東北自動車道・仙台北部道路の富谷JCTをフルジャンクション化するという話が話題になっていて、
図を見たら、なんだこれ? となった。
この別紙2のJCT改築事業に書かれているのだが、既存の東北道両方面~利府方面のランプに、
Uターン路を加えることで、富谷ICから東北道両方面が利用できるようになるというもの。
富谷ICに東北道の出入口の役目を持たせるためにUターン路を加えるわけである。
いろんな意味でフルジャンクション化のイメージと合わない事業である。
このUターン路を加えることでフルジャンクションにするという手法は、
新名神の亀山西JCTで採用されたことが知られている。
E1A新名神高速・亀山西JCTの名古屋・伊勢ランプウェイが12月21日開通 (KURU KURA)
分岐して反対の車線にUターンするだけというには大がかりな施設である。
新名神の四日市~亀山の開通時にはこのUターン路は工事中だった。
当初の計画にはなかった施設なのだが、要望もありあとから追加された経緯がある。
新名神の亀山西JCTと東名阪道の亀山JCTを連絡路で結んだ構造で、
実質的に2つで1つのジャンクションで、こういう使い方が想定される。
- 新名神 京都方面 ⇔ 東名阪道 四日市方面
- 新名神 京都方面 ⇔ 伊勢自動車道・名阪国道方面
- 新名神 四日市方面 ⇔ 伊勢自動車道・名阪国道方面
- 新名神 四日市方面 ⇔ 東名阪道 四日市方面
1.は草津~亀山開通時のメインルートだったし、2.も京都~伊勢・熊野方面などで有用。
一方で、3.は四日市JCTから東名阪道を走ればよく、4.は同じ方面に戻るということで有用性は見いだしにくい。
このため亀山西JCTは当初計画では3.と4.の往来に対応しない計画だった。
必要性に乏しいという以外に地形上の問題もあったらしい。
一方でせっかく東名阪道と新名神が平行して走っているのだから、
お互いのトラブル時に補完できるようなルートを用意しておくと役立つ可能性はある。
普段は3.の使い方はしなくても、東名阪の四日市~亀山で通行止めが発生したとき3.のような利用が出来ればスムーズに迂回できる。
また、新名神の四日市~亀山西には菰野IC、鈴鹿PAスマートICと東海環状自動車道の分岐がある。
亀山西JCTで3.や4.の通行が可能になることでこれらの利用の幅も広がるとは言える。
もっとも菰野IC・鈴鹿PAについては東名阪の鈴鹿ICの利用も容易に見えるし、
東海環状自動車道については四日市側で東名阪と接続する方が実用的に思える。
東名阪で渋滞など発生したときの二次的ルートに過ぎない気がする。
実態としては四日市JCTで東名阪に入るべきだったのにそれに気づかずに亀山まで来てしまった人を救済するという目的が大きいのでは?
実際、亀山西JCTがフルジャンクション化される以前は、
この分岐が出来ると思い込んで亀山まで来た人が土山ICなどで転回する事例が多発していたという。
Uターン路が完成したことで、一応は正規の分岐ルートということになった。
ただ、Uターン路に分岐して合流して、さらに分岐するという走り方は、
一般的なジャンクションとはだいぶ違う構造で迷いやすいように思える。
前後のルート取りなども加味すると全体的に走行距離もかさみやすいので、
選択肢としては存在するが積極的に使うルートではないんじゃないか。
話は戻って富谷JCTの話。
富谷JCTが東北道と利府方面との往来に特化していたのは、もう一方が富谷ICしかないからである。
この先に延びる構想でもあれば違ったと思うのだが、そういうのはない。
この仙台北部道路というのは 仙台都市圏環状自動車専用道路 を構成する道路である。
環状道路から角のように飛び出たところが富谷ICである。
ここが飛び出ているのは国道4号線と接続することが目的である。
仙台北部道路~三陸沿岸道路~仙台東部道路をバイパスとして活用できる。
一方でこの付近では東北自動車道と国道4号線は平行して前後にインターチェンジもある。
あえてここに東北自動車道との接続機能を持たせる必要はないと判断したのは理解できる。
一方でこの周辺は宅地化が進み、コストコへの買い物の人も来る。
なので、ここでピンポイントに東北自動車道と接続できることはメリットがあると見たのではないか。
現在、富谷JCT~利府しらかし台ICで4車線化が行われており、
これと連動してUターン路を設置すれば、あとは既存の施設で対応できる。
亀山西JCTの場合は地形上の問題でやむなくこうなったとされているが、
富谷JCTについてはそこまでの理由はなさそうに思える。
安上がりだから? と言われてたけど本当に安上がりなんかね?
今回は4車線化と連動してやるならコストは抑えられそうだが。
亀山西JCTについては既設の高架橋を拡張したり、Uターン路のための造成もそれなりで、これはこれでお金かかってるんだよね。
目的も亀山西JCTは東名阪の迂回路など広域的なものなのに対して、
富谷JCTは富谷IC付近のローカルな利用に対応したもので比べるもんではないだろうが。
ただ、なぜその往来が当初想定されていなかったのかという事情はどちらもよく理解できますね。
フルジャンクション化ということで思い浮かぶのが松原JCTですね。
とはいえ、これまで松原JCTで近畿自動車道と阪神高速を乗り継いで使うことは想定されていなかった。
そりゃそうだ。近畿自動車道から大阪都心なら東大阪JCTから13号東大阪線を使うからな。
しかし、大和川線が開業すると湾岸線へのアクセスにも松原JCTが使われることになる。
これまでは13号東大阪線~16号大阪港線を使っていた需要が大和川線に転換するということだ。
それに対応して近畿自動車道と阪神高速をつなぐランプウェイが増設された。
大和川線の開通によりフルジャンクション化の必要性ができたので作ったと。
新しい道路が開通することで既存のJCTの拡張が必要になることもある。
これは理解しやすい話だと思う。亀山西JCTにも富谷JCTにもこういう考えは当てはまらないが。