炭火生存日記

しぶとく生きるためのブログ

サポーターは写し鏡

結局正直なもので、負けが込むとサポーターとしての在り方や、まだ見ぬ選手への希望といった、勝ち負け以外に価値がありそうなものを見つけてしまうのです。

こんな状況でも営業収入を増加させるために様々な手を講じている営業の皆様には本当に頭が下がります。

 

ここ2年間で、主に疲労からくる閉塞的な敗北を迎えた時には監督への非難や過酷すぎる日程・弁当生活への嘆きはあったものの、サポーターとして信じるといった信仰的な4-5年前の遺物を掘り起こすことはありませんでした。

 

なぜなら、ピッチ上で起こる出来事に集中し、そこで採用されている一貫した考え方である「失点の要因となるリスクを極限まで減少する」という方略に対し、達成するための方法をあれこれ談話していればよかったからです。勝利という望ましい結果を実現するにあたって、ボールを保持する(あえて相手に押し付ける)・実績に乏しいがコンディションのよい選手を起用する、といったリスクの塊に対し、ああでもない、こうでもない、こうしていればよかったと時に愚痴をこぼしながら上位争いをしていたこの2年間は本当に平和でした。

 

一般人では手に入らない情報を膨大に保持しているプロが様々な事情を勘案して決断し、相手がいる勝負事を実施しているわけですから、素人でも思いつくようなことはほぼ間違いなく検討し尽くされています。そのうえで結果論として外れることもありますが、基本的にはリスクの取り方の比較衡量から大きく逸脱することはありませんでした。何より、選手の市場価値が上がり、日本代表へ選手を送り出せるようになり、1-0になれば「まぁ勝ったな」と大抵思える状態では、信仰が加味されるごく一部の方々を除けば、わざわざサポーターとしての在り方を考える必要がありません。

 

ただ、我々はすでにこの道を少なくとも一度通過しています。

出場していない選手の評価が上がり、もどかしい現実に対し虚構が祭り上げられ、起こっていないことがあたかも起こったかのように評価され、今は種を蒔く時期でこのまま継続すれば名古屋らしさを手に入れられるとかつて信じ続けたことがありました。

バブルのごとく積み上げられた期待に対し、結果遺産になると信じられ続けた夢は夢のまま霧散したわけですが、いつの間にか過去を振り返る際にしれっと「攻撃」が成立したことになっているのは気にかかります。

無失点記録を樹立し、優秀選手やベストイレブンに複数人名を連ね、DAZNでのプレビューや紹介、他クラブのサポーター様の分析など数々の場面で「堅守」名古屋と評されるようになったのは紛れもなく現実であり、愛してやまない継続に基づいて実現した名古屋らしさに他なりません。

もはや過去の話ではありますが、こうした「守備」と愛してやまない継続性のない胡蝶の夢が如き「攻撃」を一列に語るのは、確信犯的な伝統芸能とはいえもやもやしますね。「若手の起用」も似たようなものですが。

伊藤洋輝選手のFW起用&30分交代は今も覚えている 無事ドイツへ羽ばたいて本当に良かった

 

 

結局、応援するクラブにかかわる選手をはじめとした皆様の努力が結果として報われて喜ぶところが見たいのであって、報われ方としてわかりやすいのが勝利であり、選手らの市場価格が上昇することであり、タイトルを取ることであったりするわけです。

優越感を得られるというサポーター個人の感情によれば、他クラブのサポーター様から○○選手っていい選手だねと評価されるとか、クリーンなチームだねと言われる等がわりやすいでしょう。

一方で、必死に気を利かせた結果かえってひどい目にあったり、失点の責任を問われ批判にさらされたり、難しいシュートシチュエーションしか用意されず、そもそもまともなチャンスを与えられないという状況は、個人の頑張りが報われない一例です。こうした惨状が応援しているクラブで続けて発生すると、仕組みや枠組みで守られないことによる弊害という多くの方が日常で直面する疎ましい感覚をわざわざ間接的に共有するという、大変ありがたくない思いをすることになります。

別に毎試合負けても市場価値が鰻登りに上昇していくのであれば敗北も悪くはないのですが、残酷なことに往々にして、敗北よりも勝利のほうが自信等身につき、残るものが多いのです。

こうした頑張りが報われない状況で、長い目で見てどうなったかという結果を、改鋳したことはあっても忘れたことはないでしょう。

 

自戒も込めて、経験からではなく歴史から学びたいものです。

3分の1を疎かにして、34試合の継続がなされるわけがありません。勢いはシーズンのどこかで一時的に隣を歩けばラッキーなものであり、継続してずっと隣にいることはあり得ないのです。もしずっと隣にいたとしたらそれはもはや勢いとは呼べません。

平等で妥当な現実(2020)

過密日程、COVID-19による感染へのプレッシャー、観客数の制限など、数多くのイレギュラーに見舞われたシーズンでした。本当に大変な一年だったと思います

 

まず、名古屋にグランパスに関わる全ての方々が今回の目に見える様々な結果により少なからず報われて何よりです。残ったものは何もないがとにかく頑張っただとか、よくわからない形のないものに縋りながら負けん気だけは日本一だとかの敗走でなく、シーズン通して継続し続け、確かな結果を勝ち取ったことが何よりも素晴らしいです。

 

2位になれなかったことについては、今一つであった試合を思い起こせば出てきますが、つまるところガンバさんを直接叩けず、二度にわたって最後に失点してしまったことが全てでしょう。

しかしそれは、ここ数シーズン幾度となく語られてきた成長の余地であり、漸く成長や進化を口にできるスタートラインに立ったのだと思います。ここから、無失点試合を18,19としていく方向に舵を切るのか、16,15となったとしても主体的にボールを保持できる隙のないチームを目指していくのか、さらに上を目指すための挑戦が始まります。

今年以上の過密日程・選手層・怪我・強度の維持などまだまだ不透明なことや不安も多いですが、さんざん夢を見ることを望んだ方にとっては珠玉のシーズンになったのではないでしょうか。

 

昨年までとは打って変わって、シーズンそのものはきわめて異質であったものの、内容を振り返れば普通のものでした。試合内容に応じて勝手に妥当な賞賛も批判も集まり、終わってみれば一度きりの連敗に対しても当たり前のように重く受け止める声が上がっておりました。(何度連敗しても根強くあった半笑いと諦めとキラキラの混じった抒情詩はどこ行ったんでしょうかね)

ただし、様々な声が上がること自体は自然です。

試合内容が良ければ称賛され、整備された組織の中、ユース上がりの若武者が躍動すれば期待の言葉は出るでしょう。脂ののった経験十分な選手たちを起用し続け、ろくでもない結果しか出ず内容も乏しければ批判されるでしょう。それもプロである以上ある程度起こり得ます。 

