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るしぃた

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【BBSについて】
◆このBBSは、わたし「luci」が、TSF関連のお話を書き、投下するのがメインとなっています。
 ですので「TSFのSS」スレッドが中心になります。なる筈です。多分。
  が、なにぶん遅筆なため、更新が滞ります。気長に待ってて下さい。
  ※リンクはフリーです。奇特な方、リンクしてやって下さい。

【スレッドについて】
◆時々、個別のお話のスレッドを立てるかも知れません。
  スレッドは管理者以外は立てられません。
  スレッドは時としてスレッドストップをかけている場合があります。ご注意下さい。
【削除規定】
◆基本的には削除無しの方向です。
◆但し、以下の場合は削除します。悪しからずご了承下さい。
  ・livedoor及びしたらばの利用規約遵守していないカキコミ
  ・目に余る個人攻撃のカキコミ
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  尚、わたしがカキコミを間違えた場合(誤字脱字とか)は管理者特権で削除、アップし直します。

◆追加及び警告
※ここで掲載しているお話には、愛の全く無い暴力によるセックスシーンと
  著しい暴力シーンが展開している話があります。
  これらに嫌悪感を催す方はお読みにならない事をお勧めします。
  警告を無視してお読みになった場合、如何なる心理的変化が起きようとも、
  またその為にお読みになった「あなた」が犯罪に走ろうとも、
  当方、掲示板設立者であり作者のluci◆luci.asptIは責任を負いません。
  また当掲示板記載作品、及びその作者は、
  レイプ・輪姦等の性犯罪の助長を目的としてお話を書いている訳ではありません。
  レイプ・輪姦等の性犯罪は人権を無視した重大な犯罪です。
  ここに掲載されているお話は全て『フィクション』です。

※掲載しているTSFのSSと「luci★」、「luci◆m2rEvYNQbQ」、「◆luci.asptI」の発言の全ては、
  「luci◆luci.asptI」著作権があります。
Since Oct.13th 2005


スレッド作成:
タイトル:
名前: E-mail(省略可)
内容:

1 : ★感想処★(300) / 2 : 作品リスト(16) / 3 : TSFのショートショート「続、最近の俺はヤラれてばっかりだ」(1) / 4 : TSFのSS「ターニング・ポイント」(22) / 5 : NON-TSF「偶然が、あたしを。」※再掲、修正・加筆(23) / 6 : TSFのSS「Tatoo」(8) / 7 : TSFのSS「白と黒の羽」※再掲、修正・加筆(13) / 8 : TSFのSS「ウツロナココロノイレモノ…」(19) / 9 : TSFのSS「魔封の小太刀」(34) / 10 : リンク、スレ(6)
11 : TSFのSS「牧場のおいしいミルク」(ショート)(2) / 12 : TSFのSS「妖精とらぶる」(23)  (全部で12のスレッドがあります)

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1 ★感想処★ (Res:300)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 1
1luci★ :2007/09/20(木) 15:42:32 ID:???0
ご感想・ご意見などありましたら、お書き下さいませ。

291名無しのTSっ娘 :2017/07/31(月) 01:23:32 ID:QWL9HMHA0
そういや昔こんな小説あったな.,.で検索かけて探すこと5分。
まだ活動していることが分かって、うれしい。
最初にアナタの小説を読んでから、もう十年近く経つ。
また、読み直してみます。ありがとう。


292あむぁい :2017/08/25(金) 05:36:54 ID:/FAh7nSY0
ごめん…感想処に書こうとしたら作品リストに書いちゃったorz


293luci :2017/09/10(日) 03:17:03 ID:fqd.yh/M0
ここ最近は書けていない、というか、少しモチベーション下がってます。ゲームのストーリーが、流石に凄くて。
でも、まだ書きたいと思うので。時間かかりますけれど。

さて、わたしはまだ書いてます。お暇な時にお読みいただき、ご批判いただけるとありごたいです。

で、黄昏のシンセミアを今更買って、さっき終了しました。
実は伝奇もの書こうと思って、参考に買ったのですけど。引き込まれるし、泣けるし。良かったです。

でも自分の方はといえば…もう暫くは世界設定と人物設定練ろうと思います。

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


294あむぁい :2017/09/25(月) 08:56:59 ID:/FAh7nSY0
にやーん が消えてない!?


295名無しのTSっ娘 :2018/01/01(月) 02:09:51 ID:JA6uHn/U0
あけましておめでとう。


296luci★ :2018/01/26(金) 00:55:24 ID:???0
あけましておめでとうございます

でも、わたしはあんまりめでたくもないです。
年末にロードバイクから落車、大腿骨頸部骨折して入院してます。骨端にも細かいヒビが。
全治3ヶ月らしいです。なんか、大怪我らしいです。
足がつけないのでどんどん腿が細くなっていきます。リハビリしてるのですけどね。
当然お仕事はお休みです。
この隙に書けよと言われるのは尤もです。
なんですが。なんかやる気でません。Wi-Fiもないし。眠れないし。頭痛するし。足は捻ると痛いし。横向いて寝ようとしても好きな方向は向けないし。
トイレは痛くなるからしにくいし、お風呂も入りづらいし。入院費は1ヶ月の給料に近いくらいだし。いつ仕事復帰できるか分かんないし。散歩にも行けないし。時々行くけど。まだロードバイク修理出してないし。この際だからホイール交換して、ついでにコンポも変えちゃおうかなとか思ってるし。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


297luci★ :2018/01/26(金) 00:59:00 ID:???0
すみません。
取り敢えず生きてます。
そして、お読みいただきありがとうございます。
気長に待ってやっていただけるとありがたいです。


298名無しのTSっ娘 :2018/01/28(日) 02:34:34 ID:JA6uHn/U0
気長に待つから、お大事に。


299るしぃ :2018/06/24(日) 19:58:42 ID:XamfDOXY0
キュアブラックとキュア
ほわが出た
びっくり、


300名無しのTSっ娘 :2019/01/01(火) 01:56:00 ID:JA6uHn/U0
あけましておめでとう。健康と平穏を祈りながら今年も気長に待つから。


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2 作品リスト (Res:16)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 2
1luci★ :2009/10/09(金) 20:39:50 ID:???0
以前配ったCDーRについていた作品紹介とほぼ一緒です。
最近、何を書いたのだか、よく分からなくなっているので。

7luci★ :2009/10/14(水) 17:52:20 ID:???0
「穴、二つ。」TSF―憑依
 変身物ばかり書いていたので、憑依ものを書いてみようと思って作った作品です。
 この作品も「あむぁいおかし製作所」にて掲載しています。
ttp://okashi.blog6.fc2.com/blog-entry-1578.html


8luci★ :2009/10/14(水) 17:54:23 ID:???0
「牧場のおいしいミルク」TSF―変身
 2006年4月に携帯を利用して作っていたようです。自分でも忘れてたネタでした。
 一応、50,000ヒット記念作品扱いです。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5480/1164191741/


9luci★ :2009/10/14(水) 17:56:35 ID:???0
「Bloodline前編・後編」TSF―脳移植
 2006年9月より連載開始。2008年1月に後編終了。
 元ネタは、2005年秋位に2chに投下した「TSESPer」。
 一人称の脳移植TSFでしたが、途中で投げてしまいました。すみません。
 どちらかというと、TSはお話を進めるための調味料と言ったところです。
 「あむぁいおかし製作所」にて掲載しています。
ttp://okashi.blog6.fc2.com/blog-entry


10luci★ :2009/10/14(水) 17:58:13 ID:???0
「白と黒の羽」TSF―変身
 まったく思いつきで書き始めた作品。
 超自然的な存在に出逢ったことで、その運命が大きく変わってしまう、そんなお話です。
「あむぁいおかし製作所」にて掲載しています。
ttp://okashi.blog6.fc2.com/blog-entry-2561.html


11luci★ :2009/10/14(水) 18:07:24 ID:???0
「エル〜鶉谷くん in danger! 番外編〜」TSF―変身
 あむぁいおかし製作所にて公開された巴さんの絵を題材に、
 ありすさん、
 うずらさん、
 あずきちゃん、
 あむぁいさん、そしてわたしの五名で連作された「鶉谷くん in danger!」。
 その中でわたしが作った登場人物の「エル」に焦点を絞り番外編とした作品になります。
「あむぁいおかし製作所」にて掲載しています。
ttp://okashi.blog6.fc2.com/blog-entry-3456.html


12luci :2015/08/29(土) 07:23:57 ID:2DPKnLFk0
「ウツロナココロノイレモノ…」TSF―変身・人造
 2008年3月より連載開始。2015年8月に我が手を離れ、皆様の脳内へ。
 続編です。私が考える究極の自慰行為の続きです。
 他者を利用し殺しても、自分の半身を傷つけても、それでも続ける、狂気の話です。


13luci :2015/08/29(土) 07:51:20 ID:2DPKnLFk0
「魔封の小太刀」TSF―変身
 原案2005年11月。2009年9月より連載開始。2015年8月に我が手を離れ、皆様の脳内へ。
 元々剣劇したかったところに、MK-弐さんの「刀を抜くものたち」に触発された結果書き始めたもの、だった筈です。
 「アンシーズ」も勿論購入いたしました。
 当時は、チャットで会話してた方がプロの作家になってたので、びっくりでした。
 私の作品の方は、課題の一人称とプロット作成で四苦八苦してました。
 最初にイメージした場面は、冒頭の霧中の切りあいでした。これは今でもはっきり覚えてます。


14luci★ :2016/03/10(木) 00:48:02 ID:???0
「Tatoo」TSF―変身
 2015年10月より連載開始。2016年3月終了。
 私がタトゥーしたいから、それだけの理由で思いついて書いたものです。
 前二作を書かず、投げておきながら書いてしまったので、とにかく短編にしました。
 ラストへの道程は数パターンありましたが、いずれも主人公のたどり着くのは「死」のみでした。


15luci★ :2017/07/02(日) 18:26:31 ID:???0
「偶然が、あたしを。」NON-TSF
 2016年10月5日より連載開始。2016年10月25日終了。
 初めての普通の?お話です。最初に浮かんだのは凌辱されている場面をブロードキャストされた場面。
 M的な人にはゾクゾクする場面なのでしょうが、被害者の人生はこれにより捻じ曲げられながらも続く。
 そのとき、周りは? 自分は? どうなる? どうする? というのがテーマでした。
 多分、読みに来ている方の需要とは異なると思います。
 なんか、でも、ね。
 被害者の苦しみっていう話をエロの中に取り込んで読んでもらうっていうのも、ありかなって思ってます。
 だって、性犯罪者増えそうで怖いし。


16あむぁい :2017/08/25(金) 05:35:49 ID:/FAh7nSY0
にゃーん


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3 TSFのショートショート「続、最近の俺はヤラれてばっかりだ」 (Res:1)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 3
1luci★ :2017/07/06(木) 00:06:10 ID:???0
「くっそあっちぃなぁ」
「んだよ、スカートばたばたさせてんじゃねぇよ。色気がねぇなぁ」
「はぁ? 俺に色気なんぞなくてもいいだろうが。てか、蒸れんだよ、いろいろ」
「どこが蒸れんだって?」
「だからな股もそうだけどよ、汗が溜まんだって」
「へぇ、どこに?」
「だーかーらっ、男と違って、余計なもんつけてるだろ? そこに溜まって痒くなんだよ」
「……おまえ、ブラなんてつけてんの? 元男くぅん」
「!」
「いやぁ、もう、完璧女じゃん。戻んなくてもよくねぇ?」
「っせぇよっ。必ず戻ってやるぁ!!」
「……」
「……」
「まぁ、いいんだけどよ。怒鳴ってるとよ、あついよなー」
「ん――髪、切るかあ」
「!? おいっよせよ、そのちっとユルフワな茶髪がいいんじゃねぇかっ。おれのためにも切んなよ。な、アイスおごってやるって」
「だーっ、なんでてめぇのために我慢しなきゃなんねんだっつの。切るときゃ切るわ、ぼけ。大体アイスって、お前、安すぎだろ」
「うぬぅ……あ、そか、暑いからだろ? な、んななげぇのじゃなくてよ、膝上30センチくれーにしたらどうよ? 蒸れねぇし涼しくね?」
「ぼ、け、か、てめぇは! 膝上30センチじゃパンツ丸見えだろうがっ。ぶっとばすぞ」
「てぇなっ、殴ってから言うんじゃねぇよ。――まぁよ、髪は切らねぇで、ちっとスカート短くしてこいよ。絶対いいって。元が美人なんだしよ」
「……けっ、誰がてめぇに乗せられるかっての。タルいし、今日は帰るわ。んじゃな」
「あ、おい、切るなよな」
(誰が美人か、ふざけんな。男だってわかってねぇのかって。たく)
(こんなもん、暑苦しいだけだっての。これだってよぉ、くそっ、ブラしてねぇとまともに暴れられねぇっての)
(に、しても、なんで髪に執着してんのかね、あいつは)
(――スカート、ねぇ)

