2024年3月に読んだ本2024年04月07日 20時55分07秒

 3月はおおいに多忙だったので、引き続き電子書籍マンガがメイン。いろいろひと段落ついてきたので、他の本もちょこちょこ増やしていきたい。

3月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:3136
ナイス数:75

ヨシ 3万7千キロをおよいだウミガメのはなし◾️ヨシ 3万7千キロをおよいだウミガメのはなし感想
★★★☆
漁業用の網にかかって漂っていたところを日本の漁船に拾われ、「ヨシ」と名づけられ、南アフリカケープタウンの水族館に保護されて成長したアカウミガメ。ケープタウンで自然に帰され、いったんはアフリカ沿岸の営巣地に行きかけたものの、定着せず、はるかインド洋を渡ってオーストラリアへ。つまり、生まれはオーストラリアだった、という壮大な物語が事実ベースだという驚き。味わいのある絵がまたよきかな。
読了日:03月01日 著者:リン・コックス


こぎつねのとくべつなクリスマス◾️こぎつねのとくべつなクリスマス感想
★★★☆
雪の中で狩りをしていたこぎつね。暖かくて美味しそうなにおいにひかれて、一軒のお家に突っ込んでしまい、ひとりのおじいさんに拾われる。なるほど、この視点があったか、と思わず手を打つクリスマスの物語。ほっこり。
読了日:03月01日 著者:ポリー・フェイバー


黒ネコジェニーの おたんじょうび◾️黒ネコジェニーの おたんじょうび感想
★★★☆
原著は1954年。シンプルな線とベタな濃淡のない配色とモノクロで、日本で言えば長新太とかを連想させる。ニューヨークを舞台にネコがネコどうしで誕生日をお祝いする微笑ましいおはなし。キャラクター表が巻末のカバー見返しにあり。1992年にパルコ出版から『黒ねこジェニーの誕生日』として出たことがあり、シリーズ化もされているようだ。そっちも読んでみたいかも。
読了日:03月02日 著者:エスター・アベリル


魔法のリノベ(4) (ジュールコミックス)◾️魔法のリノベ(4) (ジュールコミックス)感想
★★★☆
主人公の実家話。弟の結婚式で田舎に帰ると結婚結婚言われる居心地悪さから、身勝手な父親の主導する実家建て替え問題に。新婚のお嫁さんの「ないわー」が全部持ってくと思ったところで、お母さんの爆弾発言炸裂でひっくり返った(笑)。まあ、それで反省するあたりここのお父さんはまだたちがいい部類だな…。あと、時系列では並行するペット飼いどうしで結婚することになったカップルのエピソード。
読了日:03月02日 著者:星崎 真紀


瓜を破る 6 (芳文社コミックス)◾️瓜を破る 6 (芳文社コミックス)感想
★★★★
人との距離感の取り方は、一見普通に会社員生活とかをしていて、社交性ありそうに見えても…、というのは実感できる人が多いんじゃなかろうか。それなりのキャリアウーマンとして生活はしつつも、実はゲームと映画くらいしか趣味がなく、料理も興味なし、という「普通の人」が、心と身体の瓜を破っていくこのマンガのある意味クライマックス。この後もいろいろありそうだけど、まずは多幸感に浸るのがよきかな。
読了日:03月03日 著者:板倉梓


いなり、こんこん、恋いろは。 (7) (カドカワコミックス・エース)◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (7) (カドカワコミックス・エース)感想
★★★☆
すべてがうまくいく世界に違和感を感じて自分から殻をやぶって、いろいろなことがかけ違った世界に戻り、一からやり直し。とはいえ、これまで積み上がってきたそれぞれの気持ちまで無になったわけではない。ちょっとずつかみ合い始めたか、と思ったところで、シリーズ最大のチョンボ!?
読了日:03月06日 著者:よしだ もろへ


魔法のリノベ(5) (ジュールコミックス)◾️魔法のリノベ(5) (ジュールコミックス)感想
★★★☆
空気読めない新世代の営業社員登場。今回は一冊丸ごとかけて、三等分した敷地に同じ間取りで建売されていた住宅を、夫婦とも在宅勤務、主夫の家事動線、専業主婦の誇り、とそれぞれの家庭の事情をやんわりと解決していく。同じ工務店にリノベしてもらったのが疎遠だったご近所の話の種にもなりそう? あと、家族経営の工務店に現代的なコンプライアンスが? 巻末にはドラマ化のレポートも。デビュー当時から読んでるけど、まさかこんな日が来るとは! 作者と感動を共にした。これは幸福なドラマ化だったようでその点もよかった。
読了日:03月07日 著者:星崎 真紀


舞妓さんちのまかないさん (2) (少年サンデーコミックススペシャル)◾️舞妓さんちのまかないさん (2) (少年サンデーコミックススペシャル)感想
★★★
うぇぶりの無料公開にて続きを。この巻はいっしょに青森から上京してきたすーちゃんの「お店出し」(舞妓デビュー)がメイン。人が大勢いるところに、二人で田舎を思い出すあたりにほろっとする。しかし最近、サイトとかでプッシュされる料理マンガは、料理以外が主眼のものが多いのかな。
読了日:03月08日 著者:小山 愛子


海が鳴く時 (ビッグコミックススペシャル)◾️海が鳴く時 (ビッグコミックススペシャル)感想
★★★☆
漢字Talk 6の時代に作画環境をMacにした六田登が青年誌に散発的に発表してきた心理の闇を抉るような作風の短編、中編群をオールカラー化して一冊にまとめたコンセプトアルバムのような作品集。当時の環境でできる表現としてはよくここまで、という感じだが、やはり作品が重苦しくおどろおどろしいので、読者は選ぶと思う。あと、デジタルネイティブが増えている中では試みそのものの価値は伝わりにくいだろう。
読了日:03月10日 著者:六田 登


魔法のリノベ(6) (ジュールコミックス)◾️魔法のリノベ(6) (ジュールコミックス)感想
★★★☆
今巻は女性二人コンビのマンガ家の共同生活、離婚男性の息子とのコミュニケーション、集合住宅に長年暮らした男女が共同で暮らせるリノベなど、やや社会的に標準から外れた人々の生活を変えていく展開。一方で、主役コンビの関係が進みそうな進まなそうな…。
読了日:03月12日 著者:星崎真紀


いなり、こんこん、恋いろは。 (8) (カドカワコミックス・エース)◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (8) (カドカワコミックス・エース)感想
★★★☆
最大のハプニングがわだかまりを解くきっかけに。そしてやってくるバレンタインイベント。そこに修学旅行以来の因縁が…。時折出てくるこういう陰湿が今世紀の学生生活のリアルなんだろうけど、性格いい子がそういう中で身を潜めて生活しているのも、そっちの視点で見るとちょっと地獄っぽいかも。一方、なぜか戻った神力の行き着く先が見えてきて、またちょっと不穏な予感で次巻へ。
読了日:03月13日 著者:よしだ もろへ


舞妓さんちのまかないさん (3) (少年サンデーコミックススペシャル)◾️舞妓さんちのまかないさん (3) (少年サンデーコミックススペシャル)感想
★★★
中学を出てすぐ上京した二人の初めての年末年始。その歳でも「お店出し」して舞妓さんになっていると大晦日ぎりぎりまでお座敷とか、正月は舞妓さんたちが普段は食べられないハンバーガーに群がるとか、ほんわかした雰囲気の中にいろいろ仄めかされているかな。青森への帰省イベントもあり。料理はいつにも増してフツーのメニューばかり。
読了日:03月13日 著者:小山 愛子


待つこと、忘れること?◾️待つこと、忘れること?感想
★★★★
金子姉妹合作の料理じゃなくて愛猫トラーの工夫を凝らしたイラストがあしらわれたエッセイ集。マンガ家ではよく雑誌を休刊、廃刊に追い込む雑誌クラッシャーというのがあるけど、エッセイストにもあったのか(笑)!? グラビア誌「太陽」に始めり、複数の雑誌を転々として書き継がれたエッセイは、その連載移転の事情まで語ったり、時には予定枚数をオーバーしてひとつの料理の話が次回に持ち越されたり、いろいろとフリーダム(笑)。文学や映画の教養の素地が混じりつつ、一貫して辛辣な書きっぷりが清々しい。
読了日:03月15日 著者:金井 美恵子


舞妓さんちのまかないさん (4) (少年サンデーコミックススペシャル)◾️舞妓さんちのまかないさん (4) (少年サンデーコミックススペシャル)感想
★★★
この巻は年始の挨拶回りから節分、バレンタインまで。「お化け」というまるでハロウィンみたいな仮装イベントがあるとは知らなかった(笑)!
読了日:03月15日 著者:小山 愛子


いなり、こんこん、恋いろは。 (9) (カドカワコミックス・エース)◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (9) (カドカワコミックス・エース)感想
★★★☆
いざ、告白、の後のぎこちなさが微笑ましい一方、神力のありかをめぐって急展開。とはいえ、友人関係も恋愛関係も家族関係もそれぞれのあるある感の描き方が上手い。それだけに、修学旅行以来の神力発現の流れも納得感あり。
読了日:03月16日 著者:よしだ もろへ


いなり、こんこん、恋いろは。 (10) (カドカワコミックス・エース)◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (10) (カドカワコミックス・エース)感想
★★★★
すべてのピースが収まるところに収まっていきつつ、予定調和感がないのは、出てきたキャラクターひとりひとりの考え、行動にそれぞれに感情移入できるポイントがあるからだろう。5巻のコメントによれば全体の構成はもともと決めてあったようだけど、これだけきちんと描き切っているのは見事。電子書籍のフェアがなければ読まないままだったと思うけど(あと、たぶんにジャケ買い)、予想以上の拾い物だった。たまに読み返したくなりそう。
読了日:03月16日 著者:よしだ もろへ


かしこいモリー◾️かしこいモリー感想
★★★☆
意外に読んだことなかったイギリスの昔話。「ヘンゼルとグレーテル」的な親が子どもを森に捨てる導入部から、3人姉妹が末っ子のモリーの機転で嫁入りを順々に決めていく。3人兄弟の王子たちの存在感のなさと、けっこう残酷なモリーの所業が伝承おとぎ話っぽい。このバージョンは絵本の画風に味があってよい。
読了日:03月16日 著者:ウォルター デ ラ メア


The New IPA: Scientific Guide to Hop Aroma and Flavor (English Edition)◾️The New IPA: Scientific Guide to Hop Aroma and Flavor (English Edition)感想
★★★★
翻訳したものを校正のために再読。単純誤字脱字が多いのは、最近の予測変換機能の使い勝手の悪さにも一因があるかも(昔の変換辞書の単純学習の方が物書きにはよかった)。ともあれ、いろいろ偏った内容とはいえ、一見別分野と思える論文を組み合わせて考察する著者の理解力と構成力には改めて脱帽。もうちょっとでセルフパブリッシングお届けできます。
読了日:03月17日 著者:Scott Janish


こどものじかん はる なつ あき ふゆ◾️こどものじかん はる なつ あき ふゆ感想
★★★☆
大勢の子どもの日常をちまちま描く。カバーめくるとそれぞれのおうちでおはよう、裏カバーの返しにはおやすみ、中では四季折々、さまざまな時間帯の子どもたちの生態が生き生きと描かれる。たまにドキッとするようなことも描かれているのがアクセントになっているのかも。
読了日:03月19日 著者:ギョウ フジカワ


わたしたちをつなぐたび◾️わたしたちをつなぐたび感想
★★★☆
仲のよい母娘。でもお父さんはいない。お母さんはこうのとりさんが運んできてくれた、というけど、こうのとりさんに聞いてみたら本当にそうだった!? それじゃこうのとりさんはどこから? 御伽話的かと思って、動物さんたちのお話をもとに遡ってみたら、行き着いた先は意外とリアル!?
読了日:03月19日 著者:イリーナ・ブリヌル


シロかクロか、どちらにしてもトラ柄ではない: たのしい暮しの断片◾️シロかクロか、どちらにしてもトラ柄ではない: たのしい暮しの断片感想
★★★★☆
世代的には高樹のぶ子さんあたりに近い、『マイマイ新子』あたりの時代から現代までを過ごしてきた視点と、主に映画を中心とした教養が随所に散りばめられた辛辣辛口エッセイ。挿画のレイアウトも自由さが増して、挿画そのものも立体物を構成したアートが中心で美しくもカオス。『ミツバチのささやき』はサブタイトルだけで本当にミツバチの話をするエッセイだったが、『マルメロの陽光』の主演?の画家アントニオ・ロペスの描いた冷蔵庫の絵画の話題におり混ぜて氷式冷蔵庫の話題が出てきたりするのも楽しい。タイトルのシロをめぐる猫の話もよい。
読了日:03月23日 著者:金井 美恵子


わたしを 描く◾️わたしを 描く感想
★★★☆
図書館の新着コーナーにて。画家を目指す少女が画材屋で自分の名前と同じ名を持つキャンバス地に魅せられて父親に買ってもらったものの、自画像を描いてみると…。理に落ちた説明になりそうな要素は散りばめられつつ、正解は提示しない描写と展開が深い。
読了日:03月30日 著者:曹文軒


超人ロック 鏡の檻(3) (ヤングキングコミックス)◾️超人ロック 鏡の檻(3) (ヤングキングコミックス)感想
★★★☆
古代の闘技場のような「鏡の檻」へと送り込まれるロック。これまでに登場したことのある特殊能力のオンパレードのサバイバルだが、送り込む方も「もしや」と思っているあたりの腹の探り合いもあり。一方のジャマー開発は発想を逆転させての人造超能力者の創出に成功!? 巻末の短編は事故で未知の生存可能惑星に漂着した植民船の物語。ちゃんとこの巻に収録されている意味はある。
読了日:03月31日 著者:聖悠紀

読書メーター

2024年2月に読んだ本2024年03月11日 05時03分14秒

 すっかり電子書籍読書がメインになって、特に紙だとスペースの関係で手を出しにくかったマンガがするする読めるのはメリット。マンガ以外が少ないのは、洋書であげた本の翻訳校正をしているのと、職場で最終講義っぽいものをやる準備で時間が取りにくかったためでもある。
 ということで、セルフパブリッシングで一冊出します。3月中公開に向けて準備中。よしなに。