明らかな罵詈雑言や誹謗中傷を除けば、大なり小なりどこのクラブさんでもあることです。別に名古屋限定の話ではありません。

折角なので、以下にいくつか印象深い具体例を記します。

 

FC東京さんとのルヴァンカップ準々決勝

過密日程の中リーグ戦に集中できる、みたいな言い訳の一つや二つあってもよいのに、普通に試合内容に関する不満が起こっておりました。内容自体は低調で、勿論発生しておかしくないものです。

 

横浜FCさんとのアウェイゲーム

相手が良かったとか、運が悪かったみたいな言い訳があったもよいのに普通に内容に関する不満や、守備できるのはわかったから本当に現状維持でよいのかみたいな謎目線が発生しました。幾度となく崩されて失点したのは事実であり、こちらも発生してもおかしくない不満です。

 

コンサドーレ札幌さんのとのアウェイゲーム 

最後のPKをランゲラック選手が見事に止め、薄氷の勝ち点1を得た試合ですね。この試合も札幌さん相手にしっかり勝てなかったことに対する不満が出ておりました。一年前を思えば勝てなかったことに文句が出るなんてずいぶん遠いところまで来たな、という懐古の一つや二つあってもよさそうなものでしたが、特にそんなこともありませんでした。

 

・大分さんとのホームゲーム 

勝たなければいけない試合でリスクを取りきれず、取りこぼしたという認識に覆われた試合でした。ただし、結果的には勝てなかったものの、クラブ全体に最後までハードワークを続ければ何かを起こせるというポジティブさが定着した瞬間でもありました。

湘南さん・FC東京さんとの試合を経て何かを起こしてきたという、まさしくチームとしての積み重ねを実感できた試合でした。

 口で90分間戦い続けるというのは簡単ですが、実際なかなかできることではありません。いかに選手がプロフェッショナルであるとはいえ、報われるかもわからないワンプレーのためにハードワークするのは間違いなく肉体的にも精神的にも厳しいことでしょう。勝利の女神は細部に宿ると言われますが、知っているのと実際にやることできること、実際にやり続けることには天と地ほどの差があります。

それでも実のあるハードワークを続け、報われて結果として確かに遺してきたものがあるという自負を選手とスタッフ・サポーターが共有できた瞬間がありました。マテウス選手が最後のコーナーキックで場内を煽り、それにサポーターが呼応した瞬間がありました。結果的には大分さんとの試合では実りませんでしたが、これをまさしく継続とか積み重ねと呼ぶのではないのでしょうか。

そして、大分戦の反省を活かし、見事に相応のリスクを冒し広島さんへのリベンジを達成しました。無失点を更新し、きちんと勝利しきったのも非常に素晴らしいことです。自他クラブを問わず、口ではいつも通りと言いながら緊張などで浮足立ち、他人行儀なプレーに終始したクラブを幾度となく観てきましたが、同じ轍を踏まなかったことも本当に素晴らしいの一言です。

贔屓目は勿論入りますが、3位で今季リーグ最少失点かつJリーグ無失点記録タイというのは、ハードワークが実を結んだ平等で妥当な現実ではないでしょうか。

同時に、川崎さんの10連勝を止めた試合をはじめとして、記録だけでなく記憶に残る試合もございました。一試合の垂涎の瞬間をことあるごとに啜り、芳しくない結果が刻まれるたび浸ることもあり得ましたが、幸いにもそうはなりませんでした。最高到達点を一つの過去としてしっかりと決別し、前進できるようになったのです。

現状維持ではいけない、と楽観視せずチームを追っていらっしゃった方々としても納得のシーズンになったのではないでしょうか。我欲を申し上げれば、そういった自戒は2年前に聞きたかったです。

 

 

非常に心穏やかです。まず、シーズンをきちんと終われてよかったです。そのうえで、関わった方々・戦い続けた方々の努力が報われる結果が出てよかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もはや大して話題にもなっておらずどっちでもよいのですが、遺産はあるか問題について一応見解を記します。

 

答えは簡単で、ありません。理由としては、様々な視座でここ数年の名古屋を追いかけてきた方々の意見が揃ったからです。

フィッカデンティ監督が何もかも壊してしまった、と風間氏のサッカーを研究してきた方々が昨年度口をそろえて仰っていたこと。

・所謂アンチ側も何も残らなかった(そもそもなにも積み上げてないから)と認識したこと。

つまり、対極な見方でシーズン通して同じチームを追いかけていたサポーターの認識が一致しており、今までの建造物が至宝の宮殿か伝説の城郭かサクラダファミリアかバベルの塔か砂上の楼閣か蜃気楼かという差異はあれども、更地になったという認識は一致したわけです。

どちらも見る目がなかったという可能性もありますが、まぁ風間氏のサッカーを真摯にご覧になり続けてきた方々がなくなったと仰ったなら、やはりなくなったのでしょう。その辺は目の揃った方々ですから信頼して良いと思います。

何より、結果が出たから実は遺産があったなんてさすがにそんな厚顔無恥なことはできないと思います。

一回完膚なきまでに壊されたはずの遺産が、COVID-19によるイレギュラーな中断と相まってどうやって掘り起こされるのが原理がわかりません。監督交代直後であれば前監督の色が残るというケースはあり得ますが、半年中断したにもかかわらずいきなり掘り起こされる遺産なんてどうすれば存在できるのでしょうか。

 

個人的には今更あってもなくてもどうでもいいです。あれば遺産を活用して成長している選手と遺産を作ってくださった前監督ときちんと引き継げる現監督を評価すればよいだけで、なければやっぱりそんなものないよねで終わりです。それ以上でもそれ以下でもありません。 

 

続いていたら「今年は何もかもイレギュラーな年だったから評価しようがない、参考記録でしょ」とかいういつもの先延ばしと言い訳が跋扈しただけじゃないですかね。おお怖い怖い。ただそれももはや過去の幻影です。

 

 未来を語るのも同様です。

10代や20代前半の選手が単に起用されるだけであればそう難しいことではなく、異常な過密日程となった今シーズン多くの他クラブさんで見られた現象です。

勿論名古屋でも成瀬選手・石田選手をはじめとして起用されておりました。

ただ、起用=継続ではないですし、数試合ルーキーが活躍したからといってバラ色の未来が続くわけではないことはこの4年間で嫌というほど痛感していることでしょう。

・そもそも出場できるか

・出場して爪痕を残せるか

・次の出場機会はあるか

・継続して出場できるか

・相手チームが対策してきたとき、その対策を超えられるか

 これだけの壁を最低でも越えていく必要があります。こちらも継続あってこそですね。

  

