保健行政論

地域保健

地域保健の思想

地域とは何か
地域社会(community)
=地理的環境の共有+共同体感覚
=“一定の環境や特徴を共有する人々の集まり”
保健活動の際に「地域」が重要な理由
(1)共通の環境条件が健康問題の発生・発現に大きく関与
(2)健康問題の解決に必要な資源・行動規範等が,その地域のあり方によって大きく規定される(「健康」自体が地域の文脈に大きく依存している概念)
いくら保健サービスをシステムとして整備しても,地域の事情によっては利用されないので,地域に合った保健活動が必要。

地域の水準

近隣,集落等の小地域(地区レベル)
字,自治会など行政の末端組織として機能している最小単位。
血縁的・地縁的社会。
組織が良く機能している地域もあれば,大都市などでは機能していない地域もある。マンションや団地などでの自治会の参加率は低いところが多い。隣人が何をしているかわからない。
これは,ソーシャル・キャピタル[social capital]論でいうところのneighborhoodであり,social cohesionやsocial integrityはこのレベルで保たれねばならない。
行政区域
県・保健所管轄区,市区町村など
政策実施の単位。
首長が方針決定権をもつ。
地域保健法の1994年改定で国から多くの権限が委譲され,重要性が増した。
生活行動圏
医療圏,通勤・通学圏など,生活の場としての地域。行政区域の一部である場合もあれば,行政区域を跨っている場合もある
広域の問題では行政区域を超えた政策が立てられる必要がある場合もあり,連携が大事になってくる(cf. 地域保健法第三条では,市町村,都道府県,国の地域保健における役割分担について書かれているが,国は広域の問題について都道府県間の連携をサポートする必要がある)。
離島・山村などの僻地(問題が多く,それが地域特性によって異なる)
移動が不便な山村で在宅介護を希望する人へのホームヘルプなどのサポートのニーズ(長野県泰阜村の例:cf.NHKにんげんドキュメント『畳の上で死にたい』2000年)
※しかし,家族や地縁的社会とヘルスプロフェッショナルが依存的にならず協働するのは難しい。
平成18(2006)年度から始まった第10次へき地保健医療計画(参考:http://www.hekichi.net/index.php/bunsho/bunsho_c)が示すように,平成18(2006)年の医療法改定によって医療計画の中で僻地医療が主要事業の一つとして位置づけられることになり,現在,各都道府県で「へき地保健医療対策に関する協議会」が設立されつつあり,「医師を確保する方策」,「医療を確保する方策」,「診療を支援する方策」,「へき地医療の普及・啓発」についての計画が検討されつつある。

地域特性とその指標

地域特性を把握するための指標:
自然環境,人口特性,産業・経済,行政・財政,交通・通信,生活環境,労働環境,教育・学習環境,生活・文化,住民の意識・要望・要求など。
健康問題を把握するための指標:
人口動態,死因統計,疾病の状況,医療費の状況,予防接種状況,在宅ケアの状況,等々。
地域で利用できる社会資本(infrastructure):
保健医療機関,福祉関係機関,教育関係機関,自治会等の地区組織,保健推進員,民生委員,市民団体,種々のサービス等。

→以上のような指標を調べ(場合によっては質的研究も組み合わせ),地域特性を把握することが必要。

地域保健の特徴と流れ

地域保健展開上の留意点

  1. 特定集団(aggregate)〜ハイリスクグループへのケアか(high-risk approach),集団全体の底上げ(population strategy)か?
  2. 一人一人の健康問題は地域社会共通の問題という認識に基づいた働きかけの重要性
  3. 対象者の参加に際し,その人たちが地域で生活していることを認識することの重要性
  4. 地域社会独自の行動規範(大きく見れば和辻哲郎が風土と呼んだもの,小さく見れば宮本常一が故里とか家郷と呼んだものによって育まれる),言い換えると地域社会の慣習そのものを変えることの強力さ(Lewinの実験によりグループディスカッションの有効性認識)
  5. 地域社会に権限を与え,住民自身の自己解決能力を養うこと(エンパワメント[empowerment])の重要性→住民自治のあり方自体も伝統的な地域社会の慣習に任せているだけでは成り立たなくなってきたので,住民自治協議会設立を促すなど行政からの働きかけが強くなってきている(参考:内閣府・地方分権改革推進法のページ)。

