2016年12月31日土曜日

くららがたったシネマランキング(2016年)

おひさしぶりです。2016年5月14日に「ちはやふる 下の句」の感想を最後にブログにあげてから半年以上たってしまいました。すっかり休止ブログですが、年の瀬になので2016年のランキングだけこそっとあげておきます。

ムービーウォッチメンに投稿していた2015年には66本新作映画を見ていた私ですが、今年2016年その約6割の39本しか見ませんでした。2016年を振り返るとスマホをボーっとみている時間がすごい長かったような気がします。無目的にスマホを見てるのって、すげーリラックスできますよねぇ、そして時間があっという間になくなる。あ、でも今年は例年よりたくさん演劇とか舞踊とか見に行きました。20公演はいったかなぁ。趣味事以外のプライぺートでも慣れない努力をしたりして、けっこう忙しくしていました。
まぁそんな感じで、たいした本数映画を見てないのに恐縮なんですが、今年見た39本をランキングに並べました。ベスト3とワースト1と最も印象に残ったシーンについて、下記にちょっと感想を書いておきます。

まず、3位「ヒメアノ~ル」。劇場公開時では見れず12月になってからDVDで見たんですが、タイトルが出てくるところが超かっこよくて痺れました。森田が電話してる女性宅に着いて行って強姦し殺すシーンとか本当恐怖で、強姦する手前で女性がつけてるナプキンをめんどくさそうにポイするおそろしいシーンとか絶対嫌だけど好きです。公開当時、人の評判を聞いて「この映画好きそう!」とは思ってたんですが、案の定好きな映画だったのでやっぱり好きそうって思ったらなるべく映画館に行こうって反省しました。

2位は「イット・フォローズ」。私は”人間”が怖い映画が好きと自負してるんですが、心霊物はあんまり好きじゃないんです。でも、これは童貞の成長物語として美しかったし、そして怖かった。
手前で他のやりとりが進行しているシーンの背景でイット・フォローズがどんどん近づいてきていることが観客だけに見える絵の「あ!あれ!ちかづいてきてるるぅぅぅ」てなる感じとか今思い出してもゾワゾワして好き。この映画を見た後日、DJ掟ポルシェのしつように女性を追いまわすプレイスタイルを見て「あ、イット・フォローズみたい」と思って映画がよけいに好きになりました。(掟さん好きなので)

1位は「ノック・ノック」。イーライロス監督が好きっていうのもあるんですが、キアヌ・リーブスのイケメンなのに情けない哀愁がつねにただようルックスを使い”情けない”をめっちゃ濃縮して演出してくるイジワルな感じが大好きです。ハニートラップをかけにわざわざ家まで来る謎のジャスティスウーマンたちも怖いし面白い。終盤ハニートラップにあらがえるはずがないと「ぼくがどうできたっていうんだ!」とキアヌが哀しく叫ぶシーンに、「据え膳食わぬは男の恥」っていうのも結構つらいんだなと感じました。ハニートラップをかける美女役を自分の嫁に演じさせる悪趣味なとこも含めて好き。

今年最も印象に残ったシーンは「ゴーストバスターズ」のエンドロール。おバカイケメン ケヴィン(クリス・ヘムワーズ)のダンスとブロマイドの数々。見ていて、ものすごい幸せな気分になりました。女性アイドル好きの私ですが、普段生写真とか買わないんですが、「あのケヴィンのブロマイドが物販で売ってたら全部買うわ!」って思いました。何かを警戒してか「イケメンとか興味ないし!」ってマインドの自分の男性観がかわるエンドロールでした。女をだまそうとするイケメンは怖いけど、バカなイケメンなら構えず愛せる。男も顔がよくてスタイルがいいのってすげーいいなって、当たり前のことに気が付けました。

ワースト1は「リリカルスクールの未知との遭遇」。たぶんもっと本数見ていたらこれ以上に嫌いな映画もあったと思うんですが、今年見た中では単純に他の映画よりもつまらなかったからワーストにしました。劇中のラップシーン、ミュージカル調のもライブシーンのも好きじゃなかったんですよね。。。そのせいか、映画を見て以降なんだかリリカルスクールへの興味も減退してしまいました。

くららがたったのシネマランキング(2016年)

