T刑務所では相沢幸雄の死刑が執行された。相沢幸雄、30歳、強姦致死で5名の女性を殺し、死刑判決が下った。相沢幸雄に反省の色はなかった。身長は178cm。がっしりとした体格。異常な性欲に突き動かされて女を犯しまくった。まだまだ足りないと思っていたが、後悔はしていなかった。
足を支えていた踏み台が外され、首が縄に吊るされた。頸動脈が締まっていく。これで終わりか、幸雄はそんなことを思っていた。
幸雄はぼんやりと目を覚ました。ここは死後の世界なのか。地獄なのか。まわりを見回すと医療ドラマでみたような手術着を着た医者たちが忙しく立ち働いている。あの世にも医者がいるのか、不思議な気持ちになった。そういえば、自分は手術台に寝かされているような気がした。見渡すことはできてもからだはぴくりとも動かない。死後の世界にしては妙にリアルだった。手術着をきたある男が、幸雄の覚醒に気がついた。幸雄の顔を覗き込んだ。
「目が覚めたか。でも、またおやすみ」
男が幸雄にマスクを被せてきた。ドラマで見た、患者に全身麻酔をするときのマスクみたいだった。幸雄が息を吸いこむと、マスクから供給されるなにかを吸い込み、再び幸雄は意識を失った。
幸雄が再び目を覚ましたのは、病室のベッドの上だった。ここはどこかの病室で、窓からは生前に見たような、気持ちのいい天気の外の景色が見える。空には雲が流れ、下は草原になっている。太陽があるみたいだ。これが死後の世界の景色なのだろう。同じ病室には誰もいない。幸雄だけだ。
死後の世界で目を覚まし、また意識を失い、また、目を覚ました。不思議なこともあるものだと幸雄は思った。今、身を横たえているベッドも死後の世界なのだろう。本当に死後の世界はあったのだ、死んだ後の世界など全く信じていなかった幸雄だが、実際に目を覚ましてみて、死後の世界は本当にあるのだ、と思った。
廊下を誰かが歩いてくる。部屋に入ってくる。病院の看護師だった。
看護師は、病室に入ると、幸雄が覚醒していることに気がついた。踵を返して、駆け足でどこかに走り去ってしまう。
しばらくして、白衣を着た医師たちがどかどかと病室に入ってくる。
「目を覚ましたのかね。相沢幸雄くん。相沢幸雄は、戸籍的には死んでいる。もうこの世にはいない。今のところ、君には名前はない。だから、便宜的に相沢くんと呼ぶことにするよ」
「俺は死んでいるのか。ここは死後の世界なのか」
「いいや、死んではいない。絞首刑が執行された後、君の体は私たちが回収させてもらった。戸籍は死刑執行によって抹消されたが、君は死んではいない。ここは死後の世界ではない。現実の世界だ」
「俺をどうするつもりだ」
「君には人体実験のモデルになってもらう。死なれてしまうと、実験失敗になってしまうので、精一杯努力させてもらう。君の実験がうまくいけば、いろいろなことがうまく捗ることになる。倫理的に、生きている人間では試せないことばかりなんだ」
幸雄はあっけに取られると同時に、怒りが湧いてきた。
「俺を人体実験のモデルにするために、殺さなかったということなのか」
「君には悪い話ではないと思うよ。全ての実験がうまくいけば、今までと同様、外の世界を自由に歩き回れるようになる。自由を手に入れることができるようになる。犯罪歴もなくなる」
かつてと同じように、外の世界を自由に歩き回れるようになる、娑婆に、娑婆に戻れるのだ。その考えは、相沢幸雄に希望の光を灯した。
「わかった。殺さないでくれよ。俺は娑婆に戻るんだ」
「精一杯努力させてもらうよ」
幸雄はまた、眠らされ、何度かの手術を受けさせられた。その度に、激しい痛みが体を襲った。体にはたくさんのチューブが接続され、ベッドから体を動かすことはできなかった。尿や便の排泄もそれらのチューブを通して行われる。自分にどんな手術が行われているのかは皆目わからなかった。
あるとき、手を股間にもっていくと、ペニスがなくなっているのに気がついた。シーツをめくって確認する勇気はなかった。そこからもチューブが伸びている。どんな体に改造されてしまったのだろうか。