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4 TSFのSS「ターニング・ポイント」 (Res:22)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 4
1luci★ :2016/11/01(火) 00:21:20 ID:???0
 そのニュースは大きくなかった。ただ、いくつかの共通点があって多少スキャンダラスではあったものの、海外と日本に渡るために次第に関心を失っていった。金持ちと呼ばれる人種が、数人死亡しただけの話だったのだから。

「ぷっ、ふうぅぅ――」
 高遠歩が培養機器から解放されると、まずはガラスに自らの姿を映した。そこに映る姿は、二週間前に培養機器に入る前とは大きく違っていた。
「……ん、成功、かな」
 長い睫毛を瞬かせながら、自身を見てみる。身長は160に満たないだろう。髪は肩に着くほどになっている。つんと上を向いた必要にして十分な胸。くびれたウェスト回りはちょっと腹筋が出ている。張った腰は女性らしさを強調していた。恐らく多くの男性が振り向くだろう容姿。自分の姿でありながら、高遠はすこし高揚した。
 とある生化学研究所の一研究室。そこには人が数人入れるほどのアクリル製水槽、培養槽と、それに繋がる様々な機器が所せましと配置されている。そこに割と小柄な、裸の女性が立っているのは少し奇異な感じがする。
 そもそも高遠は男性だった。ある遺伝子疾患を患っていたために、自分の研究を極める前にこの世からいなくなりたくなかった。彼は、自分の研究成果と既存の技術を用いて延命することを考えたのだ。
 その技術がトランスセクシャルだった。
 最近ではある程度の富裕層では、そういう遊びが流行っていた。無限増殖細胞を使用し、自らの性別を反転させ、反対の性別のセックスを楽しむ、そんな遊びだった。
 無限増殖細胞、言ってみればガン化した細胞を用い、性遺伝子を一気に書き換える。XYからXXに、そしてXXからXYに。もちろん、不道徳という観点から公にはなっていないが。そして危険も当初はあった。暴走すると一気にガン化して死亡に至った。
 しかし高遠の研究がそれを安全なものにしたのだ。
 そして今回自分に対して行ったものは、自身を実験台としてすべての遺伝子を作り替える、脳細胞までも。
「さて、まずは培養の経過、と、あれ?」
 機器に接続されているPCのモニターを見ると、予定していた日付と二週間もずれがあった。
「おかしいな、急速培養は二週間で終わるはずなのに……」
 裸の背筋をしならせモニターを見て、人差し指を唇にあて小首をかしげる仕草は、女性っぽいとしか言いようがなかったが、本人は気付かなかった。
 二週間も無断欠勤していながら、培養機器が放っておかれている状況は普通ではなかった。自然とデスクのある部屋へ行こうとした。けれど、時刻はすでに22時を回っている。不用意に裸で飛び出して警備員と鉢合わせになれば、自己の証明ができない。遺伝子を作り替えているとは言え、多くは元々の男性体から受けついている。指紋も同じであることは動物実験の段階でわかってた。わかっていたが、それでも。
 手近にあった白衣を羽織り、研究室の扉を開け、廊下に頭だけだして確認する。誰もいない。
 ひたひたと素足で走ると、胸が揺れて乳首が擦れる。あまりいい感じはしない、などと思いながら上階の自室へ至った。

13luci★ :2016/11/13(日) 22:56:14 ID:???0
「! 斎藤さんっそりゃいくらなんでもまずいっすよ。それ嘘じゃ」
「静かにしてろ」
 小声の会話が終わるや否や、ガチャっと金属音がしてドアが開いた。
(おおっと、こりゃビンゴだ)
 斎藤達の眼前には少し小柄な美人が眉根を寄せて立っていた。その背格好や髪型は「白衣の女」だった。ただ、年のころなら二十代前半、おぼこっぽいその表情は予想外だった。昨夜の行動を考えるともっとスレていそうだと思っていたからだ。そして斎藤達を見て一瞬たじろぐのを感じた。
「……渡瀬は、無事なのか?」
 高遠もまた、二人もいるとは思わなかった。それに、研究所でも見かけない、渡瀬が付き合っているとも思えない風体の二人。自分を見るその目が、何かを推し量ろうとしているように見えた。だから一瞬言葉に詰まったが、しかし、安否は気になる。漸く口を出た言葉だった。
「いやいや。単刀直入に聞きますわ。あんた、高遠さんが死んでた場所にいたよな」
「あ、え?」
 想定していた返答とは全く異なっていた。少なくとも渡瀬の安否確認を知っていなければこの二人がここにいるのはおかしい。疑問を胸に二人の手元と足元を観察した。繊細さとはかけ離れた殺伐とした手。そして薄汚れて摩滅している靴。およそ高遠の周りにはいない人種だった。ということは、生業が同じ渡瀬も接点がないはず。
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14luci★ :2016/11/16(水) 01:54:49 ID:???0
 腰が冷えて寒い、というのが高遠の感想だった。恐らくコンクリートの上に直に座らされている。そしてタイラップで固められた腕は、配管か何かに括り付けられ、腕は万歳するように挙げられている。下ろそうとしても留め具でもあるのか引っかかってしまう。
(――うでの感覚がなくなってきた……)
 どのくらい時間が経ったのかも分からず、そしてあの男の目的も分からず、高遠の耳には大きく鳴り響く自分の心音が聞こえるように思えていた。
 男は高遠を拉致してすぐ、ガムテープを渡し、高遠が自分から口を塞ぐよう指示し、マスクを着けさせた。そしてよくあるアイマスクで両目を塞ぐと上からガムテープを貼った。その上 濃いサングラスを着けさせた。こうすると外見からはあまり違和感がない。手首は男がタイラップで締め上げた。これで助けを呼ぶことも、安全そうな場所に逃げることも実質不可能になった。
 その高遠を小声で指示を出しながら誘導し、地下の駐車場まで連れて来ていた。
「これからしばらくドライブだ。後で着いたらじっくり聞くことがある」
 大きめのRV車の後部座席、の下、床面に高遠を突き飛ばすと、その細い足首をタイラップで締め上げた。そして数十分か数時間か。
(一体、私をどうしようっていうんだ?)
 拉致されるようなことはしていない。もちろん、人も殺していない。高遠にはこの二日、全く訳が分からない状況だった。
 真っ暗な状態は、気分を最悪なイメージへと誘っていく。もしかしたらここで死ぬのではないか、と。
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15luci★ :2016/11/18(金) 13:21:49 ID:???0
 じりじりする感覚はまるで亀頭をいじられているようだった。身体を左右に揺らすが男の手は吸い付いたように離れない。
 これまで体験したことがない感覚に、高遠の目は宙を彷徨った。それを男はじっと見つめている。
(これは、すごい……女の方が快感が強い、とは、っきいて、いたが)
 男の頃も女を知らず自慰行為しかしたことがない。未知の領域に踏み入れてしまった高遠は、その波に翻弄され始めていた。
 次第に下半身がムズムズし、それを抑えようと腿をきゅっと閉じる。それでも収まらない快美感。
 男が口の端を歪ませた。
 渡瀬が用意したノースリーブワンピースは胸元がアンダーバスト辺りまで大きく開いている。その下にはニットのタートルネックセーター。男はワンピースの胸元にナイフを差し入れ、ウェストまで切り裂きそしてセーターをたくし上げた。
「うぁうう!」
 羞恥、かどうかは分からなかったが、高遠は瞬間的に手で隠そうとした。けれど拘束された手は動かず、白地にピンクの刺繡が施されたブラが丸見えになっていた。
 胸元は白い肌が赤く染まりブラがよく映える。男の手がブラと素肌の間に滑りこんだ。
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16luci★ :2016/11/19(土) 20:28:38 ID:???0
 腿を閉じようとしても男の身体、というより頭が邪魔になる。ざりざりとした髭の剃り跡が少し痛かった。それでも秘部をいじられまいと力の限り閉める。
「?!」
 高遠の身体がびくっと大きく跳ねる。その感覚が何か分からなかった。身体中を突き抜ける刺激。ぷっくりと膨れた肉の珠を指でつつかれたけれど、男の行動は見えない。それがかえって刺激を増幅させた。
(――い、今のは?)
「ぁえおー、うー!? ふっくぅぅ!」
 鞘ごと摘ままれいじられて、やっとそれが快楽なのだと理解した。身体を捩ろうとなにをしようと、男は嬲る。そして捩る度に男にはない穴から粘液が湧きだしてくる。息が荒くなり次第に鼻だけでは酸素が足りなくなってくると、高遠の身体は次第に動きを小さくしていった。
(こんなのは違うっ、感じてる訳じゃない!)
「お前は誰なんだ? 誰の命令でタカトオを殺った?」
 しばしいじるのを止め、男がスカートの中から問う。けれど高遠にはその回答はできなかった。無言でいるとそれを回答と思ったのか男は自分の腰に手を回した。
「!」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)