1 ノック・ノック
2 イット・フォローズ
3 ヒメアノ~ル
4 FAKE
5 クリーピー 偽りの隣人
6 マジカル・ガール
7 ちはやふる -上の句-
8 アイアムアヒーロー
9 シンゴジラ
10 ドント・ブリーズ
11 オデッセイ
12 キャロル
13 この世界の片隅に
14 ストレイト・アウタ・コンプトン
15 ハッピーアワー
16 牡蠣工場
17 後妻業の女
18 ヤクザと憲法
19 ロブスター
20 ヘイトフル・エイト
21 シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
23 ゴーストバスターズ
23 HiGH&LOW THE MOVIE
24 クリード チャンプを継ぐ男
25 ちはやふる -下の句-
26 君の名は。
27 ズートピア
28 サウスポー
29 デッドプール
30 HiGH&LOW THE RED RAIN
31 劇場版 501
32 ワタシが私を見つけるまで(未公開 原題:How To Be Single)
33 はじまりはヒップホップ
34 闇金ウシジマくん ザ・ファイナル
35 31
36 マイケル・ムーアの世界侵略のススメ
37 青春100キロ
38 KING OF PRISM by PrettyRhythm
39 リリカルスクールの未知との遭遇

2016年5月14日土曜日

ちはやふる 下の句

























戦闘モードはキメ服で
監督:小泉徳宏
上映時間:103分
パンフレット:620円(★★★☆☆:漫画と並べやすいようにかコミックサイズ。各キャスト競技かるたの特訓をしたのが伝わってきます)

先に「上の句」をすでに見た映画友達複数が「これは面白い!」「侮っててすまん!」とすごい誉めていたので、「下の句」が公開してすぐの昭和の日(4月29日)に「上の句」「下の句」をインターバル10分で連続で鑑賞しました。「上の句」も「下の句」も出演者のきらめきと部活を打ち込む青春のきらめきがオーバーラップしてまぶしくかった!特に、陽的に周りを照らす広瀬すずと静的に燃える松岡茉優が対峙した時の画面はずっと見ていられるドキドキ感ありました。そしてなぜか、競技かるた戦じゃなくて、普通に会話しているシーンのほうがドキドキしました。
ちょっと残念だったのは、「上の句」「下の句」と連続で見たせいで、「上の句」余韻にあまり浸れなかったこと。「上の句」は”仲間がいる楽しさと出来ない自分”を知った机くんの葛藤が、学生時代にどの部活でも「あまり出来ない部員」だった私には個人的に刺さりまくって号泣メーンでしたし、「いまは”ちは”しか見えない」という太一の台詞には学園恋愛物として超胸キュンで、反芻したい余韻がいっぱいでした。「下の句」は、「上の句」でチームが出来たからこそ出来るチームの内部分裂物。それはそれで全うな作りなんですけど、「シビルウォー」みたいに派手にバトルして分裂するわけじゃなくて、地味な心のすれ違いでモヤっとする感じなのであとで反芻したい感じではなかったです。
「上の句」には出てこない、かるたクィーン若宮詩暢演じる松岡茉優が「下の句」で登場し、部活物として天才の孤独というのも見れ作品として質の違う楽しさが生まれててよかったです。あと、新の家に干してある「原宿限定おめかしダディベアタオル」に詩暢ちゃんが「きゃ~!」ってなるシーンは、普通にヲタクモードで興奮する松岡茉優さん(ハロヲタ)の顔になってて「え、もしかして、元モーニング娘。の鞘師里保が庭にいるのか!」ってわりと本気で思いました。かるた戦という戦いの場に超ダサい格好で行く姿も、本気のアイドルヲタっぽくて個人的に萌えました。いや~、こんな魅力的な女優さんが我が軍にいると思うとうれしいし、かるたクィーンが同志だと思うとめっちゃ心強くなりました!

2016年5月3日火曜日

マジカル・ガール


魔女をカモにするもんじゃない
監督:カルロス・ベルムト
原題:Magical Girl上映時間:127分
パンフレット:700円(★★★★☆:カルロス・ベルムト監督と園子温監督の対談が和やかな雰囲気で愉快)

