本・書評
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奈良公園の魅力凝縮の1冊完成 研究者ら18人「極」本 /奈良
2024/5/6 05:02 375文字県が奈良公園(奈良市)の見どころをまとめたガイドブック「奈良公園の案内書~極(きわみ)~」(角川アスキー総合研究所発行)が完成した。歴史地理学者でもある県立図書情報館の千田稔館長(81)が監修。公園の歴史だけでなく鹿の生態、万葉歌や近代文学との関わりまで総合的にまとめた。 2022年に当時の荒井正
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京都・読書之森
京都はこわくない /京都
2024/5/6 05:02 1206文字(仁平綾・著 大和書房、1650円) ◇明るく「いけず音痴」に 今春の転勤に伴い、初めて京都に住むことになった。早速週末に、日本酒がおいしいと評判の居酒屋に繰り出した。常連客と店員が親しげに会話するにぎやかな雰囲気。私にも店員の男性が声をかけてきた。「観光客?」と聞かれたので「最近住み始めました」
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点字毎日 ~読書バリアフリー推進へ~ 作家らが共同声明
2024/5/5 10:02 827文字作家らでつくる日本ペンクラブ、日本文芸家協会、日本推理作家協会の3団体はこのほど、電子書籍など、利用しやすい形式で本の内容にアクセスできることを目指す「読書バリアフリー法」などに賛同する共同声明を出した。2022年のウクライナ侵攻に関する共同声明以来で、作家の方向性を示した意義がある。出版社の対応
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詩はとっつきにくくても…萩原朔太郎を小説「猫町」から読み解く
2024/5/5 08:00 2285文字詩集「月に吠(ほ)える」で知られる詩人、萩原朔太郎。詩は難しそう……と敬遠していたら「朔太郎に面白い小説があります」と大阪府茨木市立川端康成文学館学芸員、井上茉奈さん(26)が教えてくれた。小説「猫町」だ。【三角真理】 「猫町」は、迷子になりやすい「私」が、その「特性」を生かして不思議な町を散歩し
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“小さな命”に心寄せて 東大寺境内に棲む動物 写真家・木村さん「10年の記録」 奈良 /奈良
2024/5/5 05:02 1104文字東大寺(奈良市)の風景や行事の撮影を続ける写真家の木村昭彦さん(69)=奈良市=が3月、その境内に暮らすムササビやイタチなど小動物の姿を追い続けた約10年の記録をまとめた写真集「東大寺境内に棲(す)む動物たち -撮影記録より-」を自費出版した。東大寺の歴史や文化財に関する記録や写真は多いが、動物を
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シェア型書店
出版界の反攻、「ほんまる」に 今村翔吾さん、佐藤可士和さんがシェア型書店 東京・神保町
2024/5/5 02:00 2353文字<文化の森 Bunka no mori> ◇「棚主」の交流や独立、支援も 直木賞作家の今村翔吾さんが4月、東京・神保町にシェア型書店をオープンさせた。これまでも大阪や佐賀で書店を運営してきた今村さんが、なぜ「本の街」に新たに書店をオープンしたのだろうか。 「どうぞ!」。司会のかけ声と共に、参加者が
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エンタメ小説・今月の推し!
箱根駅伝 人々の奮闘/群像小説×麻雀小説=西上心太
2024/5/5 02:00 1047文字箱根駅伝。関東圏の大学によるローカルレースに、なぜこれほど魅了されるのか。その答えは池井戸潤『俺たちの箱根駅伝』(上下巻、文芸春秋)の中にある。 3年ぶりの箱根を目指し予選会に出場した古豪の明誠学院は、わずか10秒差で本戦出場を逃してしまう。自分の不調も一因となった主将、青葉隼斗の落胆は大きい。予
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「反撃に出ます」今村翔吾さん 本の聖地にシェア型書店開設の狙い
2024/5/4 15:00 2345文字直木賞作家の今村翔吾さんが4月、東京・神保町にシェア型書店をオープンさせた。これまでも大阪や佐賀で書店を運営してきた今村さんが、なぜ「本の街」として知られる神保町に新たに書店をオープンしたのだろうか。【松原由佳】 「どうぞ!」。司会のかけ声と共に、参加者が一斉にテープカットをすると、大きな拍手と歓
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今週の本棚・著者に聞く
山口由美子さん 『再生 西鉄バスジャック事件からの編み直しの物語』
2024/5/4 02:01 842文字◆山口由美子(やまぐち・ゆみこ)さん (岩波書店・2200円) ◇加害者の明日を思う被害者 あれから24年になる。17歳の少年が大型連休中に高速バスを15時間半乗っ取り、乗客に切りつけて1人を殺害した事件。被害者の一人で佐賀市に住む山口由美子さんが事件と、その後の長い時間をつづった。「いろいろな出
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今週の本棚
池澤夏樹・評 『山よりほかに友はなし マヌス監獄を生きたあるクルド難民の物語』=ベフルーズ・ブチャーニー著…
2024/5/4 02:01 1940文字◆『山よりほかに友はなし マヌス監獄を生きたあるクルド難民の物語』=ベフルーズ・ブチャーニー著、オミド・トフィギアン英訳、一谷智子、友永雄吾監修・監訳 (明石書店・3300円) ◇詩のための言葉で書かれた告発の書 うっかりすると副題のとおり「難民の物語」として読んでしまうかもしれない。 その線に沿
