2024年04月17日
『ウソをつく力』
衆議院議員補欠選挙が昨日告示されて、新聞などでも大きく取り上げられていますが、小店地元の目黒区議長選挙は一足早く14日に告示。
以来、店の前を選挙カーや、あるいは徒歩で、候補者たちが連日のように氏名を連呼しながら通り抜けていきます。
多選阻止とかで、いつもより多くの立候補者があり、なかに有力な候補もいて、現職候補もうかうかしていられない状況だとも耳にしておりますが、いかんせん店主は世田谷区民。どれほど選挙戦が盛り上がろうとも、一票を投じる資格がありません。
さらに話題豊富な東京15区の補欠選挙にしても、できるのは、ただその行方を見守ることだけ。その意味では、長崎や島根と同じなわけです。あくまでも他所の選挙。
こうした選挙の日程に興味を持って検索したところ「東京都選挙管理委員会事務局」のホームページに、令和6年選挙執行一覧なるものを見つけました。じつに次々と選挙があるものです。
そしてその中に唯一、店主が投票権を持つ選挙がありました。6月20日に告示される東京都知事選挙。先の選挙からもう4年経つわけです。たまたま手元にあった本を開くとこんな言葉がありました。
フランスのある哲学者は、人生の時の流れは、「年齢分の一」だと言った。
年をとるほど一年が早いというのは、まさにこれゆえなのでした。この本は赤塚行雄『ウソをつく力 人はなぜウソをつくのか』(ポプラ新書、2014年)。懐かしいお名前ですが、本書刊行の1年後に他界されています。
いまの「ウソ」まみれの政界をご覧になったら、どんな本を書かれたでしょう。
以来、店の前を選挙カーや、あるいは徒歩で、候補者たちが連日のように氏名を連呼しながら通り抜けていきます。
多選阻止とかで、いつもより多くの立候補者があり、なかに有力な候補もいて、現職候補もうかうかしていられない状況だとも耳にしておりますが、いかんせん店主は世田谷区民。どれほど選挙戦が盛り上がろうとも、一票を投じる資格がありません。
さらに話題豊富な東京15区の補欠選挙にしても、できるのは、ただその行方を見守ることだけ。その意味では、長崎や島根と同じなわけです。あくまでも他所の選挙。
こうした選挙の日程に興味を持って検索したところ「東京都選挙管理委員会事務局」のホームページに、令和6年選挙執行一覧なるものを見つけました。じつに次々と選挙があるものです。
そしてその中に唯一、店主が投票権を持つ選挙がありました。6月20日に告示される東京都知事選挙。先の選挙からもう4年経つわけです。たまたま手元にあった本を開くとこんな言葉がありました。
フランスのある哲学者は、人生の時の流れは、「年齢分の一」だと言った。
年をとるほど一年が早いというのは、まさにこれゆえなのでした。この本は赤塚行雄『ウソをつく力 人はなぜウソをつくのか』(ポプラ新書、2014年)。懐かしいお名前ですが、本書刊行の1年後に他界されています。
いまの「ウソ」まみれの政界をご覧になったら、どんな本を書かれたでしょう。
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2024年04月16日
虫の知らせ
虫が知らせたということでしょうか。二三日前、注文品の発送作業をしながらふと、最近は送り間違いをしなくなったなあと、感慨にふける一瞬がありました。
いちいち確かめながらやっているわけですから、それが当たり前のはずですが、長らく無事故が続いていることを手柄のように感じたのは確かです。
ところがそんな思いも束の間、昨夜家に帰って食事を済ませたあと、パソコンでメールをチェックすると、「注文番号:XXXXについて」というタイトルの一通。胸騒ぎとともに開封してみれば、案の定、違う本が送られてきたというご連絡でした。過去に何度もやらかしている、宛先ラベルの貼り違いです。
さらに気になることも書かれていました。宛名はご注文者でしたが、送り先はスキャン代行業者だったようで、「書籍を送り返すのに手数料が発生する可能性」があるとのこと。ともあれお詫びと、返送をお願いしたい旨、返信いたしました。