今年普通のリアクションが出れば出るほど、いかにここ2年が不穏で異常であったかが浮き彫りになるだけですね。さすがにACL圏内+クラブ新記録の無失点記録と未だ見果てぬ夢を比べればどちらが魅力的かは判断しやすいと思えるのですが、自分の応援するクラブのことになるとどうしても目は曇ってしまいます。自分自身も勿論逃れられません。

他クラブさんのサポーターの皆様からの反応を観ればどちらが戦う相手として厄介なのかは一目瞭然です。

 勿論、焼き畑農業の如く、目先の小さい利益をとって根を涸らし数年後に埋没していくという現象は起こり得ますが、一方で生え抜きを育てれば未来があって安心というのも時代錯誤甚だしく、結論のすり替えであるように思います。優秀で将来有望であればあるほど、買われて旅立っていくと認識していたほうが現実の移籍事情に即しており、精神衛生上もよいと思います。どちらが正しいのかはわかりません。ifの未来を観測できない以上、遡及的にあとから正しかった/間違っていたことにするしかありませんからね。

輝かしい未来と現在の結果にどのくらいの因果があるのかは何とも言えませんが、育ち切ったところで収穫するのは他クラブだったというケースはあり得ますし、それを受容できるサポーターの精神も育むのには時間がかかります。少なくともここ数年の阿鼻叫喚ぶりを見る限りでは、まぁまだその土壌はないでしょうね。

平等で妥当な現実

何もかもが、今季を象徴するようなゲームでした。

 

表を観ればフル出場・裏を返せばタスク過多による勤続疲労で中谷選手がオウンゴールをなさってしまったのは示唆的でしたね。重いタスクを背負った選手が損をし、下手に見えてしまいファミリーから酷評されるのももはや見慣れた光景です。

加えて、今シーズンを通して引いた相手を崩せませんでしたし、ボール保持と言いつつ最後尾からじっくり組み立てることもしておりませんでした。否、できませんでした。やっていないことはできないのです。3年間、ボール保持に取り組んできたとはとても思えないチームの様相がピッチ上にはありました。

 

もらったほうが困るような責任逃れのパスやコンビネーションがかみ合わない場面もシーズンを通して見られましたし、思い出すように中盤の空洞化も起こりました。パススピードの遅い足元へのパスは今日もからめとられました。それが今日も見られただけにすぎません。「いつも通り」です。やっていないことはできないのです。

守備時のリスクを度外視した攻撃全振り状態で得点してきたチームから、攻撃時のリスクを引いて守備に回せば、得点はできなくなります。合理的ですね。その分意味不明な失点は減少しました。適切な手法で取り組めば、ピッチ上に反映されるのです。

 

ある程度拮抗した相手との勝負である以上、どこかでリスクを冒す必要はあります。しかしながら、どこでリスクを冒すかというレベルではなく、チームに根付いてしまった「攻撃全振りでしか得点が取れないわりに、別にリーグで圧倒的な攻撃力を誇るわけでもない状態」がそもそもおかしいのですが、そんな野暮な話は教義に反するのでされません。攻撃的と呼ぶくらいが適当なレベルなのでマジックワードとしては妥当なのでしょうか。

そこまでの過大なリスクを取らずとも名古屋より得点を獲っており、ロジカルにボールを保持していらっしゃる他クラブさんもあるのですが、そんな野暮な)以下略

 

3年間を通して見ると、残酷なほどフェアですね。今シーズンはやたら誤審に苦しみましたが、プレーオフ・湘南さんとの2PKと、ここ二年の僥倖を清算できたのであれば安いものです。今年だけ見れば間違いなく損はしていますが、そもそも損しかねない後追いの場面を頻発させたことに関してはどうなのでしょうか。「不運」で片づけますか?片づけたほうが都合がよいですもんね。そして、現体制に関しては今の状態が実力であり限界とするのでしょう。そのほうが都合がよいですもんね。継続性を掲げながら、ろくに魅力的なサッカーが継続しなかったことに関してはいかがでしょうか。それもたいへん「不運」でしたね。

 

今更のように、なんで風間氏を解任したのかという声があふれています。正直めちゃくちゃ面白いです。声を上げている方々の大半がついこの前の8月には絶望していた方々なのがチャームポイントです。もう少し時計の針を戻せば、1年以上経過した時点で「自分のサッカーを浸透させるにはもう少し時間がかかる」と仰っているケースもあるのがお茶目ですね。残りは名古屋より風間氏の人間的魅力がお好きなのでしょう。

去年の8月のごく一時期の最高到達点と、まだ見ぬフィッカデンティ監督のワーストを比べて、「それ見たことか!!」という掌返しが巻き起こっているのは他サポ様必見です。

 

大真面目に今更きちんと振り返るのであれば、

 

ACLを目指すというシーズン当初の目標を達成不可能なラインまで低迷したこと

・魅力的な攻守一体サッカーが試合を経て浸透するどころか、むしろ解体されていったこと(見られる時間が減少していき、上向くと考えにくい状況に陥ったこと)

・監督のマネージメントが適切に機能していないと思われる試合が見られたこと

・若手を前半で交代する選手起用が見られたこと

 

名古屋のプロジェクトを実現できる存在として風間氏を招聘したのに、それを実現できなかったため、目標未達で契約を解除したというのが落としどころでしょう。

 

風間氏を熱心に取り上げていらっしゃるライター様が有料で風間氏の手腕として挙げている要素を振り返ると、

・多くの人を惹きつける圧倒的なカリスマ性 
・魅力的な攻撃サッカーの実現
・優勝争いができるチームへ育てる手腕
・若手の思い切った抜擢と成長

この辺りが挙げられておりますが、そのうちのカリスマ性以外に疑問符が付くような状態が継続したことが決め手と言えそうです。何が「名古屋は大丈夫」だったのかそろそろ説明してほしい

 

疑問符が浮かぶ状況に拍車をかけたのが、フロントの熱心なサポート体制です。

夏の移籍で大量にレギュラーを争う選手たちが移籍していくまでは、公言通り優勝を狙いに行ける陣容でしたし、そこまではリーグ屈指レベルに風間氏を支援しておりました。それはシーズン当初多くの方が間違いなくおっしゃっていましたし、今シーズンの3分の1が終わった時点でもその認識は揺らいでおりませんでした。さすがに今更クラブのサポートが不足していたという後出しはあり得ませんよね?