「マドまぎ」っぽい?現実版魔法少女?みたいな噂を聞いて気になっていたので見に行きました。
「日本ヲタク外国人の新たな才能あらわる!」っていう感じで、異国から憧れられる日本が見られて日本人としてはありがたい作品でした。パンフレットを読むとカルロス・ベルムト監督は、日本大好きで年に4ヶ月は東京に住んでいるとのこと。とはいえ、日本が扱われてるから面白いのではなく、直接描写は避けているのに残虐さや暴力性が溢れているところも好きでした。車椅子の超Sセレブがどんなことをバルバラにしたかまったく見せないのに、その傷の加減でこっちに想像させる手法とか。2回目の傷の具合とかイグアナみたいになってたもんな~。
個人的には、一昨年見たリドリー・スコット監督の「悪の法則」とすごい似た印象を受けました。「悪の法則」のカウンセラーと同じくこの「マジカル・ガール」の父親も、うまく儲け話を回せているつもりがいつのまにか止めようにも止まらない運命の轍にはまってしまっている、その運命に逆らえない感とかスペイン語とか「マジカルガール」の娼婦斡旋(?)しているっぽい女性の邸宅が「悪の法則」のハビエルバルデムの邸宅とか、私的には似てるところがたくさんに感じました。と、「悪の法則」のこと書いていたら、ずっと見たいと思って見れてない「悪の法則」ディレクターズカット版がまた見たくなってきました。
「マジカルガール」のラスト近く、バルバラ関連のアレコレで長い懲役食らっていたおじいちゃん・ダミアンが、魔法少女に憧れる娘の父親ルイスから「ルイスはバルバラを襲ったんではなく、ルイスとの浮気をネタに強請っていただけ」という真相を知らされて、当初はルイスを殺す気がなかったのに、突然気がかわって殺してしまったのがちょっと謎でした。ルイスを殺したのは、バルバラを守るためだったというよりは、「バルバラに嘘をつかれた」怒りと「こんなおっさんがバルバラを抱いた」という嫉妬だったように感じました。こうやって、色々解釈の余地があるのもこの映画の面白いところ。しかし、ダミアンもルイスも2人とも街歩きに半ズボン履いたな~。スペイン人のおじさんの半ズボン姿はなんかかわいくて似合うな~って思いました。

2016年4月30日土曜日

ヤクザと憲法


安全圏で扉を開ける贅沢
監督:ひじ方宏史
上映時間:96分
パンフレット:600円★★☆☆☆(監督が語るドキュメンタリーの神様の話がおもしろい)

もう1ヶ月以上前に見たんですが、感想を書かずじまいだったので少しだけ書いておきます。モーニング娘。鈴木香音さんのラジオの公開収録に当選し、その参加のために半休を取った日にちょっと時間にゆとりがあったので時間的にちょうどよかったこの映画をみました。アイドルを見る前にヤクザを見るっていうのが、シチュエーション的にワクワク感ありました。
絶対に自分では足を踏み入れないだろう世界を画面越しではあるものの間際で見せてくれるのがドキュメンタリー映画のすごいところだな~とあらためて感じさせてくれました。この映画とか近年見た中だと「アクト・オブ・キリング」とか「アルマジロ」とか、自分では絶対直接触れ合わない世界を安全圏で見れることにすごい贅沢を感じます。私はテレビではドキュメンタリーものをあんまり見ないのですが、テレビでも真剣にみればこれくらいのジリジリを感じることが出来るのかな。この作品は東海テレビ制作ですが東海テレビのドキュメンタリーは評判がいいので、テレビでも見てみたいな~って思いました。
映画の中で特に印象に残っているのは、山口組の顧問弁護士の山之内さんが自身が起訴され判決を聞きに行く際に事務員のおばちゃんがネット上で先生の「今日の運勢」を見て「占いはいいみたいだから!」と先生に明るく発破をかけていたところ。法と占いっていう組み合わせがなんか新鮮で面白かったし、おばちゃんの明るさに先生救われてるんだろうなって感じました。

2016年4月9日土曜日

ヘイトフル・エイト


ほとんど乙武くんの謎
監督:クエンティン・タランティーノ
上映時間:168分
原題:The Hateful Eight
パンフレット:880円(★★★★★タランティーノのえりぬき西部劇ランキングや過去作の説明などなど超充実してる!劇中では鮮明にはうつされないリンカーンの手紙がのってて読むと感動する)

最近、前ほど映画見ていないとはいえ「前作「ジャンゴ」が超面白かったし、タランティーノの映画は映画館で見たいよな~」と思い見に行きました。終盤に分かりやすいカタルシスがある前作「ジャンゴ」のほうが好みでしたが、「ヘイトフル・エイト」も「贅沢な映画を見たな~」という満足感でいっぱいになる映画でした。
すべての人が何かしらの偏見の気持ちを持ち、偏見を受ける側の人は自分を守るために相手を攻撃をしたり技術を使ったりするというのがよく見てとれる映画でした。一番動きがあって好きなシーンは、マーキス・ウォーレン少佐(サミュエルLジャクソン)が、老将軍に「お前の息子はオレのナニをしゃぶって死んだんだ」と侮辱し相手の怒りに火をつけて、銃を握った相手に一発ぶっこむシーン。相手を殺すことを正当防衛とするために、相手の自分に対する偏見の気持ちを逆手に取って怒らせわざと攻撃させるところが鮮やかでした。
ちなみに、この映画を鑑賞済みの友人たちと飲んだ時、友人の一人が「「ヘイトフル・エイト」は、ほとんど乙武くんだから!」と言っていて、「意味がわからないけど、すげ~ひっかかる」とその日からその解釈をずっと考えていました。私的には「隠しもっていた偏見の気持ちがある出来事を機に表出する」ことを言っているのかなぁ(最近の乙武くん不倫騒動において、それを機にネット上で一時乙武くん大喜利が起きていた)と思って、後日その友達にあった時に伝えたんですが・・・友人に「え、そんなこと言ったの!?おぼえてない!」って返された。「ずっとその意味を考えていた、私なんだったんだ!」と思うとともに、酔っぱらって記憶のないうちに意味ありげな面白いことを言える友人が羨ましくなりました。

