本・書評
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乱読御免
選択の連続が人生をなす=今村翔吾
2024/5/19 02:00 1581文字<文化の森 Bunka no mori> 仕事で日本各地に行くことがある。2年前には47都道府県の書店、図書館、学校などを、4カ月かけて車で巡った。 町から町へ。幹線道路で結ばれていることもあれば、めったに車と擦れ違わない山道を通ることもある。そのような道を行く時、稀(まれ)に小さな脇道を見かける
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「元寇」ゆかりの武士紹介 松浦市が情報誌発行 死闘イメージ、ロック音楽配信も /長崎
2024/5/18 05:11 374文字松浦市は、鎌倉時代の元寇(げんこう)をテーマにした情報誌「meets!まつら」の最新号2万部を発行した。元寇ゆかりの武士の紹介や学芸員の解説の他、鎌倉武士の死闘をイメージしたロック音楽もインターネットで聞ける。 巻頭に元寇で活躍した12県の武士79人の名前を記載し、鎌倉歴史文化交流館(神奈川県鎌倉
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手に取り読めるあたたかさ 国内外の絵本紹介 左京で21日まで /京都
2024/5/18 05:05 316文字国内外の絵本を紹介する「絵本とわたしの物語展」(企画協力・毎日新聞社)が17日、京都市左京区の市勧業館みやこめっせで開幕した。21日まで。 ミリオンセラーや世界の絵本など約250種600冊を手にとって読むことができる。戦後から平成までの各時代の食卓や子ども部屋の様子を再現したコーナーや「不思議の国
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Q&A本、弁護士が出版 障害ある人の「きょうだい」へ 「独りで悩まないで」 進路・結婚・親亡きあと… /神奈川
2024/5/18 05:02 948文字「私は一生、障害のある弟の世話をしなくてはいけないのですか?」――。帯の率直な言葉は、当事者たちから寄せられた声だ。障害のある兄弟姉妹を持つ「きょうだい」の悩みや疑問に、法律的な視点から答える書籍が発行された。弁護士で著者の藤木和子さん(41)=横浜市=は「大切なのは独りで悩まないこと。気軽に手に
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今週の本棚・話題の本
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』=花田菜々子
2024/5/18 02:01 833文字書店で働いていると「最近あまり本を読めていない」という悩みをよく聞く。書店員からも聞くし、お客さんからも、出版社の人からも聞く。深刻なスランプに陥っている人もいれば謙遜のように使われることもあるが、いずれにせよ「読めなくなった」原因を真剣に探すことはなかった。 ついSNSや動画を見てしまうから?
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今週の本棚
中村桂子・評 『やまと言葉の人間学』=竹内整一・著
2024/5/18 02:01 1394文字(ぺりかん社・3300円) ◇「潑剌たる生の内容」にふれる瞬間 「たしなみ」は「ニュアンスに微妙な幅のある、すこし不思議なやまと言葉である」と著者は言う。「お酒をたしなむ」は「好んで親しむ」の意だが、「武道をたしなむ」になると、それに「一定の心得、覚えがある」という意が加わる。「我が身をたしなむ」
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今週の本棚・なつかしい一冊
影山貴彦・選 『父の詫び状』=向田邦子・著
2024/5/18 02:01 1038文字(文春文庫 726円) 向田邦子は日本のドラマをけん引した脚本家のひとりとして知られる。倉本聰(そう)、山田太一とともに「御三家」と称されることも多い。 小説家、随筆家として卓越した才能も発揮した。『父の詫(わ)び状』は、向田が乳がんを患った翌年、1976年からおよそ2年にわたって『銀座百点』に連
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今週の本棚
『AIを生んだ100のSF』=大澤博隆監修・編、宮本道人、宮本裕人・編
2024/5/18 02:01 472文字(ハヤカワ新書・1166円) タイトルは「AIが生んだ……」ではなく、中身も「100作」の紹介ではない。世界を揺り動かしているAI(人工知能)の進化に、SFの名作がどんな影響を与えてきたのかというテーマで行われた、第一線の研究者たちへのインタビュー集だ。 どの章も知的な刺激がいっぱいだが、巻末の年
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今週の本棚
『彼女たちの戦争 嵐の中のささやきよ!』=小林エリカ・著
2024/5/18 02:01 519文字(筑摩書房・1870円) 戦争に巻き込まれた様々な女性たちの生き様を、文章と肖像画で伝えている。「彼女」という人称で描かれる女性たちは、小林が長年取材し続けているアンネ・フランクやマリ・キュリーをはじめ、伊藤野枝、マタ・ハリ、エミリー・ディキンスン、さらに「ラジウム・ガールズ」「ヒロシマ・ガールズ
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今週の本棚
川本三郎・評 『じょっぱりの人 羽仁もと子とその時代』=森まゆみ著
2024/5/18 02:01 1328文字(婦人之友社・3300円) ◇「婦人之友」「自由学園」生んだ女性像 近代日本の自立した女性達を描き続けている著者が、新たに明治、大正、昭和を女性の地位向上を目ざして奮闘した羽仁もと子(一八七三―一九五七)の評伝に挑む。 羽仁もと子は、現在も刊行され続けている女性誌『婦人之友』を夫、羽仁吉一と共に創