制度と運用

地域保健活動の内容
昭和12(1937)年に制定され昭和22(1947)年に改定された保健所法の下での地域保健活動の拠点は保健所であった。その後,市町村の役割の重要性がクローズアップされ,徐々に市町村保健センターが整備された。その流れの仕上げが平成6(1994)年に行われた保健所法の地域保健法[原文リンク]への改定による市町村保健センターの法定化であった(注:この改定は,法律第八十四号(平六・七・一)地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律の制定によってなされた)。
保健所の現在の事業の内容は地域保健法の第6条〜第8条に定められた19項目で,地域保健活動がほぼ網羅されている
保健所と市町村保健センターは相補的な関係にあり,両方が連携することが重要である。
保健所や市町村保健センターばかりでなく,例えば健診への参加や地域における健康づくり運動の推進などは,自治会や公民館などを通した広報活動が大きく影響する。
地域保健活動の分類
規制行政的活動と給付行政的活動に大別できる。前者は公共の福祉の観点から個人や法人の活動を規制するもので,専ら行政機関により行われれる。飲食店の経営に都道府県知事の許可が必要であることを食品衛生法が定めていることなどはこれに当たる。後者は地域住民に対するサービスの提供で,行政機関のみならずNGOやNPOによっても行われる。基本健診などはこれに当たる。
別の視点から,対人保健活動と対物保健活動に大別することもできる。前者は住民を直接対象とするもので市区町村レベルできめ細かな対応が求められるので地域保健センターがコアとなり,後者はそれ以外を対象とし,環境対策など大規模な対策が必要なことが多いので都道府県単位で保健所がコアとなる。
地域保健活動への公の責任としての行政のコミットの必要性を支持する経済理論
外部経済効果:直接的利益のみならず間接的利益があること。例えば予防接種は受けた人を疾病から守るだけでなく,疾病の蔓延を防ぐことで受けていない人も疾病から守る。
外部不経済効果:直接的利益が間接的不利益を産むこと。例えば公害は発生源企業が対策しないと,その企業は費用を節約できるが,周辺住民が公害による健康被害を受け,不利益を蒙る。
行政の介入が必要な事業:がん検診などは,初期投資が膨大なために市場経済では参入障壁がある事業である。
公共財:健康教育など,住民がいつでも自由に利用でき,経費を払わなくても利用から排除されないものをいう。市場経済では供給されない。
メリット財:老人保健法による検診など,市場経済でも供給されるが国家的見地から政府が供給すべきもの。
地域保健活動の進め方
Plan-Do-See:計画を策定し,実行し,評価し,次の計画を策定し,と続く。PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルもほぼ同様な意味。PDCAサイクルは,この考え方を体系化したDeming WEの名前をとって「デミングサイクル」とも呼ばれるが,地域保健活動に限らず,工業生産管理,経営,途上国の開発援助など,いろいろな分野で実践されている。
MIDORIモデル:ヘルスプロモーション実践の展開モデルとして1991年 Green LW によって提唱されたPRECEDE-PROCEED Modelの日本での名称 [参考]
ヘルスプロモーション研究センターのデータベース(http://www.healthpromotion.jp/database.html)の情報は参考になる。
地域保健活動計画の策定は住民のニーズに基づく。ニーズは単なるデマンド(需要)ではなく,専門的見地からの必要性を意味する。場合によってはニーズをデマンドにするための健康教育も必要(この考え方は傲慢かもしれないので,注意が必要)。統計に基づいてニーズに優先順位をつけ,費用対効果や費用対便益を考慮して,順番に実施する。
実施の際は,計画に忠実に行うことと臨機応変の柔軟な対応の両方が必要。
評価は重要だが難しい。統計によるが,有意でなくても期間が足りないだけの場合もある。
今後の課題はシステム化(在宅医療支援システムとか)
都市環境における地域保健
都市住民は通常,消費者であり(注:キューバの首都ハバナにおける都市有機農業のような例外もある),消費者特有の保健活動を展開する。消費者運動と呼ばれるものの一環。消費者クラブ活動(生協,生活クラブ,……),エコマークなど。1960年には各国の消費者団体が母体となってIOCU(国際消費者機構)成立。政府としては国民生活センター及び各都道府県の消費生活センター,民間では暮らしの手帳や特選街,通販生活などによる商品評価と情報提供も広い目でみればその流れを汲んでいる。
消費者の健康被害:ペニシリン事件,サリドマイド事件,薬害エイズ事件など。1968年「消費者保護基本法」,1994年「製造物責任法(PL法)」による消費者保護。コンシューマーヘルスのためには健康教育が重要であり,食育基本法はその流れで成立した側面をもつ。
都市化への対応としての健康都市:環境問題の多くは都市の問題から発しているので,健康都市事業としてその克服が図られた。1994年「環境基本法」で国と地方公共団体の両方が環境計画策定が義務付けられた。国際的にはWHOと連携して"The Alliance for Healthy Cities"[http://www.alliance-healthycities.com/]が2004年に成立。

