これまでのキーボードの話をしよう(前編)
キーボードにはちゃんと規格があって、形もキーの配列もある程度決まってる。だからこそ新しいキーボードを買っても人にパソコンを借りても支障なく操作できる。
それなのに今その規格からかけ離れた形状で、規格からかけ離れた配列を私は使用している。どうしてそんなことにというのをざっくり時系列で語ろう。具体的に現状どんなキーボードで使い心地がどうなのかの詳しい話も近日中にまた記事を書けたら書く。
1. 分割キーボードの始まり
まず去年こんなキーボードを買った。最初はちょっとした好奇心だったけど、すぐにとても姿勢が楽になるということに気付いた。よく考えたらこれは当然で、ヒトの腕は元々前足だったのだから。腕は身体に対して垂直に平行に前へ突き出たポーズが標準位置なんです。ゾンビやキョンシー(つまり死後硬直)のポーズと同じ、あるいは宇宙ステーションで寝るときのポーズと同じ。私はここで初めて今までの一体型のキーボードがつらい姿勢だったという事実に気付いた。
これ以来分割キーボードから離れられなくなってしまった。
2. キー配列カスタムの始まり
キー配列も初めは変える気なんてなかった。ただ、キーボードが分割されると真ん中あたりのキーも必ず右か左のどちらかで打たなきゃいけなくなる。正直これに慣れるのが辛かったのでどうせ慣れが必要なら配列から変えようとなったんですな。
最初試したのは Dvorak。これはすぐ合わないと分かった。母音が一箇所にまとまってくれているのは良いが、日本語入力で頻出の文字特に K が母音と同じ左側にあるのが苦痛で打ちにくい。大抵の Dvorak ユーザーはここでローマ字入力の設定をいじって右手で押しやすい C あたりでか行を打ち始めるらしいけど、あんまりそれはしたくなかった。ZXCV のよく使うショートカットキーブラザーズはやっぱり左下にいて欲しかった。でも母音が揃ってるのは良い。
というわけでこんなオリジナル配列が出てきました。
結局 Z が引っ越ししてしまっているけど、その問題は後で解決するのでひとまず置いといて。とにかくキー配列も Dvorak ですらない独自のものになり、さらにここから沼はローマ字の設定へと及んでいく……。
3. 効率的なローマ字入力を求めて
さっきの配列、母音が偏ると日本語入力で困る場面もある。例えば「つい」とか -ui のような連続母音を持つ単語が日本語にはよくある。先の配列ではこの並びは左人差し指が反復横跳びしないといけなくてつらい。そこで考えた。そもそも日本語で頻出のパターンは一発で打てる方が楽なんじゃない? 速記でも仮名の頻出パターンを略記法で書くわけでそれを真似ればいい。
てなわけで母音の下段を押すと「ん」で終わる音に、上段を押すと二重母音 あい・いい・うい・えい・おう が入力されるような設定に落ち着いた。例えば「最高得点」を普通に打つなら "saikoutokutenn" (14) となるだろうが "s:k,tokutc" (10) と 4 キーも節約される上、常に左右交互に打鍵というメリットもある。この「左右交互打鍵」は重要で「右手がキーを打つ間に左手が準備」と言ったふうに引っかかりなくスムーズにキーを打てるようになって気持ちがいい。あと「そんな」みたいに「ん」のあとにナ行が来るような組み合わせも n 連打しなくていいのが嬉しい。
4. さらなるキー配列の改善
この時点でもう十分標準の道を外れてるんだけど、まだ満足しなかった。ここまでキーを最適化していくとホームポジションから手を離したくないという欲求が出てくる。これもやってみるまで気付かなかったんだけど、普段キー入力の時案外手が動いて、それが打ち間違いになったり、手をホームポジションに戻すのに時間がかかったりしてる。もうね、マウスとか頭抱える時とか以外ずっとホームポジションに置いときたいわけですよ。手だってお家に帰りたい。
そうすると問題になってくるのがカーソルキーや数字入力の場面。ここでもやっぱり手はお家にいて欲しいのよ。実際 vim なんかじゃカーソルキー無くてもカーソル動かせる仕組みがあるじゃないですか。ああすればいい。そうキーボードのモードが切り替わるようになればいい。
CapsLock とかかなキー辺りの使ってないキーをキーボードのモード切替に当てはめていったんですよ。とても快適になりました。んで、この辺に来るとキーのカスタマイズはソフト上だけでは限界も出てきて、実際セキュリティ的にキーの書き換えがソフトでは不可能な場面も出てくる。それで買ったのがこちら。