17luci★ :2016/11/23(水) 01:16:15 ID:???0
 ペニスをいじるのとは異質な、ショーツの上からいじられるのとも違う感覚が、下腹部を襲う。きもちいいとも言えるし痛いとも言える。敏感さ故に判断がつかない。しかし高遠の脳はそれを快感だと判断したようだった。男の粘膜が嬲る度にびくびくと身体は跳ね、二つの粘膜で挟まれると息が止まる。それが数回繰り返された。
 そのたびに女のくぐもった声が喉から搾り出され、聴覚を刺激する。室内からの反響も入ってくるとそれが自分の声だとは高遠には思えなかった。
 男もその声に反応していた。拷問と言えば聞こえはいいが、タカトオを殺され自分の仕事がうまく行っていない、その意趣返しでもあった。嬲って、愉しんで、情報も得られるなら一石三鳥なのだから。
 気をよくした男は、唇で包皮を剥き、舌先を固くしてグリグリと張り詰めた肉真珠を潰そうとする。その度に女の身体は左右に暴れ、身を堅くし、柔らかな腿を押し付けてくる。そうする程、膣口からは粘液が漏れ出し男の顎を濡らしていく。
「そんなに感じてたら、仕事にならんだろう? 女は身体が使えて仕事になるんじゃないか」
(はぁふぅ……こんな、女になって、二日なんだ、経験なんてあるか――仕事? あうぅ?!)
 男の言葉が途切れ、自分が思考している最中、身体の中に何かが入り込む感触があった。高遠の虚ろな視線がスカートに阻まれた自分の股間を見つめる。身体は小刻みに震えていた。
「うぁ、んくぅ!」
 クリトリスを丹念に舐めあげながら、男の中指が襞穴へ差し込まれていた。男が坐剤を入れるのとも違う、中心を穿たれ内臓に入り込む感覚は、嫌悪感と同時に快美感を生み出す。
 その指を押し返すためか、それとも気持ちよさを与えてくれる褒美のためか、襞で詰まった穴がキュッと締まった。それに構わず男が指を進めると些か抵抗があった。
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18luci★ :2016/11/26(土) 00:33:55 ID:???0
 高遠の目に男が映る。狭い自分の足の間で膝立ちになった姿。ベルトを緩めジッパーを下ろして徐に下着も一緒にズボンを下ろした。肉の槍とも言えそうな異形のモノ。二十センチはあるだろうか。張りだしたカリの下には半球状のふくらみがいくつもついている。
(な、なんだ、それは――)
 女の快楽がこれ程と思っていなかった高遠は、殺されるくらいならば少しは未知の体験をしてもいいか、とも思っていた。それが自らの研究の成果の一旦でもある性別の転換ならば、体験自体がその検証でもあると、納得しようとしていた。しかし、目の前の異形のモノはそれを吹き飛ばしてしまった。それで身体を穿たれ、掘り返され、抉られる。自由を奪われされるがままに蹂躙される。これこそが拷問だと知った。恐怖に身が竦み腿を閉じようと再度試みるが、男の身体が邪魔をする。
 それまで上気していた女の顔から血の気が引くのを、男は見て取った。男の顔は益々酷薄な笑顔を見せた。子どもが虫をバラバラにして楽しむような。
「これがお前の中に今から入る。耐えてみせろよ、ここまで来たらな」
 男には既に、女が敵対勢力の人員ではないと解っていた。これ程初心な工作員などいやしない。本当なら今すぐ排除して次の行動に移るべきなのだが、何かが違うと囁いていた。相手を嬲り支配下に置けばその一旦が分かるかもしれない。
(……それに、処女にコイツをぶち込むのは初めてだからな)
 男が身体を前に倒すと、高遠の視界一杯に顔が広がる。男性にこれ程間近に迫られることなど経験はない。かと言って女性もないが。
(ち、近いっ。あっ)
 顔を背けた瞬間、スカートが捲られ下半身が空気に曝された。そして男の顔が離れる。
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19luci★ :2016/11/27(日) 21:33:43 ID:???0
 大きな槍の先端が狭い肉穴にくちゅっとつつく。恐怖で反応する様が面白く、そして滑りをよくするために数回同じことをした。
「一気にいくか? それともゆっくりとがいいか?」
 その二択に明確な差異などない。何れも肉を裂き、割り開いていく。それに異様に巨大なのだから、通常の破瓜の痛みとは比べ物にならないだろうことは容易に想像できた。どちらも嫌だと高遠は首を振る。
「お任せ、か」
 そう言うと男はほんの少し腰を進めた。それだけで痛みが走り呼吸を止めてしまう。
(むり、痛いっ、入らない、物理的に無、ぅああっ?!)
 亀頭の半分だけ入った状態で一度静止し、そしてカリ首まで埋没させた。それだけで内臓が上に押し上げられる感覚があった。無理やり広げられた襞穴は、その折り畳みすべてを使っても切れそうな程に張り詰めている。
「あ、あ、あぅ」
「どうだ? 初めての男は。もう少し進めば処女膜も引き裂くぞ、もっとも既に遅いかもな」
 膣が引き裂かれたのか、処女膜が破れたのか、僅かな出血があった。しかし高遠からはそれは見えない。
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20luci★ :2016/12/05(月) 20:52:29 ID:???0
 襞壺より明らかに長い拷問具がゆっくりと突当りまで到達していた。異物感どころか体内の臓物が横隔膜に向かってせりあがってくるような感覚。それでも男の道具はまだまだ全て入り切っていない。
「どうだ、突き当りだ。何か言うことはないか?」
 一応、目の前の女が何かを吐くかも知れない体で尋ねる。が、息も絶え絶えにもかかわらず、睨み返してくる女に男の嗜虐心に火が付く。
(くぅうっ、痛いっどころじゃ、ない、なんて、屈辱的、なんだ)
 目の前の男は、自分に対する、というより女性に対しての暴力そのもののように思える。肉体的な暴力だけでなく、精神的にも責められている。この無力感や遣り切れなさが女性が感じているものなのか。高遠は我が身で感じて始めて、女性の弱さを知った。
 そんなことを一瞬考えていると、すっと男が腰を軽く引く。高遠の顔に少しの安堵が生まれた。けれど、それは早合点というものだった。
「! ふっんん、ぐっ、んっ」
 男が子宮口に亀頭がねじ込まれんばかりに急激な腰使いを始める。それまで埋没できなかった拷問具は、勢いに任せて全てが埋め込まれる。子宮ごと小腸や大腸、胃まで腹腔内を持ち上げていく。それを一気に亀頭だけ残して引き抜く。血と愛液が混じりぬらぬらした拷問具が顔を覗かせ、そしてまた突き入れた。
 襞は外へ内へとその度に掻き混ぜられ、突き入れられれば喉元から内臓が出てしまうのではと恐怖すら感じられる。内臓自体に痛みはないが、振動が胃を痙攣させ胃液が喉元に溢れてくる。酸で焼ける喉と鼻腔の痛みで涙が溢れてくる。
 無理やりに胃液を飲み込まないと咽てそれこそ生命の危機に陥りそうだった。さっきまで股間を嬲られていたような快感はここになく、本当にただ拷問を受けている。そこには「耐えよう」という意識しかなく、その他は思考に入ってこない。
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21luci★ :2016/12/10(土) 23:05:23 ID:???0
 中で出す、という行為は男性にとっては征服欲を満たす、あるいはその行為の最終目標なのだろうが、女性にとっては屈辱的で、自らの存在価値を貶め、死にたくなるほどの嫌悪でしかない。
 では、性が反転している場合はどうなのだろう? 被征服欲が満たされつつ、至福なのか。それとも嫌悪と屈辱、そして被支配なのだろうか。
 それが何によって為されたのか、それにもよるし、自ら進んで性を反転させたかにもよるのだろう。
 高遠の場合は、何もできないとういう被支配と屈辱でしかなかった。男の拷問具を受け止める自らの身体すら呪いの道具としかならない。支配される屈辱。女性でなければそんなことは受け入れる必要さえもない。ただの屈辱感と嫌悪感。
 いきなり目の前の男がうめく。そして、自分の中の道具がより一層固くなったかと思えば、身体の中にビシャビシャっと何かが引っかけられる感覚が襲う。目の前の男の身体が、自分の胸元になだれ込み、身体の中ではしきりに痙攣している。それが何の意味があるのかは、高遠にもわかり切っていた。


22luci★ :2017/07/01(土) 21:10:14 ID:???0
 男の上体が離れると、下半身で感じていた圧力も少しだけ減ったように思えた。それが男が萎え始めたからか、高遠の身体が弛緩したからかは判別できなかった。
 男は無言で高遠の髪を掴み、股間が見えるようにした。
「う、んん……」
 ヌルっと拷問具が出ていこうとするとそれだけで処女の残骸に引っかかり痛みが増した。
 血液と粘液でぬらぬらと光る男自身を眼前にし、呆然と犯された事実だけを感じていた。
「どうだ? 初めての感想は? えらく感じていたからな。よかっただろう」
 勝手な言い分に、息は荒かったが抗議するように男を睨む。それで力が入ったのか下腹部からどろりと何かが垂れてきた。
(う、これ、は――?)
 膣口から会陰を通って肛門まで垂れてくると、男が口を開く。
「お、結構出たな。処女喪失早々で、これは孕むかもなぁ」
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5 NON-TSF「偶然が、あたしを。」※再掲、修正・加筆 (Res:23)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 5
1luci★ :2016/10/27(木) 00:33:53 ID:???0
 どうしてこんな扱いを受けなければならないの。あたしはあの時たまたまあそこにいて……。なんで汚いものを見る目で……悪し様に罵るの――。
 どうしようもなかったじゃない。叫んでも、泣いても、誰も助けてくれない。みんな、見ていただけの傍観者なのに。いえそうじゃないわ。傍観者どころか加害者だって思うもの……。

「ええ? 今日? え、もう家の前? きちゃったの?」
 スマホの相手は従弟の淳樹くんだった。あたしの家から電車で一時間のところに住んでいる従弟は、今年で中学一年になる。あたしとは四つ違いで兄弟姉妹のいないあたしには弟のような存在だった。その彼が突然家にやってくるという。
『だって、約束したじゃん』
 淳樹くんが希望の中学に受かって、そのお祝いにちょっとしたプレゼントを買うっていう約束。それは覚えてる、けど。
 特に予定のない春休みの最終日。次第に暖かくなる日差しと大気。少年の心を少しばかり浮かれさせているのかもしれない。
「……はいはい。わかった、わかりました。とにかく、ちょっと入ってよ。今玄関開けるから。――おかあさぁん、じゅんきくん来てるよぉ」
 二階の部屋から階下へ急いで降りる。その間に母へ一言伝えると玄関を開けた。
「みーちゃん、おはよう。早く行こうよ」
 ちょっと見は女の子にも間違われそうな華奢な男の子が、ちょっと不満げな顔をのぞかせていた。
「あのね。まずは上がって。淳樹くん、突然きて、すぐ出かけられるわけないでしょう」
「――みーちゃんが先に、なんでも、買ってあげるって言ったんだぞ」
 不満げな顔であたしを見上げ、そしてその視線は廊下の奥から顔を出した母へと移っていた。
 簡単な挨拶を済ませると、淳樹くんを母に任せてあたしは大急ぎで支度をした。
 あー、服買っちゃったからなぁ……銀行いかないと。今月きびしぃなぁ。

14luci★ :2016/10/27(木) 00:47:30 ID:???0
「みーちゃん、来たんだ。心配してたんだよー」
 教室の奥から声がかかると、それまで静まっていた教室がまたガヤガヤとし始めていた。
「ごめんね、ちょっといろいろあったから――」
「あーそっか、そうだよねぇ」
 あたしよりちょっとだけ背が低い紫帆ちゃんが、腕を絡めて席まで連れていってくれた。
「そうだ、メールありがとう。担任の先生も教室も時間割もわかんなかったから、助かったわ」
「いいっていいって――そんなことよりさ、大変だったよね。銀行強盗に巻き込まれるなんてさー」
 銀行、強盗? 紫帆ちゃん、なにいってるの――?
「え? あ、あたし、え? 紫帆ちゃん?」
 机に鞄を置いた手が震えてる。――違う、足も、身体も震えてる。あたしの前の席に足を組んで腰かけた紫帆ちゃんの姿が、すごく遠く感じる。
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15luci★ :2016/10/27(木) 00:48:27 ID:???0
「でさ」
「うん? なに?」
「どんな感じ? 五人に輪姦されるのって」
 突然、心臓を掴まれた気がした。まわされる、って、あのこと――言ってるの?
「え、と、あの、さ、紫帆ちゃん? それ、なんの話?」
「あたしとみーちゃんの仲じゃん? 言っちゃいなよ、あたしも興味津々だし。男子だってさ」
 お箸を持つ手が震える。すごく鼓動が速くなってく。顔を上げるとニコニコしてる紫帆ちゃん。そして、周りには遠巻きにして男子がこっちを見てる。違う、女子も、だ。
 何か言おうとするけど、声がでない。その態度にいら立ったのか、紫帆ちゃんが先んじた。
「あれだけやられてさ、平気な顔して学校来てさ。どんな気持ち? ねぇ、人質いたからってさ、自分から犯されたくないじゃん?」
「あ、あたし、別に、なにも……」
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16luci★ :2016/10/27(木) 00:49:39 ID:???0
「――ぅげぇはっうう――」
 トイレに駆け込むといきなり戻してしまった。少しのお弁当と胃液がフラッシュした水と混ざってぐるぐると回る。
 のど、痛い、痛いよ。なんで、こんなことになったの? どうなってるの、どうして知ってるの。わかんない、わかんない、わかんない。なんでみんな。なんで紫帆ちゃん。あたし悪いことしたの?
 がんばろうって決めたのに――。
「だれか戻してるって。だいじょうぶ?」
 個室の外から声がかけられた。それにあたしは恐怖を感じて、そこも飛び出していた。
 みんな知ってる? どうして? スマホで、動画? だって、あれは、銀行の……あ――。そう、か、わかっちゃった。
 一人になりたくて、せんぱいと二人でよく話をしにきた裏庭まできたところで、駆け足は次第に徒歩になり、やがて足を止めていた。そしていろんなことがなぜか繋がってしまった。
 あの時、あいつらはネット見てたじゃない。警察からの電話で『今からいいものナマ中継すっから』って言ってたのよ? それが本当なら、あの時からずっと見られる状態だったんだわ。
 ――なら、あのうそ発見器は? あれは、ネット見てた人が、知ってる情報を出してた、とか?
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17luci★ :2016/10/27(木) 00:50:12 ID:???0
「?! せんぱい……」
 お昼の時間ももうすぐ終わりになるとき、先輩が目の前にいた。つんと鼻につく胃液の匂いが気になって、あたしはハンカチで口元を隠した。
「少し話があるんだ。ああ、すぐ終わるよ」
 いつもの柔らかな物腰からすると少し強引な感じがした。
「あの、……はい、なんでしょう」
 せんぱいは、佐藤先輩は、あのことを知ってるの? 知ってても、普通に、いつもみたいに話かけてくれる?
「前にここで話をしたりしたろう? その時も思ってたんだけど、宮前は俺のことを――俺に好意を寄せてくれてるって。それで、まぁ、三日前のこともあったし、そうだってことも確信を持ったんだ……」
 低い声は心地いいって思う。でも、内容は残酷で……あぁ、せんぱいも、あたしの姿を見たんだわ。次の言葉、なんとなく想像できる――。
「でもたとえ何があっても、宮前なら、いいと思ったのも本当だ」
 ――てっきり受け入れらないっていわれると思ったのに。あたし、あんなことされたのに、先輩のこと好きでいる資格、なくなっちゃったって思ってたのに……あたしは、まだ好きでいても、いいんですか?
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18luci★ :2016/10/27(木) 00:51:35 ID:???0
***************