新たな問題と地域保健対策の見直し

地域保健のベースとなる地域社会が都市化に伴う住民の流動化や少子高齢化に伴って崩れてきているという指摘はあったが,いわゆる平成の市町村大合併によって,その傾向に拍車がかかった。少子化や人口流出によって過疎化が進行した地域が,より大きな行政単位に取り込まれることで,行政区としての効率は良くなったのかもしれないが,現実には切り捨てられていったサービスも多い。また一方では,米国の911同時多発テロをきっかけにして,危機管理対策の重要性が叫ばれ始め,新型インフルエンザの流行やバイオテロが起こってしまった場合に地域社会はどのように対応すべきかといったことも注目されつつある(原因対策には国際的な取り組みが必要なので,一方ではInternational Association of National Public Health Institutes [http://www.ianphi.org/]が2002年にビルゲイツ財団の支援で成立し,公衆衛生分野での国際協調が図られている)。例えば,天然痘ウイルスを使ったバイオテロが起こった場合や,新型インフルエンザの最初の患者が見つかったとき,直ちにその場所を環状に取り囲む周辺地域の住民を対象とした予防的ワクチン接種をすること(ring vaccination)が公衆衛生上有効であることがわかっているが,実際に地域社会がそれを実施できるように動けるのかは疑問である。また別の角度からみると,いわゆる小泉行革から顕著になった小さな政府志向と相俟って,地方分権の流れが止まらなくなっているため(地域ごとにその特性に見合ったきめ細やかな対策が取れるという意味では良いのだが,下手をすると地方の切捨てになる危険もある),地域保健対策における住民自治組織の自主的な対応も重要になってきている。

このような状況を背景にして,地域保健対策の見直しも進行中である。具体的には平成17年から厚生労働省に設けられた地域保健対策検討会[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/05/s0523-4.html]の議論が参考になるので,以下簡単にまとめてみる。背景[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/01/dl/s0120-8a03.pdf],公衆衛生の新たな潮流[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/01/dl/s0120-8a09.pdf]なども参照されたい。

1.検討会の設置目的
(1) 地域保健対策の推進については、地域保健法(昭和22年法律第101号)及び同法第4条の規定に基づく「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」の定めるところにより、地域住民の健康の保持及び増進並びに地域住民が安心して暮らせる保健医療体制の確保を図るための地域保健対策を総合的に推進してきたところである。
(2) これまで、医療計画の一部として、各都道府県において、任意的記載事項を中心に「地域保健医療計画」を策定してきたところであるが、今般、地域保健対策をさらに推進する観点から、都道府県域における地域保健計画(仮称)の策定を推進し、同計画の位置づけを明確化し、地域保健体制の整備に関する都道府県の役割及び裁量を拡充することとしたため、本検討会において同計画の具体的な策定手続きや評価の在り方について検討する。
(3) また、社会的状況の変化等に伴い、公衆衛生分野において従来にも増して必要性が大きく認識されるようになってきた施策もある(例:SARSをはじめとした新興・再興感染症その他の原因による健康危機管理事例への的確な対応)。したがって、それらの新たな施策を実施するための体制や関連制度の整備等についても合わせて検討し、今後の地域保健対策のあるべき姿を明らかにする。

市町村保健活動の再構築に関する検討会報告書

概要版(出典:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/s0330-8.html)から抜粋して示す。

