大学教養レベル †

『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』(ジャレド・ダイアモンド、草思社、2012、Amazonリンク) †

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説明不要でしょう。
Civスレでも新聞の書評欄でも東大教授でも「オススメの本は?」と聞けば必ず出てくる名著。
あらゆる賞を総なめにし、それでいて学者っぽさを感じさせない読みやすい文章。
文庫化して買いやすくなりましたし、Civファンなら必ず読んでおきたい一冊です。


『文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの』(ジャレド・ダイアモンド、草思社、2005、Amazonリンク) †

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『銃・病原菌・鉄』と同じ作者による歴史上の文明は何故滅びたのかを問う本。
『銃・病原菌・鉄』がほとんど石器時代に話が中心なのに対して、こちらは歴史時代の話が多いです。
初期立地こそすべてwと言い切る『銃・病原菌・鉄』に対して、環境破壊や社会制度にも切り込んだ本作はぜひ『銃・病原菌・鉄』とセットで読みましょう。


『世界史』(ウィリアム・H・マクニール、中央公論新社、2008、Amazonリンク) †

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「読むシヴィライゼーション」とレビューする人もいるくらいの本で、40年以上読み継がれているという事実は伊達じゃない。
個々の人物や事件にはあまり突っ込まず、文明の興亡といったマクロ視点で描く世界史がCivファンにはピッタリな内容。
上下2巻の文庫本に世界史が凝縮されているこの本是非読んでおきたいです。


『アジア史概説』(宮崎市定、中公文庫、1987、Amazonリンク) †

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マクニールの世界史は面白いんだけどやっぱり西洋中心で東洋からの視点が少ない・・・・・・というわけで日本が誇る中国史学の大家、宮崎市定氏によるこの一冊。
アジア史といっても中東までを含むユーラシア史で、マクニール同様のマクロ視点の世界史でヨーロッパより優れていたアジア、ヨーロッパに飲み込まれていくアジアを描いています。
中国史を語るならはずせない宮崎氏の集大成的な本でありながら、初心者にも読みやすい文体(ただし分量は多いですw)で幅広くオススメできる本です。


『遊牧民から見た世界史―民族も国境もこえて』(杉山正明、日経ビジネス人文庫、1987、Amazonリンク) †

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世界史の「辺境」たる中央アジアの遊牧民。時に無視され時に蛮族と馬鹿にされる彼らこそ本当は世界史の主人公だったんだよっ!という本。
スキタイや匈奴から始まってモンゴルにいたるまでの遊牧民たちがいかに西洋と東洋をつなぎ「世界史」を作っていったかを語ってくれます。
著者は世界でも有数のモンゴル研究の第一人者。モンゴルを愛する余りモンゴルを馬鹿にする西洋や中国が大嫌いで罵詈雑言はくことがありますがw、内容はまともなので安心して読んでください。同じ著者の『モンゴル帝国の興亡』なんかもオススメです。


『モノの世界史―刻み込まれた人類の歩み』(宮崎正勝、原書房、2002、Amazonリンク) †

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まずは目次を見てほしい。例えば第2章は都市、文字、暦、車輪、道路網、箸、とどう見てもCivの技術ツリーにしか見えない構成。
内容もテクノロジーと資源で人類が進歩していく様子を描くCivそのものな本ですw
ちなみに著者の宮崎正勝氏は『知っておきたい「酒」の世界史』、『知っておきたい「食」の世界史』など雑学的な世界史本も多く書いているのでそちらもどうぞ。


『ヨーロッパ史における戦争』(マイケル・ハワード、中公文庫、2010、Amazonリンク) †

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中世ヨーロッパから近世・近代ヨーロッパの目まぐるしい戦争技術の発展を俯瞰した本。
文庫の薄さで長槍兵→マスケット→ライフル→歩兵までを一気に見ていきながら、テクノロジーだけでなく背景となる社会制度や文化にも注目して書かれています。
殊に16世紀以降の軍事技術の発展はほんとに複雑で理解しにくいのですが、この本のまとめ方はとても秀逸です。


