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岡崎五朗×藤島知子のブログ一覧

2012年01月17日 イイね!

スイスポ チーフエンジニアに直撃!

スイスポ チーフエンジニアに直撃!こんにちは、藤島知子です。
みなさまにご覧いただいている『スイフトスポーツ伝説blog』、
carviewに掲載されている『新モダンSPORTハッチ伝説
テレビ神奈川の『スイフトスポーツスペシャル』のロケなど、
ここ数ヶ月で新型スイフトスポーツのハンドルを握り、サーキット、高速道路、一般道とさまざまなシーンで試乗させていただきました。

こうした取材と試乗の機会を通じて私が実感したことは、スイフトスポーツは『自動車という工業製品を単なる商品として捉えていないクルマだ』ということでした。

もちろん、自動車メーカーがクルマづくりをするにあたり、アイディアを凝らし、目標とする製品に向かって真摯に取り組んでいく姿勢はどのメーカー、車種でも比べようがありません。しかし、みなさんもご存知のとおり、私たちの心に響く自動車を生み出すことは、それほど単純なものではありません。

なかでも、こうしたコンパクトカーのハッチバックモデルは、ベースモデルが幅広い層に受け入れられなければならないために、ユーザーの要求は多岐にわたります。ことさら日本においては、秀でたポイントが賞賛されることよりもネガティブな発言が大きく取り上げられることも多く、それらの意見を盛り込む際に個性が弱まり、曖昧な商品になり得るリスクが潜んでいるのです。少なくとも、『日本の自動車が面白くなくなった』と言われてきたここ十数年は、そうした負のスパイラルに苛(さいな)まれていたように思います。

しかし、実際はスタイリッシュで美しいデザインや走りが楽しいパーソナルカーよりも、居住性や実用性に重きを置いたクルマが販売台数を伸ばしたケースも少なくないワケで、皆を納得させるだけの強い力が働かないかぎりは、通を唸らせるクルマを造りあげることはなかなか厳しい。日本は世界で3本の指に数えられるほどの自動車エンスー国であるにもかかわらず、国内市場は手薄な状況に陥ってしまったのです。私の周辺を見渡しても、乗りたい国産車が見当たらないと語る人たちが輸入車に乗り換えたケースは少なくありません。

その点、スイフトスポーツは『現代の国産車でもこれほど高次元な走りを楽しませてくれるのか!』という気持ちを抱かせてくれたクルマ。

私は現行スイフト / スイフトスポーツのチーフエンジニアを務めた竹内氏に直接お話を伺ってみました。新型スイフトスポーツを作るにあたって、竹内氏がとてもシンプルな発想でクルマ作りに取り組まれたことに驚かされてしまいました。竹内氏はできあがった製品がいかに凄いものかと誇張するどころか、『クルマを操る上でドライバーが向き合いやすく、また同乗者も快適に。自分たちが納得できるクルマを追求していくために必要なことをやり遂げていった』と淡々と語り出したのです。


開発者インタビュー参照(http://www.suzuki.co.jp/swiftsport/index.html)

前回、ブログでご紹介したように、スイフトスポーツはスポーツモデルだから乗員に不快さを与える次元から脱却し、その走りはじつにしなやかなで扱いやすいものに仕上げられています。

中でも竹内氏が力を入れたと言うのが、安定性と応答性を高次元でバランスさせた高性能シャシー。フロントストラットのチューブ径は45φから50φに大径化し、足の動きのスムーズさを犠牲にせずに従来よりも車体の傾き(ロール角)を15%低減できるリバウンドスプリング内蔵式のショックアブソーバーを採用。さらには、フロントサスペンションのフレームメンバーをV字ブラケットで補強を施しているのだとか。操舵に対するレスポンスは上がったものの、リヤのスタビリティもアップさせなければならないということで、フロントに負けないようにリヤサスペンションはスイフトスポーツ用に専用設計。リヤタイヤの追従性を高めた仕様になっています。こうした努力によって、操舵に対するリヤの追従性は先代よりも20%上がっているとのこと。