そんな恵まれた陣容を抱えながら、昨シーズン・一昨年のシーズンをなぞるかのように、勝てない時期が続きます。新加入の選手たちが染まり、ボールが足元にあることが目的化する時期が到来します。

 

同時に、夢や希望・攻撃的・技術・巧さといったふわふわワードが跋扈し、「攻守一体のサッカー実現」という言葉だけが独り歩きしていきました。空からいきなり理想のサッカーが降ってくるのを待ちわびるように、何も変わらないいつも通りを文字通り貫いたまま、(多くのファミリーの言葉を拝借するならば)つまらない試合が続きました。貫けなかったことを後悔しているように見えて、ファッション貫き状態が漫然と続いておりました。

時間をかけて改善していくどころか、目に見えて停滞・酷く言えば悪化していきました。(川崎さんだけは慢心があったのか名古屋以上に中央に固執し、悪い時の名古屋は相手からするとこうなっているのか…という発見をくださりましたが)

今振り返っても、当時のどんな要素に夢や希望があったのかはわかりません。選手の頑張りを結果に、成長につなげられない無念さと空虚さに満ちておりました。全て揃えたはずなのに停滞を続ける空虚感は明らかに選手層が薄かったり、予算が今ほどなかった西野期・小倉期を個人的には超えたと思います。(ここは個人の感じ方なので判断が分かれると思います)

 

例えば今の磐田さんのように、試合を繰り返すごとにできることが増えていき、「ウチの選手こんなこともできるんだ!!」というポジティブな発見が毎試合のようにあり、壁に当たりながらも就任から時間をかけて状態がよくなっているのであれば夢や未来があるという表現は至極最もです。むしろ反論の余地がありません。

 

しかし実態は、昨年度の過去最悪クラスの時期でさえ支持なさってきたファミリーであっても、もう無理と諦めるような状態に陥りました。明らかにファミリーが夢を語るのをやめた分水嶺があったのです。

 

 

karyokuhusoku.hatenablog.com

 

 

 

フロントの考えとして最も気になるのは、「風間氏でもしうまくいかなかったら?」というリスク管理に対してあまりにも脆弱だった点ですね

就任して頂いた監督を全面的にサポートする体制は素晴らしいですし、称賛に値するものです。ただ、どうあがこうと風間氏とはいつか袂を分かつ日は訪れます。

前述したように、ミッションを考慮すればさらにリスク管理は必須です。なぜなら、すべてを達成できれば何一つ憂いはありませんが、現実問題として

 

・優勝争いをする

・魅力的な攻撃サッカーを名古屋の礎として植え付ける

・若手を積極的に抜擢し、育てる

 

のうち、どれかを満たしたが全部ではなかったというのは十分に起こりうるケースだからです。さすがにそれを想定していなければ恥ですね。その際の優先順位や達成度が明確であるほど、後任監督も明確にしやすいのですが、ここ2年どうやって風間氏の仕事を引き継ぐかというのはあまりにも疎かでした。怖いくらい風間氏が完璧に仕事を全うすることを前提に動いておりましたね。

 

ここまで酷くなるとは多くの方は予想していらっしゃらなかったみたいですが。

 

フラットなサポーターレベルで批評するのであれば「前評判ほどの手腕を名古屋では結局見せなかったし、評判がいささか過大に先行していた」くらいが妥当だと思います。

全体を評すれば「良い時期もあったけれど総合すれば期待外れだった」でしょうか。

私の感想である「知ってた」も、信奉する方々の「夢や未来に溢れていた、まだ間に合うからカムバック」も極端すぎるのでしょう。

 

話を戻せば、「ボールを保持できるようになるが勝てない」というルートは、(今シーズンほど酷くなるかはともかく)陥る可能性としては十分起こりうるものでした。ボールを保持できても多くのクラブがぶち当たる課題であり、名古屋とてそれは例外ではないからです。

 

 

ここは自称翻訳家様や有料ライター様の非常に洗練されたご解説をぜひとも拝聴したいところなのですが、主体的にボールを保持すると言いつつ、マイボール時にビルドアップすらできていないのは何故なのでしょうか。

主体的といいつつ、能動的に相手を動かす機会に乏しいのは何故なのでしょうか。逆脚の精度という重要な技術が一向に「巧く」ならないのは何故でしょうか。

なぜインサイドキックのフォームがパターのようにボールを押し出す姿勢から変わらないのでしょうか。

 

これらはボールを主体的に保持するうえで基幹的な技術だと思われるのですが、なぜそれは対象外なのでしょうか。これらを対象外にしてまでも身に付けた大切な技術は、たかが別の監督に代わって数か月で消えてしまうほどの儚いものなのでしょうか。

 

要するに、目指したいものが風間サッカーであれば、実現するのは風間氏が適任です。ただし、ボールを主体的に保持するサッカーを貫くのであれば、風間氏の成績が芳しくない際に路線を継承できる監督のリストアップ位はしてしかるべきでしょうし、実際風間氏が最適任とも言えません。路線継承者がフィッカデンティ監督というのも違和感があるので、結局第二の矢を持っていなかったのでしょう。それはフロント内に確固たる評価基準がなかったということでしょう。残念です。

 

 

結局、勝負の今シーズンに何がしたかったのでしょうか。ACLを本気で狙っていたことはわかりましたが、肝心の継続性がなかったのです。なかったのです。あったことにはなりませんし、してはいけないのです。壊したという言葉も見かけましたが、何を壊したのでしょうか。内輪の雰囲気でしょうか。

確固たる基礎を築くために、それを継続するために招聘したマエストロが継続できるものを植え付けられず、それ以外も芳しくなかった。これだけではないでしょうか。

たったそれだけを理解するために今シーズンを通して心中するべきではありましたが、もはや後の祭りです。それすら理解できず、ひたすらに美化された過去を再生し、たらればを語るのみです。

 

連勝時の歓喜に回顧し浸ることを選ぶのであれば、もうそれは仕方ありません。

                                 

                                    了

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下本音タイム

 

 

ここまで読んでくださるもの好きな方はお気づきになったと思われますが、根源は風間氏そのものではなく取り巻きだと今シーズン中に気づきました。風間氏も標榜していることをピッチ上に落とし込めていないのは確かなのですが、

・そんな監督はいくらでもいること

・よくよく調べてみると本人が断言したケースがほとんどないこと

・監督自体、生きるため自分の仕事ぶりをブランディングする必要性があること

 

この3点から、そのうちまぁ単なる手腕不足やなと思うようになりました。選手を守れない采配は川崎さんのころから好きではありませんでしたが。

そもそも一次資料として風間氏が明確に断言したものがもはやわからず、著書などで主張なさっていることも広義でどうとでも解釈できることが非常に多いのです。もはや代名詞となっている「止めて蹴る」も、ボールを正確な位置に止めることにより自身の選択肢を増やし、その中から最適なものを選択するという至極まっとうなものです。

あくまで選択肢を増やすための手段であり、時に手段が目的化することもあり得ます。

よって、本来はそれを紐解くプロフェッショナルがいらっしゃるはずなのですが、これが本当に酷く、それぞれの翻訳家がほざいていることをかき集めると風間氏が完璧超人になるという何とも不可解なことが起こっておりました。

