2024年4月9日火曜日

戯曲

夢を見た 花に嵐 の 早朝のことだった
夢の中で 自分は 以前に書いた 戯曲 
つまり 舞台演劇の台本を 書いたらしく
それを どこに置いたのか 忘れているらしい
本棚にも コンピューターにも 見つからない
夢の中で ああ そうだった と 気がつく
あれは 頭の中に 入れて置いたんだ と
記憶していたことを 忘れていた ということらしい
やっと 安心して 眠った そういう夢だった
本当に目が覚めた時 あれは  どんな戯曲だったのか 
全く 記憶にない 
いずれにせよ それは 花に嵐 の朝だった
                  山田リオ
© rio yamada



2024年4月5日金曜日

花の朝

自分を苦しめ 悩ませているのは

ほかならぬ 自分自身

それに 気がついた 花の朝

              山田リオ

© rio yamada


2024年3月22日金曜日

光と水と空気

不思議なんだけどね
詩は 声に出して 何度も読んであげると
気がついた時には 育っているんだよ
詩は 植物に似ているんだ
植物は 光と水と空気をあげると 育つ
詩は 何度も声に出して ゆっくり読んであげれば
ちゃんと 育つのさ。     
           山田リオ 2024© rio yamada
© rio yamada


2024年3月21日木曜日

悲しいギター 2005

 ■2005/08/13 (土) SAD GUITAR


中国系アメリカ人の女性詩人、マリリン・チンの「サド・ギター」です。

「悲しいギター」        
                     マリリン・チン 訳:山田リオ

盲目の移民よ
あなたはこれが理解できるか
触る、木、
これは木
そして火ではない、これは
土で、木ではない
これは自然界の水だ

お茶がはいって、ご飯が炊ける
あなたが去って十日間
わたしはよろめき、つまずいて
連想ゲームをしてみよう
フラワーに、韻を踏むのは
バワー、シャワー、それとも、パワー?

見知らぬ人よ、中国女を
愛したことがありますか?
彼女の心は菊の花
そこには深い峡谷がある

おお、曲がった杖、憤怒!
私はここに、あなたの中に、あなたなしで
ねっとりした闇をまさぐり
霊魂と怒りを、引きずり出す

わたしはロープを持たない女
逃げてしまった馬を追う
わたしの馬車の馬はいななき
蹄の音は略奪する

あなたが聞こえる、でも見えない
あなたに触れる、でも、遠い
淋しさについて、学んだことは
弦を爪弾く三本の指
全てがわかる、あの心臓---
悲しいギターの、芯の暗闇。copyright2005© rio yamada

2024年3月6日水曜日

感謝

 山田リオの詩集、「ときのおわり 」が、

第74回 H氏賞の候補作品に選ばれました。

みなさま、どうもありがとうございました。 

これからも、どうか宜しくご指導下さい。   やまだ

© rio yamada


2024年2月23日金曜日

万太郎


冬籠つひに一人は一人かな

佇めば身にしむ水のひかりかな
 
雲の峰あたり人かげなかりけり

わが胸にすむ人ひとり冬の梅

何か言へばすぐに涙の日短かき

汝も我も凡夫の息の白さかな

こしかたのゆめまぼろしの花野かな

             久保田万太郎 (1889~1963)

© rio yamada


2024年2月9日金曜日

本棚

 詩人の瀬崎祐さんが、ブログ「瀬崎祐の本棚」に、

詩集「ときのおわり 」の感想を掲載してくださいました。

このページの右側、「お気に入り」欄にあります。

ありがとうございました。

© rio yamada





2024年1月29日月曜日

正解

「人間の愚かさは、あらゆることに正解を求める姿勢に起因する。

小説の知恵は、あらゆることに疑問を持つ姿勢に起因する。」

               ミラン・クンデラ (1929~2023)  訳:山田リオ

© rio yamada


2024年1月23日火曜日

遠ざかるスケートボード

 

■2010/07/02 (金) 

            山田リオ

その人はこっちを向いたままスケートボードに正座している
いつものあの表情を保ったままのその人を乗せて
スケートボードは徐々に加速しながら遠ざかる
こっちを向いたままのその人の表情は変わらない
正座したままだんだん遠く小さくなっていって
とうとう見えなくなったむこうの
遠い空には白い雲
永い人生の中のほんの一瞬すれ違い
ほんのわずかな言葉を交わしただけで
分かり合えたような気になっただけで
遠ざかり小さくなりもう見えなくなったあの人とは
ほんの少しだけ言葉を交わすことはあったのだが
お互いの目を見ることもなくわかれて行った無数の人たち
見上げる空には白い雲   
Copyright©2010RioYamada