 もう、ぐちゃぐちゃになってる。頭も、心も。ただ、ここには、もう、あたしの居場所はなくなっちゃったんだって、それだけは理解できた。
 泣いても、気分は全然晴れないんだ。こんなとこ、いたくない――家に帰ろう。
 バスに乗って帰ろうと思ったけど、鞄にお財布入れてたから、手持ちがなくて。それでも早く離れたくて、あたしは家まで歩くことにした。
 歩き疲れたら、眠れるかも知れないし……。
 そうだ、お弁当も出しっぱなしだったんだわ。取りに……戻っても、またさっきみたいになる。あたしは、多分喋れなくなる――みんなの前に立ったら。みんなも益々あたしを嬲るつもりだろうな……そんなの、あたし、もう耐えられそうもないもん。もう、やだ、思い出したくない。
 下を向いて歩いた。一歩一歩。右左右左。二十分も歩くと身体が熱くなって汗がにじんできた。呼吸も心拍も速くなっていく。バスに乗ってると近く感じるけど、意外と学校遠いんだわ……。
 一時間も歩くと汗だくになっちゃってた。それに、眠ってないからか、すごく疲れちゃった。……なんとなく、家が近くなると足も重くなってきて、結局、下校途中にある公園のベンチに腰を下ろした。
 歩いてるときは足を動かそうとか、早く歩こうとか考えてないのに、なんだか無心で歩くことに夢中になってて。何も考えることなんてなくて。でも、だめ、一度停まるといろんなことが頭に浮かんできて、消えてくれない。
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19luci★ :2016/10/27(木) 00:52:03 ID:???0
 そして何度目か、数えるのも億劫になってたけど、叫んでたとき。
「みさとっ、美里!」
 顔を上げるとお母さんが駆け寄ってくる姿が見えた気がした。――お父さんも、その後ろにいる、かな……。
「あなたって娘は――いきなり学校からいなくなったって連絡がきたのよ。何もかも置いて、せめて連絡くらいしなさいっ――これ以上心配させないで」
 言葉はきつかったけど、安堵の表情があった。それが申し訳なくて。
「ご、ごめん、なさい、あたし、がっこうでっ、がんばろうって、でもでも、みんな、みんな知ってて、もうやだっ、なんであたし? がんばったのに、も、いきたくない、がんばれな――」
 お母さんにしがみつきながらぼろぼろと言葉が出てた。そしたら頬が熱く、痛くなってた。
「わがままを言うな。みんな多かれ少なかれ嫌なことや耐えがたいことを抱えて生きてるんだ。お前がそれに耐えられなくてどうする? 大体な、ことはもうお前だけの話じゃあないんだ。わたしのか」
「あ、あなた、いいじゃない、そんなこと言う必要は今ないでしょう」
 ああ、あたし、お父さんに叩かれたのね。なんか、もう、よくわからない。全部、吐き出したかった。両親には知っててほしかった。けど、お父さんはそれを否定するんだね。あたしもあたしの心が、もうよくわからなくて。耐えろって話、かな? 黙って耐えろって話なのかな? そう、なんだ。
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20luci★ :2016/10/27(木) 00:52:37 ID:???0
***************

 それから、何度もがんばろうって、お父さんに言われたように、学校に行こうとしたけど、ダメだった。そのたびにお父さんに叱られて、叩かれもした。
 ひと月も経つと、テレビではあの事件のことはほとんど見られなくなったけど、ネットは違うみたいだった。
 どうしても知りたいことがあって、本当に紫帆ちゃんはあたしのことが嫌いだったのか知りたくて、怖かったけど机のノートPCで検索してみた。
 たくさんサイトがあった。動画も、いっぱい拡散して……ほんとにたくさんの人があたしのこと見てるって、そのとき知った。
 あいつらが作ったサイトが、元凶が、あるはずって思って、探した。そして見つけた。まとめサイトっていうところだった。
 多分、その時のじゃなくて、その時の画面の画像を録画してる。だからこそ客観的で、あたしは背筋が寒くなってた。
 あいつらが言っていた「安価」って言葉の意味が、その時わかった。その画面の中に流れる文字は、あたしを特定して、あたしの事を丸裸にして、あたしを罵って、あたしを犯すように言っていた。
 あたしはいつ、どうしてこんなにも恨みを買っていたんだろう? あたしが銀行を襲ったの? あたしが行員の人たちを、せんぱいのお父さんを殺したの? 
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21luci★ :2016/10/27(木) 00:53:31 ID:???0
***************

 一日のほとんどを家の中で過ごすと、人間て自堕落になる。夜と昼の境目がわからなくなって、いつなのかもわからなくなる。尤も睡眠薬のせいかも知れない。あたしが学校に行けなくなって、そのあとお父さんは転校の手続きを取ってた。
 お母さんは、その時は家で家事手伝いをしてくれたらいいって、言ってくれたけど、お父さんは譲れなかったみたいだった。
 家から遠くにある、それこそ電車で一時間くらいの距離にある高校は、季節外れの転校生だったからか、すぐに興味を持たれて、調べられて……。二日目にはあたしのことをみんな知ってる有様だった。
 あたしのことを、あたしの知らないところで、知られてる……恥ずかしいことも嫌なことも、全部。これが、こんなことが、これからもついて回るの? こんなんじゃ、外にでるなんて無理だよ、お父さん。どうしたらいいの? 教えてよ。もう、がんばれないよ。
 転校はそれから二回したけれど、二回とも、誰かがあたしを特定してしまって。そのたびにあたしの心は傷だらけになって、歪んでいく。
 そして、あたしは転校を、高校生活自体を諦めてしまった。
 それが原因だったんだろう、お母さんとお父さんはしょっちゅう喧嘩して、罵りあうようになって。
 そういえば、あの時からひと月半も経った頃に生理がきた。それまでずっと不安だったから、お母さんと抱き合って喜んだっけ。でもそのお母さんもお父さんと離婚してしまった。お母さんは最後まで味方でいてくれた。けど、あたしを引き取ることはできなかった。専業主婦だったから、あたしを育てられないって判断されたようだった。
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22luci★ :2016/10/27(木) 00:54:18 ID:???0
 玄関が閉まって、そして車のエンジン音が遠くなって消えて。部屋の中は、あたしの速い呼吸音が響いてる。
 話があるって言ったのに、淳樹くんは口を開かない。ずっとそうしててもいいけど、あたしが緊張感に耐えられそうもなかった。
「大きくなったね。男っぽくなった――そういえば、もう、受験でしょう? 早いなぁ、ちゃんと勉強してる?」
「ん、まぁ、ね。俺のことはどうでもいいんだ。――美里、髪短くしちゃったんだな。じゃなくて、いつまでこうしてる気?」
 俺、だって。様になってきてるのがちょっと癪に障るけど。美里って低い声で呼ばれると、調子が狂う。
「髪は、吐くとき鬱陶しいから……こうしてるって、引きこもってるってこと? ふふ、ひどい、ね、淳樹くんは。理由、知ってるじゃない」
 このこも、意外と意地悪だったんだ。知ってるくせに、あたしを、みてたくせに。
 あたしの声に憤りを感じたのか、彼は一旦深く息を吐いて。
「こうしてても、何も解決しないだろ? おばさんに前聞いたし、昨日はおじさんとも話したけど、この一年、外に全然出てないんだろ。もっとさ、出てみたらどう? なんか変わるかも知れないだろ」
「……は? いやよ、絶対。――え? なに? ちょっ――」
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23luci★ :2016/10/27(木) 00:55:28 ID:???0
「ふふざけんなよ、美里! 服着ろよ、服っ」
 真っ赤になって横を向いて、怒鳴ってる。その横顔が、あたしの知ってる淳樹くんの顔と一緒で、重なって。それが妙に心を落ち着かせてくれた。だから服を着ろって言われたけど、手近なシーツを身体に巻いて言葉に従った。
「淳樹くんは男の子なのに、女の子と、その、したくないの? やっぱり、汚い、から」
「俺だってそりゃ、いや、違うっそうじゃなくて。俺が言いたいのは、俺だって、美里がどんなに……」
 いきなり男の子がぼろぼろ泣き始めてる。なんでこのこが泣いてるんだろう? 泣きたいのはあたしだと思うけど。
「ごめんね、あたしが」
「ああっもうっ。話聞けよ! 美里は俺の憧れなんだ。あの時の美里がいたから俺は生きてるって思ってる。美里が傷ついても俺のためにがんばったって、俺が知ってる。だから、だからこそ、こんな状態嫌なんだよ。なぁ、俺は、俺が今度は美里を助けたいんだ」
 あたしは可愛かった従弟の顔を見た。膝をついてあたしと同じ目線の顔。なんだか傷が結構ある。さっきまで掴まれていた手は、よく見ると大きくて、ごつごつしてる。とても逞しい身体。でも目だけは優しくて、あの時みたいに怖さはなかった。
「――どう、助けてくれるの?」
「俺だってこの二年、いろんなことがあったんだ。だから、俺が守る」
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6 TSFのSS「Tatoo」 (Res:0)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 6
1luci★ :2015/10/23(金) 09:44:24 ID:???0
「あ~、ん、あぁあ」
 辺りに嬌声が響き渡る。それが私の声だと認識することが、私の一日の始まりだった。
 かれこれ何日過ぎたのだろう? 何か月? それとも……何年?
 体重を感じながら、いつも思うことは同じだった。心を無にしても身体は感じるんだなと、そんなことを思うのもいつものこと。自分の身体なのに、圧し掛かるこいつの方が今では私の身体を隅々まで知ってるのだろう。
「ん、イクっ」
 身体の中に嫌な粘液の射出を感じた。
(どうして、こうなったんだろう……)

 私がその遺跡に興味を持ったのは、あいつの影響もあった。あいつは所謂正当な考古学に興味がなく、超文明などという一種の「トンデモ」に傾倒していた。
 荒唐無稽な読み物としては楽しいけれど、それを学問とするのはいかがなものかと、何度も衝突したのもだった。今から考えれば、既にその時からあいつの中ではターゲットは決まっていたのかも知れない。
 ただその遺跡は、いつもの「超」文明とは異なり、正史にも登場しても未発見のものだったから、発掘のために関係各所や大学への働きかけは私が積極的に行った。
 だから、失敗や実績が得られないなどということは容認できなかった。
 自分の助教授としての立場や実績、将来に焦りを感じていたのかもしれない。
 発掘のメンバーは、研究室の学生を中心にあいつと私。そしてアルバイトを雇った。
 遺物が得られたところを中心に掘った。掘り進めた。しかしその時代の地層に到達しても、遺跡は発見に至らなかった。
「俺は、この辺りじゃないと言ったよな」
 何度もあいつと議論して、この場所を決めたというのに、今更あいつの言では、もっと西の山の中腹だという。容易には承服しかねたが、学生の間でも次第に私への不満の声が大きくなっていった。
 そして、ひと月も経つと、私もそれらを無視できないようになっていた。