加えて、カルトじみた断言は数多く為され、「成長」「未来」「希望」「技術」と膨大ななんか心地よい系ワードは生み出されましたが、J1に昇格して以降、特に中身や実態が一切説明されないまま風間氏のカリスマ性だけが祀り上げられる現象が起こり続けました。

好きなクラブで起こっていることが何より気色悪かったです。

J2期はともかく、J1に昇格してからは選手を上位互換に交換→対策されていない時期に勝つ→対策されたら選手を交換→しばらく勝つ の繰り返しでしかなく、他クラブさんからすれば文字通り「名古屋は(警戒しなくて)大丈夫」という状態でした。今季途中までの磐田さんも遠目で拝見する限りではこんな感じでしたね。(磐田さんのサポーター様がもしお読みなら申し訳ございません)

 

プロフェッショナルしか気づけないようなボディアングルの使い方・ターン技術・相手を引き付けるボール保持などが解説される日はついに到来せず、選手の頑張りに依存し続けチームは摩耗していくなか、宗教のように時間がかかると言われ続けました。その根拠は川崎さんで5年かかったこと1点のみ。川崎さんでいう大島選手のような選手が台頭していないこと、そもそも前2年はカウンター寄りのサッカーをなさっていたこと、今名古屋が川崎さんと比較してどのあたりの地点にいて、どのくらいで壁を超えるかという根拠ある試算は一切為されず、「信じる者は救われる、信じぬものはアンチでありいずれ後悔する」と言わんばかりの残虐ぶりでした。風間氏と袂を分かったのち一部ファミリーはクラブの決断であれば支持するという舌の根も乾かぬまま、あれほど免罪符にしてきた「感謝」「時間がかかる」を早々にかなぐり捨て、クラブの決断を支持せず迷走と断じました。外側の人間は名古屋そのものをボロクソに酷評する徹底ぶりです。

当の川崎さんでさえ成功したスタイルの限界に直面しているという声もある中、呑気なものです。

舐めるのも大概にしていただきたいものです。

 

そして、そんな仕事ぶりを見事に反映するがごとく、未だに名古屋の風間氏による「積み上げ」とやらが説明されておりません。積み上げが確かにあり、名古屋がそれを壊したことを愚かだと批判することはあれど、そもそも積み上げとは何で、それが名古屋が求めていたものに合致していたのかは決して説明されません。 

崩壊が怖かったのと、終了時に積み上げなんてないだろ、ほら見ろきっちり反省できるだろという思いから今シーズンいっぱいの風間氏の続投を支持していたわけですが、この感じだと終わっても「まだ3年目」とほざいていた可能性が濃厚ですね。今年は審判のせいにもしやすいシーズンでしたし、現実から逃避して妄想を騙ることに関しては本業以上にプロフェッショナルです。

 

今季の夏の監督交代劇に2016年のフロントのドタバタぶり、無策ぶりを思い出して何も変わっていないことを嘆いていらっしゃる方は多かったようですが、当時戦力も経験も十分でなかった小倉氏をスケープゴートにしたように、フィッカデンティ監督と大森強化担当をまさに今スケープゴートにしたがっているので、見る側も何も変わってないことがわかったが最高に面白いですね。

きわめて平等で妥当です。サポーターが変わらずしてフロントが変わるわけがありません。逆もまたしかりですけれどね。

 

たらればに苦しむことになるだろうと以前の記事で書きはしましたが、ここまで露骨に表象するとは予想外でしたね。まぁ砂糖菓子で飾っていた正義が正体を顕すように醜く鮮やかに表象してきただけで私にとっては十分すぎるエンターテイメントです。ピッチ上のなんちゃってポゼッションより余程面白いですね。

面白さや楽しさなんて人それぞれですもんね。そうですよね。

 

嘘を妄想と事実と主張を自然に混ぜて人をアンチとして貶す驚異のテクニックには脅かされましたが、終わってみればシーズン一の笑い話です。最高に滑稽でしたね。

 

まさかわざわざここまで読んで時間を無駄遣いして自傷行為をしているよくわからん人がいないことを祈るとともに、ここまでお付き合いしてくださった読者の皆様に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

 

評価しようがない

残留という結果はほぼ手にしたと言えるでしょう。

歴史的な大敗をすれば入れ替え戦に回る可能性があるらしいですが、さすがに事実上残留は決定したという認識でよいのではないでしょうか。

 

早速来季へ向けて動き出せるのは大きなアドバンテージですが、ここで問題があります。

 

来季の監督を含めた体制です。

 

何ともフィッカデンティ監督の手腕を評価しようがありません。クラブが監督に課した明確なミッションが不明なので、情報に乏しい素人ではなんとなく「残留だろうな…」くらいの認識しか持つことができません。

そして、他力であれ、最終節を前にほぼ残留を決めております。欲を言えば自力で決めてほしかったですが、そこは昨季も変わりありません。難しい状況での就任から、間違いなくミッションを達成しています。

 

勿論、しかるべき批判点はいくつかあります。 

 

批判点

・就任後負け越している

・セットプレーからの失点が多い(セットして相手を待ち構えるスタイルを志向するうえでは致命的な欠点)。

・楽しくない(得点が入らない)

 

結果第一なのに、結果がついてきていないという点が批判の根本にありそうです。そして、これは実際もっともな批判です。

 

一方、擁護する声も少ないですがあります。

 

擁護点

・選手が志向と合致していない

・シーズン途中の就任でまとまった練習期間がない(理念の浸透に時間がかかる)

・セットプレーを除けば、ピッチ上のリスク管理は格段に改善しており、試合を重ねるごとに改善している(普通のチームになっている)

 

 

そして、来季この路線を継続するかですが…正直判断するための時間も材料も足りません。シーズン中盤に散々言われてきた「時間が必要」が今ほど合致する瞬間はそうそうないのですが、一切そんな声は聞こえてきません。不思議なものです。

せめてあと一か月判断できる試合があれば…と思うのですが、ないものはありません。ないものはないのです。あったことにはならないのです。

 

 

ここ2シーズンの風間氏へのサポートと同様のレベルで、フィッカデンティ監督に合致した編成を組めばそれなりの成績にはなると思います。ただし、優勝はおろかACL争いも数年は難しいでしょう。再び多くの選手と別れを告げることにもなります。

(我慢すればマリノスさんルートもあるかもしれませんが、きっとファミリーが耐えられないでしょう。そして、何より、我慢してうまくいかなかった際の反発・「だから言ったのに」という悔恨は今現在の比にならないレベルで大きくなるでしょうね。)

 

一方、残留ありがとうで監督と決別するルートも十分あり得る成績です。加えて、今のところファミリーが切望している「攻守一体の魅力的なサッカー」とはとても呼べない状況です。無失点を強みにしていくうえで、セットプレーからの失点が多いのも課題です。