2月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:3338
ナイス数:128

作りたい女と食べたい女 1 (it COMICS)◾️作りたい女と食べたい女 1 (it COMICS)感想
★★★
ドラマの影響で読み始めた。一人暮らしで少量だけ作るのはこの主人公ほど料理好きでなくてもむつかしいもの(なので一人暮らし始めたり、量の加減がわかる前の新婚時代は食べ過ぎになりがち(笑))。SNS時代の日常マンガでもあり、あと、作画や諸々の効果、処理はかっちりしていてこの点もデジタルネイティブっぽい。
読了日:02月02日 著者:ゆざき さかおみ


ふゆごもりのネム (世界文化社のワンダー絵本)◾️ふゆごもりのネム (世界文化社のワンダー絵本)感想
★★★
大家さんと部屋四つの下宿屋? 登場人物紹介と最初の数ページで予想していたのと比べだいぶ斜め上の展開でびっくり(笑)。ラストページにちょっと主人公の名前と関係のある仕込があるのも楽しい。
読了日:02月03日 著者:津田 真一


作りたい女と食べたい女 2 (it COMICS)◾️作りたい女と食べたい女 2 (it COMICS)感想
★★★
ふたりの関係は安定してきつつも、適齢期あるある、あるいは同調圧力あるある。最近読むマンガがこういう要素が多いのは、検索履歴などの情報から最適化されている面もあるのかな? ストーリーはこのあたりでテレビドラマ1期あたりまで。このあたりからドラマ版と違う部分がいろいろ出てくる感じ。
読了日:02月03日 著者:ゆざき さかおみ


The New IPA: Scientific Guide to Hop Aroma and Flavor (English Edition)◾️The New IPA: Scientific Guide to Hop Aroma and Flavor (English Edition)感想
★★★★
アメリカでホームブルーイングを趣味にしていた青年が、同好の士のネット会議室では知りたいことがわからない、と、思っていたところで、ビール分野の学術論文に出会う。論文を読むためにたくさんの学会に入会し、読んだ論文1000報以上!? それを自分なりにかみ砕いてblogにしたら大評判! で、それが本になったのが2019年。以来、amazonで分野内の上位をキープし続けているクラフト界隈のベストセラー。通読するとびっくり。ヘイジーIPAの造り方にフォーカスしつつも、新世紀のビールの教科書と言っていい良書。
読了日:02月08日 著者:Scott Janish


作りたい女と食べたい女 3 (it COMICS)◾️作りたい女と食べたい女 3 (it COMICS)感想
★★★☆
この巻だけじゃないけど、登場人物のトラウマが描かれるエピソードの冒頭に注意表示が入るのが今の時代を感じる。新しい隣人と現在らしいSNSきっかけのオンライン鑑賞会からのリアル友だち化なども同様。内容は2024年2月現在放映中のドラマ版2期相当だけど、原作4巻まで読んでから観はじめたドラマ版のオリジナルキャラの位置づけは、原作とドラマの関係が炎上している状況で観るとやや微妙かなあ…
読了日:02月09日 著者:ゆざき さかおみ


青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない (電撃文庫)◾️青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない (電撃文庫)感想
★★★
劇場版に追いついた原作読書。擬似量子力学?全開の劇場版『夢みる少女』と比べると、前巻と今巻は主人公の「よいこ」過ぎるモノローグで読むストーリーが文字でこのボリュームで読むとけっこう重い。ということで、この2作はその要素を映像に置き換えることができるアニメの方が自分的にはよかった。涼宮ハルヒのキョンの一人語りと比べ、主人公の一見ブタ野郎な言動と良識的な思考、それを表す普通の文体のギャップが本シリーズの美点だと思ってきたけど、ブタ野郎要素が引いて良識と善意をひたすらモノローグで読むとこの文体はやや重いかも。
読了日:02月11日 著者:鴨志田 一


作りたい女と食べたい女 4 (it COMICS)◾️作りたい女と食べたい女 4 (it COMICS)感想
★★★☆
それぞれに何らかのトラウマを抱えてきた4人がたまたま隣に住んだり、SNSから繋がったりしてそれぞれに自己肯定感を上げていき、関係性がじんわり変化していくのが心地よく読めつつ、いざ引っ越しや同居を考えると現実世界の壁が立ちふさがったり。このあたりはジョー・ウォルトン『わたしの本当の子どもたち』で提起されていた社会問題にも近い。この先、パートナー制度の問題とかも出てくるのかな。
読了日:02月11日 著者:ゆざき さかおみ


青椒肉絲の絲、麻婆豆腐の麻 ――中国語の口福 (単行本 --)◾️青椒肉絲の絲、麻婆豆腐の麻 ――中国語の口福 (単行本 --)感想
★★★★
タイトルから中華料理漫遊エッセイかと思いきや、料理名の建て付けと中国語の用法をめぐる言語学の要素もあり(著者の本職でもあるので)、歴史や地理に根ざした比較文化論の要素もあり、いろいろな側面で、しかし渾然一体で読める。それは書かれているのがこの著者の人生そのものだからでもあるのだろう。
読了日:02月12日 著者:新井 一二三


いなり、こんこん、恋いろは。 (4) (カドカワコミックス・エース)◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (4) (カドカワコミックス・エース)感想
★★★
神無月(神有月)になって友人関係も人間関係も動きが激しくなってきて、主人公は両想い状態なのに自分に自信がなくて空回りしてるし、神様の方は性格が乙女すぎる(笑)。しかし京都といい出雲といい、神様の世界とシームレス過ぎる(笑)。神様も神力の挙動が読めない?と言うことでそのあたりは今後の落とし所がどうなるやら…
読了日:02月16日 著者:よしだ もろへ


作りたい女と食べたい女 5 (it COMICS)◾️作りたい女と食べたい女 5 (it COMICS)感想
★★★☆
ドラマ、原作ザッピング状態で出た最新刊。人が知り合うきっかけはたまたまお隣さんだったり、偶然が重なったり、という古典的な要素から、SNSからリアルへの展開という現代的な要素があったりするけど、友人、パートナーへの関係性が深まっていく基本が「いっしょにいて楽しい」なのは時代によらない正解なんだろうな、と思う。
読了日:02月17日 著者:ゆざき さかおみ


舞妓さんちのまかないさん (1) (少年サンデーコミックススペシャル)◾️舞妓さんちのまかないさん (1) (少年サンデーコミックススペシャル)感想
★★★
サンデーうぇぶりで1巻分が無料だったので試しに。青森から舞妓さんに憧れて上京(京都の京)したものの、芽が出ず帰されそうになっていたところ、まかないのおばさんが腰を痛めて引退した代わりに食事を作り始めて、まかないに。時代は現代だけど、古くからそのまま使っているタイルや石を埋め込んだ流しの質感がいい。作るのも、あくまで家庭料理、ありものでやりくりで、すごいメニューが登場しないあたりがいわゆるグルメマンガっぽくないのがポイントのひとつか? 続刊が多いので、続きはしばらく保留かな。
読了日:02月19日 著者:小山 愛子


いなり、こんこん、恋いろは。 (5) (カドカワコミックス・エース)◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (5) (カドカワコミックス・エース)感想
★★★☆
修学旅行、なるほど京都からなら東京か。班分けとかその後の旅行中の無視いじめの発動とか、学生生活の描き方がやややりすぎ感もなくはないけど、納得感のある描写。いじめトラブルの解決のプロセスが今巻の肝という感じで、そこに神力の問題が絡むのも上手い。あとがきでは「折り返し点」とあって、ちゃんと全体の構成・構想がしっかりあって描いているのも伺えて好印象。
読了日:02月20日 著者:よしだ もろへ


魔法のリノベ(1) (ジュールコミックス)◾️魔法のリノベ(1) (ジュールコミックス)感想
★★★☆
初期からの絵柄が、根っこは変わらないものの円熟の境地に達していて、特に表情表現がすばらしい。大手から家族経営の会社に転職した主人公がお客さんの普段表に見せていない気持ちをうまく掘り起こしてリノベーション案を提案して、結果的に夫婦の間のちょっとしたすれ違いまでリノベーションしていくハートウォーミングなコンセプトがいい。
読了日:02月23日 著者:星崎 真紀


超人ロック 鏡の檻(1) (ヤングキングコミックス)◾️超人ロック 鏡の檻(1) (ヤングキングコミックス)感想
★★★☆
『ラフラール』の直接の続編。この年代、旧帝国以前の技術はたまに漏れ出る以外は時間庫に封印され、「超人ロック」の記録、記憶は巧妙に消されている設定だが、このシリーズの主要キャラクターはロックについてよく知っている。ラフノール関係者はむしろよく知っている理由はあるが、他はどうやって調べ上げたのか、やや気になる。とはいえ『コズミック・ゲーム』が歴史上の出来事として出てきたりするのはやっぱりファン心をくすぐる(あとがきにはその執筆秘話も)。
読了日:02月24日 著者:聖悠紀


超人ロック 鏡の檻(2) (ヤングキングコミックス)◾️超人ロック 鏡の檻(2) (ヤングキングコミックス)感想
★★★☆
今シリーズの肝はESPジャマーとその関連技術。数千年の時を超能力者と共存してきた社会ではESPを妨害できる技術が抑止力となることで均衡状態を作り上げている、というのは、そういう変遷の歴史そのものを描き続けてきた作品だからこそ提示できるコンセプトかもしれない(単発の作品でも出せなくはないが、ここまで説得力はないかもしれない)。
読了日:02月25日 著者:聖悠紀


魔法のリノベ(2) (ジュールコミックス)◾️魔法のリノベ(2) (ジュールコミックス)感想
★★★☆
依頼者の家族間の些細なささくれをリノベをきっかけに癒す、というコンセプトは健在。そのあたりはいいバランス感かな、と思う。一方で、主人公の前職からの因縁はちょっとやりすぎ感がなくもないけど、確信犯で人間関係をコントロールする、というのはリアルでもみたことがあるんで、そういう体験のある人はけっこうリアリティ感じるのかも。
読了日:02月27日 著者:星崎 真紀


岩泉舞作品集 ミレンさんの壺 (その他)◾️岩泉舞作品集 ミレンさんの壺 (その他)感想
★★★☆
これはちゃんと紙で買った。伝説だったマンガ家、岩泉舞の完全新作オムニバス長編と短編ひとつ。ある意味、新人マンガ家岩泉舞の再デビュー作と言っていいかもしれない。ご本人の描けなかった時期や、これまでの人生経験が反映されたと思われる、各編のキャラクターのそれぞれの人生が滋味深い。とはいえ、収録作のベストは配信でも読んでいた「ロボットを捨てに行く」かな。これからも応援していきたい。
読了日:02月29日 著者:岩泉 舞


いなり、こんこん、恋いろは。 (6) (カドカワコミックス・エース)◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (6) (カドカワコミックス・エース)感想
★★★
すべてが終わったと思ったのに!? なぜか力が戻ってしまったことで、せっかくいい感じだった関係性にヒビが…。逃げ込んだ先は…。待て、次巻?(もう完結してます(笑))
読了日:02月29日 著者:よしだ もろへ


魔法のリノベ(3) (ジュールコミックス)◾️魔法のリノベ(3) (ジュールコミックス)感想
★★★☆
この巻では、提案、計画通りにすんなり進まない展開に。その理由として、前巻までのヒロイン側の因縁に代わり、まるふく工務店一家の方の問題次男が登場。しかし、消費税8%時代の話なのは、今読むとちょっと懐かしいかも。というか、消費税廃止にならんかな(笑)。
読了日:02月29日 著者:星崎 真紀



読書メーター

2024年1月に読んだ本2024年02月11日 09時17分36秒

 『本好きの下剋上』マラソン、第三部でいったんひと段落。製紙技術から立ち上げて自分で執筆、編集までした絵本シリーズの完結で並べて読んでニマニマするのは人ごとと思えない(笑)。
 隙間読書が気軽にできるのは電子書籍の利点で、気がつけばすっかり電子比率高い人に(笑)。いや、でも、紙のファンジンは作りますよ(笑)。

1月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:3578
ナイス数:74

【小説8巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女1」◾️【小説8巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女1」感想
★★★★
貴族社会に舞台が移って新キャラクター続々登場。魔法がらみの描写も増えてきて、そのあたりは普通に近年の異世界転生ものっぽいのだろう。第二部での生活環境、身分差、陰謀劇などのシビアさがいったんリセットされる一方、印刷技術ではついに活版印刷とガリ版印刷の実用化! 技術の順番や所要コストが逆転してるのは異世界事情(笑)。技術普及にかかる莫大なコスト負担のために発案したのは、この世界の社交にはなかったチャリティコンサート!? その主役はなんと表紙のあの人!? 「推し」の概念が持ち込まれるスタンピードぶりが楽しい巻。
読了日:01月01日 著者:香月美夜


【小説9巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女2」◾️【小説9巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女2」感想
★★★★
領主の一族にただ救われただけではなく、教育や働き方に問題があれば現代日本の考え方でがんがん正していく。甘やかされ切ったバカ息子の再教育と、神官長まわりの報連相の欠如と仕事の一人抱えは、そりゃ問題だ(笑)。一方で、初めて知る農村の実態と、改善のために陰謀を巡らせる羽目になるあたりと、ファンタジー展開の魔石集めミッションでの魔獣とのバトルがなかなかシビア。あと、前巻で創り出したネコ…じゃなくてレッサーバスが大活躍(笑)。動物の種類は、一応著作権にも配慮したのか(笑)!?
読了日:01月03日 著者:香月美夜


【小説10巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女3」◾️【小説10巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女3」感想
★★★★
表紙にある通り、第三部のミッションのファンタジー方面の魔石収集イベントが二つあり、政治方面ではハッセの街の処分が予想以上にシビア。魔法を駆使する描写も毎回工夫があって、その方面でもよくできている。冬の社交では、想定していた出版物の販売と幼児教育にも進展あり。地味だけど冒頭では活版印刷機のプロトタイプに向けてこの世界にはなかった異業種協業が始まる。盛りだくさんの巻。それにしても、毎年騎士団が冬の主を倒さないと春が来ない?って、これまたシビアな設定では…。
読了日:01月04日 著者:香月美夜


安野光雅作品集◾️安野光雅作品集感想
★★★★☆
見たことのある絵も多いけど、初めて見る絵もたくさんあって、改めてその業績の膨大さに感じ入った。表紙の絵は淡い色彩だけど建物の窓の立体感が不思議で全体の中でもかなり目を惹いた絵で、なるほど、これが表紙で納得。まだ手に取ったことのない作品をちょっとづつ見ていきたい。
読了日:01月06日 著者:


【小説11巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女4」◾️【小説11巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女4」感想
★★★★
表紙にある通り、教育目的を兼ねて作成を進めてきた絵本シリーズがついに完結。その完成品を並べて悦にいる主人公が他人とは思えない(笑)。自分で文章書いて、手書きかパソコンで清書、レイアウトして版下作って、コピーして中綴じホチキスで製本した完成品、あるいは印刷所に出して仕上がってきた完成品を目にするたびに、同じようにニマニマしてきたよ(笑)! 一方で、過去の遺恨からまた不穏な展開の予兆が。そういえばこの世界、大粛清で大勢の貴族がいなくなった、という背景だったっけ。
読了日:01月06日 著者:香月美夜


【小説12巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女5」◾️【小説12巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女5」感想
★★★★
完結キャンペーンの合本版で第3部まで一気に。印刷産業がらみ、魔法がらみ、権謀術数がらみ、盛り込みすぎなくらいで、今まででいちばんの危機でクライマックス。舞台が中華風じゃなくて中世ドイツっぽいファンタジー世界で現代日本の常識と技術に関する知識で社会を改善していく面白さは十二国記+大江戸神仙伝+澪つくし料理帖+α?とまで言ってしまうと褒めすぎか(笑)!? とはいえ、報連相の徹底と人材育成、引継書の重要性が盛り込まれた巻でもある。
読了日:01月07日 著者:香月美夜


我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち (ブルーバックス)◾️我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち (ブルーバックス)感想
★★★★
本人は研究者ではなくとも、取材する分野について研究者に匹敵する視点と理解を持って、なおかつ、一般読者が面白く読める本にすることができる。科学ジャーナリストのお手本となるような一冊。
読了日:01月12日 著者:川端 裕人


くまのこの としこし (講談社の創作絵本)◾️くまのこの としこし (講談社の創作絵本)感想
★★★
くまの一家の年越しをたんたんと描く。小学生の頃はどんなに起きていようと思っても起きていられなかったっけ。今は起きていることもできるけど、若い頃と比べて、起きていた後の眠さが目立つようになった。
読了日:01月12日 著者:高橋 和枝


わたしは地下鉄です◾️わたしは地下鉄です感想
★★★☆
韓国の地下鉄を主人公に、駅ごとに乗り組んでくる乗客を淡々と観察する。淡くざっくりした水彩と、人の顔から看板のハングル文字まで細かいところはすごく緻密で、デフォルメされているけど民族がわかる描き方の人の顔の表現とか、色々と興味深い。細部まで描き込まれた背景にあるものについて考えるのもいいかもしれない。
読了日:01月12日 著者:キム・ヒョウン


サンタクロースとあったよる◾️サンタクロースとあったよる感想
★★★☆
現在も世界中に流布されているサンタクロースの元になった詩の絵本化。たくさん絵本にされてきた、とあとがきにあったけど、意外と読んでなかったんだな、と思った。詩の由来も解説されていてなるほど。サンタクロースを目撃した視点を誰に置くかが絵本化のポイントなのかもしれない。
読了日:01月13日 著者:


オニのサラリーマン (日本傑作絵本シリーズ)◾️オニのサラリーマン (日本傑作絵本シリーズ)感想
★★★☆
京都っぽい街から満員バスに揺られて地獄正門前で降りると、そこはオニガワラの職場。見張を担当する地獄は日替わり制らしい。職場でも楽な担当と言われるらしい血の池の見張りは、単調な仕事なので愛妻弁当の昼食の後はついうとうと。そんな日に限って大変なことが!? まさかあの文学短編の裏話だったとは(笑)!?
読了日:01月13日 著者:富安 陽子


うろおぼえ一家のきゅうじつ◾️うろおぼえ一家のきゅうじつ感想
★★★
自分たちのうろおぼえに自覚のある一家、休日に行くところをみんなでメモにして意気揚々と外出するが、メモを書いた目的も忘れているので、行く先々でメモを使ってしまう。ツッコミどころ満載だけど、メモを使った親切が巡り巡って、なべて世はこともなし!? ラストページにちょっとした仕掛けがあるのも楽しい。
読了日:01月13日 著者:出口かずみ


マティスを旅する◾️マティスを旅する感想
★★★☆
マティスの絵画作品ではなく、手がけた建物とマティスゆかりの地をめぐる写真旅。マティスの入門書としてもいいかもしれない。
読了日:01月13日 著者:


瓜を破る 5 (芳文社コミックス)◾️瓜を破る 5 (芳文社コミックス)感想
★★★★
本巻では、我が道をゆくバリキャリ系のいわゆるおひとり様にも見た目通りでない悩みが。これまで出てきたキャラクターも些細なきっかけで心が揺れ動き、些細なきっかけで立ち直ったりする、その振幅が人生が続いていくということかな、と思わせる輻輳的な描き方がいろいろしっくりくる。
読了日:01月14日 著者:板倉梓


いなり、こんこん、恋いろは。 (3) (角川コミックス・エース 326-3)◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (3) (角川コミックス・エース 326-3)感想
★★★
幼なじみ的な古い友だちと新しい友だちの間の関係の変化を丁寧に描くあたりが引き続き好感。主人公の片思いも、実は進展しつつありながら、本人はそのことにまだ気づけない距離感とかもなかなかいい。
読了日:01月16日 著者:よしだ もろへ


ひと粒のチョコレートに (福音館の単行本)◾️ひと粒のチョコレートに (福音館の単行本)感想
★★★☆
表紙だけ見るとチョコレートをめぐる何かのお話を絵本にしているのかと思いきや、さにあらず。カカオ豆の食べられ方、チョコレートが今のような食べ物になるための条件、チョコレートの製造方法の変遷などがきちんきちんと描かれた科学教育絵本だった。ここまで詳しく知らなかったので、すごく勉強になった。
読了日:01月18日 著者:佐藤 清隆


おしえて! あむあむさん (世界文化社のワンダー絵本)◾️おしえて! あむあむさん (世界文化社のワンダー絵本)感想
★★★
ひつじのあむあむさんはあみもの屋さん。古着が持ち込まれるとほどいて編み直したり、色を染め直してまた編み直したり。ほっこり系の絵本。
読了日:01月22日 著者:間部 香代


青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない (電撃文庫)◾️青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない (電撃文庫)感想
★★★
劇場版で観た時も思ったけど、とにかく地味なエピソード。この場合の思春期症候群は他のヒロインのケースと違って「治る」前後も含めて、程度の差はあれ現実世界でもありそうで、その解決にもアクロバティックな擬似量子力学も必要ないためだろう。現代の若者の中で起こりそうな課題への解決策を淡々と提示していくため物語の起伏もあまりない。涼宮ハルヒフォーマットの新しい形、という表現形のシリーズだけに、物語を継続するには必須の解決課題とはいえ、不思議なことが起こらないと物足りなく感じるのは致し方ないように思う。
読了日:01月26日 著者:鴨志田 一


播磨国妖綺譚 伊佐々王の記◾️播磨国妖綺譚 伊佐々王の記感想
★★★
上田早夕里にしてはほっこりしていた一冊目とは対照的にきな臭い展開に。いろいろオカルト要素てんこ盛りだけど、陰陽師の技術が体系として確立されている感じの設定。那州雪絵の『魔法使いの娘』シリーズに近い描かれ方かもしれない。脳内再生を那州雪絵の画風にすると違和感ないかも。特に鬼や化け物とか。それにしても「おれたちの戦いはこれからだ!」というラストのぶった斬り方が少年マンガっぽい?
読了日:01月27日 著者:上田 早夕里

読書メーター

2024年1月に読んだ本2024年02月11日 09時17分36秒

 『本好きの下剋上』マラソン、第三部でいったんひと段落。製紙技術から立ち上げて自分で執筆、編集までした絵本シリーズの完結で並べて読んでニマニマするのは人ごとと思えない(笑)。
 隙間読書が気軽にできるのは電子書籍の利点で、気がつけばすっかり電子比率高い人に(笑)。いや、でも、紙のファンジンは作りますよ(笑)。

1月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:3578
ナイス数:74

【小説8巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女1」◾️【小説8巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女1」感想
★★★★
貴族社会に舞台が移って新キャラクター続々登場。魔法がらみの描写も増えてきて、そのあたりは普通に近年の異世界転生ものっぽいのだろう。第二部での生活環境、身分差、陰謀劇などのシビアさがいったんリセットされる一方、印刷技術ではついに活版印刷とガリ版印刷の実用化! 技術の順番や所要コストが逆転してるのは異世界事情(笑)。技術普及にかかる莫大なコスト負担のために発案したのは、この世界の社交にはなかったチャリティコンサート!? その主役はなんと表紙のあの人!? 「推し」の概念が持ち込まれるスタンピードぶりが楽しい巻。
読了日:01月01日 著者:香月美夜


【小説9巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女2」◾️【小説9巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女2」感想
★★★★
領主の一族にただ救われただけではなく、教育や働き方に問題があれば現代日本の考え方でがんがん正していく。甘やかされ切ったバカ息子の再教育と、神官長まわりの報連相の欠如と仕事の一人抱えは、そりゃ問題だ(笑)。一方で、初めて知る農村の実態と、改善のために陰謀を巡らせる羽目になるあたりと、ファンタジー展開の魔石集めミッションでの魔獣とのバトルがなかなかシビア。あと、前巻で創り出したネコ…じゃなくてレッサーバスが大活躍(笑)。動物の種類は、一応著作権にも配慮したのか(笑)!?
読了日:01月03日 著者:香月美夜


【小説10巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女3」◾️【小説10巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女3」感想
★★★★
表紙にある通り、第三部のミッションのファンタジー方面の魔石収集イベントが二つあり、政治方面ではハッセの街の処分が予想以上にシビア。魔法を駆使する描写も毎回工夫があって、その方面でもよくできている。冬の社交では、想定していた出版物の販売と幼児教育にも進展あり。地味だけど冒頭では活版印刷機のプロトタイプに向けてこの世界にはなかった異業種協業が始まる。盛りだくさんの巻。それにしても、毎年騎士団が冬の主を倒さないと春が来ない?って、これまたシビアな設定では…。
読了日:01月04日 著者:香月美夜


安野光雅作品集◾️安野光雅作品集感想
★★★★☆
見たことのある絵も多いけど、初めて見る絵もたくさんあって、改めてその業績の膨大さに感じ入った。表紙の絵は淡い色彩だけど建物の窓の立体感が不思議で全体の中でもかなり目を惹いた絵で、なるほど、これが表紙で納得。まだ手に取ったことのない作品をちょっとづつ見ていきたい。
読了日:01月06日 著者:


【小説11巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女4」◾️【小説11巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女4」感想
★★★★
表紙にある通り、教育目的を兼ねて作成を進めてきた絵本シリーズがついに完結。その完成品を並べて悦にいる主人公が他人とは思えない(笑)。自分で文章書いて、手書きかパソコンで清書、レイアウトして版下作って、コピーして中綴じホチキスで製本した完成品、あるいは印刷所に出して仕上がってきた完成品を目にするたびに、同じようにニマニマしてきたよ(笑)! 一方で、過去の遺恨からまた不穏な展開の予兆が。そういえばこの世界、大粛清で大勢の貴族がいなくなった、という背景だったっけ。
読了日:01月06日 著者:香月美夜


【小説12巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女5」◾️【小説12巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女5」感想
★★★★
完結キャンペーンの合本版で第3部まで一気に。印刷産業がらみ、魔法がらみ、権謀術数がらみ、盛り込みすぎなくらいで、今まででいちばんの危機でクライマックス。舞台が中華風じゃなくて中世ドイツっぽいファンタジー世界で現代日本の常識と技術に関する知識で社会を改善していく面白さは十二国記+大江戸神仙伝+澪つくし料理帖+α?とまで言ってしまうと褒めすぎか(笑)!? とはいえ、報連相の徹底と人材育成、引継書の重要性が盛り込まれた巻でもある。
読了日:01月07日 著者:香月美夜


我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち (ブルーバックス)◾️我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち (ブルーバックス)感想
★★★★
本人は研究者ではなくとも、取材する分野について研究者に匹敵する視点と理解を持って、なおかつ、一般読者が面白く読める本にすることができる。科学ジャーナリストのお手本となるような一冊。
読了日:01月12日 著者:川端 裕人


くまのこの としこし (講談社の創作絵本)◾️くまのこの としこし (講談社の創作絵本)感想
★★★
くまの一家の年越しをたんたんと描く。小学生の頃はどんなに起きていようと思っても起きていられなかったっけ。今は起きていることもできるけど、若い頃と比べて、起きていた後の眠さが目立つようになった。
読了日:01月12日 著者:高橋 和枝


わたしは地下鉄です◾️わたしは地下鉄です感想
★★★☆
韓国の地下鉄を主人公に、駅ごとに乗り組んでくる乗客を淡々と観察する。淡くざっくりした水彩と、人の顔から看板のハングル文字まで細かいところはすごく緻密で、デフォルメされているけど民族がわかる描き方の人の顔の表現とか、色々と興味深い。細部まで描き込まれた背景にあるものについて考えるのもいいかもしれない。
読了日:01月12日 著者:キム・ヒョウン


サンタクロースとあったよる◾️サンタクロースとあったよる感想
★★★☆
現在も世界中に流布されているサンタクロースの元になった詩の絵本化。たくさん絵本にされてきた、とあとがきにあったけど、意外と読んでなかったんだな、と思った。詩の由来も解説されていてなるほど。サンタクロースを目撃した視点を誰に置くかが絵本化のポイントなのかもしれない。
読了日:01月13日 著者:


オニのサラリーマン (日本傑作絵本シリーズ)◾️オニのサラリーマン (日本傑作絵本シリーズ)感想
★★★☆
京都っぽい街から満員バスに揺られて地獄正門前で降りると、そこはオニガワラの職場。見張を担当する地獄は日替わり制らしい。職場でも楽な担当と言われるらしい血の池の見張りは、単調な仕事なので愛妻弁当の昼食の後はついうとうと。そんな日に限って大変なことが!? まさかあの文学短編の裏話だったとは(笑)!?
読了日:01月13日 著者:富安 陽子


