車と車の流れの間を、
脚を十本ぐらいにして猫が駆け抜ける。 道の向こうには 待っている家族が居るかもしれない。 小さなお気に入りの場所が或るのかもしれない。 カナラズも、エイエンも、分からないまま、 君は駆け抜けた。 アスファルトとタイヤに囲まれた場所で 君は生まれて、小さな世界を知って、 小さな時間を生きる。 刹那と刹那の流れの間を、 小さな永遠を抱えて猫が駆け抜ける。 僕は君達が刹那を避けきれずに アスファルトに永遠を零してしまうのを何度も見た。 この世界が君達に強いている事を、 僕は取り除く事もできず、 明日も明後日も、 君達が無事に道の向こう側に辿り着く事を、 祈るばかりだ。 車と車の流れの間を、 地上20センチの視線で捉えて猫が駆け抜ける。 鉄とコンクリートの中では、 小さな命はもっと小さく見えて、 けれどその分、温度や光は凝縮されて、 そんなふうに生きるべきなのは、 みんな同じだけれど、 僕は祈るばかりだ。 今日も永遠が続きますように。 #
by maekawaz
| 2012-02-19 11:13
| 詩集
駅前に住んでいた頃は
息を止めたままでも駅まで辿り着いたし、 新幹線だってSLだってすぐに飛び乗って、 宇宙の果てにでも行けたけれど、 引っ越してからは、 一日や二日歩いたぐらいでは 駅には辿り着かないし、 飛び乗るべき一輪車も二輪車も 錆付いてイライラするんだ。 あの頃見た宇宙の果てだって、 なんだかマボロシのような気がするんだ。 でもね、 うちにテレビがあるんだけれど、 うちのテレビはちょっと嘘つきなんだけど、 宇宙の果ては拡がっているって、 テレビが言っていたから、 本当かどうか分からないけど、 俺はナルホドナって思ったね。 道理で昔ほど簡単に辿り着かないんだナ、 遠い遠い駅までの道のりの途中で 追い越して行く車輪の錆の音も軽やかに、 それでも僕は歩いている。 #
by maekawaz
| 2012-02-05 00:32
| 詩集
この川はドウヤラ、
海まで行くらしいから、 手紙をビンに詰めたから、 もうすぐ届くと思います。 もしもアナタの受け取る場所が 川の上流だったらすみません。 ちょっと時間が掛かるかも。 けれど僕は確実に、 手紙をビンに詰めたから、 いつかは届くと思います。 ビンの中身の手紙はすべて、 アナタに届くと信じてる 祈りの言葉ばかりだから #
by maekawaz
| 2012-01-22 12:00
| 詩集
|
カテゴリ
フォロー中のブログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||