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憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

『増補版 熊野・新宮の「大逆事件」前後-大石誠之助の言論とその周辺』(辻本雄一著/論創社刊)刊行のお知らせ

 2023年12月29日配信(予定)の「メルマガ金原No.3539」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

『増補版 熊野・新宮の「大逆事件」前後-大石誠之助の言論とその周辺』(辻本雄一著/論創社刊)刊行のお知らせ

 過去、私が「ブログ毎日更新」をしていた頃(2013年1月から2019年1月までの丸6年間)、憲法問題や(特に初期は)原発問題をテーマに取り上げることが圧倒的に多かったのですが、そのどちらとも言えないが、結構、何年にもわたり、何度も取り上げてきたテーマの1つが「『大逆事件』と和歌山~特に大石誠之助について」でした。

 私が過去そのテーマで書いた記事は、一番最後の新宮市名誉市民記念・企画展「大石誠之助とはどんな人?」(2018年10月2日~2019年2月24日@佐藤春夫記念館)のご案内」(2018年9月16日)の巻末に掲載したリストにリンクを貼っていますので、ご参照いただけると幸いです。

 そして、私が継続して上記テーマに関心を持ち続けた最も大きな要因となったのが、ほぼ10年前(2014年2月)に刊行された『熊野・新宮の「大逆事件」前後-大石誠之助の言論とその周辺』という本でした。
 私がこの本を知ったのは、その著者である辻本雄一先生(新宮市佐藤春夫記念館館長)を和歌山市にお招きし、2014年5月に「熊野・新宮の『大逆事件』」と題してご講演いただくこととなった際、企画の中心となっていた松浦攸吉さん(平和と憲法を守りたい市民の声)から、刊行されたばかりの上記書籍を紹介していただいたのがきっかけでした。
 その後も、上記ブログで詳しくご紹介している人と人との繋がりなどもあり、辻本先生からはご厚誼をいただいてきており、2017年には念願の佐藤春夫記念館訪問がかない、辻本先生に詳しく館内をご案内いただいたりしてきました。

 さて、その『熊野・新宮の「大逆事件」前後-大石誠之助の言論とその周辺』の待望の増補版が、来たる2024年1月10日に、初版刊行から10年ぶりに発行されることになりました。
 ところで、皆さんは「増補版」と聞いてどういうことを想像されるでしょうか。
 私は、今、初版と印刷されたばかりの増補版を見比べているのですが(ありがたいことに著者からの「謹呈本」が昨日届きました)、圧倒的にページ数が増えていることは一見しただけで明らかです。
 詳しく調べてみると、
  初版の最終頁  393頁
  増補版の最終頁  687頁
ということで、ほぼ300頁の増加となっています。
 目次で確認してみると、初版の最終章は「第Ⅳ部 第11章 熊野における「大逆事件」余聞-漱石の俳句と大石ドクトル一統、そして中上文学へ」でしたが、増補版では、以下の章が新たに付け加えられていました(版元ドットコムから引用)。

 増補版の定価「5,000円+税」を高いと思われる方もおられるでしょうが、約300頁の新稿を付け加え、おそらく旧稿部分の修正も行い、カバーも新しくして、「3,800円+税」からわずか1,200円(+税)アップにとどめたのは、この種の研究書の常識からすると、版元(論創社)の英断だと思います。
 いわば、「正編」と「続編」の2冊を合本としたような「増補版」です。

 是非1人でも多くの方に手に取っていただきたく、ご案内することと致しました。

(通販サイト)
AMAZON 
楽天ブックス 
紀伊國屋書店ウエブストア 

(増補部分)
第Ⅴ部
 第十二章 大石誠之助における「信仰」の問題
 はじめに
 1 誠之助とキリスト教・兄余平の影響
 2 「大逆事件」・獄中の誠之助・刑死とその後
 
 第十三章 大石誠之助の獄中落書きに寄せて

 第十四章 在米・岩佐作太郎の京都帝大学生宛の「公開状」
 「公開状」(抄)

 第十五章 熊野川を遡る「新思想」

 第十六章 牧師作家沖野岩三郎の『宿命』を読み解く
       ――「大逆事件」との遭遇と熊野・新宮時代
 はじめに―「有りの儘」と「萬年筆と原稿紙の生まれた話」
 1 「懸賞小説に当選して 応募について」の感想から
 2 新聞連載時改稿と作品「宿命」の問題
 3 新宮時代の初期作品から
 4 与謝野晶子来訪の問題
 5 「細部」の「事実」から読む「宿命」
 6 「沖野神話」のひとり歩き
 おわりに

 第十六章付表・牧師作家沖野岩三郎の『宿命』を読み解く(含・関連年譜)

 第十七章 与謝野寛の詩「誠之助の死」成立にみる、晶子の「大逆事件
 1 一九一五(大正四)年三月、晶子「熊野行」の意味
 2 「誠之助の死」成立の背景
 3 与謝野夫妻と沖野岩三郎の文学的出発
  【付・参考資料】

 第十八章 「大逆事件」の受刑者たち
       ――いわゆる「紀州グループ」と言われた人たちをめぐって
 はじめに
 1 「犠牲者」六名の人と為り
 2 六名のその後
 3 成石勘三郎の「獄中手記」と崎久保誓一の「名誉回復」への願い
 4 再審請求と棄却の問題
 おわりに

 第十九章 「大逆事件」と熊野の人びとの「現代」
 はじめに
 1 「大逆事件」とは―石川啄木の慧眼
 2 「大逆事件前夜」の熊野新宮
 3 犠牲者の名誉回復から大石名誉市民の実現まで

 第二十章 大石誠之助の名誉市民実現をめぐって 
 1 「咽のど喉に刺さったトゲ」
 2 反骨の榾火―大石誠之助の名誉市民推挙を支える信念
 3 大石誠之助、名誉市民実現に際して
 4 〔年表〕 大石誠之助・新宮市名誉市民実現までの道のり

 第二十一章 熊野反骨の系譜
 1 十津川からの「眼差し」―文武館と「隠岐コミューン」と新宮でのキリスト教受洗
 2 畑下(山口)熊野の自由民権運動時代
 3 自由民権運動と熊野地方
 4 印東玄得のこと―追悼碑建立の「気骨」の裏側で
 5 印東熊児が古河力作に贈った「豆本聖書」
 6 異境の地での「大逆事件」研究―仲原清のこと
 7 「発禁・熊野誌」六号への濱畑榮造氏の書き込み
 8 「煉瓦の雨」の下敷きになった大石余平の最期
 9 死刑判決を報じる、幻の「熊野日報」の号外
 10 大逆事件」を機に追放された教師たち―八十三年前の「新聞投稿」に触発されて
 11 西浦宇吉の歩み 
 12 沖野岩三郎の「紀南半島夜話」―大石誠之助と津田長四郎への追悼文
 13 崎久保誓一、名誉回復への願い
 14 坂本清馬、「大逆事件」再審請求の執念と棄却
 15 戦争の最中、玉置酉久の讃美歌に誘われて
 16 佐藤春夫の父豊太郎の「懸泉堂割譲」への反発
 17 佐藤春夫、「老父の賜物」、中国趣味と「強権」への抗いと
 18 在野の東欧文学研究・エスペランチスト栗栖継・『真実へのひとり旅』
 19 伊達李俊の悲劇
 20 管野須賀子の「針文字」展示
 21 没後20年の中上健次
 22 抵抗の画家・石垣栄太郎は熊野人
 23 反戦平和の信念を貫いた女性・北林トモ
 24 「人権を取り戻す」―果敢に闘った木村亨
 25 堺利彦の故郷、みやこ町・豊津を訪れて

 第二十二章 書評など
 1 新たな「大逆事件問題」を提起―田中伸尚著『大逆事件―死と生の群像』を読んで
 2 I am only a free thinker 黒川創著『きれいな風貌―西村伊作伝』を読む
 3 峰尾節堂のこと―田中伸尚著『囚われた若き僧峯尾節堂 未決の大逆事件と現代』を読む



増補版表紙カバー

 

速報 12/17(日)公開学習会「もし今日、原発事故が起きたらどう行動する?~自分の子どもを被ばくから守るためにできること~」(子どもたちの未来と被ばくを考える会)のご案内