2016年3月31日木曜日

2016年3月に見た映画

3月は劇場で映画2本しか見てませんでした。「牡蠣工場」と「ヤクザと憲法」とどちらも日本のドキュメンタリー。わりと身近にありながらも見ることを躊躇してしまう世界をじっくり見ることが出来て、面白かったです。
「牡蠣工場」はブログに感想書いたけど、「ヤクザと憲法」は書けてない。書こう、書こうと思っても毎日だらだらしているうちに知らないうちに寝てしまってる。。。去年まで毎週、ムービーウォッチメンに投稿してた自分すごいな~って思います。(自由な時間増えたはずなんだけど、ただだらだらしてしまってる気がする)

そういえば、猫町倶楽部のアウトプット勉強会で課題本がずっと読みたかった「スクリプトドクターの脚本教室」だったので「この機会に読もう!」と思って参加したら、なんと飛び込み参加でブルボニストでヌイグルミのグルである著者の三宅隆太さんが来てめっちゃうれしかったです。
本で逆パコ起こしして紹介されていた「ブルーサンダー」をせっかくなのでTSUTAYAで借りて見たんですが私はあまりピンとこない作品だったので、「なんで、この作品逆パコおこしで取り扱ったんですか?他の作品だと権利上の問題とかあったんですか?」と聞いたところ「心が動いたから」と答えていただきました。その返答に、三宅さんの人柄を感じてますます好きになりました。この本と三宅さんのお話で、映画は経済やしがらみなど色々な制約がなかなか避けられないものだということと時間芸術だということが実感出来ました。自分の映画の見方が少し変わったように思います。

2016年3月21日月曜日

牡蠣工場

これしか出来ない、だけじゃない
監督:想田和弘
上映時間:145分
パンフレット:600円(★★★☆☆:表紙と裏表紙でつながっている牡蠣工場の写真がかっこいい。牛窓に行きたくなる)

「レディースディだし、最近映画見てないから何か見たいな~」と思い、会社帰りに見に行きました。「せっかく牡蠣を扱ったドキュメンタリー映画だし、時間もあるから映画の前に牡蠣を食べよう!」と映画前に映画館階下にあるお寿司屋さんに行きました。お寿司とカキフライと茶碗蒸しと赤だしを食べて、お会計2,403円。お寿司にしてはお値打ちだけど、レディースデイでお得に映画を見るはずがけっこうお金使っちゃいました。しかし、映画を見る前に牡蠣を食べたのはよかった。牡蠣がお値段するのもそりゃ納得だ・・・と牡蠣漁、牡蠣むき、出荷の工程をありがたい気持ちで見ました。
舞台となる岡山県牛窓の牡蠣工場のうちの1つは、前経営者の血縁ではなく震災のため宮城県から被災してきた渡辺さんに継がれていました。映画の撮影期間中に、自分の工場に初めて中国人労働者を雇いいれることになった渡辺さんは牡蠣工場の仕事を自ら「3K(きつい・汚い・危険)の仕事」で日本人には成り手がないと言っていました。でも、想田監督に「じゃあ、なんで他の仕事をしないんですか?」的な質問を投げかけれたところ、「他のことが出来ない」と消去法的にネガティブな返答をした後、「これ面白いですもん」とポツリと言ったのがすごいよかったです。牡蠣工場の仕事は、映画上でも渡辺さんが言うように3Kに見えます。でも、同時に見ていて面白そうにも見えたんです。1次産業の面白さってそんなに語られないし、もちろん厳しい部分が大きいから面白さだけで語るのも変だと思います。ただ、「牡蠣工場」で働いている人たちは選択肢がないからそこで働いているだけじゃなくて、それ以外の理由も持っているそこでで働いているんだと作り事じゃなく本音の声として伝わってきてました。