『ビニールハウス』/ < 비닐하우스 >

思い入れの強すぎる作品について語るのは、とても難しい。
でもあえて言葉にするならば。。。


作品の強さというものを、これでもかというくらい感じた、そんな作品。

本来、どんな作品もそれぞれ力を持っていて、
宣伝や口コミなんかなくても、いいものはいい、と感じさせる。
でも時に、大衆ウケする作品の影に埋もれたり、
上映前の宣伝の仕方やキャッチコピーの風に煽られたりもする。
なるべく平等に目につく機会を与えてあげてほしいと思うし、
作品を純粋な目で見られるような宣伝をしてほしいとも思う。
一般論として、ね。



私だって見るまではどんな作品なのかちょっとしか知らなかった。
それでも、たとえば、
ホントにあのキャッチコピーでいいのかとかとかとか。。。
いろいろ、いらない心配を、しないでもなかった。。。苦笑。
サスペンスといえばサスペンスなのかも知れないけど、
サスペンスと言えるほど傍観できる話なんだろうか、って。
アレよりひっでぇ話でドキドキハラハラしたい人は観にきてね、
みたいな宣伝に思えて、それでいいのか。。。とかとかとか。

でも、そんな心配をよそに、
この映画は、
こんな作品なんですなんていう前置きを全部全部かき消してしまえるくらい、
有無を言わさず、堂々と、圧巻の力を見せつけてくれた。
この作品が何を言いたいのかは、
この作品を見ればちゃんと伝わる。
っていうか、鑑賞後に残るのは純粋に作品の印象だけ。
しっかりと自立している作品。
ああ、作品ってものは本当にその中にしっかりと力を持っているんだなぁって
改めて思った。
私が心配なんかしなくても、
この作品は自分の力で世界中どこまでも飛んでいくことのできる作品なんだって
心底思った。
すごいよ、マヂで。
そういう意味で多分、映画では、生まれて初めてって言っていいくらい、感動した。



封切り前、ネット上で、
サスペンスだって、ちょっと気になる〜って書き込んでいた青年たちが、
いい意味で、頭のてんこちょから衝撃の稲妻に打たれたであろうと、
私は今、密かにほくそ笑んでいる。



この作品はさ、オンニも前から言ってたけど、
どこか知らない国の話とかじゃなくて、
ありえない作り物の話とかじゃなくて、
私ももしかしたらそうだったかも知れない、そうなるかも知れない、
私たちの話だと、私も思ったの。
こんな恐ろしい話があるんだぜって、他人事みたいになんか決して言えない、
私たち自身の物語。

主人公と同じ仕事をしてきた私が言うんだからホント。
ストーリーの中に出てくるさまざまな選択は、
こういう選択を実際にしてないだけで、
こういう状況は実際に日常のどこにでもあって、
実際に今していないだけで、
明日はするかも知れなくて、
頭の中では誰もが一度はそれを実行したことがあるはずの、そんなありふれたものばかり。
私たちの、今だ。

フツーは自分がしている仕事と同じ内容の作品を見るとどこか作り物だと、もしくは、
本当はそんなことないんだけどねぇ〜と少しは思うものなんだけど、
この作品にはそれを感じる隙がなかった。
あまりにもありふれていて、
思わず、この場合はどう対処してあげようか、なんて、
もうその仕事してないのに、ついつい考えてしまうほど。
そのくらい、いつも見てきた、いつも体験していた世界が描かれていた。
だから私はもしかしたら、観た他の人より、
そういう意味では衝撃は少なかったかも知れない。

別に作品を作るのに年齢なんて関係ないんだろうけど、それでも、
これまでいくつも作品を作ってきた監督ではなく、
長編作品はこれが初めてだという監督が、
これを作り上げたってことに、驚く。
そして、みんなが必ずしも目撃するわけではないこういう世界を、
細部に渡ってまで細やかにリアルに編みあげたってことに、感激した。


それから、細かい話をすると、
シーンの切り取り方(カット変わりっていうのかな?)がサイコーだった。
どこまで描いてどこを描かないかも、
サイコーに素敵だった。
象徴的に何度も登場する黒いビニールハウスと、車と。。。
そこに込める想いとか。。。
いやはや。。。えらいものを観た。