また、先代と比べてホイールは17インチにサイズアップしながらもフローフォーミングリム成形の採用で強度の確保と軽量化を両立。前後に大径ブレーキキャリパーを採用しつつ、フロントのローターを10%厚く、リアのブレーキキャリパーのアルミ化など含め、バネ下重量を10kg程度低減してフットワークを軽快にしています。さらには路面側から入力があったときのリニアリティもアップして、ステアリングは正確性が向上。クルマの挙動が扱いやすいため、走ることに不慣れな運転初心者から走りにコダワリを持つベテランがハンドルを握っても、クルマの動きをコントロールしているという実感が持てます。

先に述べたとおり、メッセージ性のあるクルマづくりが難しい今日において、現代のスポーツモデルの在り方を表現してみせたスイフトスポーツ。一見すると2代目の雰囲気を踏襲し、大きな変化を感じづらい地味な変化に見える現行スイフトですが、目指したところはスイフトらしさの深化。高い次元で操縦安定性と快適性を両立できた背景には、『ユーザーを楽しませるクルマを作りたい』というエンジニアたちの思いが一つになってこそ、成し得たものなのでしょう。

ついつい長くなってしまいましたが、このクルマはあれこれ語ることよりも、一般道を流すだけで違いが分かるクルマです。国産ハッチバックの新たなベンチマークに君臨するスイフトスポーツ。みなさんご自身の目で、感性で、実感してみて欲しい一台です。
Posted at 2012/01/17 19:34:01 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2012年01月16日 イイね!

スイスポ新エンジン語り尽くし!

スイスポ新エンジン語り尽くし!前回はダンパーへのこだわりについて書きました。

 微少ピストンスピード領域での微妙な減衰力コントロールが「しっかりしているのにしなやか」な走り味を生んでいることがおわかりいただけたと思います。さらに、モンローのダンパーに関するもうひとつのネタとして、温度変化による粘度特性の変化が小さい特別なダンパーオイルを使っていることも付け加えておきましょう。このオイルのおかげで、気温が氷点下になるような寒い朝に走り出したときでもゴツゴツした感触にならないのだそうです。

 もちろん、普通のダンパーオイルでも、走りはじめて数分も経てば特性は安定してきます。しかしスイフトスポーツの開発陣はそれを許さなかった。もちろん、スイフトスポーツのダンパーは比較的減衰力が高いため、オイルの硬さによる乗り心地への影響を体感しやすいという理由もあるでしょう。しかしそれ以上に、走り味に徹底的にこだわる開発陣の姿勢が、特別なダンパーオイルの採用につながったのです。

 そんなこだわりはクルマ全体に及んでいますが、今回はパワートレーンについて書いていきましょう。1.6Lの4気筒DOHCエンジンは、型式こそ先代と同じ「M16A型」ですが、新たに可変吸気システムを採用したことに加え、吸気バルブの開閉タイミング制御とリフト量増大により、先代比+11psの136psという最高出力と、+12Nmの160Nmという最大トルクを発生します。しかも最大トルク発生回転数は400rpm下がって4400rpmになり、燃費もMT車で14.6㎞/L→15.6㎞/L、AT(CVT)車で13.6㎞/L→16.0㎞/L(いずれも(10・15モード)へと向上しました。とくにCVT車の燃費は、先代が4速ATだったこともあり18%という大幅な向上です。

 実際に走ってみてもっとも変わったなと思うのがトルク特性です。可変吸気システムにより、全域で空気を効率的にシリンダー内に取り込めるようになったため、トップエンドでのパンチ力だけでなく、低中回転域でのトルクがグッと太くなっています。これにより、街中での加速でシフトダウンが求められる頻度は大幅に減りましたし、高速道路でも、たいていは6速に入れっぱなしで事足ります(※MTの場合)。もちろん、鋭いダッシュをする際にはシフトダウンをして回転数を高めてやる必要がありますが、周囲の流れに沿って走っている分には、シフト操作をかなりさぼれる=イージードライブが可能になったわけです。