背景
高齢化の進展とともに医療費及び介護給付費が増大→効果的な予防対策の推進が急務:平成18年度からは改正介護保険法による介護予防対策,平成20年度からは医療制度改革による生活習慣病予防対策を効果的に推進することが求められている。
医療費・介護給付費抑制に効果をあげている自治体の事例
島根県安来市=糖尿病医療費の伸びを抑えることに成功した例

安来市では、総合的な糖尿病対策に取り組み、医療費の伸びの抑制に成功しています。健康増進計画の推進母体として、地域住民、関係団体で構成する「安来市健康推進会議」と地区毎の地区健康会議があり、住民主体の健康づくりの基盤が整備されています。保健活動体制は、地区担当制をとって地域の保健課題を把握し、地区組織活動の育成支援の裏方として、保健師、管理栄養士が活躍しています。また、部署を超えた統括的役割をもつ保健師が存在し、横の連携がよくとれています。

(対策の概要)

  • 糖尿病管理協議会の設置:医師会、患者会、保健所等と連携
  • 患者登録管理の仕組みづくり:糖尿病手帳、友の会等
  • ハイリスク者への対策実施:イエローカード発行、フォロー教室
  • 啓発活動と地区組織活動の推進:健康ウォーク、地区組織育成
効果的な予防対策を推進するために解決すべき課題
・保健師や管理栄養士が、地域包括支援センターや国保課、障害福祉課等へ分散して配置され、業務分担が進んでいることなどから、 などの課題があり、効果的な保健活動が出来にくくなっている。
市町村保健活動の中核的な機能とは?
・地域住民自らが自分自身や地域の健康状態を改善できるように支援する機能
・地域の健康課題を把握、企画立案し、評価すること、さらに地域の健康課題を解決するために必要な社会資源を開発する機能
その実現のためには?
・組織横断的な取り組みが可能となる体制の整備
・保健部門と国保部門、地域包括支援センターなどで構成する市町村庁内で組織を横断した協議の場の設置
複数部署をまたがる保健師、管理栄養士を、技術的に指導・調整する統括的な保健師、管理栄養士を配置
・異なる部署を経験させる計画的なジョブローテーションの仕組みの構築
保健師、管理栄養士の専門性を活かす体制の整備
・保健師の専門性は、地域住民の生活の場に入った活動を通して、地域の健康課題を把握し、それを行政の幅広い施策や地区組織活動などにつなげることであり、主要業務として明確に位置づける。それを担保するため、地区分担制と業務分担制を併用するなどの体制を整備する。
・全ての市町村に管理栄養士を配置することが望ましい。

法律(抜粋)

原文はリンク先参照。

地域保健法[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO101.html]