2luci★ :2015/10/28(水) 12:34:47 ID:???0
 それは徐々にあいつに絡めとられていたことを意味していた。けれど、その時の私にはそのことがわかっていなかった。
「どうして何も出ないんだ……」
 苛ついた私は宿舎で当たり散らしていた。それをなだめるためなのか、それとも気を引くためなのか、あいつは自説を披露し始めた。
「――ということなんだ。だから……」
「なら、あの時はっきり主張すべきだろうっ」
 日本酒片手に出来上がりつつあった私は、あいつにクダを巻く。しかしあいつは意に返さない。それどころか興味深い、そして破滅への切符を手に意味ありげな笑みを浮かべた。
「実は、夜な夜なそこに行ってみたんだ。そしてこれを見つけた」
 差し出されたそれは、火焔型土器に近かった。しかし縄文ではなく、絵付けがされている。そしてその絵は、これまで見たことがないリアルな表現がなされている。
 時代的にあり得ないそれには、身体と思しき部分に奇妙な文様が描かれていた。
「こりゃ、お前……」
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3luci★ :2015/11/02(月) 23:17:34 ID:???0
 車を降りて山中を歩く。深夜ともなれば、月が出ていない限りほぼ暗闇の世界だ。その中で躊躇せず歩みを進めるあいつの後ろを、私はこわごわ進んでいた。少しでも物音がすれば心臓がバクバクとなり、どうにも誰かに見られているような気がして絶えず後ろを振り返っていた。
 日付が変わる頃、目的の場所へと着いた。
「ここかい? 伊邪那美でもでてきそうだな」
 山の斜面にぽっかりと穿たれた裂け目は、まるで黄泉平坂への門のように見えた。
「この奥に数十メートルいくと、俺が見つけた土器が散らばってる場所になる」
 ヘルメットとライト、そしてデジカメと簡単な発掘道具を持った私は、逸る気持ちを抑えきれなかった。早く行けと、私とは対照的に大きな荷物を担いだあいつを促し、足早に門をくぐる。
 内部は人が一人入ればぎりぎりの横幅と高さで、ぬめぬめと足元は悪く、何やらすえた臭いが奥から漂っていた。
 暫く無言のまま歩くと、少しばかり広い場所に出た。入ってくる前の伊邪那美云々から、それまで歩いてきたところが産道でたどり着いたところはさながら子宮のように思い始めていた。根拠などなかったけれど。
 足元を照らせばあいつが見せてくれた土器と同じようなものの破片が転がっていた。
「実はな、この左手に石組みの壁があって、前回それを壊してしまったんだ。まだ中へは入ってないんだが」
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4luci★ :2015/11/06(金) 22:51:05 ID:???0
 最初に感じたのは、背中の、首の下、肩甲骨の間の、痛痒さだった。
 不透明な水底にいるような視界に視線を漂わせ、そこを触ろうとしたが私の手はうまく動かなかった。痺れとか痛みとかそんなものではなくて、もっと物理的に。手首を縛られているとわかったのは、あいつの声を聞いてからだった。
「だめだめ、触っちゃ。彫ったばかりなんだから。我ながらうまくできたよ」
 瞬時には状況が掴めず、言葉もでない。目の前にいるあいつの誇らしげでどこか人を小ばかにした笑顔は、鬱陶しい黒髪で御簾が降りているようだった。
「どういう……?!」
 問いただそうとした私の声は、それまでとは違い女のように高い。まるで壁を彩る女人図が話しているように思えた。その違和感に再び口を噤むと、視界を遮る髪を両手で何本も抜けるほど引っ張り、許せる範囲で自身の身体を弄った。
 柔らかい肉の感触は、それが自分のものでなければ何時まででも触っていたいほど。しかしその事実に私は驚愕し、上体を起こしながらあいつを見据えた。
「驚くのも無理はないさ。ここは本当は、一年も前から見つけていてね。ほとんど調査し終わっているだよ。――ああ、余計なことはいいか。今の君に必要なことを言おう。ここに描かれているのは、古の文明が残した秘術を記している」
 話しながら近づくあいつの目には、狂気が宿っていた。仰向けにした手が、徐に私の上着の胸元を掴んだ。繋がった自らの腕でその手を払いのけようとした。けれど私の腕とあいつの腕が並んだとき、その大きさに、腕の太さに、畏怖の念が渦巻いた。
「そう、例えばあの絵。ほとんど獣人だよ。向こうは小人。そうなった要因は」
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5luci★ :2015/11/06(金) 22:51:51 ID:???0
「――苦しいじゃないか」
「あ、うっ」
 平手で打たれたのに、目の前がチカチカして、何度も何度も打たれ続けた。
「いつまでも、偉そうに、してんじゃ、ないっ」
「! あ、つっあぅ」
 私の腕など、あいつの暴力の前では役に立たなかった。力を半減させるとか、痛みを少しでもなくそうとか、そんな努力は無意味で、打たれ続ける理不尽さに憤るが、この身は
 そのうち平手から拳に代わると、思うことは二つしかなかった。
 あいつへの、怖さ。そして、どうしたら終わってくれるのか、と。
「や、もう、やめ、くだ――」
「はぁっ、はっ、さ、最初から、言うとおりにして、いればいいんだよ。何もできないくせに、功名心だけ肥大したくそが。今回の発掘も、結局なにも出なかっただろう。いいか、君はな、俺がいなけりゃ、学者なんぞにもなれない、出来損ないだ。俺が常にヒントを与え、それを元にしなけりゃなんにもできない。はっ、エサがなけりゃ死んじまう家畜だ。そうさ、俺の家畜なんだよ。素直に飼われてろ」
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6luci★ :2016/03/04(金) 23:30:11 ID:???0
 冷え切った身体を丸めて、いつの間にか微睡んでいた私の耳に不快な音が飛び込んできたのは、一体何日目の事だったのだろう。
 暗闇を照らす明かりに、喜びとか、隙をついて出ていくとか、そんなことは考えられなかった。ただ一つ、私の心を支配したのは、安堵、だった。
「はは、まだ生きてたな」
 あいつの声と臭い。それに吸い寄せられるように、私は暴力と冷えで衰弱した身体に鞭打ち、這い蹲ってあいつの足元へにじり寄り縋りついた。最早、男を倒して出ていくような体力など残っていなかったことに、その時気付いた。
「……た、助けて。なんでも――」
「何でもするって? ふぅん……なら股開け」
 見上げたあいつの身体は大きく、その目は蔑みと冷笑を湛えていた。それだけで暴力の記憶が蘇る。私は震えながら腿の裏を持ち、両足を広げ、身体とそして心も曝け出した。
「ちっ、冷てぇな。おまけに臭ぇ」
 圧し掛かりながら文句を言うあいつの顔を見ないように視線を逸らした。
「ぅぐっ――」
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7luci★ :2016/03/04(金) 23:31:12 ID:???0
 どのくらい失神していたのだろう。気付いた時にはすでにあいつはいなかった。周りを見ると2リッターのペットボトルの水と、四本入りの携行食、懐中電灯一本、毛布一枚、そして、右足には太さが5㎜はあろうかという鎖がついていた。もし空腹でなかったなら、鎖を見て絶望したんだろう。しかしそれよりもその時は飢餓が勝っていた。
 携行食を貪り食い、冷えた水を胃に流し込んだ。
 少しばかり満たされて、改めて鎖を見ると杭に繋がっていた。鎖の長さを測ろうと毛布をはおり立ち上がった。
「あ……」
 身体の奥からドロリとあいつの精が腿を伝わって垂れた。何度吐き出していったのか。その光景を思うとゾッとし、考えまいと首を振った。
 鎖の長さは手を伸ばしてやっと石組みの出口に届く程度だった。

 それ以来、あいつは不定期にやって来ては、私を犯し、罵倒し、暴力に及んだ。
 あいつが来なければ、私は飢えと冷えと、狂わんばかりの孤独に襲われ、あいつが来れば安堵した。しかしそれも束の間だった。犯されれば身体も心も傷つけられ、罵倒されれば尊厳が失われていく。そして暴力の恐怖は、次第にあいつへの依存が出来上がっていった。
 黙って従い、媚び諂えば、命だけは存えられる、とばかりに。
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8luci★ :2016/03/09(水) 02:01:52 ID:???0
 一度目は文字通り男から女へ。二度目は犯されて。そして三度目は、女としての能力が備わった事を意味していた。その事実は私を恐怖させるに十分すぎた。このままあいつに犯され続け、受精してしまったら? どんどん変化していく肉体を目の当たりにしたら、狂ってしまうのではないか……。
 血にまみれた毛布をあいつは確認すると、私の懇願を無視して犯そうとした。それでも拒否すると、罵倒しながら殴り、蹴り、肉体を苛んだ。
 今痛くて苦しくて、それをどうにかしたくて、後々の恐怖など確率的に低いのだ、などと自分に言い訳をして、あいつを受けれていた。
 一度心が折れると、痛みや恐怖を忘れようと肉体が受ける快楽を享受していた。
 殴られたり蹴られたりする前にあいつに媚び、それを回避し、受精などしないと言い聞かせ、耳を塞ぎ、自分の嬌声だけを聞く。
 そんなことが、もう、長い間続いている。
 
「あっ、あっ、イク……うっ?!」
 恐らく三日ぶりのあいつの訪問後、すぐさま身体を合わせた。そしてあいつが放った精が身体から出、その臭いが穴の中に広がると、胃に不快感が広がり、胃液を吐き出していた。
「――あぁ? なんだ? そんなに精液が気持ち悪いのか?」
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7 TSFのSS「白と黒の羽」※再掲、修正・加筆 (Res:2)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 7
1luci★ :2015/09/05(土) 00:56:34 ID:???0
ふと顔を上げると、ゆっくりと、たゆたうように落ちてくるそれと目が合っていた。

青。白いそれを包む空より青い瞳に、俺は吸い込まれそうになる予感が心に過ぎった。しかしその神秘的な青い視線を、俺は外すことができなかった。

やぱい、と思った時には既に遅かったのか、俺はそれが落ち行く先を目指して走り出していた。

手を翳し、白い羽に包まれた身体を落とさないよう、それを受けた。手には羽毛のくすぐったさと、僅かな重さ。それと遭遇した奇跡というか、運命というか、複雑な心境が交錯し、俺の鼓動が速く、激しくなっていた。

きみはだれ。 なんて陳腐な言葉だろう。見たままの存在なら、いや、たとえそうでは無かったとしても、俺は相当運がいい。

どう見える?  反対に問われ俺は動揺を隠せなかった。羽毛に包まれた、いや、白い羽根に包まれた裸体が、否応なく目に飛び込んできた。

て天使?  いるわけない、と思っても目の前の現実は消えたりしない。半裸のそれを道ばたで抱き留めている俺の姿は、想像すると変だった。けれど道行く人々はそんな俺に一切構わず、目も向けず歩き去っていった。

なら、そういうものなのよ。人は見たいモノを見る動物だから。 青い目が瞬きもせず、その表情に笑みを浮かべながら、解らないことを言った。

わたしと目があったのはあなただけ。真に何かを求めていないと見つけられない筈。 俺は何も求めていないのに、なんで見つけてしまったのだろう。確かに一人になりたいとは思っていたけれど。……違う。自分に嫌気がさしていただけだ。

抱き留めていた腕をゆっくりと下げ、天使のような存在を地に下ろした。

ありがと。……本当言うと、わたしの目的とも合致していないと見えないんだけどね。 白い手が俺の胸元に差し出され、掌が心臓の真上に翳された。

あ、あのさ。

そう、それが望みなら叶えてあげる。 それは、俺が答える間もなく羽根を広げ俺を包んでいった。俺の背後で羽根が閉じられると、羽根自体が俺の身体をそれに引き寄せていた。

4luci★ :2015/09/05(土) 01:18:56 ID:???0
軽い金属の触れる音した方向に目を移す。その先に下半身をさらけ出した弟の姿。

足、開かせろ。 そんな言葉は女に遣えばいい。俺に使う必要はない。夢中で身体を暴れさせるけれど腕も足も掴まれ動けなかった。そして、間抜けにも、その時初めて何かが違うことに気づく。

暴れる俺の頬には汗で付いた長い髪があった。近づく弟の姿が正面に見えたとき、胸の膨らみが目に入る。これは一体なんだっていうんだ?