 低い回転域での静粛性も向上しました。新型スイフトスポーツは風音やタイヤノイズ、振動を含め、静粛性が大幅に向上していますが、エンジン音もそのうちの一つ。高速道路を使って長距離を一気に走るようなシーンでは、静かな方が快適で疲れにくいのは言うまでもありません。一方、4000rpmぐらいまで回転を上げてやると、フォォーンという快音が聞こえてきます。短時間の試乗ではとかく刺激性の高い味付けを求めてしまいがちですが、自分のクルマとして長く付き合っていくと、異なる側面も重要だと感じ始めるものです。たとえば疲れているとき。家族や友人とドライブに行くとき。長距離を走るときなど。その点、常用域での音は控えめにし、いざ積極的に回していったときだけ気持ちのいいサウンドを聴かせてくれるというスイフトスポーツの音づくりは、なかなか上手いところをついているなと思います。

 トランスミッションも大きく代わりました。まずは5速から6速になったMTですが、6速のギア比を高めに設定することで、100㎞/h巡航時のエンジン回転数を従来(MC前)の3200rpmから2600rpmへと引き下げています。言うまでもなく、回転数の低下は燃費と静粛性にとって大きなメリットになります。もちろん、1-5速はクロスしているので、スポーツ走行もバッチリです。


しかし、それ以上に大きく変わったのが副変速機構の付いた新しいCVTです。従来の4速ATは5速MTと比べてギア比がかなり高めで、100㎞/h巡航時の回転数はたしか2600rpmだったと記憶しています。それを4速で「割って」いたのですから、各ギアの開きはかなり大きく、加速性能はMTと比べて大きく劣っていました。ところが新型は7速MTモード付きのCVTになり、しかもパドルシフトも加わったのです。100㎞/h巡航時のエンジン回転数はMTモードの7速で3100rpm、Dレンジでは1900rpmまで落ちます。この"変速比幅"の大きさがCVTの特徴で、またモード燃費でMTを凌ぐ理由でもあります。ここで注目して欲しいのはMTモードの超クロスレシオぶりです。3100rpmを7速で割っているということは、6速MT以上に各ギアが接近しているということ。そこに、ステアリングから手を離さずに瞬時のシフトチェンジができるパドルシフトが加わるのですから、スポーツ性の高さは先代の4速ATとは比べものになりません。さらに、ドライブモードで走っていてアクセルをバンッと踏み込んだときの鋭いキックダウンや、エンジンの回転数とリンクした自然な速度上昇など、新型スイフトスポーツのCVTには随所に走りへのこだわりが満載されています。


 それでも、僕がスイフトスポーツを買うのなら、自分で操っている感覚をより強く味わえる6速MTを選びますが、CVTを選んでもスイフトスポーツらしさがさほど失われないのが新型の美点です。奥様も運転する、あるいは普段はイージードライブをしたい…そんなニーズを満たしつつ、スイフトスポーツらしいスポーティーな走りを楽しめるようになったのは、とても大きな進化だと思います。

 先代はMT比率が7割だったスイフトスポーツ。しかし新型のMT比率はおそらく5割ぐらいに落ち、CVTが半分ぐらいになるのではないか? 僕はそんな予想をしています。もし試乗するなら、ぜひMTとCVTの両方を試してみることをオススメします。
Posted at 2012/01/16 15:01:57 | コメント(6) | トラックバック(1) | 日記
2012年01月10日 イイね!

スポーツコンパクトの快適性?

年が明けて、早くも新しい一年がスタートしましたね。

みなさんはお正月休みをいかがお過ごしでしたか? 藤島知子です。

新しい年の始まりということで、今年もクルマの楽しさを一人でも多くの方に気がついてもらえるような活動に力を入れていきたいと思っています。

今年もよろしくお願いいたします。

というワケで、新年最初の『スイフトスポーツ伝説blog』は、スポーツコンパクトの快適性のお話です。


『スポーツモデル』、『コンパクトカー』というキーワードを聞いたとき、みなさんはどんなクルマを想像しますか?『ダイナミックに走れるスポーツ性能』とか、『コンパクトで軽量なボディでスイスイ走って行けそう』とか、思わず胸がワクワクしてしまうポジティブな要素がいろいろありますよね。

