本・書評
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「成瀬を育ててくれた」 本屋大賞・宮島さん 県の読者に感謝 /滋賀
2024/4/20 05:08 495文字2024年本屋大賞を受賞した「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社)の作者、大津市在住の宮島未奈さん(40)が18日、県庁の三日月大造知事を訪問し、受賞の喜びを語った。 同作は宮島さんのデビュー作で、地元・大津を愛する主人公の少女、成瀬あかりの日常を描いた青春小説。閉店した西武大津店、県立膳所高、とき
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徳川昭武の人柄知って 最後の水戸藩主 多彩な趣味紹介 千葉の短大生が絵本制作 /茨城
2024/4/20 05:06 457文字明治維新後、千葉県松戸市に居を構えた最後の水戸藩主、徳川昭武(1853~1910年)を子どもたちに知ってもらおうと、聖徳大学短期大学部(松戸市岩瀬)の保育科の学生有志「まつどソング研究グループ」が絵本「とくがわ あきたけ―まつどにくらしたおとのさま―」を制作した。 完成した絵本はAB判カラー26ペ
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林学博士・本多静六、没後70年で写真集 「公園の父」素顔の足跡 希望者に配布 埼玉・顕彰する会 /東京
2024/4/20 02:01 807文字「日本の公園の父」と呼ばれる本多静六(1866~1952年)の足跡をたどる写真集を、出身地・埼玉県久喜市で活動する「本多静六博士を顕彰する会」が出版した。希望者には無料で配布する。 同会が没後70年を記念して企画した。本多家が久喜市に寄贈した写真などから計180点を掲載。タイトルの「人生即(すなわ
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今週の本棚
飯島洋一・評 『マッカーサー…』=リチャード・B・フランク著、ブライアン・ウォルシュ監訳、ウォルシュあゆみ訳
2024/4/20 02:00 1421文字◆『マッカーサー 20世紀アメリカ最高の軍司令官なのか』 (中公選書・2530) ◇絨毯のサイズに部屋を広げた男 ダグラス・マッカーサーとは一体どのような人物だったのか。 日本占領中に、第一生命ビルに執務室を構えた時、マッカーサーが持参した絨毯(じゅうたん)が部屋の床の寸法よりも大きかった。普通な
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今週の本棚
湯川豊・評 『キャラメル工場から 佐多稲子傑作短篇集』=佐多稲子・著、佐久間文子・編
2024/4/20 02:00 1385文字(ちくま文庫・968円) ◇貧しかった昭和、ありありとよみがえるいま、佐多稲子を読むと何を感じるのだろう。そう思いながら目次を見る。短篇が全十六篇、うち戦前の作品が四篇である。 デビュー作でもある「キャラメル工場(こうじょう)から」(一九二八年)は、プロレタリア文学の代表作とされる名篇だが、目次の
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今週の本棚
『ウクライナ侵略を考える 「大国」の視線を超えて』=加藤直樹・著
2024/4/20 02:00 475文字(あけび書房・2200円) ロシア軍のウクライナ侵攻当初から日本でも次々に現れたロシア擁護論やウクライナ批判、「即時停戦」論や「どっちもどっち」論などを批判し尽くした。著者は、反ヘイトなどで知られるノンフィクション作家。開戦後、イラク反戦などで活躍してきた周囲の友人・知人らが、続々とロシア擁護など
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今週の本棚
『本屋のない人生なんて』=三宅玲子・著
2024/4/20 02:00 496文字(光文社・2090円) 目次には本屋好きなら聞いたことがある書店の名前が並んでいる。本書は、その店の紹介、というよりも本屋を営む人、携わる人の半生に迫ったノンフィクションといえる。本屋を生業(なりわい)とするやりがいと困難。人はなぜ本屋を望むのか、町になぜ本屋が必要なのか。その問いの答えが、行間か
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今週の本棚・CoverDesign
鈴木成一・選 『プレゼントでできている』
2024/4/20 02:00 138文字何気なく見てしまうが、クラフト紙にプロセス4色+(おそらく)特色1色の5色刷り、という気の使いよう。「ゆるさ」や「素朴」を「積極的」に表現したカタチである。 ◆ お笑い芸人で漫画家のコミックエッセー『プレゼントでできている』(矢部太郎著・新潮社・1210円)より。
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今週の本棚
『カレー移民の謎』=室橋裕和・著
2024/4/20 02:00 476文字(集英社新書・1320円) 街中には、手軽な値段でおなかいっぱいに楽しめる「インドカレー」の店がたくさんある。ただ本書によれば、経営しているのはネパール人。出されるのはインド料理でもなく、ネパール料理でもない。店は「インネパ」と呼ばれるとのこと。なぜインド人の経営ではないのか。どうしてネパール料理
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今週の本棚
ジョエル・ヨース評 『人が人を罰するということ 自由と責任の哲学入門』=山口尚・著
2024/4/20 02:00 1375文字(ちくま新書・1012円) ◇人間の生の営みにも光当てる洞察 罰は、なるべく受けたくない。しかし、罰はあらゆる人間社会に存在する。秩序は罰で保たれるが、権力による悪用も多々ある。罰のない社会はありうるのか、望ましいのか。 本書は人が人を罰することの根源的意味をさぐる哲学入門書である。大阪工業大学で