続いて、送り間違いをしたもう一方のお客様にもメールを書き、同じく着払いでのご返送を依頼しています。この時点で解決にどれほどの時間を要するのか予測がつきませんでしたので、ひとまずクレジット決済のキャンセル手続きを取ることにして、今日午前中に、組合の担当者にメールでお願いしました。
さいわい誤配先のどちらも、すぐに返送手続きをしてくださったようで、一両日中には本が戻ってきそうです。あらためて心ばかりのお値引きをしたうえで、お買い上げいただこうかと考えております。
ちなみにお一方はLyotardの本、もうお一方にはRanciereの英訳書をお送りしました。数日前、のんびり感慨にふけったのは、この時だったような気がします。
いちいち確かめながらやっているわけですから、それが当たり前のはずですが、長らく無事故が続いていることを手柄のように感じたのは確かです。
ところがそんな思いも束の間、昨夜家に帰って食事を済ませたあと、パソコンでメールをチェックすると、「注文番号:XXXXについて」というタイトルの一通。胸騒ぎとともに開封してみれば、案の定、違う本が送られてきたというご連絡でした。過去に何度もやらかしている、宛先ラベルの貼り違いです。
さらに気になることも書かれていました。宛名はご注文者でしたが、送り先はスキャン代行業者だったようで、「書籍を送り返すのに手数料が発生する可能性」があるとのこと。ともあれお詫びと、返送をお願いしたい旨、返信いたしました。
続いて、送り間違いをしたもう一方のお客様にもメールを書き、同じく着払いでのご返送を依頼しています。この時点で解決にどれほどの時間を要するのか予測がつきませんでしたので、ひとまずクレジット決済のキャンセル手続きを取ることにして、今日午前中に、組合の担当者にメールでお願いしました。
さいわい誤配先のどちらも、すぐに返送手続きをしてくださったようで、一両日中には本が戻ってきそうです。あらためて心ばかりのお値引きをしたうえで、お買い上げいただこうかと考えております。
ちなみにお一方はLyotardの本、もうお一方にはRanciereの英訳書をお送りしました。数日前、のんびり感慨にふけったのは、この時だったような気がします。
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2024年04月15日
8年ぶりのイベント
「全古書連大市会の集荷についてですが」といって、理事会事業部理事さんから電話があったのが10日ばかり前。
「出品があるなら集荷に回ります」という有り難いお申し出ですが、店主には「まさか何も出品しないわけではないでしょうね」という圧力に、どうしても聞こえてしまいました。ちょうどお祭りの寄付を求められてでもいるように。
もちろん店主の思い過ごしで、あくまでも親切で連絡していただいているのです。売りたいものがあったら、出せばよいだけのこと。
とはいえ「8年ぶり」という全連大市に、まるきり知らぬ顔もできません。店の売り物をかき集め、半額セールでもするつもりで、ようやく7点の出品物をこしらえました。今日がその集荷日。
「8年ぶり」というのは前回東京で開いた「全古書連総会歓迎大市会」が2016年で、それ以降、東京では開催されていなかったからです。
近年はコロナ禍もあって開けなかったのですが、そもそも過去の「大市」で運営側に負担がかかり過ぎた記憶が根強く、あまり前向きでなかったことも確かでした。今でも店主などは、どちらかと言えば消極派です。
というのは昔と違い、全国規模の大市が、東京だけでなく各地で数多く開かれるようになっているからです。あえてやる意義があるのか、と考えてきました。
しかしながら今回、送られてきた出品目録を見ると、なかなか充実した内容です。結果は終わってみなければ分かりませんが、盛会となることはまず間違いない。
問題は、これがかつてのように2年ごとの催しとして、この先も持続可能かどうかでしょう。
「出品があるなら集荷に回ります」という有り難いお申し出ですが、店主には「まさか何も出品しないわけではないでしょうね」という圧力に、どうしても聞こえてしまいました。ちょうどお祭りの寄付を求められてでもいるように。
