過ぎゆく黄砂2024/04/26

20240426-070000黄砂
今朝の気象衛星ひまわり画像を見てビックリ。まぁ予想されていたことですが、東北地方や北海道が茶色に染まっていました。左画像は26日7:00の画像(画像元:NICT/画像処理・地図は筆者)。かなり濃い黄砂が通過したんですね。関東辺りはどうにか免れているようですが…。

20240425-170000黄砂
ちなみに右画像は同じエリアの25日17:00の様子。黄砂の塊が大陸の東海岸に沿って曲線状に固まっていました。夜の間に日本海を渡ったのですね。

偶然ではありますが、23日ごろギリシャ一帯にサハラダストが飛来したと言うニュースが流れていました。サハラ砂漠の砂も地中海や大西洋を越えて別大陸まで飛んで行くわけで、黄砂と比較にならない規模です。遠景が霞むどころではなく、空の色が変わってしまうほど。いずれ地球は氷が無くなり、水も無くなり、砂だけの惑星になってしまうのでしょう。

明るくなってきた紫金山・ATLAS彗星2024/04/26

20240425_紫金山・ATLAS彗星(C/2023 A3)
昨夜から今朝にかけて雲が残ったものの、星が見えていました。夜半前から月明かりがあったのですが、日付をまたいで久しぶりに紫金山・ATLAS彗星(C/2023 A3)に望遠鏡を向けました。

モニター画面でもしっかりした像が確認でき、カーブした尾も写りました。頭部が押しつぶされたように感じます。光度は10等中盤といったところでしょうか。概ね予報通り、順調に明るくなっていますね。崩壊しない限り、このぶんなら間違いなく肉眼光度に達するでしょう。今年9月下旬から10月上旬の明け方、そして10月中旬以降の宵空でどんな雄姿を見せてくれるでしょうか。とても楽しみです。

なおこれとは別に先日発見されたATLAS彗星(C/2024 G3)も来年1月に肉眼光度になる予報が出ています。ただし1月までは日本から見えない南天の空、明るくなる頃は太陽に近過ぎて見えない、という残念な状況です。この彗星は太陽観測衛星SOHOの写野にギリギリ入るかも知れないので、それが唯一の観察手段になりそうです。

【追記:尾の向きと長さ】
20240426紫金山・ATLAS彗星(C/2023 A3)の軌道
NASA-JPLのSmall-Body Database Lookupを見てみると、4月下旬現在の紫金山・ATLAS彗星は太陽と地球を結ぶ線の延長近くにあって、つまりは黄道面からあまり離れず衝の位置にも近いことが分かります。また偶然ながら彗星赤緯が0°に近いことから、地球赤道面からも離れていません。彗星の軌道傾斜が140°近くもあるのに、実に面白いことになってますね。

ざっくり言って尾が太陽と反対に伸びているものとすれば、現在の尾は地球から見て視線方向の奥側へ向かっていることになります。例え長く伸びていても実物の長さを感じ取れない方向で、言わば停止流星みたいな見え方です。いま見えているのは、重力の影響で尾が太陽と正反対の方向から逸脱している、このズレ量の影響が結構大きいと思われます。6月中旬くらいになると西矩の位置までやってきて火星軌道に近い距離にもなるので、尾の様子を横からじっくり眺められるようになるでしょう。梅雨ですけどね…。


今日の太陽2024/04/25

20240425太陽
梅雨のような天気が続き、星月はおろか太陽もずっと見えませんでした。今日ようやく青空が戻りました。と言っても予報から5、6時間遅れた変化で、午前中は曇り、午後は快晴で気温が25度超え。エアコンを入れていない室内は30度近くになりました。

20240425太陽リム
左は14:30ごろの太陽。実に六日ぶりの観察です。配置も番号もかなり入れ替わっていました。細かな黒点がビッシリで、見えている活動領域数は実に19ヶ所。今期最大かも知れません。X線フラックスはMクラスとCクラスとを行ったり来たりしています。左リムのプロミネンスがとても豪華です。

ポン・ブルックス彗星は見納め2024/04/20

20240419木星、天王星、ポン・ブルックス彗星
昨夕は黄砂の影響が酷くて低空が霞んでいました。でも雲が全く無かったので、つい西空に目を向けてしまいます。木星を頼りに画角からポン・ブルックス彗星(12P)を見つけ出しました。

左画像の撮影は日没から約50分後。どこに何が写っているかは右下のマーカー付き画像をご覧ください。このときの彗星高度は約7.3°。下部のベルト状の影は電線。低過ぎますね…。黄砂がなかったらもう少しはっきり写ったかも知れません。でもこんなしょぼくれ画像でも緑のコマや極く淡い尾が見て取れます。

20240419木星、天王星、ポン・ブルックス彗星
明日以降、およそ一週間近く晴天が望めません。一週間後に晴れたとしても同じ時刻なら木星も彗星も5°以下になっていますから、西が海岸でも無い限り写真も眼視も無理でしょう。ということで、文字通り昨夕は見納めでした。

この後いったん日本から見えなくなりますが、来年夏以降はさそり座やへびつかい座をうろうろしつつ遠ざかりますから、大きめの望遠鏡で見ようと思えば見えます。4年くらい経つと23等、二十数年後は30等、36、7年後に最遠から折り返してまた太陽へ向かってきます。次の接近は2095年ごろでしょうか。見たい方はがんばって長生きしてくださいね。

なお木星と天王星は4月21日12:20ごろに0.508°まで接近します(日本経緯度原点での測心計算)。低空なので迫力ありませんが、離角は満月直径と同程度ですから大接近ですね。

【追記】
夜になって月が南中を過ぎたころようやく風が収まってきたので望遠鏡を向けてみました。黄砂でくすんでいたのは大目に見るとしても、シーイングの酷いこと、酷いこと…。撮影を躊躇うほどです。上空の一等星が瞬いていましたから推して知るべし。無理に撮った中から二枚を下記に掲載。

明暗境界はコペルニクス辺りかと思ってたら、もっと進んでいました。悪天候で何日も月を観ていないと感覚狂いますね。虹の入江が美しく輝き、ガッサンディの東壁が夜明けを迎えていました。大きな地形は分離するものの、細かな谷など細部は解像しません。ヘルメットのアヒルの親子が良い塩梅で照らされていました。

  • 20240419虹の入江、雨の海

    A.虹の入江から雨の海
  • 20240419湿りの海、ブリアルドゥス、ハインツェル

    B.湿りの海からハインツェル