『華麗なる交易 ― 貿易は世界をどう変えたか』(ウィリアム・バーンスタイン、日本経済新聞出版社、2010、Amazonリンク) †

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金・銀・絹・砂糖といった幸福資源が世界史の中でどのように取引されていたのかという「貿易」から見る世界史。
古くはシュメールから人々はいろいろな資源を取引しながら、商人たちがたくましく活躍するさまを生き生きと描いています。
教科書ではポルトガルやオランダがアジアでの貿易を独占したと習った気がするんだけど、アラブ商人やインド商人はヨーロッパなんぞなんぼのもんじゃい!と言わんばかりに活発な貿易をしていたり、教科書には余り出てこない商人たちの話が面白いです。


『サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か』(ミチオ・カク、日本放送出版協会、2008、Amazonリンク) †

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日系2世でアメリカ物理学会では超弦理論の研究者として有名なミチオ・カク氏によるSF的テクノロジーは実現可能かという本。
驚くことにバリア、テレポーテーション、反物質エンジン、テレパシー、念力、不可視化といったテクノロジーは今世紀か来世紀中には実現可能だという。
SFに出てくるあんな技術もこんな技術も実は実現可能ということを文系でも分かる文章で面白く書いてくれています。
Civ5だとあっさり目な未来技術の妄想に、SF系のMODを作るときのネタ帳にも最適な本です。


『オールカラー完全版 世界遺産 歴史と大自然へのタイムトラベル』(水村光男、講談社、2002、Amazonリンク) †

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遺産狂なら発狂しかねないくらいたっぷり世界遺産を紹介してくれるシリーズ。
文庫本でありながら全ページカラーで写真もきれい、解説もそれなりに充実していて、なによりもたくさんの遺産を紹介しています。
出てくる遺産を片っ端から建てたい衝動に駆られるのはラムセスさんだけではないはずw 自然遺産もたっぷりなのでイザベラさんにもオススメですw


大学教養レベル+α †

『世界の歴史』(全30巻、中公文庫、2009、Amazonリンク) †

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各出版社から「世界の歴史」を銘打ったシリーズが出ていますが、一番評価が高いのは中公文庫版でしょう。
旧版のほうが評価がいいのですが、入手しやすさも考えて新版のほうをオススメします。
全30巻の恐ろしく長いシリーズなので最初から読まず、興味のあるところだけつまみ食いするのが正しい読み方です。
姉妹シリーズに『日本の歴史』全26巻もあります。


『日本の歴史をよみなおす』(網野善彦、ちくま学芸文庫、2005、Amazonリンク) †

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日本史の本は膨大にあるので挙げはじめるときりがないので中世日本史学の大家、網野善彦氏の本を一冊だけあげておきましょう。
日本は農業中心社会というのは本当かという著者の研究成果を分かりやすく一冊にまとめた本。
同著者の『日本社会の歴史』のほうが新書3冊で通史になっているのでこちらもどうぞ。


『中国の歴史』(陳舜臣、講談社文庫、1990、Amazonリンク) †

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数ある中国の通史で一番読みやすいのがこのシリーズ。歴史学者ではなく小説家が書いたシリーズなので文章に硬さがなく、すらすらと読めます。
小説家らしく政治制度の説明よりも皇帝や英雄といった人物をかっこよく描写することに重点を置いた感じ。著者は台湾出身で内容は辛亥革命までしか扱っていませんし、近代史でも偏向はほとんどなく良質なシリーズです。


『物語タイの歴史―微笑みの国の真実』(柿崎一郎、中公新書、2001、Amazonリンク) †

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中公新書には「物語 ○○の歴史」という題名であちこちの国の歴史をまとめた本が多く出ています。
出来がいいものと悪いものがあるので全部はオススメできませんが、このタイの歴史のほかに中東、メキシコ、イタリア、ウクライナ、ベトナム、アメリカ、ラテンアメリカあたりがなかなかよい出来です。
新書なので薄くてさらっと読めるのもメリット。


『ローマ人の物語』(塩野七生、新潮文庫、2002、Amazonリンク) †

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有名なローマ史の通史シリーズ。こちらの著者も歴史学者ではなく小説家が書いたものなので非常に読みやすく仕上がっています。
ただし塩野氏の場合カエサルを神と崇めてるんじゃないかというくらいの熱烈なカエサルファンなので、それなりに偏向wがあると思って読んだほうがいいでしょう。