 2023年11月18日配信(予定)の「メルマガ金原No.3538」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

 チェルノブイリ原発事故が起きたのが1986年4月26日、その25年後の2011年3月11日に福島第一原発事故が起きました。
 そして、わが国で原子炉メルトダウンという取り返しの付かない過酷事故が生じてから12年8か月が過ぎました。
 世界的な原発過酷事故の発生頻度が「25年に一度」と言うにはデータが少な過ぎますが、既にチェルノブイリ―フクシマ間のインターバルの半分が過ぎたと思うと、国策として原発を稼働させている国に住む以上、日頃から緊張感をもって万一の場合への備えを意識することは、誰にとっても重要なことのはずです。

 このたび、「子どもたちの未来と被ばくを考える会」では、以下の公開学習会を企画しました。講師には、長年、福島での被災者健康相談に継続的に携わるなど、被ばくと健康について造詣の深い上岩出診療所医師の山崎知行先生をお招きしています。
 入場無料、予約不要です。是非、「わがこと」「わが子のこと」という思いを共有の上、ご参加いただきたく、ご案内致します。

(チラシ記載情報を転記)
<子どもたちの未来と被ばくを考える会 公開学習会>
「もし今日、原発事故が起きたらどう行動する?」
~自分の子どもを被ばくから守るためにできること~

原発の再稼働、溜まり続ける使用済み核燃料、60年超えの原発運転を可能とする法律の成立…
地震の多い日本で、残念ながら原発事故のリスクはますます高まっています。
もしあなたの近くで原発事故が起きたら、まず何をしますか?
自分や家族を被ばくの健康被害から守るため、準備できることは何でしょうか?
被ばくによる甲状腺がんを防ぐための安定ヨウ素剤の使い方や、ヨウ素剤の代わりになる身近な食品についてもわかりやすく教えていただきます。原子力防災について一緒に考えましょう。

〇日時:2023年12月17日(日)14:00~16:00
〇場所:和歌山市地域フロンティアセンター C会議室
     (和歌山市本町2丁目1番地フォルテワジマ6階)
〇講師:山崎知行 医師 (岩出市・上岩出診療所)
 チェルノブイリ原発事故以降、何度もベラルーシウクライナの被災地を訪れる。
 東京電力福島第一原発事故後は、定期的に福島県を訪れ地域の人々の健康相談にあたる。
○入場無料・予約不要

主催:子どもたちの未来と被ばくを考える会
連絡先・事務局:TEL:073-451-5960(松浦) 
事務所:和歌山市三番丁6番地 三番丁ビル4階 金原法律事務所内

(参考 弁護士・金原徹雄のブログから/安定ヨウ素剤関連)
2013年1月6日 
三春町の4日間(安定ヨウ素剤配布・自治体の決断)前編 
2013年1月6日 
三春町の4日間(安定ヨウ素剤配布・自治体の決断)後編 
2013年8月31日 
『20年後のあなたへ-東日本大震災避難ママ体験手記集-』を読んで 
2014年4月30日 
もう一度「安定ヨウ素剤の予防服用」を考える 
2014年12月18日 
「知ること」は「行うこと」~『20年後のあなたへ~東日本大震災避難ママ体験手記集~』をあらためてお薦めします 
2016年4月1日 
浜岡原発「防波壁」完成と「避難計画」策定から石橋克彦氏の論考『原発震災 破滅を避けるために』(1997年)を思い出す 
2016年10月2日 
「松本市災害時医療救護活動マニュアル 原子力災害編」の安定ヨウ素剤についての記述を読んで欲しい

11/11(土) 志田陽子さん(武蔵野美術大学教授)が和歌山市(河北コミセン)で講演されます/入場無料・予約不要

 2023年11月4日配信(予定)の「メルマガ金原No.3537」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

11/11(土) 志田陽子さん(武蔵野美術大学教授)が和歌山市(河北コミセン)で講演されます/入場無料・予約不要

 2020年からの世界的パンデミック新型コロナウイルス感染症の蔓延による)のために中止を余儀なくされたイベントは数知れませんが、2020年、2021年と2年連続、奇しくも「4月28日」という同じ日程で開催を予定していた同一講師による講演会が、2年連続で中止に追い込まれたというのは珍しいかもしれません。
 それが、青年法律家協会和歌山支部が、例年ゴールデンウイークの前に開催している「憲法を考える夕べ」にお招きしていた志田陽子先生(武蔵野美術大学教授)の講演会でした。あまりにも惜しいということで、2021年には、志田先生にご用意いただいていた講演内容を動画に収録していただき、これを青法協和歌山支部YouTubeチャンネルで公開させていただくことができましたので、是非ご視聴いただければと思います。

2021年8月21日 
志田陽子氏オリジナル講演動画「表現の自由・精神の自由2021―文化・芸術・学術の自由と民主主義」(青年法律家協会和歌山支部提供)のご紹介 

 その志田先生が、来る11月11日(土)、和歌山市河北コミュニティセンターで開催される「第20回 憲法フェスタ」(主催:守ろう9条 紀の川 市民の会)で記念講演されることになりました。
 事情により、事前収録済動画の上映となる可能性もあるということでしたが、状況が好転し、志田先生が当日会場まで来ていただけることが確実となったということで、ご案内することと致しました。
 演題は、「平和への自由と表現の自由-私たちの知る権利と語る権利は?」というものです。
 志田先生は、「守ろう9条 紀の川 市民の会」で記念講演をしていただく15人目の憲法学者となりますが、「表現の自由」という切り口から「平和への自由」を考えるという視点からのご講演は初めてではないかと思います。
 会員でなくてもどなたでもご参加いただけます。入場無料・予約不要です。会場の河北コミセンは、南海電鉄紀ノ川駅下車徒歩3分、広い無料駐車場もあります。お誘い合わせの上、是非ご参加ください。

 以下にチラシ記載情報を転載します。

 【表面】
第20回憲法フェスタ
9条をまんなかに ~えがこう平和への道~
開催日:2023年11月11日(土)
会 場:河北コミュニティセンター
和歌山市市小路192-3 <アクセスは裏面>)
入場無料 予約不要
会員でなくてもどなたでもご参加いただけます!

メイン会場(2F多目的ホール)【開始】13:30【終了】16:40頃
第1部 「うたごえオールスターズ」の演奏
    いつも平和の歌を演奏してくれる「うたごえオールスターズ」が平和を願う歌を披露します。
第2部 講演:「平和への自由と表現の自由  ―私たちの知る権利と語る権利は?」
講師:志田陽子氏(武蔵野美術大学教授 憲法、芸術関連法)
2022年閣議決定された「安保3文書」は日本の安全保障を「転換」するものです。今まで「敵基地攻撃能力」と言われていたものを「反撃能力」と言い換え、「反撃」に集団的自衛権も含まれ、米国のためにやってはいけない「先制攻撃」を行うことになります。しかし、「法の支配」も「国民主権」もこれに「待った」をかけることができる考え方です。私たちは主権者として、知る権利、意見を表明する権利、集会する権利があります。「平和への自由」は、私たちは、軍事増強の方向に向かう船に強制的に乗せられて囚われの状態に置かれている、という現状認識を前提に、そこから「自由」にならないと平和構築に向かうことができない、といったコンセプトをこめています。
※事情によっては映像による講演となる場合があります

DVD上映会 (2F活動室小)10:3012:00
 『荒野に希望の灯をともす ~医師・中村哲 現地活動35年の軌跡~』(1時間28分)
中村医師が命を賭して遺した物は何なのか、その視線の先に目指していたものは何なのか。中村哲が遺した文章と1000時間におよぶ記録映像をもとに、現地活動の実践と思索をひも解く。

展示の部屋(2F活動室大1)10:0013:20
会員や地域のみなさんの趣味の作品、絵画・書・写真・絵手紙・リフォーム・手芸・陶芸などの展示と交流の場です。

リサイクルひろば(2F活動室大2)10:1513:00
今年も「リサイクルひろば」を実施します。着なくなった服や雑貨などを、袋持参でもらいにきてください(申し込み不要)。譲ってくださる方も大募集。