© rio yamada


2023年12月31日日曜日

この星

クモ ヒト メダカ コガネムシ

コノ ウツクシイ ホシニスム

ミンナ ダレモガ オダヤカニ

                 山田リオ

© rio yamada


2023年12月10日日曜日

うつくしいもの

           八木重吉(1898~1927)

わたしみづからのなかでもいい

わたしの外の せかいでも いい

どこにか 「ほんとうに 美しいもの」は ないのか

それが 敵であつても かまわない

及びがたくても よい

ただ 在るといふことが 分りさへすれば、

ああ ひさしくも これを追ふにつかれたこころ


    

© rio yamada

2023年12月7日木曜日

実生 10/04/2011(再録)


2011 © rio yamada
                       山田リオ
地に落ちた種子は発芽し
幸運にも実生となって育った
雨の降る日は一日喜び
雪の降る日々を耐え
実生はきれいな若木になった
今日、森の奥では
光が無言のお祝いをする

(註:実生=みしょう)Copyright © 2011Rio Yamada



2023年11月30日木曜日

現代詩手帖

  「現代詩手帖 12月号」(思潮社)の「今年度の収穫」で、詩人の須永紀子さんに、私の詩集「ときのおわり」 を取り上げて頂きました。 

「病を得て悪化したころから書きはじめたという詩人の、ポエジーあふれる第一詩集。何度読んでも清々しさに魅了される。」須永紀子

また、同欄で、詩人の荒川洋治さん、岡本勝人さんも、「ときのおわり 」を取り上げてくださいました。ありがとうございました。  山田リオ



2023年11月25日土曜日

大きい小さい

大きい山 小さい山 大きい川 小さい川

大きい人 小さい人 大きい手 小さい手 

大きい窓 小さい窓 大きい空 小さい空

大きい雲 小さい雲 大きい音 小さい音

                山田リオCopyright©2023RioYamada

© rio yamada 


2023年11月17日金曜日

悲しみ


             

 1963年、  アロウド・ロボとニウチーニョ(ブラジル)の作品。「悲しみ」は、歌詞の最後の部分、「新しい歌が欲しい」でも知られている。
この録音の始めの方、ヴィニシウスが「アロウド」と呼びかけるの、聞こえますか?
歌っているのは、ヴィニシウス・ヂ・モライス(ブラジルの詩人、1913~1980)  と、トキーニョ(1946~)。

2023年11月12日日曜日

蛇の足 蛙の尻尾

                                                山田リオ

遺言は もう 書いてしまった

さて 次は 何を書こうか

なにか 軽くて ユーモアのある ドルチェ? 甘いもの?

ああ でも そういうものは 

軽い と言ったって なんだか 気が重い

何を書いたとしても それは 蛇の足 蛙の尻尾 

みたいな気がするのは ぼくの頭が おかしいのか

それとも すべては 気候変動のせいなのか

まだ 秋が来ないうちに もう 冬が来てしまったのは 誰のせいか

そうだ 遺言の 続編を 書けばいいんだ そうしよう

そうすれば 蛇さんも 蛙さんも きっと 喜ぶんじゃないかな

                      Copyright©2023RioYamada

© rio yamada 



2023年10月25日水曜日

秋草光


 


秋が くると いふのか

なにものとも しれぬけれど

すこしづつ そして わづかにいろづいてゆく、

わたしのこころが

それよりも もつとひろいもののなかへくづれて ゆくのか



                                  八木重吉 (1898~1927)
© rio yamada


2023年10月8日日曜日

雨の匂い

雨の匂いのする 午後

明日はきっと 雨

           山田リオ

© rio yamada


2023年10月4日水曜日

姓名

 姓は苗字、名は名前、英語だと、Last name and first name.