『神聖ローマ帝国』(菊池良生、講談社現代新書、2003、Amazonリンク) †

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ヨーロッパ史はこれまた山のように本があって挙げるときりがないので講談社現代新書、中公新書あたりから気になるタイトルを適当に読んでみましょう。
中世ドイツもとい神聖ローマ帝国についてはこの本がオススメ。ほかには同著者の『戦うハプスブルク家』、『傭兵の二千年史』など。
フランスなら佐藤賢一の『カペー朝―フランス王朝史1』、『英仏百年戦争』、イギリスなら川北稔の『イギリス近代史講義』などなど新書でもいろんなものが出ています。


『オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」』(鈴木董、講談社現代新書、1992、Amazonリンク) †

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Civ5では最弱候補として名高いオスマン帝国は史実ではほんとすごかったのよという本。
オスマンが滅ぼしたビザンティンについて『生き残った帝国ビザンティン』も同時に読むことをオススメします。


『世界史の誕生とイスラーム』(宮崎正勝、原書房、2009、Amazonリンク) †

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Civ5でイマイチパッとしない文明候補のアラビアはモンゴル帝国が出現するはるか以前にユーラシア一帯に巨大なネットワークを作っていたという本。
そしてその巨大ネットワークの絶頂期こそハールーン・アッラシードの時代だった! アッラシードはチンギスに並ぶくらいすごいのよ! とは書いてないが、東は中国、北はヴァイキング、西はソンガイ・マリまでの巨大商圏を作ったアラブ人すげーな内容。


『新書アフリカ史』(宮本正興ほか、講談社現代新書、1997、Amazonリンク) †

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アフリカの歴史はこれ一冊で十分。新書とは思えない分厚さで古代から近代まで教科書に載ってないような話まで細かく解説しています。


『オリエンタリズム』(エドワード・W・サイード、平凡社ライブラリー、1993、Amazonリンク) †

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『銃・病原菌・鉄』と並んで新聞の書評欄でも東大教授でも「オススメの本は?」と聞けば必ず出てくる名著。
西欧文明の人々にとってだけ了解できる虚像としての「オリエント」がどう発生し広まりのか、異文化理解とは何なのかを問う本。


『茶の世界史―緑茶の文化と紅茶の社会』(角山榮、中公新書、1980、Amazonリンク) †

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資源から見る世界史の本は数多くありますが、角山榮氏・川北稔氏あたりがオススメ。
このお二方が研究している近代世界システム論(世界の一体化)は個人的にはとてもCivっぽいと思います。角山氏の『時計の社会史』、川北氏の『砂糖の世界史』も面白いです。
近代世界システム論は関係ないけれど資源から見る世界史ということで臼井隆一郎『コーヒーが廻り世界史が廻る―近代市民社会の黒い血液』、武田尚子『チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石』なども。


『戦術と指揮―命令の与え方・集団の動かし方』(松村劭、PHP文庫、2006、Amazonリンク) †

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ビジネス書という体裁をとりながら中身をどう見てもウォーゲームの話という本。
スタック廃止によりヘクス制のウォーゲームに近くなったCiv5では得るものが多いかもしれません。
著者は元自衛官で戦術関係の本をいくつも書いており『名将たちの決定的戦術』なんかもオススメ度が高いです。


『補給戦―何が勝敗を決定するのか』(マーチン・ファン・クレフェルト、中公文庫BIBLIO、2006、Amazonリンク) †

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Civには補給の概念はありませんが、軍オタにお勧めの本を聞けば必ず挙げられる本なのでここで紹介。
「戦争のプロは兵站を語り、戦争の素人は戦略を語る」と軍事においていかに補給が重要なのかが実例を持って示される良書です。


『戦争における「人殺し」の心理学』(デーブ・グロスマン、ちくま学芸文庫、2004、Amazonリンク) †

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軍オタに聞くと必ず挙げられる本その2。
意外なことに兵士たちは人を殺すのを恐れてしまう、そしてそれを克服するためにどのようなことが行われてきたのか。
ウエストポイントなどでも教科書として使われるような内容の本です。


