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何かが足りない定期更新ゲーム雑記中心。 イタい? 中2病? 褒め言葉です。
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レンタルして下さる方がいた時のため、参考になればと書き記します。
箇条書きですが、何らかの役に立てばー。

【態度】
・基本的に誰に対しても丁寧に接する。
・敵対する相手に対しては容赦しない。笑顔で近づいて殴り倒すような真似も。
・根が真面目なため、突拍子も無い行動への対応や、“押し”に弱く、流されやすい。

【口調、話し方】
・言葉遣いは丁寧だが、“造り”であるため、用法が間違っていたり“エセ敬語”があったりする。
・考えながら喋るため、会話のテンポがやや伸びやすい。
・本来は「何言ってるのよ!」というような普通の女の子の口調。極度に慌てると素が出る。

【考え方】
・妖怪であるため、人の思考からはかなりかけ離れている。
・自分が未熟であると思っており、他人の言うことはすんなり信じてしまいやすい。
・考えてもどうにもならないことは考えず、前向き。


とりあえずこんなところで。
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 妖狐はけして強力な妖怪ではない。九郎は“父上”から何度も繰り返しそう聞かされ続けてきた。
 身体能力では鬼や犬神には及ばず、天狗のように多種多様な戦技も神通力もない。

 そんなものは必要ないのだと、“父上”玉藻は言った。
 妖狐にあるのは惑わす力。それさえあれば、例え箸より重い物を持てなくたって、国すら滅ぼすことができるのだ、と。



(“例外中の例外”がそんなことを言っても説得力がないんですけどね)
 久々に対峙する玉藻の力は、相も変わらず妖狐としては規格外のものだった。
 九つの尾をヤスデのように広げ、太陽のように劫火の衣を纏い、陽炎のコートに包まれて宙を舞う姿は日輪の化身のようである。
 竜のように荒れ狂う炎は、周囲と二人の“戦場”を隔絶する結界に激突し、びりびりと空気を震えさせた。
「さぁ、こいよベネット! 術なんて捨ててかかってこい!」
「誰ですかそれ……」
「ケーッ! クソ真面目なこって! ほれ、さっさと始めるぞ!」
 “父上”が不真面目すぎるんです、と心の中で独り言ち、九郎はひらりと身を翻した。彼女を中心としてふわりと渦巻いた風が、周囲の空間が幼き妖狐の支配下に置かれたことを示す。
「一式、二式、三式――四式、五式!」
 轟ッ! と九郎の周囲に五つの炎が燃え上がった。玉藻のそれとは違う、静かに漂う九郎の狐火は瞬く間に管狐の姿を型取り、ぐるりと旋回して“主”を護るように取り囲む。
 かつては三つの制御が限界だった狐火は、彼女の成長の証であった。

 お互いの非接触フェイズ<戦いの準備>が終わる。
 ――いや、まだ終わらない。
「ぶち殺す気で行くぜ?」
 実の娘に向ける物とは思えない言葉を玉藻が口にし、にやりと笑う。邪悪な微笑と、九郎の周囲がミサイルの直撃を受けたように爆散したのはほぼ同時だった。
 娘の戦闘態勢が整うまで“待つフリ”をしながら仕掛けていた、戦場に拡散させた妖力の同時起爆による範囲攻撃。言わば妖術版の粉塵爆発である。
 無駄に派手な玉藻の“劫火の衣”だが、そこには一片の無駄もない。華麗な炎舞に惑わされた者は、彼女と戦うまでもなく命を散らす。

 ――もちろん、九郎はそうではない。
 一陣の風が巻き起こり、土煙と火の粉を吹き飛ばす。その中心に立つ九郎には掠り傷一つついてはいなかった。
「さて、それじゃあやりましょうか!」
 何事もなかったかのように、九郎は微笑を返す。
 親子の“じゃれ合い”は、まだ始まったばかりであるのだから。
「は!? 戻れないですって!?」
「ああ、無理だ。僕たちは元居た世界の時間に帰れない」
 玉藻の開口一番の言葉に九郎は絶句した。
「僕の力じゃ時間の流れを操るなんて芸当はできねーしなぁ」
 それがどうしたと言わんばかりの気軽さで、玉藻は焼き鳥串を二本纏めて咥え込む。ここしばらくのところ、野鼠や生魚を食べて過ごしていたとかで、その食欲は九郎の食料貯蔵をゼロにするほどの勢いだ。
「ちょ、ちょっと! じゃあ一体どうするんですか!」
「発情した猫みたいに騒ぐなっての! お前の記憶が確かなら、ここはほんのちょっとだけ昔の世界なんだろ? なら待ってりゃそのうちどーにかなるさ。ヒャヒャ!」