主催:守ろう9条 紀の川 市民の会  お問合せ先:090-3165-1889 原

【裏面】
出演者ご紹介
☆「うたごえオールスターズ」
結成25周年を迎える「うたごえオールスターズ」。オリジナル曲を創作する県内唯一のうたごえグループです。浜波薫さん作詞、佐古雅哉さん作曲の「平和の歌」などを披露していただきます。
☆志田 陽子(しだ・ようこ)さん
【プロフィール】SHIDA, Yoko
 武蔵野美術大学教授(憲法、芸術関連法)。博士(法学・論文博士早稲田大学)。日本女性法律家協会 憲法問題研究会座長。文化から憲法を考えることをライフワークに、「映画で学ぶ憲法」「歌でつなぐ憲法の話」などの講演活動を行う。主著『映画で学ぶ憲法2』『「表現の自由」の明日へ』(2018年)、『あたらしい表現活動と法』(2018年)のほか、著書・共著多数。

<河北コミュニティセンターへのアクセス>
 所在:和歌山市市小路192-3 TEL:073-480-3610
    (無料駐車場あり)
紀ノ川駅下車徒歩3分(改札を出て左折し120m、左折し踏切を越え180m、右側)
和歌山バス 六十谷線(川永団地⇔南海和歌山市駅)梶取東バス停下車すぐ
 

「第20回憲法フェスタ」へのご参加のお願い
   「守ろう9条 紀の川 市民の会」代表  原 通範
 私たちの「憲法フェスタ」も回を重ねて20回目を迎えることとなりました。『9条をまんなかに~えがこう平和への道~』を合言葉に、広く平和の問題を考えるとともに、交流と親睦を深める恒例の行事として毎年秋に実施してきました。
 今年の「憲法フェスタ」は、例年のように「展示の部屋」「リサイクルひろば」を実施するとともに、午前中に活動室(小)で、2021年に引き続き『荒野に希望の灯をともす~医師・中村哲 現地活動35年の軌跡~』の「DVD上映会」を開催します。
 午後のメイン会場の第1部は、「うたごえオールスターズ」の演奏、第2部は、武蔵野美術大学教授・志田陽子さんに「平和への自由と表現の自由 ―私たちの知る権利と語る権利は?」と題して講演をしていただきます。
 岸田首相は、「敵基地攻撃能力」の保有を認め、改憲について「目の前の任期において改正すべく努力するとの思いを(以前から)申し上げている」と述べ、来年9月までの党総裁任期中の実現を目指す考えを改めて強調しています。

 今しなければならないことは、憲法改正を目指すことではありません。国民の生命、暮らし、平和を守る国・日本へと進んでいくことです。そのために、私たちは日本国憲法を守り、今どのようにすればいいのか、ご一緒に考えたいと思います。多数のみなさまのご参加をお待ちいたしております。

お願い
●11月11日当日、発熱がある方、体調不良の方は参加をご遠慮ください。
●ご来場の際は必ず「来場者カード」にお名前・住所などをご記入ください。

(参考)
 これまで「守ろう9条 紀の川 市民の会」の総会または憲法フェスタで講演してくださった憲法研究者の皆様をご紹介します(清水雅彦先生と飯島滋明先生には2度講演していただきました)。なお、肩書きは講演当時のものです。

  2012年 憲法フェスタ 吉田栄司関西大学教授
  2014年 総会 森英樹名古屋大学名誉教授 ※2020年4月 ご逝去
  2014年 憲法フェスタ 清水雅彦日本体育大学教授
  2015年 憲法フェスタ 高作正博関西大学教授
  2016年 総会 石埼 学龍谷大学教授
  2017年 総会 植松健一立命館大学教授
  2017年 憲法フェスタ 本 秀紀名古屋大学大学院教授
  2018年 総会 三宅裕一郎三重短期大学教授 ※現・日本福祉大学教授
  2018年 憲法フェスタ 飯島滋明名古屋学院大学教授
  2019年 総会 長峯信彦愛知大学教授
  2019年 憲法フェスタ 長岡徹関西学院大学教授
  2020年 憲法フェスタ 君島東彦立命館大学教授
  2021年 総会 上脇博之神戸学院大学教授(オンライン講演)
  2021年 憲法フェスタ 多田一路立命館大学教授
  2022年 総会 清水雅彦日本体育大学教授
  2023年 総会  飯島滋明名古屋学院大学教授
  2023年 憲法フェスタ 志田陽子武蔵野美術大学教授

 

追悼・藤井幹雄先生~弁護士・金原徹雄のブログで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama ”2014~2019

 2023年5月3日配信(予定)の「メルマガ金原No.3534」を転載します。

 Facebookにも同内容で掲載しています。

 https://www.facebook.com/tetsuo.kimbara/posts/pfbid02sy8jXPbCjJGZtKvqsW654azPzUkZJ8bER97enzjSFanBZEWGcs8GdtcFfQjCKAz3l

 

追悼・藤井幹雄先生~弁護士・金原徹雄のブログで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama ”2014~2019

 

 今日はゴールデンウィークの後半初日、憲法記念日ですが、コロナ禍が襲来するまでの2014年から2019年までの憲法記念日は、和歌山城西の丸広場で“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”を開催し、多くの方にご来場いただき、音楽や模擬店を楽しみながら、憲法に思いを馳せる1日を過ごしたものでした。

 そして、実行委員会を代表して開会の挨拶を述べるのは、いつも藤井幹雄弁護士(9条ネットわかやま世話人代表、憲法9条を守る和歌山弁護士の会代表世話人)の役割でした。

 今のところ最後の開催となった“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”で開会挨拶をする藤井先生の写真を掲載しておきます。

 

 本年4月16日、4年ぶりに開催された全日本トライアスロン宮古島大会に勇躍出場した藤井先生が、スイム中に意識を失い不慮の死を遂げてから、まだ2週間余りしか経っていないことが信じられない思いです。

 昭和62年の春、和歌山に配属された第41期司法修習生6人の仲間として彼と初めて出会ってから、思えば36年の月日が流れていました。様々な業績を遺した藤井先生ですが、私としては、特に憲法9条を守る活動に傾けた彼の情熱に焦点を絞った追悼文を書かねばと考えていますが、今はまだその用意ができていません。

 そこで、彼が、9条ネットわかやまや憲法9条を守る和歌山弁護士の会の仲間と協力して企画を実現し、大きな成果を挙げた“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”を振り返り、藤井先生の在りし日の姿を偲ぶことが、憲法記念日の今日、最も相応しい追悼の方法だと思い、本稿を書いています。

 

 2014年に第1回を開催した“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”については、当時私が「ブログ毎日更新」を続けていたこともあり、かなり詳しくブログに記録を残してきました。以下にリンクを貼っておきますが、とりわけ2015年(第2回)から2019年(第6回)までは、Facebookと連動させた「写真レポートで振り返る」シリーズをブログに記録として留めてきました。

 

(弁護士・金原徹雄のブログから/“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”関連)

2014年4月11日

5月3日は“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”に集いましょう(和歌山城西の丸広場) 

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/37499675.html

2014年5月3日

憲法記念日に届いた“西谷文和さん”と“はちようび”からのメッセージ(和歌山城西の丸広場にて)

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/37909239.html

2015年4月4日

5月3日は各地の憲法集会に!~和歌山市は“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2015”

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/43486787.html

2015年5月3日

右翼の街宣車を圧倒した高校生たちの演奏の力~“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama2015”から

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/43885267.html

2015年5月12日

写真レポートで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2015”

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/44006032.html

2016年3月21日

第一報“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2016”(5/3@和歌山城西の丸広場)今年もやります!

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/47148211.html

2016年5月5日

写真レポートで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2016”

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/47495854.html

2017年4月30日

今年も憲法記念日には和歌山城西の丸広場へ!~“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2017”へのお誘い

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/49958084.html

2017年5月4日

写真レポートで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2017”

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/49980617.html

2017年3月15日

速報“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2018”(5/3@和歌山城西の丸広場)~今年

は玉田玉秀斎師匠による「憲法講談」上演!   

