ふきのとう (フォークグループ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ふきのとう
FUKINOTOU
出身地 日本の旗 日本 北海道
ジャンル
活動期間 1972年 - 1992年
レーベル
旧メンバー

ふきのとう(FUKINOTOU)は、山木康世細坪基佳によるフォークデュオ

1970年代フォーク/ニューミュージックブームの牽引役となったグループのひとつ。ともに北海道出身。

メンバー[編集]

人名 生年月日 出身地
山木康世
(やまき やすよ)
(1950-10-22) 1950年10月22日(73歳) 北海道札幌市
細坪基佳
(ほそつぼ もとよし)
(1952-10-26) 1952年10月26日(71歳) 北海道雨竜郡沼田町

来歴[編集]

  • 1972年北海学園大学にて山木康世細坪基佳と他二名で、マッド・スライド・スリムを結成。その後、山木康世と細坪基佳の二人でふきのとうの前身である、メロディーを結成[注 1]ニッポン放送系列「バイタリス・フォークビレッジ」アマチュア・フォークコンテスト札幌地区予選に出場するが、一次予選落ちした[1]。その後、NHK札幌放送局のテレビ番組にふきのとうに改名して出演した。
  • 1973年コンテストに多数出場し、ヤマハ・ライトミュージック・コンテスト北海道大会にて「帰り道」で優秀グループ賞、また、日本テレビキンキン&ムッシュのザ・チャレンジ!!』で準優勝した経験がある[1][注 2]
  • 1974年、「白い冬」でデビュー[注 3]。以後「風来坊」「春雷」「やさしさとして想い出として」などがヒット。
  • 1981年、ふきのとうのプライベートレーベル「Silverland」(シルバーランド)を設立。その第1弾として、同年の5月21日にシングル「メロディー」とアルバム『D.S.ダルセーニョ』を発売した。この頃から、二人は相次いでソロアルバムを発表。ともに2枚ずつ制作している。
  • 1984年日比谷野外音楽堂にて、「ふきのとうデビュー10周年記念コンサート」を行う。予約の定員を遥かに上回る4万通の応募があった[1]
  • 1987年、ふきのとう最初で最後の日本武道館コンサート「緑輝く日々」を行い、1万人を動員する[1]。この頃から、山木と細坪の間には亀裂が入り始める。背景には、楽曲・歌唱力双方で力をつけてきた細坪と、「あくまで自分の曲を細坪が歌うことがふきのとうのスタイルである」とこだわった山木との考えの違いが大きくなっていったということがあった[注 4]
  • 1992年5月8日北海道厚生年金会館でラストライブ『ever last concert』を開催し解散。ライブでは、ステージに登場した二人はまず、互いにがっちり手を握り合い、曲を次々に披露。アンコールは2回を超えて、山木が「守衛のおじさんがいいって言ったから」と、コンサートは夜10時を過ぎても終わらなかった。これで結成からおよそ18年続いたグループに幕を降ろした。
  • 解散後、ふきのとうにとってのメモリアルイヤーなども含め、2020年現在まで一度も再結成をしていない。これに対して細坪は「お互いにやり残したことがまだある。だから再結成はまだない。」と話しており[2]、山木も、「ないだろうなあ。もしやるとしたら、現役引退の最後の最後でしょう。」と語っている[2]

音楽性[編集]

  • 二人ともに作詞作曲をしリードボーカルをとるが、シングルでは山木が制作した歌を細坪がメインに歌い、山木が6度下のハーモニーを重ねるという独特なパターンが主で、後述のように、山木はこのパターンこそがふきのとうであると考えていた。[要出典]
  • それぞれのソロアルバムでは、「ふきのとう」とはひと味違う世界観を表現しようという軌跡がうかがえる。[独自研究?]細坪は、を表現するのにアコースティック・ギターストリングスピアノの音色を最大限に活用して寓話的な要素を織り交ぜながら細坪ワールドの奥行きを示し、山木は「自分の楽曲の原点を示すこと」を意識して、ハーモニーに頼らずに、自転車で感じる空気、友やへの想いを飾らずに音でスケッチして見せた。[要出典]
  • 1976年6月21日リリース5枚目のシングル「風の船」リリース時『報知新聞』1976年7月19日付のレコード評「佐渡島、金沢などの地名をおりこんだ、"ディスカバー・ジャパン"的な旅の歌だね。メロディーにうまくあって、なかなかいい。ちょくちょく地方公演を行い、全国を歩きまわっている二人組らしい歌だと思う。今様吟遊詩人ってとこかな。実に軽く、おしつけがましさのない曲だ。しろうとっぽいけど、そこがこのグループの持ち味みたい。机の上や、頭の中でこねくりまわして作ってる感じが全然なく、自然に歌っている。歌自体は別に深い意味はないからイージーリスニングとして聴けるよ」[3]
  • 全国コンサートツアーをコンスタントに続け、1978年には年間250本のコンサートを行った。また、沖縄県で特に人気が高く[注 5]、同じく1978年には沖縄限定シングル「ここは沖縄」を発売している。

ディスコグラフィー[編集]

