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2024/04/19 台湾有事は日本の有事

「厳重に抗議する」といくら日本政府が抗議表明しても、北朝鮮はおかまいなく日本海にミサイルを撃ち込んできます。尖閣諸島近辺通過を日常化している中国は、南シナ海は自分の海と主張し、台湾への侵攻を隠そうともせず準備を進めています。「ウクライナの戦争に核兵器を使うことも辞さない」と言うロシアは、日本の北方領土に80年近く居座ったまま、極東の軍備も増強しています。「台湾有事は日本の危機」と言い続けてきた安部晋三首相は何者かに暗殺されました。このような時期に日本の国会では「誰がいくらキックバックもらった」とか、「日本の戦闘機を他国に売ることは憲法違反」とか、ノー天気なことばかりに時間を費やしています。「いまそこにある日本の危機」に対して、文芸春秋2024年4月号では、アメリカ、日本、台湾、中国それぞれの視点からこの問題を比較分析しているので、要約して紹介します。【注1】

1.アメリカの視点(前国務長官:マイク・ポンペオ)

(1)アメリカは中国を共産主義から民主国家へ変貌させようと関与・援助してきたが、中国はアメリカの技術を盗み、軍拡と独裁体制の強化を進めた。この関与政策は完全に失敗した。
(2)習近平と会談したが「台湾?中国の内政問題だ。関税?中国は認めない!」と一方的に自分の主張を押し付け、笑顔は見せずゾっとするような死んだ目付きだった。邪悪なプーチンですら、時には滑稽で陽気になるのに。
(3)従って世界を支配しようとしている中国と一線を画して、中国を敵対勢力として対抗するようにしたトランプ政権は正しい。

2.日本の視点(全陸上自衛隊市江部方面総監:本松敬史)

(1)日本の現在の法体制(憲法、安全保障関連法、自衛隊法)は有事には様々な制限があり、緊急事態認識とそれに伴う武力行使はスピーディに行えない。
(2)一方で米軍との共同作戦、或いは単なる後方支援だけでも中国は日本を「敵対国」とみなし、在留邦人を人質にし、日本にサイバー攻撃をかけてから沖縄、尖閣列島占領を既成事実化し、日本在住の中国人達が水源地を抑えるだろう。
(3)台湾有事とは対米支援した途端に日本は中国の交戦国になり、それを避けようとすれば必然的に日米同盟が破綻してしまう、このジレンマこそが「台湾有事」の本質だ。

3.台湾の視点(李喜名:元台湾軍参謀長)

(1)台湾国民は平和的解決を望んでいるが、習近平・中国共産党は台湾統一をスローガンに権力維持を正当化しようとしているので、習任期終了の2027年前に武力侵攻は避けられない。
(2)中国の防衛費は2300億ドルで台湾の169億ドルの13倍、軍隊も火力もとても敵わないので台湾に勝ち目はない。
(3)台湾は敵を拒止(=抵抗し食い止める)し、米軍・日本の助けを待つしかないが、ならば従来型の軍艦、戦闘機ではなくドローン、ロケットランチャーなど機動性を持つ兵器でゲリラ戦を長引かせる「非対称作戦」しかない。

4.中国の視点(劉明福:中国国防大学教授)

(1)国家の統一は何よりも尊く、分裂には断固反対するという一番良い例はアメリカの南北戦争(1861〜1865)だ。南北合わせて62万人の死者を出してもリンカーン大統領は南北分裂を阻止し、国家の統一を守った。中国は日清戦争で日本に奪われた国家領土台湾を取り戻す権利があり、台湾独立を叫ぶ分裂反乱分子には断固反対する。(台湾制圧の正当化)
(2)台湾を始め香港、マカオ等中国領土を西欧諸国に奪われたのは、陸地民族だった中国が海上で戦えなかったからで、これから中国は自国を守るため当然ながら海洋軍事闘争力を強化する。そして黄海、東シナ海、南シナ海を守り、さらに国家の利益を追求するため太平洋、インド洋、大西洋まで海洋発展せねばならぬ。(一帯一路の正当化)
(3)台湾を出来る限り被害少なく本土復帰させるには、香港・マカオで成功した人民解放軍軍による実質駐軍支配がヒントになる。(台湾親中国勢力の中国駐軍要請による実質支配)【注2】

【注1】文芸春秋2024年4月号 【注2】『中国「軍事強国」への夢』(劉明福著 文春新書)


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