キーボードの機能がグッと広がる何でも出来る。キー入力自体を書き換えてるので、AHK みたいなソフト使うより安定してるし、どの端末でもそのまま使える。普通のキーボードはマッピングの書き換えなんて出来ないし、しかも「組み合わせた時だけこんな機能」みたいな高等なことは中々難しい。それがこいつなら出来る。ようやくこれで私は満足……しなかった。
5. 異形化するキーボード
ここまで好き勝手して不満があるというのは贅沢な話とは理解している。ただ、やっぱり足りなかった。記事を書く時間や文字数も足りなかった。長くなりすぎた。
後編へ続く
一年の終わりで絶望しないコツは一年の目標なんて立てないことである
「もう一年が終わってしまう」なんて言いますけどね。こちとら「もう一日が終わってしまう」という絶望と日々向き合ってるんですよ。高々一年が過ぎる程度のことで騒いでる場合じゃない。今日はこうしてブログを書いてアウトプットをしている。とても偉い。今はこれで精一杯。
大体「一年」って時間の区切りなんて恣意的なものにすぎないじゃないですか。「また冬になった」なら分かりますが、「一年」というのは暦の問題で、暦は人の作ったもの。人の作ったもので人が悩むなんて馬鹿らしいじゃないですか。それに比べたら「もう一日が終わってしまう」の方がプリミティブな深刻さがあるわけです。夜になったら眠くなるので、人の身体には1日の周期と太陽の周回が刻まれてるんです。そういう自然で直感的な区切りに比べたら一年の区分けなんてくだらない。実際古代ローマのカレンダーは10月分しかなくて、農作業の関係ない冬二ヶ月間は暦が無かったそうです。合理的ですね。
ヨタ話*1はこれくらいにして近況報告をしましょう。
1. 生きて仕事してる
大事なことです。まぁ仕事ちゃんとやれてるかと言うと微妙ですがなんとか義理は果たせてると思いたい。
集中出来ず中々進まなかったり、過集中で頭空転して無駄に消耗したり、そんなこんなで MP 切らして動けなくなったり。
色々上手くいかないことも多いですが、まだクビになったり退職届書いたりしてないので大丈夫です。
2. Quest 3 買った
いやすごいですね。画面きれいだ。前に話してた VR 作業環境というのが実用性強まって来てます。前まではちょっと文字大きくしたり太めのフォントにとか言ってたのが、普通に自然に文字が読めるようになった。
Twitter でバズってたパススルーも機能も面白かったですよ。家事とかやる時に動画流しながらというのがやりやすい。ただ、いくらやりやすいと言っても色味の違いだとか解像度の限界だとかはあります。「今までのに比べたらすごい」という話で、この用途で人にお勧めできるかと言うと微妙です。私が料理する時は本体が汚れるのが気になるのと、微妙な色が分からなくなるので外します。
そんな MR 的用途より普段の VR のついでとして便利です。例えば VR 中携帯に通知来た時にヘッドセットを外さずに画面の文字を読んで文字打って返すこともできます。24 時間着けっぱなしで生活とは言わないまでも、トイレとか電話とか今までならヘッドセット外してた場面で着けたまんま活動できるメリットは大きい。
ハンドジェスチャも体験として良い。被ってコントローラー持たなくても操作できる。まぁ操作性が快適かと言われると微妙だし、使えるアプリも限られるし、結局コントローラーは要るんですが、それはそれとして被るだけで機能するというのは VR にとって重い課題の「被るのが面倒」の垣根を1つ壊したような気がします。
これが 7 万なのは良い買い物でした。
3. キーボード買った
去年くらいの記事でもキーボード買ってたんですが、現状に不満があり新たに買いました。これは今日届いたばかりで未開封なのでまだ写真もないしレビューもできないのでリンクだけ貼っときます。
所謂分割キーボードです。今ひとつありがたみを理解してくれない人が多いんですが胸を開いたままキー入力できることの快適さは素晴らしいです。まぁ入力に癖があるので新しい打ち方に慣れないといけないという側面はあるかもしれません。私も今使ってるキーボードで Y キーを左手で押してたのに右側に分類されてしばらく混乱しました。最終的にキー配列自体を自分好みに大改造して事なきを得ました。以前の記事ではまだ慣れないとか書きましたが、今ではむしろこれじゃないとつらいです。
