良いでしょう。

Part1 モデリング入門――業務全体を“可視化”して顧客をナビゲート,モデリングのスキルが必要不可欠に 
Part2 モデリングの全体像――視点を分けて業務要求をとらえ,システム要求を論理的に導く 
Part3 業務の範囲と概要――業務の目的を一言で表現する,作業の基本的な流れで概要把握 
Part4 業務プロセス――業務をプロセスに分割する,作業の独立性と並行性に着目 
Part5 業務概念――業務の概念を明確にする,合意形成には用語定義が重要 
Part6 業務概念の洗練――業務概念にパターンを適用して洗練,理解しやすいモデルを効率的に作成 
Part7 情報の流れと状態――作業の入出力情報を明確にする,例外業務を状態遷移で表現 
Part8 業務の目的と要求――利害関係者を漏れなく洗い出す,目的を構造化して業務要求を定義 
Part9 システムの範囲――利用者の立場でシステムをとらえる,システムの範囲は「利用方法」で明確化 
Part10 システムの定義――「利用方法」を“契約”として定義,入出力データの構造を可視化 
Part11 アプリケーションの構成――利用方法とデータを統合する,システムをコンポーネントに分割 
Part12 アーキテクチャ――ソフトとハードの構成を明確化,提案依頼書にモデルを活用する