昭和二二年九月五日法律第一〇一号,最終改正:平成二三年八月三〇日法律第一〇五号

第一章 総則
第一条 この法律は、地域保健対策の推進に関する基本指針、保健所の設置その他地域保健対策の推進に関し基本となる事項を定めることにより、母子保健法 (昭和四十年法律第百四十一号)その他の地域保健対策に関する法律による対策が地域において総合的に推進されることを確保し、もつて地域住民の健康の保持及び増進に寄与することを目的とする。
第二条 地域住民の健康の保持及び増進を目的として国及び地方公共団体が講ずる施策は、我が国における急速な高齢化の進展、保健医療を取り巻く環境の変化等に即応し、地域における公衆衛生の向上及び増進を図るとともに、地域住民の多様化し、かつ、高度化する保健、衛生、生活環境等に関する需要に適確に対応することができるように、地域の特性及び社会福祉等の関連施策との有機的な連携に配慮しつつ、総合的に推進されることを基本理念とする。
▼第三条は,市町村・都道府県・国の分業と協業について
第二章 地域保健対策の推進に関する基本指針
▼第四条は厚生労働大臣が地域保健対策の推進に関する基本的な指針(基本指針)を定めること
第三章 保健所
第五条 保健所は、都道府県、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市、同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市その他の政令で定める市又は特別区が、これを設置する。
○2 都道府県は、前項の規定により保健所を設置する場合においては、保健医療に係る施策と社会福祉に係る施策との有機的な連携を図るため、医療法 (昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の四第二項第十号 に規定する区域及び介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第百十八条第二項第一号 に規定する区域を参酌して、保健所の所管区域を設定しなければならない。
第六条 保健所は、次に掲げる事項につき、企画、調整、指導及びこれらに必要な事業を行う。
一  地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項
二  人口動態統計その他地域保健に係る統計に関する事項
三  栄養の改善及び食品衛生に関する事項
四  住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項
五  医事及び薬事に関する事項
六  保健師に関する事項
七  公共医療事業の向上及び増進に関する事項
八  母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項
九  歯科保健に関する事項
十  精神保健に関する事項
十一  治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により長期に療養を必要とする者の保健に関する事項
十二  エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に関する事項
十三  衛生上の試験及び検査に関する事項
十四  その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項
第七条 保健所は、前条に定めるもののほか、地域住民の健康の保持及び増進を図るため必要があるときは、次に掲げる事業を行うことができる。
一  所管区域に係る地域保健に関する情報を収集し、整理し、及び活用すること。
二  所管区域に係る地域保健に関する調査及び研究を行うこと。
三  歯科疾患その他厚生労働大臣の指定する疾病の治療を行うこと。
四  試験及び検査を行い、並びに医師、歯科医師、薬剤師その他の者に試験及び検査に関する施設を利用させること。
第八条 都道府県の設置する保健所は、前二条に定めるもののほか、所管区域内の市町村の地域保健対策の実施に関し、市町村相互間の連絡調整を行い、及び市町村の求めに応じ、技術的助言、市町村職員の研修その他必要な援助を行うことができる。
▼第九条は,都道府県知事,政令指定都市長,中核市長,その他保健所を設置する市の市長,特別区長の職権のうち第六条の事項を保健所長に委任できるという規定。
(市町村保健センター)
第十八条 市町村は、市町村保健センターを設置することができる。
○2 市町村保健センターは、住民に対し、健康相談、保健指導及び健康診査その他地域保健に関し必要な事業を行うことを目的とする施設とする。

地域保健法施行令[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23SE077.html]