なんどかの手術が繰り返され、ひどかった体の痛みが引くと、体から徐々にチューブが外されていった。手術は成功し、一山超えたようだった。
「今日から、自分でおしっこやうんちをする訓練を始めますよ」
看護師が車椅子を持ってきた。
看護師は幸雄の体をかるがると持ち上げると、車椅子に載せた。車椅子を押して病室を出ていく。廊下の窓からは外の景色がみえる。山の中の病院のようだった。
車椅子は女子トイレの中に入っていく。看護師が幸雄を抱えて、トイレに座らせる。幸雄が着ていたワンピースを下からめくりあげる。そこにはやはり、もうペニスはなく、可憐な一筋の陰列が走っているだけだった。
看護師が後ろにまわる。
「さあ、両手で陰列を開いて下さいね」
看護師は幸雄の手を掴むと、その手を陰列に持っていった。看護師に促され、陰列を両手で左右に開いた。きれいなピンク色の中身が見える。
「さあ、前にかがんで力をいれて」
中腰になって、腰を浮かせ、膀胱に力をいれると、ピンクの肉壁の真ん中あたりから、おしっこがほとばしりでた。まるで、岩の隙間から、清らかな水がほとばしりでるみたいだ。
おしっこがでた穴付近がおしっこのしずくで濡れてしまう。
おしっこができってしまうと、看護師はトイレットペーパーでおしっこがでた穴のあたりをきれいに拭ってくれた。
「これからは自分で拭くんですよ。もう、女の子なんですから、立っておしっこはできないし、おしっこがでた穴はトイレットペーパーできれいに拭かないといけなくなったんですよ」
幸雄は女に改造されてしまったのだ。これまでの手術にどんな意味があったのかをこのときに悟った。
洗面台で手を洗ったが、洗面台の鏡ははるか上方にあり、どんな姿に改造されたのかをまだしることはできなかった。
幸雄がどんなからだに改造されてしまったのかを知ったのは、リハビリの時だった。
ベッドに括り付けられたような生活で筋力はとても弱ってしまい、自力では立つこともできなくなってしまっている。
自由な生活を取り戻すにはリハビリは欠かせない。
リハビリ室に車椅子で連れて行かれると、そこには全身を写し出す鏡があり、自分がどんな姿に改造されてしまったのかを初めて知った。
リハビリ室の鏡には車椅子に乗った小さな女の子が映し出されている。髪は背中の中程まで伸び、手足はすごく華奢な、小学生ぐらいの小さな可愛らしい女の子。それが今の相沢幸雄だった。
身体計測をしたところ、身長は147cm、体重は38kgになっていた。すっかり小さな女の子だ。
それでも、リハビリしてからだを動かせるようになれば、外にでて自由に動き回れる。
それだけを希望に、幸雄はリハビリを頑張った。
その間にもなんどかの手術があった。その手術は、初期に行われた、ひどい痛みを伴うものに比べれば軽微なものだった。
ある日、突然お腹が痛くなった。白いシーツが真っ赤に染まっていく。幸雄はナースコールで看護師を呼んだ。
「生理が来たのね。卵巣はなくて、子宮だけだとどうなるかと思ったけど、しっかり定着して活動し始めたみたいね」
「生理?」
「そう、女の子は月1回お股から血を流すのよ」
看護師は、ナプキンをショーツに貼ってくれた。出血はおさまらず、3時間ぐらいおきに看護師が取り替えに来てくれる。
幸雄のからだはすっかり女の体になっていた。これから毎月必ず、こういうことが起こるのだ、幸雄はそれを耐えていかないとならないのだ。
なんどかの手術をはさみ、リハビリを頑張って、なんとか自分で歩けるようになった。そのうち手術はなくなり、リハビリに専念できるようになった。看護師さん付き添いだが、自分の足でリハビリ室にいけるまでに回復した。
朝、病室に医師たちがやってきた。そのうちの一人が言った。
「退院が決まった。おめでとう。これで自由の身だ」
もう一人がいう。
「1週間後に君の親になる、大崎夫妻が迎えにくる。そこが君の家になる」
さらに別のもう一人が付け加えた。