うろおぼえ一家のきゅうじつ◾️うろおぼえ一家のきゅうじつ感想
★★★
自分たちのうろおぼえに自覚のある一家、休日に行くところをみんなでメモにして意気揚々と外出するが、メモを書いた目的も忘れているので、行く先々でメモを使ってしまう。ツッコミどころ満載だけど、メモを使った親切が巡り巡って、なべて世はこともなし!? ラストページにちょっとした仕掛けがあるのも楽しい。
読了日:01月13日 著者:出口かずみ


マティスを旅する◾️マティスを旅する感想
★★★☆
マティスの絵画作品ではなく、手がけた建物とマティスゆかりの地をめぐる写真旅。マティスの入門書としてもいいかもしれない。
読了日:01月13日 著者:


瓜を破る 5 (芳文社コミックス)◾️瓜を破る 5 (芳文社コミックス)感想
★★★★
本巻では、我が道をゆくバリキャリ系のいわゆるおひとり様にも見た目通りでない悩みが。これまで出てきたキャラクターも些細なきっかけで心が揺れ動き、些細なきっかけで立ち直ったりする、その振幅が人生が続いていくということかな、と思わせる輻輳的な描き方がいろいろしっくりくる。
読了日:01月14日 著者:板倉梓


いなり、こんこん、恋いろは。 (3) (角川コミックス・エース 326-3)◾️いなり、こんこん、恋いろは。 (3) (角川コミックス・エース 326-3)感想
★★★
幼なじみ的な古い友だちと新しい友だちの間の関係の変化を丁寧に描くあたりが引き続き好感。主人公の片思いも、実は進展しつつありながら、本人はそのことにまだ気づけない距離感とかもなかなかいい。
読了日:01月16日 著者:よしだ もろへ


ひと粒のチョコレートに (福音館の単行本)◾️ひと粒のチョコレートに (福音館の単行本)感想
★★★☆
表紙だけ見るとチョコレートをめぐる何かのお話を絵本にしているのかと思いきや、さにあらず。カカオ豆の食べられ方、チョコレートが今のような食べ物になるための条件、チョコレートの製造方法の変遷などがきちんきちんと描かれた科学教育絵本だった。ここまで詳しく知らなかったので、すごく勉強になった。
読了日:01月18日 著者:佐藤 清隆


おしえて! あむあむさん (世界文化社のワンダー絵本)◾️おしえて! あむあむさん (世界文化社のワンダー絵本)感想
★★★
ひつじのあむあむさんはあみもの屋さん。古着が持ち込まれるとほどいて編み直したり、色を染め直してまた編み直したり。ほっこり系の絵本。
読了日:01月22日 著者:間部 香代


青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない (電撃文庫)◾️青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない (電撃文庫)感想
★★★
劇場版で観た時も思ったけど、とにかく地味なエピソード。この場合の思春期症候群は他のヒロインのケースと違って「治る」前後も含めて、程度の差はあれ現実世界でもありそうで、その解決にもアクロバティックな擬似量子力学も必要ないためだろう。現代の若者の中で起こりそうな課題への解決策を淡々と提示していくため物語の起伏もあまりない。涼宮ハルヒフォーマットの新しい形、という表現形のシリーズだけに、物語を継続するには必須の解決課題とはいえ、不思議なことが起こらないと物足りなく感じるのは致し方ないように思う。
読了日:01月26日 著者:鴨志田 一


播磨国妖綺譚 伊佐々王の記◾️播磨国妖綺譚 伊佐々王の記感想
★★★
上田早夕里にしてはほっこりしていた一冊目とは対照的にきな臭い展開に。いろいろオカルト要素てんこ盛りだけど、陰陽師の技術が体系として確立されている感じの設定。那州雪絵の『魔法使いの娘』シリーズに近い描かれ方かもしれない。脳内再生を那州雪絵の画風にすると違和感ないかも。特に鬼や化け物とか。それにしても「おれたちの戦いはこれからだ!」というラストのぶった斬り方が少年マンガっぽい?
読了日:01月27日 著者:上田 早夕里

読書メーター

2023年12月に読んだ本2024年01月17日 13時42分36秒

 なんだかすっかり電子書籍で本を読む人になりつつあり(笑)。そんな中、『本好きの下剋上』完結記念で第一部合本無料、第二部と第三部の合本も数百円という破格サービスにつられて読み始めてしまう(笑)。なんというか、手書き時代からファンジンを作ってきた身からすると人ごとと思えない手作り本造りトライにどっぷりハマる(笑)。

12月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:4260
ナイス数:112

文学キョーダイ‼◾️文学キョーダイ‼感想
★★★★
普段そんなに接触なく、別々の道に進んでいた姉と弟が同時期にロシア/ソビエトに材をとった本で話題になったというのが家庭内収斂進化?みたいで面白いのだが、対談してみてもお互い丁寧な感じでその不思議な距離感のまま認め合っているのがいい。トルストイ好きのおじいちゃんの話が好きだなあ。一方、今の日本についての歯に衣着せぬ議論は「こういう本がまだちゃんと出版できる」ことのありがたみを感じる(とはいえ対談でも危惧されている通り、現状は悪い方に向かっているが)。
読了日:12月02日 著者:奈倉 有里,逢坂 冬馬


サンタさんは どうやって えんとつを おりるの?◾️サンタさんは どうやって えんとつを おりるの?感想
★★★☆
いつもながら不思議な味のある画風で、サンタをめぐる「あの謎」に迫る!? いろいろな仮説が示されるものの…。因みに今回に訳文は関西弁ではない(笑)。
読了日:12月02日 著者:マック・バーネット,ジョン・クラッセン


リトルレッドのクリスマス (創作絵本シリーズ)◾️リトルレッドのクリスマス (創作絵本シリーズ)感想
★★★☆
友だちのリトルブルーと森にもみの木をとりに行ったリトルレッド。サンタさんとはもともと友だちだったり、魔法っぽいことがナチュラルにできたり、謎が多い。森までの道々、サンタさんのお手伝い、森からの帰り道に起こる出来事が常に想像の斜め上を行くフリーダムな展開で飽きさせない。
読了日:12月02日 著者:セーラ ファーガソン


いなり、こんこん、恋いろは。(1) (角川コミックス・エース)◾️いなり、こんこん、恋いろは。(1) (角川コミックス・エース)感想
★★★
単純に電子書籍のセール品のリストで絵がかわいかったので。刊行年を見たら1巻出たのが2011年の作品か。タイトルに聞き覚えがあると思ったら、アニメ化もされていたようだ。ひょんなことから神様の力を分けてもらって他人の姿に変身できるようになった主人公いなりを含め、出てくるキャラクターが、高天原の神々含め、みんなどこかしらポンコツ要素ありなのが微笑ましい。
読了日:12月03日 著者:よしだ もろへ


詩歌川百景 (1) (フラワーコミックス)◾️詩歌川百景 (1) (フラワーコミックス)感想
★★★★
3巻が出てちょっと経つけど、複雑な人間関係がなかなか頭に入らないので頭から再読。つくづく閉塞感のきつい話だ。子どもは親を選べないし、育つ土地も選べない。前作の主人公と一時は家族だった男の子のひとりが今では更生不能なまでに堕ちてしまっていること、それが今回の主人公にとっては子どもなりに行なった(行なわざるを得なかった)決断とつながっている,というのはなんともやりきれない。善意の連鎖、という印象だった前作と比べると、今作は些細な悪意の連鎖、それとの対峙が主テーマなのかもしれない。
読了日:12月05日 著者:吉田 秋生


いなり、こんこん、恋いろは。(2) (角川コミックス・エース)◾️いなり、こんこん、恋いろは。(2) (角川コミックス・エース)感想
★★★
2010年代初頭にしてもいろいろ設定、キャラクターが狙いすぎの感は否めないものの、丁寧な画風、表情などの演出、知らなかった相手と仲良くなっていくプロセスなどがわりあい読ませる。神力の扱いがやや不穏っぽく描かれているのは伏線か?
読了日:12月07日 著者:よしだ もろへ


レストランふろ◾️レストランふろ感想
★★☆
「レストランふろ」の暖簾をくぐったさきには、なんだか美味しそうなお風呂が手を替え品を替え…。ちょっと宮沢賢治の某作のような展開を予想していたんだけど…。うん、まあ、これはこれで(笑)。
読了日:12月08日 著者:麻生 知子


かげきしょうじょ!! 14 (花とゆめコミックススペシャル)◾️かげきしょうじょ!! 14 (花とゆめコミックススペシャル)感想
★★★★
まさかの母登場と歌舞伎サイドでの仕組まれた?スキャンダルの波紋がさらさの決断を促す展開。この騒動が後を引きそうな感じのまま、いよいよ文化祭準備へ。101期の後輩の番外編も重めの内容。とはいえ、カタブツっぽい先生の現役時代の必殺技がいい(笑)。
読了日:12月08日 著者:斉木久美子


ペンギンたんけんたい あのひはもうすぐ (講談社の創作絵本)◾️ペンギンたんけんたい あのひはもうすぐ (講談社の創作絵本)感想
★★★
いつものごとくカヌーをこいで北極までやってきたペンギンたんけんたい……なんだけど、今回の任務は探検?じゃないような? コンセプトは表紙でわかる通り(笑)。
読了日:12月09日 著者:斉藤 洋,高畠 純


しあわせなモミの木◾️しあわせなモミの木感想
★★★☆
都会化してやや裕福寄りの住民(窓掃除も自分ではやらない)の街になった中、一軒だけ空き家だった住宅に越してきたおじさんは、荒れていた家を自分で掃除して、捨てられそうになっていたもみの木を引き取ってくる。それから、子どもたちが大きくなるくらいの時間が経ってみると…。ほっこりする絵本で、こんなクリスマスツリーがあるといいな、と思うけど、本当にやろうとすると大変なことになっちゃうかも?
読了日:12月09日 著者:シャーロット ゾロトウ


【小説1巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘1」◾️【小説1巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘1」感想
★★★☆
シリーズ完結記念らしい電子書籍セールでまず合本版第一部を。地震で本の下敷きで…というのは、自分の住んでいる県で確か実例あったような…。一般にはチートなしの異世界転生もの、と分類されるんだろうけど、古いSFファン的には、現代の知識を使ってサバイバルするこのタイプは『大江戸神仙伝』フォーマットとでも呼びたいところか? とはいえ、衛生状態の悪い文明レベル世界の病弱な子どもに、というのはなかなかハードル高い設定ではある。
読了日:12月12日 著者:香月美夜


愛してるゲームを終わらせたい (5) (サンデーうぇぶり)◾️愛してるゲームを終わらせたい (5) (サンデーうぇぶり)感想
★★★☆
ついに3日間限定の恋人トライアル…なんだけど、ふたりともやることがバグってていろいろ斜め上の展開に(笑)。なんというか、本当に付き合いはじめてもおんなじようにお互いに妄想して脱線していきそう(笑)?
読了日:12月13日 著者:堂本 裕貴


【小説2巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘2」◾️【小説2巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘2」感想
★★★☆
前回、古代文明の記録媒体?再現にことごとく失敗して、ようやく紙の製造にトライ。使う道具から自分たちで作らなくてはいけないのが大変。「紙」の商品価値と引き換えに出資を取り付け、試作品から量産化への道をつけつつ、前世の「おかんアート」のクラフト技術で将来への預金も。今のところ魔術が商人のための用途でしか出てこないのが面白い。主人公の唯一のチートが前世の「技術」に関する「知識」なので、商人とのやりとりも知的財産の交渉そのもの。そのあたりはジャンルは違うけど高田郁『銀ニ貫』『みをつくし料理帖』あたりに通じるかも。
読了日:12月16日 著者:香月美夜


ファイブスター物語 6 (ニュータイプ100%コミックス)◾️ファイブスター物語 6 (ニュータイプ100%コミックス)感想
★★★☆
この巻あたりから絵が細密になり、キャラクターも安定感が出てきて読んでいてそういう意味での違和感というか引っ掛かりがなくなって来た。何度目の再読か数えていないが、今の視点で読み直すと、本筋のストーリーはトラフィックスのパートも含めて割と時系列も流れも一本道だったんだな、という印象。後にならないと意味がわからないセリフや設定、カットバックで挟まる未来や過去の断片にシャッフル感を感じた過去に読んだ時とはけっこう印象が変わってきた。あと、キャラクターのモラルもへったくれもないアナーキーぶりもいい。
読了日:12月16日 著者:永野 護


ファイブスター物語 第7巻 (ニュータイプ100%コミックス)◾️ファイブスター物語 第7巻 (ニュータイプ100%コミックス)感想
★★★★
MH戦ではブラフォード・京vsアトロポス戦の緊張感、一方、MHを出すタイミングを探り合う中、歩兵を含む地上戦で悪役的なメイユ・スカが戦闘指揮官としてはかなり有能だったり、部下にも慕われていたり、劣勢のAKD側の新兵たちの群像劇などが入り乱れて読み応えあり。このあたりで物語としてのグレードが一気に上がった感がある。ついでながら、各地で戦争が続く今読むと、退却する兵士を憲兵隊が監視する描写などは複雑だ。
読了日:12月17日 著者:永野 護


ファイブスター物語 第8巻 (ニュータイプ100%コミックス)◾️ファイブスター物語 第8巻 (ニュータイプ100%コミックス)感想
★★★★
第4話放浪のアトロポス編、超絶変態的な新型から旧型まで続々登場する派手なMH群以外に、現場の兵士たちを双方ともじっくり描くかと思えば、ジョーカーの正体をめぐる挿話もあり、天照の誕生秘話あり、どれだけ詰め込んでるのか。しかも命の水をめぐる攻防戦と考えると完全に敗北で後の魔導大戦のきっかけにもなっていて、今回の大規模戦闘の無意味さが強調される。
読了日:12月17日 著者:永野 護


【小説3巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘3」◾️【小説3巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘3」感想
★★★★
民間企業の開発の仕事をしていると、会社側としては技術を囲い込んで競合を排除したい、一方で、囲い込みすぎた技術は普及しない。ベンノやギルド長とマインの両方の言い分がまあまあよくわかる。しかし身食いについて伏線はあったとはいえ、そういう展開で来るか!? 第一部完!
読了日:12月22日 著者:香月美夜


みどりいろのつりがね◾️みどりいろのつりがね感想
★★★☆
イワンのかね、というかイワンの畑から掘り出されたかねはよい音を響かせて人々に好かれていたが、尊大な皇帝がかねを我が物にしようとやってきて…。色と形がなんだか銅鐸っぽいかも。まあ、ともあれ、ロシアで皇帝というとこういう人が多いんだろうか…?
読了日:12月22日 著者:オトフリート・プロイスラー