それで何故新しいのを買ったか。前のキーボードは普通のキーボードを左右に真っ二つにしたような代物だったんですが、これの何が不満だったかと言うと「キーが多すぎる」というとこ。
私もそうでしたが、多くの人はこの不便さに気付いてないと思います。ちょっと数字や記号を入力する時に指だけじゃなく手自体がキーボードの上を移動する必要があるんです。そうするとホームポジションがずれる。またホームポジションに戻ってくる時に微妙にずれてキー押し間違えたりするんですよ。手を動かさずに全ての操作を行うにはキーの数が減って欲しい。ただ、キーが減ると困るのが、「数とか記号とかファンクションキーとかどうすんの?」という話。
そこでこちらのキーボード、なんと親指の位置にキーが4つずつ計8つもございます。今までのキーボードは親指とかいう最も力持ちで仕事のできそうな指に大してクソデカスペースキー1つしか仕事を与えてこなかった。これを活用すればキーの少なさは補えるし、ホームポジションを維持できるというメリットが入力の煩雑さのデメリットを補ってあまりあると信じてます。
4. toki pona の機運
VRChat やってたら「"kembo" さんってもしかしてあのトキポナ解説の和訳してた人ですか?」って聞かれました。2回も。私社交性高くないので知らない人と話す頻度高くないんですがそれで2回だからすごい。あの記事は古いのでまた新しい講座をちゃんと書く機運が高まってます。
書きたいことはまだありますが、この PC 0:05 には強制シャットダウンされるので今日はここまでです。おやすみなさい。
*1:非常に大きな話のこと
kembo Ver.3.2.0 リリースのお知らせ
いつもご利用ありがとうございます。本日 2022/08/30 をもちまして kembo の Ver.3.2.0 をリリースしましたのでお知らせ致します。
続きを読む分割キーボードを導入してついでに Dvorak デビューした話
分割キーボードは良いぞ
キーとボードを買った pic.twitter.com/3CK7J4czYf
— kembo Ver.3.1.8 (@kembo_net) 2022年5月6日
以前良い椅子を買ったんですが、良い椅子に良い姿勢で座っていると気になってくるのがキーボードの位置取り。キーを打つために両の手が内側を向くことでどうしても背中が丸まってしまっていたんですよね。
そのためによりよい入力手段として作られたのが分割キーボードというわけ。むねを開いたよい姿勢のままキー入力ができるすぐれものです。
ただ、実際使ってみると案外自分がホームポジション守れてないことに気がつくんですよね。割りと左右のさかい目あたりのキーで左右の分担が曖昧だったりするんです。これはちょっと慣れが必要だなと思ったところで Dvorak の話になります。
Dvorak も多分良いぞ
よし貼れた 記号部分は JIS 式にするか US 式にするかで少し悩んでるので保留 pic.twitter.com/uFeRyt8aHj
— kembo Ver.3.1.8 (@kembo_net) 2022年5月22日
Dvorak というのは知ってる人は知ってるとおもうんですが、QWERTY ではないキー配列です。よく使う母音が中段に集められてる等、より効率的でホームポジションからなるべく指を離さずに入力できるよう工夫されたキー配列です。
せっかく新しいキーボードに慣れが必要なら、慣れついでにとキー配列も切り替えてみました。これでより効率的なキー入力……といきたいところですが、何しろタイピング経験値が実質0にリセットされるので中々つらいものがあります。一応一週間でもそれなりにキーの位置を覚えてきてキーを見なくても打てるくらいにはなってきてるんですが、まだまだタイプ速度は遅く、ミスも非常に多いというのが実情です。
本当は日本語入力の設定とか、よりホームポジションにこだわるためのショートカットキーの話とかもしたかったんですが、長文まだまだつらいので今日はここまで。続きは多分また来週とかになる。
my new chair...
ネットの凄さ
皆さんネットって活用してます? 私は恥ずかしながらネットってそんなに必要性感じてなくてあんまり使ってなかったんですよね。
今日たまたま妹に進められて、ちょっと妹のネットを借りて使ってみたらめちゃくちゃ便利だったんですよ。洗濯物干す時に一々これは何って分類する必要無いんですよね。そういうわけでめちゃくちゃおすすめです。洗濯ネット。
これがやりたかっただけです。以上。おやすみ。