シングル[編集]

# 発売日 タイトル c/w 規格 規格品番
CBS・ソニー
1st 1974年9月21日 白い冬 夕暮れの街 EP SOLB-176
2nd 1975年2月21日 南風の頃 雪どけ水 EP SOLB-222
3rd 1975年5月21日 初夏 散歩道 EP SOLB-270
4th 1975年10月21日 街はひたすら 眠る君のそばで EP SOLB-324
5th 1976年6月21日 風の船(海よりも深く…) 君は人形 EP 06SH-23
6th 1976年9月21日 雨ふり道玄坂 おやすみ (Good Night) EP 06SH-66
7th 1977年3月1日 美しく燃えて 哀歌 EP 06SH-124
8th 1977年7月21日 風来坊 僕… EP 06SH-191
9th 1977年12月21日 流星ワルツ EP 06SH-255
10th 1978年4月21日 影法師 激しい雨 EP 06SH-325
11th 1978年8月1日 ここは沖縄[注 6] 五色のテープ EP 06SH-373
12th 1978年9月21日 思い出通り雨/初恋 EP 06SH-396
13th 1979年2月25日 春雷 ば〜じにあ・すりむ EP 06SH-465
14th 1979年7月21日 柿の実色した水曜日/青空 EP 06SH-570
15th 1980年1月21日 やさしさとして想い出として/Simple Song EP 06SH-693
16th 1980年10月1日 冬銀河 成人式 EP 06SH-865
CBS・ソニー / Silverland
17th 1981年5月21日 メロディー 静寂(しじま) EP 07SH-992
18th 1982年5月21日 涙のらぶれたあ Love Song EP 07SH-1164
19th 1982年10月21日 ひとりの冬なら来るな 吹き過ぎる風ばかり EP 07SH-1230
20th 1983年4月21日 雨に濡れて 流れゆく河のほとりで EP 07SH-1283
21st 1983年11月21日 12月の雨 枯葉 EP 07SH-1432
22nd 1984年6月1日 YABO 五月雨 EP 07SH-1512
23rd 1984年11月21日 銀色の世界 高き空・遠き夢 EP 07SH-1585
24th 1985年4月1日 季節の夕暮れ 北窓をあけて EP 07SH-1622
25th 1986年6月21日 星空のページェント ガス燈 EP 07SH-1787
26th 1986年10月22日 ココナッツ・ムーン 木の葉が風に EP 07SH-1835
27th 1987年5月21日 何故 愛は…/緑輝く日々 EP 07SH-1931
Sony Records
28th 1991年5月22日 輝く朝に 〜ABRAXAS〜 Daisy 8cmCD SRDL-3286

アルバム[編集]

オリジナル・アルバム[編集]

# 発売日 タイトル 規格 規格品番
CBS・ソニー
1st 1974年10月21日 ふきのとう LP SOLL-92
2nd 1975年6月1日 ふたり乗りの電車 LP SOLL-145
3rd 1976年7月1日 風待茶房 LP 25AH-37
4th 1977年4月21日 水車 LP 25AH-184
5th 1977年11月1日 風来坊 LP 25AH-340
6th 1978年7月21日 思い出通り雨 LP 25AH-542
7th 1979年5月21日 人生・春・横断 LP 25AH-716
CBS・ソニー / Silverland
8th 1981年5月21日 D.S.ダルセーニョ LP 28AH-1239
9th 1982年11月21日 Sketch LP 28AH-1495
10th 1983年11月21日 011 LP 28AH-1664
11th 1985年4月21日 北極星 LP 28AH-1852
12th 1986年8月1日 星空のページェント LP 28AH-2076
CD 32DH-493
13th 1989年9月27日 金色の森・銀色の風 CD 32DH-5312
Sony Records
14th 1991年6月21日 Heartstrings CD SRCL-1949

ベスト・アルバム[編集]

# 発売日 タイトル 規格 規格品番
CBS・ソニー
1st 1976年11月21日 歳時記 LP 25AH-118
2nd 1978年11月1日 THE BEST ふきのとう ベスト Vol.1 LP 25AH-614
3rd 1979年11月1日 THE BEST ふきのとう ベスト Vol.2 LP 26AH-870
CBS・ソニー / Silverland
4th 1985年10月2日 THE BEST ふきのとう ベスト Vol.3 LP 28AH-1911
CD 32DH-285
5th 1987年4月22日 THE BEST ふきのとう ベスト Vol.4 LP 28AH-2164
CD 32DH-639
6th 1988年7月1日 緑の風を… Ever Green Breeze 8cmCD 15EH-8024
Sony Music Entertainment (Japan) Inc.
7th 1997年11月21日 GOLDEN J-POP/THE BEST ふきのとう CD SRCL-4121/2
8th 2000年5月24日 2000 BEST ふきのとう CD SRCL-4808
Sony Music House
9th 2002年6月19日 GOLDEN☆BEST ふきのとう SINGLES I CD MHCL-125/6
10th 2002年11月20日 GOLDEN☆BEST ふきのとう SINGLES II CD MHCL-185/6
Sony Music Direct
11th 2007年7月12日 ふきのとう ベスト・オブ・ベスト CD DQCL-2010
12th 2008年7月1日 ふきのとう ベスト・ヒット CD DQCL-2126
13th 2009年8月19日 GOLDEN☆BEST ふきのとう ALL SINGLE SIDE-A COLLECTIONS Blu-spec CD
(完全生産限定盤)
MHCL-20064/5
CD MHCL-1575/6
14th 2013年4月10日 ふきのとう スーパー・ヒット CD DQCL-6026

