気に入っていて手放したくないしまだまだ使えるのに、色や形が年齢や趣味に合わなくなって使えず、手元に置き続けている服をどうにかしたい場合、
- 無理やり着る
- 形が合わなくなっている場合は、リメイクして着る
- 色柄が合わなくなっている場合は、染めなおして着る
のような対策が考えられます。無理やり着るというのは続かなさそうなので、何らかの加工をして、また長く楽しむのを前提に考えます。
その前にまず布について考えてみると、はさみをできるだけ入れずに仕立てるのが、布の価値を一番保った利用法のように思います。これから何にでも加工できる状態、無限の可能性へと開かれた状態を保っているのがよいのです。その考え方を存分に組み込んだ服は、インドのサリーや日本のきものなど、世界各地の民族衣装に見られます。
次に、服について考えてみると、ある用途を想定して貴重な布が裁断され加工された後の物です。その形になった事自体が価値があるのだと考えます。形が体型に合わなくなっている場合はもう一度はさみを入れて加工しなおすのは当然必要ですが、シルエットの流行が変わって、着にくくなったというのはどうでしょう。気になる場合はやっぱり加工しなおすしかないですが、もし今後服を新たに買うならできるだけ流行に左右されにくい形のものを買うほうがよさそうですね。
さて、色柄が合わなくなっている場合、きものならほどいて染めなおすことが多いようです。洋服を自宅で染めなおすことができるか、試してみました。
私はタイによく行く友人からのおみやげで、タイパンツをたくさん持っています。その内の2本がどうしても自分には派手に思えて、ほとんど着ていません。綿100%で気軽な服なので、まずこれを染めなおすことにしました。
紫蘇ジュースを作った際に用意した紫蘇の葉がちょっと多すぎたので、その紫蘇を使いました。
材料
- 染めたいもの(綿素材)
- 紫蘇 - 染める布と同じ重さ
- 酢 - 紫蘇がひたひたになる量
- 呉汁か豆乳か倍に薄めた牛乳 - 染めるものがゆったり入るくらいの量
作り方(紫蘇の酸性抽出)
- 染める服と同量の紫蘇を用意し、よく洗って半日ほど日陰で干して水気を切る
- 紫蘇を酢に漬け、一晩置く
- 染める服を一度洗って少し干す
- 乾いた服を豆乳か水で倍に薄めた牛乳などに1〜2時間ほど浸ける。全体がしっかり浸かるように時々かき混ぜる。ここで作業を中断する場合は冷蔵庫に入れる。白いひも状のものは、綿テープ。一緒に染めて本来の色を見ようとしている
- 4の服を絞り、乾かす
- さらに、水に1時間ほど浸けておく
- 一晩置いた紫蘇を絞り、抽出液に水を加えて服全体が浸かるくらいの量に増やす
- 6の服を絞ってから広げ、染液に浸ける。絞っては浸ける作業を5〜10回繰り返す。その後、染液に浸けた状態で一晩おいておく。布が染液から出ないように、ビニールを上にのせておく。
染めている間に綿テープの色がみるみる変わっていった - 一晩経ったら流水ですすぎ洗いをして、優しくしぼって陰干しする
反省点など
- 下処理には牛乳も使えるが豆乳のほうがよいとあったので、その前日、産地をよく確認せずに買ってしまった微妙な牛乳を使った。作業中は「飲めない牛乳はこうやって使ったら有効活用できるのでは」などと思っていたが、完成してみると、どうにも牛乳臭い。何度洗っても臭いがとれない。豆乳にすればよかったと本当に後悔した。
- 今回は飲用には微妙な牛乳を倍に薄めて使ったが、それでも本来は飲むためのものを飲む以外のことに大量に使うのに、非常に気が滅入った。家庭でやるなら下処理が必要ない染め方にするか、いっそプロに任せたほうがいいと思った。
- 作業中オレンジ色のタイパンツからオレンジ色が染み出続けていた。一緒に染めた綿テープは紫蘇の色がやや負けて、ピンクオレンジに染まった(左。ちなみに何度か洗っててぬぐいふんどしに使った)。
- もともと派手な色に薄い紫をかけると落ち着くのではないかと思って染めたが、ますます派手な色になったように思う。元の色に蛍光のようなまぶしさがプラスされて、パワーアップしてしまった感じだ。参考にした本の色見本ではもう少し落ち着いた紫が出ていたのだけど、染物は植物をとるタイミングや他の条件で、かなり色が変わるというのを目の当たりにできてよかった。
参考
関連