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/51692377.html

2018年5月5日

写真レポートで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2018”

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/51942127.html

2019年4月29日

“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”(5/3@和歌山城西の丸広場)にご参加を!~10連休ですが今年もやります

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/53304665.html

2019年5月4日

写真レポートで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/53322424.html

2020年4月5日

“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2020”中止のお知らせと“2014~2019”回顧

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/54493859.html

 

 以下に、2019年の動画(小谷英治さん撮影/3本分割/撮影許可がおりた出演者の分だけですが)をご紹介します。

 藤井幹雄先生の開会挨拶は、1本目の動画の冒頭~3分の部分に収録されています。

 

Happy Birthday 憲法 in Wakayama 2019 1(22分)

 https://www.youtube.com/watch?v=wzxQyF2MsYA&t=68s

 冒頭~ 開会・藤井幹雄実行委員会代表挨拶

 3分~ 和歌山朝鮮初中級学校・中級部

Happy Birthday 憲法 in Wakayama 2019 2(48分)

 https://www.youtube.com/watch?v=MZ7FQt49l4A

 冒頭~ Halau Uilani(ハワイアンフラ)

 30分~ 紀道(平和の祈りのダンス)

 42分~ わかやま平和賞贈賞式

Happy Birthday 憲法 in Wakayama 2019 3(1時間12分)

 https://www.youtube.com/watch?v=UGzzsKPw3LM

 3分~ 紀北農芸高校和太鼓部

 34分~ Crowfield

 

 またいつの日か、藤井先生の志を引き継ぎ、“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”を憲法記念日に開催できる日がくることを願いながら本稿を閉じたいと思います。

 

5/20 今年の「We Love憲法~五月の風に~」は半田滋さん「敵基地攻撃と日米一体化、防衛費倍増は国民負担に」@メディア・アート・ホール

 202344日配信(予定)の「メルマガ金原No.3532」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

5/20 今年の「We Love憲法~五月の風に~」は半田滋さん「敵基地攻撃と日米一体化、防衛費倍増は国民負担に」@メディア・アート・ホール

 毎年5月中旬の土曜日の午後に開催されてきた憲法九条を守るわかやま県民の会主催による恒例行事「We Love憲法~五月の風に~」。今年は5月20日(土)午後1時半から、和歌山市高松のメディア・アート・ホールで開催されます。
 講師は、昨年4月に青年法律家協会和歌山支部の招きで講演された防衛ジャーナリストの半田滋さんが、2年続けて来和されます。
 私の知る限り、
   2014年4月 青法協和歌山支部
   2016年7月 平和のための戦争展わかやま
   2022年4月 青法協和歌山支部
に続き、和歌山では4回目の講演ではないかと思います。
 昨年の12月にいわゆる防衛3文書が改定され、さらに防衛費の大幅増額が現実のものとなってきた最新の情勢を踏まえ、半田さんから再び明快な説明をうかがえる貴重な機会です。
 本日(4/4)、私の事務所にチラシをお届けいただきましたので、ご紹介することと致しました。是非多くの方にご参加いただければと思います。

 ただし、これまで使用されることの多かった「和歌山県勤労福祉会館プラザホープ」ではなく、「和歌山県立図書館 メディア・アート・ホール」が会場ということで、チラシにも注意書きがあるとおり、駐車場の台数が少ないことが懸念材料であり、バスでの来館が推奨されています。
 私は、県立図書館に隣接する和歌山大学松下会館を間借りしている放送大学(和歌山学習センター)の学生として、コロナ禍蔓延前には、毎年2回、単位認定試験を受けるために和歌山学習センターに行く必要があったのですが、その際も、近隣に利用できる駐車場がほとんどなく、やむなく自分の事務所に車を駐め、バスで松下会館まで行っていました。
 というような事情もあり、今年もオンライン参加が可能です。申し込み締切は5月15日とのこと。こちらも是非ご活用ください。

 なお、会場参加については、定員とか事前申込についてはチラシに何も記載されていませんので、「行ってみたら満員で入れなかった」ということがあっても(多分ないとは思いますが)、それは自己責任(あまり好きな言葉ではありませんが)ということでしょう。 また、会場参加、オンライン参加とも、チラシに記載はありませんが、「入場無料」のはずです(会場ではカンパ袋が回るでしょうが)。

 それでは、以下にチラシの文字情報を転記します。まことに勝手ながら、主催者に無断で私が何カ所か校正したり補充したりしていますが、何卒ご容赦ください。

(チラシ記載文字情報を引用開始)
、平和を守りきるために
講演 防衛ジャーナリスト半田滋氏が戦争の危険性をリアルに語る
演題/敵基地攻撃と日米一体化、防衛費倍増は国民負担に

2023 We Love 憲法 ~五月の風に~

2023年5月20日(土)13:00開場 13:30~16:00
メディア・アート・ホール 和歌山県立図書館2F
(〒641-0051 和歌山市西高松一丁目7番38号)

●県立図書館の駐車場は、台数に限りがあります。それ以外に周辺にほとんど駐車場がありません。お越しの際は、バス等でのご参加をお願いします。

●オンライン視聴できます
 希望者は必ず事前申し込みを5月15日までにお願いします。
 オンライン参加希望の方は、下記メールに、氏名、連絡先がわかるようお申し込みください。後日、IDとパスコードをお送りします。
 E-mail w-chihyo@naxnet.or.jp (県地評)

講師プロフィール
半田 滋(はんだ・しげる
 1955年(昭和30年)生まれ。防衛ジャーナリスト。下野新聞社を経て、91年中日新聞社入社。元東京新聞論説兼編集委員獨協大学非常勤講師。法政大学兼任講師。92年より防衛庁取材を担当。2007年、東京新聞中日新聞連載の「新防人考」で第13回平和・協同ジャーナリスト基金賞(大賞)を受賞。
 著書に、「戦争と平和の船、ナッチャン」(講談社)、「変貌する日本の安全保障」(弓立社)、「安保法制下で進む!先制攻撃できる自衛隊-新防衛大綱・中期防がもたらすもの」(あけび書房)、「検証 自衛隊南スーダンPKO-融解するシビリアン・コントロール」(岩波書店)、「零戦パイロットからの遺言-原田要が空から見た戦争」(講談社)、「日本は戦争をするのか-集団的自衛権自衛隊」(岩波新書)、「僕たちの国の自衛隊に21の質問」(講談社)、「『戦地』派遣 変わる自衛隊」(岩波新書)=09年度日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞受賞、「自衛隊VS北朝鮮」(新潮新書)などがある。

憲法九条を守るわかやま県民の会
事務局/和歌山市湊通丁南1丁目1-3 名城ビル2F県地評内 Tel 073-436-3520
引用終わり)

(弁護士・金原徹雄のブログから/半田滋さんの和歌山での講演関連)
2014年4月26日 
半田滋さんの講演から学んだこと(付・半田滋さんの論説『首相の奇妙な状況認識』を読む) 
2016年7月30日 
戦地からの“最愛の妻”への手紙~「2016平和のための戦争展わかやま」から 
2022年4月4日 
4/28青法協和歌山支部 憲法を考える夕べ 「敵基地攻撃と日米一体化-踏み越える専守防衛-」 講師:半田 滋氏(防衛ジャーナリスト)/於プラザホープ/定員120名(要予約)

 

拡散希望!【3/12「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2023」開催(要事前申込)】

 202324日配信(予定)の「メルマガ金原No.3530」を転載します。

拡散希望!【3/12「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2023」開催(要事前申込)】

 このたび、「原発をゼロにする和歌山県民の会」から、「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2023」のチラシをお届けいただきましたのでご紹介します。
 会場は和歌山市南コミセンですが、オンライン(ZOOM)併用ですので(人数制限なし)、遠隔地の方も含め、是非多くの方にご参加いただければと思います(事前の参加申込みが必要です)。

 今年の開催概要は以下のとおりです。

日時 2023年3月12日(日)13:30開場/14:00開会
場所 和歌山市南コミュニティセンター多目的ホール(旧「和歌山地域地場産業振興センター」)
    オンライン(zoom)併用
講師 松久保 肇 氏(認定特定非営利活動法人 原子力資料情報室 事務局長)
演題 これでいいのか、政府の方針転換!! 危険な原発を今こそゼロへ!!
主催 原発をゼロにする和歌山県民の会(事務局 和歌山県高等学校教職員組合内)
    TEL:073-432-6355  FAX:073-432-6357
参加申込方法
[会場参加の場合]
 氏名・所属団体・連絡先(電話番号)を明記の上(できればチラシ裏面に記入して)、3月6日までに和歌山県高等学校教職員組合宛FAX(073-432-6357)に送付してください。
[オンライン参加の場合]
 2月20日(月)~3月6日(金)に下記メールアドレス宛に、氏名・所属団体(又は住所)・連絡先の電話番号を明記して申し込んでください。
 ※申込先メールアドレス ymasaji@hotmail.com 