「君に新しい戸籍を用意した。名前は大崎茉由。10歳ということになる。小学校4年生だ。近所の小学校に通うことになる。女子小学生としてだ。せいぜい、娑婆の自由を満喫してくれたまえ」
さらに別の一人が付け加えた。
「毎月1回はここに来てくれたまえ。君のお父さんには言ってあるが。いろいろと検査や治療の継続が必要なんだ」
1週間はあっという間にすぎ、退院の日となった。
窓から見える外の景色は、天気が良さそうだった。
看護師が入ってきて、幸雄を病院着のワンピースから着替えさせた。胸は膨らみ、すっかり女児らしい体型になっている。乳首は男だった頃には考えられないほど膨らみ、小指の先ぐらいの大きさになっている。
看護師ははっきりと膨らんだバストに木綿の女児らしいブラを当てて、後でホックを留めてくれた。可愛いパンダの柄のショーツを履かせた。茉由は諦めてされるがままになっていた。最後にピンクのワンピースを着せられた。可愛らしい女児の洋服だった。腰に飾りのベルトがあり、それを留めると着替えは完了した。
※ 写真はイメージです。
「かわいいでしょう。髪もツインテールに結ぶわよ」
幸雄の長く伸びた髪はきれいに梳かれ、ツインテールに結ばれた。
部屋に見知らぬ人が入ってきた。スーツ姿の男性と、きれいな女性の二人連れだ。これから幸雄の親になる大崎夫妻だった。
「茉由ちゃん。これからパパになる、大崎英夫と、ママになる、大崎優香だ。よろしくね」
「よろしくね。茉由ちゃん」
大崎優香は微笑んで茉由に右手を差し出した。
茉由は、「よろしく」といって、もじもじしながら優香ママの手を握った。優香ママの手は暖かくてとても柔らかかった。優香ママはにこにこしていた。
大崎英夫が運転する車が、病院を出発した。茉由と優香ママは後部座席に座り、シートベルトをしっかり締めている。優香ママは茉由の手をずっと握っている。優香ママの香水のいい香りがする。
「あなた、まだ早い時間だから、どこかに寄ってケーキでも食べましょう。茉由が私たちの子供になってくれたお祝いでもあるし」
「いいね。どこかに寄ろう。まだ10時だしね」
「私、シュベールがいいわ。あそこのケーキ、美味しいのよ」
「じゃあ、そこにしよう」
茉由は女児の姿を見られるのが恥ずかしかった。女の子らしい可愛いピンクのワンピースを着ているし、靴もストラップがある可愛らしい黒の女児靴だ。おまけに髪はツインテールに編まれている。お店に寄ったら、大人がじろじろ見てくるだろう。女装みたいに思われないか。恥ずかしさで顔が赤くなる。それでも、この姿で生きていかなければならないのだ。
優香ママに手を引かれて、お店に入った。席に着くと、
「茉由ちゃんはどれがいい?」
と優香ママがメニューをみせて聞いてくれた。茉由は、おいしそうないちごのケーキを見つけて、これ、と指さした。
英夫パパが店員を呼んで注文した。店員はちらりと茉由のほうを見ると、にっこりした。茉由は顔から火が出るかと思うほど恥ずかしくて真っ赤になった。この店員はどう思っているのだろうか。
優香ママが、茉由が顔を赤らめていることに気がついた。
「大丈夫よ。なにも心配することはないわ。茉由は可愛い小学生そのものよ。どこからみても可愛い女の子。見られて恥ずかしがることは全くないわ。堂々としていていいのよ」
「そうだぞ。どこからどうみても、茉由は可愛い女の子だ」
英夫パパがにこにこしている。
ケーキと紅茶が運ばれてきた。
茉由には久しぶりの外の世界。自由な世界だった。出されたケーキは美味しそうだった。小さく可愛らしく改造されてしまったぷにぷにした手でフォークを持ち、ケーキを小さく切って、口に運んだ。以前にケーキを食べたのはいつだったろうか。覚えていない。茉由はケーキを思い切り頬張った。とても美味しかった。おもわずにこにこしてしまう。
それを見て、英夫パパも優香ママもにこにこしている。茉由はなんか幸せな気持ちになった。
大崎夫妻の家は、普通の2階建ての家だった。家の前で、先に優香ママと茉由が降りる。英夫パパは迎えにきた時に乗ってきたアルファードを、家のわきの駐車場にいれる。