 九郎は頭を抱えた。確かに玉藻の言う事は尤もなのだ。
 多少の時の流れであれば、操ることのできる知り合いがいないわけでもない。
 が、ここにいる九郎ら二人を元の世界の時間軸に戻すには、時間が流れる“過程”を無視し、『結果』だけを“今”と繋げなければならないのだ。早い話がDVDの頭出しのようなことをする必要があるのだが、無理難題もいいところである。
(だからと言って……)
 玉藻が口にした唯一にして絶対の解決策は、ただひたすら待ち続けること。
 元居た世界とのタイムラグは、年数にしておおよそ三年ほど。1000日ほどを経て、玉藻と九郎が過去の世界に飛ばされたその日に何食わぬ顔で故郷の我が家に顔を出せば、“母上”に無駄な心配をかけることもなく、タイムパラドックスの影響を考える必要もなく、全てが万事収まる……ということは九郎にも理解できる。
 気が遠くなるほどの年月を生きる妖狐、玉藻にとってそれはカップラーメンの出来上がりを待つような感覚の時間なのかもしれない。しかし三年という月日はまだ年若く、“人が生きる時間の流れ”の中に在る九郎にとっては重く、長い。

「どうしてこんな事になってしまったんでしょう……」
 ちゃぶ台を挟んで向かい合い、親子水入らずの夕食を終えた九郎は猫のようにだらける玉藻に問いかける。一応とはいえ“解決策”が分かりはしたものの、彼女にはまだ腑に落ちない点が数多く残っていた。
「それが僕にもさっぱりわからん!」
 しかし玉藻は九郎の最大の疑問をあっさりと切り捨てる。
 何らかの原因があることは間違いなさそうだが、玉藻もまた九郎と同じく、自宅の倉庫に入ったと思ったら、何故か見知らぬこの島の地上に立っていたのだという。
 普段の言動こそアレだが、その力は大妖怪と呼ぶに相応しい実力を持つ玉藻でさえ感知できなかったということは、九郎には些か信じ難い。
 原因が分からない以上、下手をするとまた同じような事が起こる可能性も残るのだ。
「うー、ん……」
 考えても仕方ないことは考えないというのが九郎のモットーだが、今回の場合はたしてそれは正しい選択なのだろうか。自問しても答えは出ない。
 何しろ聞きたいことはまだまだたくさんあるのだ。
 一つは“母上”に貰った時計の事。一つは深夜の時間震動。一つは謎の襲撃者。……山積みである。
「なーに難しい顔してんだ? 笑えよジュリア」
 考え事をしていると、ほっぺたをむにゅっと掴まれた。
「何を悩んでるのか知らんが、そういう時は身体を動かすのが一番だと思うぜ」
 九郎より遥かに年上とは到底思えない少女の顔に、獰猛な笑みが宿る。
「どうだい、久々に僕が直接ヒヨっ子のお前を鍛えてやろうか?」
 九尾の妖狐はまるで獲物を見定めたかのように、ぺろりと舌なめずりをした。
 遺跡の上層、人通りの多い森林の、人目に付かない一角での出来事。