もちろん店主の思い過ごしで、あくまでも親切で連絡していただいているのです。売りたいものがあったら、出せばよいだけのこと。
とはいえ「8年ぶり」という全連大市に、まるきり知らぬ顔もできません。店の売り物をかき集め、半額セールでもするつもりで、ようやく7点の出品物をこしらえました。今日がその集荷日。
「8年ぶり」というのは前回東京で開いた「全古書連総会歓迎大市会」が2016年で、それ以降、東京では開催されていなかったからです。
近年はコロナ禍もあって開けなかったのですが、そもそも過去の「大市」で運営側に負担がかかり過ぎた記憶が根強く、あまり前向きでなかったことも確かでした。今でも店主などは、どちらかと言えば消極派です。
というのは昔と違い、全国規模の大市が、東京だけでなく各地で数多く開かれるようになっているからです。あえてやる意義があるのか、と考えてきました。
しかしながら今回、送られてきた出品目録を見ると、なかなか充実した内容です。結果は終わってみなければ分かりませんが、盛会となることはまず間違いない。
問題は、これがかつてのように2年ごとの催しとして、この先も持続可能かどうかでしょう。
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2024年04月14日
猫に小判?
フランス現代思想と呼ばれるジャンルの本は、小店の売れ筋商品です。もっとも小店ばかりでなく、どこの店でも同様らしく、市場に出ても安くは買えません。
翻訳書に限らず、最近は原書でさえ競争相手が増えてきました。それでもまだ原書については、時々落札することができ、なんとかある程度の棚は維持できております。
少し値の張るものや、傷みやすい装丁の本は店頭には出さず、もっぱらネットでご覧いただくのですが、こまめにチェックされる方もおられて、アップと同時に売れてしまうこともしばしば。
そんななかで先日、デリダのKhoraが9千円で売れました。ご存知の方もおいででしょうが、1993年の刊行の、わずか103頁の薄い本。しかしネットで検索しても、ほとんどヒットしません。たまに見つけても2万円以上の値がついています。おそらく限定部数出版であったからでしょう。
再版でもされれば安く出回るおそれもあると考え、控えめな値を付けたのでした。
売れて喜んだのも束の間、留守中にお客様から、返品希望の電話があったと聞いたのは昨日のことです。こちらからかけ直し、事情を伺いました。どのような理由であれ返品自体はお受けするつもりで。
そして伺っているうちにわかったのは、non coupee(ページが切られていない状態)について、ご理解がないことでした。さらに仮綴じのくるみ表紙で、糊は軽くつけてあっただけなので、おそらく手にした拍子に本体が外れてしまったようです。
それで「本が剥がれていて袋とじになっている」のを、欠陥と思われたわけです。
縷々説明し、それが瑕疵でないことはご理解いただけましたが、ご本人は図書館から借りている本と同じものが来ることを想定されていたのでした。あとで調べると2006年に同じ出版社から普通のペーパーバック版が€22で刊行されています。しかしそれも現在ネット上では見つかりません。
「線を引いたりするつもりだったので、少し検討させてください」とおっしゃいますので、「どうぞご自由に」とお答えしたのでした。
翻訳書に限らず、最近は原書でさえ競争相手が増えてきました。それでもまだ原書については、時々落札することができ、なんとかある程度の棚は維持できております。
少し値の張るものや、傷みやすい装丁の本は店頭には出さず、もっぱらネットでご覧いただくのですが、こまめにチェックされる方もおられて、アップと同時に売れてしまうこともしばしば。
そんななかで先日、デリダのKhoraが9千円で売れました。ご存知の方もおいででしょうが、1993年の刊行の、わずか103頁の薄い本。しかしネットで検索しても、ほとんどヒットしません。たまに見つけても2万円以上の値がついています。おそらく限定部数出版であったからでしょう。
再版でもされれば安く出回るおそれもあると考え、控えめな値を付けたのでした。