「茉由ちゃん、ここがあなたのおうちよ。お部屋も用意してあるわよ。案内してあげるわね」
優香ママは家の鍵を開け、茉由を家の中に入れた。茉由は玄関で、小さくて可愛い黒の靴を、ベルトを外して脱いだ。パチっと音がした。改めて見るとすごく小さい。
「茉由ちゃんのお部屋を用意しておいたのよ。こっち」
優香ママが二階へ上がっていく。茉由も続いて階段を上る。優香ママが案内してくれたのは新しい茉由の部屋だった。女の子らしい部屋だ。小学生女子の部屋らしく学習机がある。学習机の脇には赤いランドセルがかかっている。これを背負って、茉由は小学校に通うのだ。茉由は女子としてやっていけるか不安になった。
「好きに見ていいわよ。下で冷たいジュースを用意しておくわね」
そういうと優香ママは下へ降りていってしまった。
茉由は部屋を見てまわった。女の子らしい可愛いベッド。可愛いぬいぐるみたちがいる。本棚があり、少女漫画が並んでいる。小学校の学習参考書もある。クローゼットをあけると女の子の洋服がずらっと並んでいる。ワンピースやブラウス、スカート。クローゼットの引き出しには女児用のブラジャー、ショーツ、キャミ。これからはこれらの服しか着られないのだ。もう、男物のシャツやトランクスを着ることは二度とないのだ。
その夜は、久しぶりにお風呂に入ることになった。病院では看護師に汚れを拭いてもらっていた。お風呂に入るのはどれくらいぶりだろう。
でも、一人では入らせてもらえなかった。優香ママも一緒だった。
「娘ができたら、一緒に入りたいとずっと思っていたの。今、夢が叶ったの。茉由ちゃんと一緒に入れてすっごくうれしいわ」
優香ママは肉感的な女性だ。背は茉由よりちょっと高い。おっぱいとお尻は大きい。茉由が男だった時に、犯して殺した女たちに似ている。茉由の好みの女だった。そばにいるといい匂いがする。化粧品や香水などの匂いとは違う、女特有のミルク臭い匂いだ。女の体に改造された今となっては、優香ママは好みの女だが、もう性欲は湧かない。一緒にお風呂に入るときに優香ママのつけている下着をみた。サテン地のちょっとえっちっぽい薄いピンクのブラとお揃いのショーツをつけている。茉由は、将来、大人になって優香ママみたいなえっちなブラやショーツをつけることを想像してみた。それは茉由にまだ残っている男の部分をちょっと興奮させた。
将来、優香ママのような女になるということ。それは男だったときに襲ったか弱い女の立場になるということ。立場は逆転し、男に怯えながら暮らすことになるのだ。
お風呂では優香ママが茉由を丁寧に洗ってくれた。優香ママの大きなおっぱいが茉由の背中にあたる。とっても柔らかい。一緒に入った湯船で、優香ママはおっぱいを触らせてくれた。柔らかくて触り心地のいいおっぱいだ。ぷっくらと大きな蕾のような乳首も触らせてもらう。
「柔らかくて気持ちいいでしょう。茉由ちゃんのおっぱいもこれくらい大きくなるといいわね。今は可愛らしいおっぱいね」
優香ママは後ろから手を回して、茉由のおっぱいに触ってきた。
「可愛いおっぱい」
膨らんだ乳首を指でちょんちょんと触ってくる。乳首をいじられたとき、ピリピリとした電流が走り、ああっ、と茉由は声をあげてしまう。
「ごめんなさいね。刺激しすぎちゃった?もう少し優しく触るわね」
優香ママは丁寧に優しく触ってくれた。しばらく触りっこをしてから、
「今日はこれでおしまい」
と言って、茉由のおでこにキスをして、これで触りっこは終わりになった。
寝るときは、キャラクターのついたワンピースを着て寝ることになった。電気を消して、女児用のベッドにごろんと横になると、しばらくして、コンコンとドアを叩く音がした。
「茉由ちゃん、起きてる?」
優香ママの声だ。
「うん、まだ起きてる」
茉由が返事をすると、優香ママが入ってきた。茉由の隣に横になった。
「茉由と一緒に寝たいの。いい?」
「うん、いいよ。一緒に寝よ」
茉由は優香ママの甘い匂いに包まれて、すぐに眠りに落ちた。すごく幸せな気分だった。