「随分とお茶目してくれちゃったわねぇ……子狐ちゃん」
 レディボーンズはロープで縛り上げられた九郎を軽く突付いた。
 自慢のしっぽもぼさぼさに情けなく地面に転がる九郎は、軽い抵抗すらできない。
「う、うぅ……不覚です……」
 一見ただの麻縄で出来ているロープは、見た目通りの素材であれば九郎ほどのランクの妖怪を拘束するには強度が足りない。
 実際九郎も、束縛されていると気付くや否や、炎の術で焼き切り逃れようと試みたのだが――
「どう? そのロープ……私の特別製なのよ、凄いでしょう……」
 対妖魔用拘束具。近頃急速に増える人外の冒険者に対抗するため、研究者レディボーンズが作り上げたソレは、絶大な効力を以てして九郎の力を抑えつけていた。
 こんなことなら縄抜けの訓練もしておくんだった、と今更後悔しても遅すぎる。
「さて、と……悪い子にはお仕置きが必要だ……って、おねーさんは思うんだけどぉ……」
 妖しい笑みを浮かべてちらりと視線をやった先には、第14隊の兵士たちがのしいかのように伸びている。九郎の手で気絶させられた彼らが起き上がる様子は全くない。
「ざぁんねん。14隊ちゃんにご褒美でもあげようかと思ったんだけど……」
「ひッ! あ、ああああなた何考えてるんですかっ!?」
 剥ぎ取られた腰布の下、つるつるの肌をネットリとした目で見つめられ、九郎の背筋に冷たいモノが走る。
 そう。彼女は今、一糸纏わぬ姿……正確には生まれたままの姿を縛られているという状態なのであった。
 もし今、一人でも立っている兵士がいたら自分は――と思うと、青褪めずにはいられない。
「あぁら……怖がっちゃって。案外可愛いところもあるのねぇん?」
 くっと顎を持ち上げられ、紫の瞳に九郎の姿が映る。
「誰が怖がるもんですか! 戦いに負けた時点で覚悟はできています!」
「そぉ……? じゃあ、その覚悟を試しちゃおうかしら……」
 強がる九郎の唇を人差し指ですっと撫で、レディボーンズがその赤いドレスの下から取り出したのは――
「子狐ちゃんは、身体の方もまだ子供なのかしらねぇ?」
 その手にあるモノが何なのか、九郎はすぐさま理解した。
 実際に見るのは初めてだが、知識としては知っている。所謂性具の一種であるそれを、グラマラスな研究者はれろんと舐めた。
「しっぽの毛はこぉんなにふさふさなのに、こっちの方は可愛らしくて……ふふっ、滅っ茶苦茶にしてあげたくなるわぁ……」
「まさか……嘘、やめて! そんな、あ、や、や……んむぅ!」
 首の後ろに片腕を回され引き寄せられると、濃厚な香水の匂いが九郎の鼻を満たした。
 必死の悲鳴はルージュで彩られた唇に塞がれ、しっぽを激しく振ることでしか抵抗の意を示せない九郎の下半身に、ぴとりと冷たい感触が――



 よう! ナレーションの“父上”だ!
 続きが見たいなんてうつけ者は『もふもふさせろ!』って言ってくれ! 直接僕がブチのめしてやる!
 さて、じゃあお約束の言葉で御別れだぜ!
 続きはWEBで! なに? 元々WEBだって? そんなことは知らん!





「っはぁっ!?」
 がばっと九郎は跳ね起きた。はぁはぁと荒い息を整えようともせず辺りを見回すと、そこは見慣れた自分の棲家。
 全てが夢であったと理解して、九郎は再びベッドの上に倒れこんだ。
(な、なんつー夢を……)
 ベルクレア第14隊との激戦を繰り広げた夜である。
 楽勝とまではいかなくとも、九郎は縦横無尽に暴れ回り、たった一人で勝利を収めていた。夢との大きな相違点である。
(……もし不覚をとっていたとしても、あんなことになるはずないですよねー)
 と、心の中で思ってみたものの、未だに心臓がばくばく鳴っている。
 彼女にしてみれば妙に現実感のある夢であった。何気によく知っている人物が出てきた気もするが、気のせいだと思うことにした。
(ともかく、明日からは一人で戦うこともなくなるんですね……)
 夢の出来事はともかくとして、九郎は明日からの新しい日々に思いを馳せ、再び目を閉じた。