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今週の本棚
養老孟司・評 『苦しくて切ないすべての人たちへ』=南直哉・著
2024/5/18 02:01 1360文字◆南直哉(じきさい)著 (新潮新書・902円) ◇著者自身の体験で語る半自伝 今とりあえず私自身は苦しくも切なくもないが、生きているかぎり、どうせそういう時期が来るに決まっている。だから本書は、いつ、だれが読んでもいいわけである。著者は永平寺出身のお坊さんで、著者の考える仏教の教えをいわば間接的に
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今週の本棚・CoverDesign
鈴木成一・選 『卒母のためにやってみた50のこと』
2024/5/18 02:01 136文字ノートのフォーマットを再現した上に、著者によるのだろうゆるい手描きの書誌情報。「卒母(そつはは)」という後ろめたさをそっと宥(なだ)めるようだ。本文も徹底していてほぼ手描きだ。 ◆ 『卒母のためにやってみた50のこと』(田中千絵著・大和書房・1760円)より。
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今週の本棚
『カラ売り屋シリーズ マネーモンスター』=黒木亮・著
2024/5/18 02:01 484文字(幻冬舎・2090円) 手元に持っていない株を証券会社などから借りて売り、株価が下がったタイミングで買い戻す「カラ売り」。カラ売り専業ファンド「パンゲア&カンパニー」の活躍を描いた小説3編が収められている。 第1話は、液晶ディスプレーに組み込まれるバックライトで成功し、機械や電子機器のメーカーを次
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今週の本棚
中島岳志・評 『我々の死者と未来の他者 戦後日本人が失ったもの』=大澤真幸・著
2024/5/18 02:01 1325文字(インターナショナル新書・1034円) ◇大義、大義否定…二律背反どう越える 気候変動がグローバルな問題になっている。欧米の「先進国」で調査を行うと、環境問題に対する関心の高まりがデータに現れる。しかし、日本では極端な無関心が数値となって出てくる。それは、なぜなのか? どうして日本人は、環境問題に
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今週の本棚
渡邊十絲子・評 『カフカふかふか とっておきの名場面集』=下薗りさ、木田綾子・編著
2024/5/18 02:01 2037文字(白水社・1980円) ◇難解な作家を「ああだ」「こうだ」と自由に フランツ・カフカは難解な作家だと思われている。事実その作品は、ストーリー展開を追って快調に読み進められるようなものではなく、不条理だったり謎めいていたりする。でも、解けない謎をもった作品は人を魅了しつづけるはずだ。 この本は、カフ
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今週の本棚・情報
ベストセラー
2024/5/18 02:01 136文字<1>成瀬は天下を取りにいく(宮島未奈著・新潮社) <2>変な家(2)~11の間取り図~(雨穴著・飛鳥新社) <3>変な絵(雨穴著・双葉社) <4>俺たちの箱根駅伝(上)(池井戸潤著・文藝春秋) <5>成瀬は信じた道をいく(宮島未奈著・新潮社)(日販・総合=14日調べ)
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今週の本棚・著者に聞く
吉村萬壱さん 『みんなのお墓』
2024/5/18 02:01 832文字◆吉村萬壱(よしむら・まんいち)さん (徳間書店・2090円) ◇周縁から見える社会の相貌 どこにでもある町「K市」が舞台の群像劇。地下道を抜けた町外れに、市営の共同墓地がある。非日常感が漂う墓地は「社会的な死角」だ。近くを流れる暗い川、川沿いの精神科病院に雑木林。自宅の周辺一帯から場を着想し、「
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今週の本棚
『名言・失言の近現代史 上・下』=村瀬信一・著
2024/5/18 02:01 510文字(吉川弘文館・各1980円) 近現代の政治家たちのことばをつむぎ、明治初期~現代の日本政治史曼荼羅(まんだら)を編んだ好著だ。 たとえば、樺山資紀(かばやますけのり)が野党に言い放った「蛮勇演説」。あるいは明治天皇が日清戦争を決めた政府にあらわした不満。斎藤隆夫の「反軍演説」に、吉田茂の「ばかやろ
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今週の本棚
『DJヒロヒト』=高橋源一郎・著
2024/5/18 02:00 498文字(新潮社・4180円) 帯の裏表紙側にたくさんの人名が並んでいる。井上毅、井上靖、大岡昇平、小笠原長生、小田実、折口信夫……まだまだ続く。これらの人々が書いたことや言ったことや考えたこと、行ったことなどを、大きな鍋に入れてかき回し、じっくり煮込んだような長編小説。 巻末に「参考文献について」という
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今週の本棚・編集後記
今週の「なつかしい一冊」では…
2024/5/18 02:00 165文字今週の「なつかしい一冊」では、脚本家、向田邦子さんの著書を紹介しています。本は書店で手に取れる一方、懐かしのドラマが気になったなら、例えばレンタルDVD店や、横浜市には過去の番組(一部)が視聴可能な「放送ライブラリー」という施設も。この週末は奥深き「向田ワールド」にひたるチャンスかもしれません。(
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