"科学は戦争を根絶できない。科学が戦争になり、戦争が科学になってしまったからである。二つが切っても切り離せないのは、どこまでも求めようとするものが両者で同じだからだ。科学と戦争は、いま以上の知識、いま以上の支配、いま以上の権力をひたすら追求するのである。"
- 21世紀の戦争テクノロジー 科学が変える未来の戦争エヴァレット・カール・ドルマン/河出書房新社
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もっと緊急、重要なことを言うと、医療、福祉関係のことです。そういうニーズに対応するものとしたら、介護ロボットということになりますね。その介護ロボットの取り柄はむしろ感情がないからこそ、介護される方も気をつかわずにすむということです。今日、福祉とか医療の面では、ことに付添さんに対する患者さんの気苦労、経済的な苦労がたいへん重要な事になっており、医者も患者さんも困り果てているということがありますので、介護ロボットにその一部を負担してもらいたいという気持ちになるのは、もっともです。

(中略)

いまの介護ロボットは、どの程度のことをやってくれるかとうと、お風呂に入れることをやってくれます。お年寄りをお風呂に入れるため、抱え上げて持っていくときに、介護者にたいてい腰痛症が起こるので、みんな非常にいやがります。このために施設が運営困難になるので、まずはこの機械ができています。

そのうちに、下の世話をする機会も出てくると思います。しかしこの機械の場合、失禁してから下の世話をするというのでは下の下であって、失禁しないようにする仕組みにすればいいわけです。たとえば、ときどきお年寄りにアラームしてあげればいい。そのときのアラームの仕方だって、ベルでアラームするというのは、人間的尊厳を傷つけますから、もう少しましな方法があればいいんです。最近は、時計やカメラだってそういうことができるのですから、ある程度の予算さえ投入できるはずです。

また、私がいま一番必要と感じているのは、自閉症治療のためのものです。

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- 『情緒ロボットの世界』(大橋力、小田晋、日高敏隆、村上陽一郎/講談社、1985)
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鉄腕アトムは、マンガのキャラクターですが、現実には存在しません。しかし、実際のところ、実在するマテリアルもかなわないほどの効用をこれまで人間に発揮してきました。(中略)つまりこれは、マンガによる情報ながら、一つの擬人的装置系としてりっぱに機能を発揮しているわけです。

このように考えてみますと、情緒ロボットという装置系が人間に及ぼす効果は、内部のメカニズムによってではなく、そこからアウトプットされる情報で決まるということがわかります。

(中略)複雑な動力や制御装置の働きと同等の高度な効果が、そうしたものなしでも実現する場合があります。

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- 『情緒ロボットの世界』(大橋力、小田晋、日高敏隆、村上陽一郎/講談社、1985) (via kazumichimoriyama)

ロボット

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人工知能は、何万回という計り知れない推論を重ねて、一つの結論を出すが、それが有意義なものであるかどうかは、そのままでは外部のものにはまったく分からない。

ところがロボットの知能は、行為として表現される。どんなに立派な結論を導き出しても、物を取ったり、歩けたりしなければ、失敗なのである。私はこのロボットの明快さが大変気にいっている。

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- 『独創は独走なり』(加藤一郎/講談社、1987)

AI ロボット 人工知能

"「もしも研究を始めたころに戻って自分自身と話せるなら、こう言いたいですね」と彼は言う。「データを注意深く見てみなさい。それはノイズではなく、実在するものだ。実際に存在する構造から跳ね返ったものなのだ。」"
- 『地底 地球深部探求の歴史』(デイビッド・ホワイトハウス/築地書館)

地底 地震 科学

"問題点は巷で言われるような学術界の閉鎖性ではない。マスコミや政治家が現場を知らないボスとしか対話をしないこと、そのようなボスたちが若手の将来を握っていることが問題なのである。"
- 『科学の困ったウラ事情』(有田正規/岩波科学ライブラリー)
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私たちは常に、小説の登場人物の像を脳裏に思い返し、再考し、修正して、さかのぼって再確認し、新しい情報を得るたび更新するのだ。

(中略)

小説が進むにつれて登場人物が成長していく時、その人物の内的変化とともに、その「外見」(どのような容姿か)は、あなたの中で変化するだろうか?

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- 『本を読むときに何が起きているのか ことばとビジュアルの間、目と頭の間』(ピーター・メンデルサンド/フィルムアート社)

小説 表象 文学 読書

"日本の人類学者にとって、沖縄は聖地のような場所である。人類学者なら誰しも、一度は古い化石人骨の研究をしてみたいと思うものだが、土壌が弱酸性の北海道〜九州は化石の保存に向かず、前述の断片的な浜北人を除いてそうした化石がない。ところが琉球列島はその例外だ。奄美大島以南の島々ではサンゴ礁を起源とする石灰岩が発達しており、それのアルカリ分で化石骨が保存されるのである。"
- 『日本人はどこから来たのか?』(海部陽介/文藝春秋)
"創造性と常識は相互補完的である。創造性は新しい行動の創出を可能にしてくれるが、こうして生み出される行動の結果を予測するには日常世界への常識的理解が必要だ。一方で、(あくまでここで言う意味での)常識のない創造性は、暗闇の中でもがくことにほかならない。他方では、創造性のない常識は融通が利かない。しかし、両方を発揮できる知性は強力である。不慣れな課題に直面すると、このような知性は、筋肉またはモーターを動かす前に、その創造性を用いていくつもの可能な行動パターンを検討し、それぞれの行動の結果への常識的理解力で可能な結果を予測するのだ。"
- 『シンギュラリティ 人工知能から超知能へ』(マレー・シャナハン/NTT出版)

AI 人工知能 シンギュラリティ

"コンピュータの機能を支えるのは論理体系で成り立った緻密な体系である一方で、実際私たちがやっている心の動きは、このように離散時間を入れて推論をしてみるということです。論理には時間がない、しかし推論をするときには、そこに当然ながら時間が入ってくる。そして逆に、いろんな矛盾した命題が、時間を入れることによって矛盾のない推論形式のもとで解釈できるようになっていく。このことは私たちの心のありようを示しているように思われてなりません。時間のない論理は本来の心の働きからは遠く、むしろ論理に時間を入れた推論こそが心の働きに即していることがわかる。"
- 『心はすべて数学である』(津田一郎/文藝春秋)

コンピュータ 時間 意識 数学


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