本・書評
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Interview
角田光代さん(作家) 「信じる」意味、問われる時代 最新長編『方舟を燃やす』
2024/5/27 13:06 1574文字ノストラダムスの大予言、口さけ女、コックリさん――。昭和のオカルトブームを象徴する言葉が小説の序盤にちりばめられている。作家、角田光代さんの最新長編『方舟(はこぶね)を燃やす』(新潮社)は、「信じる」をテーマに戦後日本の「普通の人」を描く物語だ。主人公は1967年生まれの柳原飛馬(ひうま)と、50
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Interview
塩田武士さん(作家) 「虚実の狭間」にあるもの 『存在のすべてを』で渡辺淳一文学賞
2024/5/27 13:06 1468文字社会派小説を多く手がけてきた作家の塩田武士さん。初の週刊誌連載に挑み、2023年9月に刊行した『存在のすべてを』(朝日新聞出版)は、構想に約3年を要した力作だ。今春、第9回渡辺淳一文学賞を受賞し、全国の書店員の投票で決まる24年本屋大賞で3位にも選ばれた。塩田さんは「(代表作の)『罪の声』以来の手
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今週の本棚・次回の予定
6月1日の毎日新聞書評面は『世界最強の地政学』ほか
2024/5/27 11:00 458文字6月1日の毎日新聞朝刊「今週の本棚」で掲載予定の本の主なラインアップを紹介します。 ①佐藤優さん評『世界最強の地政学』(奥山真司著・文春新書) ②ジョエル・ヨースさん評『大邱の敵産家屋 地域コミュニティと市民運動』(松井理恵著・共和国) ③中島京子さん評『女の子たち風船爆弾をつくる』(小林エリカ著
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古書店の始め方、神戸で大相談会 来月15日、入門講座 /兵庫
2024/5/27 05:26 400文字兵庫県古書籍商業協同組合は、6月15日に神戸市中央区元町通4のこうべまちづくり会館で開く「古本屋入門講座 大相談会!」の参加者を募っている。 希望する営業形態別に、実店舗型▽副業型▽ネット型▽ブックカフェなどコミュニティー型――の4ブースに分けて実施する。組合加盟の店主らが、資金や仕入れなど実際の
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京都・読書之森
石の上にも半世紀~総評オルグ50年~ /京都
2024/5/27 05:25 1332文字(稲村守・著 2000円) ◇「運動」の記録生々しく 著者(71)とは取材現場で出会った。早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」を配備した米軍経ケ岬通信所(京丹後市)反対集会、老朽化した関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)の再稼働反対を訴えるデモ行進――。右手を突き上げ、懸命にシュプレヒコール
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自動車図書館、新しく 大型2台→小型4台に 名古屋市 /愛知
2024/5/27 05:04 635文字公園や学校などを巡回する名古屋市図書館の「自動車図書館」が今年度、17年ぶりに新車両に変わり、大型車両2台から小型車両4台体制に切り替わった。26日には、同市中区栄の広場で新車両がお披露目された。 自動車図書館は1956年にスタート。当時、市内には図書館が2館しかなく、図書館を利用するのが不便な地
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点字毎日 英語点字の「縮約辞典」
2024/5/26 10:08 429文字英語点字の「縮約」(略字)の用法が調べられる辞典が8年ぶりに改訂され、点字と墨字で販売されている。点字版には、点字データが付く。 書名は「改訂 英語点字スーパー縮約辞典 UEB&EBAE対応版」(福井哲也著、日本(にっぽん)ライトハウス発行)。点字版は全3巻、2万160円。墨字版はB5判、352ペ
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細部に宿る奥深さ 芥川龍之介「蜘蛛の糸」を専門家と読み直す
2024/5/26 08:00 2260文字芥川龍之介の「蜘蛛の糸」といえば、教科書にも載り、多くの人に読まれている名作。それだけに、時に「いろいろな解釈」が飛び交うらしい。武庫川女子大文学部教授の山本欣司さん(58)は「細かいところまで読み、作品本来のすばらしさを知ってほしい」と話す。その心は――。【三角真理】 改めて「蜘蛛の糸」のあらす
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高校生視点で魅力発信 「中辺路フォトブック」発行 /和歌山
2024/5/26 05:08 330文字熊野三山観光協会(新宮市)は、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を記念し、「熊野古道中辺路フォトブック」を発行した。新宮市の県立新翔高校と田辺市の県立神島高校の写真部が協力し、高校生の視点で中辺路の魅力を伝えている。 フルカラーのB5判、12ページ。中辺路が通る新宮市や那智勝浦町、田
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情熱の筆・山崎豊子生誕100年
山崎作品の社会性 個と組織、描き抜くことで 作家・真山仁さん
2024/5/26 02:00 2366文字『白い巨塔』に『華麗なる一族』、『沈まぬ太陽』――。山崎豊子(1924~2013年)の小説は「社会派」と評されることが多い。その作品群に導かれるようにして作家となり、自身も社会と向き合った作品を多く発表してきたのが、経済小説『ハゲタカ』シリーズなどで知られる真山仁さん(61)だ。真山さんは、山崎作