でも、同乗者の立場や日常使いを意識してみたらどうでしょうか?キビキビと走らせる方向性を追求したことによって、スポーティな足回りがゴツゴツした動きをみせてしまったり、身体が大きく揺さぶられて快適性を損なってしまうなど、ネガディブな要素も否定しきれません。

そんな風に、スポーツモデルはある種の諦めや割り切りが要求されるものだと思っていましたが、私がスイフトスポーツに乗って嬉しかったことは、コンパクトなスポーツモデルでありながら、走りの質感がクラスを上回るしっかりしたものに仕立てられていると実感できたことだったのです。

前後左右のタイヤの距離が短いクルマとなれば、小回り性には優れていても、高速道路を走ったときの安定性が薄れてしまって、ロングドライブが疲れやすかったり、手が届きやすい価格帯やその国の特殊な事情に適応させるために優先順位が変わってしまって、走りよりも乗り心地の良さとか日常域での扱いやすさに着目されがち。しかし、欧州コンパクトカーの走りと比較してみると、悲しくも国産モデルの中には『それなりの質感』でまとめられているクルマが多いのも現実です。もちろん、誰もがスポーツ性を追求するものではないと思いますが、厳しい状況で鍛え抜かれたクルマの走りは、乗り心地も、走りの質も一歩上の領域にあるものです。


とくに、スイフトスポーツが目指しているのは、操縦安定性に優れた上質な走りを見せるクルマ。『ダウンサイジング層が上級車種から降りてくることも考慮しました』ということもあり、デザイン的な見栄え、走りの質、快適性レベルなど、コンパクトカーだから何かを犠牲にしたという、ネガティブな要素が見当たりません。

スイフトスポーツの乗り心地を助手席側から探ってみると、荒れた路面ではコトコトと路面の状況を伝えてくるスポーティな一面が見受けられる反面、路面のつなぎ目のタイヤの当たりは角が取れている印象で、乗り心地をマイルドに感じさせる工夫も見受けられました。もちろん、ボディが粗っぽくブルッと震えるようなこともありませんでした。

また、助手席の乗員は、ハンドルを握って次の動作を予測しながら走るドライバーと違って、クルマの揺れに身を委ねるしかありません。しかし、身体の収まりが良いシートに座ってみると、クルマの揺れと身体の揺られ方が一致している感覚で、車内のハンドグリップにしがみつく必要はありませんでした。

こうして、日常走行域で不快さを感じにくかった理由をみても、新型スイフトスポーツは運動性能の高さと快適性を高次元で両立させているという証拠ですよね。スポーツモデルを操る楽しさはしっかりと凝縮しながらも、同乗者も快適に移動できる。走り好きの方だけでなく、是非ともファミリーに選んでいただきたいクルマです。

■こちらの写真は先日、テレビ神奈川『岡崎五郎のクルマでいこう!』の新型スイフトスペシャルの特別番組の撮影で テストコースを訪れた際のもの。

テストコースでのスポーツモデルらしいアグレッシヴな走りと、日常ユースの走りの気持ちよさなどを岡崎五郎さん&藤島知子のペアでお届けいたします! 放送予定は1月下旬ごろ。全国ネットですので、お楽しみに!詳しくはtvkホームページをご覧ください。http://www3.tvk-yokohama.com/kuruma/


こちらの特別企画「─削ぎ落とせ、研ぎ澄ませ、深化へ向かえ! ─ 新モダンSPORTハッチ伝説」でもゴローさんと一緒にスイスポの性能をテストしています。限定公開コンテンツですので、ぜひ掲載中にご一読頂ければうれしいです。






Posted at 2012/01/10 20:48:49 | コメント(4) | トラックバック(1) | 日記
2012年01月05日 イイね!