ああ、そうだ。surname, given name という言い方もある。

surname が苗字で、given name が・・

でも、「下の名前」という言い方には、なんだろう、違和感がある。

ぼくの名前の「リオ」は、ポルトガル語、またはスペイン語で「河」という意味だ。

そして、河は、海に向かって流れて行く。そう。いつか、海に出会う。

だから何だって? だから、ね、そういうことなのさ。

ところで、一生の間には、一度くらい、

この写真のような日没に出会う幸運も、あるんだよね。 Rio

© rio yamada 



2023年10月3日火曜日

あの音楽

■2010/05/20 (木) 

音楽のことを書きます。
大切な音楽とは、どんなものか、
それは、きっと、一人一人にとって、違うものなんでしょうね。
いや、そうであることを願います。

わたしにとって大切な音楽は、ジャンルで呼べるようなものではありません。
世界に、たった一つの、「あれ」です。
それは、歌詞も無く、まあ、かなり地味なものです。

その音楽は、自分が病床にあって、もうダメだ、という時に、
枕元にすわっていてくれて、静かに話しかけてくれる、そういうものです。

もうどうしようもなくて、あきらめて、ビルの屋上から跳ぼうという、
その時、後ろから、やわらかく抱きとめてくれる、
それが、わたしにとっての、あの音楽です。

どんな音楽かって?
おしえない。
誰が作曲したか? おしえない。
わたしが、どんなに酔っ払っていたって、
おしえない。
とても大切なんだから。

        山田りお  Copyright©2010RioYamada
© rio yamada 


2023年9月30日土曜日

コスモス

 コスモスなんぼでも高うなる小さい家で

            尾崎放哉 (1885~1926)

© rio yamada 


2023年9月22日金曜日





海が少し見える小さい窓一つもつ 

           尾崎放哉 
  おざきほうさい、1885~1926  無季自由律俳句)

2023年9月12日火曜日

信頼できる

 左側 上から二番目のやつを

わたしは 気に入っている なぜなら

たぶん こいつが いちばん 信頼できそうだから ね

          山田リオ Copyright©2023RioYamada

© rio yamada 

2023年8月30日水曜日

終わるんだよ

セミの声が聞こえない夏 いつまでも終わらない夏

スイカを買おうと スーパーマーケットに行った

プラスチックの箱に入れた 細かく刻んだスイカの破片が

ほんの少し あるだけだった

それで 八百屋さんに行ったら 

三日月の形のスイカがあったので すぐ 買った

八百屋さんが 「もうすぐ スイカは 終わりなんですよ」 と言う

そうか 今年の夏は 終わらないんだと思っていたら

スイカさんの世界では 夏は もうすぐ 終わるんだな

それなら 気がつかなかったけど 季節は まだ あるんだ

「そうだよ 夏は もう 終わるんだよ」 スイカさんが そう言っています

                山田リオ Copyright©2023RioYamada

rio yamada photo

 

2023年8月23日水曜日

祝祭

 今日は 雲の祭り なので 「雲の日」に決めました

これは 個人的な祝日です

雲が どんどん動いて行く 新しい雲が生まれる

そんな日なので わたしは 一日 空ばかり見ている 

雲の祭り 雲の日 

        Copyright©2023RioYamada 山田リオ

© rio yamada 



2023年8月22日火曜日

避難

「音楽はわたしの避難場所だった。

わたしは、音符と音符のすき間に這い込んで、

寂しさに寄りかかることができた。」

          マヤ・アンジェルー  (1951~2014)  翻訳:山田リオ



2023年8月9日水曜日

自由

「人は、自分のことを考えていない時だけ、自由だ。」

                   豊崎由美 (1961~)

© rio yamada



2023年8月4日金曜日

ケルアックの道 2018

 

On the Road

「俺のうしろには、何もない。
すべては、俺の前にある。
道の上で、いつもそうだったように。」

「 そのとき、俺の人生は、巨きな、輝く白紙のページに見えた。やりたいことは、なんでもできるんだ。」 
(「オン・ザ・ロード」より)                           (訳:山田リオ)
ジャック・ケルアック 
(1922– 1969)


ジャック・ケルアックは47歳で亡くなったんだな。 
永井陽子は49歳で亡くなり、
笹井宏之は27歳の人生だった。
ジネット・ヌヴーは30歳、
そして、ジャクリーヌ・デュ・プレは、42歳・・・・・

オン・ザ・ロードは、ちょっとだけ翻訳してみたけど、
やっぱり僕には無理。英語のままで読む方が、いい。
だから、翻訳は諦めた。(山田 05/14/2018)

2023年8月1日火曜日

太陽 2000

 

©RioYamada
この絵を描いてから ずいぶん時間がたった

それは 与えられた時間 つまり 贈り物

その贈り物に 自分は ふさわしかったのか

それは いつか また 考えることにして

今は これを描いた頃の 自分が

何を思っていたのか 思い出そうとしている

      山田リオ Copyright©2023RioYamada