売れて喜んだのも束の間、留守中にお客様から、返品希望の電話があったと聞いたのは昨日のことです。こちらからかけ直し、事情を伺いました。どのような理由であれ返品自体はお受けするつもりで。
そして伺っているうちにわかったのは、non coupee(ページが切られていない状態)について、ご理解がないことでした。さらに仮綴じのくるみ表紙で、糊は軽くつけてあっただけなので、おそらく手にした拍子に本体が外れてしまったようです。
それで「本が剥がれていて袋とじになっている」のを、欠陥と思われたわけです。
縷々説明し、それが瑕疵でないことはご理解いただけましたが、ご本人は図書館から借りている本と同じものが来ることを想定されていたのでした。あとで調べると2006年に同じ出版社から普通のペーパーバック版が€22で刊行されています。しかしそれも現在ネット上では見つかりません。
「線を引いたりするつもりだったので、少し検討させてください」とおっしゃいますので、「どうぞご自由に」とお答えしたのでした。
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2024年04月13日
落札ナシに安堵
第二土曜日は南部地区入札会。開店準備を終えると、五反田に向けて出発いたしました。
空気はまだ冷たいのですが、日なたに出ると一気に温かさを感じます。考えてみれば4月も中旬。それにしては気温が低めかもしれません。
南部会館は、思ったより多い出品量でした。一階の荷捌き場にも本が積まれています。全古書連大市会を翌週に控え、あるいは荷が集まっていないのではないかと案じたのですが、仕分けを必要とする一口物も複数件あった模様です。
しかし店主のお目当ては、いつものように店売り用の文庫本。それ自体が出ていなかったわけではありませんが、小店が必要とするものは見当たらず、むなしく会場を去ろうとして、ふとドイツ書の山に気づきました。
小型の全集物などがまとめられた口です。気まぐれで一点に入札したあと、明日はいろいろすることがあるため、引き取りに来る暇がなさそうだと気づき、「取り止め」の札を入れようかと迷いました。
ところがさらに見ていくと、同じ口が他にも何山か積まれています。引き取りは週明けにさせてもらおうと、ついでにもう一点入札して会館を出たのです。帰りの山手線は特に遅延があったわけでもなさそうなのに、通勤ラッシュ並みの混雑でした。
それで夕方、エクストラネットで結果を調ると、落札はゼロ。負け惜しみでなく、ホッとしております。
昨日のブログに訂正少々:ボタンマナーでバズったのは、晩餐会ではないと家人から指摘を受けました。別の話を混同して聞いたようです。ちなみにタキシードは、座るときもボタンを外さないものとか。
空気はまだ冷たいのですが、日なたに出ると一気に温かさを感じます。考えてみれば4月も中旬。それにしては気温が低めかもしれません。
南部会館は、思ったより多い出品量でした。一階の荷捌き場にも本が積まれています。全古書連大市会を翌週に控え、あるいは荷が集まっていないのではないかと案じたのですが、仕分けを必要とする一口物も複数件あった模様です。
しかし店主のお目当ては、いつものように店売り用の文庫本。それ自体が出ていなかったわけではありませんが、小店が必要とするものは見当たらず、むなしく会場を去ろうとして、ふとドイツ書の山に気づきました。
小型の全集物などがまとめられた口です。気まぐれで一点に入札したあと、明日はいろいろすることがあるため、引き取りに来る暇がなさそうだと気づき、「取り止め」の札を入れようかと迷いました。
ところがさらに見ていくと、同じ口が他にも何山か積まれています。引き取りは週明けにさせてもらおうと、ついでにもう一点入札して会館を出たのです。帰りの山手線は特に遅延があったわけでもなさそうなのに、通勤ラッシュ並みの混雑でした。
それで夕方、エクストラネットで結果を調ると、落札はゼロ。負け惜しみでなく、ホッとしております。
昨日のブログに訂正少々:ボタンマナーでバズったのは、晩餐会ではないと家人から指摘を受けました。別の話を混同して聞いたようです。ちなみにタキシードは、座るときもボタンを外さないものとか。