パーマさんは パーマやさん クネクネさんのえほん (日本傑作絵本シリーズ)◾️パーマさんは パーマやさん クネクネさんのえほん (日本傑作絵本シリーズ)感想
★★★☆
クネクネさんのお友だちのパーマさんはタイトル通りのパーマ屋さん。道具を自転車に移動パーマ屋(!)をしている!? のせちゃうパーマがあるから、髪が短くても生えてなくても大丈夫!? それにしてもスイカはどこに!? まさか次の巻?まで持ち越しだったりするのか!?
読了日:12月22日 著者:樋勝 朋巳


【小説4巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い1」◾️【小説4巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い1」感想
★★★☆
虚弱で幼い兵士の娘から商人見習い、竣工予定の工房の工房長というルートでレベルアップしていたマインが、図書室があるというだけの理由で巫女見習いにルート変更。関わる人が比較的好意的だった平民の環境から、しきたりや人間関係的に悪意が先に立つ神殿の状況が厳しい。ここでもこの世界の常識に穴をあけていく感じで改善活動を進め、仲間を増やし、できることを増やしていく。しかし電子書籍だからボリュームを気にせず読み進めてるけど、一巻一巻が長いな。
読了日:12月26日 著者:香月美夜


【小説5巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い2」◾️【小説5巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い2」感想
★★★★
古代文明の再現に次々と失敗し、材料探しや道具造りから始まった紙製造が軌道に乗り、インク製造から印刷方法までお手盛りでついに児童書絵本が完成。あと、神殿の図書室が荒らされたことがきっかけで司書っぽい仕事もできたり。ここまでのところ、いい感じにお仕事小説になっているな、と思ったら、いきなりの魔法世界が展開されて一気に転生ものっぽくなった(笑)。やっぱり主人公はチート!? 絵本完成の瞬間とエピローグに二回目頭が…。ここまでで第二部前半。後半の展開が読めないけど、まあ、印刷方法は進展していくんだろうな(笑)。
読了日:12月27日 著者:香月美夜


【小説6巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い3」◾️【小説6巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い3」感想
★★★★
現代日本で本の下敷きになって、虚弱な女児として衛生状態も悪い平民の家庭に転生した主人公が、現代の知識を元に生活改善と知識の切り売りから製紙産業を興し、印刷産業版『大江戸神仙伝』になるのかと思っていたところで、実は虚弱の原因でもあった魔力がもとで神殿の巫女見習いにジョブチェンジして、身の危険も感じる不穏な展開に。とはいえ、前巻での版画印刷での絵本に続き、今巻ではついに金属活字が…。異世界版プロジェクト・グーテンベルク(この世界では別の意味だが(笑))!? とはいえ、エピローグ最後の一行がいかにも不穏だ。
読了日:12月30日 著者:香月美夜


【小説7巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い4」◾️【小説7巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い4」感想
★★★★
色インクの開発で女性研究者?ハイディ登場。基礎理論は不明でも使えればいい商業視点と原理を解明したい科学者視点がきちんと描かれているのがいい。基礎研究に理解にあるパトロン、うちにも欲しい(笑)。そんなこんなで印刷業は進展しつつも、前巻の仄めかし通り…というかそれ以上にシビアでハードな展開に。とはいえ、キャラクターの関係性を丹念に描くこの作品で、次のジョブチェンジへの説得力を持たせるには、確かにこのくらいの展開は必要だろう。しかし、部ごとのサブタイトル(読了前に第3部の書名を見ちゃった)がプチネタバレ(笑)?
読了日:12月31日 著者:香月美夜

読書メーター

2023年11月に読んだ本2023年12月24日 05時57分30秒

 徐々に電子書籍読書が自分の中で定着しつつある。特に買って読むと本棚を圧迫するので躊躇していたマンガにその傾向が顕著だが、できれば紙で手元に置きたい『ドードー鳥と孤独鳥』のような新刊も読みたい時期にタイミングが合えば電子書籍で買うようになった。
 とはいえ、そうなると始めた頃はなかった「デジタル積読」が発生し始めるのはお約束か(笑)?

11月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:2184
ナイス数:101

ドードー鳥と孤独鳥◾️ドードー鳥と孤独鳥感想
★★★★
子どもの頃、母の実家にいた折、山形市内で背の高い緑色の植物を見て「あれはホップだよ」と教えてもらったというおぼろげな記憶がある。そんな自分が気がつけばホップの香りの論文をたくさん書いたホップ研究者になっている。そんなこともあり、子どもの頃にドードー鳥と孤独鳥に魅せられた二人の少女が長じてその研究や科学記事を書きつつ、新しい発見をしていくこの物語は人ごとと思えずドキドキハラハラしながら読了。このテーマについては著者のノンフィクション版もあるがフィクションを楽しむ上ではこちらを先に読んで正解だったろう。
読了日:11月02日 著者:川端裕人


ハロウィーン (リブロの絵本)◾️ハロウィーン (リブロの絵本)感想
★★★☆
ハロウィンの由来、成り立ちを主人公の男の子が体験して、今のハロウィンにつながる、手のひらサイズのキュートな絵本。カボチャからジャック・オ・ランタンを作るやり方までおまけについている親切設計。
読了日:11月04日 著者:みうら ますこ


日本のブロードウェイ・ミュージカル60年: プロデューサーたちはいかにしてミュージカルを輸入したのか◾️日本のブロードウェイ・ミュージカル60年: プロデューサーたちはいかにしてミュージカルを輸入したのか感想
★★★★
海外のミュージカルの日本における受容のために、初期には舞台まで日本にする翻案から、日本人観客向けのアレンジを施すノンレプリカ、言語以外忠実なレプリカの形式が、輸入しようとするプロデューサーの流儀によってどう変遷してきたのか、膨大な引用と参考文献で解き明かす。明治大学の博士論文が元になっていると言うが、著者独自の検証、考察のプロセスにそれも納得。ノンレプリカで始まりレプリカを指向したはずの劇団四季が『ライオン・キング』のオリジナルの持つ人種的表象のために結果的にレプリカを逸脱している、という指摘が鋭い。
読了日:11月05日 著者:武田寿恵


クリスマスマーケット ちいさなクロのおはなし (日本傑作絵本シリーズ)◾️クリスマスマーケット ちいさなクロのおはなし (日本傑作絵本シリーズ)感想
★★★☆
今年の新作クリスマス絵本。クリスマスマーケットに拾われて、飼い主募集中だった仔犬のクロと、おかあさんと買い物に来た女の子の出会いから、微笑ましいラストまで、ほっこり読める。
読了日:11月11日 著者:降矢 なな


墨のゆらめき◾️墨のゆらめき感想
★★★
なんというか、近年のエッセイ活動と趣味活動が何かに結実したかのような奇想天外な一作。タイトルにある通り書家の物語ではあるのだが、展開のひとつひとつがどこかずれている。けだし怪作?
読了日:11月14日 著者:三浦 しをん


あの頃の青い星1◾️あの頃の青い星1感想
★★★★
海のそばにある高校の寮生活と学校での日常。主人公構本海が偶然の出会いから一目惚れした相手、瀬川晶が、同室の生徒とのトラブルからの部屋替えで海の部屋に越してきたところから始まるソフト百合物語。正確に違う女生徒たちの諍いとかありつつも普通に共同生活をしている関係性の描き方が好感持てる。Kindleの1巻目は54ページと短め。
読了日:11月17日 著者:


あの頃の青い星2◾️あの頃の青い星2感想
★★★★
瀬川晶の近寄りがたい雰囲気の背景、海で人魚に会ったという子どもの頃の記憶から始まり、海で人魚ならぬ海と(子どもの頃と裏返しのように)会い、二人の関係がちょっと深まる。今回も64ページと控えめなページ数だけど、これはこの構成の効果を最大限出すにはいいのでは。
読了日:11月18日 著者:


あの頃の青い星3◾️あの頃の青い星3感想
★★★★
水族館デートの雰囲気がすごくいい。人物も背景もクルマとかも魚たちもシンプルな線だけどマンガで、でもリアルといういいバランスの画風。コマ割りなど演出もいい。水族館で仲を深めてちょっと前進、と思ったら、なんとハプニングからいきなりの告白劇に! 今回はややボリュームアップして98ページだけど、2巻までは2019年でこの巻が2021年なのは、時節柄コロナ禍の影響が何かあったりしたのだろうか?
読了日:11月17日 著者:


あの頃の青い星4◾️あの頃の青い星4感想
★★★★
夏休み、スマホのやり取りに飽き足らなくなって晶のバイト先に行った勢いでお家にもお邪魔するイベントから、逆に晶が海の方を訪ねて夏祭りイベントまで。お互い下の名前呼びになってよきかな。この巻も94ページほど。刊行年の件は、電子書籍化のタイミングが固まってるだけで、コツコツ描き続けていたのかな。3-4あたりは固め打ちで出てる。あと、この巻からの「これまでのあらすじ」がいい味出してる。
読了日:11月18日 著者:


あの頃の青い星5◾️あの頃の青い星5感想
★★★★
季節は秋、文化祭。我が身を振り返ると、自分たちのやることに精一杯で他の人の展示をちゃんと見れなかったり、突然の忌引を知らない先輩に批判されたり、同級生の意外な特技を見て感銘を受けたこととか懐かしく思い出す。友人に押し切られたり、下級生のフォローで晶と約束した海洋研の展示を見に行けなかった海の姿にそんなことを想った。晶は小学生時代のいじめっ子連から隠れたり、上級生の送別会を企画して一人一人の想いは理解しつつも空回りで落ち込んだり、頑張っても報われないあたりがいろいろ「あるある」感。そしてふたりはついに…
読了日:11月18日 著者:


あの頃の青い星6◾️あの頃の青い星6感想
★★★★
表紙の通りの沖縄。今なら修学旅行としてはむしろ定番か。孤立している晶とグループの同級生の温度差とか、この学年のちょっとした諍いありつつも共同生活している不思議な行儀の良さのバランスの理由がさらっと語られてるけど、同じ学校でも海洋研の上級生たちのように関係が決定的に壊れるケースも描かれているので、今の作中のこの学年の空気感も微妙なバランスの上にいるのかな、と思ったり。二人の関係はまたちょっと深まって、晶もいろいろ意識し始めたり…。ここ数巻は年一冊ペースみたいなので、続きは来年くらいには読めるんだろうか。
読了日:11月18日 著者:


薬屋のひとりごと 14 (ヒーロー文庫)◾️薬屋のひとりごと 14 (ヒーロー文庫)感想
★★★☆
ちょっとした謎解きがいくつか。それが前巻のちょっとした謎解きと意外なところでつながって、宮廷内の勢力図にも影響する。蝗害のような長編エピソードのような派手さはないが、後に火種を残して物語が続いていく。妓楼をめぐるエピソードに世代交代を感じてちょっとしんみり。
読了日:11月24日 著者:日向夏


きょうはマラカスのひ (日本傑作絵本シリーズ)◾️きょうはマラカスのひ (日本傑作絵本シリーズ)感想
★★★☆
クネクネさんとおともだちのパーマさん、フワフワさん、というネーミングと絵面がなんとも言えないが、みんなでマラカスを披露しあうという友人関係、その集まりの顛末がまたなんとも言えない(笑)。なんとも言えない味わいの絵本だ(笑)。
読了日:11月24日 著者:樋勝 朋巳


フワフワさんは けいとやさん (日本傑作絵本シリーズ)◾️フワフワさんは けいとやさん (日本傑作絵本シリーズ)感想
★★★☆
今度の主人公はフワフワさん、頭のフワフワの意外な正体?が明らかに!? フワフワさんは毛糸を売ったり、毛糸で編んだものを売ったり、編み物教室をしたり、大忙し。そんなある日…。ちょっとした失敗もあるけど、持つべきものは友だち? じんわりいいお話。
読了日:11月25日 著者:樋勝 朋巳


きょうはパーティーのひ (日本傑作絵本シリーズ)◾️きょうはパーティーのひ (日本傑作絵本シリーズ)感想
★★★☆
今度はクネクネさんに主人公を戻して、お仕事のお話。クネクネさんのパン屋は大繁盛。前巻にも出てきたブティックシマさんの7周年パーティに呼ばれたクネクネさんはとびきりのパンを作って会場に向かおうとするが、風の強い日は危険がいっぱい!? パーティに集まった面々の余興の見開きが楽しくもシュール(笑)。
読了日:11月25日 著者:樋勝 朋巳


超人ロック ガイアの牙 1 (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック ガイアの牙 1 (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★★
冒頭は帝国時代。人類の発祥の地とされる辺境の星のD弾による処理をひっそり回避させるロック。本編の時代背景は『ホリーサークル』同様の年代不明ながらかなりの後代。危険な感覚キューブの製造者が潜むらしい同じ辺境の星で、その作者ドリームウィーバーとそれを追うロック、さらに帝国時代から鏡の中で時を止めていたエスパーのエピソードが交絡する。
読了日:11月25日 著者:聖 悠紀


超人ロック ガイアの牙 2 (MFコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック ガイアの牙 2 (MFコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★★
物語の背後にあったのは帝国の時間庫から持ち出されたエスパー・コントローラーと闇でそれを売買する科学者。この年代のロックはとにかく帝国の傍迷惑な時間庫からたまに出てくる遺物の脅威を取り除くことに専念している。それでも、この地に降り立つのは特別な想いも…。タイトルの「ガイアの牙」は現在の住人たちの信仰の対象でもあるが、黎明期の物語に描かれたあるものの遺跡でもあることが明かされる(ただし,物語そのものには絡まない)。
読了日:11月25日 著者:聖 悠紀

超人ロック ガイアの牙 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック ガイアの牙 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★★☆
最終章は「ホリーサークル」とも同時並行なのだろう。ミラと活動した時代がおそらく表舞台にいた最後、その後は、普段は農家などに隠遁しつつ、これまでに身につけた能力と退役将校の身分を時折使って、自分の存在や帝国のオーバーテクノロジーの存在を消して、連邦全体の興亡になりそうな事態を回避して回っているのだろう。この巻の出版が2020年なので、最終章のラストがタイトルの「ガイアの牙」で終わるのは、長い長い年表を埋めてきたエピソードの実質的なおしまいといっていい、それにふさわしい光景かもしれない。
読了日:11月25日 著者:聖 悠紀