それから1週間ぐらいして、茉由は近所の小学校に通うことになった。優香ママが転校の手続きを全てしてくれた。季節は5月。茉由は小学校4年生として学校に通うことになる。同級生は先月に4年生になったばかり。そこに1ヶ月ばかり遅れて加わることになる。
朝、近所に住む、同級生になる高坂詩織という女の子が迎えにきていた。茉由がこの家に来てから近所だという高坂保が娘の詩織を連れて遊びにきた。そのときに茉由は詩織と知り合った。そして同じ学校の同級生になることを知った。その時、茉由は詩織を自分の部屋に招いて、ちょっとしたおしゃべりをした。女の子として他の女の子を自分の部屋に招くのは変な気がした。
「同じクラスだったらいいな」
茉由は伸びた髪を切りに美容院にいった。優香ママの行きつけの美容院だった。ママのカットを担当している美容師さんが、茉由の髪をカットしてくれた。女の子らしいヘアスタイルになった。美容師にカットされ、茉由は幼さのなかにも大人の女が見え隠れする。
※ 写真はイメージです。
茉由は優香ママと学校に登校し、校長に挨拶し、クラスに入ることになっていた。そこに誘いにきた詩織が加わった。詩織は可愛らしい女の子らしい格好をしていた。ひらひらのスカート、きれいなブラウス。でも、それは茉由も同じだった。ひらひらの可愛いスカート。これからは女児としてスカート以外は許されない。初めて人前をスカートで歩くのはこころもとなく、他の人にどうみられるかとおもうとすごく恥ずかしかった。
優香ママは校長と担任に挨拶を済ませると帰っていった。偶然にも茉由は詩織と同じクラスだった。詩織は、中学校、女子校、女子短大とずっと一緒の大親友になる。
茉由は前に立って、みんなに挨拶した。
「大崎茉由です。よろしくお願いします」
小学4年生の女児としての生活が始まった。
小学4年生ともなれば、男は男同士、女は女同士のグループに分かれる。茉由は当然、女子のグループだ。詩織も一緒。茉由にとって、男はもう異性であり、親友になることはできない。茉由が友達と呼べるのは同性の女子だけだ。茉由は女子のなかで女子として暮らしていかなければならないのだ。
茉由は女子グループの中では背が高い方だ。詩織よりも背が高い。でも、肉体改造によって強制的に縮められた茉由の身長はこれからずっと変わらない。他の女子たちに次々と追い抜かれていくことになる。大学生の頃にはちびに分類されるようになる。
茉由は常に女子たちと一緒に行動し、女子らしさ、ふるまいを覚えていく。女子は連れ立ってトイレに行く。茉由は、そうした行動に付き合わされ、また付き合ってもらい、一つづつ女の習慣を体で覚えていく。トイレは当然女子トイレであり、隣の男子トイレには入れない。かつては男子トイレにしか入れなかったのが、今では女子トイレにしか入れない体になってしまっている。デパートや駅などで女子トイレの長い列に並ばなければならない。簡単に陰茎を出して小便をするわけにはいかなくなった。もれそうになりながらも長い行列に並んで、狭い個室でストッキングとショーツをおろし、スカートを捲り上げなければ、小便ができないのだ。
体育の授業は、女子が先に教室を独占し先に着替える。茉由はほかの女子たちの下着をみてしまう。女子たちの着替えに混じるのはまだ場違いな感じがする。でも、女子と一緒に着替えるしか選択肢はなかった。茉由は女子なのだ。
茉由が木綿のブラをしているのを詩織にみられてしまう。ブラをしているのは、茉由を含めて数名しかいない。小学4年生だとそこまでバストは発達しないのが普通なのだろう。詩織はまだキャミソールだ。
「茉由ちゃんはもうブラをつけているの?うらやましいな。それにブラ、とっても可愛い。パンツも可愛い」
茉由は少し恥ずかしくなってしまう。
体育の授業でも、茉由は普通の女の子だった。かつて男だった利点は全くない。かけっこでも、サッカーでも、バスケでも、他の女子と変わらない。いや、ヘタをするとそれ以下かもしれない。男子に混じれば、まったく相手にならないだろう。茉由はすでにか弱い小学生女子なのだ。