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2024年04月12日
スーツは遠く
恥ずかしながらこの年齢になるまで、「スーツのボタンは座るときには外すのがマナーだ」ということを存じませんでした。
家人が日ごろチェックしているSNS上で、わが国の総理大臣が国賓待遇で招かれた米国での晩餐会の席において、そのマナーを守っていなかったことに関してバズっていたと聞かされ、初めて知った次第です。
この総理については、国民としてもっと恥ずかしく思うことが多々ありますので、今さらボタンマナーなど何ほどのことでもないとは思うのですが。
それにしても石津謙介さんは、そんなこと教えてくれていたでしょうか。懐も乏しいのに着るものにこだわった若き日々が、店主にもありました。バイブルさながらに読んだ石津さんの本からは、下のボタンを留めるなと学んだくらいしか記憶にありません。
いずれにせよ遠い日のことです。大学を卒業したあと大阪に勤めた4年余りは、スーツとネクタイの毎日でしたが、もともと洋服の合う体型ではなく、吊るしで間に合わせるために、ずいぶん苦労したことを思い出します。
しかし何より辛かったのはネクタイ。勤めを辞めるに際して考えたのも、この先はネクタイの要らない仕事をしたいということでした。
その頃、ファッション関係の会社に勤めていた大学時代の友人が、仕事で出かけたヨーロッパでの見聞記を語ってくれるなかで「日本人の首はネクタイに向いてない」と断言したのに、大いに共鳴したものです。
懐具合は昔に変わらぬ店主ですが、服装への頓着はすっかり失くしてしまっております。
家人が日ごろチェックしているSNS上で、わが国の総理大臣が国賓待遇で招かれた米国での晩餐会の席において、そのマナーを守っていなかったことに関してバズっていたと聞かされ、初めて知った次第です。
この総理については、国民としてもっと恥ずかしく思うことが多々ありますので、今さらボタンマナーなど何ほどのことでもないとは思うのですが。
それにしても石津謙介さんは、そんなこと教えてくれていたでしょうか。懐も乏しいのに着るものにこだわった若き日々が、店主にもありました。バイブルさながらに読んだ石津さんの本からは、下のボタンを留めるなと学んだくらいしか記憶にありません。
いずれにせよ遠い日のことです。大学を卒業したあと大阪に勤めた4年余りは、スーツとネクタイの毎日でしたが、もともと洋服の合う体型ではなく、吊るしで間に合わせるために、ずいぶん苦労したことを思い出します。
しかし何より辛かったのはネクタイ。勤めを辞めるに際して考えたのも、この先はネクタイの要らない仕事をしたいということでした。
その頃、ファッション関係の会社に勤めていた大学時代の友人が、仕事で出かけたヨーロッパでの見聞記を語ってくれるなかで「日本人の首はネクタイに向いてない」と断言したのに、大いに共鳴したものです。
懐具合は昔に変わらぬ店主ですが、服装への頓着はすっかり失くしてしまっております。
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2024年04月11日
研究室の今昔
新学期も始まって、退職研究室の整理もひと段落したともの思われます。
ただ実際には一部に、5月の連休辺りまで猶予を与えられている研究室もあるようで、小店にも現在、お引き取り時期を打ち合わせ中の先生がいらっしゃいます。
それでもラッシュは過ぎたのではないでしょうか。ラッシュなどという言葉を使ったのは、今年初めて大学研究室に買入のビラ撒きをしたという若手の同業が、先月ひと月、文字どおり三日にあげず引き取りに出かけたと聞いたからです。
どこの大学に、何枚ほど撒いたのか、などと野暮なことは訊いておりませんが、成果はあったものの、相当なハードワークを体験されたようです。
店主が開業したころには想像もできなかったことです。まず研究室から本が出るということ自体が、今ほどありませんでした。かりにあったとしても、図書館や後進などがあらかた抜き去ったあとのもの。