例えば、主導権を握って攻撃すると言いながらビルドアップの形が一切ないようなものですね。言っていることとピッチ上でやっていることが一致していないじゃないか、という大変ごもっともな批判です。

 

イムリーなことにシーズン途中での就任ながら敵将磐田さんのフベロ監督は整理された攻撃を植え付けていらっしゃいましたし、J2では横浜FCさんの下平監督もロジカルな攻撃を構築しつつ、J1への自動昇格を成し遂げていらっしゃいます。フィッカデンティ監督に与えられた時間は多少短いとはいえ、Jリーグ内を見渡すだけでも3か月で魅力的な攻撃を植え付ける監督はゼロではありません。

その点をシビアに見て、ミッション未達という可能性もあり得ます。

だったら風間氏の2年半のミッションは何だったんだ…という疑念は私は生じますがね。カリスマ性でとにかく夢を創り崩れ切った状態を立て直すという仕事は見事でしたが、その先が続かなかったのは残念です。

 

どちらに舵を切るにもそれなりの覚悟と投資が必要になります。魅力的な攻撃サッカー実現への道を歩むのであれば守備の整備は避けては通れないですが、その土壌は残念ながらまだ名古屋にないでしょう。

 

 

ファミリーの感情ベースで語るのであれば、攻撃サッカーに飢えて我慢できない・すっきりしない・楽しくないというのがここ2か月を見ての偽らざる本音な気がします。クラブの決断だろうと、気に食わないものは気に食わないのです。そんなもんです。

別に悪いことでも何でもなく、当たり前のことですがね。

 

相手を別に動かせているわけでもなく、相手の陣形を崩せてもいない期間も長かったのですが、ボールが繋げていることそのものが心地よいのでしょうか。

  

 

あくまでフロントがクラブの段階を分析し、必要な監督と契約関係を結んで歩を進めるにあたって、崩壊したクラブを立て直すのに風間氏の圧倒的なカリスマ性は確かに必要だったかもしれません。 

 

クラブ・ファミリーに強い志向性を持たせるカリスマ性をはじめとして、風間氏には感謝するべきところもあり、もっとこうしてほしかったというところもあります。ただし、優勝を狙える陣容を揃えスタートダッシュしながらも、気づけば勝利から遠ざかり、圧倒的な攻撃力という言葉だけが独り歩きしました。いつしか最高の試合の甘美な数分間だけが、ビデオテープが擦り切れるまで繰り返され、遠い過去を振り返っておりました。

ガンバさんとの試合では夏休み期間にもかかわらず豊田で3万人を下回るという(フィッカデンティ監督基準で評価すれば大問題な)出来事が起こりました。ただ当時観客動員という点で「終わりの始まりだ」と危機感をあらわにした方はいらっしゃらなかったと思います。別にそもそも終わりの始まりでもないので、正常な反応ではあるのですが。

  

途中でのお別れになってしまったせいで無意味なたらればが跋扈しております。

とはいえ、たらればの中にはここ数シーズン追いかけてきたのか怪しいものも多々あります。

就任当初はなかなか戦術が浸透せず、ようやく右肩上がりで勝てるようになってきて、さぁここからだという道半ばでの解任であったなら夢をご覧になるのも尤もな話です。

しかし、そうではありません。2度あることは3度あると言わんばかりに、選手を入れ替えた直後に連勝し、そこからの上積みが見られないという継続性・一貫性とは対極の現象がピッチ上で起こっておりました。

未だに時間があれば…という慈愛の心をお持ちの方もいらっしゃいますが、当の川崎さんでさえ連覇が途絶え、変化が必要だという声が出始めている中で「(最低)5年続ければ勝てるようになる」というのはいささか楽観的過ぎる気がします。

 

良かった点、悪かった点は否が応でも振り返ることになります。降格こそ過去を美化せず、現実を受け入れるシーズンオフになることでしょう。サポーターも含めて。

 

 

 

 

堅実か不足か

勝って決めたかった、というのが正直な感想です。あと2戦の相手を考慮すると余計にその思いが強まります。

ただし、今後負けなければ確実に残留が決まる段階にはなりました。

 

良いところは継続して悪いところは修正しようとよく言われますが、往々にして良いところというのは悪いところの裏返しです。そうそういいところだけ伸びるものではありません。

今のチームで言えば、守備時のリスク管理がまずは徹底され、ピッチ中央に謎のセキュリティホールが生まれることは大きく減少しました。それに伴い、安っぽい失点は確実に減少しています。その一方、攻撃時には相手の準備された守備を上回る攻撃がなかなかできておらず、得点数は前節の神戸さんとの試合を除けば今一つです。丹念に二年半磨いたはずの技術やら巧さやらも不思議なことになかなかお目にかかれません。本来、監督交代くらいで錆付いて消え失せる性質のものではないはずですが、妙なものです。

 

現状はボール非保持時の陣形に重きが置かれており、もう少し丁寧なビルドアップとロジカルなボール前進に主眼を置いたチューニングを期待したいところですが、今までなかったものをいきなりシーズン途中から植え付けるのは難しいでしょう(それを成し遂げる名将は勿論いらっしゃいますが…)。いずれボールを主体的に保持できないと相手に持たされるだけなので、クラブの方針としても優先度が高い技術のはずです。はずなのですが…。

今日で就任から丸2か月なので、個人的にはあと1か月足りなかったという印象です。

たらればになりますがあとひと月あれば、多くのサポーターが夢見るような流麗なビルドアップが整備されなかったとして、時間がなかったせいなのか、移籍で選手が去りすぎたせいなのか、それとも監督が手腕を持ち合わせていないのかの答え合わせはできたと思います。明確なプランを持った監督(コーチを含めたチーム)であれば、3か月間でプロフェッショナルとしてピッチ上に落とし込んできますからね。

 

今更たらればを語っても仕方ありません。確実に残留を決め、内省すべき事項をシーズンオフにたっぷり振り返ったついでにぽえむに耽ればよいでしょう。

 

 

しかしながら、あと一つ勝てばよい名古屋に次節目の前に立ちはだかるのは、ここ数年ある程度お得意様としてきたかつての磐田さんではなく、名古屋同様今シーズン中にカリスマ全力路線と決別した手ごわいクラブさんです。

 

偉大なカリスマ性を有した監督が時と場合によっては必要不可欠で、クラブとして頼らざるを得ないフェーズもあるのでしょう。

しかし、その代償は大きいです。人間的魅力にあふれカリスマ性があり、チーム内の雰囲気が良好で話せば素晴らしい人格者であったとしても、ピッチ上で選手の頑張りが無駄に終わり、成績は芳しくなく、続く試合で改善の兆しが見られず、「あのチームはこうしときゃ勝ち星くれるしヌルい」と他クラブさんに思われてしまうのであれば、やはり早いうちに袂を分かつしかありません。クラブの目標が「まったりやる」ならむしろ適任でしょうが、そのようなプロクラブは私の知る限りではございません。