 このイベントは、以前は実行委員会形式で開催されていましたが、その実態も形骸化し(私も当初は企画会議に参加していましたが、ご無沙汰するようになって久しいですから)、県民の会の単独開催となるのも「宜(むべ)なるかな」というところです(いつからそうなったんだろう?)。

 私が企画に関わっていた頃の記録がFacebookとブログに留められています(ご参考までに)。
Facebookで振り返る「フクシマを忘れない!原発ゼロへ和歌山アクション2016」 
Facebookで振り返る「フクシマを忘れない!原発ゼロへ和歌山アクション2017」

 

オリジナルで聴く「ぼっち・ざ・ろっく!」最終回エンディングテーマ~ASIAN KUNG-FU GENERATION『転がる岩、君に朝が降る』~

 2022年12月28日配信(予定)の「メルマガ金原No.3529」を転載します。

オリジナルで聴く「ぼっち・ざ・ろっく!」最終回エンディングテーマ~ASIAN KUNG-FU GENERATION転がる岩、君に朝が降る』~

 先日(12月24日の深夜24時~)ついに最終回(第12話)が放送された、女子高生バンド(結束バンド)の日常を描くTVアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」については、Facebookなどでしつこく取り上げてきましたが、その続報です。

 そもそも、結束バンドの4人のメンバーの姓(後藤、伊地知、山田、喜多)や担当楽器がアジカンASIAN KUNG-FU GENERATION)由来ということからも分かるとおり、原作マンガの作者(はまじあき さん)自身がおそらくアジカンの熱烈なファンであることは間違いないでしょうし、TVアニメのサブタイトルが、第8話を除き、全てアジカンの楽曲タイトルそのままか若干アレンジしたものとなっており、原作者も密接に関わったアニメ制作の上でも、アジカンに対するリスペクトは継承されていました。

 そして最終回、それまでエンディングテーマは、結束バンドのメンバー(を演じた声優さん)が交代で歌っていたこともあり(喜多⇒山田⇒伊地知)、残るは主人公のぼっちちゃんこと後藤ひとりのみとなっていたため、ファンの間では、「最終回のエンディングは、ぼっちちゃん(の声優の青山吉能さん)が歌うのでは」という観測が有力であり、実際その期待は裏切られませんでした。
 ただし、それまで番組中で披露される曲は(オープニング、エンディングを含め)全て(結束バンドメンバー自作という設定の)オリジナル曲ばかりでしたので、最後の最後にアジカンのカバー曲(しかも、第1話「転がるぼっち」と最終話「君に朝が降る」というタイトルの由来となった)『転がる岩、君に朝が降る』(作詞作曲:後藤正文)になるとは!と、ぼざろ(ぼっち・ざ・ろっく)ファン、アジカンファンの双方を驚かせ、喜ばせることになりました。

 正直、私はアジカンの楽曲そのものについての知識はほぼないに等しく、ミュージックビデオを何曲かYouTubeで視聴しただけなのですが、メンバーの後藤正文さんについては、かなり前からその存在を意識していました。そのきっかけとなった、2013年3月11日に開催された「つながろうフクシマ!さようなら原発講演会」での坂本龍一さんと後藤さんとの対談を、ブログで簡単に紹介していました。

2013年4月1日
坂本龍一さんと後藤正文さんの対談に耳を傾けよう 

 残念ながら、当時の映像はもう視聴できなくなっていますが、ブログでは、後藤さんが発行していた個人新聞「THE FUTURE TIMES」についても紹介していました。この新聞は、どうやら2018年に発行された第9号が今のところ最終号となっているようですが、後藤さん自身が同紙に連載していた「未来に話そう」がネットでも読めますので、一部引用してみます。

(引用開始)
 「これだ」という楽曲ができる度に、「たった一曲で世界が変わるんじゃないか」と僕は思う。
 そうした誇大妄想はもろくも崩れて、世間的なヒット作としての評価は受けられずに、いつもがっかりしている。
 けれども、その曲が「ある世界」と「ない世界」のどちらがマシなのかと問われれば、間違いなく「ある世界」を僕は選ぶ。世界を変えられなくても、僕自身は間違いなく、その曲の誕生以前と以後では、何から何まで違う。
 これは音楽だけに限ったことではないと僕は思う。「社会をより良く変えたい」と願っていても、僕らにできることは少ない。
 たとえば、明日から、誰しもが貧困や差別について考えなくても済むような発明はできない。
 ただ、差別や貧困のない世界を僕らが求めている社会と、求めていない社会とでは、大きな違いがある。どちらがマシかは言うまでもない。
(引用終わり)

 ここまで引用したのは、実は『転がる岩、君に朝が降る』の冒頭の歌詞が以下のようなものであったことにもよります。

(引用開始)
出来れば僕は世界を塗り変えたい
戦争をなくすような大逸れたことじゃない
だけどちょっと それもあるよな
(引用終わり)

 『転がる岩、君に朝が降る』(2008年2月6日リリースの11枚目のシングル)が「ぼっち・ざ・ろっく」最終話のエンディングテーマとなることについて、後藤正文さんが寄せたコメントが公開されています。

(引用開始)
何も持たずに生まれたはずなのに、
間違うことや失うことを恐れて臆病になってゆく私たち。
それでもこの世界を丸裸のまま転がってゆくのだという決意を歌った
転がる岩、君に朝が降る」という楽曲を、大切に扱ってくれて嬉しいです。
後藤正文ASIAN KUNG-FU GENERATION
(引用終わり)

 女子高生バンドを主人公としたアニメ最終話のエンディングで、メンバー(を演じた声優さん)がこの曲を歌うのですよ。私は「素晴らしい!」と感動しました。
  昨日届いた、この曲を最終14曲目に収録したアルバム「結束バンド」を昨日から車の中でずっと聴いています。
 「結束バンド」によるカバーは公式YouTubeチャンネルでは公開されていませんので、アジカン公式チャンネルで公開されているASIAN KUNG-FU GENERATIONによるオリジナルヴァージョンを是非皆さんも聴いてください。

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『転がる岩、君に朝が降る


www.youtube.com


同歌詞
 

(余談)
 TVアニメ「ぼっち・ざ・ろっく」を製作したアニマックスがソニーミュージックの子会社であり、ASIAN KUNG-FU GENERATIONソニー系レーベルのキューンミュージック所属であること、さらに、アジカン自身、アニメのテーマ曲を何度か手がけていることなどが、「ぼざろ」とアジカンによる幸福なコラボの背景にあることを付け加えておきます。

(参考ブログ/弁護士・金原徹雄のブログ2)
2022年12月25日
TVアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」が終わってしまった~原作者(はまじあき氏)のお礼の言葉に胸がつまる~年末年始に「一気見」しませんか

「憲法に緊急事態条項って!?」市民集会(和歌山弁護士会)開催のお知らせ(2022年10月28日/和歌山城ホール4階大会議室)

 2022827日配信(予定)の「メルマガ金原No.3524」を転載します。

憲法に緊急事態条項って!?」市民集会(和歌山弁護士会)開催のお知らせ(20221028日/和歌山城ホール4階大会議室)

 2か月後に開催される和歌山弁護士会の行事「憲法に緊急事態条項を新設する憲法改正について考える」市民集会をご案内します。
 講師には、この分野の第一人者である永井幸寿弁護士(兵庫県弁護士会)をお招きし、日弁連が呼びかける「憲法改正問題に取り組む全国アクションプログラム」の一環として開催されるものであり、弁護士会内では憲法委員会が所管しています。

 もちろん、この内容であれば、憲法委員会が所管して当然なのですが、全国的には、憲法委員会のない単位会もあるでしょうし、もしかしたら、災害関連委員会が所管して開催するところがあるかもしれません。
 実際、後に掲載するチラシに記載されているとおり、講師としてお招きする永井先生は、日本弁護士連合会災害復興支援委員会の元委員長(現在でも委員・部会長)という経歴から分かるとおり、いわゆる「憲法族」ではなく、「災害族」なのです。