あ。。。それから、オンニ(キム・ソヒョンさんのことよ、念の為)について?
私はオンニがすごい俳優さんだってことは
出会った時から知ってて、今更何を言ったらいいのかわからんのよ、苦笑。
ほら、やっぱり、すごいんだよ!!!!。。。。ってのが本音。
オンニ〜、ブラボーーー!!!!!って思いっきりハグしたいのも、本音、笑。
で、こういう役を演じていても撮影現場は和気藹々と楽しかったそうで、
ちょっとホッとしたりもして。。。。はい。
そうねぇ、強いて言えば、オンニをよく知らない人は、
オンニが出てる他の作品を観てもらって、またこの作品を見て貰えば、
何がどうすごいのかがよくわかるでしょう、はい。
なんであんなにもたくさん受賞したのかもよくわかるでしょう、はい。


決して愉快な話ではないけど、
これは絶対見るべき作品で、
観ないと一生後悔するから、
観てね!。。。苦笑




あの観た後の重さや衝撃は、
人それぞれだろう。おそらく、
どんなふうに重かったのか、
どんなふうに痛かったのか、
その感覚の違いは、
今まであなたがどうやって生きてきたか、今どう生きているかにもよるんだろうと思う。
その重さや痛みを感じた上で、知った上で、この先、
どうやって生きていくか、自分がどんな選択をするか。。。
次は、私やあなたが、選択する番なんだと思う。








初日は平日だったからか、まあこんなもんかなくらいの客入りだったけど、
翌日の有楽町は、土曜日ということもあって夕方の回が8〜9割埋まってる状態だった。
(。。。って何回観てるのよって話?いや、まだ何回も観るよ、笑)
しかもどうみてもオンニ目当てのお客さんってよりは、
年齢も性別も、かなり幅広く、
映画好き、もしくは噂を聞きつけたって感じの人たちでいっぱいで、
そのことに、いたく感動した。
事前にかなりの数の雑誌や新聞がインタビュー記事をあげていてくれてたみたいで、
どれも真剣に作品についてや演技について語ってくれていて、
そのことにも、いたく感動した。
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あ。。。サイン発見!



上映後のトイレの列で、後ろに並んでた同年代くらい(もうちょっと若いのかな?)の女性たちが、
とにかくすごい作品だったよね!と興奮気味に話してた。
なんかまるで、自分のことを褒められたみたいに嬉しくて。。。



こういう作品を見て、本当なら、
今までしてきた介護の仕事をさらに頑張ろうってのがスジってもんなんだろう。
なのに、なのに、
なぜか、この映画が受賞したって聞いたその瞬間に、
詳しくこそは知らなかったけど、おおよそこういう作品だろうと見当がついてた上で、
私は介護の世界から飛び出して新しい世界に行くことを決めた。
考えてみれば不思議な運命。
矛盾してるように見えるかも知れないけど、
当時から私には、そうするに値する予感のする作品だった。(する、多し、苦笑)
観てみて実際に、
そうするに値する作品で、本当に良かった。
私は生涯、この作品が私をこの世界に連れてきてくれたのよって、
話すと思う。
絶対、そうする!
よかった。感謝します。




※ 書くのは難しいといいながら、長い文章になりました。すみません。
 いろいろ資料を貼り付けたのでじっくり見てみて下さい。

# by east-asia517 | 2024-03-18 00:35 | 観た・読んだ

歌会 VOL.1

なんだかいろいろな事があって忘れそうな勢いだったけど、
忘れずに行ってきた。
みゆき姐さんのコンサート。
歌会 VOL.1。
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コロナが始まったあの年、
コンサートは途中で打ち切りになり、
5月に行くはずだった私は観られないまま、
コロナの怒涛の日々に放り込まれた。
あれから4年ってことは、
5年は会ってなかったことになる。