頭の中で言葉のイメージが踊り狂い、的確な判断ができなくなっていた。俺の踊る視線は、弟が自身のペニスに唾液を塗っている場面も認識できていなかった。

灼熱。そんな言葉が瞬間浮かび上がり、消えた。何が起こったのか想像も難くない筈なのに、俺の身に起きる筈のない出来事を想像することすらできなかった。

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5luci★ :2015/09/05(土) 01:25:30 ID:???0
あの、似非天使に遭ったことを、天使では無くても運がいいと思った自分に腹が立ち、俺を犯して悦に入っている弟が憎らしい。そして、自分を見直そうと一人になろうと思ったことを悔いていた。

よかったぞ。 耳元で囁く弟の声に我にかえった俺は、涙で歪む視界に映る弟を睨んだ。そこに俺を拘束している男達が声をあげた。弟だけで済むと思っていた俺が馬鹿だった。肉欲に駆られた男達がまだ控えていたのに。俺の解放の条件は、この集団が全て肉の満足を得ること。

乳房を握られ、乳首を舌先で刺激され、俺は背筋にこれまでと違う信号が流れていくのを感じていた。ざりっと舐められるとゾクゾクした。けれど、それも肉塊が俺の身体を蹂躙し始めると飛びさって行った。

入れ替わり立ち替わり、何度も何度も俺の中に欲望を吐き出していく男達を見て、同類の筈の俺はそれがとても汚らしい行為に思えていた。俺の新しい器官は、次第に男達の抜き差しに耐えられなくなり悲鳴を上げていた。耐えられない程の激痛は、やがて痺れに転じた。二周目の男が腰を振り始めた時、俺の心は意識を閉ざす選択をしていた。

寒い。 そう思ったからか、突然目が覚めていた。だらしなく開かれた下肢が見え、その手前には仰向けにも関わらず、形の崩れない乳房があった。そうか、夢じゃなかったんだ。俺は……。

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6luci★ :2015/09/05(土) 01:30:57 ID:???0
下着を付けずに着たせいか、あちこち擦れて痛かった。閉ざされた部屋の扉まで行き開けようとしたけれど、後ろからぞろぞろと三毛猫や他の生物どもがついてくる。俺の予想が正しいなら、こいつらはさっきの男達の筈。野放しにしたくなかった。この場所で野垂れ死ねばいい。

憎悪に燃え滾った心。俺以外を外に出さないように、蹴りつけながら扉を開け、外に出た。ビルの外へ出ようと暗い廊下を歩き始めた俺の耳に、扉を引っ掻く音と三毛猫の鳴き声。在りし日の、俺を追いかけていた頃の弟の姿が脳裏に浮かび俺の足を止めた。

扉を開けると、コウモリもトカゲも、全てが一斉に外へ出て闇の中に吸い込まれていった。ただ、三毛猫だけが扉の前で座って待っている。

……おいで。 自分でも驚く程可愛らしい声が室内に響く。猫は腰を下ろした俺の胸元に飛び込んでいた。

あの、天使のようなモノは、孤独を俺にくれると言ったけれど、そうはならなかったようだ。俺はこれからの生活をなるべく考えないように、痛みで歩きづらい身体を揺らしながら、ビルから出ていった。

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7luci★ :2015/09/05(土) 01:38:53 ID:???0
それでも男達の唾液の匂いが俺をゆっくりと動かした。立ち上がり鏡を見ると泣きはらした目で見つめる似非天使の姿を再び認めた。じっと見ていると、しかし、似非天使と目の前の女は細部が違う。

金に近い琥珀色の瞳が俺を射抜く。青だの赤だのに変化していた瞳とは違うのは判っていても、似非天使に見られている気分になって急いでシャワーを浴び始めた。

女は知っているけれど、体内の残磋をどうやって洗い流せばいいのか判らず、徐に股間にシャワーを当てた。思わず叫びそうになる程浸みて痛みが走った。

ひりつく痛み。ぬるつく粘液。それが身体から流れ出していった。全部出たのか判らない。でもそれ以上のことを考えたくなかった。

頭上から降り注ぐ熱いシャワー。恐怖も悔しさも、身体に染みついたような唾液も流せるんだろうか。身体を包み込む繭のようなソープの泡。洗い流せば新しい俺になるんだろうか。何もかも元に戻るんだろうか。

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8luci★ :2015/09/05(土) 01:44:07 ID:???0
●●いるか?  いつの間にか寝入っていたのか、男の声で覚醒した。低く深い声。決して大声ではないのに辺りに、俺の心に響く声。一緒に育ったと言っても過言ではない、旧友。

ああ、ちょっと待って。今開けるから。 暗い部屋の中を器用に歩き玄関の扉に手を掛けた。いつも沈着冷静な旧友の、驚愕の表情というのを見たのはこれが初めてだったかも知れない。

あれ? ●●の部屋だよな。 寝ぼけていたのか、今の状況を忘れ開けてしまった自分の失態を呪った。

ええっと、取りあえず入って。 取り繕う事などできず、かといっていつまでも玄関先で佇む訳にもいかず、俺は旧友を招き入れた。三毛猫が不機嫌そうな声を上げた。

●●も隅に置けないな。いつの間にか彼女ができてたんだ。 普通に考えれば、俺が同じように旧友の部屋を尋ねて女が出てくれば同様に思うことを彼は言った。

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9luci★ :2015/09/05(土) 01:49:32 ID:???0
どうして解らないんだ?! 俺だってば!  言いながら股間に足で一撃。呻く旧友に目もくれず這いながら玄関へ向かう。直ぐ側にありながらも、近づいてこない扉。そして、足首に痛みが走ると同時に、見る見ると玄関が遠ざかって行った。止めようとしても、引っかかりの無い床の上で空しく俺の手が動くだけだった。

やってくれたな、使えなくなったらどうしてくれるんだ。 冷静な声色だけれど、俺には解った。こいつの怒りが。

シャツをめくられ、男物のパンツが剥ぎ取られてしまうと、俺は足を固く閉じた。しかし同時に俺はそこから動けなくなったことを物語っていた。

尻を撫でられると悪寒と共にゾクゾクとした感覚が蘇っていた。その手の動きを止めようと腕を後ろに回し旧友の腕を引っ掻くが何の防御にもならなかった。尻の割れ目からグッと手が入り、敏感な部分に指が触れると思わず口から呻き声が漏れていた。振り返っても旧友の顔を見ることは出来なかった。けれど、荒い息遣いが背後から聞こえ旧友が俺に欲情していることだけは理解できていた。

親友だと思っていたし、こいつのことは何でも知っていると思っていたけれど思い上がりだったのか。くちくちと弄り回されると次第に痛みより快感が勝ってくる。誰にされるよりこいつに身体を弄られているという事が屈辱的だった。

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10luci★ :2015/09/05(土) 01:55:22 ID:???0
もっと抵抗しないと入っちゃうぞ。ほら、先っぽが……うン、頭だけ入った。すげぇ気持ちいい~。 旧友が俺の中に入ってくる。その有り得ない状況に、俺はきつく目を瞑った。しかし、徐々に挿入されている感覚は、目を瞑ると余計に大きくなって脳内でそのビジョンを鮮明化させた。

ピンクに入り込む茶色。濡れ光る肉襞は無惨に開き茶色の肉塊を飲み込んでいく、そんな映像が溜息が零れ出る程の快感を伴って展開されていた。

ん、くっ。 声が自然と漏れだしていた。嬌声が室内に響く。なんて理不尽な振る舞いなんだろう。そこに、あるいはここにいるだけだったのに、なぜ男に犯されなくちゃいけないんだろう。女になった、それだけで。

いいぞぉ、いくぞぉ!  旧友がラストスパートに入ったのか、動きが速くなっていた。身体から粘液を引き出され、愉悦さえも引き出していく。何かに掴まりたいのに縛られた手には何も入らない。いつの間にか涙は乾いていた。

何かが身体の中で弾けた、そう感じた時、俺に乗っかったヤツは身体を痙攣させていた。

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11luci★ :2015/09/05(土) 02:02:14 ID:???0
黒い陰。窓に映るそれは、足の爪でガラスを引っ掻き、嘴で窓を叩いていた。その音に目を覚まされた俺は、身体をぺたぺたと触って元に戻っているか確かめていた。けれど当然戻っている訳はなかった。

しつこく窓を叩くカラス。ウンザリしながら、追い返そうと窓に近づくと、三毛猫が俺とカラスの間に入り背中を丸め毛を逆立てカラスを威嚇する。対峙しお互いの視線を絡め合う獣に、俺はカラスの正体が解った気がした。

馬鹿野郎が。酷い事をするからだ。ざまぁみろ。 汚い言葉が、澄んだ声で発せられる。部屋に入れろと言わんばかりに騒ぐカラスを後に、俺は今日何をすればいいのか考え始めていた。

会社、には行けない。こんな風な見た目では誰も俺だと信用しないのは明らかだ。せめて面影だけでも残っていればいいのに、あの似非天使に似てるのだから始末が悪い。体調不良で欠勤するとしても、電話が本人ではないのもおかしな話だ。俺が独身なのは周知の事実なのだから、女が電話したらあらぬ疑いをかけられかねない。――いや、結局会社にはいけないんだから一緒か。

誰かに相談するにしても一体何を相談すればいいんだろう。空から天使みたいなのが堕ちてきて、抱き留めたら女にされた。そんな話を誰が信じるんだ? まして、相談する相手がいない。旧友は俺を犯しカラスになってしまってる、多分。弟は猫になった。誰もいない。一組を除いて。

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12luci★ :2015/09/05(土) 02:08:08 ID:???0
しまった。そう思った時には遅かった。銀行へ向かう道すがらあった三人の生徒達。暇なことに俺の後をつけていたのだろう。胸を隠そうと上げた俺の腕を、坊主頭の少年が掴む。引きずられつんのめりそうになる俺の身体に、もう一人がしがみついてきた。その手が胸を揉むと俺はゾッとしていた。また、犯される、?

辺りには誰もいないがここで叫べば――そう思い息を吸い込んだ瞬間、三人目が俺の口を手で塞いだ。俺の耳にくぐもった呻き声が聞こえた。ドロッとした目。それが俺を見つめた。

送ってくって言ってんじゃん。その変わりヤラセテくれよ。その積もりでそんなカッコでここを通ったんだろ。 その積もりも何も、ただ近道だったから通っただけだ。

力一杯踏ん張っても少年とは言え男三人の力には適わない。少年達は俺を公園のトイレの中へと連れ込んでいった。

汚い床、壁。汚物が便器の外側にはみ出して乾いている。そんな中で俺はまた犯されなくちゃいけないのか? こんな理不尽な話はない。どうしてこんな事に。情け無くて視界が歪んだ。

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13luci★ :2015/09/05(土) 02:10:52 ID:???0
三人目が我慢しきれなくなったのか、目の前でズボンとパンツを下げた。ムッとする熱気を纏った、肉の槍。自分にもあったモノだけれど、こんなに近くで見たことはない。心を閉ざそうとしていた時に見せられたからか、意識がはっきりしていた。

お姉さん、銜えて。ほらっ。んだよっ口開けよ! しゃぶれっつってんだろ!  髪を掴み唇に丸く張った亀頭を擦り付けてくる。後ろから突き入れる度に口元に強く当たる。こじ開けようと苛つく少年が俺の頬を張った。恐怖が心を塗りこめる。でも。

これだけはイヤだ。女の身体で男を受け容れる、これまで無かった器官に受け容れる、それは、まだ、耐えられる。でも、同じモノがあったんだ。俺にも。それを口に入れるのだけはイヤだ。頑として口を開かない俺に、少年は俺の鼻を摘んだ。

苦しい、でも、耐えてやる。三十を数える程経った時、痛いばかりだった股間から信じられない快美感が身体を駆け巡った。その愉悦に身体がビクビクと反応してしまう。肉の槍ではなく、指がクリトリスを弄った事で生じた、肉の悦び。