 おそらく、いわゆる「改憲派」が、大規模災害を「だし」にして緊急事態条項の必要性を声高に主張するという傾向にありましたので、そのことが、日弁連の「災害族」の中からこの問題についての論客を生みだす素地となったのではないかと思います。

 今年の5月2日、日弁連が「憲法改正による緊急事態条項の創設及び衆議院議員の任期延長に反対する会長声明」を発出した際、永井幸寿弁護士と小口幸人弁護士(沖縄弁護士会)が説明員を務める記者会見がPTから提案されたと聞いていますが(残念ながら実現しなかったようですが)、お2人とも「災害族」ですからね。
 上記会長声明及びそのベースとなった2つの日弁連意見書にリンクしておきますので、お読みいただければ幸いです(2017年2月の意見書はPDFで31頁もあるので通読するのは大変ですが)。これらが、この問題についての日弁連の基本的見解です。

2017年2月17日
日本国憲法に緊急事態条項(国家緊急権)を創設することに反対する意見書 
2017年12月22日
大規模災害に備えるために公職選挙法の改正を求める意見書 
2022年5月2日
憲法改正による緊急事態条項の創設及び衆議院議員の任期延長に反対する会長声明 

 それでは、以下にチラシの文字データを転記します。

(引用開始)
憲法改正問題に取り組む全国アクションプログラム
憲法に緊急事態条項って!?
民集会 憲法に緊急事態条項を新設する憲法改正について考える

憲法に緊急事態条項を新設することで、民主主義や国民の人権保障にどのような影響があるのでしょう?
なければ何か不都合があるのでしょうか?

2022年10月28日(金)午後6時~8時(開場30分前)
和歌山城ホール4階大会議室
●参加費無料 ●席数180 ●オンライン配信は行いません

講師/永井幸寿 弁護士(兵庫県弁護士会
【プロフィール】
■永井幸寿(ながいこうじゅ) 1955年7月生れ
■経歴□1979年(昭和54年)早稲田大学法学部卒業□1999年(平成11年)阪神・淡路まちづくり支援機構事務局長□2007年(平成19年)日本弁護士連合会災害復興支援委員会委員長■現在□関西学院大学災害復興制度研究所研究員□アンサー法律事務所所長■著書□「憲法に緊急事態条項は必要か」岩波書店□「よくわかる緊急事態条項Q&A」明石書店 ほか多数

主催/和歌山弁護士会
   〒640-8144 和歌山市四番丁5番地
   Tel073-422-4580(代)
共催/日本弁護士連合会
(引用終わり)

 チラシに記載された開催趣旨はやや簡略過ぎるので、以下に、和歌山弁護士会の会員に会長名で配布された案内文書から一部引用します。

(引用開始)
 衆議院憲法審査会で、新型コロナウイルス感染症の拡散、大規模地震津波等の大規模災害及びロシアのウクライナ侵攻のような国家有事に備えて、憲法に緊急事態条項を新設すべきであるとの意見が語られています。そして、内閣総理大臣や政府に法律と同等の効力を持つ政令制定権限や国会の決議によらない財政支出権限を憲法に新設することや衆議院議員の緊急時における任期延長規定を設ける内容の改憲案も浮上してきています。
 しかし、憲法にこのような緊急事態条項を設けることによって、国民の人権に対する過度の制約が課されることはないか、国民の代表である国会が本来行うべきことを緊急時とはいえ、行政府に委ねることは民主主義にとって問題はないか、そもそも憲法改正をしなければ感染症、大規模災害、有事への備えと対応はできないものであるか等について、知識を得て、議論を深めることが必要です。
(引用終わり)

 過去、私のブログで緊急事態条項を取り上げた投稿は相当な数にのぼりますが、そのうちのいくつかをピックアップして巻末にリンクしておきます。しかし、振り返ってみると、2016年に集中してこの問題を取り上げていたのですね。

 最後に、講師である永井幸寿先生が、2017年(平成29年)3月23日の衆議院憲法審査会において、緊急事態条項について参考人として意見陳述をされていますので、会議録と動画にリンクしておきます。

2017年3月23日 衆議院憲法審査会 会議録 
(抜粋引用開始)
○永井参考人 私は、阪神・淡路大震災で事務所が全壊して以来、二十二年間、被災者支援にかかわってきた者です。その立場でお話をいたします。
 第一に、災害を理由に緊急事態条項を憲法に設けるべきかということです。
 私は、災害を理由にした緊急事態条項を憲法に創設することには反対です。
 緊急事態条項とは、国家緊急権を憲法に創設する条項です。国家緊急権とは、戦争、内乱、大規模災害など、平時の統治機構では対処できない非常事態に、国家の存立を維持するために人権保障と権力分立を停止する制度です。
 日本国憲法は国家緊急権を置いていませんが、その趣旨は、昭和二十一年七月十五日、帝国憲法改正案委員会の議事録の中での政府の答弁で明らかにされております。国家緊急権の濫用の危険からあえて憲法には国家緊急権は設けないが、緊急事態には平常時から法律などで準備するというものです。
 では、災害関連の法規は整備されているのでしょうか。これは大変よく整備されております。
 例えば、内閣は、災害緊急事態には、国会のコントロールのもとで、四つの項目に限り罰則つきの政令制定権が認められております。また、内閣総理大臣は、関係指定行政機関の長、地方公共団体の長などに対する指示権が認められ、防衛大臣に対する自衛隊の部隊派遣要請ができ、警察庁長官を直接指揮監督して一時的に警察を統制するなど、権力が集中するシステムとなっております。
 また、人権の制限に関して見ると、都道府県知事に、医療関係者に対する従事命令、財産権の管理、使用、物資の保管命令、収用の権限、職員の立入検査などが認められ、これらを罰則つきで強制しています。さらに、市町村長に対しても、瓦れきの撤去などにつき強制権が十分認められております。
 では、被災者にとって一番重要な国のルールというのは何でしょう。これは、憲法ではなく、それよりも下位のルールである法律、通達、条例などです。
 例えば、仮設住宅に断熱材が入るのか、あるいは復興住宅に入居するには連帯保証人が必要か、これらは被災者にとって大変重要な問題ではありますが、法の運用や条例の問題であって、憲法の問題ではありません。
 災害対策の原則は何でしょう。これは、医療の専門家あるいは建築の専門家など、災害の専門家が口をそろえて言うのは、準備していないことはできないということです。
 国家緊急権は、災害が発生した後、泥縄式に権力を集中する制度です。しかし、災害後にどのような権力を強力に集中しても対処することはできません。東日本大震災で国や自治体の不手際というものが言われましたが、その多くが事前に準備していなかったことが原因です。例えば、原発事故で、原発から四・五キロの双葉病院などでは、寝たきりの高齢者が避難の前後の混乱で五十人亡くなりました。
 これは、なぜこういうことが起きたのでしょう。法律の制度では、国は防災基本計画、都道府県、市町村はこれに基づいて地域防災計画を策定する義務があり、そして、指定行政機関、自治体の長は防災教育の実施に努め、防災訓練の実施義務が認められています。
 しかし、国、自治体、事業者において、事実上、災害で原発事故は起こらないということになっていたんです。つまり、事前に、県境を越えた避難者の避難経路、あるいは渋滞のときのサブの経路、あるいは事前のドライバーや車両の確保、そして、避難した後の長期の生活の場の確保の計画、あるいはその訓練、これについての自治体の連携や住民参加がなかったことが原因です。
 法律の適正な運用による事前の準備がなかったことが原因であり、緊急事態条項を創設しても対処することはできません。
(略)
 第二に、緊急事態における国会議員の任期について申し上げます。
 衆議院議員の任期は四年、または衆議院解散のときは期間満了前、これは憲法四十五条に書かれております。参議院議員の任期は六年、これは憲法四十六条に書かれています。そこで、大規模災害が選挙のときに発生した場合のために、憲法を改正して議員の任期を延長すべきかが議論されています。特に、衆議院の解散や任期満了が問題となります。
 結論から申し上げますと、私は、憲法を改正して議員の任期を延長することに反対です。
 まず、憲法は大規模災害時の制度を二つ設けています。一つは、憲法五十四条二項の参議院の緊急集会です。衆議院が解散されたときで、国に緊急の必要があるとき、内閣は参議院の緊急集会を求めることができます。緊急集会でとられた措置は、次の国会開会の後十日以内に衆議院の同意がない場合は効力を失います。
 二つ目は、憲法十三条六号の法律による政令への罰則委任です。永田町での直下型地震が発生した場合のように、参議院の緊急集会も請求できない場合は、内閣は法律に基づいて政令で対処することになり、政令に実効性を持たせるためには罰則が必要となります。他方で、内閣の権力の濫用の危険があるので、特に法律の委任がないと政令に罰則が設けられないとする制度です。
 これを受けて、災害対策基本法の厳格な要件のもとで、緊急時に内閣は罰則つきの政令、緊急政令が制定できます。
 では、衆議院解散中に大規模災害が発生したときはどう考えるべきでしょう。
 先ほどのように、内閣は参議院の緊急集会を求めて対処できます。また、災害緊急事態においては、国会閉会中や衆議院解散中で臨時国会や緊急集会の措置を待ついとまがない場合でも、災害対策基本法による緊急政令で対処できます。
 では、衆議院の任期満了時に大規模災害が発生したときはどうすべきでしょう。
 参議院の緊急集会の規定は、文言上は、衆議院解散のときと定めています。何らかのニーズがあった場合、憲法最高法規でありますので、まず法律で対処することを考え、それができない場合は憲法の解釈で対処することを考え、それができないときに初めて憲法改正を検討すべきです。
(略)
(引用終わり)