あの時はまだ、新しい職場に入ったばかりで、
あの時はまだ、韓国語も始めていなくて、
あの時はまさか、4年後にこんなふうになってるとは夢にも思っていなかった。
私だけじゃなく、
誰にとっても、まさかまさかの4年だった、よね。


何もかもが素敵なコンサートだった。
舞台セットがシンプルで、
照明で転換をしていく、
ホントに歌で勝負してるって感じが、すごく素敵だった。
あっという間だったけど、
歌をしっかり聴いたっ!って感じがした。
あ。。。おしゃべりも、楽しかった、笑。
あ。。。みゆきさんだって思った、笑。
あ。。。観客のみんなだって思った、笑。
そうそう、この感じよ。。。って感じ。




みゆきさんは私にとってAである。
音階のA。
チューニングする時の、
基準にする、
ニュートラルを意味する、
あの、Aである。
元気になるためや、勢いづけるためや、
慰めてもらうためや、泣くためや。。。
いろんな「ため」のために、みゆきさんの歌を聞くけど、
一番多く使う「ため」は、
自分をニュートラルに戻すため、だ。

みゆきさんは私にとってオンマ(母)みたいな存在だ。
(ごめんなさい、年齢の話ではなくて、よ)
空を見上げること、海を臨むこと、
雪、雨、風、月や星、歩くこと、
ギター、歌、声、音、踊り、沈黙、
言葉、言葉というもの、人間、心、温度、恋、すべての感情、
夢、願い、罪、過去と未来、命、
生きるということ、生きられないということ、失うこと、愛。。。
あげたらキリがないけど、
全部全部、みゆきさんに教わったし、
今も、教わってる。
私の持ってるものでみゆきさんからもらったのでないものといえば、
肉体くらいなものだ。
これってどういうこと?みゆきさんならなんていうかな?って折に触れ、考えてる。
私がどんな人間か知りたければ、みゆきさんを知ればいい。
私は全部みゆきさんで出来てて、
どこをどう切っても、みゆきさんが出てくる。。。笑。

気が付いたら5年も経ってて、
その間にいろんな事があって、
自分で選んだ道で、別に特段、辛いわけじゃないんだけど、
頑張らなきゃ、頑張らなきゃって、
知らない間に、とんでもなく遠くまで歩いてきてたことに、
今日、コンサートを聴いてて、始めて気が付いた。
ただいま。。。というべきか。
実家に帰ってきた気分。。。というべきか。
とにかく、
道でばったりお母さんに会ってなぜか急に泣き出す子供のように、
なんでかわかんないけど、泣けてしかたなかった。

歌や音楽は好きで、
結構、こだわりなく聴く方だけど、
みゆきさんの歌は、私にとって、
歌であり歌でない。
もはや歌の領域を超えて、
私の中に存在している。




会場にはたくさんの人が集まってて、
トイレもグッズ売り場も大行列だったけど、
人混みが苦手な私でも、
この空間は、大好きだ。
みゆきさんのイベントで集まる人々の雰囲気は、ちょっと独特で、
いつも大好きだ。
もう何十年も通ってるけど、好きだ。
そうそう、この雰囲気だ、って思うんだ。



今日見て経験した全部が、私の原点なのよ。
どんなに遠くまで歩いても、
捨てることも消すことも忘れることもできない、
一番大事で、いつも心の奥にある、私の原点。
そのことに改めて気が付いた。
そういうこと。

忘れかけてたけど、毎回毎回こうやって、
さあここからまた頑張ろうって思ってたわけで、
だから、
次にまた会う時まで、笑って歩こう!






※ VOL.1って書いてあるから、2も3も4も。。。
 あるって信じてもいいよね?
 歌会って書いてあるから、夜会もあるって、
 信じてもいいよね?


# by east-asia517 | 2024-03-14 01:33 | 観た・読んだ

だから好き!!!

だから、オンニが好きなのっ!
震えが止まらなくなるほど、好き。
出会えてよかった!!!