主体的に攻めることを継続してできるチームを作り上げるのであれば、最後尾からボールを前進させるロジカルなビルドアップは必要でしょうし、奪われたボールをどう取り戻すかまでも一括りです。

そういったロジカルな先人たちの歴史の蓄積を礎としたうえで、名古屋らしさなどを追い求めるのであればそれはクラブ独自の判断となるでしょう。きちんと歴史に学び、実行したうえでらしさを追求するのはむしろ妥当に思えます。

結果として一見同じに見えるサッカーがピッチ上に出力されたとしても、全員が確信をもって意思疎通したものと、個人の閃きでたまたまそうなったのとでは天と地との差があります。一試合の最高の数分だけを切り取っても決してわかりませんが、シーズンを通せば明らかになります。だからこそ継続性が大切なわけですね。

 

(どこまで我慢ができるかはともかく)そんな継続性に向けてひとまず舵を切った両チームですが、磐田さんが劇的な勝利で勢いに乗る一方、名古屋は文字通り満身創痍です。それでも自分たちで残留を決められる状況ですから、何とか判定に頼らず自力で勝ち取り、ここ数年の蟠りを払拭していただきたいものです。

数年前まではまだ漫然としたシーズンを過ごしてもなんとかなりましたが、今やあっと言う間に降格の憂き目に晒されます。今シーズンは同じように漫然とした判断をなさったクラブさんが幸運にもいくつかありましたが、来季も続くとは思わないほうが良いでしょうね。

                                 了

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豊スタの入場者数が3万人いかなかったことで心配するふりをしていらっしゃる方々がそろそろ現れ始めたようです。予想より早い登場でしたね。

一昔前から比較すれば本当に贅沢な不満を言える境地に至ったなと痛感します。営業を始めとした多くの方の尽力があって、新規の方のご入場回数を0回から1回にする段階は難しさを考慮してもかなり順調にクリアできたと感じます。

同時に、極端に言えばとにかく販促をかければよかっただけの営業から、1回を2回、2回を3回にするためのフェーズへと移行していきます。財布から出る金銭も併せて増加するでしょうし、定着というミッションはまた別の難しさを伴うでしょう。当然、新規の方が増えるということはスタジアムの雰囲気も穏やかになりやすいでしょう。自分の庭の如くいきなり大声を出せる方々のほうが少ないですし、「来たからには郷に従え」というような、観戦スタイルを選ぶような方針をクラブは取っていないはずです。

つまり、「新規と古参の折衷・すり合わせ」「新規の定着」「古参の優遇」「利益の獲得」といった、一見矛盾するが両立しなければならない課題に名古屋も勿論ぶち当たります。他クラブさんも間違いなく苦悩していらっしゃることでしょう。

いかにして満員のスタジアムを継続するかというのはいずれ向き合わなければならない問題ですし、クラブは時間をかけてでもいずれ解決してくださるとは信じております。

しかしながら、今シーズンの背景を含め、まぁ現状を揶揄するうえでオイシイ話題なのは確かでしょうね。

 

今後もベストとワーストを比較して批判されることでしょう。溜飲を下げる以外何の意味もない比較ですが、それで十分です。それが代償のうちの一つです。

そこについてはフィッカデンティ監督が悪いというより、いかにして風間氏から引き継ぐかを想定し、準備しきれなかった首脳陣の瑕疵でしょうね。貫くと言いつつ、貫くための手段・実行のためのカードは貧弱だったという批判はされてしかるべきでしょう。

 

いい監督を招聘することで上向くことはありますが、そこに一貫性がなければ、ただ監督ガチャに当たっただけにすぎません。そこに継続性や一貫性は一切なく、目指すスタイルの蓄積などあり得ません。継続性や一貫性という言葉が真の目標のための言葉でなく、単なるダシであればまた意味合いは変わりますがね。

 

 

長く忘れていた感覚

待ちわびた勝利です。

残留に向けて大きな勝ち点3です。一試合早く残留を決めれば、一試合早く来季へ向けて動き始められます。結果が最も重要な時期に、結果が出たことが何よりです。

 

 

 

とはいえ、たった一試合で急にフィッカデンティ監督が神になるはずもありません。

重要な一試合ですが、一試合は一試合です。

 

名古屋にとって物理的にケアが難しい、神戸さんの左右のCBからのビルドアップの質が試合の行方を分けることになりました。名古屋がそのエリアを捨てざるを得なかったのか、意図的に捨てたのかまではわかりかねますが、とにかく捨てたエリアを積極的にボール支配の休息場として利用されなかったことで一工程ずつずれが起こり、脅威となる選手たちが数珠つなぎに名古屋ゴールから遠ざかっていったことが大きかったです。フェルマーレン選手が不在だったのは正直ツキがありました。さすがに現役ベルギー代表不在の穴を埋めるのは難しいですよね。

とはいえ、ジョー選手一人の激烈でもないプレッシングを前に、山口選手やイニエスタ選手までが最後尾まで落ちてしまうというのは、正直神戸さんの自滅もあったのではないでしょうか。名古屋攻撃陣の個の力を勘案しても、リスクを負って早いうちにDFを一人削ってサンペール選手を投入されるほうが個人的には嫌でしたね。

加えて、最初のチャンスで先制点を確実に獲得できたのもかなり大きいでしょう。場面そのものを創出した時点で勝負ありの2点目とは異なり、得点できなくても仕方のないチャンスではありました。長谷川選手が諦めずに空中で折り返したのが分岐点でした。あれをゴールキックだったと断言できる人類はいないことでしょう。真横から見てもわからないかもしれません。

90分間タスクをきちんと徹底することに派手さや煌びやかさはありませんが、手堅く隙は少なく、相手にとって厄介なチームではあったと思います。

 

しかしながら、依然就任後1勝のみであることは事実です。選手が迷子になったかのような謎のセキュリティホールはピッチ上から徐々に消えてはいますが、ジョー選手が相手に競り勝つこと前提でボールを前進させているのは気がかりな点です。

ジョー選手の調子が良く、正当に判定して頂ければこの手法は効果的だと思いますが、正直クリーンとは言えない相手守備の前に、ファールを取ってもらえないこともあり得ます。現在取り組んでいる守備時のセットされた布陣整備とともに、いずれボールが足元にある際も同様のロジカルなボール保持を拝見したいところですね。

 