 あんな夢を見た直後に、すんなりと眠れるはずもないのだが。
(……今夜も散歩、行きましょうかねぇ)
 彼女の夜は、どうやら今日も長いものになりそうだ。





 一方その頃。

「おかわり!」
「もうご飯残ってませんよ! 夜食ってレベルじゃないです父上!」

 再会の感動も何もなく、隠れ家でごはんを食べるもう一人の九郎とその“父上”、玉藻であった。
「せぃ――やッ!」
 振り上げた九郎の手から生じた炎は蛇のように大地を這い進み、歩行小岩を包み込む。
「はぁッ!」
 見た目ほどの威力はないその火焔は、しかし逃れる間もなく“凍り付き”、動く小岩を氷の中に閉じ込めてしまった。
「こんな得体のしれない生き物に襲われる覚えはないんですが……」
 誰にともなく愚痴を吐き出しながら、九郎は昼食を再開した。

 “父上”を探し始めてはや数日。一向に成果の出ない九郎は、アテもなく遺跡の内部を彷徨っていた。
 かつては一方的に叩きのめされたこともある島の不思議生物たちも、その大半が今の九郎にとっては然程の障害にならなくなっている。
 とは言え、見つけたいのは自分の成長のしるしではなく“父上”なのだ。

 自分で作ったたまごサンドをもぐもぐと食べるその姿は、ピクニックにやってきたようにしか見えない。
 地下であるにも関わらず、適度に雲の混ざった青空が心地よい。
 あぶらげのような形の雲をなんとはなしに眺めながら、九郎は穏やかな昼下がりを満喫していた。

 ――が。

(…………?)
 ぼんやりとしていたその瞳が、奇妙なものを捉え一点に引きつけられる。
 最初は鳥か何かだと九郎が予想したその小さな黒い点は、半紙に一滴の墨を垂らしたかのように徐々にその大きさを増して行き――
(なッ!?)
 “ソレ”が鳥などではなく、落下してくる“何か”だと気付き身構えた九郎の目の前の地面に激突した。
「~!」
 叩きつけられるかのような爆音と爆風、砂煙と言うには生温い“砂嵐”の直撃を受け、悲鳴を上げる間もなく九郎の身体はゴルフボールのように勢いよく吹き飛び、木の幹に激突してみしりと嫌な音を立てた。
 そのまま死んだ蝉のようにぽとりと地面に倒れた九郎だが、げほっと咳と共に少しばかりの血を吐きながらも立ち上がる。人間ならあの世の景色を眺められるような衝撃でも、妖怪の身には致命的にはほど遠いダメージにしかならなかったようだ。
「っつぅー……なんなんですかもうっ!」
 しっぽをばさばさ振り、身体をはたく九郎の眼前にはサイヤ人のポッドでも落ちてきたような綺麗なクレーターができていた。
 念のために再び空を見上げた九郎だが、空の落し物が今の一つだけだとするならば、何者かに“攻撃を受けた”可能性は低いと判断し、視線を下ろす。
 では一体何が落ちてきたのかと、えぐられた大地の中央を見るとそこには――もちろん、宇宙ポッドがあったわけはないのだが、ある意味ではまだその方がまともと言えるようなモノがそこにあった。いや、そこに“居た”。
(……まさか、人が……?)
 未だに砂埃の舞うそこに誰かが立っていた。
 冷静に考えるまでもなく、そんなことは在り得ないと思うのが普通だろう。しかし、何度まばたきをしても目を擦ってもその人影は薄れない。なんだこれは、幻覚か、と九郎が自問したのも束の間。

「おいおい、なァーに間抜けなツラぁ晒してんだい?」

 唐突に声がした。
「ぅえっ!?」
 その声が自分のよく知っている者の声であると九郎が理解したのと同時に、轟ッと風が巻き起こる。
 砂埃の吹き飛んだその跡に立つ姿は、九郎が見間違えるはずもない。
「よーぅ! 久しぶりじゃねーか、僕の娘!」
 金色に輝く九つの尾。膝上どころか股下数センチという極端に裾の短い緑色の着物を羽織い、しっぽ同様の輝きを放つ短く外跳ね癖のある髪から飛び出た獣の耳。
 数日前にあった時と全く同じ笑顔を携えて、何の前触れもなくあっさりと、九郎の“父上”こと玉藻は彼女の目の前に姿を現したのであった。
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九十九尾
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