以上!   笑。

# by east-asia517 | 2024-03-09 16:00 | 観た・読んだ

舞台袖

舞台に立つ時、一番緊張するのは、
多分、舞台袖で待機してる時間なんじゃないかって思う。
舞台に出てからは、もうもう目の前で起こることに対応するばかりで、
もはや緊張している暇はない。

緊張を払拭するには、
しっかり準備してきたんだから大丈夫という祈りにも近い呪文か、
意味もなく体を動かして思考を遮断するか。。。
でも、狭い舞台袖では体を動かせないことが多いので、
大丈夫大丈夫ってひたすら、祈る。
「待て」を言われた犬のように、
プルプルしながらその時を待つ。
期待と不安が最高地点で交差して、
一気に解き放たれる瞬間の1秒前。


ソウルに行ったり試写会に行ったり、
思いのほか強く心が揺さぶられて、
腰が座らぬまま数週間が経過。
なんとか平常心を取り戻しかけたかと思いきや、もう、
明日から字幕の授業が再開〜。
さらなる高みを目指す。
崖の最高地点からダイブするための
一気に駆け抜ける助走の時間の始まり。 (の、が多い)
う”。。。
高みどころか、以前習ったことも記憶が薄くなりつつあるような。。。汗。
大丈夫か???。。。いや、大丈夫大丈夫。
始まっちまえば忙し過ぎて考えることも忘れるんだろうけど、
まだ始まってないもんだから、
ただただプルプルする私。


# by east-asia517 | 2024-03-08 15:55 | ふと思う

新しい季節

3月だっ!


オンニが日本に来るってもんだから、必要以上に浮かれて1週間が過ぎた。

映画は最高だった。
また改めてお話ししたい。

で、その後のインタビューの時間も楽しかった。
癖でついつい後ろの方の席を取ってしまったので、
あ。。。ご本人だ。くらいの感じで、
同じ空間にいるという実感より、
いつも見る試写会などの動画を見てる気分だった。。。苦笑。
でも、オンニが元気で楽しそうに話してて、本当に良かった!
なかなかシリアスな作品なのに思ったより楽しそうに撮影されていたようで、
それもよかった。
監督も想像してたより可愛い方で、
すぐに気に入った!

とにかく、やたらに、
よかった、よかった。。。。と思った1日で、
次の日には気がついたら3月に入ってて、
字幕スクールから課題がわちゃ〜っと送付されてて、
毎日せっせとこなしてたミレ学院のお勉強もどちゃ〜っと溜まってて、
ソウルから帰ってきて軌道に乗せたはずのあれこれを
再度、軌道に乗せる作業であっという間に2日が経ったワケさ。

オンニに直に会えなかったのはちょっと残念だったけど、
始まる前のトイレ待ちの段階で、
日本にはこんなにオンニのファンがいたのねってくらい
た〜くさんの人が狭いロビーに溢れてて、
あ〜こりゃ、終了後にご本人がロビーで出てこようものなら、
えらいことになるわいと、
だから舞台上の上で見るだけになるなぁと、
思ったワケさ。
ってか、
長年、みゆき姉さんのファンをしてる私としては、
ファンとしてのあり方の違いにぶったまげ過ぎて、
私はもうこのくらいで大丈夫です。。。てな気分に、なた。
私は、これまで通り、そう、これまで通り、
ひっそり、こっそり、しっかり、べったり。。。(笑)
オンニのファンでありたいです、はい。


さっき、これから字幕の授業で使う、
というか、これから一生使う、
字幕編集ソフトのインストール作業が終了した。
これでPCの準備は完了。
来週からの授業に間に合わせました!

まずはここからの4ヶ月だ。
死ぬ気で頑張って、何かこう、ひとつきちんと掴みたい。
間違っても先生が直してくれる最後の4ヶ月。
大事にしないと。
それから、韓国語の勉強も、
この4ヶ月で基礎固めは終了しないと。
早く次の段階に入らないといけないから。




気がついたら、うちの梅の花も満開を通り越して、
強風の影響もあるんだろうけど、
ちょっとずつ花びらを散らし始めている。

新しい季節の始まりの予感。
新しく来る季節の中で、
いつか本当にオンニに会えたらいいな。
。。。とかとかとか、ニンマリする私。
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# by east-asia517 | 2024-03-02 17:18 | 日々刻々。