(昭和二十三年四月二日政令第七十七号),最終改正:平成二三年八月三〇日政令第二八〇号

(保健所を設置する市)
第一条  地域保健法 (以下「法」という。)第五条第一項 の政令で定める市は、次のとおりとする。
一  地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市
二  地方自治法第二百五十二条の二十二第一項 の中核市
三  小たる市、八王子市、町田市、藤沢市、四日市市、呉市、大牟田市及び佐世保市
(所管区域)
第二条  法第五条第一項 に規定する地方公共団体は、その区域(都道府県にあつては、前条に規定する市又は特別区の区域を除く。)をいずれかの保健所の所管区域としなければならない。
(設置、廃止等の報告)
第三条  法第五条第一項 に規定する地方公共団体の長は、当該地方公共団体において、保健所又はその支所を設置したときは、速やかに、厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に報告しなければならない。
2  法第五条第一項 に規定する地方公共団体の長は、当該地方公共団体において、その設置した保健所又はその支所について、厚生労働省令で定める事項を変更したときは、速やかに、その旨を厚生労働大臣に報告しなければならない。保健所又はその支所を廃止したときも、同様とする。
(所長)
第四条  保健所の所長は、医師であつて、次の各号のいずれかに該当する法第五条第一項 に規定する地方公共団体の長の補助機関である職員でなければならない。
一  三年以上公衆衛生の実務に従事した経験がある者
二  厚生労働省組織令 (平成十二年政令第二百五十二号)第百三十五条 に規定する国立保健医療科学院の行う養成訓練の課程(以下「養成訓練課程」という。)を経た者
三  厚生労働大臣が、前二号に掲げる者と同等以上の技術又は経験を有すると認めた者
2  前項の規定にかかわらず、法第五条第一項 に規定する地方公共団体の長が医師をもつて保健所の所長に充てることが著しく困難であると認めるときは、二年以内の期間を限り、次の各号のいずれにも該当する医師でない同項 に規定する地方公共団体の長の補助機関である職員をもつて保健所の所長に充てることができる。
一  厚生労働大臣が、公衆衛生行政に必要な医学に関する専門的知識に関し医師と同等以上の知識を有すると認めた者
二  五年以上公衆衛生の実務に従事した経験がある者
三  養成訓練課程を経た者
3  前項の場合において、やむを得ない理由があるときは、一回に限り、当該期間を延長することができる。ただし、二年を超えることはできない。
(職員)
第五条  保健所には、医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、保健師、助産師、看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、管理栄養士、栄養士、歯科衛生士、統計技術者その他保健所の業務を行うために必要な者のうち、当該保健所を設置する法第五条第一項 に規定する地方公共団体の長が必要と認める職員を置くものとする。
2  前条第二項の規定により医師でない法第五条第一項 に規定する地方公共団体の長の補助機関である職員をもつて保健所の所長に充てる場合(前条第三項の規定により当該期間を延長する場合を含む。)においては、当該保健所に医師を置かなければならない。
第六条  削除
(設備)
第七条  保健所には、地方の実情に応じ、衛生上必要な試験及び検査の設備、エックス線装置その他保健所の業務を行うために必要な設備を備えなければならない。
(使用料、手数料又は治療料の徴収)
第八条  保健所の施設の利用又は保健所において行う業務については、左に掲げる場合に限り、使用料、手数料又は治療料を徴収することができる。但し、被徴収者が、経済的事情により、その全部又は一部を負担することができないと認められる場合においては、その全部又は一部については、この限りでない。
一  特に費用を要する衛生上の試験及び検査その他の業務を行う場合
二  エツクス線装置その他の試験及び検査に関する施設を利用させるため、特に費用を要する場合
三  特に費用を要する治療を行う場合
2  前項に規定する使用料、手数料又は治療料の額は、実費に相当する額とする。
3  法第五条第一項 に規定する地方公共団体の長は、当該地方公共団体において、第一項に規定する使用料、手数料又は治療料の種類及び額を定め、又は変更したときは、速やかに、厚生労働大臣に報告しなければならない。
(国の補助)
第九条  法第十五条 の規定による国の補助は、各年度において、次の各号に掲げる費用の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める額について行う。
一  保健所の創設費 保健所を創設するための建物の建築、買収又は改造を行おうとする時における建築費、買収費又は改造費を基準として厚生労働大臣が定める一平方メートル当たりの建築単価、買収単価又は改造単価に、厚生労働大臣が定める範囲内の当該建築、買収又は改造に係る延べ平方メートル数を乗じて得た額(その額が当該年度において現に当該建築、買収又は改造に要した費用の額(その費用のための寄附金があるときは、その寄附金の額を控除するものとする。)を超えるときは、当該費用の額とする。)の二分の一に相当する額
二  保健所の創設に伴う初度調弁費 厚生労働大臣が定める基準によつて算定した保健所の創設に伴い必要となる機械、器具その他の設備に要する費用の額(その額が当該年度において現に当該設備に要した費用の額(その費用のための寄附金があるときは、その寄附金の額を控除するものとする。)を超えるときは、当該費用の額とする。)の二分の一に相当する額
三  その他の諸費 次に掲げる額の合計額
イ 厚生労働大臣が定める基準によつて算定した保健所を創設した後に必要となる機械、器具その他の設備に要する費用の額(その額が当該年度において現に当該設備に要した費用の額(その費用のための寄附金があるときは、その寄附金の額を控除するものとする。)を超えるときは、当該費用の額とする。)の三分の一に相当する額
ロ 保健所を創設した後における当該保健所の用に供する建物の建築、買収又は改造であつて当該保健所の建物の現況等を勘案して厚生労働大臣が必要であると認めたものに要する費用について、第一号の規定の例により算定した額の三分の一に相当する額
(事業成績の報告)
第十条  法第五条第一項 に規定する地方公共団体の長は、厚生労働省令の定めるところにより、毎月の保健所の事業成績を厚生労働大臣に報告しなければならない。
(人材確保支援計画を定めることができる場合)
第十一条  法第二十一条第一項 の規定により都道府県が、町村の申出に基づき、同項 に規定する人材確保支援計画(以下単に「人材確保支援計画」という。)を定めることができる場合は、人口規模等からみて、当該町村においては地域保健対策を円滑に実施するための人材を確保し、又はその資質の向上に必要な措置を実施できる見込みがない場合とする。
(国の補助)
第十二条  法第二十二条第一項 の規定による国の補助は、人材確保支援計画に定められた法第二十一条第二項第二号 の事業(以下「人材確保支援事業」という。)のうち、次に掲げる要件に適合するものに要する費用について行う。
一  人材確保支援事業に係る人材確保支援計画が法第四条 の基本指針に即していること。
二  その内容が適切かつ効果的であること。

リンクと引用について