そしてたまに良い本があったと思うと蔵書印がしっかり押されていたりして、そうした本の処分は、今と違って学校側も、組合交換会も厳格でした。
研究室から本があふれ出すというようなことは、思いもよらないことでしたから、数少ないビラ撒き経験も、せいぜい新聞折り込みか、住宅地での投げ込み程度。一方、市場でも欲しい本は高くて買えず、年中、仕入れ不足に悩んでいたものです。
時移り、すっかり苔の生えた老店主のもとにさえ、ありがたいことに年度末になると、必ずいくつかの研究室からお声が掛かります。今の体力では、それらをお引き受けするのがようやくという状態。とてもビラ撒きまでする意欲がありません。
昔と今と、本屋にとって、どちらが望ましい状況なのでしょうか。
ただ実際には一部に、5月の連休辺りまで猶予を与えられている研究室もあるようで、小店にも現在、お引き取り時期を打ち合わせ中の先生がいらっしゃいます。
それでもラッシュは過ぎたのではないでしょうか。ラッシュなどという言葉を使ったのは、今年初めて大学研究室に買入のビラ撒きをしたという若手の同業が、先月ひと月、文字どおり三日にあげず引き取りに出かけたと聞いたからです。
どこの大学に、何枚ほど撒いたのか、などと野暮なことは訊いておりませんが、成果はあったものの、相当なハードワークを体験されたようです。
店主が開業したころには想像もできなかったことです。まず研究室から本が出るということ自体が、今ほどありませんでした。かりにあったとしても、図書館や後進などがあらかた抜き去ったあとのもの。
そしてたまに良い本があったと思うと蔵書印がしっかり押されていたりして、そうした本の処分は、今と違って学校側も、組合交換会も厳格でした。
研究室から本があふれ出すというようなことは、思いもよらないことでしたから、数少ないビラ撒き経験も、せいぜい新聞折り込みか、住宅地での投げ込み程度。一方、市場でも欲しい本は高くて買えず、年中、仕入れ不足に悩んでいたものです。
時移り、すっかり苔の生えた老店主のもとにさえ、ありがたいことに年度末になると、必ずいくつかの研究室からお声が掛かります。今の体力では、それらをお引き受けするのがようやくという状態。とてもビラ撒きまでする意欲がありません。
昔と今と、本屋にとって、どちらが望ましい状況なのでしょうか。
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2024年04月10日
謎の不掲載
古い山を崩していたら『京都青春街図』(プレイガイドジャーナル編・有文社刊)が現れました。奥付によると1974年発行の第2刷。
前にも一度取り上げたはずだと過去ブログを検索したところ、2015年2月1日に、書影とともに紹介しておりました。つまり8年ぶりの再会というわけです。
懐かしいと思いつつ、その時はじっくり目を通したわけでもなかったようで、今回あらためて頁を繰ってみて、気になる発見をいたしました。
「ちょっとだけちがってる喫茶店」という章に、覚えのある店が顔を並べるなか、店主が学生時代、ほとんど入り浸っていたといってよい店の名が、見つからないのです。ほかに取り上げられている店と比べても「ちがって」いなかったとは思えません。
掲載図でいうと「同志社学館」からの道が室町通に突き当たった場所(青く囲った位置)に、わが「Duke」はありました。もちろんこの本が出た時点にも営業しておりましたから、不掲載の理由が謎です。あるいはオーナーが断ったのでしょうか。
同大自動車部OBという、いまから思えばまだ30歳前後だった青年オーナーは、少し高級感のある店にしたかったようでしたが、学館裏という場所が災いして、金のない学生たちが長時間たむろする、想定外の展開となったと、これは何年か後、別の場所にパブレストランを開いたご当人の口から聞きました。
初めのうちはいまいましかったと、そんな昔語りが聞けるまでに親しくなっていたのです。
ただし本書の出た頃のマスターは、そのオーナーから店を譲り受けられた方。それにしても掲載を断るとも思えないのですが。
前にも一度取り上げたはずだと過去ブログを検索したところ、2015年2月1日に、書影とともに紹介しておりました。つまり8年ぶりの再会というわけです。
