木材の含水率は、木材の寸法の変化、強度、菌害や虫害の発生しやすさなどに多大な影響がある。木材を建物に使用する際は、使用する部位に合わせた乾燥度の木材を選択することが必要だ。

日本の木造住宅内の木材の平衡含水率はおおよそ10?14% 。これに近い含水率まで乾燥してから部材として使用するのが理想的ではあるが、実際には無理がある。

乾燥材の供給割合は、数年前に比べて増加しつつあるものの、その絶対量はまだ少ないのが現状だ。特にスギ、ヒノキなどの国産針葉樹においては柱サイズ以上のものになると、高価な役物が中心で、最も需要量の多い並材などは、総使用量に比べて供給量は極めて少ない。

乾燥や製材における技術的な問題、乾燥にかかるコストの負担に加え、「未乾燥材でも十分需要がある」という見方などが生産者側にあることも、大きな要因になっている。そのため、人工乾燥施設への投資をためらうこととなり、並材乾燥材の供給が軌道に乗らない、という傾向がある。

住宅業界側としては、プレカットの普及、住宅の高気密化、各種部材の工場製品化などへの対応が求められている。また、未乾燥材を用いたために発生する壁紙のしわや建具の不具合などへのクレームを解消するため、精度の安定しない未乾燥材は避けて乾燥材を選択する、という流れになってきている。

乾燥材の供給と需要の状況にまだ相当の食い違いがあるため、ムクの乾燥材供給に見切りをつけ、集成材を主力に用いる住宅会社も増えているのが現状だ。

木材含水率の測り方には、全乾法と、電気式含水率計による方法がある。正確なのは全乾法だが、被測定材を切断しなくてはならないことや、結果の確定まで時間がかかることなどから、現場では手軽に測定できる含水率計を使うことが多い。

執筆:建築技術支援協会