本の栞にぶら下がる◾️本の栞にぶら下がる感想
★★★★
『黄色い本』すなわち『チボー家の人々』を皮切りに、著者の読んできた本の話が語られるのだが、プロレタリアート文学から朝鮮戦争の前後を挟む朝鮮文学など、書いた人々の意外なつながりが一編ごとに反射しあって共鳴するような一種凄絶な読書録。また、朝鮮の言葉を発音やニュアンス込みで味わう言語と本に耽溺する姿勢は、奈倉有里『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』のロシア語への対峙の仕方にも通じるように思う。なんか、すごいものを読んでしまった。しかし憧れのマンガ家に装丁してもらう、っていいな。
読了日:11月30日 著者:斎藤 真理子

読書メーター

2023年10月に読んだ本2023年11月18日 03時36分28秒

 すごく久しぶりに読む村上春樹。『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の再話らしい、ということで、自分がリアルタイムで読んだ最後の村上作品との違いを確認したくなって。と、のっけからあの短編を思わせる雰囲気に懐かしさと作家の中の変化を実感しながら読んだ。
 他は引き続き電子書籍比率高し。

10月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:3084
ナイス数:95

じゃむパンの日◾️じゃむパンの日感想
★★★☆
これまで岸本佐知子エッセイが危険物であるとこの場でも力説してきたが、これもまた危険物か劇物か(笑)。と、思ってラストに収録されていた岸本佐知子との交換日記を読んでみたら、やっぱりあっちの方がさらに危険物だった(笑)。そんな要素だけでなく、そこはかとない昭和のにおいがよい味わいになっているエッセイ集。とはいえ、2017年に亡くなられているとは。とはいえ、下手な悼みの言葉はこの著者には無用であろう。いかにも交換日記っぽいノートな装丁もよい。
読了日:10月14日 著者:赤染晶子


検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? (岩波ブックレット 1080)◾️検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? (岩波ブックレット 1080)感想
★★★☆
いわゆる陰謀論にハマりやすい人たち(教科書的なことを否定する言説に飛びつく、反ポリコレそのものが目的化しているので正論は受け付けない、など)との対峙の仕方は911以降繰り返し議論となってきているが、そこにアカデミズムからどう向き合うべきかを考えさせられる一冊。また、同様の言説が自国の歴史修正主義にもあり、それを推進する側は、ここに取り上げられたようなことを意図してやっているようにも思えることを考えると、暗澹たる気持ちにもなる。
読了日:10月14日 著者:小野寺 拓也,田野 大輔


街とその不確かな壁◾️街とその不確かな壁感想
★★★☆
あとがきでも言われる通り作家が自分のモチーフを手を変え品を変え語り続けるものだとすると、村上春樹のそれはやはり初期3部作と短編「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子と出会うことについて」なのだろう。大学時代はその四つが自分にとっての村上春樹そのものだった。だから『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は3部作の語り直しと読めて、自分にとっての村上春樹は一度そこで区切りがついていた。今回はそのすべてが語り直されている。第一部の後を書き続けざるを得なかったのはかの短編のラストとの対応ではあろう。
読了日:10月18日 著者:村上 春樹


おいしいアンソロジー ビール 今日もゴクゴク、喉がなる (だいわ文庫)◾️おいしいアンソロジー ビール 今日もゴクゴク、喉がなる (だいわ文庫)感想
★★★
PARCO出版から出ていたテーマエッセイアンソロジーの文庫化。文庫化で数編追加されている。青空文庫で読んでいた夢野久作「ビール会社征伐」が追加されているのが愉しい。アレはサクラビールの工場とかかな?
読了日:10月19日 著者:阿川佐和子,その他


へんしん すがたをかえるイモムシ (福音館の科学シリーズ)◾️へんしん すがたをかえるイモムシ (福音館の科学シリーズ)感想
★★★☆
点描と彩色で3種の蝶がイモムシから成虫になるまでの変態の過程をつぶさに描いた科学絵本。リアルと絵本らしさが両立した好著。
読了日:10月20日 著者:桃山 鈴子


PIHOTEK 北極を風と歩く (講談社の創作絵本)◾️PIHOTEK 北極を風と歩く (講談社の創作絵本)感想
★★★★
タイトルはピヒュッティと読み、カナダのイヌイットにつけてもらった著者のイヌイットネーム、雪の中を歩いて旅する男の意味、とのこと。20年以上北極を旅する著者の見る風景や感じたことを絵本で表現。なかなか味わいがある。あとがきで著者の語るイヌイットの生命循環の考え形と科学の見方での物質循環が溶け合うような死生観が印象的。
読了日:10月21日 著者:荻田 泰永,井上 奈奈


あふれた まち◾️あふれた まち感想
★★★☆
どうぶつたちの暮らすまちの様子がある朝から変わった。あふれる水の水位は始めこそ長靴レベルだったものが、どんどん上がっていって…。この世界では解決策がちゃんとあって、みんなが力を合わせれば解決したが、現実世界では解決策も力を合わせることすらむつかしい。そして、このどうぶつたちの世界でも、おそらく取り返しのつかなかった被害は出ていた(そして誰もそれを気にしていない)。絵本らしいかあいらしさ、楽しい仕掛けもありつつ、読後感橋本みつるなかなか苦い。
読了日:10月22日 著者:マリアホ・イルストゥラホ


博物館の少女 騒がしい幽霊◾️博物館の少女 騒がしい幽霊感想
★★★☆
シリーズ2冊目。実在の人物をからめつつ、ちょっとした怪異と事件をミステリ手法とプチ伝奇風味で解決していく。一見ひと続きに思える怪異が実は…という構造がなかなかうまい。あと、ヒロイン含め子どもたちの描き方がよくて、ラストはちょっとジンときた。続刊にも期待しよう。
読了日:10月27日 著者:富安陽子


瓜を破る 1 (芳文社コミックス)◾️瓜を破る 1 (芳文社コミックス)感想
★★★☆
チャレンジングな表紙で気になっていたけど、電子書籍のセールになっていたのを機会に。なるほど、これは性別問わずあるある。いろいろ無難にこなしているけど、これだけは、というこの三十代心理はいつか通った道だ…。因みに、自分はこのワードは中学の頃に読んだ筒井康隆の七瀬シリーズで知ったけど、他であまり目にしたことがない。今の若い読者にはどのくらい知られていたのだろうか?
読了日:10月29日 著者:板倉梓


瓜を破る 2 (芳文社コミックス)◾️瓜を破る 2 (芳文社コミックス)感想
★★★☆
器用な登場人物は一人もいないし、本人の抱えているものは本人にしかわからない。それでも、意外なきっかけが意外な人間関係の変化を生むこともある。友人的な関係にしてもそれ以上の関係にしても、ひょんなことで変わることもある。そういうあたりがナチュラルに描かれていて、好感が持てる。
読了日:10月29日 著者:板倉梓


瓜を破る 3 (芳文社コミックス)◾️瓜を破る 3 (芳文社コミックス)感想
★★★☆
普通に会社生活をしている人たちが私生活で感じるあれこれ。この登場人物たちのようなきっかけの有無にかかわらず、「あの時ああしておいてよかった」/「あの時ああしていれば、もしや…」というような共感を読者がそれぞれに感じるのではないか? 前巻でのゲーマー青年の逃亡の理由が(ここ数年旬の話題にも絡んで)また切ない。
読了日:10月30日 著者:板倉梓


瓜を破る 4 (芳文社コミックス)◾️瓜を破る 4 (芳文社コミックス)感想
★★★★
無難に社会生活をこなし、個人の生活をこなしていると、変化はない。人間関係に変化が起こる時、得てして予期もしなかったようなことが起こったり、自分でも予期しなかったような行動を起こしたり、そういうことがきっかけになることがある。そういうのがうまく織り込まれているなあ、と感じる。続きが気になりすぎる(笑)。
読了日:10月31日 著者:板倉梓


超人ロック ラフラール 1巻 (ヤングキングコミックス)◾️超人ロック ラフラール 1巻 (ヤングキングコミックス)感想
★★★☆
銀河帝国が伝説となっている時代にネオ・ラフノール改めフレンダールを舞台に細々と受け継がれる行者の修行、ラフノールの生態系の遺伝資源の維持、複雑なカットバックで汎銀河戦争時のラフノール滅亡や銀河帝国時代に司祭長として赴任したロックの歴史が語られる。
読了日:10月31日 著者:聖悠紀


超人ロック ラフラール  2巻 (ヤングキングコミックス)◾️超人ロック ラフラール  2巻 (ヤングキングコミックス)感想
★★★☆
引き続き、年代を跨いで語られる物語。改めて、銀河帝国時代はロックが政治の表舞台/裏舞台含めもっとも東奔西走していたのが、このところロックの存在が忘れられた年代の話ばかり読んでいたので懐かしくもあり新鮮でもある。あと、幼なじみの成長物語でもあるところが本作の特徴か。微笑ましく読める。しかしコマーシャルソングを敢えてオーケストラで勇壮に歌わせて話題を取る、って、『ファイアーエムブレム』か(笑)!?
読了日:10月31日 著者:聖悠紀


超人ロック ラフラール 3巻 (コミック(YKコミックス))◾️超人ロック ラフラール 3巻 (コミック(YKコミックス))感想
★★★★
ラフノールの乱の後始末で司祭長として送り込まれたロックとド・ラージュの約束が皇帝の暗躍で反故に…。まあ、こういう権謀術数を帝国時代やってきたら、その後は農家で隠遁したくなるのもむべなるかな…。とはいえ、行者の試練の会話劇とかが味わい深い。『超人ロック』の面白さは超能力描写の要素とは別に、設定した世界の有り様、そこで生きるキャラクターたち、その関係性、作中でも言われる「普通の人々」の営みを描くところにある、と言えるかもしれない。
読了日:10月31日 著者:聖 悠紀


超人ロック ラフラール 4巻 (ヤングキングコミックス)◾️超人ロック ラフラール 4巻 (ヤングキングコミックス)感想
★★★★
物語の収束に向かって、それなりに凝った帝国の超科学vs超能力者の頭脳戦。このあたりもよくアイデアの引き出しがまだあるな、と思わせる。カットバックで描かれる時代よりはるか昔のラフノール創成期から、銀河帝国興亡を経て、次世代へ。歴史の流れを感じさせつつ、物語は幼なじみの微笑ましい関係で収まるのが心地よい。とはいえ、ご先祖様たちの時代とはだいぶ役割が流転しているのも面白い。まさかアレの子孫が…ねえ…(笑)。
読了日:10月31日 著者:聖 悠紀

読書メーター

2023年9月に読んだ本2023年10月19日 03時49分04秒

 引き続き回顧モードがメイン。とはいえ電子書籍比率はマンガ、小説とも上がりつつあり。超人ロックは最近聖悠紀ご本人と主人公への共感度が上がっている。同世代どころか下の世代でも、一緒に経験したことを「覚えていない」「経験値に加算されていない」ケースがあって、『風の抱擁』でロックの記録を研究した論文が「強さの秘密は(超能力そのものではなく)経験だ」というメタ解析?をしていたのを思い出すようになった。あれは聖悠紀というマンガ家の自己解析、実感でもあったのかもしれない。

9月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:2922
ナイス数:162

超人ロック ひとりぼっちのプリンセス Locke The Superman LONELY PRINCESS (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック ひとりぼっちのプリンセス Locke The Superman LONELY PRINCESS (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★☆
リュウ・ハント第3作。今回はハントの不老不死そのものが事件の中核でもあるが、「電子使い」のサイバースペースでの戦いが肝でもある。複数勢力が入り乱れる展開は前作同様本編の一冊にしてもいいくらいの面白さではある。とはいえ、伝説のエスパーは伝説の電子使いでもあったか(笑)。
読了日:09月01日 著者:聖 悠紀


ペンギンたんけんたい みなみのしま (講談社の創作絵本)◾️ペンギンたんけんたい みなみのしま (講談社の創作絵本)感想
★★★☆
ペンギンたんけんたいがカヌーでもなみのしまに上陸。ライオンにもニシキヘビにもワニにもひるまず、島の頂上まで探検を続ける。浜に戻ってやったことは…。ちょうど読んだばかりの某賞受賞作大長編を思わせる余韻の残るラスト!? なるほど、ちゃんとまじめにたんけんしてるのね(笑)。
読了日:09月02日 著者:斉藤 洋,高畠 純


たびにでよう (単行本絵本)◾️たびにでよう (単行本絵本)感想
★★★★
プロフィールにセンダックの絵本と出会い絵本作家を志した、とあるけど、なるほどこれは『かいじゅうたちのいるところ』へのオマージュが感じられる。印刷の仕様をうまく活用してモノクロ見開きと着色のある見開きが交互になるのをうまくアクセントになるように構成してある。目線の通り左から右へのつづき絵になってたびがどんどん進んでいくのも楽しい。
読了日:09月02日 著者:降矢 なな


世界で最後の花 (一般書)◾️世界で最後の花 (一般書)感想
★★★★
ヒトによる文明の興亡をシンプルな絵と文章で淡々と描いていくクロニクル絵本。2023年6月刊の村上春樹の最新訳書だけど、原著は1939年11月刊、とのこと。ちょっと『火の鳥・未来編』も連想させる味わい。
読了日:09月02日 著者:ジェームズ・サーバー


青春ブタ野郎はおるすばん妹の夢を見ない (電撃文庫)◾️青春ブタ野郎はおるすばん妹の夢を見ない (電撃文庫)感想
★★★★
前巻の引きは「翔子さん」だったけど、今巻はタイトルと表紙の通り妹メイン。作中不思議な出来事を総称する思春期症候群の中でもこの兄妹の症状は量子論アナロジーっぽくはなく心理ストレスの影響の延長っぽい。なので、ついに姿を現した「翔子さん」以外はSF要素なしの思春期お悩み(けっこう深刻)小説として読める。しかも、これがまた、これまでのシリーズでいちばん切なかった…。なるほど、これで劇場版の「おでかけシスター」にストレートにつながった。
読了日:09月02日 著者:鴨志田一