懐かしいと思いつつ、その時はじっくり目を通したわけでもなかったようで、今回あらためて頁を繰ってみて、気になる発見をいたしました。
「ちょっとだけちがってる喫茶店」という章に、覚えのある店が顔を並べるなか、店主が学生時代、ほとんど入り浸っていたといってよい店の名が、見つからないのです。ほかに取り上げられている店と比べても「ちがって」いなかったとは思えません。
掲載図でいうと「同志社学館」からの道が室町通に突き当たった場所(青く囲った位置)に、わが「Duke」はありました。もちろんこの本が出た時点にも営業しておりましたから、不掲載の理由が謎です。あるいはオーナーが断ったのでしょうか。
同大自動車部OBという、いまから思えばまだ30歳前後だった青年オーナーは、少し高級感のある店にしたかったようでしたが、学館裏という場所が災いして、金のない学生たちが長時間たむろする、想定外の展開となったと、これは何年か後、別の場所にパブレストランを開いたご当人の口から聞きました。
初めのうちはいまいましかったと、そんな昔語りが聞けるまでに親しくなっていたのです。
ただし本書の出た頃のマスターは、そのオーナーから店を譲り受けられた方。それにしても掲載を断るとも思えないのですが。
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2024年04月09日
新バージョン
朝、本降りの雨。満開の桜も雨に打たれて一緒に花びらを降らし、ところどころで、まるで雪が積もったように地面が白くなっておりました。
小学校の入学式が開かれたところも多かったようで、あいにくのお天気だったと思います。
店に着いて、開店の準備に入っても、風もあって吹き込んでくる雨対策から、いくつかの台は表に出せないまま。店主が出かける午前中は、結局ずっとそんな状態で、人っ子一人店には来られませんでした。
夕方に戻り、店仕舞いを済ませたあとでレジの清算キーを押すと、それでもまったく売り上げがなかったわけではなく、予報よりは早めに雨が上がったおかげのようです。有り難いことに思いました。
今日の洋書会は量に比して出品点数が少なく、早めに終わっております。店主は本日も出品のみ。おかげさまで売りたいものが売れ(値段はともかく)、多少とも整理がつきました。
会が終わったあと、一件の約束がありました。小店のホームページカタログを管理していただいている、システム会社の方との面談です。
最近、いろいろ不具合が生じており、それについてどのような解決方法があるかを相談に伺ったのでした。
長いこと、あまり熱心に手を入れてこなかったホームページカタログですが、思うところあって、もう一度見直してみようかという気になったのです。
結局のところ、不具合の主たる要因は、システムのバージョンが古くなってしまったことにあり、根本的に解決しようとすれば、新バージョンへの移行しかなさそうだというのが結論。
費用はともかく、店主にやる気が残っているでしょうか。
小学校の入学式が開かれたところも多かったようで、あいにくのお天気だったと思います。
店に着いて、開店の準備に入っても、風もあって吹き込んでくる雨対策から、いくつかの台は表に出せないまま。店主が出かける午前中は、結局ずっとそんな状態で、人っ子一人店には来られませんでした。
夕方に戻り、店仕舞いを済ませたあとでレジの清算キーを押すと、それでもまったく売り上げがなかったわけではなく、予報よりは早めに雨が上がったおかげのようです。有り難いことに思いました。
今日の洋書会は量に比して出品点数が少なく、早めに終わっております。店主は本日も出品のみ。おかげさまで売りたいものが売れ(値段はともかく)、多少とも整理がつきました。
会が終わったあと、一件の約束がありました。小店のホームページカタログを管理していただいている、システム会社の方との面談です。
最近、いろいろ不具合が生じており、それについてどのような解決方法があるかを相談に伺ったのでした。
長いこと、あまり熱心に手を入れてこなかったホームページカタログですが、思うところあって、もう一度見直してみようかという気になったのです。