2017年3月23日 衆議院憲法審査会 インターネット審議中継 

(弁護士・金原徹雄のブログから/緊急事態条項関連)
2016年1月26日
水島朝穂教授による自民党改憲案「緊急事態条項」批判論文(2013年)がネットで公開されました 
2016年2月3日
自民党改憲案・緊急事態条項はナチス授権法の再来か?~海渡雄一弁護士の論考を読む 
2016年2月6日
立憲デモクラシーの会・公開シンポジウム「緊急事態条項は必要か」を視聴する 
2016年4月11日
立憲デモクラシー講座第8回(4/8)「大震災と憲法―議員任期延長は必要か?(高見勝利氏)」のご紹介(付・『新憲法の解説』と緊急事態条項) 
2016年5月29日
金森徳次郎国務大臣答弁と『新憲法の解説』を読む~災害を理由とした緊急事態条項は不要! 
2016年10月6日
自民党の憲法改正草案批判~「緊急事態条項」を中心に(参院選の結果を踏まえた憲法学習会用レジュメ)
2016年11月20日
第12回「那賀9条まつり」とそこでお話しした「戦争法緊急事態条項とは」 
2017年2月25日
日本弁護士連合会「日本国憲法に緊急事態条項(国家緊急権)を創設することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む 
2018年11月18日
自民党の緊急事態条項・条文イメージ(たたき台素案)を読む~付・永井幸寿弁護士が訴える緊急事態条項の危険性

 

司法エリート・検察エリートと原発訴訟

 2022年7月23日配信(予定)の「メルマガ金原No.3523」を転載します。

司法エリート・検察エリートと原発訴訟

 ここ1か月ほどの間に、世間の耳目を集め、大きく報道された原発訴訟についての判決が2件、相次いで言い渡されました。しかも、その判決のよって立つ基本的見解が非常に対照的であったことも印象的でした。
 一方は最高裁(第二小法廷)、他方は地裁(東京地裁)の判決ですから、もとよりその影響力を同列に論じる訳にはいきませんが、いずれの判決についても、後続の裁判に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 まず、6月17日に最高裁判決がありました。

最高裁判所 第二小法廷
令和4年6月17日判決
裁判官:菅野博之(裁判長)、三浦 守、草野耕一、岡村和美(三浦裁判官が反対意見)
概要:東京電力福島第1原子力発電所の事故で避難住民らが国に損害賠償を求めた4件の集団訴訟につき、たとえ国が東電に命じて防潮堤を設置していたとしても事故を防げなかった可能性が高いなどとして、国が電気事業法(平成24年法律第47号による改正前のもの)40条に基づく規制権限を行使しなかったことを理由として国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うとはいえないとされた。

裁判所公式サイト 裁判例検索結果 
令和3年(受)第342号(原審:仙台高等裁判所) 
令和3年(受)第1205号(原審:東京高等裁判所) 

 次に、7月13日に東京地裁で以下の判決が言い渡されました。

東京地方裁判所 民事第8部
令和4年7月13日判決
裁判官:朝倉佳秀(裁判長)、丹下将克、川村久美子(下級審では個々の裁判官の意見は公表されない)
概要:東京電力福島第1原子力発電所事故を巡り、同社の株主らが旧経営陣5人に計22兆円を東電に支払うよう求めた株主代表訴訟で、被告の内、勝俣元会長ら4人が津波対策を怠ったとして、東電に対し計13兆3210億円を支払うよう命じる判決を言い渡した。
平成24年(ワ)第6274号他
 裁判所サイトの裁判例検索で見つけられなかったので、「東電株主代表訴訟」公式サイトにアップされているPDFファイルをご紹介しておきます。
判決骨子 10ページ
判決要旨 43ページ
判決全文その1 200ページ
判決全文その2 200ページ
判決全文その3(当事者目録省略) 230ページ
がPDFでアップされていましたのでご紹介します。

 まず、6月17日の最高裁第二小法廷判決についてです。判決当日、私も登録しているMLに判決骨子と判決要旨が流れてきたので一読しましたが、「えっ!それで国の責任が免除されてしまうのか」と、驚くというか、呆れるというか、何とも言えない気持ちになりましたが、4人の内、三浦守裁判官が反対意見を書いていることを知り、気を取り直して読んでみることにしました。
 上にご紹介した全54頁の判決の内、(原審:東京高裁の方では)1~11ページが3人の裁判官(菅野博之、草野耕一、岡村和美)による多数意見、11~17ページが菅野博之裁判官による補足意見、17~25ページが草野耕一裁判官による補足意見、そして25~54ページ(判決文全体の半分以上!)が三浦守裁判官による反対意見です。
 一々引用することはしませんが、三浦裁判官の反対意見は、非常に緻密に論理を積み上げていくスタイルで書かれており、とても分かりやすく(「法律家にとっては」かもしれませんが)、是非一読されることをお勧めしたいと思います。

 そして、次に私がしたことは、第二小法廷の4人の裁判官の経歴を調べてみることでした。国民審査があるということからでしょうか、最高裁ホームページには、各裁判官の経歴紹介のページがあります。

(多数意見/国の責任を否定)
菅野博之裁判官⇒東北大卒/裁判官出身
※7月3日に定年退官されたため最高裁の裁判官紹介ページからは削除されていましたので、新日本法規の裁判官情報をご紹介しておきます。
草野耕一裁判官⇒東大卒/弁護士出身
岡村和美裁判官⇒早大卒/弁護士・外資系金融機関法務部・その後検事に任官
(反対意見/国の責任を肯定)
三浦守裁判官⇒東大卒/検事出身
(引用開始)
昭和55年 東京大学法学部卒業
昭和55年 司法修習生
昭和57年 検事任官
その後,東京,宇都宮,福岡,名古屋各地検,長野地検上田支部法務省刑事局等に勤務
平成10年 法務省刑事局参事官
平成12年 法務省大臣官房参事官
平成13年 法務省刑事局刑事法制課長
平成17年 法務省大臣官房審議官
平成21年 最高検検事
平成21年 那覇地検検事正
平成22年 最高検検事
平成22年 法務省矯正局長
平成25年 最高検監察指導部長
平成26年 最高検公判部長
平成27年 札幌高検検事長
平成29年 大阪高検検事長
平成30226日 最高裁判所判事
(引用終わり)