二度目に撫で上げられた時、苦しさと芳しさで俺の口は大きく開いていた。

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8 TSFのSS「ウツロナココロノイレモノ…」 (Res:5)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 8
1luci★ :2008/03/11(火) 12:45:54 ID:???0
 彼が、というより今はもう彼女が、だけれど、目覚め辺りを見回すと、変わることなくコンクリートの天井と壁があった。自分と同じ筈の人物に、心のある人形同然に扱われる毎日が繰り広げられる空間。一番最初に目覚めてから、四方をコンクリートで囲まれたそこだけが唯一生存を許されている場所だった。
 毎夜、飽くことなく工藤は自分と魂を分かつ創られた人形を抱きに現れ、そして去っていく。工藤のもう一つの魂を持つ少女は自分に犯されるという言い難い汚辱と屈辱はにまみれながら、それを甘んじて受け入れる他無かった。ここにいる自分は工藤だと言っても誰も納得などする筈もない。勿論、この部屋から出ていければの話だったが。
 少女は、最初肉体も精神も犯されながらも、賢明に自我を保とうとしていた。いつか逃げ出せるチャンスを伺おうと。しかし、何度工藤が出入りしている辺りを調べてみても、そこには細い筋位しか見つけられなかった。用意周到なことに、工藤が少女を犯す時には必ず手枷を着け自由を奪っていたから、工藤の衣類のポケットを調べる事も出来なかった。
 そして次第に逃げる事が無駄なことだと思い始めていた。親しい友人がいる訳でもないし、本物の工藤がいる世界に「自分も工藤なのだ」と名乗り出ても信じる奴などいないだろう。
 どうにか三十回の目覚めを数えたけれど、それ以降は数えなくなっていた。
「今日はまだ来ないんだ……」
 工藤がいない時間は誰とも話す事が無かった。自然と思う事を声に出して言う習慣が、少女には出来ていた。そうしないと静かさと人恋しさで気が狂いそうになってしまう。
「昼の食事を済ませてから……大体三時間? いつもならくる時間だけど」
 自分の姿形をした男に身体をまさぐられるのは嫌いだった。しかし、いつもの時間に来ないというのは不安をかき立てられてしまう。工藤を心配するからではなかった。仮に工藤が何らかの事故で死んだ場合、誰にも知られずにこの場所で自分も餓死する可能性があるのだ。それを想像するとゾッとしていた。
「遅い、遅い、遅い……」
 始め、長く延びた髪を指先でくるくると弄っていた少女は、やがてスモックの裾を両手で掴み皺を伸ばすように動かしていた。四、五分もするとベッドから立ち上がり、室内をうろうろと歩き始めていた。
 イライラが募り始め扉に背を向けた時、音もなく扉が開いた。少女は外から入る空気が扉が開かれた事を理解できた。そしてその気持ちとは裏腹に嬉しげな表情を見せた。
「ーーあ、あれ? すみません、工藤以外いないと思って、ました……」
「えっ?! あ」
 工藤の声とは違う男の声。急いで振り向いた少女の目に映ったのは、スーツを着た男。年の頃は工藤と同じだろうか。もしくは少し若いかもしれない。少女はその顔に見覚えがあるような気がしていた。
 驚きは少女の方だけでは無かった。男もそうだった。普通なら窓もなくベッドだけしかない部屋にいる少女をおかしいと思うところだろう。しかし彼は狼狽しそこに考えが至らなかった。
「じゃ、じゃあね。突然でごめんね」
 慌てた素振りで背を向ける男を、不覚にも少女は扉が閉まるまで見送っていた。そして再び自分しかいない空間になった時始めて、外に出るチャンスだったと思い返していた。
 予期せぬ出来事が起こったとしても、すぐに対応できると思っていたのだが、実際には何も出来ないでいた自分が恨めしく思えていた。そして、なぜそうだったのかを考えるに、原因の一つとして突然の来訪者にあるのではないかという仮説に行き当たっていた。
「あの男……覚えがあるような、ないような……。『工藤以外いない』って言ってたって事は、少なくとも自分の事を知ってる人だと言うこと?」
 頭の中を整理し、どこであったのかを思いだそうとするけれど、深い霧の中にいるように全く見つける事は出来なかった。それよりも、扉が閉まる前に見た、少しばつの悪そうな表情が、脳内のスクリーンに何度も何度も繰り返し映し出される。それがどういう事なのか、少女は気づかなかった。

* * * * * * * * * *

7luci★ :2009/08/02(日) 22:14:14 ID:???0
 漸く開いた扉の向こうに、竹中は待ちわびた顔を見た。手前に扉を開けた工藤がいたが、全く目に入らなかった。ただ。少し頬を紅く染め、スカートの裾を握って立っている姿だけが目に飛び込んでいた。
(可愛い……)
 そう思うだけで頭の中にも言葉が浮かんで来ない。ただ、その姿が映り、どきどきと鼓動だけが響いていた。


8luci★ :2009/08/31(月) 23:21:32 ID:???0
 竹中は二言三言、工藤と小声で話をすると自分では満面の笑みを浮かべてアイを見、近づいて行った。
「先日は驚かせてごめんね。今日は待たせてしまったかな」
 極力好青年を装う。しかしどことなく工藤と同じようなオスの臭いがアイを戦慄かせた。
「……こんばんは」
 上目づかいに挨拶をするなり、工藤の体液が腿を伝わってから流れ落ちた。その感触に小さく身震いする。
 これ以上近づかれたら感づかれるかも知れない。そうでなくても匂いが竹中の鼻を付くかも知れない。そんな事を思いながら、アイは身を固くし後ずさりしそうになった。その視界に工藤が入る。
 アイをいたぶる時に見せる顔は、楽しそうな表情を見せていたが眼は笑っていなかった。
 せめてトイレにと思っていたが、それも出来ずもじもじとしていた。


11luci★ :2013/06/08(土) 13:18:21 ID:???0
少女のその態度は、竹中にとって期待以上のものだった。自分が思うのと同じように、特別な存在だと思うのに十分だった。単純過ぎる思考だったが、アイの媚びるような視線や胸元まで紅く染まった姿が男を惑わせていた。


12luci★ :2013/06/10(月) 12:54:11 ID:???0
工藤は男の背後からアイの態度を見つつ、口の端を上げた。そして、買ってきた食事を用意しようと言い、その場から姿を消した。
目の前の強化ガラスの丸いテーブルに目を落とすと、竹中はその動きを見留、アイに着席を促した。
ガラス製のそれは、どこに座ろうと相手から下半身が見える。竹中の座る位置によっては、見とがめられる可能性もあった。アイは、竹中が座ってからなるべく遠い位置に座ろうと黙って立っていた。


13luci★ :2013/06/10(月) 15:18:13 ID:???0
しかし、竹中も同じような思考をしていた。アイのそれとは少し意味合いが違ったが。二人は一瞬の間を置き口の開きかけた。
「「あの」」
「アイ、ちょっと手伝え」
買い込んだ惣菜をのせた皿を両手に持った工藤が、二人を遮った。若干安堵の色を見せ、アイは工藤に歩み寄る。
「お、俺も手伝うよ」
「客はどこでも座って寛いでいてくれ。二人で十分だ」
とりつく島もなく、竹中は二人の影を見送っていた。


14luci★ :2013/06/10(月) 15:23:01 ID:???0
**********

「少しは身の上話でもして、弄ってもらったか、ここを」
殆どの食事は皿に盛られ、運び出されるのを待っている。その横で、アイはグラスに注ぎながら、工藤の液体で満たされた柔穴を指でほじられていた。グラスと水差しが硬い音に隠れつつ粘膜と皮膚の音が耳に入る。
「し、てない。溢れる、やめ」
「ふん」
期待外れと言わんばかりに、アイの中から指を抜き去ると、工藤は大量の皿を手に、キッチンから出ていった。
工藤から何をしても構わないと言われているとは言え、自分は工藤から分かれた存在だの、助け出して欲しいだの、おいそれとは言えない。相手がどんな人物かを見極める必要もあったし、工藤の真意も分からない。ただ、今の状況からは脱け出したかった。
アイは手早くティッシュペーパーで残差を拭うと、ひとつ大きく息を吐きグラスを手にダイニングへ向かった。

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15luci★ :2013/06/12(水) 02:02:23 ID:???0
「……お待たせしました」
グラスをのせたトレーを持った少女の姿が、今まで話をしていた工藤を飛び越え竹中の目に映った。
手伝うよ、そう言おうと息を吸ったとき、工藤がいち早く立ち上がっていた。
研究室で見せる工藤の態度からは想像できない動き。そしてグラスを次々とテーブルに置くと、竹中から対面の位置にアイを座らせ、工藤は竹中とアイの間に座っていた。
自分がグラスを受け取りつつ、隣に座ろうとしたのに、そんな事を考えつつ、心のなかで舌打ちしていた。
(……まぁ、話し相手だからな)
自分を無理に納得させなら、腰掛けたアイを見た。
探るような少女の視線が絡んでくるような気がしていた。


17luci★ :2013/06/16(日) 01:34:09 ID:???0
食事が進むにつれ、竹中は様々な話題をアイに聞かせていた。その口調や内容は、とても魅力的だったし、アイも頬を染めながら聞いている。と、竹中には見えていた。
ガラス製のテーブルにはランチョンマットが敷かれ、それが丁度竹中の目隠しになっていた。熱っぽい視線を送るアイの股間には、工藤の武骨な指が可憐な花びらを蹂躙していた。肉芽が弾かれる度に刺激が身体を駆け抜け、思わず声を洩らしそうになる。やっと指が離れたと思えば、襞穴を分け入り快感を掻き出していく。竹中には気付かれないように工藤の手をどかそうとするが、かなわない。
(なんで、こんなとこ、ん、で……)
せっかく拭った股間は、湧き出る粘液で満たされ、スカートも椅子も染みを作り始めていた。食材の匂いがなかったら、女の濃厚な香りが男たちの鼻腔粘膜を刺激していたかも知れない。
アイは時折身体を震わせながら、次第に高みに昇っていく悦楽に堪えていた。まさか他人前でイキたくなかった。


18luci★ :2013/06/18(火) 00:10:05 ID:???0
赤の他人が目の前にいるのだ。
男女という性別に分けられてはいるが、元々魂を一つにする存在の工藤と少女。圧倒的な対格差で組伏せられ、性のオモチャにされているとはいえ、割り切ってしまえばある意味自慰行為とも言える。
しかし、竹中は自分達とは違う存在。拒否したくてもされている行為を、その目の前で口には出せない。アイは屈辱と羞恥に心が焼けそうになっていた。目の前の景色が歪む。
ふと、この手は、そして指は、工藤ではなく、竹中のモノではないかと想像してしまっていた。そうであるならどんなにいいか、と。
(?! ちっ違う! そうじゃない! 男が好きとか、そんなんじゃない……!)
男の前でイカされそうになり、その屈辱と羞恥と緊張に耐えかねたアイの心が、少しでも負担を減らそうと見せたもの。
それが本心なのか確かめることなく、アイは工藤の手から逃れるように勢いよく立ち上がると、そのまま後ろに倒れていた。


19luci :2015/08/27(木) 18:43:27 ID:2DPKnLFk0
 そのまま極度の緊張と頭を打って昏倒したアイを、工藤が抱きかかえていつもの部屋へと連れて行った。
 竹中も瞬間、腰を上げたが、工藤から「座って待ってろ」と言われ、頬杖をつきながら座って待つことにした。積極性に欠ける竹中の態度は、アイが作った水溜りを秘する結果となった。
 
 
 皮製のアイマスクで視界を奪われ、開口器で大きく口を開けられ、両手は皮製の手枷でくくられ、そのままベッドに固定されていた。両足は片方ずつももとすねを布テープでぐるぐる巻きにされ、身動きはほとんどとれなかった。
 その間に工藤の身体はあずけられ、ぐちぐちと力任せにアイの内臓を犯していく。
「なんだ、あのザマは」
 怒気をはらんだ声にアイの筋肉は収縮し異物を締め上げた。
 打ち付けられるのに合わせて、喉から息は漏れる。極力喘ぎ声を出さないことが今日の仕打ちへの少しばかりの抵抗だった。
 しかし、身体は奥まで届くそれに、否応なく反応して、どんどん高みへと誘っていく。
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9 TSFのSS「魔封の小太刀」 (Res:34)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 9
1 名前:luci★ 投稿日: 2009/09/07(月) 20:07:03 ID:???0
 『昔々あるところに、とても腕の良い刀鍛冶がいました。
 ある日刀鍛冶は神託を得、魔を祓う太刀と小太刀を作り始めました。ところがこれに驚いた魔の者たちは、そんなものがあっては困ると刀鍛冶をころす相談をしました。
 けれども刀鍛冶には神がついています。魔の者たちは触れる事さえできません。色々考えた挙げ句、刀鍛冶の想い人を使うことを思い付きました。神の力のおよばない場所に誘き出そうと言うのです。