ライブ・アルバム[編集]

# 発売日 タイトル 規格 規格品番
CBS・ソニー
1st 1980年3月21日 ふきのとうLIVE 風をあつめて… LP 40AH-933/4
2nd 1980年7月21日 ふきのとうLIVE アンコール やさしさとして想い出として LP 22AH-1019
CBS・ソニー / Silverland
3rd 1984年11月21日 ふきのとうライブ 日比谷野外音楽堂 LP 90AH-1081/4
4th 1987年10月21日 緑輝く日々 日本武道館LIVE LP 42AH-2248/9
CD 50DH-821/2
Sony Records
5th 1992年8月21日 ever last concert CD SRCL-2460
Sony Music Entertainment (Japan) Inc.
6th 2000年11月1日 ふきのとう LIVE プラス・ワン 風をあつめて…/やさしさとして想い出として CD SRCL-4918/20

セルフカバー・アルバム[編集]

# 発売日 タイトル 規格 規格品番
Sony Records
1st 1992年3月25日 ever last CD SRCL-2345

CD-BOX[編集]

# 発売日 タイトル 規格 規格品番
Sony Music Direct
1st 2006年11月10日 ふきのとう GIFT BOX CD DYCL-1301
2nd 2017年5月29日 ふきのとう オリジナル・アルバム・コレクション 1974〜1979 Blu-spec CD2 DQCL-3301-07
ふきのとう オリジナル・アルバム・コレクション 1974〜1979+Guitar Book File[注 7] Blu-spec CD2 MATO-741
3rd 2020年5月27日 ふきのとう オリジナル・アルバム・コレクション 1981〜1991 Blu-spec CD2 DQCL-3575

映像作品[編集]

# 発売日 タイトル 規格 規格品番
CBS・ソニー / Silverland
1st 1984年12月1日 ふきのとうライブ 日比谷野外音楽堂 上 VHS 96ZM-3012
ふきのとうライブ 日比谷野外音楽堂 Part-I LD 78LM-36
2nd ふきのとうライブ 日比谷野外音楽堂 下 VHS 96ZM-3013
ふきのとうライブ 日比谷野外音楽堂 Part-II LD 78LM-37
3rd 1987年10月21日 緑輝く日々 日本武道館LIVE VHS 96ZH-141
LD 78LH-141
4th 1990年10月21日 ふきのとう 15th ANNIVERSARY 少年達の夏 VHS CSVM-162/3
LD CSLM-162/3
Sony Records
5th 1992年8月21日 ever last concert いつか、この空の下で… VHS SRVM-330/1
LD SRLM-318/9
Sony Music Direct
6th 2003年11月19日 ふきのとうライブ 日比谷野外音楽堂 DVD MHBL-3

タイアップ曲[編集]

楽曲 タイアップ 収録作品
白い帆を上げて 第一滝本館』CMソング[4] アルバム『Sketch
輝く朝に 〜ABRAXAS〜 YTVNTV朝の連続ドラマ花友禅[5]主題歌[6] シングル「輝く朝に 〜ABRAXAS〜

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 1981年にふきのとうそのものを表すかのような同名曲「メロディー」をリリースする。
  2. ^ その時の優勝は、オフコース大間ジローが在籍していたバンド・ザ・ジャネット
  3. ^ 「夕暮れの街」はB面に収録された。
  4. ^ 細坪は、アレンジ面で外部から第三者を招き(作詞家に松井五郎、編曲に矢野誠チト河内星勝など)、ふきのとうをより進化させたいという考えが強くなってきたため、細坪・山木双方の曲が両A面シングルとなるなど、関係修復は次第に難しくなっていった。
  5. ^ すべてのシングル有線リクエストで1位を獲得していた。
  6. ^ 沖縄県限定発売
  7. ^ Sony Music Shop内の「オーダーメイドファクトリー」限定発売(特設サイト)。

出典[編集]

  1. ^ a b c d Motoyoshi History”. 細坪基佳公式サイト「HarvestMoon」. 2017年5月25日閲覧。
  2. ^ a b 2005年北海道新聞社のインタビューより。
  3. ^ “レコード・ウィークリー 『作為のない旅の歌』 ふきのとう『風の船』(シングル・CBSソニー)”. 報知新聞 (報知新聞社): p. 18. (1976年7月19日) 
  4. ^ 第一滝本館の昔のCMソング!”. Facebook (2012年5月25日). 2019年11月11日閲覧。
  5. ^ 花友禅”. テレビドラマデータベース. 2019年11月11日閲覧。
  6. ^ 輝く朝に”. ORICON. 2019年11月11日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]