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「自助努力だけでは難しい」 九州屈指の老舗書店、6月末で休業
2024/5/25 18:08 1860文字明治創業の「長崎次郎書店」(熊本市中央区)が6月末をもって休業する。森鷗外や夏目漱石ら文豪との縁も伝わる九州屈指の老舗書店も、まちの書店を取り巻く厳しい状況からは逃れられなかった。2016年の熊本地震も乗り越え、150年間引き継がれたのれんが間もなく下ろされる。 創業は1874(明治7)年。当時か
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村上春樹をめぐるメモらんだむ
世界の構造も視野? 村上春樹さんが新作短編で描く「ルッキズム」
2024/5/25 06:00 3879文字前回紹介した3月の朗読会で村上春樹さんが自ら朗読、発表した短編小説「夏帆(かほ)」が、5月発売の文芸誌「新潮」6月号に掲載された。同号は同誌の「創刊120周年記念特大号」に当たり、その巻頭に特集「春のみみずく朗読会」として、やはり朗読会で発表された川上未映子さんの短編「わたしたちのドア」、さらに「
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今週の本棚・CoverDesign
鈴木成一・選 『伴走者は落ち着けない』
2024/5/25 02:01 129文字「はけ者着…」? ではなくヨコ組みのタイトルでした。最近の傾向だろうか、見せ場や中心を欠いたフラットな、テキスタイルのような表面。その分、存在自体が際立つ。 ◆ 『伴走者は落ち着けない』(インベカヲリ★著・ライフサイエンス出版・2200円)より。
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今週の本棚
磯田道史・評 『貝輪の考古学』=忍澤成視・著
2024/5/25 02:01 1376文字◆忍澤成視(おしざわ・なるみ)・著 (新泉社・1万3200円) ◇日本列島人の忘れられた装身具史 「今の人は結婚式でダイヤの指輪を交換するけれど、縄文人や弥生人はどうしていたの?」。私は日本文教出版の教科書執筆者。歴史教科書で上記のコラムを考えたが自分でボツにした。代わりに、地震・津波・富士山噴火
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今週の本棚
『2022年のモスクワで、反戦を訴える』=マリーナ・オフシャンニコワ著、武隈喜一、片岡静・訳
2024/5/25 02:01 449文字(講談社・1980円) 母国のウクライナ侵攻に抗議し、所属するロシア政府系テレビ局のニュース番組中に「NO WAR」と書かれた反戦ポスターを掲げた女性ジャーナリストの手記。「善と自由」のため勇気ある行動に踏み切った経緯や、職を失い、逮捕され自宅軟禁中に長女とフランスに亡命するまでの苦闘が克明に描か
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今週の本棚
『小窓の灯り わたしの歩いた道』=宇佐美斉・著
2024/5/25 02:01 505文字(編集工房ノア・2200円) ランボーをはじめとするフランス詩の翻訳・研究で著名な碩学(せきがく)が、80年余の足跡をつづった自伝的エッセー。端正な文章の間から、戦時中に生まれ、社会の激動の中で我が道を歩んできた者の自負がひらめく。 12の章の多くが、ゆかりの地名を題に付す。「昭和橋」は名古屋市内
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今週の本棚
本村凌二・評 『パンテオン 新たな古代ローマ宗教史』=イェルク・リュプケ著、市川裕、松村一男・監訳
2024/5/25 02:01 1382文字(東京大学出版会・7920円) ◇「生きられた宗教」というテーマ パンテオンとは汎神(はんしん)の意で、とくに帝国の公認する神々のすべてが祭られたローマの神殿を指す。高さ・直径とも43メートルの円筒形本堂の天井には円形の大穴が開いており、太陽神を示唆している。そこに立つと古代建築の華麗さに圧倒され
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今週の本棚
『この街で夢をかなえる エンタメで地方を元気にするリンゴミュージックの挑戦』=堀米薫・著
2024/5/25 02:01 468文字(くもん出版・1650円) 「リンゴミュージック」は青森県のご当地アイドル「りんご娘」や「ライスボール」などが所属する弘前市の小さな個人芸能事務所だ。テレビで津軽弁を話す王林さんは以前、4人組の「りんご娘」のリーダーだった。青森で「りんごの木」や「だびょん」といった人気曲は広く知られ、今や青森では
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本はともだち
没後50年、いわさきちひろ展
2024/5/25 02:01 1237文字<くらしナビ ライフスタイル> 絵本画家、いわさきちひろ(1918~74年)が亡くなってから今年で50年。東京都と長野県にある「ちひろ美術館」は企画展を開催しており、多くの人が足を運んでいる。半世紀を超えて愛され続ける作品の魅力に迫った。 ●東京・長野で 福井県に生まれたちひろは戦後、紙芝居の絵を
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今週の本棚
大竹文雄・評 『地域医療の経済学 医療の質・費用・ヘルスリテラシーの効果』=井伊雅子・著
2024/5/25 02:01 2055文字(慶應義塾大学出版会・3300円) ◇少なすぎる情報が正しい判断拒む実態 全国の開業医ら医療関係者が4月18日、米グーグルに損害賠償を求める集団訴訟を起こした。「グーグルマップ」に不当な口コミを放置されたというのが理由だ。この問題の背景には、医療の質を知る手段がほとんどないことがある。レストランを
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