モンローのダンパーに隠された熱い思い

 岡崎五朗です。新年あけましておめでとうございます。
年末はみなさん、ゆっくりお過ごしになられましたか?
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 さてさて、新年1回目のスイスポのはなし。

 ダンパーは別名ショックアブソーバーとも呼ばれますが、僕はダンパーという呼び方を好んで使っています。というのも、ショックをアブソーブ(吸収)するのはあくまでスプリングの役目であり、ダンパーはその結果起こる車輪の上下振動を減衰(ダンピング)するために使われるからです。

 では、そもそもクルマの場合、ダンパーはどんな役割を担っているのでしょう。主な目的は2つ。車体の上下動&ピッチングの抑え込みとロールスピードのコントロールです。

 昔理科の実験で習ったと思いますが、錘(おもり) をつるしたスプリングはいったん振動をはじめると伸びたり縮んだりを繰り返します。実際には摩擦やヒステリシスによっていつしか振動は止まりますが、止まるまでにはかなりの時間がかかります。これがクルマだったら、常に車体がブワンブワンと揺れることになり、乗っている人はたまったものじゃありません。

 また、たとえばステアリングを右に切ると重心にかかる遠心力の作用でクルマは左側にロール(傾く)しますが、ロールスピードが速すぎるとグラッという不安定な動きになってしまうため、ダンパーでコントロールし、ジワッとした動きにしてやるわけです。
 
 ダンパーの減衰力は組み合わせるスプリングの硬さと車重を基本とし、さらにクルマのコンセプトに合った味付けを加えることで設定されますが、ここで重要なのは、スプリングの硬さが絶対的なロール量を決めるのに対し、ダンパーはあくまでも過渡状態、つまりロールが起きてから止まるまでの間のみに効いてくるということです。ダンパーの減衰力を高くするとロールスピードは遅くなりますが、絶対的なロール量は変わらない。けれども、実はこの部分が乗り心地やハンドリングのフィーリングに大きな影響を及ぼすのです。


 こちら(http://www.carview.co.jp/magazine/recommend/2011/suzuki_swift/)で試乗インプレッションを報告しているように、新型スイフトスポーツの足回りは決してガチガチではなく、むしろ「しなやか」という表現が似合う特性に仕上がっています。それでいてふわふわ感がなく、しっかり燃している。この、ちょっと魔法のような特性には、サスペンションの土台となるボディがしっかりしていること、スプリングレートを無闇に上げていないことがもちろん効いていますが、もう一点、大きな役割を担っているのがモンローのダンパーです。

 
 フロントに伸び方向の余計な動きを規制するリバウンドスプリングを内蔵していることも大きな特徴の一つですが、新型スイフトスポーツのダンパーセッティングで僕がもっとも感心したのは、低ピストンスピード領域での減衰力チューニングをきめ細かく行っている点でした。ダンパーのピストンスピードだいたいの目安として、状態のいい舗装路で0.08m/秒、一般的な舗装路で0.1~0.15m/秒、荒れた舗装路で0.2~0.3m/秒、砂利道にいくと0.8m~1m/秒と言われています。普通、ダンパーの減衰力(kg)は0.3m/秒時の数値で表しますが、これは段差を乗り越えるようなかなり速いピストンスピード領域での特性に相当し、ステアリングを切り込んだときのロール抑制に関しては、0.1m/秒以下という、ピストンスピードが低い領域の特性が大きく関係してきます。ステアリングを切った際、必用以上のロールスピードを抑え込みつつ、変に突っ張らず外輪側にスムースに荷重を乗せていく…そういった特性がもたらす絶大な安心感と優れた正確性には、開発エンジニアと実験ドライバーがこだわり抜いた絶妙のダンパーチューニングがギュッと凝縮されているのです。


 さらに言うなら、新型スイフトスポーツのモンローのダンパー は、もっと低いピストンスピード領域での特性にも優れています。走りはじめた瞬間、それこそ時速10km/hとか20km/hといった極低速域でも、足がしなやかに動いてくるのが感じられる。これはもう0.1m/秒どころか、0.03m/秒レベルの減衰力特性までしっかりとコントロールチューニングされている証です。このレベルになると検査機器で計測するのは難しいのですが、欧州を中心とした徹底的な走り込みを通して磨き上げていった新型スイフトスポーツのドライブフィールには、人間の感性でしか作り込めないテクノロジーがしっかりと反映されています。