 ……斯くして、小太刀は完成しましたが、太刀は未完のまま刀鍛冶はこの世を去ってしまったのでした。』

* * * * * * * * * * * * * * * *

23 名前:luci★ 投稿日: 2009/11/02(月) 21:57:25 ID:???0
『全く、気の弱いことよ』
 元はと言えば宝珠丸がしたことだ。今まで黙っていた癖に。
 涁にも聞こえたのかきょろきょろしながら、誰の声だと聞いてくる。
「宝珠丸、どういうことなんだ? 俺の体を好きに使えるなんて聞いて無いぞ」
 立ち上がりながら、目の前にはいない者に向かって言った。あまりに怒っているためか声が震えていた。しかし宝珠丸は気にした風でもない。
『話しておらぬからの。掻い摘んで言えば、お前の体に取り込まれている吾は、一心同体のようなもの。もし、お前が傷つき死にでもしたら、吾も二度と日の目を見ること叶わぬ』
「て事は、玲の体はお前の支配下にあるのか?」
 事態を把握しかねている涁が、俺に向かって言った。
『そうではない。こいつの心の隙が無くては如何に吾でも無理だ。先ほどは乳を揉まれて泡を喰っていたからのぅ』
「ぅうるさいっ、びっくりしただけだ! 二度と無い!」
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24 名前:luci★ 投稿日: 2009/11/19(木) 22:22:48 ID:???0

* * * * * * * * * * * * * * * * 

 山城の中はいつもと変わらぬ。変っているというなら、それは私の方。
 先日来、あの方に逢うことまかりならんと父上に言われ、仕方なく日々を過ごしてしまった。しかし今日は約束の日。是が非でも行かなくてはならぬ。
 すでに刻限は近づいてしまっている。もし、道中迷いでもしてあの方と遭えなかったら……いや、そんなことになろう筈がない! 誰に止められようと必ずあの方の元へ行く。
 日頃の行いが良いからか、神の導きか、侍たちに会わずに城を抜け出せたぞ。
 ……城からの山道は足下が悪くてたまらぬ。月明かりだけでは心許ない……しかし、ここを駆け下りなくては……。
 愛しいあの方。今日、やっと念願が叶う。なんと待ち遠しいことだろう。
 約束の刻限は過ぎているが、なに気にすることはない。あの方が私を置いていく筈がない。そら、もうそこの木陰から顔を覗かせる筈……。
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26 名前:luci★ 投稿日: 2010/03/08(月) 07:42:30 ID:???0
「あああああ?!」
「どうした、玲?!」
 泣き叫びながら目が覚めた俺の前に、いきなり視界に飛び込んできたおやじ殿の姿。夢のせいで混乱していたせいか、おやじ殿がひどく不快な存在に思える。
「な、なんでもないです。取りあえず出てってください」
「そうか?」
 心配しているのかどうなのか、おやじ殿の顔を見る余裕は俺に無かった。
「……玲、汗でぴったりなTシャツは見る分には楽しめるが、寝るときには着替えておけよ。風邪をひく」
「!」 
 俺は自分の胸元を隠しながら枕を投げつけていた。
 それにしてもなんてイヤな夢だったんだろう。古い時代だったと思う。着物を普通に着て、街灯などない時代……。
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27 名前:luci★ 投稿日: 2010/03/08(月) 08:39:16 ID:???0
 それから数日。
 不思議な事に、数日追うのを止めた途端、それまでなかなか尻尾を掴ませなかったというのに、自分の方から痕跡を残すようになっていた。
 以前宝珠丸が言っていたように。
 俺が聞いた噂を検討し、次の一手について話をしようと、何故か俺の部屋に涁がきていた。
「遅くまで残ってると、得体の知れない何かの姿を見るんだそうだ」
「ふん。動き出したのはいいが、後手に回ったな。玲、お前の方は感じないのか?」
「よどみを感じる程度。宝珠丸は何かないのか?」
『お前が感じるの同程度だ』
 涁が溜息を吐いた。
「まぁ、他人に憑いたり被害がないなら良しとするか」
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28 名前:luci★ 投稿日: 2010/03/09(火) 09:26:35 ID:???0
* * * * * * * * * * * * * * * * 

 あれは八郎太殿の首と……。何故殺めたのだ?! お前は私を逃がしてくれたではないか!
 許さぬ、決して許さぬぞ!
 愛しい八郎太殿の首は冷たい。もう、私に微笑みかけてくれぬ……。あの日の約束も果たされぬまま……。
 
 八郎太殿、実は、私の輿入れが……平気なのか? 私が、その……あ……。
 ――! 本気で言っているのか? 刀を作り終えたら? それは、この国を出るということか?
 あぁ、八郎太殿! その言葉、真だろうな? 私と一緒で後悔はしないのだな。
 ふふ、嬉しすぎて涙が出てしもうた。今一度強く抱、あっ。そちもおったのか?!
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29 名前:luci★ 投稿日: 2010/03/09(火) 09:27:12 ID:???0
* * * * * * * * * * * * * * * * 

 朝日がカーテンの隙間から差し込み、それが瞼をくすぐったのか、自然と目が覚めていた。
 あれは、前の夢の続き? というか時間軸はそれ以前……。温かく嬉しい感情が湧きあがって、追体験したような感じだった……。
 それより、あの水鏡に映った顔は、今の俺と同じ顔……。あれは俺なのか? 前世? 本当に起きた事なら、どのくらい前の事なんだろう? 
 前世ならそれでもいいが……何故こんなにも気になるんだ。胸が苦しくなるんだ。何か、何かが引っ掛かって、むず痒い。
 昔の事なら宝珠丸が知ってる可能性もある。それとなく聞いてみるか。
 せめてこの霞だけでも晴らさないといけない気がする。そう、強く心が訴えかけてる。それが今のこの姿の説明にも繋がるような、そんな気がする。

30 名前:luci★ 投稿日: 2010/03/10(水) 12:48:29 ID:???0
(宝珠丸、聞きたいことがある)
『知りうる範囲であれば』
 俺は言葉を選んだ。
(俺たちは肉体の感覚を共有してるのか?)
『いかにも――それで?』
(お前の生きた時代の夢を見てる気がする。そこにはこの姿そっくりの女と刀鍛冶が出てくる……)
 俺は見たままを伝えてみた。しかし。
『ふむ、それだけでは何とも探りようがないのぅ』
(同じように夢をみてるんじゃないのか?)
『見る気になれば。無論お前の意識を探ることもできるが、今はしておらぬ』
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31 名前:luci★ 投稿日: 2010/03/12(金) 14:44:35 ID:???0
「今日どこに行ってたんだ? 連絡取れなかったぞ」
 食事を取りダイニングの椅子で一段落取っているところに涁が話しかけてきた。正直言って、あまり話をする気分ではないのだけれど。おやじ殿はテレビを見ながら大笑いしている。
「それはすまなかったけど……実は、最近変な夢をみるんだ」
 俺は掻い摘んでお濃、八郎太、そしてその時の様子を話していた。
「――そうか。それで? 心理学の本でも借りてきたのか? それとも、前世とでも思ったのか?」
「どちらかと言うと後者。だから、図書館行ってこの辺りの歴史を調べてきたんだ」
 ちらっとおやじ殿を見ると、こちらには背を向けて頬杖をついている。涁は俺の隣に座って少し目を細めて俺をまっすぐ見ていた。何故前世などという言葉が出たのか、少し不思議だった。珍しくオカルティズムを刺激するような内容だったのだろうか。
「で、戦国時代くらいか、この辺りは後藤という家があったらしい。知ってる?」
 頭を振る涁に、言葉を進めた。
「後藤武篤、この人が家系図の最後に載ってる人物で、彼は三男二女儲けたらしい」
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32 名前:luci★ 投稿日: 2010/03/16(火) 15:56:24 ID:???0
* * * * * * * * * * * * * * * * 

 それは、これまでと違って、夢の中で夢だと分かる不思議なものだった。自分の目に映っている筈なのに、どこかドキュメンタリー映画を観ているような感覚を覚えていた。
 
 俺は二人の男に腕を掴まれて、暗い廊下を歩かされていた。抵抗してもずるずると引きずられ、次第に大きくなる木組みの格子、恐らく座敷牢に恐怖を感じていた。
 自分の喉から高い声が辺りを劈く。
「貴様、裏切り者めっ。ええいっ放さんか! このようなところに閉じ込める気か?! 私を誰だと思っておる!」
 両脇の男たちはそれに答えず、俺は座敷牢の中に放り出されていた。
「目をかけてやったのに! その挙句がこれか?! あのお方を殺めたのも」
「あの二人を切ったのには理由がございますれば。姫、あなたはこの国の置かれた状況が分かっておりませぬ」
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33 名前:luci★ 投稿日: 2010/03/17(水) 11:30:36 ID:???0
 そして自責と後悔に包まれ数日が過ぎた。
 怒号と煙が辺りに充満して、香ばしいようなそれでいて吐き気を催すような臭いが鼻をついた。そこへ、足早に御厨と呼ばれた侍が刀を四本持ち、前身ごろに血を付け姿を現した。
「姫、時が来ました。さぁ、参りましょう」
 牢の鍵を開けるとそいつは出るように促す。俺は沸騰しそうになる気持ちを抑え、睨んだ。
「二度とお前の言うとおりにはせぬ。勝手にどこへでも尻尾を振りに行けばよかろう。父上がいる限り、そうそうこの国も負けはせぬわ」
 にやりと笑う侍に、嫌な予感がした。
「殿は先ほどご自害なさったようですが。――さぁ、早く。火の手が速ようございます。某と一緒に来れば、何不自由なく大切にお暮らしいただけましょう。某も朽ち果ててゆく姫など見たくもありませぬ。さぁ、さぁ!」
「き貴様、それでも侍か?! 誰ぞおらぬか?! 裏切り者ぞ!」
 城を攻められ混乱の最中にあるためか、人が来る気配は無かった。しかし、侍は明らかに苛立ち、嫌悪の表情を俺に向け牢に入ってきた。
「……全く、某がせっかく姫の為を思ってしている事を……最期まで聞き入れぬとは……こうなったのも姫の所為なのですよ」
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1 名前:luci★ 投稿日: 2009/06/25(木) 21:01:46 ID:???0
復活させる事にしました。
知り合い少ないですけれど。

2 名前:luci★ 投稿日: 2009/06/25(木) 21:06:03 ID:???0
■推力全開■
ttp://weili.sblo.jp/

TSF公民館にてお世話になった、敬愛する作家「推力」様のブログです。
形容し難い表現力を久しぶりに拝読し、真似しよう近付こうと悪戦苦闘していた数年前を思い出しました。

3 名前:luci★ 投稿日: 2009/10/09(金) 20:22:09 ID:???0
■TS解体新書■
ttp://www7a.biglobe.ne.jp/~toshi9_kaitai/

TSFでは老舗ですよね。
ゼリージュースは素晴らしいアイデアです。「夢見た肌」を掲載していただいています。

4 名前:luci★ 投稿日: 2009/10/09(金) 20:24:45 ID:???0
■あむぁいおかし製作所■
ttp://okashi.blog6.fc2.com/

巨大TSFブログになりました。以前はチャット競作したりしてました。
「ウツロナココロノイレモノ」他数作品、掲載していただいています。

5 名前:luci★ 投稿日: 2009/10/09(金) 20:37:20 ID:???0
■磯味レーション■
ttp://isolation.h.fc2.com/

TSFな同人誌やイラストなど描いてらっしゃいます。
「聖夜にスパークリングゼリーは如何?」にイラストを描いていただきました。

6 名前:luci★ 投稿日: 2009/10/16(金) 21:02:56 ID:???0
■巴のアトリエ■
ttp://moe724.blog32.fc2.com/

TSとか801とか美麗なイラストとマンガが見事です。
「ウツロナココロノイレモノ」にイラストを描いていただきました。

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