没個性テーマパーク:EXTRA

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『THE FIRST SLAM DUNK』の感想

映画化は嬉しかった

 私が子どもの頃、週刊少年ジャンプでは丁度『SLAM DUNK』が連載されていて、毎週楽しみに読んでいたのですが、最終話に目を通した時「ああ、終わってしまうのかぁ」と寂しく思っていたら、最後のコマに<第1部完>の文字が。さらに記憶があやふやだが、来秋もしくは来春に連載再開とか、どこか別のページに書いていた気がするのだけど、書いてなかったっけ? 実際、しばらくは連載再開を期待していたよ。子どもだったから。

 連載終了が1996年初夏のことだから、今から26年前のこと。こうやって書いてて驚きだけど四捨五入したら約30年前になっちゃいますね。一昔前ですな。第2部は未だに始まっていないけど、それはそれで良いとして、映画化決定を知った時は単純に嬉しかったな。子どもだった自分にも「26年待ったら良いことあるよ」と教えてやりたい。

 最近は井上雄彦氏の近況を追ってなかったので、映画作っていたのだと知ると、なんだか腑に落ちた感じだった。作者の漫画をもっと読みたいのだけど、映画を作っていたのなら仕方がない。作者は一人しかいないので、やりたいことをやるべき。とは書きつつ『リアル』はたまに連載されるけど『バガボンド』は今後どうなるのか、心配だ。こうなったら連載は止まったままで良いので『バガボンド』も映画化して欲しいな。吉岡一門との死闘あたりで。ただ、滅茶苦茶に苦労しそうだけど……。

 さて本題の方に入ろうと思いますが、ネタバレありの感想となりますので未鑑賞の方はご注意ください。一旦、予告を貼っておきます。


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ワクワク感が止まらない

 今回の映画は全く事前の情報がなくて、原作のどの部分を描くのか、世間でも様々な憶測があったけど、湘北VS山王工業が選ばれたのは妥当だと感じた。原作の中で最高の試合だったし、現在の進んだ技術でアニメ化するってのは大きな意義があるなと。

 ちなみに私はTVアニメ版には特に思い入れもないので、声優変更もOKです。この件は大いにネットが荒れていたけど、そんなに荒れる必要があるのかと疑問だった。『ドラえもん』も『サザエさん』も『ちびまる子ちゃん』も声優変わったけど、物語性には影響ないし、本当に演技として「超絶、下手だなあ」ということがなければさして気にならない。職業声優であれば、かような問題は普通生じないから、まあいいんじゃないの? というスタンスではある。

 実際、今回の声優陣は良かったと感じています。全体的に違和感はありませんでした。

 さて、映画が始まってすぐ、タイトルが出るまでの演出良かったですね。手書きで湘北メンバーが描かれ、その後に山王工業メンバーが現れる。双方が対峙したのを目の当たりにした時の昂揚感、これ、本当にたまらない。The Birthday『LOVE ROCKETS』かっこ良かったな。絵に色が付いた後も、井上雄彦氏の絵がそのまんまアニメになって動いている感じ。これは興奮するよね、とても贅沢な経験をさせて貰っているなとワクワクが止まらなかった。

THE FIRSTの意味

 映画のタイトルの意味はなんだろうなと考えていたけど、やはり有力なのは本作の主人公として描かれている宮城リョータのポジションが1番:PG(ポイントガード)だからですかね。あとはFIRSTは<最高の>という意味合いもあるので、(本当に作りたかった)最高のSLAM DUNKという意味もあるのかなと。「最高のものを作るぞ!」という気合いも含まれたタイトルなんじゃないかなと推察しました。ということで続編(THE SECOND)はないと思いますが、それは置いといても現段階でこれまでに制作されたスポーツアニメとしては史上最上級のものとなったのでは? とにかく、試合が凄かった。実際にリアルなものを観戦しているような雰囲気、臨場感、躍動感がこれでもかと描かれていて、最初から最後まで飽きさせなかった。モーションキャプチャで実際の動きを取り込んだらしいけど、途方もなく手間が掛かりそうだね。それでいて、原作で描かれた内容が忠実に映像化されてるって凄いことだなと。妥協がなかったんだろうなということが見て取れる。うーん、ところどころで泣けたなあ。

宮城リョータについて

 宮城リョータって沖縄出身だったんだね。原作にそういう描写があったか全く覚えてません。なかったような気がするが……とりあえず、描かれてなかった宮城リョータのバックボーンが明らかになったことで、よりSLAM DUNKの奥行きが出たなと。この宮城リョータのドラマに関しても、ありきたりだとか、暗いとか、キャラクターに合わないとか色々といわれてるが、兄弟を水難事故で亡くすのがありきたりなのか? と思ったかな。今回のテーマとしては、事故で家族を失ったことから起きた葛藤やジレンマ、という側面もあったのだろうけど、どういった理由であれ、自己を形成するアイデンティティの原点が、こうした過去に起きた事件や事故だったり、それに起因する家族との接し方であったりするわけだけど、そこからどう本人(今回でいえば宮城リョータ)が自分を確立するために戦ったのかが丁寧に描かれていたので、そこまで無駄な要素だとは感じなかったな。実際、本当に好きなこと(バスケットボール)を捨てなかったからこそ宮城リョータは自分を保ててたわけだし、それで最高の仲間と出会うことが出来たのだから、ちゃんとドラマだったんじゃないかな。あと、今回スポットが当たったのは宮城リョータだったけど、やっぱり他のメンバーも魅力的だ。特に三井寿は人間味あって良いよね。あと、河田雅史が好きだ。他校にも良い奴が沢山いる。

最後に願い

 そういったわけで映画に対しては満足しているのですが、この場を借りて作者の井上雄彦氏にお願い。「何か漫画描いて欲しい」もう『バガボンド』や『SLAM DUNK』の続きを描いて欲しいとか贅沢はいわないので、何でも良いので作者が描きたい漫画を読んでみたい。描きたくなったら描いて欲しいなと。淡い期待を寄せて。26年以内にお願いします(笑)。

 あとは「『SLAM DUNK』の電子書籍出して欲しい」です。実は映画化の話が出てから若干期待してたのですが、あかんかったか……。

 私は転勤族なので、本が好きでも本を買えない生活になってしまいました。その分、電子書籍をよく買うようになりましたが、引っ越しの時に非常に助かるので、是非とも電子書籍を……無理か。ただ、こういう風に無理だろうな、ということを小さい願いとして持って生きてると、実際にそれが起きた時に「まさか、あの時にネットに書いたのが読まれたのかも!?」と少し嬉しくなるだろうから、書いときます。

 

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