 もちろん、こうした特性を実現するには精巧なダンパーが欠かせません。ほんの僅かな誤差やバラツキがあるだけで、低ピストン領域での減衰力特性は大きく変わってきてしまうからです。先代に引き続き新型スイフトスポーツはモンローのダンパー を採用していますが、それはモンロー がスズキの要求する厳しいスペックに応えられる技術と熱意をもってたからこそ。カタログにはたった1行「モンロー社製ショックアブソーバー採用」と書かれているだけですが、その背景にあるのは、両社が共有する「いいクルマを作りたい」という熱い思いと、それを通じて結ばれたエンジニア同士の固い信頼関係なのです。


かなりマニアックな内容になりましたが…こちらの特別企画「─削ぎ落とせ、研ぎ澄ませ、深化へ向かえ! ─ 新モダンSPORTハッチ伝説」でも、スイスポの性能の真髄に迫る話をかきました。まだ見ていないという方は、ぜひ併せてご覧頂ければと思います。




Posted at 2012/01/05 19:37:56 | コメント(0) | トラックバック(1) | 日記
2011年12月23日 イイね!

スイスポのシート

スイスポのシート みなさんこんにちは。モータージャーナリストの“フジトモ”こと、藤島知子です。

『いつ登場するのか』と期待に胸を膨らませていたスイフトスポーツが、いよいよ東京モーターショーでデビューを飾りましたね。このブログではスイフトスポーツに実際に見て、触れて、感じた魅力をみなさんにお届けしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします!

私が新型スイフトスポーツに間近で触れたのは、千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイ。低く身構えたスタイリング、チャンピオンイエロー4のカラーをボディに誇らしげに纏ったスイスポは、ベースモデルとは違った力強いオーラを放っていました。ピットロードに待機している姿を見て、「やっぱり、スイスポはサーキットも似合うよなぁ」としみじみ思ってみたりして。

私たちのような仕事をしていると、新型モデルが登場した際、市販モデルでサーキット試乗をさせていただくことがあります。日常的な用途を兼ね備えるクルマの場合、ハイスピードでコーナーを駆け抜ける場所では、シートのホールド性などに物足りなさを感じることがあるものですが、スイスポは素の状態で走ってみても、その基本レベルの高さに驚かされます。

そう思わせてくれた理由のひとつはシートでした。


今回用いられたシートはベースモデルのスイフトのフロントシートの背もたれとシートのクッション部分にサイドサポートを追加。パッドの形状や硬度が最適化されたもの。確かに、実際に座ってみると、身体の収まり感が格段にレベルアップしていることが分かります。


“専用スポーツシート(正式には、Sportフロントシート(Sportロゴ入り)”というと、どこか体育会系の雰囲気が漂いますが、このシートは黒く艶やかなファブリック素材を採用して、サイドにステアリングホイールとシフトブーツと同様に赤いステッチが施されているので、スタイリッシュに乗りこなせる質感に仕立てられているのも特徴です。

とはいえ、見た目重視のシートではありません。身体が振られがちなサーキット走行でも、身体の中心がしっかりとシートに収められている感覚で、適切な運転姿勢が保てるのです。コーナーに差しかかって、舵角を切り込まなければならないときに身体が振られてしまうと正確な運転操作ができないものですが、このシートはサイドサポートには適度なホールド性があり、シート自体の取り付け剛性がしっかりしているので、安心して身体を預けることができます。


また、女性にとっては「シートのサイドサポートが深くて、普段使いで乗り降りしづらいんじゃないの?」と思われがちですが、そのあたりもご心配なく。座面サイドの垣根は身体が横切る箇所が低い形状になっているので、乗り降りするときは足裁きがスムーズにできるようになっていますよ。


スイスポの走りの真髄をサーキットで試した特別企画「─削ぎ落とせ、研ぎ澄ませ、深化へ向かえ! ─ 新モダンSPORTハッチ伝説」も、岡崎五朗さんと私が出演しています。こちらも是非併せてご覧頂ければと思います。

Posted at 2011/12/23 19:43:56 | コメント(3) | トラックバック(1) | 日記
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