 上記経歴から明らかなように、三浦守裁判官は検察・法務畑のエリートコースを歩んでこられた方です。
 ところで、最高裁判所裁判官の国民審査に際し、「とにかく全員に×を付ける」という人もいれば、「裁判官出身・検事出身は全員×」という人もいたりしますが、それってどうなの?ということが前から疑問でした。
 もちろん、最高裁裁判官は様々な事件に関与しますから、個々の国民にとって、何から何まで自分と同じ意見の判決ばかりなどという裁判官などいる訳がなく、その意味では「全員に×」というのもあながち理由がない訳ではありませんが、憲法が国民審査の制度をわざわざ設けた趣旨を合理的に解釈すれば、「全員に×」とか「検察出身だから×」はないだろうと思います。
 ところで、三浦裁判官は、昨年10月の総選挙の際に行われた国民審査を受けたはずなので(個々の裁判官は10年に一度審査を受ける)、次の審査までに満70歳の定年に達してしまいますから、今回の判決(少数意見)を踏まえた審査は受けられないのですね(残念)。

 さて、次は7月13日の東京地裁判決です。前述のとおり、これは原発事故の翌年(平成24年)に提訴された東電役員を被告とする株主代表訴訟です。
 以下に判決の「主文」を引用します。

1 被告勝俣、被告清水、被告武黒及び被告武藤は、東京電力に対し、連帯して、13兆3210億円及びこれに対する平成29年6月2日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 本件原告らの被告勝俣、被告清水、被告武黒及び被告武藤に対するその余の請求並びに被告小森に対する請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は(略)の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

 請求認容額が「13兆3210億円」などという判決は初めて見ましたし、おそらく日本裁判史上のレコードでしょう。
 これは株主代表訴訟だからこそ「あり得た認容額」です。というのも、通常の民事訴訟では、原告は請求額に応じた印紙を収めねばならず(たとえば、請求額1000万円なら印紙代5万円、請求額1億円なら印紙代32万円)、兆を超える請求など「あり得ない」のですが、株主代表訴訟は例外的に、請求額にかかわらず、印紙代は一律1万3000円とされているのです。

 ところで、この判決を主導したと思われる朝倉佳秀裁判長の経歴は以下のとおりです(新日本法規の裁判官情報から)。

(引用開始)
R 2.10.26 東京地裁部総括判事・東京簡裁判事
R 2.10.16 東京高裁判事・東京簡裁判事
H31. 4. 1 検事
H29. 4. 1 東京地裁部総括判事
H27.12.18 東京地裁判事
H26. 2.20 東京高裁判事
H24. 2. 3 最高裁人事局給与課長(東京地裁判事)
H23. 9.18 最高裁民事局第一課長・最高裁民事局第三課長・最高裁広報課付(東京地裁判事)
H22. 4. 1 最高裁民事局第一課長・最高裁民事局第三課長・最高裁広報課付(東京地裁判事・東京簡裁判事)H20.10. 1 最高裁民事局第二課長(東京地裁判事・東京簡裁判事)
H19. 4. 1 司法研修所教官(東京地裁判事・東京簡裁判事)
H17. 5.26 千葉地家裁判事・千葉簡裁判事
H17. 4. 1 千葉簡裁判事・千葉地家裁判事補
H13. 9.25 大阪簡裁判事・大阪地家裁判事補
H13. 9.18 東京簡裁判事・東京地裁判事補
H 9. 9. 1 検事
H 5. 4. 9 東京地裁判事補(司法修習第45期)
(引用終わり)

 原告弁護団海渡雄一弁護士がFacebookで朝倉裁判長についてこんな紹介をしていました。

(引用開始)
この判決を主導した朝倉裁判官は最高裁で民事課長の要職をつとめた後、内閣官房に出向していた超エリートです。今日の判決、言い渡しは40分くらいの要旨を読み上げたのですが、立派でした。ゆるぎない自信と確信に満ちていました。弁護士冥利に尽きるとはこのことです。
(引用終わり)

 もう一つ、私が読んだ7月14日の朝日新聞・大阪本社13版朝刊(30面)の記事を引用します。

(引用開始)
今回の判決を言い渡した朝倉佳秀裁判長(54)は1993年に判事補任官。民事裁判の経験が長く、内閣官房内閣審議官として裁判のIT化にも関わった。2020年10月に2度目の東京地裁部総括判事となり、会社関係の訴訟を担う商事部に所属する。今回の株主代表訴訟は、12年3月の提訴時から数えて4人目の裁判長として担当した。被告の本人尋問や専門家の証人尋問を行ったほか、21年10月には『現地進行協議』を実施。原発事故をめぐる関連訴訟で、裁判官として初めて福島第一原発の構内まで視察した。
(引用終わり)

 私はこの記事を読み、特に最後の「原発事故をめぐる関連訴訟で、裁判官として初めて福島第一原発の構内まで視察した」とある部分に感銘を受けました。

 三浦守裁判官にしても、朝倉佳秀裁判官にしても、私との共通点は、司法試験に合格したことくらいしかなく、検察エリート、司法エリートとしてお2人がどのような体験を積み重ねて今回の判決に至ったのか、想像することすら困難です。
 ただ、検察エリート、司法エリートにもいろんな人がいるのは当然として、法律家としての矜持に恥じない判決に接することができたのは幸いでした。

(参考記事)
東京新聞 2022年6月23日
「原発避難者訴訟 国の責任は否定されたが…最高裁判決文に異例の反対意見 三浦守裁判官が痛烈批判」

(抜粋引用開始)
福島訴訟原告団の馬奈木厳太郎(まなぎ・いずたろう)弁護士は「反対意見が判決の形で書かれているのは極めて異例のこと。これが本来あるべき最高裁判決だという思いを感じる。原告の思いに向き合い、法令の趣旨からひもとき、証拠を詳細に検討しているこの反対意見は後陣の訴訟にとって宝。第2判決として位置付けたい」と評する。
(引用終わり) 

7/22(金)講演会「赤木さん事件の真相と意義」(青法協大阪支部2022年総会記念講演)のお知らせ

Facebookから転載します。

 
【7/22(金)講演会「赤木さん事件の真相と意義」(青法協大阪支部2022年総会記念講演)のお知らせ】
 
 コロナ禍のために私たちの生活スタイルが大きな変容を強いられましたが、そのことによるプラスの側面がない訳ではありません。その1つが、ZOOMやYouTubeLiveなどを活用した「オンライン講演会」の普及でしょう。
 コロナ禍前であれば、ごく稀な例外を除き、いかに興味深い講演会やシンポジウムであっても、基本的には現地に出向いて参加するしかありませんでしたが、今やオンライン講演(併用もしくは専用)がごく普通に利用できるようになってきました。
 
 ということで、7月22日(金)午後6時から、大阪弁護士会館で開催される青年法律家協会大阪支部の総会記念講演「赤木さん事件の真相と意義」をご紹介できることになりました(ZOOM併用)。
 チラシには、「参加費無料です。若手弁護士、修習生、学生の参加も大歓迎です。」とありますが、もちろん、「一般市民」も大歓迎という趣旨です(青法協大阪支部佐々木正博事務局長から確認済み)。
 
 以下に、開催概要を転記します(佐々木事務局長の案内メールから)。
 
[青法協大阪支部 2022年総会記念講演]
「赤木さん事件の真相と意義」
森友学園への国有地売却をめぐる財務省公文書改ざん問題。改ざんを強いられ、自死された近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻・雅子さんが国と佐川元理財局長を訴えた裁判が大阪地裁で闘われています。現場では何が起こっていたのか、赤木ファイルには何が遺されていたのか、国の請求認諾の背景には何があったのか…。代理人弁護士及び赤木さんから、本事件の経過や意義、工夫点、そして、訴訟手続きの中で明らかとなった真相をお話いただきます。
 
日時:2022年7月22日(金)18:00~
参加費:無料
場所:
大阪弁護士会館11階 1110会議室
②ウェブ配信(ZOOM)
講師:
松丸正弁護士(堺法律事務所)
生越照幸弁護士(弁護士法人ライフパートナー法律事務所)
ゲスト:
赤木雅子さん(赤木さん事件原告)
 
※事前申込制とさせていただいております。
会場の人数には限りがありますので、会場の人数制限をさせていただく場合がありますがご容赦下さい。
※下記URLは申込フォームにリンクしています。
ブラウザの仕様等により、フォームが表示されない方は、チラシのQRコードからお申し込みください。
 【URL】 https://bit.ly/3a488xB
申し込みができない場合は、担当:弁護士吉留慧(06-6576-7680)もしくは、seihokyooosaka@gmail.comまでご連絡ください。
会場、web参加問わず、写真、動画撮影は禁止です。