超人ロック 荒野の騎士 Locke The Superman The Wild Knight (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック 荒野の騎士 Locke The Superman The Wild Knight (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★
リュウ・ハント第4作…というか、第3作とセットで二部作的かな。ハントと電子使いプリンセスのその後のお話。今回の抗争の舞台は主にサイバースペース。電子使いを能力ごとコピーしたり、首謀者に無数の替玉がいたり、というあたりは『ホリー・サークル』を連想させるところもあるけどあそこまでのスケール感はない。
読了日:09月03日 著者:聖 悠紀


青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない (電撃文庫)◾️青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない (電撃文庫)感想
★★★★
これまでに描かれてきたシュレディンガーの猫とラプラスの悪魔のアナロジーにもうひと足し! 観測者の視点のズレで現在と過去と未来が実は混在している、というのは、自分がクリストファー・プリーストの作品群を読んで考察してきたSF観に近いので、予備知識なしで(なぜか)劇場版を初見で観て、そんなことをラノベ〜アニメでやって、しかも人気作品でもある、ということにひっくり返った。プリーストはそういうロジックを一切説明しないけど、この作者は理央という理系キャラを使って作中でわかりやすく説明しているのがミソ。
読了日:09月04日 著者:鴨志田一


青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない (電撃文庫)◾️青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない (電撃文庫)感想
★★★★☆
自分は劇場版でまとめて観たストーリーなのでまあいいけど、前巻のラストで次巻を待たされたリアルタイム読者は大変だったのではないか!? 絶望の現実から始まって、これまでに体験してきた量子論的思春期症候群の症状?を活用しまくってハッピーエンドをもぎ取っていく展開がSF的力技。一方で、主人公の行動自体は特殊能力や便利なガジェットがあるわけでもなく、地道に身体を動かすほかないあたりはコニー・ウィリスの時間もののような味わいもある。ここまでは1巻目から伏線を張ってきた全設定、全キャラクターによるひと続きの物語。見事。
読了日:09月04日 著者:鴨志田 一


ミステリと言う勿れ (12) (フラワーコミックスα)◾️ミステリと言う勿れ (12) (フラワーコミックスα)感想
★★★☆
最近、小説もマンガも最新刊が出ると展開を思い出すために遡ることが増えた。とはいえ、この作品の場合はなおさらだ(笑)。さいわい、今回のエピソードは一巻遡ればちょうど頭から始まっている親切設計。そうそう、旅情ミステリ風の始まり方だっけ(笑)。それにしても以前の事件の金持ちの別荘、便利だな(笑)。
読了日:09月09日 著者:田村 由美


ミステリと言う勿れ (13) (フラワーコミックスα)◾️ミステリと言う勿れ (13) (フラワーコミックスα)感想
★★★★
ということで前半を再読した上で一気読み。富山旅情編というか風呂光刑事成長編がひと段落。一見ふつうのキャラクター配置ならこうだろう、と思わせてそれを利用する意外な真相は今回も健在。とはいえ、こういう心の闇の描き方が自分のような昭和の育ちからすると今の時代ならでは、という感じもする。フィクションではあるが、そういう心理が若い世代にはむしろリアルなのではないか。
読了日:09月09日 著者:田村 由美


エンパイア・スター (1980年) (サンリオSF文庫)◾️エンパイア・スター (1980年) (サンリオSF文庫)感想
★★★★☆
ジョー・ウォルトン『図書室の魔法』冒頭の父娘SF談義でも「反対側は読まなくていい」とすすめられていた(笑)エースダブルの短い方の長さで書かれたジュブナイルスペースオペラの皮をかぶった傑作。シンプレックス、コンプレックス、マルチプレックス。ちゃんと作中の描写に忠実な表紙もいい。サンリオSF文庫の功績の中でも装丁含めて上質の部類。
読了日:09月12日 著者:サミュエル・R・ディレーニ,米村 秀雄


しょうこうじょ (オールカラー版世界の童話 13)◾️しょうこうじょ (オールカラー版世界の童話 13)感想
★★★★
これも初めて読む。「しょうこうじょ」「おうじとこじき」「しょうこうし」の3編で、単に有名どころを集めた、として読んでもいいけど、解説でも書かれているようにアメリカ在住もしくはアメリカ生まれの作家が英国を舞台に書いた作品を集める、というコンセプト性が強い一冊。この全集を読んでいるとイギリスとインドとかアメリカとかの関係がさりげなく頭に入るようになっていたんだなあ、と思った。子供の頃にこの全集をまとめて読んでなかったのが今更ながら残念。
読了日:09月18日 著者:奈街 三郎


何かが道をやってくる【新訳版】 (創元SF文庫)◾️何かが道をやってくる【新訳版】 (創元SF文庫)感想
★★★★
独特の比喩、言い回し、文学蘊蓄などなどをなるべく忠実に日本語に訳したというとすごく読みにくそう(実際、ブラッドベリの英語は母国人からしても読みやすいものではないとか…)に聞こえるが、一読、リズム感のある訳文にハマるとするする読めて、原文のひねくれ具合もしっかり伝わる名訳。小学館J文学館も持っているので、そっちでも読んでみよう(しかしなぜこのタイミングで新訳が立て続けに…?)。内容はなるほどホラーの古典と言える名著なので、新訳で読者が増えるのはよいことだろう。舞台が同じの『たんぽぽのお酒』も新訳出ないかな。
読了日:09月18日 著者:レイ・ブラッドベリ


超人ロック ドラゴンズブラッド 1 (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック ドラゴンズブラッド 1 (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★☆
もう時代がどのあたりかまるでわからない(笑)。が、あの「パンダりん」のだいぶ後、ということだけさらっと触れられている。相変わらず普段は農家をしていて、記録はいじられているらしく「超人ロック」という存在はほぼ知られていない、という背景で、古のラフノールの末裔と失われた生態系を背景とする物語。入り組んだ設定とキャラクター、その行動原理を物語とともにするりと語っていくもはや熟達のストーリーテリングが光る。
読了日:09月26日 著者:聖 悠紀

超人ロック ドラゴンズブラッド 2 (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック ドラゴンズブラッド 2 (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★☆
複数勢力が入り乱れつつ、封印を解かれたドラゴンズブラッドの力によって物語は意外な方向へ。超能力者のいる巨大ステーションを一人で持ち上げようとするあたりには『魔女の世紀』を懐かしく思い出す。それにしても本作のヒロインの繊細な描線や表情が太刀掛秀子みたいだ。
読了日:09月26日 著者:聖 悠紀


超人ロック ドラゴンズブラッド 3 (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック ドラゴンズブラッド 3 (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★☆
やはり封印されていただけあっていわくつきの「ドラゴンズブラッド」の力と、複数勢力間の権謀術数。そんな中、作画グループ版『ライザ』のごくごく短い併録作品の設定がさらっと使われるあたりは(知らなくても読める程度のほのめかしではあるが)長年のファンへのサービスもあるか?(まあ、アレもラフノールがらみの設定だし…)
読了日:09月27日 著者:聖 悠紀


超人ロック ドラゴンズブラッド 4 (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック ドラゴンズブラッド 4 (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★☆
組織間の乗っ取りを画策する敵の行動がさまざまなことのきっかけであったとはいえ、複数の思惑の交錯する物語はドラゴンズブラッドの力とひと組のカップルの純愛物語に収束。ロックの超人ぶりもただの背景となって作劇の自由度が増した印象もある。もはや年表でここだからこうなる、みたいなことは気にならない!?
読了日:09月27日 著者:聖 悠紀


星をつるよる◾️星をつるよる感想
★★★☆
眠れない子どもが家の外に出てみると釣り糸?が落ちてきて、釣られてみると…。眠れない仲間が増えていくうちにエスカレーションしていく意外な展開!? ちまちまと描かれた眠っているものたちを探すのも楽しい、絵本の楽しみに満ちた一冊。
読了日:09月29日 著者:キム・サングン


ぎょうれつのできるアイスクリームかきごおりやさん (ぎょうれつのできるおいしいえほんセット)◾️ぎょうれつのできるアイスクリームかきごおりやさん (ぎょうれつのできるおいしいえほんセット)感想
★★★☆
テンさんのところにほっきょくとなんきょくから届いた絵葉書をきっかけに、アイスクリームをつくるシロクマさんとかき氷をつくるペンギンさんがデザート対決!? 一緒にした方が美味しいね、ということで一件落着。モブでゾロゾロでてくる動物たちもみんなかわいい。一方でアイスクリームの作り方とかもしっかり描き込んであって巻末にはレシピも載っている親切設計。シリーズの他の絵本も見てみたい。
読了日:09月30日 著者:ふくざわゆみこ

読書メーター

2023年8月に読んだ本2023年09月08日 02時42分58秒

 小説、マンガとも電子書籍比率が上がりつつあり。『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』はその意図で既刊を古本に出して買い直した。
 プラットフォームは以前のKindleからhontoにほぼシフト。密林のサイトが購入時にギフト券から支払えない上にポイントは強制的に使われる謎仕様…。もう滅多に買い物してないのでポイントはたまらないしセールも少ない。サブスクユーザー以外はいなくていいですよ、という感じか?
 hontoは連携サイトのポイントがいろいろ使えるのと、いつでも何かの割引セールがあって、期間限定割引とそのセールを掛け合わせることができるケースもあって使いやすい。

8月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:3144
ナイス数:98

ステンレス・スチール・ラット諸君を求む◾️ステンレス・スチール・ラット諸君を求む感想
★★★☆
シリーズ第4作はまたしても人類文明の危機! しかも敵は吾妻ひでおのマンガにでも出てきそうなぬるぬるぐちょぐちょのBEMの群れ!? 加えて、双子の息子たちも成長してメンバーに加わり、過去3作の設定やガジェットも意外な形で生きて、ラストはSF大道具で一気に解決か!? と思わせて意外なダメ出しが連発されるあたりがこのシリーズらしい。色々な意味でシリーズここまでで最高傑作、という解説に同意。しかしこのパルプ雑誌まがいの意図的な展開は大学時代に読んでいたら「けっ」と思ったかも(笑)。今は楽しく読めます。
読了日:08月08日 著者:ハリイ・ハリスン


ペンギンたんけんたい あやしいゆうれいせん (講談社の創作絵本)◾️ペンギンたんけんたい あやしいゆうれいせん (講談社の創作絵本)感想
★★★
カヌーみたいな船で海を探検するペンギンたんけんたい。出会うカモメ、ウミガメ、イルカがみんな怪しい(笑)。そして「行くな」と言われるとつい行きたくなるよね(笑)。最後まで怪しかった(笑)。
読了日:08月12日 著者:斉藤 洋,高畠 純


マルスさんとマダムマルス◾️マルスさんとマダムマルス感想
★★★☆
作者が1972-1973年ごろに滞在してというノルマンディーあたりでの寸景を25年後に絵本としてまとめたという原著を、さらに25年の時を経て復刻したという不思議な因縁を感じる一冊。現地での大家さん夫妻とおとなしい飼い犬、出会った人たちの思い出が抑制された短い文章で語られる。味わい深い。
読了日:08月12日 著者:ささめや ゆき


ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA)◾️ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA)感想
★★★☆
新刊が出るたびに再読。けっこう入り組んだこの世界の設定がなかなか頭に定着しない(笑)。そうだったそうだった、そういう話でそういう展開でそう次に引いてるんだった。最近、小説もマンガも続刊が出る時には既刊の内容が頭に残ってないことが多いのは老化現象なんだろうなあ…(そうそう、長くなりそうなので紙の本は手放して電子書籍で買い直した)
読了日:08月14日 著者:小川 一水


ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-35)◾️ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-35)感想
★★★☆
まったく記憶力の減退ぶりに眩暈がするほどだけど、各巻、昏魚の特性を原理から考え直して、経験的に行なわれていた漁を超える漁法を編み出す、という点は共通している。観察の重要性、という点では「科学の方法」を描くハードSFになっているあたりが上手い。さあ、内容忘れないうちに3巻へ(笑)。
読了日:08月17日 著者:小川 一水


超人ロック ブレインシュリンカー/不死者たち (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック ブレインシュリンカー/不死者たち (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★☆
今では正規の年表外の番外編?扱いとなっているらしい探偵リュウ・ハントのシリーズ。最初に読んだのは『コズミック・ゲーム』目当てに買ったビブロス文庫版で同じ巻に併録されていたもの。やっぱり単独で読んだ方がしっくりくる。不死であることの意味をロック以外の不死者の立場から光を当てるラストがけっこう味わい深い。
読了日:08月19日 著者:聖 悠紀


ツインスター・サイクロン・ランナウェイ 3 (ハヤカワ文庫JA)◾️ツインスター・サイクロン・ランナウェイ 3 (ハヤカワ文庫JA)感想
★★★☆
片道で逃げて行った先の世界で初めて見る/触れる多様な社会(2作目までからの予想以上に多様)を描きつつ、二人が「漁師」のスキルを活かす道を見つけていく…という中盤あたりの設定だけでも何冊も巻を重ねられそうなところ、終盤でまたいろいろ明かされてジェットコースターのような展開。この詰め込み過ぎなあたりが新刊が出ると前巻までの内容が抜けていた理由でもあるかもしれない。とはいえ、今回の種明かしはだいぶ頭に残りそうだ。あと「百合」要素がこれまでのような私的なものから本シリーズのSFテーマそのものに。なるほど百合SF?
読了日:08月21日 著者:小川 一水


ステンレス・スチール・ラット大統領に (1984年) (サンリオSF文庫)◾️ステンレス・スチール・ラット大統領に (1984年) (サンリオSF文庫)感想
★★★
主人公一家が独裁者の支配するリゾート惑星からの救助要請に応えようと乗り込むが、今度の題材は民主主義的選挙!? 大統領選とそれをめぐる不正が題材の本作は今読んだ方がいろいろ感じるところあるかも。事実は小説より奇なり、というより、小説より陳腐だ。本作でジム一行が救うのは惑星ひとつで、まさに世界を救ってきたこれまでの作品と比べると小粒感はあるものの二転三転の展開はいつも通り楽しめる。とはいえシリーズ一貫してリアル翻訳出版時の年齢で読んだら「時間の無駄」と思ったかも。SFファンとして枯れてからの方が楽しく読める。
読了日:08月22日 著者:ハリイ・ハリスン


超人ロック 猫の散歩引き受けます Locke The Superman Take Care of Cat Walking (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック 猫の散歩引き受けます Locke The Superman Take Care of Cat Walking (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★☆
リュウ・ハントシリーズ2冊目。一惑星を舞台に超人ロックらしい適度なスケール感の権謀術数をハントとロックを狂言まわしに軽妙に語る。ロック本編だけだと読めない「ペアペアライサンダー」的な作風でよい。とはいえ、コンビ組んで数百年一緒にいるという設定だと、確かに年表外に位置付けるほかないか…?
読了日:08月26日 著者:聖 悠紀