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今週の本棚
『現代コリア、乱気流下の変容 2008-2023』=A・V・トルクノフ、G・D・トロラヤ…
2024/5/4 02:01 544文字◇『現代コリア、乱気流下の変容 2008-2023』=A・V・トルクノフ、G・D・トロラヤ、I・V・ディヤチコフ著、下斗米伸夫・監訳 (作品社・2970円) トルクノフらロシアの学者が、朝鮮半島の最新の情勢を展望した。南北の政権の内情を鋭く分析、ワシントン、北京、モスクワ…と複雑に絡み合う力学を解
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今週の本棚・話題の本
『むかし話』=吉村和真
2024/5/4 02:01 865文字『男一匹ガキ大将』で少年誌に番長ものを流行(はや)らせ、『俺の空』で青年男性を虜(とりこ)にし、『サラリーマン金太郎』で幅広い層を取り込むなど、マンガ史にその名を刻む本宮ひろ志。近年では伊能忠敬や高橋是清といった日本史の偉人列伝にも注力していたが、近刊を読んで「そうきたか」と、うならされた。 タイ
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今週の本棚
『翻訳に生きて死んで 日本文学翻訳家の波乱万丈ライフ』=クォン・ナミ著、藤田麗子・訳
2024/5/4 02:01 469文字(平凡社・2750円) ニート生活脱出のために一念発起して始めた翻訳。幸運にも仕事を得たが、あなたにはキャリアがないからと他人名義で出版され、料金交渉をすれば関係を切られる。なんとか仕事の幅を広げようと江國香織や吉本ばななについてレジュメを書き、違う出版社に持ち込んでも「誰それ?」というつれない反
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今週の本棚・情報
ベストセラー
2024/5/4 02:01 147文字<1>白鳥とコウモリ(上)(東野圭吾著・幻冬舎) <2>白鳥とコウモリ(下)(東野圭吾著・幻冬舎) <3>変な家 文庫版(雨穴著・飛鳥新社) <4>三体(2)黒暗森林(上)(劉慈欣、大森望ほか著・早川書房) <5>高校事変(19)(松岡圭祐著・KADOKAWA)(日販・文庫=4月30日調べ)
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今週の本棚・編集後記
「今週の本棚」に新しい執筆者が…
2024/5/4 02:01 163文字「今週の本棚」に新しい執筆者が加わりました。歌人で作家の東直子さん。1996年に「草かんむりの訪問者」で歌壇賞を受賞。歌集や小説のほか、自らイラストも手がけるなど、多方面で活躍されています。世はゴールデンウイークのただ中。東さんが紹介した歌集『草の譜』を、開く機会にしてみてはいかがでしょう。(代)
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今週の本棚・なつかしい一冊
浜崎洋介・選 『車輪の下』=ヘルマン・ヘッセ著、高橋健二・訳
2024/5/4 02:00 1046文字(新潮文庫 440円) 遊び回っていた私が、小学生の時に読み切れた本は、デュマの『巌窟王(がんくつおう)』と夏目漱石の『坊っちゃん』くらいのものだった。しかも、それは自分とは距離のある読書で、向こう側に一人の英雄を眺めるだけのものだった。が、中学のときに手にしたヘルマン・ヘッセの『車輪の下』は違っ
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今週の本棚
東直子・評 『歌集 草の譜』=黒木三千代・著
2024/5/4 02:00 1310文字(砂子屋書房・3300円) ◇世界と私を繋ぐ…濃密な30年の短歌 作者は、第2歌集『クウェート』で「侵攻はレイプに似つつ八月の涸谷(ワジ)越えてきし砂にまみるる」と、湾岸戦争を大胆な比喩(ひゆ)を用いて詠み、強烈な印象を残した。 『草の譜』は、『クウェート』から実に30年ぶりの第3歌集。前衛短歌の
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今週の本棚
持田叙子・評 『サンリオ出版大全 教養・メルヘン・SF文庫』=小平麻衣子、井原あや、尾崎名津子、徳永夏子・編
2024/5/4 02:00 1292文字(慶應義塾大学出版会・3960円) ◇独自の言葉でつむがれた「文学史」 それは小さな赤いいちごから始まった――。 1962、昭和37年。絹織物を商う山梨シルクセンターがいちご模様の小物を発売し、ヒットした。時代は愛らしさを求めていた。社長の辻信太郎はキャラクターグッズの展開に舵(かじ)を切った。
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今週の本棚
内田麻理香・評 『私たちを分断するバイアス マイサイド思考の科学と政治』=キース・E・スタノヴィッチ著…
2024/5/4 02:00 1411文字◆『私たちを分断するバイアス マイサイド思考の科学と政治』=キース・E・スタノヴィッチ著、北村英哉、小林知博、鳥山理恵・訳 (誠信書房・2970円) ◇落とし穴を避けられるか、その一歩 SNSの普及以降、世の中は極論がまかり通り滑稽(こっけい)な陰謀論がはびこるうんざりする状況だ。しかし、うんざり
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今週の本棚
『北斎時代の「絵手本」で「絵皿」を解く 花・七福神の巻』=河村通夫・著
2024/5/4 02:00 464文字(淡交社・2640円) 江戸時代、食事に用いる皿に描かれた絵の由来や物語を親が子に教える「絵解き」という文化があったという。ラジオパーソナリティーをしている著者は、四半世紀にわたり江戸の文字や絵皿を独自に研究しており、その成果をまとめた一冊だ。 収集した約1000枚の絵皿の中から、本書は約160枚
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