今後つまらないという声も当然出るでしょうが、個人の主観で生じてもおかしくない感想ではあります。ただ、攻守一体を実現するのであれば遅かれ早かれ一度は通らなくてはならない道です。やりたいことだけやって理想に至れるのであれば他クラブさんも皆そうしているでしょうが、実際そうなってはいません。(今シーズン散々学びましたね)

 勿論魅力的な攻撃サッカーをピッチ上に表現しながら守備まで整備できる鬼才もいらっしゃるかもしれませんが、そう都合よく就任していただけるとは考えにくいです。

 

勝てば名将・負ければ戦犯とばかりに一喜一憂を繰り返す風見鶏のような批評を繰り返す楽しみ方もありますが、それこそ結果に依存してしまいます。34試合あれば、相手が自滅することもありますし、相手が退場することもありますし、判定の妙で敗北することもあります。継続性を判断するのであれば、一試合最高の試合をしたかどうかより、34試合やって、約3,060分間のうち、どれだけ自分たちの思惑通りにゲームをコントロール出来ていたのかのほうがはるかに重要です。

最高の試合があるに越したことはありませんが、継続性を掲げるのであれば、瞬間的な煌めきというのは寧ろ対極にあるものです。

 「いかにして目標に近づくためのアプローチを継続するか?」が重要です。いくら陸でクロールのフォームを完璧にしても海で泳げるようにはなりませんし、練習でロングパスを使わなければ、本番で使えるロングパスは出ません。

 

では、フィッカデンティ監督で何を継続しているのかという話ですが、正直わかりません。そもそも、どんなタスクを果たす仕事人として招聘しているのかがわかりかねます。監督に課されたタスクとしては残留なのか、攻守一体の実現なのか、攻守一体実現のための基礎工事なのか、そんな意図はなくとりあえずJリーグで実績あるフリーの監督だからなのかもわかりません。

たとえ残留できたとしても、今季を含めたここ数年の意思決定とそれに伴うアプローチを振り返ったうえで前進しなければ、また同じ過ちを繰り返すことでしょう。今年は過ちを一緒に冒す他クラブさんもいくつかいらっしゃいましたが、果たして来年はどうでしょうか。

 

 

そうはいっても、3か月遠ざかっていた勝利の味です。

長く忘れていた、次の試合ではもっとできることが増えているかもしれないという期待・希望を胸に、中断期間を迎えられることを今は喜んだほうが良いのかもしれません。結果増えない可能性も当然ありますが、その時は正当に批判されることでしょう。

 

 

 

 

堪える敗北

2引き分けというのは、チームの状態を結果から類推するにはかなり難しい結果です。

 

次に勝てば1勝2分けとなり、「負けない」チームという印象になることでしょう。

引き分けたり負けたりすれば、「勝てない」チームという印象になることでしょう。

 

中断期間を挟んだのちの残留を争う仙台さんとの6ポイントマッチであり、いかにして結果を残すかが重要な試合でした。

ただ、結果は芳しくないものでした。

 

仙台さんから点を獲るには、シマオ・マテ選手とスウォヴィク選手をいかに左右に揺さぶってゴール付近から引きずり出すかが重要になります。持ち前の技術とやらで完遂できればそれが一番なのですが、残念ながら引いた状態の相手を能動的に崩す手法は元々チームにありませんでしたし、なにもない状態から2週間の付け焼刃では仕込み切るのは難しいです。

 

 

そうなると点を獲るには、自陣でボールを保持しながら相手を吊りだして意図的に相手が崩れた状態を創出する大分さんのようなやり方か、比較的時間・空間を得られるサイドから高精度のボールを入れ、セットプレーを含め高身長プレイヤーが何かを起こすかつての名古屋スタイルかどちらかになります。(欲を言えば前者を仕込んでほしかったですが…時間が足りませんね)

現状名古屋の置かれた状況と、フィッカデンティ監督自身の特性を踏まえて後者を選択なさったわけですが、結果的にはJ1屈指の仙台さんの2選手を無効化できるレベルの高精度なボールはほぼ入れられませんでした。

 

主観で言うのであれば、一番質を発揮したい箇所がむしろボトルネックとなったのが今日の敗因だった気はします。『どこで能動的に質を発揮し、相手ゴールに迫るか』は明確であったものの、肝心の質が伴いませんでした。滑走路を整えたのに、肝心の飛行機が飛べなかったような感覚を覚えます。監督の志向と現有選手のミスマッチは新監督就任時にも危惧されていた問題であり、この試合ではまさにその危惧が的中してしまったということでしょう。

もはや今シーズン中解決することはありませんから、監督に対する評価軸は、はっきり言って「残留するか・しないか」でしかないでしょう。勿論勝率・支配率・得点率などを出そうと思えば出せるでしょうが、比較対象として妥当性があるのはせいぜいボスコ監督期くらいですね。それくらいシーズン途中の就任というのは特殊で難しいです。

通期の継続性のない監督が短期間では連勝するというケースもありますし、その逆もあり得ます。キャンプ期間から同じ時間を取り、数クラブ指揮したうえで、漸く妥当な比較ができるのではないでしょうか。そこまでしたとしても、一定以上の説得力のある監督の資質の説明はなお難しいでしょうがね。だからこそ世界中で謎の監督人事・内部昇格は起こるわけです。

 

 

どうしてもポジティブになるのが難しい結果ではありましたが、降格については相対的に今年だけは何とかなる気はします。来年同じことを繰り返せば間違いなく降格するでしょうね。残された時間は多くはありません。「時間はかかる」と言って5年座す猶予は最初からありませんでしたから、今なおあるはずはありません。

 

しかし、それは自分自身諦める理由にはなりません。

今シーズンに関しても、当然最後まで諦める理由はありませんし、諦める方もいらっしゃるはずがありません。監督が変わった途端に諦める「クラブが好きなファミリー」などいるはずもありませんからね。

 

ただ、今を戦うこととは別に、今シーズンの総括並びにこの3シーズンの総括は必須になるでしょう。フロントの選択とそのためのミッションをこなすプロフェッショナルの抜擢・失敗した場合のリスクヘッジなど、振り返るべき要素はかなりあります。特に、「時間がかかる」という錦の御旗を掲げ、果たしてこの3年間で何を積み上げてきたのかというのは、個人的にも気になる話ですし、ここを適切に言語化・内省せずに強くなることはないと思います。

勝ちたいのか、魅力的なサッカーをしたいのか、観客を増やしたいのか、どこから手をつけるのかが少し曖昧になってしまっています。選手・スタッフをはじめとした多くの関係する方々がずっと戦ってくださっているのは本当に嬉しい話ですが、戦う対象・目的は本当に貫かれているのでしょうか?

 

 

何とも悔しい敗北でしたが、あと5節しかありません。

 今を戦うのみですね。そして、戦い終わったのち、美談に流されて振り返りを再び怠ることがないよう祈りたいものです。