青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない (電撃文庫)◾️青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない (電撃文庫)感想
★★★☆
今回は表紙の通り実験室の白衣ヒロインの巻。一貫して、思春期らしい身近な心の(やや重めの)問題と、それに付随して起こる不思議現象を観測者問題の援用でつなげるアイデアが特徴の本作だが、今回はそう来たか!? という感じ。とはいえ、自傷的な行為の描かれ方がけっこう生々しいのは今の時代故か。大学時代に「なぜこの面子?」という関係性が不思議と出来上がって、あちこち行って朝までファミレス、みたいな遊び歩きをしていた時期がほんの一時期あったのを懐かしく思い出した。
読了日:08月28日 著者:鴨志田一


地図と拳◾️地図と拳感想
★★★★
読み始めは上田早夕里の上海三部作みたいな虚実取り混ぜたポリティカルフィクションかと思って、そういう要素も皆無ではないけど、まずは第2章でひっくり返る(笑)。「名人伝」的仰天エピソードを経て、「地図と拳」というタイトルに込められた意味が徐々に浮かび上がってくる。前半過ぎたあたりでマジックリアリズムな予感が強まり、まさにそのように幕を閉じた。一つの街とそこに暮らす人々が興り、消え去るまでの物語。
読了日:08月31日 著者:小川 哲


青春ブタ野郎はシスコンアイドルの夢を見ない (電撃文庫)◾️青春ブタ野郎はシスコンアイドルの夢を見ない (電撃文庫)感想
★★★
今回は思春期症候群で起こった現象の量子論的解釈がちょっと苦しいように思ったけど、まあ、もともと作中起こる不思議な現象を量子論とのアナロジーで理屈づけて納得しよう、というコンセプトではあるので、このくらいは許容、ということで(笑)。…と、言いたくなるくらい、今回は不思議な現象というより思春期らしいココロの問題そのものにウェイトを置かれた展開。まさにその部分に対して、今の世代の読者の共感度が高く、納得感もあるのがこのシリーズの人気のもとでもあるのだろう。
読了日:08月31日 著者:鴨志田一

読書メーター

2023年7月に読んだ本2023年08月15日 09時51分17秒

 たまたまではあるが百合グルメマンガと百合グルメ小説を同じ月に読んだことに(笑)。あとは気になっていた某ラノベを電子書籍の値引きセールを組み合わせてまとめ買いしたのでちょこちょこ読み進めているけど、これはSFとしても小説としてもなかなか上手いな(主人公のブタ野郎ぶりや友人関係のご都合っぽさがラノベっぽいけど)。某ハルヒと比べると文体、作風の独特のクセがなく、一方でSFとしてのスペキュラティブぶりはドラえもんとクリストファー・プリーストくらい違う(笑)。ちょこちょこ読み進めよう。

7月の読書メーター
読んだ本の数:20
読んだページ数:3383
ナイス数:132

カモ少年と謎のペンフレンド◾️カモ少年と謎のペンフレンド感想
★★★☆
母との約束で3ヶ月で英語を覚えなくちゃいけなくなったフランスの少年カモ。その手段はイギリスのペンフレンドとの文通……なのだが、そこに書かれた英語はちょっと古風で……? 読み始める前、読みながら読者が予想しそうな展開を外して外して、その果てには!? なかなかひねりの効いた一作。一本取られた(笑)!
読了日:07月01日 著者:ダニエル ペナック


へそまがりの魔女◾️へそまがりの魔女感想
★★★☆
なぜ「へそまがり」なのか? 魔女の本来のあり方を考えると、なるほど!? 想定も含め佇まいのよい絵本。
読了日:07月02日 著者:安東みきえ,牧野千穂


青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない (電撃文庫)◾️青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない (電撃文庫)感想
★★★☆
劇場アニメ(とテレビ版数話)だけ観て、観測者ネタの量子論SFを思春期症候群というワードでオブラートに包んでわかりやすく楽しませるあたりに技を感じていたので、劇場第2作公開記念特価にプラス割引まで効いたので、電子書籍で一気買い(笑)。キャラクターの設定や言動がみんなエキセントリックなのはライトノベルの宿命だろうが、後半に行くに従って不安がエスカレートして、極限に達したところからの逆転劇が某V6の番組みたいでちょっとほっこり。
読了日:07月06日 著者:鴨志田 一


新米姉妹のふたりごはん5 (電撃コミックスNEXT)◾️新米姉妹のふたりごはん5 (電撃コミックスNEXT)感想
★★★☆
ふたりが高二に進学して交友関係がちょっと広がっていく巻。友人視点で見るとファッションに奥手な美少女の着せ替えショッピングとか、とっつきにくいと思ってた同級生と仲よくなって家に招待されたら義姉さんが憧れの写真家の娘さんだったとか、けっこう萌える展開? そういえば父の写真をいつも観ていたせいか実は写真に才能ありそう、という設定はいろいろ伏線にもなっていきそうでもある。
読了日:07月06日 著者:柊 ゆたか


青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない (電撃文庫)◾️青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない (電撃文庫)感想
★★★★
一気買い二冊目。このエピソードは偶然テレビアニメ版で1回分だけ観て「タイトルからは予想つかない時間SF!?」と思って、タイトルを覚えるきっかけになったエピソードなんだけど、通して読むと切ない……! あと、この時の思春期症候群の種明かし?が後のエピソードの展開にも効いているんだな、と納得。しかしまあ、空気読めないんじゃなくて、空気を全部読んであえて読んでない行動をする、というのはこのシリーズに共通のいちばん大事なメッセージかもしれない。
読了日:07月08日 著者:鴨志田 一


海がきこえるⅡ アイがあるから 〈新装版〉 (徳間文庫)◾️海がきこえるⅡ アイがあるから 〈新装版〉 (徳間文庫)感想
★★★★☆
このバージョンも出ると思いつつ、前の版で再読はしていた。表紙にどのイラストを持ってくるかと思ったら、前巻同様、「これだ!」という本作にぴったりの一枚。今回の再刊二冊は歴代のハードカバー、文庫と比べてもマストバイだ。で、内容的には読むタイミングごとに刺さる箇所が違って、何度でも読み返す意義が(個人的には)ある。しかし、登場する東京の場所がみんなありありと頭に浮かぶのは30年分の経験の成せる技ではある。ラストシーン後、年が明けたら二人で銀座のビアホールにも行ってみてください(笑)。
読了日:07月09日 著者:氷室冴子


新米姉妹のふたりごはん 6 (電撃コミックスNEXT)◾️新米姉妹のふたりごはん 6 (電撃コミックスNEXT)感想
★★★☆
鹿肉再登場だけど、ちゃんと害獣駆除の狩猟のお仕事を取材して、前回登場時は言葉だけの説明だった屠畜処理の過程をけっこう生々しく描写しているのが地味にすごいと思った。作者の本気感が伝わってくる。一方ストーリーでは、謎に包まれていた両親がついに……!?
読了日:07月09日 著者:柊 ゆたか


ぼくのサビンカ◾️ぼくのサビンカ感想
★★★☆
ぼくとサビンカはいろいろなことを同じように体験する同輩のようなもの。でも、人間と猫ではいろいろと違いがあって……。ちょっと宝探し感覚も味わえる絵本。楽しい。
読了日:07月10日 著者:ラデック・マリー


新米姉妹のふたりごはん 7 (電撃コミックスNEXT)◾️新米姉妹のふたりごはん 7 (電撃コミックスNEXT)感想
★★★
前巻のような猟師はやり過ぎにしても、高校生が自分たちでもできる潮干狩り、管理釣り場(ほぼ釣り堀)での食材獲り体験から、看病イベント、料理以外のオシャレイベント、カレー持ち寄りイベントなど盛りだくさん。それにしても、テレ東で実写ドラマになってたのか!? 地方民なので知らなかった…
読了日:07月13日 著者:柊 ゆたか


超人ロック メヌエット Locke The Superman Menuet (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック メヌエット Locke The Superman Menuet (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★☆
ロックが姿を変えて銀河帝国の中核にいた時期、皇帝がトレスからカールに代替わりするタイミングで起きた内紛の陰謀劇を連作短編で描いた一冊。表題作含め音楽をサブタイトルにしているのは古風な劇を意識してのことか。このところ帝国崩壊後の新連邦のエピソードを中心に読んでいたので、設定や名前に懐かしい感慨をもって読んだ。この世界の銀河帝国興亡史の流れをちゃんと覚えてない(笑)ものの、そのあたりを棚上げに、古典的な陰謀劇として一冊で読める。
読了日:07月15日 著者:聖 悠紀


新米姉妹のふたりごはん 8 (電撃コミックスNEXT)◾️新米姉妹のふたりごはん 8 (電撃コミックスNEXT)感想
★★★
文化祭のガレット屋であやりの交友関係が広がっていく巻。とはいえ、文化祭とは関係ないけど、自宅でコンソメ自作は普通ハードル高過ぎると思う。あと、りんご飴って包丁できれいに切れるものなのか!? 確かに、縁日で丸ごとかぶりつくよりは美味しそうだ(苦手なのでほとんどりんご飴買わない人なので)。
読了日:07月16日 著者:柊 ゆたか


台湾漫遊鉄道のふたり (単行本)◾️台湾漫遊鉄道のふたり (単行本)感想
★★★★
台湾統治時代の昭和13年春からの1年間、人気女流作家が現地に招かれ講演会をこなしながらいく先々で美味しそうな料理を食べまくる(景観、鉄道の描写も今は見れないものを盛りだくさんに入れ込んである)。相方は現地通訳の少女。おきらくごくらくな百合グルメ小説のように始まりながら、立場の異なる二人の関係が苦い読後感を残す。本編が終わった後のあとがきが多層的な感動をもたらす多重構造。ある意味では推理小説的でもあり、またある意味百合グルメ版『鉄の夢』、という観点ではオルタナティブなSFとも捉えられるかもしれない。
読了日:07月17日 著者:楊 双子


超人ロック クランベールの月 Locke The Superman The Moon in Crumbel (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック クランベールの月 Locke The Superman The Moon in Crumbel (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★
植民惑星を時間をかけて探索、開発していた時代を背景に、惑星の調査が進まないまま放置されている惑星には、人類の母星である地球とそっくりの月が…。そこで起こっている停滞の原因にロックが挑む。これもまた、少年キング時代の初期の雰囲気を感じさせる一冊。謎解きは1980年代の日本SFのとある作品を連想させるが、まあ言わぬが花か?
読了日:07月18日 著者:聖 悠紀


新米姉妹のふたりごはん 9 (電撃コミックスNEXT)◾️新米姉妹のふたりごはん 9 (電撃コミックスNEXT)感想
★★★☆
ぎこちないふたりの元に届いた生ハム原木から始まった物語も季節は冬に。料理がふたりをつなげ、友人も増えたけど、やっぱりふたりがいい、というお話。両親手作りのアドベントカレンダーがいい。あと、新家族顔合わせの番外編も。
読了日:07月22日 著者:柊 ゆたか


空想の海◾️空想の海感想
★★★★
ちょっとふしぎからちょっとこわいまで、いろいろ詰め合わせアンソロジー。アイデアストーリーとしてはいずれも水準以上と思った。冒頭とラストをポスト・アポカリプスな掌編で挟みつつ、戦争をモチーフにしたホラーが複数配置されるあたりに、今の時期に編まれたアンソロジーとしてのテーマ性も感じる。某長編の前日譚もメタ構造で面白い。同長編と関連あるマイクロノベル集の初出が某SNSというのも今っぽい。庄野ナホコさんの表紙も含め、装丁もよい。
読了日:07月22日 著者:深緑 野分


超人ロック 天空の魔法士 Locke The Superman The Wizard from The sky (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)◾️超人ロック 天空の魔法士 Locke The Superman The Wizard from The sky (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)感想
★★★
帝国時代末期に、ロンジット鉱を産出する星を統べてきた大公家、エスパーを「魔法士」として支配してきたその体制下での陰謀劇を描く連作短編+α。読み味はわりとあっさり。帝国のクローン技術とその限界を復習するにはいいかも。
読了日:07月22日 著者:聖 悠紀


ワンス・アホな・タイム◾️ワンス・アホな・タイム感想
★★★☆
むかし話のスタイルで、でもちょっとどこかにアホなポイントのある物語集。クスッと笑えるだけでなく、どこかビターで苦い、大人のための童話集の趣き。
読了日:07月23日 著者:安東 みきえ


新米姉妹のふたりごはん 10 (電撃コミックスNEXT)◾️新米姉妹のふたりごはん 10 (電撃コミックスNEXT)感想
★★★☆
前巻までは交友関係が広がっていく中でふたりの姉妹関係が逆照射されるような展開だったけど、そのあたりはひと段落して、それぞれに将来の道を定めて準備を始めた感じの展開。まあ、こういう不幸な展開のない幸せなだけのマンガを料理とキャラクターの関係性で読ませるというのもなかなか技ありという気はする。
読了日:07月23日 著者:柊 ゆたか


八百夜(5) (WINGS COMICS)◾️八百夜(5) (WINGS COMICS)感想
★★★☆
ポスト・アポカリプスの世界の姿が小出しにされる中、小さな集落でも、子供も大人も諍いを繰り返す…。一方、ヤオの物語を楽しむことがそんな集落の人々の憩いになりつつあった。『魔法使いの娘』シリーズまではぎりぎりかぶっていた少女マンガの薄皮も本作には感じられない。ただ、スリリングなSFマンガとしてある。那州雪絵はどこまで行くのだろうか?
読了日:07月29日 著者:那州 雪絵


ステンレス・スチール・ラット世界を救う (1979年) (サンリオSF文庫)◾️ステンレス・スチール・ラット世界を救う (1979年) (サンリオSF文庫)感想
★★★☆
シリーズ3冊目はなんと時間戦争!? 1975年、1807年、20000年代をひとり飛び回るジム、歴史改変の要素もあり。今の作家に書かせると個々のシークエンスを膨らませて1000ページくらいの大長編にしそうなプロットが200ページでサクサク読めるのが心地よい。
読了日:07月31日 著者:ハリイ・ハリソン

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