『機関銃の社会史』(ジョン・エリス、平凡社ライブラリー、2008、Amazonリンク) †

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機関銃という圧倒的な兵器を前にしたとき誰しもが戦争が大きく変化することを予感するだろう・・・・・・と思ったらそうではなかったという不思議なお話。
ボーア戦争、日露戦争と機関銃が圧倒的な火力をもって既存の戦術を無駄なものにしたにもかかわらず、ヨーロッパの将校はその事実を無視し続けWWI初期でも機関銃に対し歩兵で突撃を行っていた・・・・・・。
軍事技術の発達とそれを受け入れる文化的・社会的背景との関連を論じた良書。


『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』(戸部 良一ほか、中公文庫、1991、Amazonリンク) †

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旧日本軍はいったい何を間違え敗戦したのか、戦略・組織論から失敗の原因を分析する本。原発事故がまさにこの日本的組織の弊害が原因だったとして最近再び注目されています。
旧日本軍に限らない組織分析・日本文化論の本としても評価の高い名著。


『軍事学入門』(防衛大学校防衛学研究会、かや書房、1999、Amazonリンク) †

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防衛大学の講師陣により編集された軍事学の超基本的な教科書。
軍事力とは何のためにもつものか、どのように行使すべきものかという基本的なところから電子戦、情報戦、NBC戦、後方支援まで軍事に関することは余すことなく解説されているまさに教科書そのもの。


『安全保障学入門』(防衛大学校安全保障学研究会、亜紀書房、2009、Amazonリンク) †

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こちらも防衛大学講師陣によって書かれた安全保障の超基本的教科書。
Civにおける安全保障というとリアリズムに基づきすぐに軍拡競争に発展する物騒なものだがw、現実世界の安全保障は様々な思想があり手段・方法ももっと複雑なもの。
上記『軍事学入門』と合わせて読んでおきたい本です。


『戦争の経済学』(ポール・ポースト、バジリコ、2007、Amazonリンク) †

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戦争が儲かるというのは本当か? WWII以降の紛争を例に経済学の知識を総動員して戦争の経済性を分析する本。
内容自体はそこまで難しくないもののミクロ・マクロ経済学の基礎がわかっていないと読めないと思われるので菅原晃『高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門 国際貿易のすべて』などを読んでから挑戦したほうがいいかも。


『ヒトはなぜヒトを食べたか―生態人類学から見た文化の起源』(マーヴィン ハリス (著)、 鈴木 洋一 (翻訳)、ハヤカワ・ノンフィクション文庫、Amazonリンク) †

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キャッチーなタイトルですが内容は世界の文化、風習の違いを徹底的なフィールドワークを基に、「食」の視点から解説していく、というもの。人種や文明に優劣を付けず、「食」によって古今の文化をフラットな目線で淡々と解説する様はまるでかの「銃・病原菌・鉄」を読んでいるよう。
またタイトルの内容が集約されている章はあのアステカ帝国を徹底的に解説。「やべぇよ…やべぇよアステカ」となること請け合いの、モンテスマさんを100倍楽しめる本でもあります。
タイトルの内容は1章のみですが、それ以外にも人口制限の話など刺激的な内容が含まれる為、読まれる際は計画的に。

(弱者の戦略原則)
(1) 局地戦で戦う
(2) 一騎討ちに持ち込む
(3) 接近戦で戦う
(4) 一点集中主義に徹する
(5) 陽動作戦を展開する

弱者は、以上の戦略原則に則って戦う。見ておわかりのとおりランチェスター第一法則の適用条件下での戦いに徹するのだ。

(強者の戦略原則)
(1) 広域戦で戦う
(2) 確率戦に持ち込む
(3) 遠隔戦で戦う
(4) 総合戦で圧倒する
(5) 誘導作戦を展開する

sinisteray:

Can’t remember where I found this, but from the watermark I can only assume the source is ImagineFX magazine, the September 2008 issue.
 
If this gets enough notes I’ll caption each photo with the text displayed in each page! (‘Tis a bit small. Curse you, tumblr, get some better zoom! <shakes fist>)

“正式発表前に俺が艦これのノベライズをやると見抜いた知人がいて、訳を聞いたところ「艦これを始めたと思ったら口数が少なくなったので、なにか仕事をやるなと感じた。作戦行動前に無電封鎖するのと同じ」ってお前は米軍の無線傍受班か。”