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今週の本棚
橋爪大三郎・評 『神論 現代一神教神学序説』=中田考・著
2024/4/20 02:00 2081文字(作品社・3960円) ◇イスラム神学と現代文明ニヒリズム対比 中田考氏は篤信のムスリムでイスラム研究者。そして本書は神学書。神学の本を書く日本人は貴重だ。 神学は、神が存在し聖典の内容も正しいと前提して、この世界を統一的に理解する試み。中味は哲学だが信仰の裏打ちがある。イスラムでは今も神学は信仰
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今週の本棚・なつかしい一冊
小川あん・選 『スプートニクの恋人』=村上春樹・著
2024/4/20 02:00 983文字(講談社文庫・748円) 小説の中で、この人物の、この言葉が忘れられない。というのはおそらく誰しもがあると思う。――“なつかしい一冊”と“なつかしい記憶”は結びついている。 「いろんなイメージや、情景や、切れ切れの言葉や、人々の姿――わたしの頭の中にあるときには、みんなまぶしく光って生き生きとして
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今週の本棚
松原隆一郎・評 『Mine!私たちを支配する「所有」のルール』=マイケル・ヘラー、ジェームズ・ザルツマン著…
2024/4/20 02:00 1408文字◆『Mine!私たちを支配する「所有」のルール』=マイケル・ヘラー、ジェームズ・ザルツマン著、村井章子・訳 (早川書房・2310円) ◇だれのモノなのか、難問の数々 日本で平和に暮らす我々は、「所有権」は国から保障されていると漠然と考えている。掌(てのひら)の中のスマートフォンや茶碗(ちゃわん)は
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今週の本棚・編集後記
右隣にある「ベストセラー」の欄では…
2024/4/20 02:00 165文字右隣にある「ベストセラー」の欄では、毎週、本の販売ランキングを紹介しています。今回の1位『成瀬は天下を取りにいく』は、今年の「本屋大賞」受賞作。小説の舞台は滋賀ですが、表紙の主人公が着るのは、プロ野球・埼玉西武ライオンズのユニホームです。一体なぜ……? 気になる方はぜひ、本屋に足を運んでみては。(
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今週の本棚・著者に聞く
藤沢周さん 『憶 藤沢周連作短編集』
2024/4/20 02:00 883文字◆藤沢周(ふじさわ・しゅう)さん 『憶(おく) 藤沢周連作短編集』 (春陽堂書店・1980円) ◇故郷に原点の記憶を探る 60代前半、鎌倉に暮らす物書きの男が時折故郷新潟を訪れ、現在と往還しながら過去に思いをめぐらせる。「6~7割は事実です」と話す10編を収録した連作短編集。老いにさしかかった人間
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今週の本棚・情報
ベストセラー
2024/4/20 02:00 135文字<1>成瀬は天下を取りにいく(宮島未奈著・新潮社) <2>変な家(2)~11の間取り図~(雨穴著・飛鳥新社) <3>ポケット六法 令和6年版(佐伯仁志、大村敦志ほか著・有斐閣) <4>変な家(雨穴著・飛鳥新社) <5>変な絵(雨穴著・双葉社)(日販・総合=16日調べ)
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今週の本棚・話題の本
『川のある街』=早見和真
2024/4/20 02:00 764文字何かを食べながら、音楽を聴きながら……。江國香織さんの小説は、そんな「ながら読書」を許さない。というより、馴染(なじ)まない。決して緊張を強いる文章ではない。むしろこれ以上ないくらい軽やかで、自由で、心地いいのに、一言一句を見逃せない。ふとした瞬間に胸を打つ文章に巡り合う。小説は言葉だとつくづく思
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今週の本棚
『詳解『源氏物語』文物図典 有職故実で見る王朝の世界』=八條忠基・著
2024/4/20 02:00 500文字(平凡社・5280円) 『源氏物語』は時節を得ていよいよ広く読まれているようだ。 しかし千年も昔の話だから小説として読むと細部が知らないことばかり。行事や風習、それに器物など具体的にどういうこと/ものなのか気になってしかたがない。 本書はいわゆる有職故実を絵や図で示した四百ページを超える大著。 原
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今週の本棚
『方舟を燃やす』=角田光代・著
2024/4/20 02:00 501文字◆『方舟(はこぶね)を燃やす』 (新潮社・1980円) 文学の源流にうわさがある。ひとは「つてこと(流言)」に振りまわされる。 一九七〇年代に大流行した「ノストラダムスの大予言」や「口裂け女」の都市伝説。コンピューターが誤作動するという二〇〇〇年問題、災害時に現れる差別的なデマ。米国には影の政府が
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特集ワイド
人間・阿部定、したたる愛 昭和史に残る「妖婦」 村山由佳さんが評伝小説
2024/4/19 13:01注目の連載 2994文字昭和史に強烈な印象を残した「阿部定(あべさだ)事件」の発生からもうすぐ88年となる。最愛の男性をあやめ、局部を切り取って持ち去ったとされる猟奇性から「妖婦」と呼ばれる定。だが、作家の村山由佳さん(59)は、評伝小説「二人キリ」で、好奇の目にさらされながら懸命に生き抜く定を描いている。「『妖婦』に代
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