結局のところ、不具合の主たる要因は、システムのバージョンが古くなってしまったことにあり、根本的に解決しようとすれば、新バージョンへの移行しかなさそうだというのが結論。
費用はともかく、店主にやる気が残っているでしょうか。
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2024年04月08日
活かせる本
ダンボール箱が7個、お昼前に佐川急便で届きました。本を入れる箱としてはやや大きめのものが4個、それより小ぶりの、いわゆる100サイズが3個。
開ける前に嫌な予感がしたのは、いずれの箱も、かなりの年季もののようだったからです。物置などに、10年以上は積まれていたままという雰囲気。
そして実際に箱を開けると予想にたがわず古い、といって古本屋が喜ぶまでには古くない本が詰まっておりました。
問題は内容です。一番嵩を占めていたのは『折口信夫全集』旧版の揃い32冊。文庫本も3箱分くらいはありましたが、その大半は翻訳ミステリー、サスペンス小説系で、保存状態も良くありません。
次々箱を開けていくうちに、昨年暮れ、一人のご婦人からいただいたお電話でのやり取りを、次第に思い出してきました。処分したい本が6、7箱あるというお話で、確かに折口全集があると伺っています。そして文庫もあると。
ダンボール箱に入っているとのことでしたので、それなら小店から運送伝票を送りますから、それで送ってみてくださいと申し上げたのです。折口全集の旧版は値がつかないこともお伝えしました。送られてきて、もし送料分に満たなかったとしても、不足をご請求するようなことはいたしませんとも。
折口の全集をお持ちの方です、何かしら活かせる本はあるだろうと踏んだのです。ところが文庫を始め、小説類の大半は、どうやらご主人のお読みになったものらしい。ご本人のものと思しいのは、歴史、紀行関係の読み物。
結局どうにか活かせそうなのは、そうしたご自身で買って読まれたらしい本で、ダンボールにして1箱分ほど。「お支払いできる額にはなりませんでした」と電話でお伝えしたところ、不足分を支払うと恐縮されましたが、最初からのお約束があります。
店で売らせていただく本もあることをお伝えすると、ようやく安心してくださいました。
開ける前に嫌な予感がしたのは、いずれの箱も、かなりの年季もののようだったからです。物置などに、10年以上は積まれていたままという雰囲気。
そして実際に箱を開けると予想にたがわず古い、といって古本屋が喜ぶまでには古くない本が詰まっておりました。
問題は内容です。一番嵩を占めていたのは『折口信夫全集』旧版の揃い32冊。文庫本も3箱分くらいはありましたが、その大半は翻訳ミステリー、サスペンス小説系で、保存状態も良くありません。
次々箱を開けていくうちに、昨年暮れ、一人のご婦人からいただいたお電話でのやり取りを、次第に思い出してきました。処分したい本が6、7箱あるというお話で、確かに折口全集があると伺っています。そして文庫もあると。
ダンボール箱に入っているとのことでしたので、それなら小店から運送伝票を送りますから、それで送ってみてくださいと申し上げたのです。折口全集の旧版は値がつかないこともお伝えしました。送られてきて、もし送料分に満たなかったとしても、不足をご請求するようなことはいたしませんとも。
折口の全集をお持ちの方です、何かしら活かせる本はあるだろうと踏んだのです。ところが文庫を始め、小説類の大半は、どうやらご主人のお読みになったものらしい。ご本人のものと思しいのは、歴史、紀行関係の読み物。
結局どうにか活かせそうなのは、そうしたご自身で買って読まれたらしい本で、ダンボールにして1箱分ほど。「お支払いできる額にはなりませんでした」と電話でお伝えしたところ、不足分を支払うと恐縮されましたが、最初からのお約束があります。
店で売らせていただく本もあることをお伝えすると、ようやく安心してくださいました。
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